PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

夏祭りボイスリプレイⅡ

「夏だー、海だー、水着だー! ひゃっほー!!
 さてと……バストよし! くびれよし! ヒップ&太腿よーし!
 うん、今年もアタシは最高ね。これなら文句ないでしょ。
 絶対あの人を、赤面させてやるんだから!」

 自慢の水着でごろんとシートの上に転がる郷田 京 (p3p009529)
 偶然というべきだろうか。ギルオス・ホリス (p3n000016)がそこへと通りかかった。
「んー! いやぁ、日差しが心地良いなぁ。絶好の海水浴日和だ。
 みんな楽しんでいる様子だし、僕も冷たいカクテルでも飲みながらのんびりと……」
 それに気付いた京が手を振る。
「っと、噂をすれば影! おーい、ギルオスさーん!」
「……おや? この声は、京?」
 がばっと(ワンアクションで)起きて走り出す。
「って、ちょっと!? そんな格好で走っちゃ駄目だよ!? 弾んでるから!? 溢れるから!? 溢れそうだから!?」
「えー、なにー? 走るなー? 溢れるってー?
 もー、心配性だなー、京ちゃんのお胸はそう簡単に溢れませーん。コレでもガードは堅いのです。
 って、そんな事よりどう! どうかなコレ! 似合ってる!?」
「まったく、君って奴は危なっかしいんだから。……え、似合ってるかって? それは。うん。とても。目に毒なくらいだよ。」
「そっかー、目に毒かー、そっかそっかー、えっへへ……!
 じゃ、じゃあさ、その……そんな目に毒な京ちゃんの背中に……サ、ササササ、サンオイルなんて塗ってみないかしら!!?」
「サ、サンオイル!? 僕がかい!? い、いや駄目じゃないけど……あっ、そ、そうだ、急用を思い出した! 残念だけど、それじゃあまた!?」
「って、何それ!? なんで逃げるワケー!? ちょっとー!? 待ってよー!!?」
 そして始まる砂浜追いかけっこ。当然ながら、京の脚力から逃げ切れるギルオスではなかった。
 一方――。
「……夏は嫌いだ。クソ暑い上に化粧まで落ちる。冷房ついた部屋に引きこもって無意味に過ごすのが一番だっつーの……だから、お前っ、引っ張るなっつーの!!日差しが眩しいんだよクソォ!!」
 浜辺、というか海の家で日陰にこもっている百合草 瑠々 (p3p010340)
 弱った様子で頭をわしわしとやった。
 けだるげなギャル、といった様子。夜になれば日差しもなくなるのだろうか。
 なんでも、夜には花火が上がるらしいのだが……。



 空に咲く、色。ドンと腹に響く音と、光。夜空の黒にそれはよく映え、そして見上げる人々の顔を照らしている。
「花火…綺麗ですね……
 夜なのに…表情が…はっきりと見えます…
 今日は…忘れられない…大切な思い出……にはしません…
 だって……また来年も………これからも……

 髪色にぴったり似合った紫の浴衣姿で、道子 幽魅 (p3p006660)もまた花火を見上げていた。
 花火を横目に、浴衣姿で連れ歩く二人がいた。
 越智内 定 (p3p009033)綾敷・なじみ (p3n000168)である。
「ねえねえ、こっちだよ定くん」
「なじみさん、待って」
「ほら。手、繋いで」
 小走りにあるいては振り返り、手をかざすなじみ。
 どきりとした定だが、すぐに首を振った。
「(ん、あ、ああ逸れないように、か)……オーケー」
「次は林檎飴を買うんだ。あ、それからわたがしも欲しいなあ」
「林檎飴にわたがし? 手を繋いでたら持てなくなっちゃいそうだぜ。袋に入れて貰おう」
「定くんは何する? 金魚掬いとかするかい」
「金魚掬いかい? 任せてくれよ」
「もしも金魚を掬ったら一匹頂戴ね」
「でも最後までちゃんと面倒みるんだぜ」
「ちゃんと金魚鉢に入れて育てるし。お名前も付けるから」


 ラノール・メルカノワ (p3p000045)エーリカ・メルカノワ (p3p000117)は並んで花火を見上げ、そして互いの横顔をちらりと見た。
『ラノール。また、なつがきたね。
 風が気持ちいい。見て、あかりがあんなにたくさん』
「今年も夏の祭りは賑やかだね。出店も花火も、毎年楽しみだ」
『……手を。繋いでもいい?』
「あぁ、もちろん。はぐれないようにしっかりと手を繋いでいよう」
『はじめて、海洋のおまつりに行った時のことを思い出したの』
「ふふ、あの時の事か、懐かしいな。
 水面に映った夜空と花火の美しさを、今も覚えているよ」
『あの時のわたしは、怖がるばかりで……。
 その時もあなたはこんなふうに、優しく手を引いてくれたね』
「あの頃から君はずっと、私の言葉に応えてくれていたね。
 きっと顔を上げることも、人混みの中を歩くことも。
 怖くて仕方なかったはずなのに、それでも少しずつ頑張ってくれた」
『大丈夫、顔を上げていて良いんだよ、って。あなたが名前を呼んでくれたから……。
 今のわたしが、わたしたちがあるんだなって思ったの』
「ふふ。今の私達があるのは、そうやって君が勇気を出してくれたからさ」
『ラノール、だいすき。……ふふ!言ってみたくなっちゃった』
「……ふふふ、あぁ、エーリカ。私も、君を愛しているよ」


 静かな。ある意味で静かな夜だった。
 花火の音がうるさくて、心のおとが聞こえない。そんな夜だ。
 耀 英司 (p3p009524)はそのことに、少なからず感謝した。
 澄恋 (p3p009412)が花火に手を伸ばしてはしゃいでいる。
「二人きりで見るのはわたしも初めてです。うふふ、花火、綺麗ですね!」
「ああ、綺麗だ! 空も、屋台も、それに……。はは、楽しいな! みんなが笑顔の夜だ! ……大きいのが来るぜ。 ……なぁ、澄恋ー! 『    』!!! 聞こえたか! はは、もう言わねぇ! 」
「……え!? 全部花火の音にかき消されたのですけれど!?
何と仰ったのですか! もー!」

 シラス (p3p004421)アレクシア・アトリー・アバークロンビー (p3p004630)、そして散々・未散 (p3p008200)がお祭り会場へ到着したところだった。
「2人とも、こっちこっち! 早くしないと花火始まっちゃうよ!
 せっかく調べておいたんだから、初めから特等席で見ないと!
 ほら、はーやーくー!」

 もう待ちきれないといった様子で走るアレクシア。
 その後ろをシラスと未散は微笑ましく追いかけていた。
「アレクシアー! そんなに急がなくても花火はまだ始まらないって!」
「待って下さいましアレクシアさま
 嗚呼もうそう走っては転げてしまいましょう?
 たこ焼きに玉蜀黍、じゃがバターに林檎飴
 忘れ物は無いかしら」

「……ハハッ、ご機嫌だな。よーし、追いついてやろうじゃねえか。行こうぜ、未散!」
「ええ。参りますかシラスさま。…ふふ。ぼくにかけっこの挑戦状とは望む所ですよ」
 走り出す二人。再びあがる花火を、三人は走りながら見上げた。

「ヒトは闇を恐れ、縛られることを苦しむ。
 だが今日だけは夜を照らし、往来で酒を飲んで歩いていてもいい。それが祭りというものだ」

 浴衣姿でのんびりと立つ無名偲・無意式 (p3n000170)。その横には同じく浴衣姿の金枝 繁茂 (p3p008917)がいた。
「こんなに明かりがあるとせんせいの表情も明るく見えますね。

 ふふっ、お酒は用意してありますしおつまみを調達して飲みましょうか。

 ここはせんせいの地元みたいな物でしょう? 案内お願いします、ついて行きますから」

 そう語る繁茂に、無名偲はピッと一万円札を出してみせる。
「繁茂、この金でいい物を調達してこい。期待してるぞ」
「歩かないんですか?」
「祭りは放っておいても人と景色が動くものだ。立っているだけでいい」
「なるほど……」

「うぉ…花火すげぇな」
「はい、とても綺麗です。色鮮やかで本当の花のよう…」
 澄原 龍成 (p3n000215)ボディ・ダクレ (p3p008384)が並んで花火を見上げていた。
「胸に響いて、めちゃドキドキしてるみたいだ。耳当てたら分かるぞ。なんて…花火の音でわかんねーけどな」
「ん、心音が凄いと? 一体どれほどの…」
「そして捕まえた。花火が終わるまでこのままじゃ」
 ボディの耳が、龍成の胸へとあたる。
 咄嗟に見上げたボディの瞳にカラフルな光が反射して、細めた龍成の瞳の中に映った。
「えっ、あのっ龍成、何を。近いです。それに、周りに人が…」
「誰も見てねーよ。皆花火見てるし」
「これだと、花火どころでは無いの、ですが…
 貴方という人は、まったく…」
「はぁ…可愛いすぎだ」

 あがる花火の音の中。鳴海 恭介 (p3p009728)恋人を待っていた。
 浴衣には恋人をモチーフとした蒼い薔薇がデザインされ、彼の表情はどこか照れくさそうだ。
 待ち人は……どうやら来たらしい。たかたかと小走りに寄ってくる足音に振り返り、恭介は笑った。
「よぉ、待ったか? わりぃな? ちょっと着替えに手こずっちまってよ。
 どうよ俺の浴衣姿は? 普段は洋服しか着ねぇが、なかなか様になってんだろ?
 ……ん? おお、このデザインか? この色の薔薇と言えば、
 俺にとっちゃお前だからな。 だからよ俺は好きだぜ? 蒼い薔薇。
 っと! そろそろ祭りが始まる時間だな。
 良いか叶? 今日は俺が夏祭りの醍醐味ってモンを教えてやるぜ!
 じゃ、行くか! はぐれねぇように手ぇ離すんじゃねえぞ?」


 新しい浴衣をきて、ココロ=Bliss=Solitude (p3p000323)華蓮・ナーサリー・瑞稀 (p3p004864)が手を繋いではしゃいでいた。
「花火、始まったのだわ!
 とってもとっても綺麗だわね
 星々と一緒に、夜空でキラキラ輝いて…わくわくして…ドキドキして」

「ねえ華蓮! あがったよ花火! え?あ……すっごい!」
「…ふふ
 金色も、青も、白も…とっても眩く輝いて
 ドキドキして…でも、とっても心が安らぐのだわ」
「おおきくて……きれいで……うん、そう。とっても眩しいよね。」
 にっこりと笑い合う。かしげた小首で綺麗な瞳が、親友のそれを覗き込んでいる。
「わたし、最近感じてるんだ。
 あの花火のように、もっと、輝きたいかなって。
 華やかで、ぱーーーっと。漠然と、だけどね。
 華蓮はどんなわたしでも、好きでい続けてくれる?
 ……くれるよね~!」

PAGETOPPAGEBOTTOM