PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

Breakfast of Champions

 ――鉄帝国帝都スチールグラード。
 市街に堂々とそびえ立つ大闘技場ラド・バウの闘士控え室には、錚々たるメンバーが顔を揃えていた。
「イレギュラーズのA級昇格戦?」
「そ、始めに言っておくけれど、アタシは別に異論なんてないわよ」
 椅子を仰け反らせながら意見書をひらひらと振ったリーヌシュカ(p3n000124)に、ビッツ・ビネガー(p3n000095)が肩をすくめる。
「異論はないが、易々と通してやるつもりもない」
 ゲルツ・ゲブラー(p3n000131)の真面目くさった物言いに、ビッツは口元を手で隠し艶やかに笑った。
「珍しく会議だってのにチャンプはどこで油売ってんのかしら?」
「見回りだって」
 人というものには娯楽が必要だ。
 いかなる苦難が降り注いでさえ、逆境に喘いでさえ、泥濘に呑み込まれてさえ。
 絶望の渦中にあっても、希望という灯火を絶やさぬための力と言えよう。
 暴動と闘争に覆われ明日をも知れぬ分断された国土――事実上の内乱状態――にあって、更には厳冬が予測されているとも言う状態だ。ストレスのはけ口を今まで以上に求めるのも無理はない。
「寒い時にやるべきことは三つある!」
 アンドリュー・アームストロング(p3n000213)が力強く三本指を立てた。
「一に筋トレ!! 二に試合!!!」
 コンバルグ・コング(p3n000122)がウホウホと同意し、ウォロク・ウォンバット(p3n000125)は無言でマイケルを抱き上げた。
「三つ目は?」なんて誰も聞きはしない。そんな些細なことは、誰も覚えていやしないから。
「そっか、いいライブになりそうだね」
 パルス・パッション(p3n000070)はラド・バウきってのスターであり、広告塔だ。Bクラスというのは――もう少々の事情はあれど――そんな彼女が籍を置くクラスでもある。
 それはさておき、イレギュラーズはラド・バウ闘士としての戦績も華々しく、人気闘士も多い。既に多くのイレギュラーズがBクラスまでの昇格を果たしており、試合が待ち望まれている状況だった。専業の闘士ではないから、かならずしもBクラスに至っている訳ではないが、下位クラスにあっても人気が強い。
「あなたはいつまでここ(ラド・バウ)に居られるの?」
 ティセ・ティルマノフがリーヌシュカに水を向ける。
「すぐ戻るわ、部下を放っておけないし。軍務が山積みだもの。けど――」
 リーヌシュカ単身ならば早馬やバギー、バイクなどでこうした移動も出来るが、部隊毎という訳にはいかない。なにより彼女が率いる軽騎兵隊には守るべきものが沢山ある。
「けど?」
「ううん、何でもない」
 一同が椅子を立った頃、部屋の入り口に人影が姿を現した。
「客人だ」
 親指で外の方を示す、ガイウス・ガジェルド(p3n000047)の声だ。

 石造りの巨大な門の前に、軍帽を目深にかぶった二十名ほどの集団が現れた。
 Dクラス闘士達が鋭い視線を送る。
「……新皇帝派の軍人か」
 辺りに緊張が走った。
 警護にあたっていた闘士カールセルゲイが門の前へ仁王立ちで立ち塞がる。
「大闘技場ラド・バウへ何用か!?」
 だが、どうだろう。
「失礼した」
 新皇帝派の士官と思われる男が、軍徽章を外し上着のポケットへ仕舞ったではないか。
 男が敬礼すると、部下達もまた習った。
 それから男は人数分のチケット綴りを差し出す。
「ならば入られよ、ラド・バウの観客席は万人に開かれる」
 それだけは絶対に守られるべき平等な権利とでも言うかのように。

 ※大闘技場ラド・バウにて、イレギュラーズのA級昇格戦が開始されました。
 ※<大乱のヴィルベルヴィント>の各作戦が佳境にさしかかっています。
 ※二つの期間限定クエストの期限は、2022/12/08 24:00までです。


鉄帝動乱編派閥ギルド

これまでの鉄帝編アドラステイア

トピックス

PAGETOPPAGEBOTTOM