店内に入ると古木でできている古めかしいカウンターに天鵞絨の円椅子がいくつか並べられている。ほの暗い照明が揺れて幻想的な雰囲気を醸し出している。
カウンターの奥の棚には世界中から取り寄せたであろう様々な酒がところせましと並んでいる。メニュー表はなく、店主に聞いて注文をとる形のようだ。

カウンター席の後ろ側にはびっしりと本が詰まっている。読書をしながらゆっくりできるようだ。

カウンター席の奥には小さいながらもステージが用意されている。何かショーでもするのかもしれない。

暇ですね……。

……メ……

(扉を恐る恐る開き)こ....、今晩は...。ごめん、ください...。

いらっしゃいませ。よくぞここにたどり着かれましたね。ここは幻のバー『Bar Phantom』。ご挨拶代わりにこちらをどうぞ（サンタプチフィギュアを何もない手のひらから取り出して

わっ、す...凄い...！(小さく手を叩き)ど、どうも、は...初めましてっ！

どうぞ、お初にお目にかかります。当バーの専属奇術師の夜乃幻と申します。どうぞ、ご贔屓に。さぁ、お座りになってください（椅子を引いて

は、はい...。あ、ありがとうございます...！(椅子に座り)

メ……（すっと紅茶のホットカクテルが入ったカップを差し出す

あ、ありがとうございます...。(カップを手に取り口に運ぶ)あ...美味しいです...。

美味しいでしょう？　ムー様、特技が相手の好きなものを当てることなんですよ。

本当に美味しいです...。暖かくて...。ぼ、僕これ好きですっ！む、ムーさんは...凄いんですね！

……そんなことないですメ……(頬を赤く染めて
……今蓮餅をお作りしますメ……(黙々と作業に戻って

え？！そんな...、そんな...、ありがとう...ございます...、(嬉しさのあまりニヤニヤが抑えられない)

ムー様凄いんです。蓮餅……？　僕は頂いたことないんですよね。どんな味か楽しみにしてましょう。
ところで、お名前とどの世界からいらっしゃったか伺っても宜しいですか？

あ、すみません...。えっと名前はルーフェル=フリーデンと申します...！えっと....、世界...は、ちょっと分からないです...すみません...。

フリーデン様ですか。よろしくお願い致します。
世界のことは言いたくないことも覚えてないこともありますよね。失礼致しました。
今日はシャイネンナハトですね。シャイネンナハトの御伽話はもうお聞きになりましたか？

き、気にしなくても大丈夫ですよ...。
い、いいえ。まだ...、

シャイネンナハトの御伽噺は、このようなものだそうです（本棚から、絵本を取り出して
戦争状態だった2国を憂いた聖女が悪魔と取引したそうなのです。
戦争を止める力が欲しいから反転したいと。
悪魔は友人だった聖女を止めました。
だけど、聖女の心は固く、止められなかったのです。
そして、戦争を終わらせた暁には、反転した聖女を止めてほしいと。
12/24、戦場の空に光が走りました。
皆、聖女が身を挺して戦争を止めたことを知りました。
それから、シャイネンナハトの日は争ってはならないとされているのです。
もし、フリーデン様でしたら、どのような願いを叶えます？

え...？願い...ですか...？そうですね...、もう一度、あの人に会えたら.......いえ、今のままで充分幸せですから特に...無いですね...。
シャイネンナハトって、素敵なお話ですね。