シナリオ詳細
<鉄と血と>最期の刻まで、鉄帝に災禍を
オープニング
●過去の幸福の絵
「いよいよ、来たか……」
帝政派と南部戦線の連合軍が帝都スチールグラードに進軍しつつあると聞いた、新皇帝派大佐エカチェリーナ・ミチェーリは執務机の上にあるスタンドに目をやった。そこには、エカチェリーナともう一人男が描かれており、その絵の中のエカチェリーナは幸せそうな笑顔を浮かべている。
エカチェリーナと共に描かれている男は、幻想貴族だった。だった、と言うのは、南部戦線との戦闘で戦死してもうこの世にはいないからだ。
深く愛し合っていた男の戦死を聞かされたエカチェリーナは、鉄帝を、世界を呪い、憤怒と共に魔に堕ちた。そして、鉄帝への復讐を志し、表向きには鉄帝軍人となって、権謀術数を駆使して大佐まで昇進しながら機を待った。
そのエカチェリーナにとって、冠位魔種バルナバスの新皇帝即位は復讐の絶好の機会だった。故に、一も二も無く新皇帝派についた。だが、それもどうやらここまでらしい。
しかし、それならそれで。
(貴方を殺めたこの国に、最期まで災禍を撒くまでだ)
そう決めたエカチェリーナは、スタンドの絵を目に焼き付けると、スタンドを伏せた。そして、執務室を出た。
●『フレイア』、巨大化
エカチェリーナは、純白のパワードスーツ『フレイア』を装備――と言うよりも、四メートルの大きさを考えると搭乗と言った方が近いが――して、残る戦力を動かし、帝政派と南部連合軍の迎撃に出ようとした。
「ようやく、追い詰めたぞ。エカチェリーナ!」
しかし、そこにマルク・シリング(p3p001309)らイレギュラーズが現れる。
「マルク・シリング――生きていたか!」
マルクの姿を認めたエカチェリーナは、驚愕と共に怒りを露わにする。
「貴女の非道も、ここまでです!」
そのエカチェリーナに、水月・鏡禍(p3p008354)が告げた。
「ああ――確かに、ここまでかも知れんな。だが、ならば最期の瞬間までこの国に災禍を撒くだけだ!」
「そんなこと、させるものか!」
これ以上の非道は重ねさせないと、イズマ・トーティス(p3p009471)が叫ぶ。
「ええい……何処までも、邪魔をするか!」
イズマの叫びに、エカチェリーナが憤怒を露わにした。その瞬間。
「フレイアが……巨大化?」
オリーブ・ローレル(p3p004352)が半ば呆然とつぶやいたように、フレイアの機体は二十メートルほどまで巨大化していった。エカチェリーナがただ一度を除き表に出さず貯め込んでいた憤怒と、鉄帝への強烈な憎悪、そして魔種としての膨大な魔力が、複雑に混ざり合った結果だ。
同時に、猛烈な吹雪が辺り一帯に吹き荒れる。
「エカチェリーナ……さ……」
ビキビキビキ……バキン! 新皇帝派軍人の身体が瞬時に凍り付き、一瞬遅れて粉々に砕けた。その現象は、イレギュラーズを除いてこの場にいる者全てを襲う。強靱な天衝種すらも、例外では無かった。
かつて生命だった氷の欠片は、吹雪の中を漂いながら、巨大化したフレイアの中へと吸い込まれていった。
「味方の、生命を、吸った……と言うのですか」
「ハハハハハハ! 素晴らしい! わかるぞ……力が、溢れてきている!
貴様らなど、小さく見える! つまり、私が勝つと言うことだ!」
ぐっ、と拳を握りしめるオリーブの問いなど聞こえていないかのように、自信満々にエカチェリーナは言い放った。
――イレギュラーズとエカチェリーナ以外に、生きている者はこの場にはいない。
●ラド・バウにて
鉄帝を割拠する六派閥と新皇帝派の決戦が、帝都スチールグラードで勃発する。その機運は、スチールグラードの住民達にも伝わっていた。余力のある者はスチールグラードから避難したが、そうする余力の無い住民達も多数だ。そう言う住民達は、避難先としてラド・バウを頼った。もちろん、ラド・バウとしても住民達の避難を拒む理由はない。
しかし、避難を受け入れるとなればその誘導、あるいは居場所や食糧の用意の問題が発生する。多くのラド・バウの人員が避難民収容にあたって忙しなく駆けずり回っていた。B級闘士華幡 彩世(はなはた あやせ)もまた、その一人だ。
彩世は二十人ほどのチームのリーダーとして、避難民収容に関して派生する諸々にテキパキと指示を下し対応していた。
(こう言う時の彩世は、本当に頼りになるな……)
彩世と時に敵として、時に味方として戦ってきた不動 狂歌(p3p008820)は、そう感心していた。元の世界では軍を率いる将だったと聞いており、その統率力は狂歌も実際に目の当たりにしている。
「それじゃ、ここは任せたよ。狂歌チャン、誘導を手伝ってくれるかい?」
「ああ、いいぜ」
彩世は新しく避難してきた住民達のうち、健康な者への対応をチームのメンバーに任せると、狂歌と共に怪我人や病人を医療スペースへと誘導した。
「すまないね、リエース先生、ベルンシュタイン先生。彼らも、診てもらえるかい?」
「ええ、もちろんですよ」
彩世に診察を頼まれた帝政派軍医ニフリート・リエースは、柔らかい笑顔を向けながら応えた。
ニフリートは、帝都決戦に先行して帝都住民の保護に当たるべしとの命を受け、ラド・バウを拠点に避難民の医療に従事している。
(このまま、何事も無く終わってくれりゃァいいんだが……)
ともすれば魔に堕ちそうな危うさを抱えたニフリートを案じて、レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン (p3p000394)もニフリートに同行していた。最近は張り詰めた雰囲気も和らぎ、安心できそうな雰囲気もあるが、まだ油断は出来ない。
そして、現実はレイチェルの望みどおりにはいかなかった。
「何だい!? この、気持ち悪い気配は……?」
ゾクリ、とするような魔の気配が、この場を覆った。強烈な「呼び声」だ。
――ドサリ。ニフリートがその場に倒れ伏す。
「ニフリート!? ……もう少しだけ、耐えてくれ! すぐに、この呼び声を止めてくる!」
ガクガクと痙攣し、うわごとのようにブツブツと聞き取れないほど小さな声でつぶやき続けるニフリートに、レイチェルはそう声をかけた。
(だが、この呼び声を放っている魔種は何処に――)
「た、た、大変だ……!」
レイチェルが思案している間に、彩世のチームの男が慌ててこの場に駆け込んできた。
「まずは、落ち着きな。で、如何したってんだい?」
男を落ち着かせた彩世が聞き出したのは、ラド・バウから離れた位置に白く巨大なパワードスーツが出現し、周囲一帯を猛烈な吹雪で覆ったと言うことだ。しかも、その吹雪の範囲は徐々にながら広まっているように見えると言う。
男の話を聞いた彩世、狂歌、レイチェルはラド・バウの外に出て、状況を確認した。猛烈な吹雪の奥に、白く巨大なパワードスーツ――巨大フレイアが見える。そして、確かに吹雪は徐々に近付きあるように見えた。
(――奴か! 奴が、ニフリートを!)
同時に、レイチェルは巨大フレイアから放たれる呼び声がニフリートを苛んでいるのだと直感で理解し、歯をギリッ、と軋らせた。
「……頼む。耐えていてくれ、ニフリート」
反転に抗うニフリートがいるラド・バウを一度だけ振り返ると、レイチェルはダッと駆け出した。
「行ってきな、狂歌チャン。アンタも、イレギュラーズなんだろ? アタシ達を、ここにいる皆を、護っておくれよ」
レイチェルを見送った彩世は、狂歌を真っ直ぐに見つめて、巨大フレイアと戦うように促した。普段のからかうような調子は鳴りを潜めており、彩世は真剣そのものだ。その眼差しに篭もっているのは、イレギュラーズとしての狂歌への期待。
「……ああ。待ってろ。あんな奴、すぐに片付けてくる」
自信満々な様子で彩世に応えると、狂歌はレイチェルの後を追って駆け出していった。
(……欲しいのだろう? 力が。ノルダインに復讐する、力が。
父を、母を、ルビーンを、アダマスを、フローライトを、ワトーの街の皆を殺されたのだ。許せないよな、ノルダイン。
怒れ。そして、その憤怒に身を任せろ。そうすれば、お前は力を得られる)
「ノルダイン、に……復讐……する、力……でも……」
呼び声は、ニフリートを魔に堕とそうと心の中で囁きかけてくる。ややもすると、ニフリートは反転してしまいそうだ。
「もう少し、もう少しだけ、頑張るんだよ! リエース先生!
アンタが魔に堕ちて誰かの復讐をしたとして、その誰かが喜ぶと思うのかい!?」
この場に戻ってきた彩世が、反転を防ごうとニフリートを激励する。
「そうだよ! その人の言うとおりだよ!」
「ニフリート、そっちに行っちゃダメだよ! もう帰って来れなくなる!」
「皆、ニフリートに復讐なんか望んじゃいないよ!」
ニフリートがワトーの街にいた頃から彼を愛してきた精霊達が、必死になりながら口々に訴える。
だが、その声は彩世にも、そして当のニフリートにも聞こえていなかった。
- <鉄と血と>最期の刻まで、鉄帝に災禍をLv:50以上完了
- GM名緑城雄山
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年03月21日 22時07分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●出撃の前に
鉄帝の未来を決定する、帝都スチールグラードでの各派閥と新皇帝派の最終決戦。その最中、ラド・バウの医務室で避難民達の治療に当たっていた帝政派の軍医ニフリート・リエースは、魔種エカチェリーナ・ミチェーリの呼び声により、反転の危機にあった。
「なぁ……復讐を、皆は望んでいるのか?」
床にくずおれて、ガクガクと痙攣し、ブツブツと小さな声でつぶやき続けるニフリートの身体を起こしながら、『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)はニフリートに話しかけた。だが、ニフリートからの返事は無い。
それでも、ニフリートの心に届けと願いながら、レイチェルは語りかけ続ける。友人で同志であるニフリートを、魔に堕とさせるわけにはいかない。
「お前が望まれたのは、生きて多くの人々を救う事じゃないのか?
……復讐に溺れるのは、弱い人間なんだよ。復讐なんざ、只の自己満足だ。
復讐を果たしても何も戻って来ない。虚しさが残るだけだ」
ニフリートは、ノルダインの襲撃で故郷を喪った。呼び声は、ノルダインに復讐するための力を与えるとニフリートを誘っている。だが、レイチェルはニフリートの家族も、彼を愛する精霊達も、ニフリートに復讐など望んでいないと識っている。そして、復讐の虚しさは我が身を以て識っていた。
「……だから、お前は復讐鬼に堕ちないでくれ」
そう告げると、レイチェルはニフリートを愛する精霊達と、この場に居合わせたB級闘士華幡 彩世に、諦めずに声を掛け続ける様に頼んで医務室を出た。一刻も早く、この呼び声を放っている魔種を斃さねばならない。
●荒れ狂う吹雪の中で
エカチェリーナが放っているのは、呼び声だけではなかった。純白のパワードスーツ『フレイア』を貯め込んだ憎悪と憤怒と魔種の魔力によって巨大化させたエカチェリーナは、周囲一帯を生きる者の存在しえない吹雪で覆い尽くしていた。その吹雪は、少しずつ拡がりつつあった。これがラド・バウまで至れば、ラド・バウの避難民達が死に絶えることは想像に難くない。
その猛烈な吹雪の中で、エカチェリーナは赫怒していた。
「エカチェリーナ……君に、こんな辛い過去があったとはな……」
『先導者たらん』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)が、知己の鉄帝特務少尉レイチェル・キャヴァルリーに予め調査してもらっていたエカチェリーナの過去を明かしたからだ。
幻想貴族と愛し合う仲であった過去、南部戦線との戦闘でその幻想貴族が戦死した過去、鉄帝への憎悪と憤怒から魔に堕ちた過去、鉄帝に潜伏し復讐の機を待っていた過去。
「よくもズケズケと……人の過去に土足で踏み入ってくる!」
フレイアの中から、エカチェリーナの怒声が響く。だが、シューヴェルトはその怒声を意に介さず、貴族騎士としてエカチェリーナに安らかな眠りを与えるべく戦闘行動に移っていた。これ以上、鉄帝の民をエカチェリーナの犠牲には出来ないのだ。
「砕け散れ! 貴族騎士流秘奥義『鬼気壊灰』!」
厄刀『魔応』の刀身から放たれた『碧撃』が、フレイアの脚部の装甲を貫き、砕いていく。だが、フレイアを巨大化させている力が、その装甲を即座に修復した。
ニフリートが反転の危機にあるとレイチェルから聞かされた『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は、ファミリアをラド・バウの医務室へと飛ばした。そして、祝福のハーモニーを響かせて炎と氷と出血の状態異常に抗する力を仲間達に与えた。
「貴女の憤怒の源が何であろうと、貴女が人々にしてきた仕打ちは決して許さない。
何の罪も無い者を巻き込み災禍を撒くのも、俺達との追走劇も、もう終わりにしようじゃないか」
「貴様に許される必要など……ない! 私は生き続ける限り、この国に災禍を撒き続けるのだ!」
「させるかよ! そんなこと!」
さらにイズマは、細剣『メロディア・コンダクター』をフレイアと、その周囲にいる『コランバイン』に向けて振った。フレイアと三機ほどのコランバインが、空間ごと断裁され損傷を受けた。
「やっと会えましたね、エカチェリーナ。こんな状態だとは思いませんでしたけど……」
エカチェリーナが巨大化した事実に、そして明かされたエカチェリーナの過去に、『鏡地獄の』水月・鏡禍(p3p008354)は思うところがないわけではない。だが、今までのエカチェリーナの所業を考えれば許すわけにはいかない。
「怒りの発散ぐらいには、付き合ってあげましょう」
「……舐めた口を利く!」
鏡禍は、周囲のコランバインの間を縫うようにしてフレイアの前へと進み出ると、妖力を纏った拳による乱れ打ちを放った。拳が幾重にも、フレイアに、その周囲のコランバインに、叩き付けられる。ただ、フレイアもコランバインも、装甲は歪みはしたが拳で殴りつけるにはさすがに堅牢だった。
「巨大化する程の憎悪と憤怒か……けれど、その憎しみが引き起こす悲劇は、ここで断ち切る!」
もうこれ以上、誰も傷付けさせない。その意志を込めて、『独立島の司令』マルク・シリング(p3p001309)が叫んだ。
同時に、マルクはフレイアやコランバインの周囲に揺蕩う根源的な力を穢れた泥に変えて、その運命を漆黒に塗り潰した。
(ニフリートが心配だ。なるべく短時間で、ケリを付ける!)
マルクの穢れた泥に続いて畳みかけるべく、レイチェルはフレイアとその周辺のコランバインを堕天の輝きで照らし出した。その輝きに照らされたコランバインの機体に、呪いが刻み込まれる。
「クッ……何だ? 動きが、鈍い……」
エカチェリーナは、フレイアと一部のコランバイン――運命を塗りつぶされ、堕天の輝きに照らされた機体の反応が鈍く感じるのを訝しがりつつ、自律機動するビーム砲を多数射出した。同時に、九機のコランバインを散開させてイレギュラーズを攻撃させ、一機をフレイアの側に侍らせた。
無数のビームとミサイルが、イレギュラーズ達を襲い強かに傷を負わせる。
(散開されてしまったのは残念ですが、まずはコランバインを減らしましょう)
エカチェリーナの脅威は戦闘力でも戦術でもなく、強力な兵器を多数運用する戦略にあり、それを潰された結果エカチェリーナは追い詰められたと言うのが、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)の分析だった。故に、再び潰しにかかる。
オリーブは味方から距離を取ると、フレイアとその側にいるコランバインに向けて、クロスボウを掃射した。だが、フレイアの側にいるコランバインが、フレイアに向けて放たれた矢を機体を盾にして受け止める。
(なるほど、側に一機残したのはそう言うことですか)
つまり、フレイアは最大十枚の盾を有しているも同然と言えた。コランバインからの攻撃も厄介ではあるが、コランバインが守りに回るのもまた厄介なように、オリーブには思われた。
「デカい上に色んな兵器を使って手数も多い。ロケーションまで最悪の状況にしてくるなんてね!」
だが、『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の声には燃え盛る炎の趣があった。
元来、イグナート達イレギュラーズは逆境には強く、これまで様々な逆境をひっくり返してきている。ならばこそ、ここまでの逆境となればかえって燃えると言うものだ。
魔種の巨大化はイレギュラーズに対する敗北フラグだと教えてやろうと意気込みつつも、イグナートはまずはコランバインへの対処に出た。気を練り込んだ石を螺旋状の回転をかけて投擲し、コランバインの装甲を抉るように貫くと共に、動きを鈍らせにかかる。四機のコランバインの動作が、イグナートの石を受けて鈍重になった。
「『金獅子』レオンハルト・フォン・ヴァイセンブルク将軍が末娘、ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク!
鉄帝軍人として、鉄帝の平穏のために戦いましょう!」
『キミと、手を繋ぐ』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)は、高らかに名乗りを上げると同時に、散開したコランバインのうち二機を巻き込める位置を選んで、鋼の雨を降らせた。降り注ぐ鋼は、コランバインの装甲に次々と突き刺さっていく。
「如何なる理由であろうと、魔種だろうと同軍を討つのは虚しさを覚えるでありますな、大佐殿」
「同軍? 鉄帝の軍を同軍などと考えたことは、一切無い!」
にべもないエカチェリーナの返答に、ハイデマリーは肩をすくめてみせた。
「随分と、視界が曇っているみたいねぇ……」
『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は、視界が氷雪に遮られることに困惑気味につぶやいた。シューヴェルトから聞いたエカチェリーナの過去を考えれば、こうなるのは仕方無い部分もあると思えなくもない。だが、それが民に対する暴虐を許容する理由にはなり得なかった。
「ともあれ、できる限り早く倒してしまいましょうか。この吹雪は危険だもの。
私たちにとっても、他の……それこそ……」
言葉を途切れさせたヴァイスは、この吹雪が拡がった際に巻き込まれることになる、ラド・バウの避難民達のことを想起していた。
「邪魔ね……退いて」
エカチェリーナを倒すべく攻撃するにしても、盾のように侍っているコランバインが邪魔だ。ならばとヴァイスは、吹雪すら貫く暴風を発生させた。その暴風によって、コランバインは十メートル弱、吹き飛ばされる。
盾となるコランバインがいなくなった隙に、ヴァイスは毒の魔石と独特の術式で構築された魔光をフレイアに叩き込んだ。
「ぐっ……」
魔石の毒と魔光による痺れは、フレイアの機体を通じてコクピットのエカチェリーナをも蝕んでいた。
「いきなり何なのか知らねえが、俺の後ろには護るべき一般人とかダチがいるからよ。
これ以上進むってんなら叩っ切らしてもらうから、覚悟しとけ!」
『鬼斬り快女』不動 狂歌(p3p008820)はそう啖呵を切ると、闘志を漲らせつつハイデマリーが鋼の雨を降らせたコランバイン二機の間へと駆けた。
「まずは、こいつらからスクラップだ!」
そう叫ぶと共に、『斬馬刀・砕門』をブンブンと幾度も振り回した。一見乱雑に見えるその剣閃は、しっかりとコランバイン二機の機体を捉え、損傷をより激しくさせていった。
●残るは、フレイア一機
コランバインが散開したため、イレギュラーズはコランバインの殲滅に時間を要した。その間に、マルクの回復を以てしてもイレギュラーズ達は全員が傷を負わされた。懸念されていたコランバインの自爆については、これまで戦ってきた経験を踏まえてしっかりと対策が取られていたため、被害はほぼ皆無だ。
エカチェリーナはフレイアの盾としてもコランバインを使っており、全てとは行かないまでも攻撃の多くをコランバインに受け止めさせていた。それに加え、フレイアは損傷すると即座に機体が修復されるため、ほぼダメージを受けていないように見えた。
だが実際は、外見以上にフレイアは、エカチェリーナはダメージを受けている。この理由として、機体の修復はあくまで機能を回復するに過ぎず、エカチェリーナの生命力の回復を意味していないことが一つ。そして、フレイアを巨大化させている力が魔種であるエカチェリーナを以てしても負担の大きすぎるものであり、ただこの場に在り続けるだけでもエカチェリーナは生命力を失い続けていることがもう一つだ。
実は、フレイアの機体はボロボロと細かく砕けてその破片は吹雪に乗って目立たないように飛び散り、砕けた部位は即座に修復されるのが繰り返されていた。いずれは、機体を修復する力も尽きフレイアは自壊する。だが、イレギュラーズはそれを悠長には待てなかった。
この吹雪がいつラド・バウに届くか、ラド・バウにいるニフリートがいつ反転するか、知れないのだ。
「絶対に屈しない。俺達の後ろには守るべき者達がいるのだから、引き下がるものか」
「ああ。僕らの後ろには、大勢の避難民がいる。撤退は許されない」
戦況は決して楽だと言えるものではないが、イズマやマルクが言うように、イレギュラーズ達は不退転の決意を固めている。
「君の機体は、少しずつ崩れつつある。今は即座に修復されているようだが、いつかはその力も尽きるだろう」
「見抜いたか……だが、その前に貴様らを鏖にすれば良いことだ!」
「やはり……止まる気は、無いか」
シューヴェルトの指摘に、エカチェリーナは今更と言わんばかりに答えた。そこまで覚悟を固めているのなら問答無用と、シューヴェルトは魔応の刀身から碧き一撃を放ち、フレイアの胸部装甲に直撃させる。胸部装甲は大きく抉れたが、すぐに修復された。
(しっかりしろ、ニフリートさん! 貴方に生きてほしいと願った者達は、復讐など望んでない。
故郷の人は貴方に未来を託したのだろうし、今も側にいる精霊達は貴方の歩みを見守ってる。
だから――『これから救う全ての人を選んでほしい』。人を救える貴方の手を、憤怒で壊してはいけない!
すぐに呼び声を止めるから……どうか耐えてくれ!)
ラド・バウの医務室に着いた使い魔を通じて、イズマはニフリートに思念を送り、反転を阻止すべく激励する。激励がニフリートに届いているかは、わからない。だが、ニフリートが耐えてくれることをイズマは願うしかなかった。
「貴女は、新皇帝に心酔したというより鉄帝国を憎んでたのか……?」
「そうだ。バルナバス陛下は、この国を滅ぼして下さる故に従ったに過ぎない」
「……だとしたら、俺はそれを断ち切る! 貴女のような人を、もう生まないためにも!」
憎悪の連鎖をここで断つ。その意志と共に、イズマはメロディア・コンダクターをフレイアの胴部に向けて四度、突き出した。その刀身からは、雷の様な速度で細長い衝撃波が四つ迸り、フレイアの胴部に突き刺さると次々とその装甲を深く穿った。
「はあああっ!」
「なっ!?」
鏡禍は、あらん限りの力を込めてフレイアの脚部を殴った。ボゴッ! と装甲が大きく凹み、内側へとめり込んでいく。予想だにしない被害に、エカチェリーナは驚愕を隠せない。エカチェリーナから見れば、ただ拳で殴りつけたようにしか見えない。だが、今回鏡禍が放ったのは、「対城技」と呼ばれる鉄帝の武技だ。
「この剣で、君を憤怒から解き放つ!」
「出来もしないことを、言う!」
マルクは自身の魔力を剣状に収束しながら、フレイアの脚部へと駆けた。狙いは、今鏡禍が大きく凹ませた部分。剣から放出される魔力が、推進力となってマルクの速度を上げた。ズン! 魔力の剣の刀身は、深々とフレイアの脚部装甲を貫き、その内部へと突き立てられた。魔力の剣によって空いた穴を中心に、放射状に亀裂が入る。
鏡禍とマルクが与えた損傷は、すぐに元どおりに修復された。だが、鏡禍もマルクも攻撃は確実に効いていると言う手応えを得ていた。
「俺の友人を、同志を、『呼んでる』のはお前か?」
「……そうだとしたら、如何だと言うのだ?」
「そうか……ならよ、エカチェリーナ。お前は、此処で討つ!」
レイチェルの問いを、否定しない。その事実を以て、ニフリートへの呼び声を放っているのがエカチェリーナだとレイチェルは確信した。
「憤怒、そして復讐の焔こそ我が刃。復讐の果てに燃え尽きるのが、我が生なり」
レイチェルは、自身の血を用いて魔法陣を手早く描く。その魔法陣からは、紅蓮の焔がゴウッ! と勢いよく噴き出した。レイチェルの生命を喰らいながら燃え盛る焔は、フレイアの胴部から胸部にかけての装甲を焼いていく。焔に焼けた装甲はグニャリと歪んだが、やはりすぐ元に戻った。
フレイアからは、これまでと同様に自動で機動する多数のビーム砲が放たれ、イレギュラーズ達の傷を深めていく。
(これ以上は長引かせられません。速やかに、終わらせましょう)
オリーブは、対城技を対人技に派生させた武技を以て、フレイアの脚部を連続して斬りつけた。長剣が、フレイアの装甲に幾重にも深い傷を刻みつける。
(……哀れ、と言えば良いのでしょうか)
ふと、オリーブはそんな思いに駆られた。巨大化したフレイアが強大であるのは、事実だ。自滅の道を歩みつつも未だその生命力に底は見えなく、ビーム砲の威力も大きい。だが、オリーブからすればあまりにも隙が多い。
命を食らった部下達と共に戦っていれば、あるいはまた違う戦況になったのでは。そう、オリーブは考えた。
「何にそんなに怒っているのかはワカラナイけれどね! モンクがあるなら全部吐き出すとイイよ!
全部押し退けて行くからね!」
イグナートは、勇気と覚悟をその胸に抱きつつ、呪腕でフレイアの脚部を殴りつけた。呪腕は装甲を大きくひしゃげさせて、脚部の中まで貫いていく。その威力で、フレイアの機体がバランスを失いかけてグラリと揺れた。
「ぐっ……貴様!」
エカチェリーナは、辛うじてフレイアのバランスを取り直して転倒を回避する。全部吐き出せ、それでも押し退けて行くと言うある意味では単純極まるイグナートの言に、エカチェリーナは苦々しげな顔をするだけでそれ以上は何も言えなかった。
「貴殿に愛する者を討たれたくはないのでありますが故、全力で阻止させていただく!」
「ええい! 苛立たせてくれる!」
ハイデマリーの言は、愛する者を討たれて魔に堕ちたエカチェリーナにとっては、煽りと言えた。それを、ハイデマリーが意図していたかどうかは不明ではあるが。
ともあれ、ハイデマリーは白銀のライフルでフレイアの胸部を狙撃した。生命を嘲笑う死神と化した銃弾が、フレイアの装甲を貫通して内部へと吸い込まれていった。ハイデマリーは、重ねて同じ狙撃を行い、再度銃弾をフレイアの装甲の中へと貫通させた。
「――魔法少女と言う存在は、貴殿みたいなものすら救えるんでありましょうな」
「何を、わけのわからぬ事を……私に、救いなどは要らぬ!」
ハイデマリーの、果たして独り言なのか会話のつもりか判然としない言に、エカチェリーナはつい反応を返してしまっていた。
「貴女の想いは知らないけれど……関係ない人にまで迷惑をかけちゃいけないわよ?」
「綺麗事を……言う!」
諭しても聞き入れる様子のないエカチェリーナに嘆息したヴァイスは、フレイアの脚部に手を添えた。
「貴女は、貴女自身の悪夢によって滅びなさい」
「……な、何だこれは!? うわあぁぁ……」
ヴァイスは、エカチェリーナに悪夢を延々と見せ続けた。延々と、と言っても現実では十秒もあるかどうかだが、エカチェリーナの体感ではもっと長く感じられたことだろう。そして、その悪夢は現実においてエカチェリーナの生命をも蝕んでいた。吹雪の中に、砕けたフレイアの装甲が消えていく。
「よお、初めましてだな。特別因縁がある訳じゃないが、街中で暴れる以上は容赦しないからな」
「容赦しないから、如何だと言うのだ!」
狂歌は不敵な笑みを浮かべつつ、フレイアの脚部に斬馬刀・砕門で斬りつけた。門を砕いたと言う巨大な刀による対城技の一閃は、フレイアの脚部を大きく斬り裂いた――が、これまでに比べるとやや時間を要しこそしたが、フレイアの脚部は一見元どおりに修復された。
●エカチェリーナの最期
イレギュラーズの攻撃と巨大化による負荷で、エカチェリーナの生命力は削られていった。だが一方で、エカチェリーナの必殺の気迫を込めた攻撃によって味方を護り続けた鏡禍が倒れ、他のイレギュラーズ達も可能性の力によって戦場に残らねばならないところまで追い込まれた。
エカチェリーナの方は、もうフレイアの機体の修復がままならず自壊が目に見えて進んでいる。一方、イレギュラーズの側も残る全員が耐えきるのはほぼ不可能となり、最終的に誰を残すか苦渋の決断を下した。
「イズマさん、頼むよ」
そうマルクが判断したのは、受けている傷の深さに応じて攻撃の威力が最も大きく増していくことと、一度の行動で多くの手数を繰り出せることが理由だった。
イレギュラーズ達は次の攻撃に耐えられないと判断すると、イズマの盾となってエカチェリーナの攻撃を受け止め、次々と倒れていった。そして残るイレギュラーズは、イズマ一人となる。一方、イズマもフレイアの機体がほぼ崩壊し、エカチェリーナの姿が見えるところまでエカチェリーナを追い込んだ。
どちらが先に倒れてもおかしくない状況で、勝利を掴んだのはイズマだ。
(最期の瞬間まで足掻くのは、俺達とて同じ――だからこそ、この手で確実に仕留める!!)
メロディア・コンダクターの刀身が雷の如き速度で繰り出され、エカチェリーナの心臓を貫いた。致命傷だ。
「見事、だ――」
最後にそう言ったエカチェリーナの身体は、フレイアの機体と同じように白い欠片となって砕けていき、吹雪の中に消えた。そして、辺り一帯を覆っていた吹雪も晴れ、春を思わせる陽光が戦場だった場所を照らしはじめた。
イズマ以外のイレギュラーズ達は、ラド・バウから来た救援によって保護された。イズマは、救援に来た一人である彩世に、吹雪がラド・バウに至らなかったかと、ニフリートが反転しなかったかを尋ねた。彩世の返答は、どちらも危ういところであったと言うことだ。
ギリギリではあったが、避難民達もニフリートも守り切れたと知ったイズマは、身体の力が抜けてその場にへたり込んだ。
その間に、彩世は未だ昏倒している狂歌の側へと駆け寄りしゃがみ込むと、狂歌の上半身を起こして胸の中でぎゅう、と強く抱きしめた。
「アンタが無事で良かったよ、狂歌チャン……ありがとう、ありがとうね……」
そう感謝を述べる彩世の目尻には、涙の粒が光っていた。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
シナリオへのご参加、ありがとうございました。ギリギリではありましたが、エカチェリーナは討たれ、ラド・バウは彼女の放つ吹雪から守られました。
MVPは、可能な限り味方を護って継戦能力の維持に努めた鏡禍さんにお贈りします。
あと、レイチェルさんが昏倒したのと字数との関係でリプレイ中には描写出来なかったので、ニフリートの状態についてこちらで補足しておきます。ニフリートは反転は回避しましたが、精霊の声は未だ聞くことは出来ない状態です。こちらについては、もう少し時間が必要そうです。
それでは、お疲れ様でした。
GMコメント
こんにちは、緑城雄山です。
いよいよ鉄帝編もクライマックスですね。そして、エカチェリーナとの決着の時もようやく来ました。
パワードスーツ『フレイア』と共に巨大化し、最期の刻まで鉄帝に災禍をもたらさんとするエカチェリーナを、ここで討って下さい。
【概要】
●成功条件
エカチェリーナの討伐
●失敗条件
エカチェリーナが起こす吹雪の、ラド・バウへの到達
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
不測の事態を警戒して下さい。
●ロケーション
帝都スチールグラード、エカチェリーナ隊駐留地。時間は昼間。
エカチェリーナの能力により、戦場全体が猛吹雪となっています。
これにより、戦場にいる者は、毎ターンの最初に【凍結】系BSが複数付いた神秘攻撃を受けるものとして処理されます。
この吹雪は、時間経過に伴い周囲へと広がっていきます。何時かは、周辺の街区諸共ラド・バウをも飲み込むでしょう。
【敵】
●エカチェリーナ・ミチェーリ&巨大フレイア ✕1
新皇帝派の鉄帝軍大佐にして、憤怒の魔種です。愛する者を鉄帝に討たれて以来、心の中に憎悪と憤怒を溜め込んできました。今回解放されたそれらと、絶大な魔種としての魔力が化学反応を起こした結果、装備しているパワードスーツ『フレイア』共々巨大化しています。全高およそ20メートル。
それだけに、絶大な力を有していることが想定されます。また、それほどまでの憤怒に呑まれているため、【怒り】は無効では無く付与さえも出来ないレベルで通じなくなっています。
一方、これだけの現象を引き起こす力は如何に魔種であるとは言え負担が大きすぎ、時間の経過と共にエカチェリーナの生命力は減少していきます。とは言え、自滅を待っている時間的な余裕は無いでしょう。
下の「攻撃手段など」は、『【怒り】付与不可』を除き、以前『氷雪の魔種 白き武装を纏いて』で戦ったフレイア試作型のデータから想定されるものでしかありません。その攻撃の多くに、複数の【凍結】系BSや【出血】系BSがあることは想定されます。
破損部位はその魔力によって修復されるため、部位狙いは有効とは言えません(ただし、あくまで部位が修復されて機能が回復するだけで、生命力まで回復するわけではありません)。
・攻撃能力など
巨大ブリザード・ソード 物
薙ぎ払い 物
ハイパー・ブリザードストーム 神
巨大ブリザード・ソードから、直線上に猛烈な吹雪を吹かせます。
メガビームガン 神
吹雪の魔法 神
自律行動型ビーム砲 神
BS緩和
【封殺】耐性
【怒り】付与不可
●コランバイン・カスタム ✕10
エカチェリーナ隊が運用するパワードスーツ『コランバイン』の親衛隊用カスタム機です。
本来の搭乗者である親衛隊は既にエカチェリーナの生命の一部と化しており、エカチェリーナが魔力を用いて遠隔操作しています。
その特性上、付与されても意味をなさないBSが多数あります。
・攻撃能力など
隠し腕 神至単 【邪道】【変幻】
普段は装甲内に隠匿しているアームです。その先からは、ビームサーベルが展開されます。
薙ぎ払い 神至範 【邪道】【変幻】
肩部ビームカノン 神超貫 【万能】【防無】
腕部ガトリング砲 物/近~超/範~域 【邪道】【変幻】【封殺】【致命】
腰部・脚部ミサイルポッド 物遠範 【多重影】【変幻】【鬼道】【火炎】【業炎】【炎獄】【紅焔】
自爆装置 【識別】
【関係者】
●華幡 彩世 ✕1
不動 狂歌さんの関係者です。
ラド・バウのB級闘士でしたが、新皇帝のバルナバスの勅令が発せられてから程なくして、行方を晦ませました。しかし、新皇帝派の所業に呆れ、『<クリスタル・ヴァイス>修羅姫の帰参』でラド・バウの地下道探索に参加したことを禊として、ラド・バウに帰参しました。
今回は、ラド・バウの人員を率いて、スチールグラードに残る住民の収容・保護に当たっています。
その他詳細については、こちらの設定委託『修羅姫アヤセ』(https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/4010)をご覧下さい。
●ニフリート・リエース
レイチェルさんの関係者です。帝政派の軍医。
元々自身の過去から、医療技術を習得するために無理をしがちなところがありましたが、新皇帝派の即位から負傷者の対応により忙殺されるようになり、魔に堕ちそうな危ういところがありました。
それでも、張り詰めたような雰囲気は多少は和らいでいたのですが、エカチェリーナの発する呼び声を受けてしまい反転の危機にあります。
レイチェルさんに発行した称号スキルが装備されていれば、反転への大きな耐性が得られているはずです。ですが、エカチェリーナの呼び声はその耐性をも凌駕する可能性があるほどに強いものです。
毎ターンの最初に、ニフリートが反転するかの判定が行われます。その際、経過ターンに応じて不利な、判定してしまう方への補正が増加していきます。そのため、時間をかけすぎればニフリートが反転する危険性が上昇していきます。
その他詳細については、こちらの設定委託『故郷のない軍医』(https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/4174)をご覧下さい。
【その他】
●小説パート1章目に関して
小説パート1章目は、あくまでPL視点の情報です。そのため、例えば「リーディング」などでエカチェリーナの心理を見抜くなどの方法を取らない限り、PC視点では知る由はありません。
そうした手段を取らずにプレイングで小説パート1章目の描写について触れられても、リプレイ執筆時に「何でPCがそれを識ってんねん?」となって描写に困ってしまうので、スルーする可能性が極めて高くなります。ご注意下さい。
●サポート参加について
今回、サポート参加を可としています。
シナリオ趣旨・公序良俗等に合致するサポート参加者のみが描写対象となります。
極力の描写を努めますが、条件を満たしている場合でも、サポート参加者が非常に多人数になった場合、描写対象から除外される場合があります。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●エカチェリーナ関連シナリオ(経緯を詳しく知りたい方向けです。基本的に読む必要はありません)
『 <総軍鏖殺>雪の街に立つ、無数の柱』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8438
『<総軍鏖殺>マキーホ平原会戦<トリグラフ作戦>』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8563
『<大乱のヴィルベルヴィント>氷雪の魔種 白き武装を纏いて』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8752
『<大乱のヴィルベルヴィント>空駆ける武装要塞』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8766
『<咬首六天>雪夜の雪原に並び立つ十字架』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8929
『<咬首六天>災禍撒く部隊を追って』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/9047
『<天牢雪獄>許すべからざる戦力補充』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/9154
『<天牢雪獄>マルク・シリング暗殺計画』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/9229
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。
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