PandoraPartyProject

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白き吐息は消えて零れて

 鉄帝。未だ凍える様な寒さが全土を襲う、その中で。
 アルマスク攻勢と呼ばれる、アーカーシュ陣営の行った、鉄帝国中部の都市『アルマスク』解放作戦は成功した。新皇帝派を不凍港ベデクトの戦いと同様に退け、更にはラジオ電波塔を入手したのだ――これをどう使うかはまた追々として、だ。
「――どうやら緊急事態の様です。敵も黙ってみている訳でもないようですね……新皇帝派の軍勢が、アルマスクの街へ大規模な攻撃計画を立てているという情報を、諜報部が察知しました」
 エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ(p3n000290)はイレギュラーズ達へと語るものだ。敵に動きが見える、と。諜報活動に優れ得るアーカーシュであればこそ迅速に気付く事が出来たのは幸いと言えるだろうか――
 そして、同様の事態はポラリス・ユニオン(北辰連合)方面でも気配があった。
 ノーザンキングスとの和平を実現し、不凍港ベデクトをも解放した彼らにとって東の脅威はひとまず去ったと言ってよく、故に行われたのが西進作戦『エウロスの進撃』……未だ戦いが続いている地もあれど、ひとまず概ねの推移としては北辰連合優勢に事が進んでいた。
 ――が。帝都に近付けば近付くほどに新皇帝派の支配は強くなっているものだ。
「連中もどこかでこちらの攻勢を押し止めんと目論んでいる様だな。
 我々が解放した街に攻撃を仕掛ける動きが見える……
 兵を割いて防衛に当たらせるべきか」
 顎に手を当てて兵の配置を如何すべきか悩む様子を見せたのはヴォルフ・アヒム・ローゼンイスタフ(p3n000288)である。解放しえた地を新皇帝派に渡す道理はない……独立島アーカーシュでもそうだが『兵力を配置し、迎え撃つ』事は、イレギュラーズ達の意思も問うた上で確定していた。
 ある程度の軍事力を割く必要はあったものの、しかしこの選択によって警備は万全。
 一部の隙もありはしない。どこから至ろうとも新皇帝派を迎撃せしめるだろう。

 同時。帝政派、ザーバ派、ラド・バウ独立区、革命派は勢力圏内の調査に当たっていた。

 厳しい寒波の中だ。調査するにはある程度の防寒技術をもってして事に当たらねばならなかったが……しかし各々の技術部の力をもってして調査を続行した結果として分かったのが。
「――なに。新皇帝派の連中が再び俺らの本拠を強襲する計画を!?」
 『本拠地の襲撃計画』であった。
 革命派の本拠ギア・バシリカで驚愕の意思を見せたのはヴァルフォロメイ(p3n000289)である――此処は帝都にも近く、つい最近も新皇帝派グロース師団からの襲撃をうけたばかりである。更なる追撃も予想はしていたが、まさかこんなに早く動きを見せるとは。
 ――そして、ヴァルフォロメイの下に報告が届いたのとほぼ同時刻。
 帝政派の本拠地サングロウブルクにも急報が訪れていた。
「むぅ。サングロウブルクへか……ボーデクトンを取っておるが故に、そう大規模な軍勢が訪れる事はなかろう。あの地を無視して大軍勢を送り込む余裕など間違いなくない――恐らく来るは少数と見るべきか」
 報告書を見るのは鉄帝国宰相たるバイル・バイオン(p3n000237)か。
 サングロウブルクから見て東にある鉄道都市ボーデクトンを制圧した事により、帝都方面からの進撃には睨みを効かせる事が出来ている。故に大軍勢がサングロウブルクを襲うという事はあり得ないだろう。
 来るならば少数精鋭。破壊工作の要人の暗殺などを目論む者達が来るだろうか……
 しかし少数であれば、独立島アーカーシュや北辰連合の様に兵力を展開し警備を幻獣にすれば事足りそうでもある、が。
「ふむ……だが、いっそのこと内部に引き込む、というのもアリだろうかな」
 一方で南部戦線の長ザーバ・ザンザ(p3n000073)は思考を巡らせるものだ。
 『あえて警備を薄く』した上で、敵の戦力を全滅させ得る好機なのではと。
 勿論言うに易しではない。確実に敵を引き込むためには兵力がいないと思わせるか、実際にいない必要があるのだ――つまりは大部隊での待ち伏せは出来ない。此方も少数で事に当たる必要がある。
 イレギュラーズを中心とした戦力が動くのが最適ではあるが、戦力はおよそギリギリになるやもしれぬ。つまり失敗すれば本拠地にダメージが与えられる可能性があるのだ……
「どうしたものかしらねぇ。負けるつもりはサラサラないけれど。
 めんどくさいのはキラいだわぁ」
 同時。帝都にあるラド・バウ闘技場で吐息を零すのはビッツ・ビネガー(p3n000095)だ。
 彼の息は白い。大寒波は落ち着きを見せているとはいえ、それは一時的なモノだ。
 またいつ牙をむいてくるか知れぬ――
 もしも新皇帝派をあえて引き入れ、食糧庫を燃やされでもしたら大打撃だ。
 が。いい加減連中にも痛打を喰らわせてやる機会かと思いもする。
 ……繰り返すが、警備を厳重にすれば確実に敵が至るのを防ぐ事が出来るだろう。
 だがリスクを承知で動き、敵を潰すのも一手だ。
 さてさてどうするべきかと――
 空より零れてくる白き粒を見据えながら、また一つ吐息を零すものであった。


 ※鉄帝国中部の都市『アルマスク』が解放されました。
 ※各勢力でアイアン・ドクトリンが使用されています!

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