「蛇は神性なものと見られているってのは知ってるかな」

　無機質な声が無機質な空間に響く。

「まぁ、そんなものを連れているんだから。知らないはずがないと思うのだけど」

　言葉の主はその表情も無機質だ。無表情というわけではない。口元には僅かな微笑みが浮かんですらいる。
　しかし、その形から変わらないその顔は、やはり無機質なモノに見えた。

「勿論知っていますが。この蛇は、神などではありませんよ」

　答える声も、また無機質である。形容するなら、冷たいと。そのような質感の声だ。
　その声の主も、作り物めいた白い顔で、ぴくりとも表情を動かさずに口を動かす。
　めいた、というよりも本当に作り物なのだろう。よく見れば、その肌が流動しているさまが見て取れる。
　それの名を、ノエルと言った。

「そんなことを聴いて、何になるのです？」
「何になるということはないよ。ただ、神の宿る場所を知りたいだけさ」

　優れた被造物には神が宿る、などという表現がある。なるほど。よくできた作りものであるノエルに、彼女が纏う半透明の蛇。
　信心深いもの、迷信に惑わされるものであれば、その姿に神を見るのかもしれない。

「面白い冗談ですね」
「そうかな？冗談のつもりはなかったんだけど」

　その様子に、ノエルは少し、呆れてしまう。存在が冗談のような人なのに。

「話は終わりですか？」
「あぁ、そうだね。もう離している時間はなさそうだ」

　その空間に唐突に異音が鳴る。がちゃり、と金属を組み合わせた機構を動かすような。

「おまたせしゃったー！スーパー蟹食べ放題セット２人前お待ちでーす！」
「うひょーきたきた。ほら見てよ、でっかいカニ！」
「料理が来るまでの雑談にしてももうちょっとなんかなかったんですか」

　どっとはらい。









というわけで今回の入団者。
『師父の呪縛』ノエル
さんでーす。

すてしにねーいっぱい難しいこと書いてあった。
なので頑張って入団報告も難しいこと書こうと思ったけどまぁ無理でしたね。

これが私の生き様よ。目に焼き付けておきなさい。
蛇って悪魔の使いだとか言われたり神の化身だとか言われたりで存在がぶれまくりですよね。
見るからに変わった生き物なんで特別視されたりしたのかしら。

よく知らないので各自調べておくように。

そんな感じ。
では以後よろしく。

最近入団報告ばっかり書いてる。

カニ……（食べたい）

ノエルです、宜しくお願いします。それとこの蛇、喋るんですよ。しかし、ものを食べはしないのでこの料理はすべて私のものです。

おんや、ノエルさんはお久っすー！こっちでもよろしくっすねー！

お、知り合いけ？

カニはいただくっすー♪

食べ物の前では弱肉強食ならぬ、焼肉定食？

エミリアっす。宜しくお願いするっすよ♪

カニくださいっすー♪

ええ、宜しくです。リサさん。

はい、団長。此方に来てからだと多分一番古い知り合いの一人です。いえ、実際私が此方に来たのはリサさんに合うより割と前ですから正確に言えばそうでもないのかもしれませんが……まぁそういう事です。

宜しくお願いします、エミリアさん。食料は人の正気を失わせるに十分な威力をもっていますから致し方ありません。カニは……私の分ならばどうぞ。

しかし、自己紹介というと専攻だとか話した方がよいのでしょうかね。専攻は一応認知神経科学、なかでも自分の好むものを貪り求める貪欲や自分の嫌いなものを憎み嫌悪する瞋恚、そして迷い惑う愚痴の何れも存在しないような……ある種理想的な智慧に溢れた人間の精神を如何にしたら生物学的基盤に位置付ける事ができるかみたいな事をやっていました。なので、蛇に関する話だとかは専門外ですか……蛇は貪欲の象徴だとされる事もあるそうですね。反対に智慧の象徴だとすることも。そうだとすれば、私が学んでいた事は蛇使いが如何にして蛇を手繰るのかに関してだったのかもしれませんね。部分的には。

ノエル殿であるな、初めまして、ローガンである。
なにやら小難しい事を学んでいるのであるな……練達にいたスキンヘッドのおじさんが『サトリ』がどうとか言ってたのに近い気もするが……厳密には、ノエル殿と同じ世界を知らぬと理解できぬことであるかな？

ニンチシンケーケガクね、知ってる知ってる。ネギと一緒に煮込むと美味しいよね

つまり…哲学だな‼︎(思考放棄)

邪神もどきのマカライトだ。小難しい事は分からんが宜しく。

はじめまして、ローガンさん。しかし、サトリ……？それは「無欲で、人を憎まず、善行を悩まないこと」ですか？そうであるなら、おおむね概念かもしれません。

はい、団長。その美味しさはこの世の言葉を幾つ並び立てても尽きぬ程かもしれません。

近いところはありますね、認知神経科学も哲学から枝分かれした学問であると同時に素晴らしい哲学的な問題の対象でもありましたから。宜しくお願いします、マカライトさん。

分からない単語は聞き流すのも一つの手ですが、それで身ぐるみ剥がされても文句は言えませんわよー。…ここだけですかー。

改めましてわたくし、ユゥリアリアと申しますー。どうかお見知りおきをー。

とれとれぴちぴちカニ料理ー♪　ヴィと申します。ノエルさんはよろしくお願いいたします。

はい、ユゥリアリアさん。宜しくお願いします。しかし、それはそれは物騒ですね。

ヴィさんですね、宜しくお願いします。しかし、そこまで新鮮なのですか……このかに料理。

わーい、カニ料理！お酒とも合うし、良い歓迎会になりそうですわねっ！
……でも、変ですわね。この辺り、カニなんて住んでいたかしら？（遠くからちょんちょんつつく）

いいですね、実はカニ料理初めてなのです。しかし、いないのですか？カニ

ここ火山地帯だからな。海は勿論川もないな

マグマギロチンガニとかなら居るんですけどね

そうですか……、海は内陸部ならば……いえ、川さえないのですか！？降った雨や雪が地下に浸透して蓄えられて、再び地上に湧き出してくるタイプのものさえ………一体どうやって生活を……湧き出さないならば掘り出せばよいのですか。なるほど、この地では地下水を飲んで暮らしているのですね？

ま、マグマギロチンガニ……物騒な名前ですね。どういった生態をしているのですか？

いやぁここ気が付いたら邪神像や森林とかあるしオーナーがワニ仕入れてきてるからどういう感じなのか知らんな。少なくとも食料はある気がするが

地形はまぁ気分ですね。オオタピオカの生息地とかもあるんで。
マグマギロチンガニはあれですよ、必殺のマグマギロチンで命を刈り取る蟹です

これが混沌……！いえ、テクスチャみたいなものならばこんなものですか。しかし、マグマギロチンガニすごいですね。できれば出会いたくありません。

そうだね(窓の外を横切っていった体長10mの甲殻類を眺める)

いま、何か横切りませんでしたか？マグマギロチンガニでなくとも、この場から逃げ出したくなりそうな巨大生物が。

最近火山活動活発なのか火山生物大量発生してんな(空を飛ぶデスフレイムカナリアを見やりつつ)

逃げなくても大丈夫ですよ。逃げられないしどうせ

確かにあんな巨大生物どもから逃走できるほど脚力に自信はありませんね……、仮に逃げ切れても他の凶悪な動物たち、つまりは生物兵器みたいな名前の残忍そうなカナリアなどに啄まれてしまいそうです。なんだか生命に感謝したくなってきました。

カニは！カニはまだ残っていますか！！！
においしか残ってなさそう！！！

はじめまして、ノエルサン。リュカシスと申します！蛇サンも、宜しくお願いしますね！

宜しくお願い致します。いえ、５ヶ月ほど前に言うべきでしたね。