シナリオ詳細
<再現性東京202X>なんでもいいから幸せなチューしろよぉ!はい、キース!キース!
オープニング
●「○○しないと出られない部屋」とかを夜妖のせいで出てくるってどうなんですかって話なんですよ
突然だけど、イレギュラーズの皆は「○○しないと出られない部屋」という概念を知ってるかい?
そう、二次創作とかでよくネタになってるアレだよ。この「○○」に入るものが好きに入るせいで、色んな部屋が出来てるみたいだよね。発想自体は面白いから僕もよく見てるんだけど……あぁ、ごめん、話が逸れた。
それがどうして依頼になったのか、だったね。
実はさ、怪現象のせいで売り上げが落ちているホテルがあってね。え、どんなホテルかって? 詳しくは言えないけど、「ご休憩」とかが設定されてるホテルらしいよ。
で、そのホテルに男女が泊まろうとすると、部屋のどこからか、決まって「キース! キース! 幸せなキスをしてください!」って声がするんだって。
勿論、良い雰囲気なんて出るわけない。興が削がれて部屋を出ようとすると、出られない。なのに、声は相変わらず言うんだよ、「幸せなキスして! しろっつってんだろオラァ!」って。
仕方ないからそれっぽいキスをしたら部屋を出られたんだって。
……という内容の怪現象がこの一ヶ月で何件も出現して、とうとう口コミにまで悪評としてのぼってしまい、今では泊まりどころか休憩すらしに来る男女が減った始末、だそうだよ。
それで、この怪現象をなんとかしてくれと、カフェ『ローレット』に依頼が舞い込んだって訳。
件の怪現象は、恐らく正体は夜妖だと思うんだけど、話を聞く限り、どうも複数体いるっぽいんだよね。正確な人数は分からないんだけど。
そこで、君達には二人一組になって当該ホテルに入って夜妖を退治してもらいたいんだ。
ああ、十八歳以上なら退治した後そのホテルを利用して良いってさ。十八歳未満の場合は近くの高級ホテルスイーツビュッフェ券をプレゼントするそうだよ。
良い機会にもなるから行ってきたらどうだい? そうだね、例えば一歩進んだ関係になってみたいとか、さ? ……あ、痛い!? 暴力反対!!
●夜妖だって判明したけど、そんな夜妖おる???
依頼人であるホテルの支配人に、よく出るという部屋を割り当ててもらい、イレギュラーズは二人一組になって各部屋に入室した。
直後、どこからともなく聞こえてきた「キース! キース!」という、はやし立てるような声。
ただ、よく聞くと、悪戯にはやし立てているというよりは、何かを期待しているような印象を受けた。
話をするだけしてみようか。
そう考えて、イレギュラーズは声の主に話しかけてみた。
「ええと、ここ最近『キスしろ』って騒がせているのは君?」
「いかにも! 我々は『二人は幸せなキスをして終了しました』的な雰囲気でのキスを見ないと満足出来ぬ体でな! 是非とも見せていただきたい!」
「ええ……」
「それに加えて、二人一緒での攻撃を見せてもらいたい。それさえ見られれば我々も大人しく成仏されよう」
「え、ええ……?」
イレギュラーズは困惑した。それはそう。
どこの世界に、自滅を望む夜妖が居るというのか。あ、此処に居るわ。
「ちなみに、キスしたら君達はどういう反応を?」
「個体に依るが、『ブラヴォー!』と叫んだり、盛大な拍手をしたり、口笛を吹いたり、クラッカーを鳴らしたりして姿を現わすだろう」
登場の仕方が強火オタクでは?
「そういえば、君達ってどういう概念の夜妖なの?」
「む……そういえば、特に名前を決めていなかったが、そうだな……カップリングゴリラとでもしよう」
「カップリングゴリラ」
思わず復唱してしまった。
「さあ、是非とも見せてくれたまえ! 君達の愛のキスと愛の力を!」
不本意ではあるが、見せつけるしかなさそうである。
- <再現性東京202X>なんでもいいから幸せなチューしろよぉ!はい、キース!キース!完了
- GM名古里兎 握
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2023年08月02日 22時05分
- 参加人数14/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 14 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(14人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●三人寄らばなんとする
カップリングゴリラその1(夜妖)は困惑していた。
良い雰囲気な部屋の中、夜妖の目の前で展開されているのは、サイズ(p3p000319)が伴侶二人の前でしおらしく正座させられている姿だったからだ。
伴侶であるメープル(p3n000199)とハッピー(p3p006706)の視線は冷ややかだ。
「まったく、とんでもないですね」
「あのね、どこまで関係進んでても人前は恥ずかしいんですけどー!?」
密かにおこな二人を見て、夜妖は思った。「これ、ちゃんと幸せなキス出来るの?」と。
だが、その心配は杞憂に終わる。
「仕方ないですね」
ハッピーは一つ溜息をついてから、サイズと目線を合わせるべく絨毯の上に膝を突く。サイズの両頬を包むように手を添えると、躊躇いなく己の顔を近づけた。触れるだけのそれを一瞬だけ交わし、彼女はメープルに「次はそっちの番」と促した。
メープルも彼女に続くようにして、サイズに口づける。
それからハッピーとメープルはアイコンタクトを取ると、サイズの両サイドに回って左右からキスを贈った。受け身なサイズはされるがままだ。
キスはそれだけでは終わらない。女性二人もまたお互いに唇を交わし合う姿を見せたからだ。すぐ傍で見ていたサイズは顔を赤くするばかり。
三人婚の日常のようなキスを見た夜妖の顔が破顔する。
「ブゥゥゥラヴォーーーー!!」
胸をドラミングしながら現われる、やや小さめな一体のゴリラ。本当にゴリラが出てくるとは。
そしてゴリラはすぐに散る。至近距離から放たれたハッピーのロケットと、サイズの鎌を受けて。メープルは見守るのみだ。
「三人でキスしたんだから、きっと効果も倍だよ!」
ハッピーの言葉に、残る二人は「そうかなぁ……?」と首を傾げるのだった。
●独り占めの欲望を君に
ベッドに座らされた冥夜(p3p008218)のカッターシャツは京司(p3p004491)によってはだけられ、隠されていたコアを晒していた。他の誰でも無い、京司だから許せる行為。
そろそろ次を、と望む京司が降らすキスは優しい。身体のあちこちに唇を寄せて、冥夜のコアのすぐ隣に赤い花を一つ咲かせた。それから肩を強く嚙んで、歯形を残す。
「冥夜のコアにキスしたかったんだ。此処が君の心臓だから」
冥夜の目が細められる。愛おしくて、彼からも京司に愛を贈るべく、彼の和服に手を掛けた。はだけた浴衣から覗く肌は彼を突き動かし、京司の体をシーツの上に引き倒した。そのまま、首筋に赤い花を贈る。そこは和服の襟では決して隠せない場所。
互いに己の物という証をつけた事に、二人、笑う。
「同性でもこんな素敵な愛があるとは! 最高!」
叫びながら壁から出てきたゴリラを、無言で黒い雨を纏った雷撃が打つ。
跡形も無く消えた夜妖など振り向きもせず、二人は言葉を交わす。
「ね、愛されるのと愛するの。どっちから知りたい? 君、初めてだから両方教えるつもりで準備してきたが」
「どちらでも。ああ、でも……」
「?」
「俺が楽しみすぎたら、京司を壊しちまうかもよ?」
その言葉に京司が笑う。
「大丈夫だ」と唇が紡ぐ前に、愛で塞がれた。
「ね、冥夜。明日はスイーツビュッフェに行こう」
「貰えるかな」
「むしり取るさ」
愛を交わした後に紡がれた会話に、もう一度二人で笑った。
●貴方と私で秘密のキスを
女物の服を二人とも着ているからか誤解されそうになるが、トール(p3p010816)とココロ(p3p000323)は男女のペアである。
トールの女装はギフトのせいとしか言い様がない。そして、ココロは彼の容姿が女装であると知っている一人だ。
先を歩いて部屋に入っていたトールは深呼吸をすると、振り返って彼女に跪いた。片膝をついて手を取り、手の甲にキスを落とす様は、まるで忠誠を誓う騎士のよう。
手から腕へ、腕から胸へ、ココロの内にときめきが伝わり、震える。
ああ、だけど、これだけじゃ足りない。足りないの。貴方を男性と知った今、それだけでは圧倒的に。
「トールさん」
顔を上げた彼に見せる。彼女の指先が触れる唇を。
リップを塗ったかのような艶めいた唇に、惹かれるように立ち上がったトールはココロの頬に手を添える。
「今この瞬間だけは、ココロさんが僕にとってのシンデレラです」
「ふふ、では、私をお姫様にしてください」
海色の瞳に、近付いていく自分が映る。閉じられた瞳に合わせて自分の瞼も閉じて、そっと重ねた。
数秒ほどの触れあいで今は十分だ。だって、
「はぁ、うっとりしちゃうわぁ……!」
壁から顔を出したゴリラの顔に、パンチを贈るのが最優先なのだから。
殴っただけで消滅した、か弱き夜妖に一瞥だけくれてやり、トールは気を取り直して咳を一つ。
頬に朱が刺す彼に、彼女は微笑みかける。
二回目はどちらからだっただろう。初めての時よりも熱く交わした事実だけが二人の間に残っていた。
●自分だけに見せてよ
部屋に入ったルチア(p3p006865)は、平静を保ったまま夫である鏡禍(p3p008354)を振り返ると、その首に腕を回した。
「急にですか?!」と驚く彼の事など何のその。そのまま抱き寄せてきた妻にされるがまま、鏡禍は柔らかいそれを重ねた。唇を通して伝わるのは、ルチアの愛……だけではなく、彼女が与えた祝福も込められている。
伝わってきたものを、鏡禍は臆する事も無く受け入れた。愛する妻のキスなど、余裕で受け入れるのが夫というものだ。知らず彼の目元が優しくなったのを、目を閉じているルチアは知らない。
離した後、青い瞳が鏡禍を捉える。僅かに潤む瞳に気付いて、思わず名前が零れる。
「ルチアさん……」
彼女の唇を親指で拭う。ああ、出来る事ならばもう一度触れ合いたい。
願う彼を余所に、ポーカーフェイスのルチアは視線を部屋の中に向けながら、挑発の言葉を紡ぐ。
「これで良いんでしょ? 満足したなら早く出て来なさいな。そして、そのまま退場するといいわ」
天井から下りてくるように出てきたゴリラが神妙な顔で頷いた。
「うむ。幸福判定は微妙だが、そこの彼の顔が幸せそうだったのでヨシとする! いいね!」
「あれ、ルチアさんの顔を見てないんですね?」
「もちろん見たとも」
鏡禍による無言の拳が夜妖の体に打ち込まれた。通常よりも高い精度を誇ったのは、先程の妻の祝福と、殲滅の力を与えられたのが理由だろうか。
消滅を確認した後、鏡禍は妻に向かってとびきりの笑顔で言い放った。
「この後はポーカーフェイス無しで付き合ってくれますよね? ルチアさん」
それに応えたかどうかは、二人しか知らない。
●演ずるはお手の物
趣味で女装しているほむら(p3n000145)をベッドに座らせると、幽火(p3p010931)は絨毯の上に片膝をついた。
今回の二人は、ほむらというお嬢様に忠誠を誓うピエロ、という想定だ。
道化師の衣装を纏う幽火が伸ばした手が最初に掴んだのはほむらの手。白い手の甲に唇を触れさせても、ほむらは微笑むだけで何も言葉を発しない。
幽火の手がほむらの足元に伸びる。スカートの先から覗いた生足を片方持ち上げて、甲に唇を落とす。「敬愛」と「あなたへの服従・夢中になっている」の意味を持つ二つのキスは、カップリングゴリラである夜妖にはどう映るだろうか。
少なくとも、キスをした時の焔の反応は悪いものでは無かったのだから、幸福判定してもらいたいものだ。
願う幽火に応えるように、カップリングゴリラが現われた。入口から、拍手をしながら現われたゴリラに、ほむらは呆れ、幽火は楽しそうに笑う。
「僕に合わせてくれるかい?」
「任せて!」
幽火の手から放たれた不可視の刃がゴリラを直撃するのに合わせて跳躍するほむらが繰り出したのは踵落とし。
スカートの中を見たゴリラが何かを叫びそうになる前に、その体は消滅した。
ポニーテールを揺らしながら振り返った女装少年は、幽火に向けて悪戯っぽい笑みを向ける。
「スイーツビュッフェ、興味ある?」
「どうせなら報酬は貰わないとね」
「そうこなくっちゃ」
意見が一致した二人は、意気揚々と部屋を出る。
全てはスイーツビュッフェの為に。
●それは自分だけのもの
(全くもって呆れた夜妖だ)
憤慨するのはリリオ(p3p010595)である。彼は妻である望乃(p3p010720)と共にホテルの部屋にやってきていた。
彼が怒っているのは、彼女とのキスを見せなければならない事だ。彼女の表情も、時間も、自分のものなのに。
内心憤慨する彼の横で、望乃は不安そうな顔でどこに居るのかわからない夜妖に伺いを立てる。
「せめて、明かりは消してほしいです……だめ、ですか?」
「ダメです」
即答かこの夜妖。
一層不安そうな顔をする望乃をリリオが抱き寄せて「大丈夫」と囁く。
「キミの蕩ける顔は絶対に見せてやるものか。……それは、おいらだけのものだからな」
「フーガ……」
日向色の夫を見つめる薔薇色の妻は、頬に手を感じながら、目を閉じる。
贈られた口づけは深くなり、腕が首に絡まる。
息切れをしながら離せば、濡れて艶やかになった相手の唇が見えた。
「素晴らしい! 愛しあう二人のキスが一番好きね!」
壁から現われたゴリラに驚くものの、二人は視線を交わすと、迷う事なく。
夜妖が「え?」と言う間もなく、同時の拳を受けて、そして芥に消えた。
それを見届けると、リリオは望乃に改めて向き直る。
「……『今度こそ』2人っきりだ。失礼な覗き魔達はいない。
キミに、全てを晒しても、いいよな?」
「はい。わたしの、全部を、あげるから。
フーガの、全てを、わたしに、下さいな?」
もう一度深く口づけあって、シーツの海に倒れ込む。
甘美な一時に、二人で溺れていこう?
●そして全てを破壊する(色んな意味で)
部屋に入ったはいいものの、アーマデル(p3p008599)は浮かない顔だ。弾正(p3p007105)が「どうした?」と問えば、彼は真面目な顔で口を開いた。
「大変だ弾正、条件は男女だそうだ」
ハッとした顔の弾正。だが、次の瞬間、部屋のどこかに居るであろう夜妖に向かって、彼は叫ぶ。そう、惚気を。
「ゴリラ共! 男でもアーマデルはkawaiiし美しいだろう! 俺達はさながら美男と野獣カップル。新しい窓を開けてやるからしっかりとついて来い! ……って、どうしたアーマデル?!」
「……大丈夫だ。今の俺は理性ゴリラだからな」
「そうか。ここに来るまで暑かったからな」
脊髄反射で頭突きをしそうになったのを理性で止めたアーマデルの返答に対し、どこかズレた頷きをする弾正。
仕切り直しと言うように、弾正の大きな手が華奢なアーマデルの体を引き寄せると、光の楔を肩に刺した。耳元で囁くは、何の言葉か。それを知るのはアーマデルのみ。フッと口元が笑い、弾正に何かを言おうとして、被りを振る。
言葉は要らぬのだ。その証に、彼から降るキスを受け止めた。
「フッフゥーーーー!」
ゴリラこと夜妖が現われた瞬間、甘い雰囲気は一瞬にして変貌し、アーマデルが輝く光を弾正の背中から発して叫んだ。
「私立燦々煌々校歌第一ッ!」
「カジキマグロの運動ーッ! 1・2・3!!」
周囲に現われるカラフルなカジキマグロ。どこの戦国ゲームの武将武器だそれは。
そしてそのまま夜妖を貫いて消滅させるカジキマグロ。
善き事をしたという風に立つ二人。
あの、さっきの甘い雰囲気はどこに行ったんですか? ねえ?
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした!
甘いものから楽しいものまで、皆様のキスシーンを描けてお肌がツヤツヤになりました!
あと、一部で腹筋が崩壊しました。ズルいですよそれは!
GMコメント
甘いのが書きたくなったのでトンチキシナリオになりました。
何を言ってるか分からないと思うが(以下略)
そんなわけで、存分にイチャイチャしてください!
●プレイング注意事項
・『お相手さんの名前またはID(愛称もあれば一緒に明記をお願いします)』を記入してください
・ソロ参加の場合、『ソロ』と記入をお願いいたします。ランダムで他のソロ参加者と組みます。覚悟完了とみなします。余った場合はNPCが相手します。
・キスは必ずしも唇に限らなくてもOKです。
●敵情報
・カップリングゴリラ×?体
イレギュラーズの数に応じて増えます。最大で108体出たら笑うよね。煩悩かよ。
イレギュラーズが幸せなキスをしたら何かしらのリアクションと共にゴリラの姿で現われます。
そこを二人で力を合わせた一撃を食らわせれば、消え……もとい、成仏します。
具体的には石……ラブラブ……みたいに二人の力を合わせてください。
●場所
・なんかイチャイチャするっぽい感じの部屋。当然ながら、壊すのは厳禁です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はA(vec)です。
オラ、いちゃいちゃしろよ。
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