PandoraPartyProject

ギルドスレッド

酒場『燃える石』

【ゴブリン弄】小鬼の小部屋

●酒場の奥、厨房脇の短い廊下の先ににそれはある。

かつて、小さなうらぶれた空き家だったこの『燃える石』は、小規模で無秩序な増改築を重ねた末に今の姿になった。イレギュラーズのたまり場になるよりずっとずっと昔の話だ。
この、奇妙な形の小さな部屋はそういった増改築の末に出来てしまったデットスペースだ。切れっ端のようなハンパな大きさで、壁と壁とが平行に向き合わない。物置の役割すら満足に果たせなさそうな空間だが、存外、小鬼にはこういう場所の方が居心地が良いらしい。

暇があるなら覗いてみるといい。小鬼もまた暇を持てあましているかもしれない。

(キドー(p3p000244)のおへや。
ダイスで遊んだり、気ままに呟いたり。ちょっかいを出されれば反応を返します。前後の話のつながりは気にせず、お気軽にどうぞ!)

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(噛み付くような荒々しい行為。良くも悪くも手慣れたものだ。しかしその勢いも魔眼を受けて緩やかに落ち着いてゆく。)

特に抵抗も無く催眠状態になった分、復帰は早かった。
僅かな目眩。瞬間、キドーは状況を理解し悪態をついた。)

あぁ……くそったれ。碌でもねえ女だな!
(唇を離す一瞬、肉人形らしいぼんやりとした表情に感情の火が灯る。それは怒りや侮蔑だとか暗い感情の滾りだ。
しかしそれは淡雪の様に溶け消えて、元の表情に戻り――体を離すついでに持っていた煙草を箱ごと奪い去ってしまうだろう。
全ては催眠状態から戻ってくる僅かな間の事。心得のないものが盗賊から物を盗むのも不可能ではないはずだ)
(たかが『足女』と見下していた女にしてやられた!
怒り、屈辱、羞恥がない混ぜになって渦を巻く。動揺を誤魔化す為に喚き、震える拳を強く握りしめ、そして……)
あんだよ!人を当てつけに利用するぐらいなら少しぐらい良い思いをさせ…………ん?
んあぁ!?
(握った拳の内に何もない事に気が付き素っ頓狂な悲鳴を漏らした。)
くちづけ代。
(手の中の箱を揺らしてそう告げた。)
オトモダチ割引で一割以下ですけれど、私、「そういうもの」ですので。
(飄々としているが、内心、体を探って財布をくすねるという選択肢もあった。しかし、酷い恨みは買いたくないが、プライドは傷つけておきたい。その結果が吸いかけの煙草の箱に手をかけさせた)
ここから先は本格的に「花」を「買って」いだたかなければ、ねぇ?
む、ぐ……。
(盗賊の矜持を傷付けられた屈辱、恥辱で拳が震える。だがしかし、法規に唾吐く無法者だからこそ引き時は見極めねばならぬと身に沁みている。無頼とはそういうものだ。
その辺り、感情を表に出さずに処理できれば一人前だろうがキドーはまだまだ青かった。)

……けっ!
分かった。分かったよ。お前も「商売」だもんな。
だが残念ながら俺はもうちょいタッパとケツがデカい方が好みだ。また今度な。
(負け惜しみを吐いてひらりと手を振る、)
あら、振られてしまいました。
(感情のこもらない声だ。形式だけの挨拶の様な意味のない符号。
元々買われる等思って居なかった。買うと言えばそれ相応の態度を取る心構えはあったが、己が相手の好む容姿や性質からかけ離れている事は理解していた。)

ふふふ……ここでは商売が上手く行きませんね。
私、ジョセフ様にも「買って」頂いた事ありませんもの。飲み物代がかさむばかり。
あん?
(信じられないものを見るような目を礼拝に向けた。しかしそれも一瞬のこと。直ぐにその目は哀れみと蔑みを混ぜ合わせたような感情を宿した。
破落戸らしくキドーは「手慣れて」いる方だ。その経験から擦り合わせ、己が中の既知に礼拝を重ねた。つまり、己の腕の中で別の男の事を想い、時には自嘲混じりの夢物型を語った女達に。)

……へっ!
ああ、そ。そういう事ね。碌でもねえ。ほんとに碌でもねえ。救いようが無い女だ。人をあて馬以下にしやがって。
(左手は煙草を探してポケットに伸びる。しかし、最後の一箱は礼拝の手の内。わざとらしい程大きな舌打ちをしてため息を吐いた。)
(哀れみと蔑みの混ざった眼差しに、「女」はにたりと笑った。
人形のような無機質な、時に鏡のようだと例えられる瞳の中に行き場のない感情――恋や愛情と言うよりも、妬みや恨みに近い――を滾らせて唇を釣り上げた。)
あら、当て馬以下だなんて。
私、馬に蹴られない様に教えて差し上げましたのに。
(それから、すり取った煙草をキドーの方へと放り投げて)
「差し上げ」ます。私、煙草なんて吸いませんので。
(そう告げると背を向ける。来た時と同じようにゆっくりと扉の方へと歩みを進め)
蹴られないように、ね。
蹴ってくれればいいがね。

(意地の悪い笑みを浮かべて華奢な背中を野次る。小さな手の内には確かに受け止めた煙草の箱。熟れた指使いでくるりと回して弄ぶ。
こちらはこちらで声色に憎々しげな含みがある。してやられた事実と重ねた既知に起因してなにやら思い起こしたことでもあるのだろう。)

じゃあな、『あの方』にヨロシク。

(ライターの燧石が擦れる音が小さく響く。)
……あや、こんな所に隙間あったんやな。前からやろか?
此処んとこ来取らんかったし分からんなー
実は隠し部屋があったり?
(声の後、ヒョコっと顔を覗かせる珍しい顔)
(酒場の椅子を持ち込んで胡座をかく小鬼が一匹。その手元をよくよく見れば、手指の黒い爪をヤスリで短く鋭く整えているのがわかるだろう。)

……ん、おお?
おうおうおう、えらく懐かしい顔じゃあねえかよ。
どーした、何か用かい?
……えーと。
(目があって、キョトンとしてからすこし考える)
うーんと。
まあ、とりあえず久し振りに店に顔出して。
なんやろ此処と思って覗いただけなんすけど……
(考えがまとまらなかったので先ず先に相手の質問に答えて、改めてまた少し考えて)

……え、キドーさん此処に住んでるん?
(相手の反応を楽しんでいるのか、はたまた暇を持て余していたのか、機嫌良さげにへらりと笑った。)

へっ、まさか!たまたまいい塩梅の場所があったから、勝手に居着いてるだけよ。
ここの酒場はよう、どーやら無計画に改築を繰り返したらしい。ほら、あっちとこっち。壁と壁とを平行にする気が全く感じられないだろ。それにここと、ここと、ここ、建材もバラッバラ。
そーゆー無計画な増築の末に取り残された隙間がこの場所ってワケ。どうよ?その割には悪くないだろ?

(あっちこっちと熱心に説明しつつ、さっきまで使っていたヤスリで指し示す。どうやら後者だったらしい。)
あー、気に入った場所だから使ってるだけって事でやすか。
良かったビックリした。噂に聞いた刑務所に住む少年の都市伝説かと思ったでやんす。
(胸を撫で下ろしながら更に少し上半身を隙間に入れて中を見回す)

成る程っすな。
確かに房の無い人らの住んでた長屋みたいなノリでやんす。
後から後から建て増しをすると、何処の世界でもこうなるんでやすなあ。
……でも逆に言うと、増築する必要がある位繁盛しとった言う事でやんすかね?

でも、分かるっすなそう言うの。
こう言う狭い空間って何か落ち着くんでやすよねー
刑務所に……?なんだよそれ。俺ぁ今初めて聞いたぜその話……。

ここはなぁ、ローレットよりずっと古いらしい。店主がまーあんな調子だし、客層的に常連の顔ぶれもコロコロ変わるんで詳しいことは分からねえが、今以上に賑わった時期もあったんだろーな。
……おっ、分かるか。良いよなぁ。追い詰められて行き着くのはゴメンだが、自分で選んで落ち着くならこーゆー具合が一番だ。

まーいいや。それよりさホラ、こっち来いよ。丁度ヒマしてんだよ。何か持ってるか?酒とか。
(ちょいちょい、と手のひらを上に向け手招きする。)
キヒヒ、あっしは有用な情報とかはサッパリでやんすが、役には立たんけどちょっとおもしろい話とかには結構耳が広いんんすよ(自慢げ)

今より更に大賑わいのこの店っすかあ……
アレっすね。きっと行列が出来てて、長時間並んだ末にようやく座れた席で店長の料理を食べ……
(天井を見上げて少しの間考え込み)
……地獄では?
(顔を戻して真顔)

お、良いんでやすか?
そいつぁ嬉しいでやんすね。んじゃまあお邪魔して……
(懐から酒瓶を取り出しつつ身を縮めて入る)
そりゃーもう、酒は常備が嗜みってもんすから……ま、安酒でやんすけどね。
ツマミの味にゃ自信はあるんで、ある意味この店とは逆っすなー。
なぁる程……そいつは良い。んじゃあ、後でゆっくり聞かせて貰おうかねえ。

(つられて天井を見上げつつ)
あーーーー……。
確かに、凄えな。よく今まで残ってたもんだよ。この建物。焼き討ちとかされそ……
あっ、そっかあ……食べたっきりで……。
(神妙な顔で首を振る。)

おう、来い来い!
いーいねえ。準備がいいこって。そうこなくっちゃな!
安酒でもいいさ。そりゃー高い酒の方がいいが、酒は雰囲気を味わうもんでもあるしな。……ま、結局酔えればいいってことで。
ツマミだけなら俺も用意してんのよね。知ってるかい?ギルドショップなんてぇもんが始まったの。
(ザワークラウトの瓶を取り出し軽く振って見せる。)
良いでやんすよー。『艶蕗さんの滑らないと言う事は別にない寧ろ普通に外れる事もある話』と言えば、巷ではサッパリ評判では無いっすからねー。
つまり大した事ぁない!(アッケラカン)

まあ、寧ろ今の店長も前の店長からこの店を強奪したとかかも?
料理勝負で奪ったとかありそうっす。
勿論、作った料理を相手の口に捻じ込んで無理矢理食わせる勝負でやんすけど。
(絵面を想像して、揃える様に首を振る)
……店長には逆らわん様にしとこ。

(ザワークラウトを見て)おおっと漬物っすか。良いでやんすな。
荏裹とか好きやったなあ。これはキャベツっすね、こっち来て初めて食ったでやすけど、歯応えが良いでやんすよねー
こっちのは貝と魚の干物でやんすよ。
(袋から結構な量を出す)

ああ、ギルドショップ。ギルドショップでやんすか……金欠でなきゃ良かったんでやすが……(目を逸らす)
大した事ねえのかよ!?
ちょっと面白い話って言ってなかった?自慢げな顔しててさ。なあ!

ひでー勝負だ……。
やっぱりよう、こんな所で店構えるぐらいだし、よく見なくても人相悪いし、あの店主実は結構エゲツない事やってきたんじゃ……。
や、実はナニも、今も十分エゲツないわ。

エヅツミ……?
(聞き慣れない言葉に首を傾げつつ、瓶の蓋を開ける。)
……あっ、コレはなあ、ここのギルドショップで売り出したモンなんだけどさ。俺や店主が仕入れたモンじゃねえからまともにうめえのよ。……あ、器とかねえな。瓶から直接でいいよな?

へっへっへ。翼なくして飛び、足なくして走る、ってね。
あっし主観ではちょっと面白いでやんす。そこは鉄板。
ただ、まー、あっしが面白いと思っている事が聞いた人にも面白いかは分からんのが問題なんでやしてなあ(わざとらしく真面目ぶった顔で)

……飲食店なのに、出す料理がクソ不味いんでやんすもんねえ。
これ以上はそうお目にかかれないレベルの非道でやすわ……

荏裹言うのはエゴマ……えーとシソの葉の仲間で巻いた味噌漬けでやんすな。
(言いながら開けられた瓶を覗き込み)
ちゃんと上手い言うんは嬉しい情報でやんすねえ。
ああ、直食いで全然良いでやんすよ。あっしももーとっくにそんな行儀の良い身分じゃないでやんすから(キヘヘヘと笑いつつ、自分の方の干物も床に敷いた袋の上に並べた)
んだよそれ……。
まあいいや。じゃあよ、とりあえず軽くなんか聞かせてくれよ。お前にとって面白い話ってやつをさ。
さっきも言ったけどよ、丁度ヒマしてんだ。このとおり、酒もつまみも揃ってるしよ。

不味い料理も唯一無二の個性といやあ聞こえは良いが……。ま、店主の料理の腕が知れ渡ってるお陰で一切の気兼ねなくつまみの持ち込みが出来るのは悪かねえな。
(と、言いつつ無遠慮に干物に手を伸ばす)
軽くでやんすかあ。
そやなあ……それやったら、賓客迎えに行った同僚のアホが賓客の耳千切って持って帰って来た話でも……いや面白くないか。個人的にはもう笑うしかない言うか一周回って面白かったけど基本酷い話かあかんわこれ。これだからカニは……
(横に置く仕草)

じゃあ誰も見た事の無い旅人の話何てどうでやんすかね?
噂によると、ローレットに登録してる筈やのに、誰一人実際に会った事は無くて。やのにそいつの遺した落書きだけはそこら中で見つかるって旅人らしいでやんすよ。眉唾通り越して胡散臭い話でやんすけど、もしほんまやったら面白い思わんっすか?
元の世界では凄腕の暗殺者やったとか、稀代の妖術師やったとか、禁術で呼び出された『影』やとか……色んな推測が飛び交ってるんでやすけど、当然正体不明なんでやんすよねえ。いや、落書きに書かれてるんで、キルロイって名前だけは分かってるんでやすけど。

あー、言われてみたら持ち込み自由の飲食店って珍しい気はするでやんすね。
言うか黙認してくれてる辺り、店主さんも自分の腕前に自覚がある言う事で良いんやろか……
(代わりにとばかりにザワークラウトを一つ摘まむ)
賓客の、耳を……?
(想像してしまったのか、尖った耳がやや下を向く)

や、いや。それよりも。(同じく横に置く動作。と、同時に再び耳が持ち上がる)
何でぇ、フツーに面白い話じゃあねえか。良いねえ……誰も見た事がない、か。そのキルロイって奴と組めたら盗賊稼業に重宝しそうな……。
や、待てよ。その落書き自体がキルロイだったりして……なんてな!

……ありゃあ、分かってんのかねえ。どーにもこーにも、いつだってあの調子だもんなあ。
注文は通じるから言葉は解るんだろうが、味に関してはこう……目の前でリアクションしてんのにアレだもんなあ。まさか、味覚に関するバベルが崩壊してんのか?
(バリバリと頭から干物を囓る)
一応弁護しとくと、怨霊生活が長過ぎて正気も理性も薄れてたからではある筈でやんすよ。幾ら武辺者でもまともな理性が働いてたらあんな真似は……まあ、うん、多分。
(適当極まる小さなコップ2つに安酒を継いでる)
あい、どうぞでやんす。
(一方をキドーの前に)

らくがきが本体の旅人……!
そりゃあ奇想天外でやんすが、旅人なら確かに在り得るっすな……
うん。楽しいっすよそれ。今度らくがき見かけたら話しかけてみるでやすかね?
傍目には完全に酔っ払いかヤク中やけど。

あ、ちなみにこんな画図でやんす。
(本を下敷きに懐紙にひょいと鼻づらのラクガキを描く)

となると店長はやっぱ、多分、百も承知で不味いの作ってるんでやんすなあ……
………(酒を一舐めしてから、やおら真剣に考え出し)
まさかではあるんでやすが……実は不味く作ってるのはわざとで、本当はやろうと思えば普通に美味しく作れる。何て事は………(震え声)
なんでそんなのに賓客迎えに行かせたかなあ……。や、つーかよ。耳千切って来たってこたぁ、ひょっとして賓客ってのは生きた人間かい?……と、すると耳だけで済んで良かった方なのか……っと、ありがとさん。
(鼻筋を掻きながらグラスに手を伸ばす。)

へへへ、だろお?
でもよ、凄腕の暗殺者だのなんだのと噂になってるなら注意した方が良いかもな。秘密を知られたからには……なーんて、始末されたりしてよ!
(ラクガキを覗き込む)
ほーん……キルロイ参上、ね。
なかなか親近感の湧く鼻だな。こいつも妖精だったりしてな、へへへ。

いやそんなまさか!流石にそんな、店を潰しかねねえ事を……する……かも?なあ?
(むむむ、と唸ってグラスに口を付ける)
全く……訳のわかんねー野郎だぜ。わざと作ってるとしたら何が目的なんだか。まさか、この味が好みの奴がいて、そいつが来るのを待ってるなんて……。
生きた人間でやすよお。凄い良い腕の琵琶法師……あー、吟遊詩人見たいなもんでやすね。御前やらその上やらが皆大層気に入って毎晩呼んでたん。あっしも楽しみにしてた言うか、あれがあったから大分心の保ちが良くなったんに……
(溜息を一つ吐いて酒を呷る)

あー、口封じ。それは怖いでやんすねえ。
確かにもしもそれが正解なら、相手には一等大事な手札で秘密でやすか。
(自分で描いたらくがきを改めて見やってキドーと見比べ)
妖精でやんすか。案外ありそうでやすね。
参上なんて毎度書く辺り、何気に目立ちたがり感もあってあっしはその辺が好きじゃありやす。そう言う親しみ易さは確かに話に聞く妖精の気質を感じるかもでやんす。

(干物を口に含んでカジカジと一通りしがんでから)
……いやー。本当分からん。店主殿の本音は本当さっぱりでやんす。
ある意味キルロイよりずっと謎でやすね。
かつ何か恐ろしい。ええと、何て言ったっけ。……そう、さいこほらあ。さいこほらあって奴の怖さを感じるでやんす……
あー、なるほど、なるほど。吟遊詩人。俺の世界でも、その手のヤカラっていろんな奴に気に入られてたよ。大金積んでフラれたから指折ってこいなんて依頼が……あ、俺、ギルドっつーかそういう後ろ暗い仕事専門の、チンピラの寄り集まりみたいなトコに居てね。
……やっぱこー、上手く言えないけど、悪党もそういう救いが欲しくなるんだろうな。勿論、あんたらとは状況が違うだろーけど。

こうして話してるあいだにも近くで聴いてたりしてな。ほら、そこの壁に。
いやしかしよ、妖精ってのもさ、色々だよな。ゆるふわ?ゆめかわ?的なイメージのもいるし、俺みたいな性悪のもいるし、人間の理屈から外れた災難みたいなのもいるし。

(ザワークラウトを瓶から摘み取りながら。)
考えてるんだか、考えてないんだか。岩みたいな奴だよな全く。…岩といやぁ、…よく見りゃ体格も良い方だし、なーんかやってたのかねえ……。うーん、言われれて見ると確かにサイコホラー。
……俺ら、さっきから近付いてはいけない核心に近づいていたり?
ま、そうみたいでやんすね。
大抵どの世界でも芸術家には後援者が着くって、ローレットで習ったでやすよ。
亡霊のあっしらは後援者としては一切機能しとらんかったでやんすけど……
考えれば考えるほど酷い話や……

(食べる手を少し止めて指先を舐めながら天井を見上げ)
いやあ、多分似た様な物でやんす。行く先方向が悪業だろうと化外だろうと、変わってってしまう言う感覚は似た様なもんで。それが嫌ーな気分何も同じや思うし。
(ニッと笑って少し前のめりになり)
それより、あっしはキドーさんが所属してたって言うそのギルドの方が興味あるっすね。
エピソードとか聞いて見たいでやんす。

ひぇっ!?
(ビクッと座ったまま軽く飛び上がりつつ指された壁を振り返る)
……ちょ、ちょっとベタな脅かしせんで下さいでやすよおキドーさん……なるほど性悪妖精っすね全く(ちょっと拗ねたように口を尖らせた) 後、人間の理屈から外れた災難ってなんでやすか。怖いんやけど。……愛の妖精とか?




……(ちょっと気が遠くなったのでクイと酒を一口呑んで気付け)
うん! 店長の話は此処まで! これ以上は止めときやしょ命は大事や(早口)
おっ、おお?
(前のめりになったのにつられて少しも仰け反り。)

いやあ……そんな大した話はねえよ。
ギルドっつっても、俺みたいなこそ泥とか、暴れるしか能のない奴とか、娼婦とか。裏通りでなんのかんのやってる連中捕まえて「ここで生きてたけりゃあ傘下に入って金払え」ってさ。俺なんかしょっちゅう戦利品ちょろまかして、手首切り落とされそうになったもんよ。
……思えば、ローレットもなかなか悪どい仕事引き受けるが、俺たち構成員の扱いだけはビックリするほどホワイトだよなあ。

(人差し指を向け、ヒヒヒと笑う。)
何だあ、亡霊のくせによう!ちゃんちゃらおかしいぜ!
人間の理屈から外れた災害ってのはアレよ。自然の理と密接に結び付いてるというか、そのものみたいな連中よ。そのくせ気まぐれで、遊び好きで、刹那的で。蟻の巣に水流し込むような感覚で川を溢れされるような連中よ。

(干物に手を伸ばし、頭を食い千切って咀嚼する。)
そうねえ、やめとこうか。
……いやしかし、お前の反応見てると飽きないねえ。亡霊ってえ話だけども、なんつーかそう見えないっつーか。
意識してやってんの?
っと、失礼でやんす。
(ちょっと赤面して身を引く)
どーも、適切な距離言うのが未だ分からんで……人やった頃は仕事以外で男性に関わる事がほぼ無かったし、河童になってからは男は皆蟹やったし……改めて思うと自分事ながら意味不明やな。

ま、それはそれそれ。
(横に置く仕草)

なるほど、裏路地の寄り合いって感じでやんすねえ。上納金を払えば最低限の保証はしたりしなかったりする。程度の感じでやんすね。賑やかそ。
確かにローレットはその辺良心的でやんすけど、その分大きすぎていまいち掴み切れん所があるんがちょっと怖いでやすなあ個人的には。


むう……
(笑われて尚の事ちょっとむくれる。そう言う時だけは見目相応に少し幼く見える)
ああ、つまり神霊入ってる奴でやんすね。
そう言う類の話はあっしの居た世界でも聞くことがあったでやんすな。会った事は……もしかしたらそうやったのかも程度のが数度程度でやんすけど。
関わらんか、崇め奉って大人しゅうしてて貰うか、逃げるか。でやんすな。そんなんは。
…………
(干物を食べてる手を止め、凡そ何の感情も見て取れない顔で数秒見返す)
意識はしてねえでやんすね。
ただ……まあ、そうやろなとは。あっしは、半端者でやんしたから。
なんでえ、意外と初心なのな。
(茶化すような口調でニヤリと笑う。しかし赤い赤い瞳には妖精に有りがちな気紛れな悪戯心が宿っていた。)

そうそ、そんな所よ。ローレットは入ったら得する事もあるが、コッチは入らないと確実に損をするって感じね。
……怖い、怖いか。俺ぁ、考えた事も無かったな。確かに言われてみれば、大した組織よな。今じゃあ混沌の全土、少なくとも人の手が入ったほとんど全ての範囲で活動してる。国の上層部とも繋がってるし……確かにちょいと空恐ろしい、ような。

触らぬ神に祟りなし。それでも触っちまうのが人のサガってえもんよなあ。……や、俺は人じゃねえけど。
(ぐいとひと息に酒を飲み干し、杯を無造作に置いた。そして妙に神妙な、しかし下心のある表情でじりじりと距離を詰めてゆく。)
なるほどねえ、半端者。
お仲間は怨霊生活が長過ぎて理性も何も薄れてったってえ話だったな。そんな風になるまで死んでなお現世に居座り続けてやろうと思う理由があった。それもまあ、まとめて薄れていったんだろうが。
教えてくれよ。お前の何が半端だってんだ?お仲間と何が違う?知りたいねえ、実に気になる。
興味あるんだよ、お前に。
(手に持ったままだった干物を口の中に放り込み咀嚼しながら)
初心て……さ、流石にそんな事ぁないでやんすよ。
そりゃ百戦錬磨だとか言う気は無いでやんすが。あっしだって、それなりに。
それなりに……
(ゴニョゴニョ言って目を逸らしてしまっている為、相手の様子には気づいていない)


小さな組織は、シンプルなんでやんす。
だから、居心地が良ければそれは実際居心地が良い組織って事。
でも大きな組織はなあ……複雑になって、政治が発生するでやすからね……
今の居心地の良さがずっと続く保証が無い言うか、ちょっと場所がズレただけで全然変わる可能性がある言うか……ま、贅沢な悩みな気もする出やんすけど。

触らぬ神に祟りなし。全くそうでやんすなあ。
桑原桑原。我慢できる内は我慢するでやんすよ。我慢できずに触ってもうたら……
ま、やっぱとんずらでやんすかね。
(ヘラリと笑ってから、距離が詰まって来てるのにキョトンとする)
……う?
(ちょっと赤面するが、さっきまで自分が距離を近づけていた事もあってどうこういう事でも無いと思い、ちょっと目を逸らすだけとする)
……半端なのは……まあ、正直全部でやんすねえ。
そもそも、身を投げた時。時子様が海底の都にと言い出して……他の人は皆、直ぐに同調しやしたからね。東軍に捕まったら酷い目に会う、辱めを受ける、そもそも命惜しさの虜囚は恥やと。それ位ならて。まあ、恐怖も勿論大きくありやんしょが、誇りとか矜持とか、そう言うもんがね。一時なりとて国を牛耳った一族の意地言うもんがあったんでやしょね。

あっしは正直、嫌やと思っとった。
恥でも何でも死にたくない。辱めやて死ぬよりはマシやと。
(真顔で言ってから、ヘラっと少し苦く笑って)
それで逆らって逃げてたら、それはそれで半端とは言わんかったんけどなあ。
あっしはそれも出来なかったんでやんす。

嫌や嫌やと思いながら、それを口にする勇気も無かった。
女の癖に漢詩何ぞ読む変人と馬鹿にされて、自分でも自分は変人やからと自負しとったんに。いざ今際の際になっても、その変人すら通せんかった。付和雷同言うたっけ。流れに逆らえんで。

それで死んどるんやから。初手から相当な半端者でやんすよ。
(肩を竦めつつも、逸らした目をチロリとだけ戻して。矢張り近いので慌てて逸らし直す)
それそれ、そういう反応よ。そう言うのが初心だつってんのよ。
(赤い目が細まり、軽薄な笑みが口元に浮かぶ。さてどうしてやろうか、と悪戯心が余計に騒ぎ出す。)

政治、ねえ……。派閥だのなんだのって話かね?
そんなもんかね。俺ぁ小さくて、単純な組織しか知らなかったからよく分からねえなあ。居心地の良さなんてのも気の持ちようじゃあねえかねえ……や、こんなの分かりもしねえのに偉そうに言うことじゃあねえか。やめよやめよ、テキトーなこと言うもんじゃあねえな。メッキが剥がれるぜ。

そーね、結局は逃げるが勝ちよ。たまには我慢せずノータイムで触るのもまたヨシ。
(と、言いつつ更ににじり寄る。やり過ぎて引っ叩かれても良いか、くらいの不真面目な気持ちで。興味があるのは本心ではあったが。)

……ふぅむ。
(が、黙って話を聞くうちに軽薄な笑みがふっと掻き消える。)
うぅ〜〜〜む。
(腕を組み、頭を傾げ、眉間にシワを寄せて低く唸る。)

半端…半端かねえ。そんなモンじゃねえかねえ……。いやよく分かんねえな。そういう風に死んだことねえからな……。
あ、でもさ、おかしくねえか?半端だの流されただの言う割に、お仲間と違って自分を保ってるじゃねえかよ。お仲間は恥だのなんだの言って自決した割に現世に残って、そうかと思ったら今度は理性も何もを見失ってるじゃねえかよ。なんつーかこう、こっちの方がよっぽど流されてるっつーか半端っつーか。お前の方が芯……いや違うな、しぶとい……いや全然違う。
んーーーー……なんて言ったらいいもんか。
う、ううう……だってしょうがないでやんすよ。
あっし見たいな器量の良くない官女に通う男は居なかったでやんす。
そもそも裳着からそんな長くたっても無かったし……
(言い訳がましくモゴモゴと呟きつつ縮こまる)

……おごれる人も久しからず。
政治が成立するまで枠が大きくなると、勝ち馬に集まる権力が無制限に大きくなるもんでやんす。そんで当然、負けた時の反動も大きくなる。そんなに比べたら、単純で小さい組織の方がずっと良い。そう言う話でやんすよ。
でも……そうでやんすなあ。確かに結局は気の持ちようだった気もするでやんす。やり直す事は出来んし、別にやり直したいとも思わんけど……自分なりにもっと楽しめる様に気を持った方が得やったなあ。
(ちょっと懐かし気に笑う)

……?
(にじり寄るのに対し、赤面はしても嫌がる様子はなく少し怪訝な顔をするのみ)


……………そう言えば、そうでやんすね。確かにそうやな……?
(言われて初めて気づいた様に眉根を寄せ、少し沈思して)
……現世に遺ったのは、だからこそ源氏の奴ばらへの怨みが強かったんやろなとは……その割には白旗の群に怯えまくりやったな……あれえ?
(艶蕗自身には気づけない事ではあるが、それは彼女達が立場や社会的地位と言った『環境』を重視し固執していたから。だからその環境そのものが変われば当然その在り方も変容する一方、周囲から浮いていた艶蕗は自己に固執していたから。良い悪いでは無く環境の変化からの影響が比較的少なく遅かった。ただ、それだけの話ではある)


……まあ、ちょっと分からんでやんすが。
でも、そない言うてくれるんは嬉しいでやんすよ。おおきに
(眉間にシワを寄せた難しげな顔から一転、へらりと口元が緩む。)

そいつはよう、おっ死ぬ前の話だろ?むしろ全体的な割合からすると極……ってえ、そうか。近場に居るのは主に蟹か。蟹、かあ……。いや、ほんとに『それなりに』だったのかい?今からでも勉強するか?んん?

しかし、同じ組織の中なのに勝ち負けってのもよくよく考えると変な話ではあるよなあ。いや、理解は出来るぜ?出来るには出来るけど。
な?そーよ、そういうこと。だからさ、折角なんだしローレットじゃ楽しもうぜ。

おうおう、別に俺ぁお前を喜ばせる為に言ったんじゃねえぜ。ただなんつーの?こう、釈然としなくって……っていやいや違う。(再び真顔になりかけた所で頭を振った。)
そーよ、出来る男ってのはこういう細かな気遣いができるモンなのよ。(と言いつつ、気遣いとはとても言えない距離感でずいと顔を寄せる。)
そう、蟹やったんすよ……生前どんな美丈夫でも蟹。
あれはまさに諸行無常の体現やったでやんす……

あ、いや、その。べ、勉強はその……追い追いで(目を逸らす)

(肩をすくめて溜息を一つ)
人間3人いれば派閥が出来る。でやんしたっけ?
まあ、気持ち的にはあっしもキドーさんに同意でやんす。
誰が帝に娘を嫁がせるか、誰が宮中で栄華を極めるか……はあ、その挙句が東西別れての大戦。下っ端の官女にゃ只管迷惑なだけでやんしたよ実際。

うん、それこそそうでやんすね!
そんな面倒臭い所から抜け出たんやし、こっちじゃそんな面倒臭い事にゃ絶対近づかんで楽しむのが一番でやんすな! 何か自分で言うてて旗が立ちそうな物言いや思うけど!


(頭を振る様子にちょっと噴き出して)
なぁに言うとるんでやすか。
そんなもん、キドーさんがどう言う心算で言ったって、あっしが嬉しいと思えば喜ぶもんでやんすし。それやったら礼を言うのが普通でやんす。
出来る男……確かにキドーさんは仕事はキッチリこなす印象でやんすね。対人スキルも諳んじとるんなら、そりゃ成る程業前の範囲と……ん?(キョトン)
おっ死んだ後まで未練たらしく現世にしがみつくモンじゃあないねえ……。
(やれやれ、という風に首を振る)
まあま、人生何事も勉強だぜ。学べる時に学んでおこうぜ前向きに。

雅な方々は大変ですこと。
まーそんなこと忘れて楽しもうぜ。この世界じゃあ、娯楽にゃ事欠かないんだ。この酒場だけでも、ありとあらゆる世界の酒が揃ってんだぜ。ありとあらゆる上等な……や、いや。別にお前が持ってきた酒に不満がある訳じゃあないぜ。

(赤い目が細まる。強欲で好色。ありとあらゆる世界で小鬼が忌み嫌われる要因の気質が顔を出す。酒のせいもあるのだろう。)
俺ぁな、目の前に転がってる機会は逃したくねえから出来ることはなんでもやっちまうのさ。仕事でもそうだな。だってよ、上手くやりゃあ報酬が増えるかもしれねえんだもんな……。
(と、言いつつ肩へぬるりと手を伸ばす。)
……なあな、勉強しようってのは冗談じゃあないぜえ。そうよ俺は出来る男だからよ。損はしないぜ、なあ?
……ま、そうでやんすねえ。
(ちょっと天井を見上げて、少し柔く苦笑する)
正直、反論の余地がねえでやんすなあ其処は。
わ等皆、大人しう水底の都に行くなり成仏なりするべきやったんやろなあ……

ま、居残ってもうたもんはしゃーないでやすし、居座るんでやんすがね?
(パンと手を叩いてから肩を竦める)
そゆ意味じゃ、折角なんやから楽しむ言うのは賛成でやんすね。
(弁明の言葉に手を振り)ああ、大丈夫大丈夫、そこの機微は分かるでやんすよ。
こう言う気楽に呑める酒も良いもんやと確信しやすしね。

言うても確かに、此処の高い酒や珍しい酒にも興味は感じやすもんねえ。
機会を狙って呑んで見たいもんでやんすよ実際。

……ぉよ?
(肩に乗った手を横目で見下ろして酷く赤面する)
き、機会? こ転がってるでやんすかね?↑
まあ、好機の女神は辮髪やって聞くでやすけど……
(動揺しているせいか元々かは不明だが、取り敢えず間違っている)
え、ええと。勉強。勉強? と、得する勉強言うのはその、なんやろかなとか……
(目が古式泳法を嗜んでいるが、取り敢えず身を引いたり逃げようとしたりはしない。単に動揺し過ぎて行動不能に陥っているだけかもしれないが)
そうそ、気楽に飲めるのがいいのよ。それこそ水のように。
酒にもまあ色々ありまして、上を見ればキリがない。面白いのがさ、加えて精力増強効果とか欲張った酒もありやがってよう。蝮やら蜂蜜やら何かの葉だの根だのと。酒だと加減を違えると立つものも立たなくなるだろってな。げひゃひゃ!
(べらべら喋って下品に笑いながら、肩に乗せた手をゆるりと動かす。無遠慮な手は抵抗がなければ柔い曲面に沿って下へ、下へと降ってゆくだろう。)

機会ならほら、お前のすぐ横よ。
お勉強なら手取り足取り、じっくり優しく教えてやるからよう。
(そこまで言って一転、好色に歪んだ口元が微笑むように緩む。赤い瞳が泳ぐ目を追いつつ宥めるように視線を注ぐ。)
俺ぁこれでも優しいぜ?教えるのには自信あるんだ。
……い、いや、水の様に呑んだら死ぬと思うでやんす。ザルやワクの人なら平気かもでやんすけど、少なくともあっしは潰れやすなあ……
ひゃぃっ!?
あ、いや何でも無いでもない。無いでやんす。
(下に降った手の感触に妙な声を上げるが、すぐに自分から取り繕ってしまう辺り。その方向に関してはすこぶる受け身で諾々としているのが分かる。艶蕗が生前属していた文化と環境を知る物であれば、納得も出来るかもしれない)

……い、いや、あの……
(目を逸らしたり、横目で伺い見る様に視線を戻したり)
じ、じっくり優しく……!?
(どんな連想をしたのか、一層赤面してガバリと見返し、直ぐに慌てて目を伏せる)
そそその、キドーさんが優しいのは知ってるでやんす、が……
(こいつはちょろいな。と、にやりと笑う。酒と欲で鈍った頭はその背後にあるものについて考えようともしない。
あろうことが、相手がイレギュラーズであることすら失念していた。いつも軽い気持ちで手を出しているその辺の小娘と同等に考えていた。)

おうおう、知ってたか。そりゃあ嬉しいね。
それならよう、そう怖がるなって。無理にスるつもりはねえぜ。な?俺は優しいんだ。
……それとも、場所を変えようか。もっとリラックスして、お互いの事を知ろうぜ。なあ?

(するりと手を離す。このまま押し通せなくもないが、それではつまらない。どうせやるなら逃げ道を塞ごう、と。)
……ぁ。
(手が離れたのを見て半拍置いてからホッとした顔になる)
…………(何で半拍空いたのかが自分でも分からなくて眉根を一瞬寄せ少し俯くが、相手から問いかけが来ている事を思い出して慌てて顔を上げる)
あ、いや、その怖がってる訳では……無い……ん、かな?
ぅぅ……どうなんでやしょ……
(自分でも分からなくて戸惑う様に、心細げに己の右手首を左手で強く握る)

え、ええと。お互いの事を知る言うのは。賛成でやんすね。
言うかキドーさんの事は実際色々知りた……
(言いかけて、この流れだとその言葉が丸で己に下心があったかの様な物言いだと思って少し赤面し言葉に詰まり)……あ、いや、その、聞いて、見たい事は色々るでやんすから……
へぇ。

(仕草。声色。諸々の反応を見て口角が更に上がる。ただただ受け身なのかと思えば、どうやら想定していた以上の好感を持たれているらしい。)

へへぇ、そりゃ嬉しいねぇ。特に、『お嬢さん』にそういう事言われるとは光栄だね。
じゃあさ、なんでもいい。一番知りたいことを質問してみなよ。そしたら場所を変えよう。じっくり答えてやるからさ。
(調子に乗って、後先考えず軽い気持ちで踏み込んだ。)
は、きへへ、お嬢さんって年じゃねえでやんすけどね(少し気まずげに頭を掻く)
質問でやんすか……一番知りたい事。
(さっきより少しだけ落ち着いた頭で改めて相手を見る。キドーと言う名。ゴブリン/小鬼と言う種族。裏路地に精通し盗賊と聞くその職能。これまでの会話。それらをまとめて考えて。今の状況を改めて客観的に考え直し、再度少し赤面してから)

……あ。

そう言えばキドーさんって、そもそも同族以外も『イける』口なんでやんすか?
はっ。それによってそれかい!
(鼻で笑う。今更聞かなくても分かるだろうにと。折角の機会、もっと踏み込んだ事を聞かれるかと思っていた。)

そうねえ……。イケるってのがどこまでのラインなのかってのにもよるが……っと、場所を変えるんだったな。
(視線をやや上に向け、短い髭がまばらに生えた顎を撫でつつ思案する。さて、『じっくり』答えてやるのに都合がいい場所は……。)

うん、そうだな。あそこにしよう。
(跳ねるように立ち上がる。そして小さいが無骨な手の平を差し出して)
来いよ。いい場所があるんだ。続きはそこでじっくり聞かせてやろう。
……いや、だってその。確認はした方が良いかと……
(笑われてさらに赤面しつつゴニョゴニョと呟く)
良い場所?
あ、ああ。はい。そっちでやすね。
(少しキョトンとしつつ唯々諾々と従って歩き出した。羞恥と不安から状況に付いて行けておらず、思考が半ば止まっている。だが、だからこそ遥か古代の京で染み付いた、殿方に従うと言う至極偏った様式に忠実に動いてしまう)

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