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シナリオ詳細

<廃滅の海色>廃滅の夜に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あの絶望の海で
 『占い師』の女、ベアトリーチェ・ラ・レーテの残した傷痕は未だ癒えず。
 信じていた聖教会内部に不倶戴天の敵である魔種が存在したことによる国政への不信。
 そして天義の掲げ断行してきた正義への不満から生じた国そのものへの不満。
 そんな中で天義に降りた新たな神託は『主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我らは歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』という国内を揺るがすものでであった。
 箝口令が敷かれていようと、シェアキムや騎士団を偽の預言者や歴史を歪めた悪魔であると糾弾するそれは大きな波紋を呼んでいた。
 少し前に発生していた――鉄帝国との国境沿いである『殉教者の森』に姿を見せた『ベアトリーチェ・ラ・レーテ』の暗黒の海と汚泥の兵達。致命者と呼ばれた人々。
 其れ等は歴史修復のための進軍であったと告げるかのようだった。
 加えてエル・トゥルルにおける聖遺物の汚染。
 天義の巨大都市テセラ・ニバスを侵食した『リンバス・シティ』の顕現。
 様々な暗躍はしかし――イレギュラーズの協力により、深刻な事態は避けられていた。
 そして、今……リンバス・シティの調査は、その果てに一つの新たなる領域を見つけ出した。
 それが『神の国』と呼ばれる、ルスト陣営が広げている空間の事だった。
 この地は天義の国に『帳』として降ろされ定着されているリンバス・シティ……とは異なり、まだ『現実に定着していない領域』であるという。
 聖遺物を核としているこの領域は、言うなればリンバス・シティの前準備の空間。
 時間をかけて定着する事によって――いずれは第二・第三のリンバス・シティも出来上がる事だろう。
 故に。イレギュラーズには新たにこの地の調査・核となり得るモノの破壊依頼が舞い込んだのだ。
 そして、今。天義を中心に広がっていたその動きは、新たな局面を見せつつある。
 幻想で……そして今度は、海洋で。
 その恐るべき企みは今この瞬間も進行中だったのだ。
「……陰鬱な場所ですね」
「ああ。此処には不幸のみが蔓延している」
 そんな会話が船のマストの上から響く。どうやら此処は海上のようだが……。
 暗い海に、何隻かの大型船が停泊している。
 大型船団と言ってもいい、そんな船の群れだ。
 丁度航行機能に問題があり、停泊せざるを得なくなっているのだ。
 幸いにも食糧も水も充分にある。何も問題はない。ないが……。
 此処には、とある問題がある。
 廃滅病。現実ではすでに解決したはずの、あの恐るべき病だ。
 それが、この海域には存在している。なんということか。あの『絶望』の日々がまたやってくるというのだろうか?
「しかし、これが正しい歴史であるというのであれば俺たちはこれを受け入れねばならない」
「はい。分かっております。我等が聖拳よ」
「……慈悲の心を失う必要はない。偽りの粉砕は何よりも優先すべきこと。正しき救済は、然るべき時に行われるだろう」
 その言葉に、少女は「聖拳」と呼ばれた男に敬意を示す姿勢をとる。
「此処は任せた、致命者たるマーサよ。俺は別の場所に赴かねばならん」
「お任せください『遂行者』たるエクス、我等が聖拳よ。この地は私が守護しましょう」
「警戒せよ。歴史修正を阻む者は現れるだろう」
「はい、認識しております。全て、打ち砕いて御覧に入れます」
 全ては、正しき歴史のために。

●神の国へ
「神の国の件についてはもう聞いていると思うです」
 【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々にそう切り出した。
 神の国。リンバス・シティの前準備の空間と呼ばれる場所。
 リンバス・シティと比べると『神の国』は地への定着率が低く、現時点では存在しているが、梯(道)がなければ至る事の出来ない領域で、聖遺物などを梯にしてようやく移動できる地であるのだという。
 言ってみれば、今のうちにどうにかしておかなければならない場所……ということだ。
 しかしその神の国だが、テセラ・ニバスの帳(異言都市(リンバス・シティ))の内部に存在していた『アリスティーデ大聖堂』より『神の国』の各地へと移動できるようになったのだ。
 簡便に言えば空中神殿でのワープのような役割を果たしているようだが……まあ、要は便利になったということだ。
「今回の目標となる『神の国』は、海洋です。それもあの『絶望』の再演……いや、相手の目的を考えれば『やりなおし』とも言えるですね。動けなくなった船団のいる海域です」
 行けば、恐らくは「新人船員」として認識されることだろう。
「今回の聖遺物は『聖ドミニクのランタン』と呼ばれるものだと推測されているです」
 かつて嵐の海の中でも輝き船員たちに希望を与えたと呼ばれるランタン。
 しかし……それが今絶望をもたらすというのであれば。壊すしか、ないだろう……!

GMコメント

神の国『海域B-05」に潜入し、聖遺物を探してぶっ壊しましょう!
今回は海上探索アドベンチャーです。

●海域B-05
神の国。皆さんが向かった時は丁度夜でしょう。
全部で10隻の大型船からなる大船団ですが、不具合により船団が停止しています。
この不具合が皆さんの滞在中に直ることはありませんが、探索には丁度良いです。
なお、空は分厚い雲で覆われておりその先に突破することはできません。

●大型船×10
未知の海域へ向かう船団です。停止中ですが。
廃滅病が蔓延していますが、特に危険な者は島で休んでいる、とか。
なお、皆さんが廃滅病にかかることはありませんのでそこはご安心ください。

●出てくる敵
・船員×不明
神の国の住人たち。現時点では会話が出来るようです。
ROOのNPCの様な、地の国を参照――つまりはコピーされたような存在です。
つまり知り合いっぽいのや自分そっくりなのもいるかもしれませんが、全くの別人です。
皆さんが明確に「敵」となるような行動をしない限りは彼等は「一般人」でしょう。

・変異種(アナザータイプ)×1
廃滅病におかされた人々が海にさまよう怨念『棺牢(コフィン・ゲージ)』に憑依された結果発生する怪物です。
狂王種と同等かそれ以上の強さや能力をもちます。
知性を徐々に失い、それに伴い姿も怪物に近づいていきます。
変異初期の変異種がいる可能性があります。遭遇すれば戦闘になるでしょう。

・影の天使(強化型)×不明
羽の生えた鎧の兵士の姿をしており、倒す事で消滅をするようです。
剣を掲げ、何かに祈り続けるかのような仕草を見せる事が多いようです。
武器は剣による近距離攻撃と、剣から放つ波動による中~遠距離攻撃です。
主に屋根の上や空中に居て、なんらかの敵性行動を取る相手に反応します。
数が減ると分厚い空の雲の向こうから追加が現れます。

・『致命者』マーサ
盾を掲げる少女の姿をしています。
かつてアドラステイアの渓に落とされた少女の姿にもよく似ていますが、どうやら本人ではありません。
盾から衝撃波を放つ攻撃と、範囲の味方を癒しBSを解除する「天意の歌」を使用するようです。
皆さんが「正解」に近づいた時、何処かから出現するでしょう。

・『聖拳』エクス
今回はいません。

●ちょっとしたこと
本シナリオでは『竜宮幣』を使用可能です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <廃滅の海色>廃滅の夜に完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年06月07日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
武器商人(p3p001107)
闇之雲
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●廃滅の夜に
「さて、今回の仕事は『聖ドミニクのランタン』の破壊だ。聖遺物をぶっ壊して、現実を取り戻す。廃滅病なんて復活させちゃあいけねえよ。ましてや、それを人の手で起こそうなんてな」
「絶望の再演なんてお断りだ……もうあの海域に絶望なんて齎させない。聖遺物のランタンは興味あるけど、定着させない為にも破壊するよ……!」
 『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)と『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)がそう言い合う。
 海域B-05。10隻の大型船で構成された大船団のいる海域だが……注意すべきは、此処は神の国だということだ。
 此処の何処かに聖遺物『聖ドミニクのランタン』があるわけだが、流石に大型船10隻となると範囲が広い。
 そこで2つの班に分かれたというわけだ。幸いにも新人船員として認識されているようであり「不具合により船団が停止している」状況もあり、船を移動し動き回ったところで何も言われはしない。
 だからこそ堂々と義弘も暗視とハイセンスを活かして行動していた。
 夜目が利いて感覚が鋭いんだから、立派な新人船員だろ? と、こういうわけである。
(乗船している奴等に聞き込みをするわけだが、貴重品の保管場所や不自然に明るい場所を確認できるようにしたいところだ。軽く握らせる事も考えねえとな)
 その為に義弘は闇憑き餅も持ち込んできている。
「船上で敵対したいわけじゃねえからな……」
 特に変異種の行動には十分気を付けなければ、とも考えている。
 変異種を早期に発見して、見咎められないように気を付けなければとは思っているが……どのみち戦闘は最終手段だ。
 だからこそヨゾラも鳥のファミリアーやギフト「興味への道しるべ」などを使用しながら探索していた。
「聖遺物『聖ドミニクのランタン』……嵐の海の中でも輝き、船員達に希望を与えた素敵な物が絶望の再来を目論んで利用された……悲しいね」
「ま、この一連の事件は全部そうだ。どうにかしねえとな」
「うん、その通りだ」
 義弘に頷きながらヨゾラは周囲をしっかりと確認していく。
 まず、基本だがランタンや明かり等は確認する。何処に紛れ込んでいるか分かったものではないからだ。
 見逃しが無いように透視で壁の向こうの部屋等も見て、ランタンなどがないか確認するのも忘れない。
 解錠で鍵を開けるのは必要時のみだ、余計な騒ぎになる可能性は出来る限り排除しておきたい。
「ん? ああ、新人か……何してんだ?」
「雑用です。頼まれちゃいまして」
「おお、そうか。頑張れよ」
 新人船員らしく振舞うことで敵対しないのは勿論、ランタンの燃料確認等なら自然な形で確認や聞き込みできるかとヨゾラはそれらしき理由をでっち上げる。
「ランタンの燃料確認をしたいんですが、念のために予備のランタンについても教えて頂ければ」
 聖遺物のランタンが仕舞われてるかもだし、とヨゾラは言葉の裏にそんな本音を隠す。
(船にないなら……変異種が持ってる可能性もある。それも考えておかないと……)
 地道な作業ではあるが、大型船10隻分の船員を敵に回すよりは余程良い。
「部屋の中で灯りとして使っているのなら、幾らか楽に見つけられそうだが……見回りが持ち歩いていたら厄介だな」
 『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)に『闇之雲』武器商人(p3p001107)も「そうかもねェ」と頷く。
「10隻の大船団かァ、かなり大所帯だ。探すのは一苦労しそうだから効率よく探さないとね」
 そちらは頼むよ、クウハ……とこの場に居ない彼へと思いを馳せながらも、武器商人は広域俯瞰と透視に暗視も併用して探索していく。
「こんな暗いご時世だ、『聖ドミニクのランタン』の逸話にあやかって希望を与えてくれと祈りたくなるってものさ」
「ドミニク? あー、そんな話もあったような気もするな。ま、そんなもんがあれば祈りたいもんだね」
「探せばあるかもしれないと思わないかい?」
「どうかな……俺には良く分からんが、こんなただの船員の部屋にはないんじゃねえか?」
 ところで、と船員は足元の猫にチラリと視線を向ける。
「こんな猫はいたっけな……? まあ、可愛けりゃいいんだけどよ」
 直接的な情報が出てくるとは微塵も武器商人は思っていないが、こうして多少の絞り込みはできていく。
 そして汰磨羈もまた超聴力とエコーロケーションを活用した索敵を行いつつ進んでいく。
 特に、変異種と他の敵が混在している状態で戦闘に入るのは阻止したいと考えているからこそ、変異種が出す特徴的な音があれば覚え、警戒と回避に活用しようとも考えていた。
 必要に応じ、闇の帳による先行偵察で様子を探り、身を潜められる場所があるなら、ギフト「瑞猫『白瑩』」による猫化も活用していく準備も出来ている。
 ちなみに先程の猫も汰磨羈だというわけだ。
 すり寄ったりなんだりで相手を癒し、緊張感を解して話し易い状況を作るという狙いだったのだ。
「船員というのは、閉鎖環境でのストレスと隣り合わせだからな。癒しを求めるのは必定というものよ」
 そういうことらしい。様々な手段を駆使しながらも、探索は続いていく。

●明けよ、廃滅の夜
「船団十隻の中から目的の物を見付ける、ですか。なかなか難しいような……意外と楽なような?」
「どうかねえ。確かに慣れればいける気もするな」
 コツさえ掴めばいけるような気がします、と言う『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)に『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)もそう頷く。
 クウハは2匹のネズミのファミリアーを召喚し、連絡手段として義弘たちの1班に片方を預けることで聖遺物発見時、敵襲の際は合流できるようにしていた。
 更にはオラクルやエネミーサーチ、広域俯瞰を使用することで変異種や影の天使の襲撃を警戒するようにしていた。
 万が一変異種などが甲板にやってきても、これで多少の警戒にはなるということだ。
 怪しいものがないかを探りつつ、船員たちの様子を伺うクウハは、今のこの状況を利用することにした。
 そう、廃滅病が蔓延し船団も停止しているこの状況は、不安の類が広がっていくには充分すぎる。
 だからこそ、その状況を利用し懐に入り込むのは充分に可能であるように思えたし、実際クウハは不安がっている船員や不真面目そうな船員に積極的に声をかけ、持ち込んだ極楽印の祝酒をチラつかせて酒盛りに誘っていく。
 しぶられたり他の船員に止められる様なら説得し、丸め込むのも忘れない。
「今は飲んでる場合じゃないって? こんな時だからこそ飲むべきなのさ。暗い顔してたらそれこそ病気になっちまう。病は気からっていうだろう? 美味い酒を飲んで一時だけでも愉快になるべきじゃないか」
「まあ、それはそうかもしれないな……」
 こんな状況だからこそ、余程責任感のある者以外は羽目を外すチャンスを探している。
 そこにクウハの誘いは、まさに渡りに船ではあるのだろう。
 『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)が余興としてアクロバットなどを適切なタイミングで披露するのもまた、仲良くなるために役立っているだろう。
「なるほどなあ、そんなことがあったのか。そんな時に噂に聞く『聖ドミニクのランタン』があれば楽だっただろうになあ」
 船員達に酒を勧め、武勇伝や愚痴などを聞いてやりつつ聖遺物についてそれとなく聞き出そうとしていくクウハだが、その間にも
ファミリアーを船内に走らせ得た情報を元に聖遺物を探していく二重作戦であった。
 そしてフルールもファミリアーで梟を召喚し、空から変異種と影の天使の位置を把握しておこうとしていた。
(変異種と影の天使は遭遇したら戦闘は避けられないでしょうから、捜索の間はなるべく戦闘にならないように迂回したいところですけど……もしランタンがあるとしたら、変異種の近くにありそうだけれど、他の場所にない場合にいく方が合理的でしょうか)
 それは分からない。変異種がガーディアンなのか、状況を混沌とさせるだけの存在なのか不明だからだ。
(いざという時は、逆に敵を呼び寄せて、もう一組が動きやすい状況を作るのも手ですね。船員達は幻影みたいなもので、本当の人間じゃないのですよね? それなら遠慮なく倒しましょう。あくまで敵として攻めてこられた場合ですが)
 そんなことをフルールも考えてはいたが、全て事実であり……そうしたいざというときのドライさもまた、神の国では必要なものだろう。
「さて、ランタンはどこでしょうかね? 神の国の触媒であるなら破壊してしまえば此処も消えるのですよね。遺物は歴史を知るための貴重なサンプルであるのに、破壊するのは心苦しいですよ」
『聖ドミニクのランタン』、光源ということで船内にはありふれていそうだし、地道に探索していった方が良さそうだね。逸話が知られているのであれば、船長やそれに準ずる重要なポジションの人が持っていそうだけど、知られているかどうかも不明だから」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)もフルールにそう答える。
 実際、こうして聞き込みしていると分かるのは『聖ドミニクのランタン』に対する「聞いたことはあるような、ないような」といった反応である。
 不自然にならない範囲で後光を使いながら、タフネゴシエイトも併用し船員にそれとなく話を聞いていく。
 色々と聞き方は変えるが主題は「船を回ってランタンを探す理由として、新人船員なので停まってるうちに船の構造やそこにあるものも把握しておきたいということ、嵐の海の中でも輝くという逸話のあるランタンの話を聞いたことがないか」などだ。
 あるならば宝物庫など、ランタンが置いてありそうな場所も効率良く探していくのも重要だ。
(道具や宝の数は膨大でも、私達に必要なのは聖遺物のランタンだからね。隠されていたとしても看破で見破れるはず……!)
「廃滅病とは酷いものだな……これを現実に再び持ち込まれればどれほどの民が傷つくことか。絶対に阻止しなければならんな」
 エーレンもそうして船内の状況を見ながら呟いていた。
 事実、どの船も廃滅病の蔓延により暗い雰囲気が漂っていた。こんなものを現実に再び蔓延させるわけにはいかない。
 ……ちなみにだが、エーレンは今回1班にファミリアーの呼び出し代わりに木の実を渡していた。
 ファミリアーが任意に五感を共有できるものだからこそのものとも言えるが、さておいて。
 クウハたちと組んで相手の懐に入り込むことで雰囲気が緩んだところで船内の構造やランタンがありそうな倉庫の場所などをさりげなく聞き込んでおく。
「少女? いや、知らねえなあ」
「そうか……」
 普段と違う位置に置かれていたランタンや、あるいは致命者マーサがランタンに張り込んでいる可能性も考慮し見慣れない少女を見かけなかったかどうかも聞いていくが……そんな中「船倉になら使ってないランタンがあった気がするな」といった情報を得てクウハたちは船倉へと向かい……そして、気付く。ここが1班を呼ぶべきところであると。
 船倉の奥で1つだけ光量の強いランタン。そこに近づくと同時に、盾を構えた少女の姿が現れる。
「……来ましたか。ですが、貴方達を生かして返しはしません」
「マーサ、マーサ。致命者。過去に亡くなった者の形に別の命を宿した存在。あなたはだぁれ? 可愛い子、悲しい子。間違った歴史を修正したい? 私には何が間違ってて、何が正しいのかはわからない。あなた達が間違っていると言うのなら、それでも別に構わない。そうね、この世界は間違っている。どこもかしこも歪で、積み重なった罪悪はきっと穢濁に染め上げて。でも。だからどうしたと言うの? あなたの意志は弱いですね」
「それがどうしたというのです。絶対的な正しさの前では全ては些細なことであると知りなさい」
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。こんな病が蔓延するのが『正しい歴史』か? 克服のために積み重ねてきた先人の努力、無にはさせんぞ」
 竜宮のネオン・サインを輝かせたエーレンが更にSSSガジェット3.0bを解禁する。そしてそこに義弘たちも到着する。
「……そんなに今を否定したいのかよ」
「多くの命を失いながら切り開いた道だ。無かった事になどさせんよ――絶対にな!」
「絶望の海域のまま超えられないのが正しい歴史な訳ないだろ! だからごめんね、女の子だからって手加減はしないよ……!」
 そうして、戦いの果てに……聖遺物たる『聖ドミニクのランタン』は破壊され、神の国の切除は完了する。
 故に、この海域にあった廃滅病が地上に蔓延することは、ない。
「いずれエクスも、エクス以外の傲慢連中もぶちのめす……!」
 そんなヨゾラの言葉は、きっと今日この場にいた全員の気持ちであっただろう。
 いずれ、そう、いずれ。そこへと辿り着く日を……誰もが、望んでいる。


成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

なし

あとがき

神の国「海域B-05」を切除完了しました!

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