その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。

ふふふ。
では見抜かれてしまうかもねぇ、我（わたし）のあれやこれやが。

さらってしまうわよー。にがさないわよー？（クスクス笑い）

･･････自主性がないのも個性･･････個性･･････まぁこれはシカタガナイのかしらね。

ふぅむ。
･･････商売に関することについてもう少し調べてみたいわね。
場合によっては商機かも。

確かに社会不適合者ね。

（少し考え）
…ふむ、占い師でもはじめる？
それっぽくしていればよい気がしてきた
店番とどっちがより楽だろう…？

その時は書き置きを残しておこう…
「攫われます、帰るまでご飯はいりません」
「お店は…アケディアかグラが頑張って」
……うむ、完璧

『我が言うのもなんだが…占い師は無理ではないか？
　雰囲気だけならできそうな気もするが』

『誘拐というか家出のような書き置きだな
　いや、そもそも帰れる前提だと散歩か？』

現状だと交通の要所に土地を持つことが肝要かもしれませんねぇ
まだ、流通や売買のシステムを効率化するというよりかはぁ
拠点になる場所を確保する感じが良い気がしますぅ
交易商とか資産があればもうかりそうぉかもとぉ

ただぁ、戦争が起きるともろもろ崩壊する可能性もありますしぃ
その部分が難しそうですよねぇ
政情が商売に関わるのはいつの世も一緒ですがぁ
灰にされてしまってはかないませんともぉ

『……………』

反応がないですねぇ
まぁ、たぶん呪具に人間生活をおくる社会性は必要ないとかぁ
そんな感じのことを考えているのでしょうぉ

これで、人を惑わす色欲を冠しているのですからぁ
まったくもって驚きなのですけどもぉ

占い師……？
統計学とかの話になるし、口もある程度達者じゃないと難しいかもしれないわよ？

……。……すごーく気軽に誘拐されるのね！

おかねはあって損はないし。
……まぁあとで考えてみましょうか。
戦争は、市場を破壊するほどのものはそう簡単には起きなさそうだけれどね。現状。


……そうだ。
色欲なのよね。一応。

むむ、無理…っぽい
しゃべらずに水晶だけ覗き込むぐらいならいけそうなのに
まぁ、店番という仕事があるし…追加で働かなくてもいいか

共同生活はしてるけど…
一人一人気ままにやってるから
まぁ、どこにいてもあまり変わらないともいう
流石に無言で消えるとあれだけど

『気遣いをする分進歩しているのだろう…
　誘拐に関しても許容範囲内とメランが思っているのなら問題ない』

先立つものがないとどうしようもないですしぃ
稼げるときに稼いでおかないと後々苦労するかもしれませんねぇ

私達のところは生活するだけならぁ
ほぼギフトのみでいけますから楽なのですけどぉ

まぁ、これだけ国が乱立しているとぉ
漁夫の利を狙われる危険もありますしぃ
全面戦争や大戦にまで発展することはそんなになさそうですよねぇ

『…………』

まぁ、レーグラに言わせればぁ
使ってる私が色欲を向けられるのであって
レーグラ自体がそうある必要はないという感じみたいですねぇ

道具に欲情してどうするのかとため息ついてますよぉ…意訳ですけどぉ

･･････喋らなかったら汝（あなた）何のために座ってるのよって話になるわね･･････。

じゃぁ、はい。
こぼ同意書にサインしてちょーだい。
これペンね。
万年筆の使い方は知っていて？（サラリと契約書を書かせようとする）

そも、この世界の食糧事情はどうなっているのかしら？
戦争の火種ナンバーワンだけれども。
燃える水の存在についても気になるわね。

ふむ。
･･････そこはほら、催淫とかそんな感じじゃないかしらね。

…いわれてみれば？
まぁ、どことなく向いてなさそうね

（万年筆を受取りふと気が付き）
何の契約書だろう…？
コルとの契約があるから履行できない可能性がある…

『我との契約に齟齬がなければ
　条件によってはそのまま契約しそうなところが
　ある意味らしいといえばらしいが…』

各国でだいぶ違うのかもしれませんねぇ
錬達とかならプランテーション？方式とかで作ってそうですがぁ

ふむぅ、各国で自給自足なんてことはないと思いますがぁ
貿易の基礎となる価値観がどの位置で釣り合っているのかぁ…

燃える水は、どうなんでしょうねぇ
発電であれば雷の魔法や風の魔法で代用できそうでもありますがぁ
加工品とかは無理ですよねぇ

『………』

まぁ、催淫とか魅了の呪いが掛かったアイテムとかはありますがぁ
そうなると不特定多数に影響が薄いのですよねぇ
所有者になるために殺し合いが起きると本末転倒ですしぃ

あれよ。
我（わたし）に誘拐される契約書だわ？　いえ同意書ね。
ふふふ。

ふむ。
依頼が発行されたことで何かわかるかしらね。
探索ついでに見てこようかしら。

･･････まぁ魅了ってそんなものじゃないかしら。

ふむ、三食昼寝と散歩付きなら…

『……まぁ、構わないがな』

今は幻想とギルドからの依頼ですがぁ
今後は他の国からの依頼も回してもらえるようになるのでしょうかぁ
まぁ、技術系の仕事がくるまでちょっと様子見ですねぇ

『……………』

まぁ、残念ながらそうなのですよねぇ
元の世界でもそれで大変なことになったらしいですしぃ

仕方ないわねぇ。
それは保証しましょう。

その代わりあれよ。
我（わたし）がアレでアレな時に傍にいなさいね。

技術系？
レーグラは技師か何かなの？

魅了の宿命ね。
でもそれだけに使いこなせれば強力な武器になりえる。

……ふと、思ったけど
店の事を考えると週休2日もお願いしないと
週に5日攫われて、1日働くとか…勤勉になった

『我がいうことではないが
　言葉の共通認識とは難しいものだな』

あぁ、ちょっと言葉が足りませんでしたかぁ
非戦系のスキルと言いたかったのですよぉ

レーグラとの共有でそれなりに知識はありますがぁ
私の本分は踊りとかですねぇ

『ルクセリアの補足となるが技師というよりは技能者が近い
　話術、誘導、芸術知識…相手に合わせ好意を引き出す
　そのたぐいの知識と物理的・視覚的な暗示や催眠の技術等』

それ勤勉なの？
あぁはいはい。汝（あなた）が必要そうだと考えるなら認めるわ。
別途で何かして欲しい事があったら要相談だけれど、お休みしたいとか、お出かけしたいとかは、特に制限するつもりもないわよ。

勤勉･･････コルの世界ではこれは勤勉？


あぁ。
そう言う事だったのね。
接客や、礼儀作法とかは？

（cor・melancholiaと綴りつつ）
ふむ、じゃぁ、問題ない…
ひとまずは移動の足を買うのが目的になった…

『憂鬱の主としては勤勉かもしれないな
　一般的に見ればいわずがもなだが…』

接客はそれなりに礼儀作法は一般常識レベルですねぇ
元々はリアちゃんとかと同じく幻想のスラムの出ですからぁ
レーグラからの知識が主体な感じですよぉ

『………』

おとぎ話にあこがれて剣舞を練習したのは若気の至りでしたともぉ
まぁ、こんな感じに変な風に偏っておりますぅ

ふふふ。
契約成立かしら？
これでメランコリアは我（わたし）に誘拐されるのだわ。だわー（もっふとメランコリアを抱きしめて確保しようとする）

･･････。･･････うんまぁ社会不適合者的目線で見ればいいのかしらね。

なるほど……。
スラム、ね。

我（わたし）のいた国ではスラムと言うものが存在しなかったから想像しにくいわね。

･･････若気のいたりで剣舞。

（もっふもふ抱きしめられながら）
さらわれた…れたー
やっぱり人間やることがないとだめね

『だな…遺憾ながら
　まぁ、そういうものだと思ってもらえればよい』

『重ねて言うが我のせいではあるが我だけのせいではない』

まぁ、幻想は悪徳と貴族の国と言われてますからねぇ
ちょっと奥までいくと結構真っ黒ですよぉ

ふむぅ、スラムがないとなると…
錬達とか文明が進歩した世界でしょぉか？

『…………』

昔話も悪くないですがぁ…ジナちゃんには伝わらないですよぉ？
っと、ジナちゃんって呼んでも大丈夫でしょうかぁ？

あと、剣舞はアラビアンナイトっていう御伽噺がかっこよくてですねぇ
どっぷりとはまってしまったのですよぉ…真似をしてしまうほどにぃ（苦笑）

それはそうでしょう。
意義を見つけて初めて生き甲斐が出来るものだわ。
ただ、生きているのは、惰性だもの。
そんなの、生きても死んでも変わらないわ。

……。…………まぁなんにせよ彼女のこの自活できなそうな性質は、なんとかならないかしらね。

ま、そんなところね。
あるところにはあったのでしょうけれど、我(わたし)のいた所ではなかったみたい。経済的には裕福だったのでしょうね。

ええ。
かまわないわ。
呼びやすいようにするといいわ。

アラビアンナイト……へぇ。
この世界にもあるのね。

（なぜか得意げに）
うむ、レジーナには私を攫う仕事を提供しよう

一度ほぼ死んだ、私としては生きてるのか死んでるのかが問題ね
あと、個人的には生きつづけてるだけで惰性以上のエネルギーはあるきがするわ
（自身の人生はどっちか考えかけてそのままぼーっとしつつ）

『この性質に関しては…難しいかもしれないな
　我がいる限り食に関しては不要に近いし
　住に関しても同胞とともに確保してしまった』

『まぁ、気長につつけば変わることもあるだろうが』

ふむふむぅ、興味深い世界ですねぇ
経済的に裕福なのは羨ましい限りですがぁ
まぁ、その世界もその世界で苦労があるのでしょうねぇ

じゃぁ、ジナちゃんでぇ
ふふふ、友達増えましたねぇ

『…………』

おそらく、過去に呼び込まれた旅人が伝えたんでしょうねぇ
アラビアンナイトという名前を知ったのはレーグラと契約したからですがぁ
思いもよらない童話がこちらの世界にも伝わってることはあると思いますよぉ

この娘は何故得意げなのかしら……？

惰性以上･･････はあるかもしれないけれども。
まぁ、うん。取りあえずはあれね（メランコリアの髪を梳こうとしながら）保留。

変わるかしらね？

福利厚生もある程度行き届いていたしね。
裕福と言っても差支えがないのだけれども。
･･････苦労については、わからないけれど。

あら、我（わたし）は不良だから悪い友達になってしまうかもしれないわね？
なんて。

･･････そう言えば、アリスインワンダーランドをモチーフにしてそうな輩もいたし、探せばいるのかもしれないわね。

（されるがまま髪を梳かれつつ）
お互いによい取引をした満足感を表現してみた…たぶん
まぁ、深く気にしたらきっと負け…？

うむ、保留は大切
時間をかける、時間をずらす…
視野を広く持つため保留することは大切…

（珍しく歯切れ悪く）
『…詭弁だが、変わらないものなどない…はずだ
　だから、おそらく、きっと、たぶん、変わることもあるだろう』

福利厚生…？『……』
ぉぉ～、なるほどぉ、それはすごいですねぇ
ふむぅ、なかなかあこがれますがぁ
堅苦しい感じもしますねぇ

充ぅ分もぉ悪い子なので大丈夫ですよぉ？
…ふむ、ジナちゃんってお酒は飲めるほぉですかぁ？