PandoraPartyProject

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剣を呼ぶ声

 混沌には混沌、ネクストにはネクストの事情がある。
 そこに住まう人々は己の人生を持ち合わせ、己の時間を生きている。
 我欲を良しとする物が居る。矜持に生きる者が居る。求道に捧ぐ者も居る。
 或いはその全てを持ち合わせる者も居る――
「……これはまた随分と。面白い偶然もあったものじゃな?」
 眉と口の端を愉快気に吊り上げた死牡丹・梅泉(p3n000087)は鳩が鳴くような声で小さく笑った。
 そう、偶然というものは恐ろしい。世界に終焉が迫りつつあるその日、その時。
『彼等が一堂に集まってしまったのは数奇な運命の悪戯としか呼びようは無かったのだから』。
「実に面白い。一度相手をしたいと思っていた高名な方がこれ程に集うとは」
 硬質の宝石を思わせる雪村 沙月(p3p007273)の美貌が艶然と綻んだ。
『色っぽい理由等一つも無いのだが、こんな時にこそ最も美しく咲き誇るのは彼女が彼女であるが故だ』。
「――幸運に感謝しなければなりませんね」
 そしてそれは穏やかさ、聡明さ、そして冷静さ――美しい佇まいの中にそれら全てを併せ持つ久住・舞花(p3p005056)も同じ事。
『この時ばかりは幾ばくか昂らずにはいられない、そんな事実は彼女とて同類である事を告げている』。
「……父の仇、今日こそ取らせて頂きます!」
「貴方の御父上を手に掛けた記憶は無いのだけれど――敗けたらフィーネに怒られてしまうわね」
 一方ですずな(p3p005307)の殺気に白薊 小夜(p3p006668)は目を細めた。
(ほぼすずなの一方的な想いではあるが)因縁浅からぬ二人は対決するに十分な理由を持っている。
「でも、駄目よ」
 小夜は梅泉に流し目を送る。
「『漸く逢えたのですもの』。貴女の順番はその次よ」
「……ッ……!」
 犬歯を剥き出したすずなは小夜を強く睥睨した。
 梅泉を見る彼女はすずなと同じだ。『漸く獲物を見つけたという目をしている』。
「……旦那はん、誰やの! その女! いえ、この女共!」
 一方で怒りの声を上げる紫乃宮 たては(p3n000190)刃桐 雪之丞(p3n000233)は「やれやれ」と頭を振った。
 到底つきそうもない収拾に頭痛を隠せていない。
(そもそも我等は今日、あれを狩る為に――)
「――小夜、生憎と今日はわしも先約がある」
「……先約?」
 梅泉の言葉に小夜の柳眉が顰められた。
 すずなと同じく袖にされた格好だが、此方には幾ばくか余裕があった。
「誰? そちらの女性?」
 水を向けられたたてはが再び「何やのこの女!」と怒っているが梅泉は取り合わない。
「今日の相手は『最強』じゃ。何でもこの世界は滅ぶらしいではないか?
 世界を滅ぼす程の相手とあらば、顔を見ない訳にはゆかぬじゃろう?」
「ああ――」
「――そう言えば」
 舞花と沙月は合点した。
 ネクストに現れた終焉獣は世界各地で大規模な被害を撒き散らしている。
 本当か嘘か。『勇者達』が『風穴』から元凶を止めに行ったと聞いている――
「故に、先約じゃ。わしは先約じゃ。世界が滅びれば小夜の願いは叶うまい。
 仮にそれがなくともわしが先なら犬娘の満願は叶わぬ。どの道世界が滅びればやり直しも有り得まい?
 故に主等、一つ付き合え。たてはと小雪とを供にしようと思うたがな。
 この世の果ての――地獄を巡る遊びなら、賑やかな方が閻魔も喜ぶ事だろうて!」
 梅泉の視線の先に『風穴』が揺れていた。
 顔を見合わせた百花繚乱は頷いて――
「――その順番にまず納得がいっていないのですが!」
 ――頷いたと思ったら、すずなだけが唸り声を上げていた。


 ――シャイネンナハトの各種キャンペーンが開始されました!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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