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シナリオ詳細

再現性東京202X:あなたがしらない世界2

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●希望ヶ浜テレビジョンからの依頼
 再現性東京、希望ヶ浜。
 そこにある希望ヶ浜テレビジョンは、再現性東京の住人なら誰もが知っているものだろう。
 再現性東京の「東京らしさ」を演出するツールであり、かのドラゴンの襲来を災害で誤魔化すといったような……まあ、再現性東京の住人の「騙されていたい」という根源的な欲求があってこそ成り立つものだが、その辺りはさておいて。
 つまるところ「再現性東京の日常」を演出するためのコンテンツを日々産みだし放送している場所なのだ。
 その中には心霊番組といったようなものも、当然のように存在する。
 夜妖のような存在の実在を思えば、ちょっとばかり不安点はあるが……むしろ、そういうものから目を背ける為の「そんなものは作り物だ」的な安心感を得るためのコンテンツとして存在しているのかもしれない。
 愚かしくも愛おしい、そんな再現性東京の日常を守るための心霊番組。
 心を不安にさせるような番組が心の安定に役立つという、その矛盾を抱えた仕組みは再現性東京を象徴するかのようであり……だからこそ、大切なのだ。
 具体的に言えば、番組に穴が開くことは許されない。
 どういうことか分からないのであれば、こう言おう。
 何かがあって番組に穴が開く。
 そうした非日常に再現性東京の住人が耐えられるか不明なのだ。
 ただでさえ、あの未曽有の災害の傷が癒えていないのだ。
 もしかしたらまた……などと思わせてしまうのは、非常によろしくない。
 心の安寧の為、緩やかな「誤魔化し」の為には、出演者の差し替えくらいならば許される範囲内。
 だからこそ『納骨堂の神』シャーラッシュ=ホー(p3p009832)に連絡がきたと言えよう。
 まあ、前回「ヌルッと来い超常現象」みたいな名刺を置いていったのが原因な気はするのだが。

●心霊スポット生中継!
「なるほど。心霊スポット探索、ですか……」
「ええ。まあ、実際にはそんなもの出ないんですが……そこはこう、ね?」
 あえて言わないのがテレビらしく、ホーはニコリと微笑む。
「それで私にご連絡をいただいたというわけですね」
「ええ。釈裏宗 法厳(しゃうらしゅう・ほうげん)先生のお力を是非、と」
「しゃうら……え?」
「え?」
「ああ、いえいえ。そういえば前回そうでしたね」
「あー、すみません。その辺まだ前担当者から引き継ぎできてなかったようで」
 さておき、話としてはこうである。
 希望ヶ浜テレビジョンの心霊番組「あなたがしらない世界」の生放送に出演するはずだった霊媒師がスタジオに向かう途中で全員何らかの事情に巻き込まれ、番組へ出演できなくなったのだという。
 勿論、夜妖の類は一切関係なく単純に運が悪かっただけである。
 番組をお蔵入りにさせないため「イレギュラーズに霊媒師役を演じて欲しい」という依頼が急遽舞い込むことになったわけだが……時間的な制約が激しい。
 なので、前回の放送で好評だったホーに仕事が舞い込んできた……つまりはそういうことだ。
 今回の仕事はスタジオの「外」での仕事であり、心霊スポットで生中継を行う霊能力者の役割である。
 生中継なので予測不能なことが起こる可能性が非常に高い……というか、なんか予測不能な事態が起こった風に頑張れという話である。
「まあ、前回もVTRなどでやりましたしね。それが生になっただけです」
 事前の仕込みが必要なら頑張らないといけないが、やりがいのある仕事だろう。
 だって、テレビのお仕事である。胡散臭い霊能力者役というのがちょっと問題かもしれないけど、頑張る甲斐はあるだろう……!

GMコメント

またしてもリクエストありがとうございます。


内容はもう徹底的にコメディです。
真面目にふざけてください。

▼舞台
希望ヶ浜に存在する廃病院。

▼戦闘
本物の霊的トラブルが起こる可能性があります。
その場合、徹底的に胡散臭く解決してください。
生放送だと意識して、「これ仕込みだろ」ってテレビの前の視聴者がゲラゲラ笑うようなやつをやってください。

▼内容
霊媒師を演じて心霊番組を成功させることです。
皆さんは希望ヶ浜テレビジョンの心霊番組(生放送)に霊媒師、あるいは霊能者役で出演することになりました。
霊媒師や霊能者を演じる為、それっぽい偽名を名乗る&それっぽい格好をすることを番組プロデューサーから強要されています。皆の心の安定の為ですからね、仕方ありませんね。

皆さんは心霊スポット(という建前の)廃病院を探索し、霊媒師や霊能者的な行動を行いながら、心霊生中継を成功させましょう。
急な依頼の為、番組の進行台本を読む時間もなく、生放送なので予測不能なことが起こる可能性が非常に高いです。
具体的には「戦闘」の項目のようなことがあります。うさん臭さを忘れないでください。
もういっそ自分を芸人だと思ってください。

なお、司会のおじさんの名前は「穀倉シゲオ」さんです。
トラブルにも慣れたベテランさんです。
全部アドリブで進みますので、視聴者を飽きさせない程度、そして再現性東京の事情にも配慮しながら都度進行していく形になります。

うん? そうですよ。
自由気ままにプレイングをかいてかかってこいやってことです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 再現性東京202X:あなたがしらない世界2完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年02月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神
※参加確定済み※
ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)
瀉血する灼血の魔女

リプレイ

●あなたがしらない世界
 死は滅びではない。
 死は生の続きであり、死者は常に私達のすぐ近くにいるのだ。
 いつも彼等は私達を見ていて、ふとした瞬間に彼等は私達にその存在を強く知らせてくる。
 怒り、悲しみ。
 それらは私達に対するメッセージであり、それらは私達に死者に対する畏怖を教えてくれる。
 侮るなかれ。
 常に心せよ。
 彼等はいつでも私達を見ている。
 今日は、そんな「あなたがしらない世界」についてお届けしよう……。
「さあ、本日は怪奇特番。私、穀倉シゲオとゲストの霊能力者の皆様でお届けします」
 病院。
 それは生と死の入り混じる場所。
 生への努力が続くことで「正しく」在る病院がその役目を終え、廃墟となったらどうなってしまうのか?
 生の力が薄れ、死の力が強まった時、一体何処に繋がってしまうのか?
「選りすぐりの霊能力者の皆様による、生中継。もう現場に繋がっているようです……穴子姫さん?」
 そうして中継用のカメラに、『美少女霊能師穴子姫』ノリア・ソーリア(p3p000062)は軽く挨拶する。
「少女霊能師穴子姫ですの。今日は皆様のお力になりますの」
 ノリア本人としては「いい加減、この町は…神秘を、すなおに、受けいれればいいですのに……!」という気分ではあるのだが、それが出来るなら再現性東京は存在しない。
 だからこそノリアは変化してそれっぽい衣装とか小道具とかを用意して、それらしく振舞うのだ。
「此処が病院の駐車場ですの」
 演技もうまくないからと、なるべく口を開かないようにしつつも、それらしい雰囲気を作っていく。
 病院の駐車場と、急患の搬入口。ドアを開ける際に鳴らす音呂木の鈴も、剣で何かを切るフリも、全ては雰囲気づくりの為だ。
 霊対策。そういうことをしているように見せかけているのだ。
「これは磁気感覚器。反応は……ありませんの」
 ちなみに端々で『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)の姿がチラチラ映っていたりするが……後々「そういうシーン」として再利用される予定である。さておいて。
(もし ほんとうに なにかがいるようならば 首をふって 勝手に 先にすすんでスタッフが あわてて ついてくるよう しむけるつもりでしたけど これは多少の演出が 必要ですの)
「あ……」
 さも何かを見つけたかのように天井あたりを指させば、そこには顔に見えるシミがある。
 それは何でもないが、ノリアがそれらしき蘊蓄をくっつければ怪奇現象に早変わり。
 そうした演出が「ちょうどよい」。そういうことなのだろう。
 そして……スタッフと共に最終調整をしていたルトヴィリアは、準備の真っ最中だった。
「えー、と。あたしも割と非日常側なんですが……大丈夫ですコレ? なんか練達の依頼、こんなのばっかりだなあ……いやまあ、個人的にも"非日常"で楽しいからいいんですが」
 呟きながら準備をしていくが、ある程度何をしてもいいと確約を貰っているからこそ出来ることもある。
「ふーむ……何度か練達には来ているから、結構ちゃんと隠さないとアレかも。そういえば、若い子がはじけた格好ではじけた絵画を描いていましたねえ、グラフィティ? だとか。……うん。いいですねそれ」
 というわけで、ルトヴィリアの役割も決定する。
「ホラーグラフィティアーティスト、ルトヴィ a.k.a Niggurathですよ。此処はえーと、医療品倉庫だったみたいですね」
 喋り方を崩し、帽子を逆向きに被って、ジャージとダブついたパンツを着崩して、触媒の結晶を首から提げて。
 それっぽい恰好のホラーグラフィティアーティストの中継も開始である。
「ふーむ、廃病院……調子に乗ったガキ共がこういうところで好き勝手してくんですよ。ほら見てください「にげて」「かえして」「たすけて」だなんだと……。幽霊だとか妖怪だとか下らないんですよ全く。ムカついてきた。ちょっと描いて行きますね、どうぞお先に」
 そんな罰当たり的な演出と共にフェードアウトしていくルトヴィは「この後連絡がつかなくなる」予定だ。
 その映像をを出番待ちの間に見ていた『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も何度か頷いていた。
「……成程、そういうノリか」
 ノリアとルトヴィリアのやり方を見ていれば、どういうものを求められているかはアーマデルにも理解できてくる。
「俺はUMAハンターの『A〇(えー・まる)』だ(アマルじゃないぞ)。フード覆面でUMAを追いかけている筈なのに何故か心霊現象に辿り着く系Ptuber(再生数1桁)だ」
 再生数一桁は逆に芸術的だと思うのだが、さておいて。覆面&裾にカッコイイ刺繍のあるフードつきの黒コートに手袋と、とにかく露出はない格好だ。
 コートの内側になんかカラフルに光るアンプルをセットしてあるが、これは保護者のを勝手に借りてきたらしい。
「暗く陰鬱な雰囲気なのに陽気な霊が多いな、ハイ病院だけに」
 そんなギャグを挟むのは如何にもPtuberらしいが、時々立ち止まり、こめかみのあたりに片手を添え、反対側の手をちょっと上げ、『霊の声を聴いている』仕草……交信ポーズもとっている。
 実はこれ、ただのポーズではなく酒蔵の聖女と交信しているようだ。
(酒蔵の聖女……酒は終わってからだ……いま払うとあんた浮かれて仕事しないだろ)
「だから俺はUMAハンターで霊媒師ではないと……先日はツチノコと友情を深めてな……ちょっと待ってくれ通信が」
 何やら電波受信系霊能者になってきたが、それはそれでスタジオで盛り上げている。
(……霊の類は当然の如く無し、か)
 しかし、問題はない。何事もないのをこういう番組を通じて再確認する。それがこの胡散臭い番組の目的なのだから。
 だからこそ、『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)も今回はすごくわきまえている。
 たぶん、きっと。火々神・くとかを連れてきているのもその一環だ。
「貴様、少し手伝え、番組出演も現実を守る為の術だ。いあ、貴様、私も『再現性東京』を居心地良いと思って在るのだ。ぶち壊す所以は皆無なのだよ――人魂でも何でも、炎の精でも構わん。それより名前を如何にかしろ? Nyahahahaha!!! 何の事だか! 私は大真面目なのだよ! それで、貴様の友達にも観てもらうか。それだけは嫌だ? まったく注文の多いお客様だ。生ける炎なんぞ薪にでも為して終え! Nyahahahaha!!!!!」
 何やらスタッフから離れて話し合っているようだが、ブスッとした顔のくとかと共に出番の時には戻ってきている。
「私はオ……失礼。ロジャーズ・L・ナイア、希望ヶ浜学園で美術部顧問として働いている者だ」
 掴みは中々に上々、さてその次は。
「しかし、その肩書は仮のもので在り、本来の私の仕事は――――怪異、あらゆる『魔』を斃す為に、カダスより派遣された凄腕ハンターなのだよ。何? カダスが何処か? 嗚呼、カダスへ向かうには正規の道程だと時間が掛かるのだ。それ故、先ずはグルグルアイランドを経由するのが手っ取り早い。嗚呼、ジョークだ。そんな遊園地『存在する筈がない』のだよ、兎角……因みにこの札(テスタメント)は守護霊を招き入れるものだ、自分には効果がない故、他者の為の道具だな。此度は釈裏宗 法厳先生に渡してもいる」
 おっと、いきなり飛ばし方がジェットコースターかグルグルアイランドか。くとかが「うへぇ」と嫌な顔をしている。
「虚の廃病院、臭うな。特に、具体的には、手術室。おそらく、手術中に息絶えたものの魂が怪異と化して終ったのだろう……おっと。如何やら当たりみたいだ。事前に霊的な防御壁を張っておいて正解だったな」
 ちなみにそんなモノは居ないので、オラボナの演技力によるものである。
「むむむ――私が抑え込んでいる間(かばう)に貴様等、連中を還し給え。何? ハンターは貴様だと? 私は壁役なのだ」
「はいはい」
 くとかがそれらしき仕草をしてみせれば「除霊」は完了。
「さて、第四の壁(テレビ)の前の諸君、この世界には数多の不可思議が蔓延っているものだ。何か困った事が有ればロジャーズ・L・ナイアに一報を」
「しなくていいからねー」
 くとかのツッコミも入れば、無事にCMに移行である。
 とっても美味しい乳酸菌飲料、配合も新たにお腹に届く! 爽快エックス、新発売である。

●CMの後の世界
「希望が浜のヒトたちに娯楽を提供しつつ、それが本物であると気付かせないようにする依頼かあ。これは……もう徹底的にうさんくさくするしかないね!」
 CMの間に台本を用意していた『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は、自分のキャラをしっかりと固めていた。CM前がオラボナなので、ある程度好きにやっても大丈夫そうではある。
 なので……いざ出番が来たアクセルのテンションもバッチリである。
「ハーイ! オイラは夜にはばたく冥界の鳥、阿久屋(あくや)エクシールです! もちろん日本人だよ!(日本人じゃない)(オレンジの目)」
(……人間種以外が奇抜なファッションとして認識されてるならこの外見と名乗りでも大丈夫だよね。きっと。たぶん)
 大丈夫だ、問題ない。続行である。
 更に着ているのは僧服だ。僧服……だがサラスヴァ霊樹の守りを込めた深緑の防護服であるラン・サラスヴァ霊僧服だ。
(本物ではあるが希望ヶ浜のヒトたちにとっては触れたこともない宗教感のある服だろうし、まずこれでうさんくささをプラス。そして今回のポイントはこれ! エーベルヴァインの蜃気楼! 外見もスクロールだからうさんくさく!)
 空間に記録した静止映像を投影するスクロールを持ってきた理由は、これによって任意のタイミングで空中に画像を投影することができるから、アクセルのやりやすいタイミングでコトを起こすことができるからである。
 あからさまにタイミングとかがぴったりすぎるトラブルを実際の心霊現象に混ぜることによって信憑性を下げにかかることが出来るし、何も出なくても「プロジェクターに映した感のある静止映像」の投影で胡散臭さも更にプラスだ。
「ああ見えます見えます! 廃病院に巣くう悲しき悪霊たちの姿が!」
 ネットの百科事典とかから持ってきた情報そのままを喋るアクセルは、さぞかし胡散臭く見えることだろう。
 そうしてアクセルの胡散臭さ全開のコーナーでやらせ感を存分に演出したら、次は『あなたの世界』八田 悠(p3p000687)の番である。
「僕は俗にいう、霊媒師や拝み屋ってやつだね。本名をさらせば取り入る隙になってしまうんだ、便宜上『エイト』とでも呼んでおくれ」
 忌み名というやつだ。如何にもそれっぽい雰囲気はオカルト番組「らしい」期待を盛り上げる。
 勿論、悠の胡散臭そうなキャラ作りによるものなのだが、掴みは成功といったところだろう。
「此処は病室のようだけど……ああ、見えるね。清めなきゃならない」
 それっぽい感じに手で印を切ったり、儀式のための清めってことで脱いで水垢離をカメラの前で堂々と始めたりする悠の胡散臭さが上がっていくが……なんと悠、これでもちゃんと手加減している。
「まあ流石に生放送でいつも通りの全裸もまずいだろうし、妥協して下着とかそこらへんは考えておく」とスタッフに堂々宣言して「もっと妥協して?」と言われていたのだ。そうして出来上がったのが、生放送に耐えうる「エイト」というわけだ。
 ちなみにホルマリンのプールの底に待機してて、他の人の何やらに合わせて浮いてきてみたり、といった案も考えていたが生放送ではやべーので却下されている。
 呼吸不要を備えてるから、長時間待機もお手の物さ、ではないんだよなあ……放送事故になっちゃう。さておいて。
 他の人の手番で露骨に身体年齢を子供や大人に変えて、廃病院の中でぽっと出しては角に消えてく見たいなこともしていたが、それも振り返り番組とかで「キャー」のSEと共に雑な検証がされる予定だ。
 そんな「それっぽい」悠の次は、『彼岸の魔術師』赤羽・大地(p3p004151)と羽切 響の番だ。あと兎っぽいマスコットのリコリスもいる。
「どうもー心霊系Ptuberのみっひー&リコリンでーす! 今日はリア友のビッキーと一緒になんと、めちゃヤバらしい病院に来ちゃいました〜!」
「来ちゃったわけじゃーん!」
「まあうちらってば最強だから大丈夫っしょ。何ならユーレイもうちら見た瞬間Go to HEAVENでしょ。ね、ビッキー、リコリン!」
(……うわキツ)
 そんなことを台詞の裏で考えながらも、アーマデル同様のPtuber枠である。
 ヤバいのを目撃しちゃう霊能力者とかじゃない一般人枠的な体でいるのはアーマデルとの違いだろうか。再生数も高そうだ。
(まあ、勿論実際俺達の裏の顔はネクロマンサーだし、地獄花もあるしで幽霊案件は……少しだけは分かるんだが)
 しかしそうだからこそ分かる。此処は安全だと。だからこそ演出は重要だ。
 ちなみに『赤羽』の言動は、リコリスを大地が手動でピコピコ動かすことでそういう腹話術みたいに見せかけている。
「ねーねーリコリン、あそこの壁妙に汚いけど何アレ?」
『誰がリコリンだヨ、コラァ!! ……ン、あれハ……故人の恨みがああやって残ってるんだろうナ』
 勿論コレも嘘八百だ。とはいえ、そういうのが重要だ。
 自分でもG-Eを回して、番組が盛り上がる決定的瞬間の映像をお届けできるよう貢献していくつもりだが、しっかりとその映像は後で使ってもらえる手はずになっている。
 そして……ラストは『納骨堂の神』シャーラッシュ=ホー(p3p009832)である。
 ここまでの集大成も兼ねているので、中々に責任重大だ。
「私、宗教法人『澄水(すみす)教』の代表を務めております"釈裏宗 法厳(しゃうらしゅう・ほうげん)"と申します。テレビの前の皆様、またお会い出来ましたね」
 そんな挨拶から始まれば、如何にもそれらしい……ノーメイクで非常にそれらしい。
「さて、私が代表を務めております〝澄水教〟には「死者の魂に永遠の安らぎを」という教義がございます。ですので、万が一廃病院に幽霊が現れたとしても何一つ問題はございません。その時は情け容赦なく彼らに〝永遠の安らぎ〟を与えるだけですので」
 そんな「分かっている」行動をするホーだが、オラボナから受け取った札(テスタメント)も使っていた。
(よく分かる信者のつくり方も事前に読んでおりますし、私の圧倒的カリスマ性(※当社比)に視聴者は釘付けでしょう)
 準備の仕方がガチである。物凄くガチである。
 廃病院内に潜入したら水晶……を使ってるフリで死者探知を使用し、建物内に潜む霊達を探知しようとしていく。
「これは澄水教の御本尊───水晶玉を覗き見ることによって現世に留まる不浄な存在を視認することができるのです」
 勿論凄い嘘だし、此処には霊は全くいない。しかし、それはそれで問題ない。
「どうやら我々は歓迎されていないようです。充分に注意をしなければ……」
 練達で暮らす人間達は飽きっぽい生き物ですから、適度に番組を盛り上げていかなければならないのです、とはホーの談だが。実のところ、その通りなのである。
「南無赫焉赫灼……」
 自分たちの信じた現実以外のものが怖いからこそ、こんな番組で安心しなければならない。
 なんとも危ういバランスの上にあるのだろうか。
「さて、この番組をご視聴の皆様に私から一点お願いがあります。〝君子危うきに近寄らず〟というありがたいお言葉がございます。賢明な皆様は心霊スポットと呼ばれる場所には不用意に近付かないようにしましょうね」
 そうすれば夜妖の危険も多少は避けられましょう……とまでは言わない。
 この危ういバランスの上に成立する愚かしさ。それもまた、愛すべき再現性東京なのだから。

成否

成功

MVP

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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