シナリオ詳細
<月眩ターリク>せつくコルチカム
オープニング
●
欠けることのない満月を戴く魔性の砂漠には、宮殿がそびえている。
鏡映しのような不思議な世界は、『古宮カーマルーマ』と呼ばれる遺跡の先にある。
バルコニーのふりに座る赤ドレスの女は、遠く砂漠の向こうを眺めていた。
「戦況、まるで芳しくないんじゃない?」
彼女はレディ・スカーレットと伝承される天義の魔種だ。
この月の王国へ招かれた剣客であり、彼女自身にも何らかの思惑が存在している。
おそらく何者かに協力しており、その一環であろう。
「すぐに来るわよ、イレギュラーズが」
「そんなことは分かっております!」
ヒステリックに喚いたのは『剣の寵姫』エルナト――月の王国の女王たるリリスティーネに従う侍女長であり、玩具であり、ペットでもある。
「アスリーヤ、ファティマ、この結界は命に代えても守りなさい」
「このアスリーヤ、命にかえましても」
「えー」
しかし忠誠心の高いアスリーヤはともかく、ファティマの態度は気になる。
吸血鬼は皆、女王を求めるはずなのだが。
エルナトはレディ・スカーレットを観察する。
彼女はエルナト達と違い、魔種である。あるいは呼び声の影響だというのか。
博士と何らかの取引をしたのだろうが、目的は何なのか。
ともあれエルナトはペンダントを自身の首へ付けた。
ペンダントには術式が刻まれており、王宮を守る大結界の鍵となっている。
王宮の外にあるいくつもの結界を破壊せねば、まずここへたどり着くことは出来ない。
可能な限りの万全は尽くしたつもりではある。
だがエルナトは焦っていた。
(……リリ様を、在りし日の主を取り戻さなければ)
エルナトはリリスティーネからの暴力的な寵愛に強く依存している。けれどそんなリリスティーネは、ここ最近エルナトには見向きもしない。
それどころか性格自体の変貌すら感じる。
あの男が来たからなのか。
それとも博士による施術の影響なのか。
あるいは――
「お悩み、あててあげましょうか?」
レディ・スカーレットが微笑んだ。
「黙っていて頂けますか?」
とにかく、烙印を受けてからの心境はすこぶる良くない。
エルナトは感情の抑えが効かないのを自覚していた。
主が恋しい、会いたい、噛んで欲しい。
衝動的欲求が、これほど抗いがたいとは。
「いいえ、お心がそれほどざわめいていては、お仕事に差し障りましょうから」
「だから!」
「あなたの主の関心、その向き先なんて、義姉さんに決まっているじゃない」
「……」
とっくの昔から、わかっていた。
そのつもりだった。
自身は寵姫――玩具に過ぎないと。
主に愛されるなど、有り得べからざることであると。
けれど――
「――リリ様……」
そろそろ向き合わねばならないだろう。
しかし一縷の猜疑もある。『本当にそうなのか』も、確かめねばなるまいが。
ともあれ何をどうすべきかなんて、簡単なことだ。
――姫様を……エルス・ティーネを、殺してしまえば良いのでしょう?
●
事の始まりは、紅血晶という美しい宝石だった。
ラサの市場へと瞬く間のうちに拡散した宝石は、実のとこと魔性の石である。
所有者を晶獣なる怪物へと変貌させる危険なものだ。
そんな怪物達が首都ネフェルストを襲った事件は記憶に新しく、また幻想種が拉致されるなどの依頼も頻発している。更にはラサの実質的な指導者である『赤犬』ディルク・レイス・エッフェンベルグが行方不明となっている状況でもあった。敵の手中に収まるような男ではないが、エルス・ティーネ(p3p007325)は月の王国の女王――リリスティーネと共に姿を消したのを目撃している。
エルスはその際の符丁――『後は任せた』という意図を胸に刻み、事態へ臨んでいる。
そしてラサが誇る『赤犬』の傭兵達も、この作戦では協力してくれるそうだ。
ともかく、そんなラサはイレギュラーズによる協力の下、とある遺跡へとたどり着いた。
古宮カーマルーマと呼ばれる遺跡は、かつて『夜の祭祀』という『死と再生を司る儀式』が行われていたと伝承されている。その遺跡には転移陣が存在し、先に広がっていたのが摩訶不思議な砂漠――月の王国という訳なのだった。
「紅血晶……これが歪んだルベド、偽りのティンクトゥラなら、領分は錬金術になる」
クロバ・フユツキ(p3p000145)は、石が恐らく錬金術によって錬成されていると読んでいた。
錬金術そのものは一般的な魔法技術だが、ずいぶん歪んだ利用をされているらしい。
「あれは魂の在り方を歪める、危険なものだ」
リースヒース(p3p009207)が呟く。
おそらく自身に刻まれた烙印なるものとも関係がある。
推測によれば、これはラサに発生した『吸血鬼(ヴァンピーア)』なる怪物への誘いだ。
烙印の花は血の乾きを与え、女王を求めて咲き誇る。また祭祀場アル=アラクでは『烙印』の進行度を早め、偽命体を作り出すための儀式も続けられているらしい。
いずれにせよ、そこへたどり着く前に、敵の大防衛網を突破せねばならないだろう。
一行の目的は、防衛結界のコアを破壊することだった。
しかしコアは他戦域の防御結界が全て破壊されねばアプローチすることが出来ない。
つまり結界が消え去るまで待機し、少数精鋭をもって一挙に破壊する必要がある。
当然、予想されるのは、敵の強烈な抵抗である。
だから作戦は二つのフェーズに分かれる。
第一のフェーズでは、多量に出現する敵の排除を行うことになる。
この場所は敵の増援が出現しやすい場所にあり、多くの敵が居る状況ではその後の作戦に支障を来す恐れがあるからだ。
第二のフェーズでは、エルナトがネックレスの形で保有する『結界』の『魔方陣』を傷つけることになる。
こうすれば結界は瓦解し、王宮への進撃が可能となる。
「あれが王宮ってことよね」
「ああ、違いない。蜃気楼じゃあないぜ」
鏡映しの砂漠の中で、レイリー=シュタイン(p3p007270)と天之空・ミーナ(p3p005003)が見つけたのは、巨大な宮殿だった。ミーナの授かり物(ギフト)も、そこに敵が居ると告げている。
「あの天使でも居るのかしらね」
「それから、レディ・スカーレット」
長月・イナリ(p3p008096)とアンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が目配せした。
月の王国には客員がいるらしい。
どうやら何らかの思惑で天義からやってきたと思われる。
なにはともあれ、一行はまず大防衛網を突破するのだ。
あの腐敗と退廃と堕落の宮殿へ進撃するために。
- <月眩ターリク>せつくコルチカムLv:50以上、名声:傭兵30以上完了
- GM名pipi
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年05月03日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
一面の――砂。
無限の茫洋は、ただとりとめもなく。
満月だけが照らす砂漠は乾ききっている。
その世界に昼はない。
朝焼けも夕暮れもない。
ただの夜が広がっている。
本当であれば『紅霞の雪』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)は日の入りが好きだった。
自身の領地を構えるほど、トラモント(日の入り)には愛着がある。
もしもこの裏世界が降ってくれば、ラサは闇に閉ざされるのだろう。
(だから手伝わせてね)
隣を見る。
そこには普段の様子と違う『特異運命座標』エルス・ティーネ(p3p007325)が、どこか苦しげな表情を隠していた。満月に感じる吸血衝動は烙印にも似て、一日で終わるそれと違い、ここでは――ギリギリだ。
「全く……半端な吸血鬼を増やしたり、満月を用意したりと本当に小癪……!」
革袋から水の一口を含んだ『滅刃の死神』クロバ・フユツキ(p3p000145)の横で、『無鋒剣を掲げて』リースヒース(p3p009207)もまた心中に呟いた。
(……渇く)
それは砂漠の乾きによるものか、それとも――そこへ手をあてる――刻まれた烙印によるものか。
いずれにせよ屈する訳にはいかない。
一行は遺跡深くの転移陣から不思議な空間『月の王国』へと足を運んでいた。
ラサを騒がせる紅血晶、吸血鬼(ヴァンピーア)、錬金術による偽りのティンクトゥラ(賢者石)、それらの答えを結びつけるためである。
恐らく――クロバは推測した。
そこには『博士』なる存在が居り、狂気や執念といったものが事件の根幹に関わるのは間違いない。
リースヒースもまた思う。この遺跡が『死と再生を司る儀式』とは何なのか。
そして核となる『何か』の行方はどこか。
この魂をねじ曲げんとする擬似反転――吸血鬼への過程である烙印の正体も掴めるのではないか。
邪法を邪法たらしめるのは何か。
本来の儀式それ自体は、邪法でない可能性もある。
死の後に生があることは、世の摂理だ。
錬金術とて摂理を扱うものに他ならない。
しかし使う者の手により、邪法へと堕落することがあるのだ。
それにいくら尊い理想から発したものであろうと、気をつけねば腐れ落ちるというもの。
烙印による吸血鬼化のトリガーとは何か。あるいは死か。
それとも更におぞましい何かが待ち受けているのか。
(――考えている余裕はない、か)
「――あちらも勢揃いね、大歓迎だわ」
呟いた『剣の麗姫』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)の言葉通り、砂漠を進んだ一行を迎え撃つ敵勢力の数はあまりに多い。
「だな、ずいぶん手厚い歓迎じゃん?」
眼前に現われた豪奢な宮殿を前に、『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)も口笛一つ。
幾度かの交戦を経て、ようやくたどり着いた本丸だ。
砂を踏み越え、一行が石畳を駆ける。
(敵の数がエグいわね)
どうするべきか、エルスが思案する。
ここは敵中枢にほど近い、宮殿の門、その前である。
門は巨大な結界に守られており――おそらくその周囲に展開する小さな魔方陣と関係している。
魔方陣は結界をぐるりと囲んでいるが、いくつかは既に力を失っているようだ。
他地域に展開された小さな結界が、この大結界を保護しているのだろう。
これが全て消えれば、結界を守るものはなくなる。
そうして突破出来れば、後は宮殿を踏破するだけだ。
エルナトにも余裕があるまい。最終防衛ラインなのだから。
(わざわざこの為に烙印貰ってきたんだ)
唇を噛む『誰が為に』天之空・ミーナ(p3p005003)が、『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)へと視線を送る。
「私が晶獣を引き付けていく方、ミーナが晶獣を倒すほう。それでいいよね」
「ああ、それでいい。……余計な一言だが、無茶はするなよ?」
「ええ、何かあったら、まずは私に言いなさいよ」
「そっちこそ。何かあったら言えよ?」
考えていることなんて、きっと同じだと思えばくすりと頬がほころんだ。
「えぇ、もちろんよ」
一行が得物を抜き放つ。
「じゃあ行くか。悪いが……押し通らせて貰うぜ」
殺到する晶獣を切り払いながら、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)はつぶさに敵陣を把握する。
晶獣、吸血鬼、その中において異質なのは――
(あの醜悪で美的センスの欠片も無い連中は天使の手勢か)
以前、深緑の戦いにおいて観測した存在だ。
ただの雑魚ではある、まだしも魔種や吸血鬼のほうが修練に向くだろう。
それにサンプルも確保したいが――
イナリには果たすべき仕事があった。
自身の使役者と呼ぶべきか、母と呼ぶべきか、それとも主か。いずれにせよ重大な使命を持ち、そして優しい存在の告げた通りに、事を為さねばならない。
おそらく世界には重大な危機が迫っており、かの『天使』の軍勢は、その先兵であると言える。
あれらの目的は吸血鬼達や博士とは違うはず――つまり第三勢力だ。
「……さて」
その男はあまりにも無防備だ。そう見える。
場違いとも思えるスーツ姿の『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は、砂漠に展開された軍勢をおもむろに見渡した。ここは戦場の中枢。敵の数は余りに多いが、強力な個体は四。
攻め入るべき宮殿は結界に守られており、その鍵を握るのは四のうちの一つ。
それは結界の中に居り、現状では打つ手がない。
けれど軍勢の撃破が叶えば、敵は籠城となる。
いかに結界で守れど、滞在にはタイムリミットが生じるだろう。
無論、敵とて理解はしており、そうはさせじとしてくるはずだ。
ならば攻めれば、鍵は自ずと転がり込んでくる。
すると――策は決まった。
「背中は任せてくれ。さあ、思う存分暴れてくれよ」
フラーゴラと視線を交したサンディが、タロットを引く。
「ゴラ」
「サンディさん」
今回、誰一人としてバテて良い場面はないだろう。
だから――籠の中の不死鳥。
指し示す未来は燃えさかり、一行へ再生の炎が具現する。
出口の見えぬ迷宮への招待――フラーゴラは自身を奮い立たせる。
強かに――誘いの魔力がサン・エクラ共の脳裏を掻き毟る。
恐ろしくない訳ではない、だが――
敵陣がざわめき、無数の怪物がフラーゴラへ迫る。
敵の位置も、動向も、既に大凡を把握している。
今しかない。立ち位置を決めろ、誘導すべきはレイリー、アンナ、寛治、そして自分自身へ。
だから立ったのは『ここ』で、紡いだ術式は『これ』だった。
全ては――覚悟の上。
敵は数が多くとも、いや、だからこそ。仲間達と共に戦場全体をコントロールすればよい。
「またあの夕日を見るの……!」
「私の名はレイリー=シュタイン! 月の宮殿の悪党を成敗するためにやってきたわ!」
堂々と名乗れば、敵は彼女を逃すまい。
レイリーは殺到する晶獣――サン・エクラを白亜の盾で弾き飛ばし、今まさに敵陣をなぎ払ったミーナと背を合わせた。
「手筈通りに」
「だな」
攻撃手が敵陣へと突進する。
「一つ」
その一撃に予備動作はなく、唐突に放たれた短機関銃の弾嵐がサン・エクラをなぎ払う。
「二つ」
続き、飛びかかる一体が消滅、そして――三つ。
「背中は任せて、存分に暴れるといいわ」
「ええ、そのつもり」
サン・エクラの牙を黒布で払い、アンナが剣を突き立てる。
そこに現われた吸血鬼アスリーヤに、エルスは封呪の式を放った。
「偉大なるオルドヌングの姫君がため、ここを通す訳には参りません」
封呪を解くため霧となったアスリーヤだが――炸裂。
加速した刃が、再び現われたアスリーヤの首を捉えた。
魔力血が迸り、寸断された首と胴は糸引くよう即座につなぎ合わされるが、舞い散る花びら――本物の血だけは隠せない。
「――種も仕掛けも、バレちゃおしまいだぜ」
吐き捨てる。
鬼化、クロバの髪は白く染まり、平素の涼やかな面持ちは怒りさえ湛えている。
烙印の進行だ。
おそらくこれが行きつく果ては、吸血鬼化だと思われた。
擬似反転、自我も魂も歪めた――
「邪魔、消えて」
血の術式を紡いだ敵、ファティマ・アル=リューラは元々被害者、幻想種の奴隷だった。
ラーガ・カンパニーなる悪徳企業の奴隷刈りの犠牲者だったはずだ。
だが今は月の女王リリスティーネのために先兵となっている。
「結局、貴女はそれでいいのね」
魔力の衝撃を撃ち払ったレイリーが述べた。
「それで? よくわからない、なにが」
ファティマは不思議そうに首を傾げる。
女王の敵を排除することしか、インプットされていない、がらくたになってしまった魂。
「心さえ歪めるなんて、それはもう別人」
「別、なんで?」
「でも、それが今の『貴女』でしょ。私も貴女しか知らないし」
そこに救いなんてないのなら、せめて今の夢だけを。
「本当にあなたがたは、邪魔ばかり」
苦しげに胸元を抑えるエルナトが呟いた。
(……エルナト)
エルスが結界の向こう、エルナトへ視線を送る。
首元に見えたチェーンが、おそらくこの儀式の鍵なのだろう。
(あのネックレス、なら丁度いいわ)
だとすれば――その主である『あの子』、リリスティーネの企みにも触れることが出来るかもしれない。
(愚かね)
そしてそのチェーンに彩られた首に咲くのはコルチカムの烙印だった。
自ら烙印を受けたのだろう。
外の世界から来た者は、一様に『旅人』という枠に押し込まれる。
エルスと同じ世界から来たエルナトも同様だ。
剣の寵姫とすら呼ばれたエルナトとて、技を研けど、その個は魔や竜には到らない。
その枠を越えようとしたものが居る。
晶獣の一体を切り捨てたクロバが奥歯を噛みしめる。
父であるクオンもまたそうだった。冬の王の力を手にし、姿をくらませたままだ。
エルナトもそうだったのだろう。力足りぬ彼女は擬似反転を望んだ。
そして博士と呼ばれる男も、きっと怪物に成り果てている。
いずれにせよ――クロバが踏み込む。
(お前らを越え、至らせてもらうぞ)
すべての答えに。
●
交戦開始から数分が過ぎた。
「そら、舞い上がれ――不死鳥!」
サンディがタロットを引き抜き、温かな炎が一行を奮い立たせる。
敵の数は多いが、戦況は堅調に推移していた。
「さーっぱり帰ってくる気配がないあの方を、こっちから迎えに行ってあげましょ!
「おうよ姫君、いくぜ野郎共、ぶちかましてやんぞ!」
イレギュラーズをバックアップする赤犬の傭兵は精強であり、数に勝る晶獣にとて一歩も遅れは取ってはいない。けれどやはり、吸血鬼と魔種が厄介だった。
ただの一体であっても、複数のイレギュラーズを圧倒する力を持っている。
それが四体というのは、あまりにいただけない。
不幸中の幸いと呼ぶべきは、吸血鬼となった(複雑な表現だが)エルナトは結界の内に引っ込んでおり、魔種レディ・スカーレットは戦意が低そうであるということだった。
「剣が得意だったんじゃないかしら」
「やーね。毎日同じ味なんて、飽きちゃうでしょう?」
「血なんてものを飲むのに、えり好みが?」
サン・エクラの数体を一気に切り払ったアンナが、魔種レディ・スカーレットに問う。
スカーレットは月の王国にとって『客人』であり、どうにも戦意は低い。
彼女は天義に伝承される魔種であり、アンナとしては出来れば始末を付けたい心境もある。
だが出てこないのであれば、雑兵から蹴散らすしかないというのが一行の答えだった。
大結界の周囲に展開する魔方陣は、一つ、また一つと徐々に力を失い始めている。
全て消えるのは時間の問題ではあろう。
けれど一行は攻勢を先延ばしに出来なかった事情があった。
この一気呵成の攻勢は、敵をこの場所へ出来るだけ集結させないための方策でもあった。
各個撃破を続け、この結界自体を敵の大勢力に守らせないという作戦である。
それでも現時点にいて、既に数が多いというのは否めないが、増援も計算の内である。
一行は三点を支柱に、敵を迎え撃っていた。
(……それでも、やるから!)
その中心にして起点となるのはフラーゴラだ。
だからこうして先制攻撃を仕掛け続けることが出来ている。
フラーゴラは殺到する晶獣を避け、いなし、打ち払いながら戦場をコントロールしていた。
「さて、これは結構……ですが」
だが立ち尽くす寛治を、無数のサン・エクラが完全に包囲していた。
もう一柱である寛治は歴戦のイレギュラーズであり、眼前の晶獣は雑兵だ。
一対一では勝負にならない。けれどイレギュラーズとて人である。魔種でも竜でもない。
あまりの多勢に無勢は人を食い殺すのが定説であり、寛治自身もまるで無防備な状態だった。
棒立ちの寛治に、サン・エクラが一斉に飛びかかる。
寛治は避けようのない数に囲まれ、多数を合算した重さに押し倒され、喉笛を食いちぎらる。
客観的に見れば明白な自体だ。
そのはずである。
だが棒立ちを崩し、僅か一歩だけ片足を引いた寛治の放つ弾丸が、今正に飛び上がった群れを圧倒し、その機動を全て逸らす。
敵の群れは互いに体をぶつけあい、石畳に叩き付けられ、腹を向けて藻掻いた。
身体を構成する紅血晶が飛び散り――全ては計算の内だった。
寛治は今、戦場を支配している。
「そろそろ、フェーズ2が近いでしょうから」
各々の支柱が戦場を支配するから、吸血鬼への打撃を通すことが出来ている。
それを可能としているのはイナリなどの攻撃手が晶獣や天使の群れを撃破し続けているからでもある。
黒影の亡霊騎士――平素と装いをかえたリースヒースもまた、フラーゴラに合わせてサンディと共に味方を癒し続けている。この下支えがあってこそ、作戦は『機能し続ける』ことが出来る。
かみ合った強固な歯車は、さしもの魔種と吸血鬼にも打ち破れていない。
リースヒースの儀礼剣は、今は大剣の如く――その偽装にスカーレットは気付いて居ない。
おそらく彼女は――
(私に興味を持っているのであろう)
理由は不明だが、単にその中性的な容姿がレディ・スカーレットの好みなのかもしれない。
「これには耐えられまいよ――」
クロバが放つのは、死神が贈る不死殺しの雨だ。
たとえルベドで出来た身体とて、殺してみせると。
吸血鬼から散る花は、彼等にとっての血だ。
今やクロバ、そしてリースヒースからも舞う花びらとて同様に。
それでもまだ、こちら側に居る。
あちらへ行くつもりもない。
アスリーヤもファティマも、きっと自身の名すら失っているのだろう。
哀れな存在だが、容赦も出来ない。
「散開して!」
最前線の柱――レイリーの鋭い声音に、一同が陣を広げる。
炸裂するスカーレットの爆炎魔術は問題だが、これなら被害は最小限に止まるだろう。
スカーレットは赤犬の傭兵を相手せず、あくまでイレギュラーズを遠距離から狙い続けている。
これは致し方がない。
アスリーヤもそれを狙っているつもりらしいが、それは一行の作戦によって阻まれていた。
「さて、そろそろどうだ?」
最前線で敵陣をなぎ払い続けていたミーナの戦果もまためざましく、中央のサン・エクラによる陣形はそろそろ崩壊しつつあった。
そしてさらに数分――大結界を守護する結界が全て消えた。
他地域が勝利したということだ。
ならば――
「ねえエルナト?」
呼びかけたエルスを、エルナトが睨む。
その視線には、何らかの理由で明確な殺意が宿っていた。
「そんな所でぼうっとしていたら、また叱られるんじゃないの?」
実のところ、エルスはエルナトとリリスティーネの爛れた関係の詳細を知らない。
気付いて居ないのではなく、興味が無いといったほうが正しかった。
だが彼女の言葉は、叱られたいのに叱ってもらえないエルナトに刺さる。
「姫様。ええ貴女も姫様ではございますが。本当に貴女という人は、お高くとまっていらっしゃる」
(予想通りね)
平静を装ったエルナトの声は上擦っていた。
「あの赤髪のお客様、あなたの男なのでしょう? きっと寝たわ」
「……」
勝ち誇った風を見せたエルナトの声音に、けれどエルスは表情一つかえない。
エルナトは明らかに狼狽えた。
「それは貴女が何もしない理由と関係があるのかしら?」
「貴女、貴女は……私は姫様をお慕いしている、けれど姫様は、本当は貴女のことが!」
何が嘘で、何が真実か、そんなことを知るのは神だけだ。
「残念だけど、あなたの言いたいことがさっぱり分からないわ」
「――っ!?」
「いずれにせよ、エルナト。貴女は何もかもを他人に任せてばかり」
「……」
「ああ、似たもの同士ということ、あの子もそうだものね」
エルスが言うと、エルナトの眉がみるみるつり上がる。
「少し見ない間に素敵なイメチェンをしたのね。それで、想い人は褒めてくれたのかしら?」
アンナが言い放つ。
「……」
「無理でしょうね。それでエルスさんを殺したいの? 部下任せで?」
「…………」
「あぁ、なんて短絡的かつ消極的。物語のように負け犬路線一直線ね」
「だったら……ええ、知っているかしら、姫様が私を可愛がって下さる理由!?」
「興味もないけれど、聞いてあげてもいいわ」
エルスが返す。
「あなたと『名前の響きが似ている』からよ!」
「だから私に出来ない嫌がらせを、貴女へするのかしら」
「何が分かるのでしょう、私の、そしてあの方の」
(あるいは、笑えん詩(うた)やも知れんな)
偽装大剣で仲間を癒したリースヒースが心中にぼやく。
これが詠み人知らずの伝承ならば、紡いだのは余程の悪神に違いあるまい。
エルナトは恐らく、主であるリリスティーネを愛している。
リリスティーネもまた、少なくとも一定の寵愛を返していたのだろう。
なのに今は、どうした訳かエルナトに興味を失ってしまった。
だが――これは推測だが、姉妹揃って『赤髪の色男に惑わされたのではない』だろう。
もしもそれならば、まだしも救いがあるに違いない。
一人の色男を奪い合う姉妹の面白おかしい物語は、良くある喜劇だ。
それが誰かの死で終わるなら、これまた良くある悲劇である。
けれど――直感する。これは『そういう話ではない』。
エルナトの言から推測するに、おそらくリリスティーネは本来エルスを慕っていたのだろう。
なのにリリスティーネは、きっと『壊れてしまっている』のだ。
最近、いやずっとずっと昔から。
だからエルスはそれを知らない。信じることもない。
薄々見えてきた。この物語には、きっと『救いがない』。
浚われた幻想種達は、魂を歪められている。滅ぶ他に道はない。
エルナトもまた同様。エルスを殺害すれば想いが叶うと信じてしまった。
そして第三者であるスカーレットもまた、悲しい伝承を保つ。
この話の先は、誰も報われない。きっとエルス自身でさえも。
思惑は絡まり続け、想いも決して結ばれず、ただ漫然と終わりを待つだけの。
(……現実――か)
エルスという女は、人の情愛というものに酷く頑なで、酷く鈍感だ。
エルナトの心情など知る由もなし、知ったところで信じようともしない。
そもそも義妹の侍女であるという程度の認識しかない。
ただ一つの希望は――これはあるいは余人はあずかり知らないことかもしれないが、さておき――リリスティーネが死ぬことで、エルスは呪縛から解放されるであろうということだけ。
(博士、そして冠位色欲、それに天義に蔓延りつつある何か――まるで悪意の渦だ)
クロバが唸る。
死神が引導を渡すべきが、多すぎる。
「……終わりにしましょう、もう一人の姫様――エルス・ティーネ!」
激昂したエルナトが細剣を抜き放ち、結界の前へと歩み出た。
●
「破滅的な思考だな」
「いったい何が?」
ミーナの斬撃をエルナトが払う。
だが続くもう一撃に、得る尚tの花びらが舞った。
「解答を教えてやるようで癪だが、時間を稼ぐならアンタはその奥に引っ込んでいるだけでいい」
「だから?」
「だがあんたはそうしなかった、違うか?」
「それは傲慢ではなくて、貴女方はまさかこの私に勝利出来るとでも?」
「自分でも信じちゃいないことなんて、口にするもんじゃないぜ」
死神の鎌が、エルナトを刻む。
「”寵姫”の割に御傍に置いてもらえてないじゃないか。頼りにされてるのか、関心がアンタに向いてないからいいように扱われてるのか、どっちなんだろうな?」
エルナトの細剣がクロバの首を二度掠め――身体を捻ったクロバは、回避の速度に乗せて剣を振るう。
トリガーを引き――加速。
欲しいものの為なら、どんなエゴでも通す――
(それが俺の”勝ち方”だ)
「あぁ、さてはあの”赤犬”に好き勝手されてあんたの主も相当惑わされてるクチか?」
「そんな訳が――!」
(心を乱したならばお前の負けだエルナト)
「あぁ、ちなみに俺はあの男が好きじゃないよ」
斬撃の応酬が続く、二色の花びらが舞い踊る。
「あいつの家系のせいで俺の慕ってる人は今も俯くんだ。まったく腹立たしいよな」
――だが俺は”お前とは違う”エルナト。
報われるつもりなどない。
ただ覚えてもらえるなら、笑ってもらえるなら、為すべきを為す。
ただのそれだけ。
錬金術が関わっているというのであれば、その謎ごと持って行ってやるまでだと。
とびすさるように後退したエルナトを守るように、血槍を放つアスリーヤの術式を、けれどレイリーがその盾で防ぎきる。踵が石畳を削り、けれど彼女が膝をつくことはない。
(いずれにせよ、敵は切羽詰まっている)
レイリーとエルスが目配せをかわす。
最早エルナトの勝ち筋は一つしかなかった。周知の通り、それはエルスの殺害である。
「当然、させてあげる訳なんてありはしないわ」
背を低く駆けるアンナが華麗なステップを刻み、彷彿線を描き迫るアスリーヤの血槍を次々にかわす。
そして突き込まれる魔力血を布でさばき、立て続けの斬撃を見舞った。
「無論、こちらも同様の理屈は立つ」
リースヒースもまた、舞い踊る蝶の賛歌が仲間達を癒し――
「まだやれるか?」
不死鳥の加護を照らすサンディに、赤犬の傭兵達が雄叫びを上げる。
「威勢が良いのは、悪いことじゃあないぜ、だろ!?」
戦場に赤犬、凶、レヴィナスカの増援が到着を始めた。
可能性さえ燃やしながら晶獣の群れ、そして敵増援に耐えていた三本柱には何よりの朗報だろう。
「主様への愚弄、後悔させてあげる」
アスリーヤが無数の血矢を天へ放つ。
アンナへの攻撃はあたらない。
なら雨のように降り注ぐならば、避けることは出来ない。アスリーヤはそう読んだ。
「……浅知恵ね」
アンナは切り払い、アスリーヤに肉薄した。
アスリーヤの表情、唇が引きつり――刻まれる刹那の斬撃が花びらを散らす。
「アンタの忠誠心は見事であり厄介だが――」
クロバが踏み込み、斬撃は爆音と共に加速する。
「――そんな”泥船”に乗ったとしても、俺らが越えられない相手じゃないぜ!」
もう保たないと、そう思ったのだろう。
アスリーヤは霧へと姿をかえようと――
「その手品は散々見てんだ! 種割れてんだよ!」
――血相を変え逃れようとしたアスリーヤを、ミーナの剣が捉えた。
「終わりを待つだけなら、はやいほうがいい、そうだろ」
突き立て、そのまま石柱へ叩き付ける。
「終わりだ、見届けてやる」
「……さ、ま」
唇を戦慄かせたアスリーヤがうな垂れ、その身体の全てが花びらへ変わった。
それは変幻自在の彼女が持つ新たな術ではありはしない、ただの『終わり』だ。
「さて風向き、変わりましたね」
敵を引き付け続ける寛治は飄々と、けれど視線の奥深くは鋭く、あたかも魔眼の王をも思わせる。
決意の表情で唇を引き結んだフラーゴラと共に戦場をコントロールし続けている。
吸血鬼達の守りが無防備なのも、二人の働きの成果に他ならない。
小ずるい彼女等は晶獣を巧みに盾としたかったが、その策は叶わなかった。
「さぁ、あの時の続きをしましょ、お嬢様♪」
謳うように誘うのは白竜の舞台へ。
倒れ果てるまで続く、瀟洒な舞踏。
最前線で吸血鬼と相対する、最も危険な役目の一つ。
えれどレイリーはファティマの大鎌を盾で受け流し微笑んでさえみせた。
「今の貴女を受け入れるわ」
「わたしは、いや」
「どうして? 姫君の為に戦ってる。そんな貴女は幸福じゃないの?」
「わからない」
「……」
ファティマの表情は薄い、彼女は少し変わっている。
先程本当の命を散らせたアスリーヤのように、従順ではないらしい。
その理由は不明だが――
「知りたい?」
レディ・スカーレットが艶やかに微笑んだ。
「知れることなら、何でもね」
イナリの弾丸を切り裂き、レディ・スカーレットが迫る。
「お久しぶり」
「ええ、こちらこそ、ねえ一つ聞いていい?」
「どうぞ」
「その首を頂くと『次のセプテンバー』って『いつ頃』になるのかしら?」
剣がイナリの首へ迫り、けれどイナリの弾丸が剣を弾き軌道を逸らす。
跳弾がレディ・スカーレットの胸を穿ち、彼女は瞬時に後背へと跳躍して距離を取った。
「知りたいなら、早速だけど薄給ぽいから私達(狐達)に雇われてみない?」
「あら、どういうおつもり?」
「今なら3食昼寝付きのライカ犬のお仕事が募集予定なのよね♪」
「だと思ったい良い趣味してるじゃない」
「駄目? 魔種ならそう簡単に死なないと思うから最適な実……お仕事だと思ったのに……残念だわー。なら、サンプルになるお仕事を紹介してあげるわ!」
「お断りよ」
レディ・スカーレットの魔術は多彩だ。
爆炎、氷嵐、電撃、傷裂き――だが。
「粘るのさ、このロールは徹底するんだ」
サンディが唇を引き結ぶ。耐えるんだ。そして道をこじ開ける。
戦乙女の呼び声に続き、再び不死鳥のカードを引く。
「やっぱり、チェスはビショップを落とさないとかしら」
「今日の俺が、そう見えるなら幸いだぜ」
冷や汗が伝う。だが正念場だ。
「それにそっちの騎士様は――もしかして、知ってる子?」
悟られたか――術式を紡ぐリースヒースの視線は鋭い。
無理も無かろう、放つ術は同じなのだから。時間を稼げただけ僥倖というものだ。
「終わらせましょう、エルナト」
ここで引導を下す――エルスはそう決意していた。
「仲間は殺らせない。何度だって邪魔してあげるわ」
大鎌をふりかぶり、アンナと共に肉薄。
剣と大鎌、二重の斬撃がエルナトの胸を十字に駆け抜け、花びらが散る。
「――吸血鬼ですらないのね、もう」
「ええ、これをヴァンピーアとは、私は……姫様、リリ様――なぜ、私はこうも愚かで」
エルナトが戦慄く。
「お叱り下さい、誅伐(あいして)下さい、リリ様、リリ様」
「お労しい限り、そんなにお美しいのに、嗚呼、勿体ない」
寛治が大仰な身振りで両腕を広げた。
「何を」
「報われぬ恋に身を焦し、敵うことの無い恋敵に嫉妬する――さぞかしお辛いことでしょう」
「痴れ者、知った風な口に、そんな風に、リリ様は、リリ様こそが」
「私で良ければ慰めて差し上げるんですが」
「エルナト、いっそそうしてもらったら?」
エルスの追撃に、エルナトの頬が怒りに染まる。
ここまで単純ではなかったはずだ。
こんなに取り乱しはしないはずだ。
なのに、ならば、やはりエルナトは、もう。
「引きなさい!」
だがレディ・スカーレットの鋭い叱咤に、ファティマとエルナトは即座に後退した。
老練な引き際だ。レディ・スカーレット――年経た魔種とは、かくも手強いものか。
だがイナリはその隙を逃さなかった。
結界へ待避したエルナトの胸元を弾丸が掠め、鎖が引きちぎれる。
目を見開き、エルナトが手を伸ばす。
指先が小さなペンダントに触れ――二発目の弾丸がペンダントを弾き飛ばした。
エルナトの指は宙を掴み、転げるように追いすがり――
剣を突き立て大鎌を顕現させたミーナの斬撃が、ペンダントを更に弾く。
エルナトが跳び、寛治が閉じたままの傘を構える。
放たれた弾丸は二発――、初めはヒビ、そして――
結界が音を立てて砕け始める。
辺りに満ちた光が引いた後、そこに吸血鬼達の姿はなく。
壮麗な宮殿の門だけが、一行を待ち構えていた。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
依頼お疲れ様でした。
手厚い布陣で、想定よりもだいぶ被害は少ないです。
MVPは終盤の起点を作った方へ。
門は開かれました。
いざ、月の宮殿へ。
それではまた皆さんとのご縁を願って。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
月の宮殿に乗り込むため、まずは防衛網を突破しましょう。
●目的
防御壁のコアとなる魔方陣を傷つける。
これはエルナトがネックレスの形で保有しています。
●フィールド
月の王宮前。
この空間での月齢は常に満月扱いです。
他のシナリオの結界がまだ破壊されていない状態からスタートします。
仮に他の結界が破壊出来なかった場合、作戦目標は敵の撃退となります。
足場は広大な石畳。
柱などの遮蔽物もありますが、あまり気にしなくて良いでしょう。
・フェーズ1
他のシナリオで結界が健在な状態です。
攻略の障害となる多量の晶獣を排除しましょう。
少なくとも四十体程度の晶獣が見えます。
エルナトは結界の内側にいるためアプローチ出来ません。
他の吸血鬼や魔種は、様子をうかがいながら散発的に攻撃してきます。
・フェーズ2
他のシナリオで結界が破られた場合、フェーズ2へ移行します。
エルナトも参戦し、積極的に攻撃してきます。
●敵
『剣の寵姫』エルナト
リリスティーネに従う旅人(ウォーカー)の女性です。
前衛両面トータルファイター。
剣術に優れ、また魔術も行使します。
月の王国の吸血鬼となりましたので、スペックが向上しています。
血は花びらとなり、水晶の涙を流します。
コウモリの群れ化、霧化なども行います。
儀式の『鍵』となるネックレスを保有しています。
『吸血鬼』アスリーヤ
元人間種の吸血鬼です。
血のような魔力を武器に、オールレンジの神秘攻撃を得意とします。
保有BSはHA吸収、出血系。連やスプラッシュが多め。
コウモリの群れ化、霧化などを行います。
最もリリスティーネやエルナトへの忠誠心の篤い存在です。
『吸血鬼』ファティマ・アル=リューラ
元幻想種の吸血鬼です。
血は花びらとなり、水晶の涙を流します。
魔力の大鎌による近接攻撃、魔術攻撃、コウモリの群れ化、霧化などを行います。
保有BSはHA吸収、出血系。
言動や行動に他の吸血鬼と違った奇妙な揺らぎが見えます。
おそらく『原罪の呼び声』の影響を受けつつあります。
『魔種』レディ・スカーレット
天義の伝承に記された吸血鬼です。こちらは色欲の魔種。
剣技と魔術を非常に高い次元で行使します。
このシナリオでは最も強力な相手です。
何らかの別の目的を有していると思われます。
戦意が高くなさそうなのが救いです。
・『晶獣』リール・ランキュヌ×そこそこ
紅血晶が付近の亡霊と反応し、生まれたアンデッド・モンスターです。
強力な神秘遠距離攻撃を行ってきます。体力面では脆いため、後衛で味方に守られながらの攻撃を行います。『嘆き声』には、『毒』や『狂気』系列のBSを付与する効果もあります。
・『晶獣』サン・エクラ×たくさん
小動物や小精霊などが、紅血晶に影響されて変貌してしまった小型の晶獣です。
鋭い水晶部分による物理至~近距離戦闘を行うことが多いです。
・量産型天使(?)×多少
つぎはぎだらけの、翼が生えた人型の怪物です。
飛行しながら遠距離物理攻撃を行います。
レディ・スカーレットに従って行動しています。
・他
様々な晶獣が、徐々に出現すると思われます。
また他の戦場の状況に応じて、こちらの戦場には敵の増援が出現する可能性もあります。
●味方
・傭兵団『赤犬』の精鋭×20
ラサの傭兵団『赤犬』の精鋭達です。
皆さんと連携して行動してくれます。またお願いなどがあれば聞いてくれます。
・他
他の戦場の状況に応じて、こちらの戦場に味方の増援が出現する可能性もあります。
●特殊判定『烙印』
当シナリオでは肉体に影響を及ぼす状態異常『烙印』が付与される場合があります。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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