PandoraPartyProject

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夏の夢の終わりに I

 ――夜明け。
 空は北国を思わせる薄茜に染まっていた。
 常春のアルヴィオンとは思えぬ、極北の風にイレギュラーズの何人かが身を震わせた。

 決戦である。
 妖精郷アルヴィオンは魔種に蹂躙されており、それを討伐せしめんとする戦いだ。
 魔種共は妖精城アヴァル=ケインを占拠している。
 籠城の構えと思いきや、このエウィンの町へ大軍が向かっているというから驚きだ。
 敵には軍略もなにも、あったものではないのだろう。
 首魁である魔種タータリクスは、人だった頃はただ市井の錬金術師であった。
 だが敵の作戦はどうあれ、魔物や魔種といった存在は、それだけで脅威だ。
 それにイレギュラーズを模した怪物『アルベド』の中に、次の段階『キトリニタス』へ進んだ個体も居るらしい。非常に危険な相手となるだろう。
 更には魔種共は妖精郷に封印されていた大精霊にして邪妖精『冬の王』を解き放ってしまった。
 封印する力と、冬の王の力の大部分は持ち去られてしまったようだが、現れた冬の精霊達はこのアルヴィオンを極寒に閉ざしてしまうほどの暴威となっている。
 これもまたイレギュラーズに牙を剥くのだろう。
 イレギュラーズは迷宮森林警備隊、そして戦う力のある妖精達と共に、状況を打開せねばならない。

 いざ進撃か。
 そう考えた一同の前に現れたのは、妖精女王ファレノプシス、そして『花の妖精』ストレリチア(p3n000129)だった。
「みんな……昨日は取り乱してごめんなさいなの」
 それは昨晩、アルティオ=エルムのアンテローゼ大聖堂で決戦の準備を整えている時の話であった。
 タータリクスの過去が明らかになったのである。
 一連の事件は魔種タータリクスが起こした事件であったが、妖精達がタータリクスと出会ったのは二十数年前に遡る。
 アルヴィオンから遊びに来ていた(当時まだ女王ではなかった)ファレノプシスとストレリチア達は、少年時代の――そして当時は善良であった――タータリクスに出会っていた。
 ストレリチアが女王にイタズラを仕掛けた際に、薬草をとりにきたタータリクス少年に見つかってしまったのである。
 つまり彼女等は幼い日のタータリクスと出会っており、それをすっかり忘れていたのだ。
 情報屋の調査で偶然それを知ったストレリチアは、己を責めてひどく落ち込んでしまった。
 だが実際のところ、タータリクス反転の原因はクオン等の策謀によるものであり、ストレリチア達になんら因果関係はない。
 だが『あの時』に軽率なイタズラなどしていなければ。
 もしも出会わなかったなら、妖精郷は平和なままだったのかもしれない。タータリクスもまた善良な人間のままで居られたのかもしれない。そう思えてならなかったのである。
 失意のストレリチアはイレギュラーズに囲まれ、大いに慰められた
 泣きはらした彼女は翌日――おそらく未だ振り切れた訳ではなかろうが――こうして一同の前に立っていると言う訳だ。
「お願い、助けてほしいの! 春を取り返してほしいの!」
 ストレリチアは精一杯胸を張り、大きく息を吸い込んだ。
 そして。

 ――あの時の子を……タータリクスを殺して!

 ただ一言、きっぱりとそう述べた。
 イレギュラーズの本業は魔種の討伐、なにより可能性の蒐集であり、ストレリチアに言われるまでもなく、成さねばならぬ事である。
 だが参戦を決意したストレリチア達、妖精に免じて『そういうこと』にしておいてやるのも、あるいは悪くないのかもしれない。
 それからイレギュラーズは、女王ファレノプシスや『迷宮森林警備隊長』ルドラ・ヘス(p3n000085)イルス・フォル・リエーネ等と作戦の最終確認を行った。

 全ての準備は整った。
 魔種が立てこもる城は、本来は妖精達が使用していた古代遺跡――妖精城アヴァル=ケインだ。
 あらかたの地形や地図は、既に分かっている。
 エウィンを拠点に守りながら、幾つもの戦場を突破、制圧してゆく。
 冬の王(その抜け殻)と眷属達、そして魔種をこの妖精郷から駆逐するのである。

 さあ、進撃開始だ。

 
 妖精郷アルヴィオンの決戦です!
 妖精郷アルヴィオンは――滅亡の危機に瀕しています……。
 以下のストーリー関連クエストは2020/08/14いっぱいで終了予定です。


 ※サミットの結果、各国に領土が獲得出来るようになりました!
 キャラクターページの右端の『領地』ボタンより、領地ページに移動出来ます!

 →領地システムマニュアル

これまでの妖精郷アルヴィオン

これまでのカムイグラ

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