シナリオ詳細
<Autumn Festa>身を彩る~ファッションの秋
オープニング
●今秋の流行り
暑さも和らいで、秋。
幻想国内を蠍が騒がせているが、それでも季節は移ろいゆくもの。
特に流行りに敏感な一部の貴族などは蠍ばかりにかまけていられない。
誰が聞いたか最早定かでないが、旅人から聞いた『ある事』が国さえも越えて広まりつつあるのだ。
曰く──『○○の秋』と称して催し物をする、というもの。
人から人へと伝わっていくうちに内容は変わっているかもしれないが、まあ概ねそのような内容だった。
催しを行う貴族によって規模も内容も様々。当然、集客力も様々である。
沢山集まってるけどイレギュラーズも呼んでもっと賑やかにしようとか。
全然集まらないから客として来てくださいとか。
むしろイレギュラーズだけお呼びしてますとか。
結果──貴族の思惑は色々あるだろうが、催し物は依頼としてローレットへ持ち込まれたのだった。
●ファッションの秋なのです!
「ふぁっしょんの……秋……?」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n0000003)の言葉に無表情で首を傾げる『Blue Rose』シャルル(p3n000032)。
「なのです! ファッションショーをしたり、近くで洋服とかアクセサリーの露店があったりするみたいなのです!」
はしゃいだ様子のユリーカ。1人の女子として少なからず興味があるのだろう。
「私はいけませんが、きっと楽しいに違いないのです。アクセサリーを見て回ったり、新しい洋服を探したり。ショーを見るのも知らないファッションを知ることができると思うのです!」
想像でウキウキとしながら傍を通るイレギュラーズに「どうぞなのです!」とチラシを渡していくユリーカ。シャルルはその様子を見ながらユリーカについて話を聞いている。
「ショーはグループ参加もできるみたいなので、ペアルックとか見られたりするかもしれませんし、パフォーマンスも楽しそうなのです。……はぅ、行きたくなって悲しい気持ちになるのです……」
表情がころころと変わるユリーカ。シャルルはそんな彼女に興味を持っているようだが──
「……あれ? シャルルさん、ファッションには興味がありませんでしたか?」
「興味がない、というか……わからない?」
あまりピンときていない様子のシャルル。
この世界では人の姿を取っているが、元々は精霊だ。そういったことを気にする必要もなかったのだろう。
不意に、はっとユリーカが手元のチラシへ視線を向けた。
「丁度いいのです! シャルルさん、折角なので皆さんとこれに行って来たらどうですか?」
チラシを差し出され、シャルルはやや困惑した表情を浮かべながらそれを受け取った。
●幻想のとある場所で
鮮やかに色づいた葉が落ちてくる。
シャルルは地面に落ちたそれを拾い、視線の高さへ持ち上げた。
夏までは青々とした色であったのに、秋になった途端その色を変える。
(不思議な植物)
そう思いながらシャルルは手を降ろし、視線をショーのステージへ向けた。すでに『ファッションショー』とやらは始まっており、どうやらそこそこの人数が参加しているようだ。
なんだかちらちらと視線を感じる様な気がして、いまいちショーに集中できない。
あっちを見ればいいのに、なんて思いながらシャルルは目を閉じて──
──落ち葉の積もった木の傍で、薔薇の花が1輪。
- <Autumn Festa>身を彩る~ファッションの秋完了
- GM名愁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年10月18日 21時10分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●前半の部
「ファッションの秋! これも楽しそうだね♪」
どんな服が着れるんだろう? とワクワクした表情でミルキィは辺りを見渡し、ステージを見つけると駆けていく。
(ふっふー、可愛い衣装が着れるといいな♪)
参加手続きをして待機場所へ向かうミルキィ。わらわらと広がっていた観客をニミッツが誘導する。
「ショーを見る人は、もっと寄ってねー……」
スピーカーボムの大きな声量に、観客が徐々に従い始める。そんな中、不意に耳へ入ったのは『1人参加者が見当たらない』というもの。
ニミッツは参加者の名前を聞くとまたスピーカーボムで呼び出しアナウンスをかけた。
一見大変そうにも見えるが、声量が大きいため無駄に動く必要もなく、比較的楽かもしれない。けれど重要な仕事である。
ふわふわなスカートを翻して最初にステージに登場したのはシフォリィ。
(普段のイメージと違う私ができるいい機会ですし、いつもできない格好にしましょう!)
彼女が選んだのはピンクホワイトの甘ロリファッション。普段と異なるやや幼げな印象の服に合わせ、動作も子供っぽく振る舞う。
握りこぶしを胸の前へ、視線は上目遣い。舌を出して悪戯っ子のようにはにかんでみせれば、観客席から歓声が──主に男性の声が──上がった。
続いてステージに上がったサクラはワインレッドのドレスを身に纏っている。
(こう見えても女の子だから、可愛い服とかおしゃれな服とか来てみたい気持ちっていうのはあるんだよね)
ステージに出た今、サクラの中では恥ずかしさよりも楽しむ気持ちの方が強い。
笑顔でくるりと回ってみせれば裾が柔らかく靡く。スカートの端を摘まんで一礼すると観客から可愛い、いいぞという声が飛んだ。
「みんなー! まだまだ楽しんでいってねー!」
手を振りながら退場して、サクラは観客に見えない待機場所まで来ると──耳を真っ赤にして蹲った。
(うわぁ、終わったら恥ずかしくなってきた……! かなりはしゃいじゃったみたい!)
次にステージへ上がったのは緊張した面持ちのグレイルだ。
普段こんな舞台に立つ機会などない。似合っているかどうか、小さな不安がグレイルの中で燻る。彼の纏う服は上から下まで白で統一されていた。
それは人によっては季節違いだと思うかもしれない。しかし先のさらに先を見たファッションだと捉えれば、季節感など些細な問題であろう。
ぎこちない動きでステージの中央に立ち、軽く1回転して見せれば観客が湧く。
アピールを終えて退場したグレイルは、待機場所へ戻ってニット帽を取りぐったりと脱力した。冬仕様の服はやはりまだ、暑い。
次に現れたのは男女のペア。
「誘いに応じて貰った以上、恥をかかせることがないようにエスコートしよう」
「わたくしも、紳士に恥をかかせることのないよう精一杯努めさせていただくわ」
イシュトカと華爛は視線を交錯させ、共にステージ上へ立った。
(ふふふ、楽しみね)
ショーに出るなんて初めてで、気持ちが高揚してしまう。
テーマは『ブラッド&ハニー』。2人の服装を見れば気づく者もいるだろう。
それは赤と黄──秋を彩る紅葉だ。
イシュトカは芥子色のスラックスにベスト、バーガンディのシャツとフォーマルなスタイル。緩めた襟元やロールアップされた袖がお洒落なポイントだ。
華爛は紅い──紅葉のような──ミモレ丈のドレスとパンプス。杏子の花をモチーフにした黄色の髪飾りとアクセサリーが鮮やかに彼女を彩る。
ステージ上で華爛がイシュトカと共に軽やかなターンを決め、華爛のドレスがふわりと翻る。美しい色の組み合わせは一瞬ながら、多くの観客の目に焼き付いた。
その効果かどうか定かではないが──周囲の露店では芥子色と赤橙色の商品がよく売れたとか。
●ステージの周りで
「皆さんがどんな服を着てくるのか観察するチャンスですね!」
ここはアイデアの宝庫だ。作品に取り入れれば売上も伸びるに違いない。
葵の熱心な様子に観客の誰かが「ショーに参加しないの?」と問うてくるが、
「作る側ですから。それになんというか、目立つのはあまり得意じゃないんです」
なんて肩を竦めてみせる。
人間観察が終われば今度は露店の観察へ。レイアウトを参考にしながら、店主や客へ声をかけて情報収集もかかさない。
彼女はふらりふらりと人の波を縫って、更に先へ。
まずは安定の秋物だな、と視線をステージから露店へ向けたアオイ。
奇抜なものはよくわからないので、普通の服やアクセサリーを歩きながら軽く見て回る。
「コートか……」
ある露店で売っている、やや厚手のコートに目が留まった。これなら秋から冬まで使えそうだ。
他にも見て回ろう、とアオイはその露店を一旦離れていく。
代わるようにその露店をメイメイが覗いた。
流行はわからないけれど、季節ごとに装いを変えて楽しむのは憧れる。どんなものが似合うだろうか、とメイメイは露店の商品を眺め見た。
(あ……秋色の、ストールですね……)
黄色と臙脂色の2種類。どちらも素敵だけれど──。
「……あ、あの……!」
勇気を振り絞って店主へ声をかけ、どうにか『アドバイスが欲しい』と伝えるメイメイ。店主はメイメイとストールを見比べて、こちらの方が色が映えると臙脂色の方を指を差す。
(……これがファッションの秋、なのですね)
購入して首に巻くと、メイメイは嬉しそうに小さく微笑んだ。
風がシーヴァの纏う灰茶のストールを小さく揺らす。
秋色の中に佇む、1輪の薔薇。見つけやすいそれにシーヴァは声をかけた。
「ショーは如何かしら、青薔薇のお嬢さん?」
ふわりと鼻腔を擽る香り。薔薇の幻影を解いたシャルルはよくわからない、と小さく呟いた。
「アンタは? 気にいるものとか、好きなものとか」
「そうねぇ。アタシもファッションには疎いのだけれど……シャルル嬢が纏う香りはとてもお洒落だと思うわ」
「……香り?」
思わぬ回答だったのか、シャルルがきょとんとした表情を浮かべる。
「ええ。紅葉した植物、移ろう空、露店やステージに立つ人々……世界はすべて美しくて、愛おしいわ」
勿論薔薇もね、とシーヴァは小さくウインクしてみせる。
「ショーだけでなく、露天もご覧になったかしら?」
「露天は……少しだけ。花をモチーフにしたアクセサリーがあって……」
自ら語り出したシャルル。シーヴァは時折相槌を打ちながら、その話に耳を傾けた。
イルは賑やかな露店に感嘆の声を上げた。
「端っこから制覇したくなるね」
行こう、とイルーネを促して早速近くの露店へ向かうイル。その後ろを子ロリババアのパルマがついていく。
イルーネの連れているシエラ──こちらも子ロリババアだ──は露店の様子にどこか嬉しそうに見えた。
露店を巡る2人。イオがこれ絶対に似合う、とイルーネに髪飾りを勧める。
「そ、そう? 似合う?」
「うん! とっても似合ってるよ!」
照れたように頬を染めるイルーネ。デザイン違いでイオも揃いの髪飾りを買い、次に視線が向かったのはドレスを売る露店だった。
不意にイオがイルーネの服の裾を引く。
「えっと、えっとね……ルネとお揃いのドレス、買ってもいい?」
これがいいの、と恥じらいながら指差したのはモミジ色のドレス。アシンメトリーな裾や袖の飾り紐がお洒落で、生地も暖かそうだ。色違いで黄味がかった近衛柿色もある。
「うん、いいよ。イオが紅葉なら、私はこっちにする」
「ありがとうっ!」
購入した2人は折角だから、と着替え用テントを借りて着替えてみた。軽く髪も結って髪飾りをつけ、顔を見合わせて同時にはにかむ。
「どこかで写真撮る?」
「いいね、場所探そう!」
イルーネの言葉に頷いたイオ。2人と2匹は撮影スポットを探しに歩き出した。
ワルドはシグルーンに連れられて──彼女が先行するので振り回されているに近いが──露店をあちらこちらと巡っていた。眺めるのは楽しいが、残念ながら彼自身はファッションに興味がない。
(シグルーンさんの気に入るものがあれば、買ってプレゼントしましょうか)
なんて思いながら露店の商品を見て、瞬きを1つ。
ファッションには興味がないけれど──。
「シグルーンさん、シグルーンさん」
次へ次へと向かおうとする彼女を呼び止め、振り返る直前にワルドはそれを──パーティグッズにありがちな鼻眼鏡を──装着したのだった。
「……どうしましょうか?」
『ショーを見るしかないだろう』
アケディアに儀式呪具のオルクスが答える。
仲間と共に来ていたはずが、いつの間にやら1人。人混みからして合流は困難だ。
「………人が多いですね」
『せめて始まるまでは耐え給えよ」
何を察したか釘をさすオルクス。座る場所を確保するとショーが始まり、鮮やかな服を纏った人々が現れた。
異世界の祭りを源流とする衣装だ、と聞いたアケディアが小さく首を傾げる。
「…………なんというかすごいですね?」
『おそらくその想像は間違っていると思うが』
そんな会話の間も、ステージに現れる色は移りゆく。
ショーを座って眺めるコーデリアに、すっと何かを差し出す手があった。
視線を向ければ名刺と、スーツを纏った男性の姿が視界に入る。
「突然のお声掛け、失礼いたします。私、ファンドマネージャの新田と申します」
「これはご丁寧に。コーデリアと申します。何か御用でしょうか?」
「申し訳ございません。私は我慢弱く、ダイヤの原石をただ見過ごすことができない男なのです」
寛治がダイヤの原石に──コーデリアにそう告げた、少し後ろでは。
(ショーに飛び入り参加もいいけど……かくれんぼしてる仲間と一緒に眺めた方が今日は楽しそう!)
「わっ!」
「わぁっ!?」
アリソンが死角から飛び出て脅かせば、シャルルが目を丸くした後に「……またアンタか」と安堵して肩の力を抜いた。
「ごめんごめん! 一緒に観てもいいかしら?」
頷くシャルル。その姿を見つけたジルーシャとヨハンも声をかける。
「ね、よかったらアタシも混ぜてくれない? せっかくのお祭りなんだもの、一緒に楽しみましょ♪」
「僕も是非! ファッションとかよくわからないのでモブ化したいです!」
1人で見た光景と、4人で見る光景。同じはずなのにどこか異なるもの。不思議だ、とシャルルは瞳を瞬かせる。
「ファッション、よく分からないって言ってたけど……普段はどうしてるのさ」
「屋敷のご主人様が無理やり着せてくるものばっかりなんですよー」
自分では全然選ばなくて、と苦笑するヨハン。アリソンがステージに立った少女のアクセサリーに目を付ける。
「杏子の花をモチーフにしてるのね」
「あら、本当♪ シャルルはあの服装、どんな印象を持ったかしら?」
「んー……鮮やかで、華やか。どうして?」
その答えと問いに、ジルーシャは小さく笑みを浮かべる。
「知りたいのよ。アタシの見る世界が、他の人にどう見えているのか」
人の感性は十人十色。きっと、誰1人として全く同じ感性を持つ者はいないだろう。
名を呼ぶと、シャルルが視線をジルーシャへ向けた。
「ファッションって、植物と同じようなものなんじゃないかしら。紅葉や花みたいに、自分も世界を彩る一部になるって事。それって素敵じゃない?」
「彩る、一部になる……」
シャルルがしみじみと呟く。隣でアリソンが「そうだわ!」と徐に立ち上がった。
「シャルル、露天に興味はない? 折角露店が沢山出てるんだもの、自分を彩ってみればいいのよ!」
「いいわねぇ。ファッションの楽しさがわかるかもしれないわよ♪」
「気に入ったファッションがあるなら何着か買っておくのも良さげですしね!」
わいわいと盛り上がる3人と共に、シャルルは軽く見ただけだった露店へ再び足を向ける。
その先ではヨルムンガンドが真剣な眼差しで商品を吟味していた。
「アレクシアはまさに女の子、って感じだからなぁ……」
相手に似合う服を選ぶというのは緊張するけど楽しいし、相手も自分に選んでくれているのだと考えるだけでワクワクする。
(このシャツに合わせるなら……)
秋色のティアードスカートを手に取り、さらにリボンのついたケープと白いコスモスの髪飾りを合わせる。
(違う花だけど、これでお揃い……かな?)
自らの角に手をやれば、胡蝶蘭の布細工がついたリボンに触れる。これに似合う服を探す、という言葉を思い出し、ヨルムンガンドは淡く微笑んだ。
一方で、アレクシアも露店の商品に視線を滑らせる。
(これからの季節に使えるもので……ヨル君といえばカッコイイ竜! だからあんまり特徴は隠れないようにかな)
膝丈のワンピースを手に取り、寒い時に着られるロングカーディガンを合わせてみる。
「うーん……」
小さく唸って柄違いを何度か手に取り、上品で可愛らしい合わせに落ち着いた。薄く花柄が入っているから、きっとヨルムンガンドのリボンとも合うはずだ。
((楽しみだなぁ))
同じことを思う2人が合流するまで、もう暫し。
●後半の部
「諸君! ゴッドである!」
人々がざわめく。無理もない、本当に神が降臨したかのような後光が差したのだから。
人は布を纏い、やがてそれらに流行やスタイル等を見出した。細部が違えどこの場にいる者も変わらないだろう。
此度豪斗が人々に見せるのは、元の世界に存在していた『GODay』というマガジンに紹介されたもの。
「マイソロジーの時代に生まれたクロースと、時を重ねナウでヤングフレンズ達が産み出したジーンズ! この融合はまさしくファッションのファッシネーション!」
古きものと新しきものを取り入れた斬新な服装で観客にインパクトを与えた豪斗。その間、ステージ裏の待機場所では──。
(なんで私此処に居るの……)
九鬼は緊張に手汗を滲ませていた。
『よし九鬼! オレにプロデュースされろ!』
始まりはその言葉。服を選んでアドバイスを受け、アピールは派手にやろうと言われて。そして今、隣にいるのはクロバ──いや、謎のプロデューサーを名乗る黒ずくめの男。
(コンテストじゃないし、服も選んだし……腹を括ろう……!)
ステージへ向かう九鬼の背を、謎のプロデューサーは神妙な面持ちで見送った。
「さぁ、ステージで存分に輝け……後輩」
これは謎のプロデューサー──クロバPの初プロデュースである。
九鬼は観客の視線を浴びながら真っすぐステージ前方へ進み、徐にくるりと客席へ背を向けた。ふわり、と翻るスカートの裾に客の視線が集まって──。
「わぁっ……!」
隠し持っていた花束を投げる九鬼。主に女性客から歓声が上がる。花弁が幾枚か散って、黒いドレスワンピースと良く映えた。
「フッ、まぁオレの目に狂いはなかったな」
観客の反応にニヒルな笑みを浮かべたクロバ。退場する九鬼の元へ向かうと、拍手を背にステージを降りようとした九鬼はクロバに気付き──同時に、階段から足を踏み外した。
「「あ、」」
ごちぃん。
痛そうな音の後に、頭を押さえて蹲る2人がいたとかいないとか。
(こういうショーも機会が無いですからね。魅せて、そして観客を楽しませましょう♪)
現れた弥恵の格好に男女問わず「格好いい……」と声が漏れる。
白のブラウスに7分丈のカーディガンで秋の過ごしやすい服装を。下は黒で統一してシルエットを引き締め、足を長く見せる工夫がされている。
弥恵のモデルさながらなウォーキングや動きは『魅せる』の言葉に相応しい。角度を変え、仕草を変え。弥恵は服の魅力を存分に観客へ披露する。
「神に仕える天義の民たる私、派手とは無縁ではありますが……」
呟くロレインが身に纏うのはフリルが多く誂えられたゴシックロリータ。十字架のデザインがスカートの裾でふわりと揺れる。
ステージ上でも祈りのポーズをする姿は天義人らしい。
(今この場においては、お洒落であることが神の御心にかなう状態のはず!)
なんて彼女が思っているとは誰も思わないだろう。
次に出てきたのは──なんと、コーデリアだった。
『高貴なお生まれとお見受けしました。そんな貴女に相応しく、しかし鮮烈な印象を与える衣装があります』
それを着てショーに出てもらえないか、と言うのが寛治の申し出であった。
『私は一介の旅人に過ぎません。ですが、まあお褒め頂き光栄です。観覧だけのつもりでしたが、そこまで仰られるなら……』
申し出を無碍にする理由もなく、寛治の言葉はショーに出てみるのも悪くないと思わせた。
そんな経緯によりコーデリアが纏ったのはディアンドル。観客に服が良く見える動きでありながら、身についている上品さは隠せない。
ディアンドルは村娘が着るもの。令嬢が着れば、それはギャップとなり魅力となるのである。
(まさに、ショーの華に相応しい)
客席から眺める寛治は周りの反応に手応えを感じながら、コーデリアが退場していくのを見て待機場所へ向かう。
コーデリアもまた、感想を聞くべく寛治の元へ足を向けたのだった。
●秋との一体化
1人、エントリーしているはずなのに姿が見当たらないのだとショーの担当者が首を捻る。
だが──実は、いるのだ。
(鮮やかに色付いた紅葉をバックに行われるファッションショー……素晴らしいイベントでございました!)
最初から最後まで、エリザベスは見届けていた。そして、ショーにも参加していた。
(それにしても本当に見つからないなんて……いいえ、ショーを文字通りバックアップするという仕事を完遂できたことに比べれば些細な問題ですわ!)
文字通りバックアップ。
そう、エリザベスは紅葉を貼り付けた全身タイツを身に纏い、ステージの背景となる紅葉に紛れ込んでいたのだ!
ショーに参加した人々を彩る手伝いができたのなら、例え最後の最後まで気づかれなくともエリザベスは本望であった──。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。
白紙以外は描写されていると思います。また、複数個所に登場されているかたがいらっしゃいますので、どうぞご確認下さい。
MVPは全身タイツの貴女へ。背景としてのショー参加は予想の斜め上を行くプレイングで、とても面白かったです。
ファッションの秋、如何でしたでしょうか。お楽しみいただければ幸いです。
またご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。
GMコメント
●できること
ファッションショーに参加 or 一般客になる or その他
●ロケーション
時間帯は昼~夕方。天気は良いです。
周りには紅葉で色づいた木があり、夕方には空も茜色になることでしょう。
中央に簡易的なステージが用意されており、その前にはベンチがあります。
ステージは両手を広げて5人程度並べる広さです。
ステージ裏に出演者の待機場所があります。
ステージから少し離れて、囲うように露店が並んでいます。
値段も質もピンキリ、季節感あふれる商品から奇抜な商品まであります。
●ファッションショーに参加 タグ【ショー】
ショーに参加します。
個人参加もグループ参加もOKです。短いパフォーマンスもできますが、あくまでファッションが主体です。
コンテストではないため、楽しくご参加頂けるでしょう。
服装はプレイングでご指定頂ければ大丈夫です。健全でないと強制退場です。
出演者の流れは以下の形です。終わった後の自由時間を過ごすなら【一般】の方になります。
待機場所に集合→時間になったらステージへ→アピール→終わったら自由時間
●一般客になる タグ【一般】
ショーを見ます。
その他、辺りには露店が並んでいるため買い物ができます。
露店はファッションに関係するもののみが並んでおり、服だけでなくアクセサリーなども取り扱っています。
●その他 タグ【その他】
スタッフとして動きたい、露店を出したいなどはこちらです。
ただしシナリオの内容として逸脱するものはNGとします。
また、この働きで賃金が発生することも利益が発生することもありません。ご了承ください。
例:自作アクセサリーの露店を出す→OK
飲食の屋台を出す→NG
●同行NPC
「一般客になる」のパート限定で『Blue Rose』シャルル(p3n000032)が同行できます。
ファッションというものはよくわからないが、色んな服を見られるということで興味はあるようです。
ギフトを使用し、木の傍で自身を薔薇に見せかけています。人の姿を見せているよりは目立たないだろう、という判断ですので、声をかけて頂くなどすれば普通に姿を現すでしょう。
●注意事項
本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
同行者、あるいはグループタグは忘れずに。行き先タグは必須ではありません。
●ご挨拶
愁と申します。
蠍が幻想で蠢いているけど一息いれてもいいじゃない? ということで秋のイベシナです。
ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
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