PandoraPartyProject

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夏祭りボイスリプレイⅢ

 縁日の夜。二人の男女が並んで空を見上げていた。打ち上がる炎がパパッと音を立てて散り、カラフルな花火として咲いている。
 ヴェルグリーズ (p3p008566)星穹 (p3p008330)の表情が照らされた。
「こうしてまた一緒に花火を見ることが出来てよかった。とても嬉しいよ」
「ええ、本当に。貴方の願った来年が、こうしてやって来てよかったです」
「今年は本当に色々あったからね…でも、変わらないものもある。こうして見上げる花火の美しさとか、ね」
「去年とは変わってしまったことも沢山ありますが……それは良い変化でしょう。去年とは違って、貴方は私の手の届く距離にいますから」
「そうだね。でも、本当に俺は今嬉しいんだ。この気持ちがキミにも伝わっているだろうか」
「ふふ。さぁ、どうでしょうか?
 貴方のことを忘れたくはないから……貴方の喜びを私に刻んでください、ヴェルグリーズ」
「ありがとう星穹殿。……こうして二人の時間を過ごすのもいいけれど、来年は空も連れてきたいね」
「……そうですね。来年があれば、また共に。貴方と私と、空の三人で来ましょう」


 一方こちらは豊穣郷夏祭り。
「くっふふー、こうして名だたる呑兵衛達と飲み比べをするもまた一興。
 こういうのも悪くないでありんすねえ。
 ついついお酒が進んでしまう!
 皆様、まだまだいけんすね?
 勝負はまだまだこれからでありんすよー?」

 エマ・ウィートラント (p3p005065)の前には無数のグラス。宴会場に集まった人々は、彼女たちの異様な有様に驚き、見物を始めていた。
 そう、彼女たち、である。
「こくっ……ああ、美味しいっ! おかわり!
 ねえねえ、これで何杯目だっけぇ、ボクもっと飲みたいな
 皆はまいったするなら今のうちだよ
 ふふーん、飲み過ぎてひっくり返っても知らないんだから」

 ソア (p3p007025)は杯を飲み干してから、からっぽになった酒瓶を振って周りを挑発してみせる。
「ん……はぁ
 これは大変な甘露ですね
 皆様と頂く宴席ゆえに、一層の美味に御座います
 参ったするなら今の内?
 ふふ、参るは参る。お酒が進んで大変参ります
 私を降参させたいならば鬼殺しでも用意して頂かないと、ですよ?」

 彼岸会 空観 (p3p007169)は巨大な盃に日本酒をなみなみと注ぐと、それを豪快に飲み干していく。
 彼女たちはどうやら無限に出てくる酒を誰が一番飲めるかの勝負をしているようだった。
「ん、くっ……ふぅ、何度飲んでも美味しいわねぇ、どんどん飲めちゃうわぁ
 でも、流石にちょっと飲みすぎちゃったかしらぁ?……私はここで降りるわねぇ?
 はふぅ……、こんなにたくさん飲んだのは久しぶりだわぁ
 えっとぉ、お水は……と、っとと?ひゃぁぁ!?
 痛たぁ……うぅ、お酒でビショビショぉ……浴衣が肌に張り付いて……
 ふぇぇ……、あ、あまりこっちを見ないでぇぇ……」

 そんな中でストイックに己の仕事(サービス)をこなすアルテミアプロことアルテミア・フィルティス (p3p001981)
 肌に張り付いた浴衣をつまんでぱたぱたとやる。
「お前ー! 人がせっかく目を付けていた酒を横取りしようとは何事でありますか!!
 もう自分のでありますもんね、あげないでありますペペペー! はいもうつば付いたー!!」

 ふと見ると、エッダ・フロールリジ (p3p006270)ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)が瓶を握り合って互いに譲るまいと取っ組み合いのケンカをしていた。なにかっつーとすぐ取っ組み合う二人である。
「ええい、放しなさい!これはもう私のお酒ですのよ!
 貴女には、あっちの安そうなやつがあるでしょう!?
 マリィ、ちょっと手伝って下さいまし! この女が、高いお酒を!」

「あああ!?
 ヴァリューシャ!? あんまり暴れちゃ駄目だよぉ!?
 え!? 手伝ってって? ふふ! まかせて! そのお酒はヴァリューシャのだよ!
 こちらに渡したまえ! こら! 観念するんだ! こちらは二人がかりだよ!」

 マリア・レイシス (p3p006685)が慌てて駆け寄っていく。
「ハァァァン!? イヤでありますぅ~! 自分のでありますぅ~!」
 警戒するアリクイみたいに両手を広げてガード姿勢(?)をとるエッダに、マリアとヴァレーリヤがコンビネーションアタックを繰り出――すかと思いきや、途中でふにゃーんていいながらよろけたヴァレーリヤによってマリアがどべっと押し倒された。
 こうみえて、今日もいつも通りのイレギュラーズ。
 平和な夏のひとときが、こうして思い出になっていくのだった。

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