PandoraPartyProject

ギルドスレッド

造花の館

住い

鉄帝首都のメインストリートに面した家屋。
ところどころ幻想様式の改築跡が見えるので、探せばすぐそこだとわかる。

二人で済むには十分すぎるほどの広さ。
庭には丁寧に手入れをされた花が咲き、華やかな彩りで迎える。
手伝いのものが出入りする様子や、この家の住人である綺麗な少年少女が生活している様子が覗き見えるが……不思議なことに、親らしき人物が出入りするところを誰も見たことがないという。

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(以前の住処から届いた荷物をあけてクローゼットにしまい込んでいる)

(これは去年の今ごろに買ったワンピース。シレンツィオで着た浴衣。
 数は少ないが全て自分が選んだ大切なものだ。大切そうにハンガーにかけて一点一点確認する)

(秋物や冬物は何処にしまっておこうかな)
(大人の腰ほどの大きさの、小さな屋敷妖精ブラウニー達が、2人がかりで衣装入りのケースを運び入れ、丁寧に広げると脚立を足掛かりにハンガーにかけていく。手早く、そして手際がよい。どれもこれもセレマの所持品である。
 それだけでなく、セレマが持ち込んできた一部家具も、熟練の引っ越し業者の手並みで運び入れているところだった。)


(なぜか皆、ポケットにクッキーの袋をたくさん入れている。)
(私は知っている。あれはセレマがこの魔性達に対価として買い与えたものだ)


(尚、私は特に対価というわけでもなくセレマが手作りしたビスケットを贈られた事がある)

(ふふん、と優越感に浸りながら鼻を鳴らした)
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ………

(昼頃である。

 昼食の準備である。

 自分の飯の面倒を見るのは、当然自分の仕事である。

 先ほど外を出た折に買ってきた、安い豆を複数種類ブレンドし、石臼で挽く作業である。)



(終ったら雑に味付けし、スープにする。
 ひとりで食べる分なら翌日の朝餉にもなる程度に、多めに作るものとする。)
(本当は水に一晩漬けておいたりした方がいいんだろうが。
 本日に限っては来たばかりというのもあって、そのままの豆を使う。

 ともかく、鍋の中に水・豆・じゃがいも・人参・玉ねぎ・ベーコンを投入。
 香り付け用のローリエと、塩・胡椒などの調味料を適量つっこんで煮込む。

 煮込んでいる間は、別に買った豆を水につけこんでおくなり、本を読むなり
 時間は有効活用する。)
(咲花・百合子は料理が出来ぬ)

(正確に言えば正しい手順で料理をする方法を心得ているが、その正しい手順で調理を行っても正しく食品が作れないのだ。
 世間で思われてるほど奇抜な調理をしない癖に火元にニトログリセリンを生成する難儀な女である)

(そう言う訳で、飯は他人に任せるか、外で買ってくるかの二種になる)

セレマ、新しいパン屋さん開いてた!

(もし少しばかり顔をあげたなら芳ばしい香りと共に明るい声が部屋に飛び込んでくるのが見えるだろう。
 ここまでは今日で、ここからは明日の分なんて事をてんで考えもしない量のパンを抱えている)

色々買ってみたけど何食べたい?パンも美味しそうだったけど、スコーンみたいなのもあったから買ってみたけど。
こっちのパンは(死ぬほどではないが)硬ぇんだよなぁ。
まあ、パンで。

(スープに浸せば顎の負担も減るだろう。恐らく。)
パン。

(シンプルな白パン、食パン、バターの薫り高い塩パン、いかにも硬そうなバゲット、サンドイッチ数種、激辛シールの貼ってあるカレーパン……。
 紙袋をガサガサやりながらパンを一通り並べていく)

選んでよいぞ。
じゃあそっちの顎疲れないやつ。
(白パンを指差し、自分のスープを椀に移す。
 溶けた豆が粗いポタージュのようになっている。)

酒は…どこ置いたっけな。
(はい、とそちらへと白パンをやった)





(ちょこんと椅子に腰かけて貴方が戻ってくるのを待って)

吾のスープは????????
自分が食う分を買ってきたんじゃないのかお前??????
ああん……?
(こいつ……料理できるようになったんじゃなかったのか……?
 あのクローネはそういうことじゃなかったのか……どういうことだ……?)


………え、待て。お前、何、その量で?
パンと食い合わせる主菜・副菜がないなんてこと、ないよな?
当然、買ってるんだろ?ん?
えっ。
お前が何か作ってるみたいだったから買って来たんだが……。
丁度パンの買い置きなくなってたし、主食に食べるものがないなって思って。

もしかして外で食べると思った?
自分でどうにかするだろうなとは考えてたし、この袋はそうだろうと思ったんだが。

(これが一人暮らしなら突っぱねるなり追い払うなりでいいんだろうが。
 書面上はコレは伴侶であり、互助を目的とした関係性であることを加味して、不本意ながら、そう本当に不本意ながら鍋の中身を使わせてやるのが取引として正しいだろう。)

…………自分で注げ。それと食い終わったら買い出しいけ。
お前まで食うと朝食分まで残らん。
ん。

(ありがとう、とは言わなかった。多分「しらんな」と一蹴されるし、これはきっと婚姻と言う契約の範囲内なのだ)

何が足りない?それとも惣菜買ってくる方がいいか?
吾は料理できないからな。どうしても調理は任せることになるが……。

(豆のスープを底まで浚って遠慮なく全部もらう。
 貴方が朝まで残ると思った量が百合子の考える普通の一杯分であったので)
豆と野菜。
必要な分は書くから予算内で適当に。
(ボトルのコルクを噛んで引っこ抜いて、ラッパ飲みで一口。
 息をついてからパンをスープに浸して食べ始める……塩気が強いが気にするほどでもない。)
わかった。
料理は出来ないが、手伝う位なら問題ないようなので必要なら使え。
(ピクルスとレタスが挟まれたサンドイッチにかぶりつく。
 大きな一口を飲み込んだ後、追いかけるようにスープを匙で掬った)
…………。
(少し塩気が強くて、豆の潰されきれてないざらざらとした食感。
 これが貴方の普段食べてるものなんだなぁと思うと、知らず口元がほころんだ)
(夜。丁度夕食を食べ終わり風呂に入って一息つく位の時間帯だ。
 自身もまたホットミルク片手にゆったりとした時間を過ごしている。
 お供はラジオから聞こえてくる声劇だ。
 一週間に一度放送されるのだが……)

「嘘みたいだろう。死んでるんだぜ、それで」
「イリーナは慄いた。棺の中に入っているのは愛しいフィアンセの姿だったからだ……」

(今週は主人公の双子の弟が怪我をした兄の代わりに徴兵され、物言わぬ死体となって帰還した回であった。
 今まで双子の人間関係を中心に物語が回っていただけにあまりにも唐突な弟の退場にミルクが温くなるのも気づかないほど呆然としている)
(この展開はよく覚えている。有名な話だ。
 確かこの脚本家、若者の青臭い日々を書くのが上手いと評判である。
 それが突然、主人公の一人が呆気なく死ぬという展開を用意したものだから、ただただ当たり障りない若者の戯れを予想していた聴衆全員の想定を裏切って見せた……よく言えば刺激的な作風である。

 自分はこの展開を見せつけられたとき、悔しくてあと2回ほど聞きに行った。)



(鉄帝のいい所といえば、ウォッカの湯割りがこの時期でも飲めることである。
 人体解剖学に関する教養書を読み進めながら、生姜をたっぷりと注いだ盃を煽る。)
(声劇の時間が終わって短いニュース番組を挟み、娯楽番組と移り変わってはやり歌が流れ始めてもじっとミルクが入ったマグカップを両手で抱えてじっとしていた。
 視線は不確かに虚空をさまよい、時折何かを探す様に明確に動く)

(普段であればすぐにでも貴方と感想を共有しようとする癖に今日ばかりはそんな事も忘れた様子で、ただ自分の胸の中から何かを掘りだそうとする作業に夢中になっているようだった)
(………ウォッカと、湯を、交互に注ぎ足し。塩梅のいい2杯目を探す。
 湯割りは面倒だが、酒を入れるほどボケてくる舌に対応できる点と、味見するだけで酒が進む点は良い。)



まあ、唐突だわな。
……ああ。

(ぱちりと、瞳の焦点が再び現実に結ばれる)

唐突、うん。唐突なのはそうなんだが。
これは物語なんだから、死んでしまうのは必要なんだろう。
でも、吾はこれは「双子がすれ違いながら向き合っていく青春ドラマ」みたいに思っていたので、その……びっくりした。
吾の見方が間違っていたのか?
何か伏線みたいなのが貼られててそれに気づいていなかっただけなんだろうか。
1話だけで思っていた前提と全然違う展開になってしまって受け入れきれないというか、これから物語がどう動くかが分からなくなったというか……。
これまで評価していた物語の筋が全部白紙になったような、そういう感覚だな。
(器の縁を指の腹で叩き、ネタバレにならない言葉を探すために、2拍ほどかける。)

双子、というのは。
通常の兄弟という関係よりも、特別なものとして書かれることは多いな。相似性は自分自身との対面、相互のやり取りは自己言及として書かれるなどだ。それだけに、双子の間に起こる事件とは、彼らという一個の存在に対する難題の提示であるともいえるだろう。

この作品のテーマが「双子が互いに向き合う」ことであるとするなら。
この事件によって提示される難題は、会話や文通を通して向き合う術を失くした片割れが、果たしてどのように双子と向き合うのか………というところか?
お手軽に付けられる特異な出生ともいえる。
しかし、この双子に関しては姿は同じでも違う人間であるという事を強調していたように思うな。
いや、それすらも同じ姿である事への反発なのかもしれないが……。

うーん。そうかな。
いや、そのテーマなら今後はそう言うことになりそうなんだが。
なにかこう、あまりにも予想外の方向に転がったので作者の意図を勘違いしてるような気がしてきて。
お前達みたいな原住民からするとあの展開はいわゆる「衝撃の展開」なのか?
それとも文脈的に予想しうる「お約束」みたいなものなのか?
この作品のテーマが「前触れもなく唐突に失われる日常」でもない限り、そんなことはない。

が………まぁ……この筋書きを用意したやつの、手癖が出ているなとは思った。
ふぅん。
作者が想定した観客の反応と吾の反応はさほど差はないということだな。

……こういうどんでん返しみたいなのを好む輩なのか?
軽率に先の展開を漏らす輩とダフ屋は、社会的死を与えるべき存在であるからして。
ボク自身はその話の要所を語らないように努めているわけだが。

先の主義に反しない範囲でボクの感じた手癖を語るなら『順序が逆』とでもいうべきか。
こいつの話をあと2~3作品読むなり聞くなりすれば「そんな気はする」程度には感じる手癖だ。
あと数作見なければ評価は下せないということか。
……うむ、うむ。どうせこの先も聞かねばあのシーンの意図も分らぬわけだしな。

(と言った所で、次の放送は一週間後である。小さく息を吐き)

……図書館に行ったら書籍があろうか。
すべて、とは言わないが。あることはあるだろう。
中央幻想の、それも大衆向けの図書館か貸本屋を探すほうが見つけやすいだろうな。
娯楽作だものな。
……その辺を探してみる。
(寝室。
 柔らかい影を落とすカーテンの下にしゃがみこんでいた。
 隣にはくしゃくしゃになった紙袋。表面にはひしゃげた書店の名前が印刷されている。
 【家庭でできる看護】
 夫に隠れ、背を丸めながら熱心に読み込んでいるのはそういうタイトルの本であるらしかった)

(きっと)

(きっと互いに怪我をしたりする日もあると思ったのだ。
 その時に、病院に全てを任せてしまうのもアリだが、不完全な姿を見せる事を厭う性格であるならば家で面倒が見れた方が良い。
 だからこそ、自分が相手の面倒を見ることができれば、そして出来るだけ「いつも」と変わりない生活を与えられれば尚よい)

(だけど、怪我をしない内から準備して「怪我をして帰ってくるに決まってる」なんて自分が思っていると思われるのも嫌なのでこっそり読んでいた)
(読んでいて分かったのは、この本に書いてある全てがセレマに適用できるわけではないという事である。
 だって、怪我をした時に砕けたり塩ビ人形のようにひしゃげたりするのは旅人の中でも少数派だ。

 かといって、全く使えないという事もない。
 身の回りを清潔に保つというのは大切な事だし、怪我をした時に一番制限される事だ。
 顔を洗えず、髪も梳かせないままに何日も過ごせないのはとても悲しい。

 ついでに自分は見繕いをしてもらう側だったが、する側になるというのはとても興味深い。
 いざ実践する時に髪を絡ませて怒られないようにしっかり読んでおこう)

(まずあの青い毛先を少し持ち上げて、柔いブラシで先端からゆっくり梳いていくのだ。
 てっぺんからすとーんと梳かしたのでは髪は絡まってしまうものらしい。
 頭皮を削ってしまわないように慎重に優しく……白い首筋に手を添えて……)

(不意に動きが止まる。
 なんだかいけない妄想をしている気がした)
(続いては清拭のイメージを行おうとして……やめた。
 なんだかもっといけない妄想をしようとしている気がしたのだ。
 多分、本人も体を触られるのは嫌がるだろうし、自分は温めたタオルだけ用意してやるのが一番良い方法だろう……腕が動けば。
 腕が動かない状態だったら……それはその時に考えればいい。そう思うことにした)

(ページをめくる。傷病者への包帯の巻き方が書いてある。
 以前見た焼け焦げたビニール製の人形のような有様を思い出して必要か?と一瞬なからず首を傾げたが、動く度にパキパキ砕けそうなあの体を少しでも固定する為には必要かもしれない。
 まさか糊で砕けた体を貼り付ける訳ではあるまいに)
(それにしても、看護と言う奴はとにもかくにも接触が多い。
 いや、それを厭う理由などないのだが、むしろ触る機会が多くなって嬉しいくらいなのだが。

 嫌がるのは知っている)

(答えのない自問自答だ。
 こうされたら「自分」はきっと嬉しい。
 「彼」の意向にも沿う部分がある。
 だけど、これが本当に「彼」の求めている事かどうか分からないし、聞くのも恐ろしい)

(自分の意思で「彼」の意思を潰していないか?
 ただただ自分の我儘で「彼」を振り回しているだけではないのか?)

(深みに嵌りかけた思考を引き戻すために本から顔を上げ、視線を横へと落とす。
 真四角の厚紙に包まれて積まれているのは本と一緒に買ったレコードだ。
 過去に放送されたラジオの教養番組が録音されている。

 暇つぶしになればと購入したものの、雑音になるのも否めない)
(小さく息を吐いてレコードを自分のベッド下にしまい込む。
 看護の教本も同じく。

 勉強を続けるには少し気が逸れてしまった。
 一度庭に出て気分転換でもしたほうがいい気がする)

(最後に書店の紙袋をゴミ箱に入れて寝室から出て行った)
(半身不随という言葉がある。
 この状況は間違いなく半身不随である。

 まず、半身が消失している。
 力任せに薙ぎ払いを受けて、腹部とそこから下が砕け散っている。
 左腕は取れた。右腕も手首から先しかない。意識を強く持てば、右手を動かせないこともない。
 左半身と下半身が機能しない状況だから半身不随。笑いとしては出来が悪い。
 なにより自分自身微塵も面白いと思えないのだから、この状況は冗句としても出来が悪い。

 どうにか守り切った頭部は、縦のひび割れが四,五条走って、美しさを害している。
 呼吸をするたびに軋むような笛の音が薄く小さく頭に響くのは、喉に走った亀裂が鳴っているからだ。
 喋れるだけ十分だろう。十分と思うことにする。

 本当なら、こういう姿を誰にも見せないように寝床を作ったはずである。
 意思疎通が図れない状態になった時、自分は領地に運ばれて、そこで事が落ち着くまで篭ることができるのだが。
 だが、引き取り手が来た場合は話が変わる。変わってしまう。変わったのだ。)
 
(………今更何が不愉快という気はないが。気はないとして不愉快には違いない。
 寝台の上に転がされたまま、その不愉快さを表情で示す権利くらいはあっていいだろう。
 今の己にはその権利を行使することしかできないともいうが)
(ふぅ、と息を吐いてベッドサイドに湯が入った桶を置く音が聞こえるだろう。

 熱い……人が手を付けるには熱すぎるくらいの湯の中にタオルをつけて、絞る。
 美少女の体は強靭であるがこの世界では人とそれほど変わらない。なので、当然火傷しそうな痛みがひりひりと指先を襲ったが気にしない事とした。そうすれば体に触れる時に丁度いい暖かさになるらしいと、教本には書いてあった、それが全てだ)

……起きたのか。

(ひび割れた顔に金色が漏れている事に気づいて小さく声を上げた)

あっ、喋らなくてもいい。負担だろうから。
その……顔を拭こうと思って来たんだ。風呂や洗顔は無理だけど、この位ならできるかなって。
……やってみてもいい?
(癪に障る。この、自分以外の誰かに面倒を見てもらわなければならない状況。
 己の不出来、不甲斐のなさを、改めて見せつけられる。事実として。
 罅割れから、唸るような呼気が漏れた気がして、傷口(便宜上)が熱を帯びた。

 何も答えない。答える気になれない。
 そうすれば、こいつは勝手にやるのだろう。
 否定しなければ、拒否しなければ、少なくとも許されてはいるとでも思うのだろう。
 事実、気には留めないよう努めている。許しているかは別として。

 気が立っている。気が立っているのだろう、この思考は。)

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