シナリオ詳細
<黄昏の園>クワガタなんかに負けたりしないっ
オープニング
●クワガタがでたぞ
ヘスペリデスの草木は名も無いものばかりだ。
美しくはあるが、誰もその名を知らない。それはまるで、このヘスペリデスという場所の本質を現しているかのようだ。
しかしまあ、そういう諸々はさておいて。今大事なのはヘスペリデスに木があって、木があれば樹液があるということだ。
そして樹液があれば虫が来る。まあ、当然のことだ。あまりにも当然だ。
しかしあまり当然とは言い難くて、なおかつ「なんでそんなことが起こるの?」ということもある。
それはたとえば、樹液に惹かれてやってきた虫が全部クワガタムシに似た小型亜竜で。
その亜竜の中に、女神の欠片が混ざっているとか……そういう事態であろうか?
有り得ない、などと言う者はまだ覇竜という場所を理解していない。
未知の中の道、溢れるフロンティア。
そんな場所の最前線たるヘスペリデスに、何がいたっておかしくはない。
だから、その中に女神の欠片が混ざってたってまあ……「そういうこともあるよね」って感じなのだ。
●ハサミクワガタ
ラドネスチタによる『選別』をうけ、イレギュラーズが辿り着いたのは『ヘスペリデス』と竜種達の呼ぶ緑豊かな場所であった。
この場所は『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスが竜種と人の架け橋となるべく作り上げたらしい。
人の営みを真似して作った遺跡は不格好。咲く花はデザストルの特有の名も知らぬ花。
覇竜とはこのような未知だと再度突き付けるようなこの場所はされど、不器用で不可解な感情を形にしたかのようでもあった。
いつか滅びに向かうのだというこの場所において……やるべきことは、幾つも存在する。
「そう! それが『女神の欠片』なんだよ!」
【鉄心竜】黒鉄・奏音 (p3n000248)は元気な声でその名前を告げる。
女神の欠片。それは『花護竜』テロニュクスと『魔種・白堊』がベルゼー・グラトニオスの苦しみを少しでも和らげるためにイレギュラーズに協力を要請したというモノの名前だ。
勿論、何処まで信じていいものかは分からないが……女神の欠片は様々なものに形を変えているという。
たとえばそれは亜竜の卵にであったり、あるいは竜種の鱗にくっついていたり。
勿論そのようなもの、命懸けになることは確かだが……多少ではあるがもう少し生き残れる確率が高いものもある。
それがヘスペリデスに飛来してきているという「ハサミクワガタ」だ。
こうして名前を聞くと生き物に思えるが、そうではない。
どうやら何かの魔道具のような形をとった女神の欠片であるようで「所有者の後をついてくる性質を持つ」ものであるらしい。
そして困ったことに、現在の所有者は亜竜「バッチンクワガタ」であるようなのだ。
女神の欠片であるハサミクワガタとそっくり……というよりはハサミクワガタのほうが寄せているのだろうが、そんなバッチンクワガタの後をついて回り飛んでいるようなのだ。
幸いにもヘスペリデスに留まっているようなので何処かに飛んでいくことはないが……何処かに消えられては大問題だ。
今のうちに捕まえ回収しなくてはならない。これもまた、女神の欠片の関わる大切な仕事なのだから。
- <黄昏の園>クワガタなんかに負けたりしないっ完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年05月25日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●セレマが死んだ!
「セ、セレマ君が死んでる……!」
「大丈夫。死んだけど生きてる」
「あ、良かった。いつものセレマ君だった」
『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)がホッとするが、気が付くと死んでいる儚い生き物……もとい『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)は通常運行である。
「まあ、とにかく今回もよろしぐわーーーーーー!!」
ヨゾラも鼻を挟まれているが、一体何事なのか。
なんか身体張る芸人の戯れに見えるが、実はそうではない。これは亜竜バッチンクワガタの中にいる女神の欠片「ハサミクワガタ」探しのための……そう、大切なお仕事なのだ。
「……こ、このバッチンクワガタ達の中に女神の欠片が……! 何度! 挟まれてでも! 絶対に鼻を挟まない優しいハサミクワガタを手に入れるぞー!」
「おー……あっ」
「セレマ君が死んだ!」
大丈夫、生きてますよ。というわけでセレマが死につつもクワガタ獲りが始まった。
「パッチンクワガタ以外に罪はないからね」
保護結界を使用しながら、ヨゾラは樹液を舐めに来ているバッチンクワガタ達を片っ端から調べようとしていく。
「見た目には普通なのにわーーーー!!」
幾億の罪とたった一つの罰により殺さない一撃を得たヨゾラはバッチンクワガタに一撃を入れるが、痛いものは痛い。
セレマは死んでるし。生きてるけど。
「女神の欠片は強度高くないのもあるからね……ってあー!」
場合によりマリシャスユアハートで敵引き付けようと思っていたが、引き付けるまでもない。
「僕は大丈夫だから、って多い多いぎにゃーーー!!」
鳥のファミリアーもヨゾラは飛ばしていたが、つまるところ鳥のファミリアーが挟まれたら五感を共有するとヨゾラも痛いわけでアーッと悲鳴をあげる。そんな感じで鼻が凄く痛いことになりながらもヨゾラは木に留まる等しておるクワガタ達を観察していく。
「パッチンクワガタなら樹液を舐めるけど、ハサミクワガタは舐めない……ハサミクワガタは所有者についてくる。だから樹液舐めてる奴と先頭飛ぶ奴はパッチン痛いーーー!! あ、あと周囲の木が多いし結局地道な確認が大事でみ゛ゃーーー!! 増えた増えた! あーっ!」
「うわあ……ヨゾラの鼻がクワガタで凄いことに……」
バッチンクワガタがヨゾラを限界まで挟んでいるのを見ながら『鉄心竜』黒鉄・奏音(p3n000248)は呟いて。
「黒鉄さんも来てくれるんだね、嬉しい……!」
「あ、余裕あるね」
「まあね……!」
(…あれ、ちょっと待て。パッチンクワガタは彼女も狙うのでは…?)
奏音が鼻を挟まれるのはかばおう……などと思うヨゾラの横でセレマが死んでいた。生きてるけども。
「皆が鼻挟まれるの心配だけど皆歴戦の特異運命座標だ……きっと何とかできる……! ……あ、鼻痛いなら言ってね、回復するから!」
そうしてセレマが死んだりしてる近くで『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)もクワガタをじっと見ていた。
「どれもこれも同じに見えるから、やはり150匹の中から見た目で判別は難しいか。となれば、鼻を挟んでこないものが見つかるまでトライあるのみ!」
そう、150匹もいればどんな方法をとっても時間が凄いかかる。ならば、挟まれてみるのが一番早い。
女神の欠片用のカゴは奏音が持ってきているので、ゲオルグはバッチンクワガタを隔離しておく用のカゴを必要な分だけ用意していた。
「一度鼻を挟んできたクワガタはこのカゴに入れておけば未判別のものと混ざるのを防げるはずだし、そうしておけば、無闇に攻撃したりしなくて済む。あくまでも部外者は私達でバッチンクワガタは元々このヘスペリデスに生息しているのだ。なるべくならば傷つけずに済ませたい」
セレマが死んでいるのを背景に、ゲオルグはそう優しい瞳で持ってきた籠の山に視線を向ける。
「それに下手に攻撃とかするとバッチンクワガタがどう動くかわからないし下手をすると他の亜竜が音を聞きつけてやってきてしまうかもしれないからな。あとは……今回は奏音もいるからなるべく危険が予測される行動は控えたいのもあるな」
他の理由としては自然に関してもなるべく破壊したりしないように済ませていきたいというのもある。
下手に自然環境を狂わせてしまうと周辺一帯の生態系が狂って大変なことになってしまうかもしれないと考えているからだ。
「まぁ、そうなると地道に1匹ずつ調べるしかないわけだ。鼻を挟まれるのは出来れば勘弁してもらいたいがこれも仕事だ。それしか判別の方法がないのでは致し方がない。回復していきながら判別していくとしよう」
「それはいいんだけどさ」
「なんだ? 奏音」
「そのクワガタ……後で離す時に挟んでくるんじゃない?」
「……」
「……」
「なんだよ」
2人が同時にセレマを見たのには特に意味はない。たぶん。
「そういえば、子供の頃には両親と生き別れて暗殺者組織に拾われて暗殺技術を叩き込まれていたから、こういった事はした経験がないな……なんだか童心に帰ったみたいでちょっと嬉しい。せっかくの機会だし楽しませてもらうとしようか」
「おい待てボクの目を見てみろ」
「だが、いくらなんでも鼻に対する執着が凄すぎないか? 親の仇と言わんばかりに思いっきり挟んでくるのだが!? しかも鼻以外は全然挟んでこないのは一体どういう事なのか……!」
「いいからこっちを見ろおおお!」
2人に「仲良くしろよ」というかのようにバッチンクワガタが飛んでいったのを傍目に、『運命の糸は繰り逢いて』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)はいっぱいいるクワガタを見る。あとセレマは死んだ。生きてるけども。
「なるほど、亜竜バッチンクワガタ150匹はさみほうだい……なんて? いま俺の覇竜領域の印象のトンチキ度がまたちょっと上がったぞ」
大丈夫、覇竜は元々そういうとこがある。さておいて。
「俺はこうして目元を隠している訳だが今日はあえて口と鼻も別の布で覆っておこう。来いよクワガタ、鼻など見せてはやらないがかかって来……くっ、ほんとに来るヤツがあるか。なんで正確に鼻を狙ってくるんだ!?」
たまたま避けた方向にセレマがいたのでセレマが死んだ。
「クワガタの生態についてはちょっと調べてきた、いやこいつは亜竜だけど。練達では既になつやすみの自由研究に向けて飼育ガイドが広く出回っていてな。そいつによれば、捕獲用の餌はバナナがお勧めナンバーワンらしいぞ。こう、罠設置の応用で吊るして……自然知識やサバイバル、冒険等も役に立つだろうか? ところでクワガタも虫なら光に集まってきたりするのでは? ……成程日中、そして虫じゃなくて亜竜。知ってた。残念だな、光なら(後光で)準備できたのだがな」
勿論、ただ挟まれるだけではないし不殺を貫くつもりだが、英霊残響:怨嗟を放つつもりでもいた。
「このような悪でない小さきものにやり過ぎだろうと思わなくもないし自然環境とかなんかそういうのがあるかもしれないからひとまず不殺しておけばセーフだろうという考えだ」
ちなみにさっきセレマが死んでた気もするが、生きてるので大丈夫だ。
「できれば鼻を守りつつたたかうがやむを得ぬ場合は致し方がない鼻を囮としてでもヤツらを滅し……てはいけないのだったな。はさまないクワガタ(欠片)を見つけるまで再生やポーカーフェイスで耐えるぞ。は? そんなもので耐えられるのかって? 耐えられるに決まっているだろう、病は気からだぞアーッ」
ポーカーフェイスだろうと再生してようと痛いもんは痛いのである。
●セレマが死んだ! NEXT DIE
「セ、セレマさんが死んでます……!」
「まあ、生きてるんだけどな」
『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)がホッとした様子を見せるが、セレマがやさぐれているのは気のせいだろうか?
さておいてユーフォニーは事前にフリアノンでバッチンクワガタの好物を資料検索していた。
しかしまあ、樹液が好物という「あ、クワガタそのもの……」という結果が出てきていた。
「やっぱりというかクワガタです。というわけで蜜とか昆虫ゼリー的なものをたくさん持ち込みましたし虫網も忘れずに持ってきています!」
「えっ、蜜とかをたくさん?」
「はい。え?」
奏音が妙な顔をしているのに気付きつつも、ユーフォニーは気付かずに微笑む。
「奏音さんお久しぶりです。ちょうど相賀さんとも冒険してきたばかりなんです。今日はよろしくお願いしますねっ」
「……うん、ねえ、ユーフォニー。あ、もう遅いか」
「え? アーッ」
蜜の香りに引き寄せられてきたバッチンクワガタの群れにユーフォニーが挟まれたが、ひとまず大丈夫である。
「き、気を取り直して……! 所有者であるバッチンクワガタの後をついてくる性質を利用します。彼らの好物(または蜜やゼリー等)をクワガタ達に自慢げに見せびらかし、奏音さんと一緒にえーいっ、と思いっきり投げます。投擲の修行ですね! きっと追いかけて行くはずです。後ろの方の個体を重点的に探せばバッチンもされずに楽勝ですよ!」
「うん。じゃあユーフォニー、練習で投げて?」
「え? はい。えーい! ……え? 追いかけて行かないです?? ってなんでこっちにアーッ!」
「そうなるよねえ……亜竜だもん……」
お前が持ってるだろうこの野郎、ということだろうか。野郎ではないけども。あと関係ないとこでセレマが死んだ。
「そ、そんな……うぅ、これも修行です……! 勇気を灯す色を付与し、頭から彼らの好物を被りクワガタの群れへレッツゴー……! 頑張れ機動力! 回れEXA! そして覇竜の導き! 大きく円を描くようにダッシュ! さあクワガタさんこっちです…! ぐるーっと回って最後尾に追いついたらハサミクワガタを捕まえられるはず……!」
どうだろうか。その結果は……囲まれたユーフォニーが示していた。
「……EXA回らない? 追いつかれる?? バ、バッチンされてもEXF100! 全っ然余裕なんですからっ……あっ今井さん帰ってきて戦い方戻したからEXF無いんでした……た、助けてムシャムシャくん……! え? 今こそムシャムシャフォームの時!? それはちょっと……」
ユーフォニーがなんか見えちゃいけないものが見えている気がさておいてセレマが死んで、『最後のナンバー』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)も挟まれていた。
「おれの鼻があと少し高かったら……死んでいたな……」
言いながら鼻を挟まれている辺り、ヤツェクも中々に余裕がある。
「一人当たり十数匹受け持てばいい、と思えば気楽だが思いっきり挟まれたら痛い。まあ、こんな時は人生経験豊富な冒険野郎のおじさんに(ばっちこーん)まかせなさい」
2匹目に挟まれても泣かないヤツェクは流石だ。
「出でよ穴掘七箇条! 冒険で未知の土地で虫取りをするときの心構えを! サバイバルでクワガタに挟まれた時の応急手当を! 捜索でクワガタの住処を足で探して! 住処を見つけたら捕獲開始! おもむろにいい感じの香水を振りまいて。ギフトで甘い曲を演奏しながら信仰蒐集と誘惑でクワガタを引き寄せる! そしてEXAを生かして上手い具合に逃げながらクワガタたちをトレイントレイン! おれが時間を稼いでいる間に横から捕まえてく(ばっちこーん)れっ! なあに、冠位魔種とも(ばっちこーん)戦ってきた(ばっちこーん)ん(ばっちこーん)だ、この程度のばちこーんなど問題な……(バチバチバチバチ)多いぞこれ!?」
ヤツェクが挟まれ過ぎてビクンビクンしているが、また死んでいるセレマとどっちがマシかはよく分からない。
しかしまあ、死んでないなら問題はない。『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)も特に気にしていない。
「奏音ちゃん久しぶりー! 道場破りの依頼以来じゃないかな?! 久しぶりに会えてホントに嬉しいよ! 今回もよろしくね! 一緒にベルゼーさん……里おじ様、助けるの手伝うよ!」
「うん、よろしくね!」
2人の背景でセレマが死んでいるが、和やかな光景である。
「……にしても、クワガタとかよく取ってたけど、ここまで数がいたら心の小学生大歓喜だね! どれどれどんなもんか触ってみ……あんぎゃぁぁぁぁぁぁいだぁぁぁぁいいいいい!!!!」
「え、なんで触ったの?」
「いけると思って! おかしいでしょこんなの! 挟む力強過ぎて鼻が赤くなった挙句に季節外れのシャイネンナハト始まるやつだよ! で、でも、ここから女神のかけらがあるクワガタを探せばいいんだよね! この際、覇竜でリアクション芸人目指してがん……ギャァァァァァァ!!」
リアクション芸人というにはちょっと悲鳴が悲壮で「恐怖! キラークワガタ」という感じであるがさておいて。
「まだまだ! 携行品の試練の香水を使うよ!こういう香料に昆虫って寄ってくるっていうからさ……こういう時は、全力を尽くすのが正義の味方ってもんだよね⭐︎ 大丈夫、アタシにはギャグキャラがついてる。トップリアクション芸人を目指してやろうじゃないの……! 面白ければ全てよし、相手がコンプラがないってんならこっちもコンプラなしで挑むよ! って言ってもこっちは命で受け……痛いってマジでほんとに!」
セレマがまた死んだが、さておき『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)も挟まれて「にゃああああああああ!?」と悲鳴を上げていた。ねこなので。
鼻をばっちんってやられる度に都度べしってやって、別途様子の違うのを見つけたら捕らえる方針でやっているが、それでも中々に辛いものがある。
「計15匹、一人頭1.6人なので、まあ我慢できなくはない程度。ええ、その程度ならなんとでもなると思って来たのです。そのはずだったのです。……その、よく見たらなんだか桁がおかしくありません? 15じゃなくて150?」
用意されたカゴにもある程度入れているが、それでもまだまだ多い。
「逃げられたり本物を壊したりしたら元も子もなくなるわけなのですし、下手に火を放つわけにもいかないのです。放てたら駆除目的(兼趣味目的)で迷いなく放ったのですが……心底やりたくはありませんが、地道に探すしかなさそうなのです。そこによく裂ける無敵の方もいらっしゃることですし。いやこれ無敵と言っていいのか分かりませんが」
セレマが凄い顔(美少年フェイス)でクーアを見ていたが、また死んだ。
「バッチンクワガタでなかったり鼻を挟む意思がなかったりしたらそいつが目当てのやつなので捕えるのです。あとは……違うやつを適宜べしってやるしかなさそうなのです。平手(拳闘)で。挟まれたなら挟まれた自分の顔ごと。16回くらいなら耐えられるはずなのです。精神的ダメージを抜きにすればなのですが」
しかしまあ、やるしかない。
「ええいままよ、やってやるのです!」
さて、そんなこんなでセレマが死んでいるがそのセレマ、結構やさぐれている。
「ともあれ仕事は仕事だ。ハサミクワガタを識別できない手前、雑に攻撃を振るのは控えるとして」
セレマはゆっくりと自分が何をするかを考える。
「亜竜バッチンクワガタが真社会性生物ではない虫と同様の振る舞いをすると仮定する。ハサミクワガタがバッチンクワガタの一個体の所有物であり、それに追従するというなら、そこには縄張り意識からくる闘争に巻き込まれているか、そもそも追従できない状態になりうると推測できる。だがそれでもハサミクワガタがバッチンクワガタと共に居る、ということはその両者は雌雄別個体……つまり番として一緒に行動しているのではないだろうか? その形こそ原始的本能で動く虫相手の所有物に相応しいだろう。そうすると探索対象も大分絞れてくる。雌雄で行動している個体を捕まえればいいんだからな。捕獲した個体は籠に詰めるか印をつければ識別も容易だろう
「じゃあそういうわけだから」
「セレマが死んだ!」
「お前らが行けよ」
「また死んだのです!」
大丈夫、生きている。
「やなんだよぉぉぉ!!この手の依頼受けるたびにしょーーーーもねぇえことで死ぬのがよぉぉぉ!!!! そういう見世物じゃね『バッチーン』(死)えんだぞこちとらよぉぉぉぉ!!!! お前らの中にボクを盾にすればいいと思ってる奴いるだろ!? お前か? お前か!? それともお『バッチーン』えかっ!?!?!? 盾にすんなよこの人でなしがハイルール違反『バッチーン』」
「凄いのです……叫びながら死んでいるのです!」
「好きで死んでんじゃねえんだよおおおお!」
そんなセレマの鼻にまた一匹のクワガタがとまって……しかし、挟まない。つまり、これこそが……!
何事かを話していた咲良、ユーフォニー、奏音の3人もその事実に「わあっ」と声をあげる。
3人が話していたのはベルゼーのこと、そして今後の覇竜のこと。奏音は元々アクティブな修行バカなのでベルゼーのことはあまり知らないが……それでもいざという時は力になると約束していた。
そして、女神の欠片もこうしてまた手に入った。これで全てを救えるわけではないが……それでも、挑まない理由にはならない。
こうして苦難(死)の果てに女神の欠片をゲットしたセレマのように。
そうして、セレマの鼻についた「ハサミクワガタ」をそっと回収して。
「あれ? セレマ君。まだ何か鼻に……」
ヨゾラがまたセレマの鼻にクワガタがついているの見て声を上げて。バッチーン。
「セレマが死んだ!」
大丈夫、生きてますよ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
女神の欠片「ハサミクワガタ」を手に入れました!
GMコメント
バッチンクワガタは貴様の鼻を挟む。あとは分かりますね?
女神の欠片である「ハサミクワガタ」との違いは、挟んでくるかこないかです。
はい、というわけで今回は奏音がサポートについていきます。
女神の欠片用に虫かごを持ってきています。
ちゃんとたった1個のハサミクワガタを選びましょうね。
なお、繰り返しになりますがハサミクワガタは生き物ではないです。女神の欠片です。
●出てくるモンスター
・亜竜バッチンクワガタ×150
きさまのはなをはさむ。おもいっきりだ。
くわがたにこんぷらいあんすはない。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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