PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<黄泉桎梏>わんこしか勝たん!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●むぎゅう (※画像はイメージです)
 わんわんわん、わん! わわわん! わん!
 わんわわわん、あうん? わうわんわわん!
 わんわうわうん、わんわん、わわん!
 きゃうん、わう、わわんわん、わうわう。……わん!

 沢山のもふもふわんこたちが溢れている。
 犬が大好きなあなたにとっては、ここは天国で。
 犬が苦手なあなたにとっては、何故だか不快感が湧いてこない。
「わうん?」
 こんなもふもふパラダイスで、自分は何をしていたのだったか。
 ふと気がついたあなたは、もふもふたちの中で首を傾げた。
 えーっと、どうしてここにいるんだっけ……。
 そう、あれは確か――

 ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱。oO(ふわんふわんふわ~ん)

 ――――
 ――

「新たな帳が降りたんだ」
 その言葉を口にするのももう何度目だか解らない劉・雨泽(p3n000218)は、一応の説明を一通りした。天義から始まった遂行者のことと、帳。そして神の国の破壊方法までを。
 偏に神の国といっても、その内情は様々だ。どうやら作った遂行者によるところが大きいらしく、阻止すべく訪れる側としては足を踏み入れてみるまでわからないのが困りどころだ。
「そんな訳で、豊穣の神の国へと行ってきてほしいんだ」
 今日は僕も行くよと雨泽が言って、あなたたちとともに異言都市(リンバス・シティ)は『アリスティーデ大聖堂』を経由し、豊穣のとある神の国へと向かったのだった。

 ――
 ――――

 ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ わふん。
 まあいっか。そんなことよりお庭を走ろーっと!
 えっ、穴掘り? 僕もするするー!
 わー、咥えるのにちょうどいい木の棒! 僕も咥えたーい!

GMコメント

 わわわんわん、わわんわん!
 わんわわわわんわんわ、わふんわうん!

 (ᐡ ᐧ ﻌ ᐧ ᐡ) UʘᴥʘU ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ (U・ᴥ・) (U ・ω・` U)
 ―― わんわんフィルターが発動しました ――
 ―― 此処から先が読めるあなたは犬です ――

●もくてき
 遂行者……ってなんだっけ。
 いっぱい遊ぶよ! 遊ぼ!

●シナリオについて
 気付いたらここに居たよ。何しに来たんだっけ……うーん。
 ……あっ! かけっこするの? 僕もしたーい!

★★ 内なるにんげんさんへ ★★
 僕は賢いわんこだから説明してあげるね!
 とばりって言うのがおりたみたいでー、こわそーってみんなでえいえいおーってお散歩にでたらー、なんかー気付いたらこうなってたーって感じ?
 僕達はみんな『小型犬』の姿をしているよ。えっ、見たことのある犬がTOPにいる? 僕達顔がよく似ているから、気のせいじゃない? 他犬のそら似って言うんだってー。
 僕達はみんな犬だから、僕達の言葉が解るよ。にんげんには「わんわん」聞こえるんだって。不思議ー何でだろー、僕達はにんげんの言葉わかるのにね。やっぱり僕が賢いからかなー。

●にんげん(遂行者)
 わあ、にんげんがいるー! あそぼあそぼー! 僕フリースビーでもなんでもできるよ! えっ、ボール遊びがしたい? まかせてー! ごはんを食べるのも待てするのも、水遊びも得意だよ! 疲れちゃったらお昼寝だって出来るんだ。えらい? えらいでしょ。ほめてほめてー!


(人間……成人男性が1人居ます。
 神使が居らず八百万から獄人への差別が続く豊穣。やっぱり人間って駄目だな……犬が世界を支配するべきでは? と至ったイヌ大好き遂行者です。
 皆さんと一緒に走ったり遊んだりする度に体力が削られていきます。最終的に囲まれて物理的に倒されて顔をベロベロされると幸せを感じながら逝きます。)

●核
 なんかねー、昔のえらい人が愛犬と遊んだボールなんだってー。
 ボロボロにしていいみたい! 僕、そういうの得意だよ。

●プレイング
 『精神』が犬だったら、全部犬語でも大丈夫だよ。いっぱいわんわん言うよ。
 犬種っていうの? 僕達の毛並みとかにこだわりがあったら教えてってドッグトレーナーが言っていたよ。

 行動をえらんでねー。(通常参加は3個まで、サポは1個まで)
 ・庭遊び(砂場やドッグラン)
 ・ご飯を食べる
 ・フリスビーやボールで遊ぶ
 ・お昼寝をする
 ・玩具をカミカミする
 ・お散歩

●ゆーずぅぁくん(p3n000218)
 狆っていうんだってー。静かなおとこの子だよ。
(精神はしっかり人です。猫じゃなくて犬!? って思っています。
 お昼寝してる間に全て終わっていて欲しい……けど、話しかけると反応します。)

●ちゅーい
 なんかねー、「くん」とか「ちゃん」がつくんだってー。
 にんげんの時は性別不明でも、わんこだと『特に指定が無ければ「くん」になる』んだってー。

●サポート
 イベシナ感覚で参加できるんだって。
 誰かといっしょにいる時は、両方で指定がいるんだって。
 むずかしいことは僕たちわかんない。

●EXプレイング
 わーーーーーー、わんわん吠えてたら足りなーい!
(豊穣で活動している関係者さんであれば、巻き込まれることもあります。)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はW(わんわん)だよ!
 走るぞ走るぞ、わんわんわんわんわんわん!

 (ᐡ ᐧ ﻌ ᐧ ᐡ) UʘᴥʘU ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ (U・ᴥ・) (U ・ω・` U)
 わわんわわん!


メイン行動
 メインにする行動を選んでください。

【1】庭遊び
 砂場やドッグラン

【2】ご飯
 ドッグフード

【3】取ってこい
 フリスビーやボール遊び

【4】お昼寝
 すややか

【5】カミカミ
 お気に入りの玩具!

【6】散歩
 お散歩大好きルンルン♪


精神
 この神の国は入った瞬間に犬になってしまいます。
 が、自分が人間であることを覚えている犬(人)もいれば、忘れてしまっている犬(人)もいます。
 いつも通りのあなたは悟ることでしょう。あの人間は遂行者で、バレないように犬のふりをして油断させねば! と。

【1】いつも通り
 恥ずかしい? 頑張ろうね!

【2】わうん?
 精神ってなに? 犬ですけど?

  • <黄泉桎梏>わんこしか勝たん!完了
  • わんわん、わわん! わわうん!╰( U ・ᴥ・)
  • GM名壱花
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年07月20日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC1人)参加者一覧(10人)

清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
花榮・しきみ(p3p008719)
お姉様の鮫
ツエリ・ティルスター(p3p010990)
キラキラ星

サポートNPC一覧(2人)

建葉・晴明(p3n000180)
中務卿
劉・雨泽(p3n000218)
浮草

リプレイ

●ここはわんわんのくに
(あれ?)
 突然視界が大きくなって、劉・雨泽は目を瞬いた。頭を動かせば、何故だか身体がもふもふする。それでも現状を確認すれば、いくつかの事が解った。
 輝くような黒い毛並みの柴犬は、『君の盾』水月・鏡禍(p3p008354)。
 ふわふわな茶色の豆柴は、『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)。
 サラサラの毛並みのよくわからない犬種の子は、『ベルディグリの傍ら』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)。
 顔も見えないくらいもさーっと白毛の子は、『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
 利発そうな顔をした柴犬は、『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)。
 ころころの白柴は『ちいさな決意』メイメイ・ルー(p3p004460)で、その隣の黒柴は建葉・晴明(p3n000180)。
 元気にぴょこぴょこしているポメラニアンは、『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)。
 他にも何名かいるようだ。
(つまり僕も……犬……)
 雨泽は絶望し、ぱたりと横に倒れた。眠っていれば、きっと皆がなんとかしてくれるだろう。そう、信じて。

●おにいさんだよ
 天気は快晴。気分は爽快。今日も私の神の国には沢山のふわもこたちで溢れていて、素晴らしい。これこそが楽園。まさに神の国。差別をする人間なぞ滅んでしまった方がいい。
 などとキリッとしている間も私にはない。何故ならとても忙しいのだ。ほら、そうこうしている間にも――
「わんわうん、わん!」
 元気にお庭を走り回る黒柴。毛並みがお日様の光でキラキラしているから、あれは鏡禍くんかな? 元気で可愛いいい子だ。とにかく走り回るのが好きみたいで、ひとりでも走り回っていることが多い。虫を追いかけたり、木の枝を咥えて走っていたり……さっきのように私を呼んで一緒に走ろうと甘えてきたりもする。実に可愛い子だ。
「きゃん、きゅーん……」
 って、あれ。どうしたの、鏡禍くん。声はするけど姿が見えなくなっちゃったね。どこかな……って、沢山掘ったら出られなくなっちゃったんだ? はい、もう大丈夫だよ。
 ……ん? 鏡禍くん、くるくる回ってどうしたの? 取ってこいする? 皆にも聞いてみようか。取ってこいしたい子ー?
「わうん! わんわんわん!」
「わんわん、わうわん!」
「あおおおおおおおおおん!」
「わん! わう、わうっ!」
「わうわう、わんわん!」
「わんわんわんわん……!」
 って、うわぁ。いっぱいきた……! 小さいとは言え、一気に来られるとびっくりしちゃうな。真っ先に走ってきたのは『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)ちゃん。綺麗な毛並みの彼女が大好きな『お姉様の鮫』花榮・しきみ(p3p008719)ちゃんはスティアちゃんのすぐ後ろを駆けてきた。一緒に沢山吠えているね。お話しているのかな? 君たちも元気があってとてもいいね。よしよしいい子……って、しきみちゃん。私がスティアちゃんを撫でるのは駄目? そっかぁ……。
 くるんとした尻尾を千切れそうなくらいブンブンして走ってきたのは洸汰くんだね。ハハッ、私のまわりをグルグルして……そんなに遊びたい? じゃあ何を投げようか? うん、まずはボールからだね。渡してくれてありがとう。ジルーシャくんも走る気満々のようだし……わあ、ベネディクトくん。落ちてたのを拾ってきてくれたんだ? よしよし、ありがとう。いい子だね。おや、『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)くんはフリスビーがしたいのかな? ちょっと待ってね、まずはボールから。
 他の子は、取ってこいはいいかな?
「くぅーん……わん! わん!」
 おっと、あそこにいるのはメイメイちゃんかな? 近くにいるのは晴明くんで……お鼻同士をくっつけてご挨拶しているようだ。ふふっ、メイメイちゃんってばあんなにも尻尾をブンブンと振っちゃって可愛いなぁ。晴明くんはクールだけれど、メイメイちゃんとご挨拶したりすりすりも受け入れていて……根が優しいのだろうね。ああ、やはり犬同士のふれあいを見守るのは至福の時間だ。
「くうん?」
 っと、ごめんね、ジルーシャくん。
「わんわんわんわん!」
 元気なベネディクトくんからも催促が……! 今投げるから、ちょっと待ってね。
 おーい、メイメイちゃん、晴明くーん! 取ってこいをするけど君たちはどう? おっと、やるみたいだね。ふたりとも走ってきてくれた。それじゃあ皆、いくよ? そぉれ!
 思いっきりブンと腕を振ってボールを投げると、フリスビーを咥えたゲオルグくん以外がワフワフと駆けていく。おおお、早い早い。……メイメイちゃん、すごく早いな。あんなに小さいのに……っと、晴明くんを置いてっちゃったことに気づいたみたいだね、ボールを見上げていた顔が後ろを向いて速度を落としたようだ。うんうん、ボールよりも晴明くんの方が好きなんだね、可愛いなぁ。そしてその間に次に早かったベネディクトくんがキャッチ! 皆がベネディクトくんの周りをグルグル回っているね。
「わん!」
 おっと、そうだった。ゲオルグくんお待たせ。フリスビーを投げるね! 貸してくれる? うん、いいこだ。よしよし。それじゃぁいくよ、そぉれ! ……ゲオルグくんは走ると毛がふわんふわんするのが可愛いんだよなぁ。
「きゃわん! わん!」
「わうわう、わおん!」
 おっと、皆が帰ってきてた。スティアちゃんとしきみちゃんは帰ってきていないのかな? そのままふたりで走っているみたいだね。
 よーしよしよし、ベネディクトくんえらいえらい。君たちはもっと投げてほしい? そうだよね、沢山いるのにボールが一個じゃ足りないか……じゃあちょっと疲れるけど、赤いボールをあっち、青いボールをあっちに投げるよ。いい?
「わうわう!」
「わん! わうわう、わん!」
 ニル(p3p009185)くんは元気に鳴いて赤いボールを見上げ、洸汰くんは早く早くと青いボールを見上げた。ジルーシャくんもベネディクトくんも青いボールを見てるから、先にこちらを投げてしまおう。そぉれ、取ってこい!
 またものすごい勢いで走っていくふわもこたちに頬を緩ませながら、私はじいっと見上げてくるメイメイちゃんや晴明くん、ニルくんや鏡禍くんのために赤いボールも別方向へと放り投げる。
 ふうふう。矢張り身体を動かすのは結構疲れるな……。だが、可愛い犬たちとの運動に身体が喜んでいるのを感じる。この子たちとずっと走っていたい。
 ――なんて思っていた時もあった。
 というのも、この子たちの体力は無尽蔵なのかと思えるほどに、持って帰ってきては投げてを要求される。いや、嬉しいからいいんだけど……ボール数と投げる回数が多いのだ。戻ってきたら全力で撫で回し、褒め言葉を贈り、ぐるぐる回られてそれを目で追うのも結構……疲れる。ニコニコの笑顔、可愛いね……ううっ、すまない。私にもっと体力があれば……。
「くぅん?」
 何故かメイメイちゃんはボールをキャッチする度に少し遠くに落としてしまう。持ってきてーと言ってもよくわかりませんよ? って顔をするし、晴明くんも遠くへ持っていこうとする……これはあれかな、構われたいのかな? 落ちてるボールはすぐに他の子が持ってきてくれるけど、寂しい思いをさせるのは私の矜持に反する行いだ。よし、全力で撫で……何故だか晴明くんに隠れられてしまった。乙女心はわからない。
「あう?」
 しょんぼりしている暇もない。ゲオルグくんやベネディクトくんの撫でてくれないんですか? の視線に私は弱い……。ジルーシャくんも洸汰くんも、撫でるとすごく喜んでくれて健康に良い。……腕はかなり疲れているが、プライスレスな笑顔と多幸感を貰っている。
 スティアちゃんとしきみちゃんはまだ仲良く走り回っているね。ニルくんは……ああ、ずっと木陰で寝ている雨泽くんのところへ行ったのか。一緒に遊びたいのかな? それに気付いたジルーシャくんも向かったようだね。
「わんわ……わぅ? わう、わーぅぁ! わんわんわん!」
「わうん、わわん!」
 ふたりが鼻先でつんつんつつくから、雨泽くんの片耳があがったね。一緒に遊んでくれるのかな? ……って、チラッとみただけでまた目を閉じちゃった。でもふたりは気にしないみたい。
「うわわわわわん、わぉおーーーーーん!」
 ジルーシャくんがいっぱい鳴いて、遊ぼう遊ぼうって誘っているし、ニルくんと一緒に鼻先だけじゃなくて頭でぐいぐいし始めたけれど……雨泽くん起きないねー……。風が気持ちいい木陰を選んで寝ているようだし、難しいかな?
「わうん、わんわわわわん!」
 うん? ああ、お散歩に行きたいのかな。ボール遊びしてた子たちも大きめなボールを転がしてサッカーみたいに皆で遊びだしたし……そうだね、行こうか洸汰くん。
 わうんと元気いっぱいに鳴いた洸汰くんは本当に元気だ。草に顔を突っ込んだり、花をスンスンしてみたり……ん、それは何ってうわぁ! びっくりした、蛇かと思ったら木の棒かぁ。いい感じのを見つけられて良かったね。
 洸汰くんは何にでも興味津々で、気になるものを見つけると駆け出しちゃうのが少し大変だ。ぜえぜえ。人の身ではしんどいです、神よ。

 (ᐡ ᐧ ﻌ ᐧ ᐡ) UʘᴥʘU ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ (U・ᴥ・) (U ・ω・` U)

 にんげんさんがおさんぽにいきました。にんげんさんをけんこうにするためにおさんぽさせてあげるぼくらはとてもえらいです。
(……ん、犬の身というのもよいものだね)
 ちいさなからだでトコトコとたんけんをしていた『闇之雲』武器商人(p3p001107)くんは、いつもとちがうしせんをたっぷりとたんのうしたようです。
(あ、あのぬいぐるみ、可愛いです)
 げんきにはしりまわるぼくらをちょっととおまきにながめていた『キラキラ星』ツエリ・ティルスター(p3p010990)ちゃんも、トコトコ。いつもよりおおきなぬいぐるみにちかよって――がぶり。
(――は! 何故だかすごく噛みつきたくなってしまいました……)
 そうなんです。ぼくらはガブガブしたりカミカミしたりするのがだいすき! かたいグルグルのおもちゃも、かわいいぬいぐるみも、ぜんぶガブガブしたくなっちゃいます!
 しっかりとしたグルグルのかみごたえのあるおもちゃをみつけた武器商人くんがカミカミしていると、ツエリちゃんもそれをかみたくなってしまいます。
(……うぅ、私はわんこさんでは……)
 でもかみたいのです。あのかたいのは、ぜったいかんだらきもちがいいのです。
『一緒に噛むかい?』
『いいんですか?』
『いいよぉ』
 ぼくらのきもちをたんのうするきまんまんの武器商人くんはきにしない。だからツエリちゃんもたくさんカミカミしました。
 たくさんカミカミすると、すこしこころがおちつきます。ふぅーってなります。
(人っぽいわんこさんは……)
 ツエリちゃんはキョロキョロとさがしました。……武器商人くんがそうなのですけど、ね。
『あっ、これはもしかして核でしょうか?』
『そうかもしれぬな、メイメイ』
 わんわんわんとはなすこえがきこえて、ツエリちゃんもそちらへむかいます。メイメイちゃんと晴明くんがふるめかしいボールをみつけたようで、さっそくガブガブしていました。
 ちいさなぼくらにはそのふるいボールはすこしおおきいのか、ながくかむとあごがつかれちゃいますね。
 でももっといっぱいかめば――……
「ただいまー……って、こら。これは駄目だよ」
 おおきなおててがうえからのびてきて、ボールをもっていきます。いつのまにか、にんげんさんがかえってきていました。

 (ᐡ ᐧ ﻌ ᐧ ᐡ) UʘᴥʘU ꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ (U・ᴥ・) (U ・ω・` U)

 走り回った時に落としちゃったのかな……。散歩から戻ってきた私は『核』を回収した。
「わうわう、あおん! わんわんっ」
 ボールを取られたことに抗議をしているメイメイちゃんをごめんねと撫でて、ボールをしまいこむ。これは大事なものなんだよと告げたら、ツエリちゃんも元気にわんわん言っていた。これはあれかな、宝物は埋めたい的なことを言ってるのかな? でもごめんね。これがないと、大好きな君たちと過ごせなくなっちゃうんだ。
「わふ、わふっ!」
 どうしたの、ジルーシャくん。
「わんわんっ、わう……くーん、くーん……」
 何かを咥えてきたジルーシャくんがぽとりとそれを落とし、脚でテシテシ示す。ああ、ごめんね。お腹が空いたんだね。きっとお散歩から帰ってくるのを首を長くして待っていたんだ。大人しく待てのできる彼を撫で、私は食事の準備に取り掛かった。
 銀色の皿をたくさん並べ、フードを置いていく。匂いにつられて元気に走ってきたベネディクトくんに「待て、だよ」と告げると、尻尾をブンブンしながらおすわりしている。いいこだ。
 ドライフードと茹でた鶏ささみ。鶏ささみを伸ばしてプレスしたせんべいも、君たちは好きでしょう? それからキュウリにさつまいも。キャベツに人参。口元にキュウリを持っていって――よし! おいしそうに食べるベネディクトくんが可愛い。皆、いっぱい食べてね。

 お腹がいっぱいになったら眠くなったのか、ジルーシャくんは雨泽くんとニルくんのところへ転がりにいった。ゲオルグくんも気持ちよく眠れそうな場所を探しているみたいだ。いっぱい走って、いっぱいコロコロもつれ合うように転がってじゃれていたしきみちゃんとスティアちゃんは芝生の上かな。ゴロゴロすると芝のチクチクが気持ちいいのか、ふたりで身体をよじってゴロゴロしていた。
「…………わふ」
 鏡禍くんも木陰の雨泽くんたちのところへ言ったみたいだ。大きな欠伸をして、くるんと丸くなって尾を抱えて目を閉じた。寝る場所を探してウロウロしていた武器商人くんも、寝る場所を決めたようだ。うんうん、ちゃんと使ってくれると用意した甲斐があるなあ。犬用ベッド、使ってくれる子がいて、嬉しい。……芝の方が気持ち良いのかな? でも武器商人くんはラサ・アプソだから、絶対にベッドの方がいいと思うんだ。
「わふ、わふ、わぅん」
 皆より沢山食べたベネディクトくん。お腹いっぱいになれた? もうちょっとほしい? じゃあ皆には内緒でジャーキーをあげようか。ふふっ、その『えっ、いいんですか?』みたいな表情がすごく可愛いね。
 お腹いっぱいになったベネディクトくんも寝てしまったら、その間に私は皿を片付ける。皿を洗って、皆が起きたら何をして遊ぼうかと考え――いや、私にも休息が必要なことを思い出した。ボールやフリスビーを投げ続けたり、全力で撫でたり、散歩というなのジョギングをしたり……ひたすら立って動き回っていて、休む暇がない。正直膝がガクガクいっている。いつも以上に疲れているような気がするし、矢張り彼等に幸せに生きてもらうためにも人間は必要、か……? いや、だめだ。獄人差別をする八百万はもっての他であるし、獄人とて八百万が居なくなれば弱者を虐げるかもしれない。
「わんっ!」
 わ、びっくりした。ゲオルグくん、もう起きちゃったの?
「わうん、わふ、わわう」
 えっ何? もっと遊びたいのかな? 違う?
「わんわん! わう!」
 ……何か注意されてる気がする? ああ、でもゲオルグくんごめんね、みんな寝てるからもう少し静かに……。
「わわわーう!」
「……わう?」
「――わん!」
 あー! ほら、メイメイちゃんもジルーシャちゃんも起きてきちゃった。武器商人くんもツエリちゃんも、まだ寝ていて大丈夫だよ。
「わぉーーーん、わぉおーーーーーん!」
 あああああ、ジルーシャくんっ、静かに、静かに! って、うわあっ、えっ、なに……ってメイメイちゃんと武器商人くんとゲオルグくん……。
 既に限界の私の足は三匹のタックルを耐えきることが出来ず、気付けば私は転がり、まるで高い山を登頂したかのような誇らしげな顔の三匹の姿を見上げていた。
 いたた、ツエリちゃん、ちょっと噛む力が強いよ? わあ、ゲオルグくん、くすぐったいよ。ふふっふふふふふ! わんこに舐められるのは好かれている証だ。私は嬉しくて嬉しくて――あれ? 起きあがれない。どうしてだろう、そんなに疲れていたのかな――……。

●あれれー、にんげんさんねちゃった
 遂行者の男が倒れると、ころんころころとボールが転がっていった。
 ボールが転がれば、パッとわんこたちはそちらを向いて追いかける。あれだけ行けば大丈夫そうだろうと、武器商人はどうやら幸せな表情で息絶えた様子の遂行者を座布団にして見守った。
「ぅー……わんっ!」
「わんわん、わおんっ!」
 メイメイとジルーシャが飛びついて、カジカジ。
 ふたりが楽しそうだったから、ゲオルグも尻尾をブンブン追いかける。人間さん眠っちゃったもんね。起こしたらいけない気遣いの出来る良い子である。
「わふ……」
「……くぅん」
 皆でカミカミしたからか、元々ボロボロだったボールが壊れてしまって、ジルーシャとゲオルグは悲しげに鳴いた。

 ――――
 ――

 核が破壊され、神の国が消えていく。
「俺は何を……。そうだ、今から神の国へ――」
 神の国が消える瞬間はお昼寝わんこだったイレギュラーズたちも、神の国が消えてアリスティーデ大聖堂へと戻ると目が覚めた。
「ん、お姉様と走り回る夢を見たような」
 目を擦ったしきみがそういえば、似た夢を見ていたとスティアが微笑んだから嬉しくなる。
「んん……私は一体何を……確か依頼を受けて帳が降りたと言う豊穣に来て、神の国に入ったところまでは覚えているのだが……」
「……アラ? 何してたんだったかしら……楽しい夢を見ていたような気がするのだけれど……」
 ゲオルグが顎を撫で、ジルーシャも目をパチパチと瞬かせて不思議そうな顔をしている。
 どうやら、記憶がある者とそうでない者がいるらしい。
「うン、存外と面白かった。子犬になってみるのも悪くないね」
「僕はもう懲り懲りだよ」
 楽しげな武器商人と苦々しげな雨泽は前者のようだ。
(犬だったとは言え、なんて大胆なことを……!)
 メイメイは、晴明に甘えたことも、鼻をこつんとしたことも、すりすりしたことも……その他も、ちゃんと全部覚えていた。チラリと横を見上げれば涼し気な顔があり、メイメイは赤くなった頬がバレないようにパッと顔を反らした。
「これで豊穣の平和は守られました、が……と、とんでもない遂行者でした、ね……」
 そうだなとくつくつと喉を鳴らす声に、これは彼も覚えているのだと確信して、メイメイは頭から湯気が昇りそうな心地となった。


「なんとなく、もふもふしたわんこが沢山いたような……」
「……そのもふもふに僕等もなっていたんだよ」
 頭を悩ませるゲオルグに雨泽が教えると、彼はショックを受けたようだ。犬になっていたことではなく、もふもふわんこに囲まれていた記憶がないことに、だ。
「こうなったら犬喫茶……犬喫茶に行くしかあるまい!」
「犬喫茶、ですか。僕も場所を覚えてデートに……いや、彼女が僕よりも犬に夢中になるのはいやだな」
 鏡禍は肩をすくめたが、ゲオルグは何人かと連れ立って練達の犬喫茶へと向かったようだ。
 おっきなわんこからちっちゃなわんこ、ドッグランにおやつタイムでのふわふわもみくちゃ。どれも大層ゲオルグの心を癒やしてくれた、と報告書の片隅に記載されることだろう。

成否

成功

MVP

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲

状態異常

なし

あとがき

꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱ わふん。

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