PandoraPartyProject

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クローズド・エメラルド

 ※システム検索中……error……error……hit……
 ※緊急クエスト<大樹の嘆き>……続行します……


 大樹ファルカウ。それは翡翠の首都にして彼らの信仰対象だ――
 R.O.Oの世界であってもファルカウの偉大さは変わらない。
 ――しかし今この国は物々しい雰囲気に包まれていた。
「やはり余所者と見るべきが妥当でしょうか。
 翡翠内で大樹が『折れる』事態に発展しているのは」
 広間が如き空間で語るのはリュミエ・フル・フォーレだ。
 深緑の巫女として名高い彼女は翡翠の指導者でもあり――故に頭を抱えていた。
 何にかと言えばそれは翡翠にとって縁深い隣人である自然が害されているのだ。
 ――特に『大樹』が。
 その大樹とはファルカウの事ではない。単純に言えば『大きな木』という枠組みの、永い時を生きたモノらの事であり……そしてファルカウ程でないにせよ、そういった大樹も翡翠の民にとっては地域ごとに特別視される事がある。
 それが近頃、大層『危険』な状態に陥っているのだ。
 当然翡翠の民が大樹に害など成す訳がなく……ならば、と向かう矛先は。
「……しかし。現時点をもって余所者の仕業と決まった訳では。なんらかの病魔による可能性も……」
「このような物理的な破損でその理由はないでしょう。仮にそうだったとしても、無駄です。民は既に余所者がこの翡翠に害を齎していると――噂している。いえ、精霊や木々すら気が立っていて……一刻も早く行動しなければ」
 そう、外部の者だ。
 翡翠は――特に広大な迷宮森林には多数の遺跡が残されており、冒険者連中の盗掘も後を絶えない。彼らの横暴な振る舞いは元々閉鎖的な翡翠の民にとって外部嫌いを加速させている……であれば何か疑わしい事があった際に矛先になるも当然。
 そればかりか自然に住まう精霊達も自然を何者かによって害されていると外に敵意を向け始めている。このまま悠長に構えている暇などないのだと――
 無論、それは早計でないかと思う者もいる。
 その人物はライアム・レッドモンド
 現実ではアレクシア・アトリー・アバークロンビー (p3p004630)が『兄さん』と呼んで慕っている人物だ。彼は世界各地を旅し、見聞を広めてもいる人物で『外』に触れている。故、必ずしも外の人間が危険な者ばかりではないと知っている……が。
「そうね、残念だけれどもうそんな段階じゃないわ。今回は大樹だもの――アレらが傷つけられた事による影響は『ただ自然が傷つけられた』という程度では済まされないわ。怪しきは罰す、そうしなければ……」
「――『大樹の嘆き』が発生する」
 フランツェル・ロア・ヘクセンハウスとリュミエの妹――カノン・フル・フォーレが言葉を紡ぐものだ。
「『アレ』が出始めるとどうしようもない。
 ……いや手段が無いわけではないけれど。私か姉さんでないと」
「いやーしかし国境線の封鎖はちょっと、それはどうでしょうか!? この国にも外から移住してきた者がいない訳ではありませんし、逆に外へと往くキャラバンもありますぞ! あまりに火急な行動は混乱を……おおおおお――!? なんでいきなり炎の魔術放ってきたですぞ!!?」
「なんとなく」
「正気ですかこの幻想種!! くそ、私が何したって言うんですぞ!!」
 直後。それでも行動には慎重になるべきと翡翠に通う愛の妖精ラブリーザントマンが口を開け……ば、その瞬間に何故かカノンがザントマンに魔術を放った。この世界では元々の禍根は無いはずだが、何かうっすらと感じているものがあるのだろうか……
 ともあれライアムやザントマンの様に、余所者が問題を起こしていると決めつけるのは早計だと言う者もいる。だが――外の国の者に良い感情を抱いていないR.O.Oのリュミエやカノン、そして多くの翡翠の民にとっては自然を侵す者を決して許しはしないのだ。

「ルドラ。迷宮森林警備隊に通達を――国境線の封鎖を速やかに完了させてください。
 突破しようとするものは誰であろうと排して構いません」
「……はっ、承知しました」

 故に号令が出される。迷宮森林警備隊の長であるルドラ・ヘスへと。
 侵入者罰すべし。これ以上この森に近付くならば――その命を頂く。
 全ては清らかなる森の為に。
 伝承で、翡翠からのキャラバンが訪れないと嘆いていたのはコレが原因だったのだ。
 外も内も通行を制限する。
 ……ほかの国であれば国を閉ざすような動きなど早々に手としては打たないだろう。しかしこの国ならば『やる』のだ。元々内向的であり、外に依存しない体制であり、そして深緑の長たるリュミエ自身――鎖国の如き引きこもり政策に躊躇がないのならば――
 何か一つ機会があればこのようにもなる。で、あればと。
「……ですが、その『大樹の嘆き』とは具体的にはどのようなモノなのでしょう」
「おや――妹さんから聞いてはおりませんか? たしかあの子は知っていた筈ですが」
「はは、浅学の身。うっすらと名前程度しか……」
 思う所はあれどそれが巫女らの方針ならば、とライアムは国境線封鎖には口を噤むが。
 しかしそもそもカノンが述べた『大樹の嘆き』とは一体なんなのか。
 彼の問いに柔和な笑みをフランツェルが見せれば視線をカノンへと――さすれば。
「……一言で言うなら、兵器だよ」
「――兵器?」
「そう。とてもとても危険な兵器。
 永い時を生きた大樹が断末魔の叫びをあげた時に放出するもの」
 一息。

「アレは周囲全てを平らにするまで止まろうとしない。増えたら凄く――困るからね」


 ※翡翠が国境線を封鎖しようとしているようです――!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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