シナリオ詳細
<ジーフリト計画>バーデンドルフ・ライン
オープニング
●
――シグフェズル・フロールリジという男がいた。
彼は謀反人となる筈であった。彼は謀反の大罪を背負う筈だった男であった。
全ては領民の為に。民の嘆きの声を、見捨てられなかったから。
敵国と内通し『必要な犠牲』を払ってでも彼は彼の責務を、彼なりに果たさんとしたのだ。
しかしその全ては露と消える。
娘(エーデルガルト)の――裏切りを受けて。
「バーデンドルフ・ラインが見えてきたな……あぁ。実に懐かしい。
かつてはあの地に赴いた事もあるものだ――
我が領土が、かの国と繋がれば今頃はあそこも幻想の要塞だったのやもしれんが」
「感傷か?」
「いいや。これは只の記憶の羅列だ」
そんな彼は見据える。闇夜に紛れながら、懐かしむ様に。
ザーバ派の本拠たるバーデンドルフ・ラインを。
素晴らしい要塞だ。流石長年、幻想王国との戦線を支える為に存在した地と言えよう。
シグフェズルにとっても知らぬ地ではない。実際に訪れた事も――まぁ随分前だがあるものだ。故に、ふと零れた過去の追憶。そんなシグフェズルへと言を紡いだは……ディートハルト・シズリーなる人物か。
彼は独立島アーカーシュに『潜って』いた人物だ。
新皇帝派に雇われていた傭兵とも言うべきか――時折、情報を流してもいた。
しかし此度、彼が招集を受けシグフェズルと合流したのだ。
「まぁ俺は雇われれば雇われた分の仕事をするだけだ。
で。今回の目的は――バーデンドルフ・ラインへの攻撃でいいんだな?」
「無論だ。列車砲も手に入れた連中の戦力、幾ばくかは削っておかねばな。
新皇帝に対して、私の面子も立たん」
「――そういう割には、どこか余裕そうだな」
「そうか? 気のせいだろうさ」
シグフェズルは先日、ゲヴィド・ウェスタン攻防戦に参加した一人である。結果から言えばあの戦いは新皇帝派の敗北に終わった――かの地は取られ、南部戦線の領域と化したのだから。
しかし。シグフェズルはそれ自体には左程頓着していない。
――彼の目的は、遥か以前より『一つ』だけ。
憤怒の魔種と化しても変わらない。彼の脳裏の計画は、いつだって『玉座』だけが在る。
……ともあれ今は、自らの障害にもなりそうな者達を削ぐ事に集中するとしようか。
先述の通り、ゲヴィド・ウェスタンを中心として防衛線を敷かれてしまっている。
故に新皇帝派が大軍を率いてバーデンドルフ・ラインをいきなり強襲する事は不可能だ。
しかしやり様はある。『陥落させる』事が前提でなければ、幾らでも。
「総員、聞け。我々の目標はバーデンドルフ・ラインの完全破壊ではない。
――我々の爪痕を刻む事だ。
敵の警戒など踏みつぶせ。連中の内へと侵入し、その武を振るえ。
宿舎、技術工房、練兵場、食糧庫、塹壕地帯、城壁――
灰燼にして構わん。火を放ち、我らが此処にいるのだと教えてやれ」
シグフェズルの口端が吊り上がる。それは、あぁ。
「総員、作戦開始。武を振るうがいい――あぁ存分に!」
彼の笑みであったのだ。
――獅子の如き、荒々しき笑みが其処に在ったのだ。
●
「皆、バーデンドルフ・ラインに近付く敵を確認できた――
当初の予定通り要塞内部に誘い込んでこれを撃滅する。
可能な限りの敵戦力を此処で削るんだ」
「さてさて。よーやく出番って事ね。待ちくたびれる所だったわ。」
そして。シグフェズルの一派がバーデンドルフ・ラインに侵入する前に、バーデンドルフ・ラインでは作戦会議が行われていた――語っているのはゲルツ・ゲブラーであり、拳と手の平を合わせて笑みを見せているのはソフィーリヤ・ロウライトだ。
そう、新皇帝派の襲撃がある事は分かっていた。
故にこそ彼らは『内部に引き込んで、敵を撃滅する』方針へと舵を切ったのだ。
これが可能だったのは偏に、民を巻き込む恐れが無かった事にも起因しているだろう。要塞バーデンドルフ・ラインは元々軍事施設……多数の民を収容する事を想定されていた訳ではなく、故にこそ確保できた鉄道都市ゲヴィド・ウェスタンへと民を移送しても何の違和感もない。其れの本質が待ち伏せに在ろうとも……
「うむ。任せてくれ――このアルケイデス・スティランス!
祖国の為にこの身命を捧げようではないか!」
「あーまぁ、無理はするなよアルケイデス。お前が倒れたらスティランス家も大変だし、な?」
然らば会議室にて意気揚々と戦意高き発言をするはアルケイデス・スティランスか。鉄帝でも有名な武闘派一族の長子――彼がいれば前線の士気も湧く程だ、が。そんな彼の本質が実は争い嫌いで、無理に演じているだけであると知るのは知古である新道 風牙(p3p005012)ぐらいか。
まぁバーデンドルフ・ラインでの戦闘となれば周囲には多くの味方がいる状況だ。
危険な敵地での戦闘よりは幾分かマシな状況であろうかとも思考すれば……
「では具体的な計画の説明を。新皇帝派はゲヴィド・ウェスタンの警戒ラインを大きく迂回し――恐らく北東の山間部方面より接近を試みると思われている。此方の方角からの侵入とならば施設的に重要な……そう例えば列車砲ノイエ・ノーラの保管庫などは遠い。
敵も苛烈な反撃をしてくる可能性はあるけれど、ある程度の損壊は承知の上で戦っても問題ない事が推測されているよ」
「問題は侵入してくる敵の『質』だと思われるが……
その点は如何か? フロイライン・ディリゲント」
続け様に言を紡いだのは、諜報機関『クネヒト・ループレヒト』の副室長たるヴィクトーリヤ・ヴィクトロヴナ・ヴィソツカヤに、彼女の竹馬の友たるエッダ・フロールリジ(p3p006270)であった。
フロイライン・ディリゲントとはヴィクトーリヤのコードネーム。
微かに、微笑む様な色を口端に彼女は灯せ、ば。
「ああ。まず間違いなく『高い』だろう。
わざわざ本拠地にまで侵入してくるんだ。確実に精鋭である事が想定される。
だが、だからこそ引き込む意味があるものだ」
「ここでぶちのめしておけば――後々が楽にならぁな」
「ええ。ザーバ派の諸氏も大きく士気が挙がる事でしょうね。ゲヴィド・ウェスタン攻略作戦成功に次いで、敵の反撃も跳ねのけたのなら宣伝効果は抜群だわ」
次いでゴリョウ・クートン(p3p002081)にイーリン・ジョーンズ(p3p000854)の姿も見えるものであった。ゴリョウの言った『後々』とは……そう遠くない未来に訪れるであろう帝都での戦いを見据えての事である。
いや帝都で戦いになるかは分からないが――とにかく、いずれはバルナバス本人との決戦が行われる事は確実なのだ。
その時を見据えれば今の内に敵の戦力は削るべきモノ。特にバーデンドルフ・ラインは要塞……つまり守勢に特化した地点であれば、今回の戦いは南部戦線やイレギュラーズ側にとって有利な状況である。
――そう。『有利』な状況なのだ。
新皇帝により各地を制圧され、奪回していく状況において数少ない好機。
逃しえない。ここで敵の精鋭を潰しておく。
「侵入まではさせてやってもいいだろう。其方の方が逃しづらくなるしな」
そして――ザーバ・ザンザも言を紡ごうか。
南部戦線の長。鉄帝の守護神たる彼も、当然として此処にいる。
然らばイーリンも尋ねるものだ。
「将軍殿は? 今回は、前線に出られるので?」
「さて、どうしたものかな。襲撃に来る連中は、バーデンドルフ・ラインを落とせるとは思っていないだろう……となれば目的も見える。破壊工作か、要人の暗殺か、だ。後者に該当する俺が前線に出れば微かな機会をくれてやる事になりかねん――まぁ。そう簡単にやられてやるつもりなどないがな」
もしも。ザーバ・ザンザが倒れれば南部戦線は瓦解する。
彼は単一個人としても強力な人物であり、そうそう暗殺される事などあり得ないが――しかし、不要なリスクを指揮官が執る意味は薄い。此処には多くのザーバ派軍人もいて、数の上では有利だし……あくまでもザーバの本分は将軍にして全体の指揮官なのだから。
「まずは、お前達に任せよう。俺は状況を見て動くとする」
「分かりました――それが宜しいかと」
「――よし。皆、この戦いは、後の為の戦いだ。
いずれ我々は帝都へと昇る――その為に今、新皇帝の連中を打ちのめしてやれ」
ゲルツが返答すれば、直後にはザーバは、皆へと告げる。
それは鼓舞の様に。今より訪れる戦いに、必ず勝利を捧げるのだと。
「お前達の時代は短かったのだと教えてやれ。我々の力を――見せてやれ!」
- <ジーフリト計画>バーデンドルフ・ライン完了
- GM名茶零四
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年02月13日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
(サポートPC13人)参加者一覧(10人)
リプレイ
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――ザーバ派本拠地バーデンドルフ・ライン。
幻想国境付近に在りし南部戦線の大要塞。
その内で響き渡るサイレン音は――敵の強襲を知らせるているか。
しかし、過剰な混乱や焦りの気配は見られない。全ては予定通りなのだから――!
「来やがったか。あっちはまんまと奇襲して来たとでも思ってるんだろうが、ここまではこちらの狙い通り……ここからはオレらの番だな。ぶっ潰すきゃねぇよな!」
「ぶはははッ! コツコツ地道に蓄えてきたこの食糧、そう簡単に焼かれるわけにはいかないねぇ! 大寒波は乗り切ったが、まだ不測の事態がねぇとも限らねぇんだ……連中如きにくれてやるには惜しいしな!」
「総員武器を最終確認せよ! 敵が来るぞッ――!」
食糧庫方面。新皇帝派の襲撃が行われている地で敵を待ち構えるのは『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)に『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)の両名だ。更にはアルケイデス・スティランスもいれば、多くの鉄帝軍人と共に敵を待ち構える――!
此処は突破させない。今だ鉄帝には厳しい寒さが襲い掛かってきており、必要なのだ。
民の命を繋ぐ為にも。鉄帝の未来の為にも――! 故にゴリョウは早速に戦闘の余波による被害を防ぐために保護なる結界を張り巡らせるものだ。こうしていれば多少は被害がマシになるだろうと……
直後――敵の姿が見え始める。
新皇帝派の軍人に加え、天衝種ボムベか。
「アルケイデス――心配すんな。オレが一緒にいるんだ。
いつでもフォローはしてやるよ。ほら、深呼吸しな。緊張で潰れたら困るだろ?」
「ふぅ、ふぅ……ああ、そうだな、すまない風牙。いつも迷惑をかける……」
「なぁに気にすんなって。ほら、お前に貰った紋章旗、つけてみたぜ。どうだ、似合うか?」
「――なんだ、持っていてくれたのか、ずっと」
「勿論。知り合いのだぜ? 捨てるわけねーって」
然らば、本来は武闘派などではなく優しい気質のアルケイデスを……余人の誰にも聞こえぬ様に風牙は小声で呼びかけておこうか。彼ならばいざ戦いが始まれば何の問題もなく『武闘派アルケイデス』を必死に演じるだろうが、そういう事ではないのだ。
問題のあるなしではない。友として――彼の事を元気づけてやるだけの事。
「うむ、うむ! 行くぞ諸君ッ――!! 今こそ鉄帝軍の力を見せつけよ――!」
そして、往く。アルケイデスの号令と共に。
食糧庫に近づけさせまいと――敵陣と激突が生じた。
ボムベは食糧庫に近付かんと炎の力を吹き出しつつ接近を目指すものか。しかしそうはいかない――此処こそが南部戦線所属の者にとっての帰るべき家でもあるのだ。好きになどさせてたまるかと応戦の力もまた強い。
強き意思による抵抗は、まるで星の瞬きが如く煌めきもしようか――
しかし。その狭間において『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)は冷静に場を見据えていた。『奴』がどこにいるかと、彼女は目を光らせているのである。
「チッ。ようやく尻尾を出しやがったと思ったらコソコソとしやがって……
だが逃がしはしねぇぞ。ああもう二度と見失いやしねぇ――!」
ファミリアーの使い魔を放ちて食糧庫の近くを常に見張らせておこう。
あのクソ親父がどこから来ても良い様に――!
同時。彼女は見えた敵影へと、雨の様な斬撃を降り注がせようか。敵を纏めて一掃せんとするのだ……索敵も攻勢も同時に行いながら、彼女は己が役目も己が目的も果たさんと――奔走する。
同時刻。技術工房の方にも敵の襲来が確認されていた。
此処はザーバ派の数多の軍事技術の開発・改良などが行われている地だ。
少し前には寒波を凌ぐ為の暖房系統の開発も行われていたか――
『これから』の侵攻計画も考えれば此処を失う訳にもいかない。それ故に。
「さて、と。死守させてもらいましょうかね――防備は万全。兵力も次々投入される。
この状況で敵の思うままにさせたりなんか出来ないわよ――」
「上手く新皇帝派を引き込めた……ならば、後は為すべきことをするのみ!」
「後方の指揮は任せてくれ――他に、事態の変化があればすぐに伝えよう」
新皇帝派へと立ちはだかるのは『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)に『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)だ。任されたこの地の防衛、身命を賭しても果たせねばとムサシは戦意高き状態。
やらせはしない。技術工房は必ず死守してみせる。
ヴィクトーリヤに連絡用のファミリアーの使い魔をイーリンは託しつつ、前線に至る軍人らにイーリンは指示を飛ばそうか。三人一組で分隊化させ火力を集中。接近せんとする敵を討ち砕かんと準備を整えるのである。
「そういえばムサシ。わかんないのよね。貴方が私をサイドキックにしてくれた理由」
「理由……何故、でありますか? それは……その返答は、たった一つのみであります」
交戦寸前。イーリンは髪をかきあげながら、一度ムサシへと言を紡ぐものだ。然らばムサシは――
「それは勿論……貴女を信じているから、でありますよ」
何のことはない、当然だという様に――彼女への信頼を口にするものである。
騎兵隊の隊長にして、イレギュラーズ屈指の勇者たるイーリンさんと並び立つ。
それになんの不安があろうか? むしろ信頼や自信しか生まれぬものだ――
敵も決して少なくないが、問題はない。
――今は『英雄』が二人いるでありますから。
「信じる、か。成程ね……なら。その力、半分借りるわ。変……身っ」
「こちらこそ。貴女の勇気、お借りします! 変身ッ!」
直後。見えた敵影に二人は前へと往き――敵の注意を引き付けんとしようか。
イーリンは魔書を抜きて。ムサシは装甲を身に纏いて。
さぁ来るがいい新皇帝派共よ! お前達の好きにはさせない――!
「反撃の時間よ皆。まさかビビってる?」
長く暮らした南部派と拳を合わせ、敵と相対しようか。
さぁ――私達のホームへようこそ。
そして……北東部外壁方面。
此方でも敵の侵入が確認されていた。
だがここの意味合いは些か異なる。それは――敵の本隊と思わしき者がいるからだ。
「敵も味方もそうそうたる顔ぶれといったところでしょうか。
地下道の戦いもありますし、総力戦とも言えますね」
「ん、狙い通り敵をこっちの有利な場所に引き込んだ。
倒さないとね――ここで、必ず」
言を紡ぐのは『罪の形を手に入れた』佐藤 美咲(p3p009818)に『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)か。オニキスは周囲を広く俯瞰する視点と共に常に周囲を警戒するものだ――ディートハルトがどのように動くか分からぬのだから。
しかしこの戦域は先程も述べた様に敵の本隊と思わしい。
――眼前への集中も怠れない。あぁ『魔種』もいるのだから。
「折角作った有利な状況だもんね――この機は逃せないよ。ってことで頑張ろうね、サクラちゃん! ソフィーリヤ叔母様にも成長した所を見せないと! 甘い動きを見せちゃったら、後できっと叱られちゃうよ!」
「スティアちゃんこそ、大変な役目だけど怪我しないでね!
お母様は……優しいから大丈夫だよ、多分! うん!」
故に。新皇帝派の姿が見えれば迅速に『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)に『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)は動こうか。有利な時こそ油断は禁物――最後の最後まで一切気を抜かず、敵に大打撃を与えんとするものだ。
彼女らがまず狙うのは天衝種ボムベ。
連中が押し寄せる様にやってくる――壁に穴でも開けるつもりだろうか?
させない。スティアは意思を魔力に変換し、敵へとまるで弓矢の様に投じよう。オニキスも迫撃砲を叩き込みつつ、サクラは撃の入った個体達にどの程度余力があるか――分析の瞳の力を走らせん。脅威なのは連中の自爆にもあるのだから……
「ボムベを外壁に近付けないように! 撃ち漏らしは厳禁だよ――放てェッ!!」
故にサクラは共に至る軍人達を指揮し、ボムベの対応へと往かせるものだ。
数多の銃撃も投じられれば激しい衝突が巻き起こる――そして。『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)もまた『敵』に相対しようか。技術工房方面で指揮を執っているヴィクトーリヤとの伝令に読んだ、ヤドヴィガへと指示を出しつつ……
「ヴィクトーリヤ。後は頼んだ――ヤドヴィガ、全てをありのままに持ち帰れ。私は、私の任を果たす」
「は、はい!」
「――ほう。またも立ちはだかるか、我が娘よ」
エッダの言は、彼方に在る信頼しうる者へと。
エッダの瞳は、眼前に在る敵対しうる者へと。
北東部外壁方面の総司令官たる地位にあるは――シグフェズル・フロールリジ。
『先代フロールリジ』『死んだ筈の男』『終わらぬ獅子』
――彼を形容するには幾つもの言葉が思いつく、が。
「不要だ」
エッダは断ずる。奴に相応しい名は一つ。
――ただの反逆者。ただの『敵』
だから。この配置はただ、戦術上の必要性に過ぎない。
奴と再び相まみえる事も、それだけだ。
あぁただそれだけの事なのだと――思いながらも、彼女は苛々していた。
心がざわつく。父を名乗るその存在に、ではなく。
欠片でも残っていないかと――父の片鱗を探さんとする己が魂に、であった。
●
あちらこちらで激しき戦闘音が聞こえる。時折聞こえる爆発音は、新皇帝派のボムベか? それとも南部戦線の反撃か――?
いずれにせよ全体的な戦況は南部戦線側が有利に進められていた。
バーデンドルフ・ラインは要塞。戦いに特化した地だ。もしも幻想と戦争になった場合でも、その軍勢を抑え込むための防衛力を宿している――ならば新皇帝派が襲い掛かってこようとも話は同じだ。
いやむしろ……大軍勢を動員できない新皇帝派は、より厳しい状況であると言えるだろう。
その上。バーデンドルフ・ラインでは万全の迎撃態勢が整えられていた。
アイアン・ドクトリンによる防衛力強化である。
要塞各部から侵入者へと迎撃が加えられ、要塞内で戦う南部戦線側は敵の攻撃を凌ぎやすい地形となっている。更にはあちらこちらに張り巡らされている加護もあれば、致命的な一手を紡ぐ事もあるか――
「宇宙保安官! ムサシ・セルブライト見参ッ! 新皇帝派共め、覚悟するであります!」
であれば、ムサシはいつも以上に己が動きが冴え渡っている事に気付いていた。
自らの肉体を『最強』なる幻想で保護しているから――? いやそれだけではない。その感覚は決して幻想ではないのだ。最前線でボムベや新皇帝派の撃を受け止める彼には確かなる……現実たる力が宿っている。
同時に紡ぐは炎の一閃。敵意を、工房などの建物ではなく自らに集中させんとする――!
「工房に近づけさせない様にッ! 特にボムベは見逃してはいけないわよ――!
私達のホームは、私達の手で守るの! 斜線を集中させて……十字砲火、ッてェ!!」
「ははっ。皆、元気ね――これは負けてられないわ!」
同時にイーリンは、ムサシが引き付けた個体共へ射撃を集中させるように指示を飛ばすもの。屋根の上に展開させた部隊や、路地に潜伏させていた者達に弾幕を展開させ――とにもかくにも押しつぶさんとする。ボムベの自爆は脅威だが、しかしならば接近させなければいいのだろう? と――そういう事だ!
闘志が満ちる。ムサシの奮戦やイーリンの指揮に、鉄帝軍人達の闘志が。
――然らば共に戦うソフィーリヤも、自然と口端に笑みの色を灯すものだ。
手刀の一閃が新皇帝派へと襲い来る。疾風の如く動く彼女の一閃、誰に止められようか――特に、このような熱意が巻き起こっている最中にて!
「ボムベを突き放すわ。チャンスは一瞬よ! 見逃さないように、ね!」
更にイーリンはボムベを彼方へ吹き飛ばさんと掌底を連中の身へと叩き込もう。
吹き飛ばすのだ。連中が自爆しても影響が薄い所まで。
そして吹き飛ばしが見事に決まれば再びの斉射指示。
息の根を止める攻勢を集中させ――起爆させよう!
「さてと、ボク達も動く時間だね……
態々ボク達の本拠地へ招き入れたんだ。お代は高くつけてあげないとね♪
命ぐらいは最低でも置いていってもらわないと」
「私はセチア・リリー・スノードロップ! 鉄帝の看守として同胞たる南部戦線を助けに来たわ! しかし全く……クェイスが見たらブチギレそうな、大分脳筋な戦い方だと私でも思うけど……立ち上がればこっちのもんでしょ!」
次いで援軍として訪れた影もあった。『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)に『秩序の警守』セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)か。ラムダは俯瞰する視点で、己が撃を何処に投じるが最善か見据えた後に――多数を巻き込む対軍殲滅術式を展開しようか。薙ぎ払い、施設破壊の妨害に務めん。
セチアはかつて深緑で出会った者の名を口に懐かしみつつ……それでもボムベらの進撃を止める為に尽力するものだ。連中を無理やりにでも引き付け、誘導し無害な所で相対する――頼むから見てても怒らないでよね、クェイス!
「チィ! イレギュラーズ達に攻撃を向けろ! ボムベを差し向けるんだ!」
「ぬぅ! イーリンさんを狙うか……させん……ッ!」
――されど。斯様な動きを見せていれば新皇帝派も対応に動くものだ。
イーリンやムサシ。それらを先に打ち倒さんとする。
特にイーリンは掌底の為に接近する事もあるのだ、そのタイミングを狙い逆撃叩き込まんと……故にその狙いに気付いたムサシが、突撃するボムベを止めんとする。身を挺してでも。己が魂を賭してでも!
「――ぬぉぉおお!!」
「ムサシッ!!」
直後。生じるのは巨大な爆発だ――巻き込まれるムサシだ、が。
「させぬ……させぬであります……! 宇宙保安官は、決して倒れない……!
ご安心を! ムサシ・セルブライト――未だ健在であります!!」
死なぬ。朽ちぬ。果てぬ。
ムサシ・セルブライトは立ち続ける。己が力が、一滴でも残っているならば。
戦線を支え続けてみせよう――! 自分の役目は、其処にあるのであります!
しがみついてでも。這いずってでも。何度でも立ち上がるのだ。
ムサシは望まれれば――どこまでも強く在ろう!
「無茶はしないようにね……! ソフィーリヤ、遮蔽の少ない路に敵を押し返すわ!
――力を貸して!!」
「はいはい。此処じゃないけどサクラもいるんだもの、全力を尽くしましょうかね!」
その立ち姿に南部戦線側の士気が更に上がろうか。
故。イーリンはソフィーリヤにも声を掛け、敵の攻勢を一気に押し返さんと画策する。
連中の狙いなんて一つも叶えてあげない。
「此処には夢がある。血と硝煙に塗れても、守りたいって連中の夢が!
希望なのよ。鉄帝の守護神は、南部戦線は、皆は! この場所全てが――!」
鼓舞し、詰める。
此処はお前達の凱歌を聴く城ではない、獣の胃袋だと知れ。
幾度もの戦を乗り越えた南部戦線諸君を――舐めるな。
(――あぁ、閣下)
今回の作戦が成功したら今度こそ名前で呼んで頂きますからね?
イーリンもまた往く。引き続き味方の指揮は続けながら。
紡ぐのは神秘。彼女の魔眼。数多を貪欲に喰らう超越の神秘。
謳おう、皆よ。軍靴を轟かせながら。謳おう、皆よ。
「退くのなら退かせなさい。
包囲状態の敵に対し、わざと要塞の中で守りが薄い場所を用意する。
相手がそこに逃げた所を追撃し、出血を強いる……
わざわざ敵に背水の陣を敷かせてやることはないわ。
――出口までエスコートして差し上げましょう? ゆっくりと、丁寧にね」
「委細承知……! 宇宙保安官、参るでありますッ!
明日をより良くしようと戦う人がここにいる……!
その明日を奪おうとするのであれば! この宇宙保安官がッ! 許さんッ!
ブレイジング……マグナァァァァァァァムッッ!!!」
ボムベを。新皇帝派の軍人を追い詰める。
ムサシの輝かしき剛剣に火焔が纏えば――それをもってして敵を薙ぎ掃おうか。
正に必殺剣。いよいよの際でこそ輝きが増す、ムサシの切り札。
特にそれはボムベではなく軍人らに収束させよう。
ボムベと異なり臨機応変に動ける精鋭を……ここで削る!
――後の問題は、イーリンが推察するならば『戦争屋』か……
大層な名だ。己と似通る所でもあるのだろうか?
「……ディートハルトの姿が見えないな。来ないなら来ないで技術工房は安泰だけれども。
さて――しかしボムベの対応に回ろうか」
同時。気になっているのは『通行止め』解・憂炎(p3p010784)もであったか。ディートハルトがいた場合、味方の通信担当兵にでも連絡しようと思っていたが……確認はされない。ともあれボムベらの自爆も自らの守護の技術で押しのけつつ、彼は警戒も怠らぬ様にしておけ、ば。
(どこ? 未だ此方に現れないという事は……
外壁に敵の大将格がいるのなら、其処には向かわない筈……では……)
イーリンは思考を深めるものだ。
彼女の瞳が敵を見据えながら思考した先は――
「みんなー! ここを護り切ったら、ゴリョウさんがここの食材使って美味ぇ料理作ってくれるぜ! 絶対生き残って、勝って、味わうぞー! ……てなわけで、ゴリョウさん。戦勝パーティー楽しみにしてるぜ?」
「おぉよ任せときな! 守れたら守れた分だけたっぷりと腕によりをかけて作ってやらぁ! ザーバ将軍もそれぐらいの贅沢、許してくれるだろうぜ――さぁってぇ! そんじゃさっさとお帰り頂こうかねぇ連中にはよッ!!」
そして食糧庫方面でも同様に奮戦が行われていた。
自らに、物理的な衝撃を遮断する術を張り巡らせながらゴリョウは最前線を担おう。
彼は自らの存在感をこれでもかと誇示する。それは敵の狙いを引き付ける意味があるか――同時に風牙は味方の士気をより上げるべく、ゴリョウ飯の喧伝を行いながらボムベを吹き飛ばす一閃を紡ごうか。
あぁ。飯に関してゴリョウの右に出る者も中々いない。
そんな彼とメシ関連の仕事を一緒できるなんて光栄なことだ――!
「この豚を下さずこっから先に行けると思わねぇこったなぁ!」
「く、くそ! なんだこの豚……つぇぇぞ! 早く殺せ!!」
「ぶははははっ! ――喝ァッ!!」
そしてゴリョウは敵の攻勢を受け止めた上で――全て弾き返す。
いやそればかりかボムベを中心として吹っ飛ばしてみせようか。
雄たけびが全てを凌駕。邪魔な連中を纏めて吹き飛ばして――
「おおお! イレギュラーズに続け!! 我ら南部戦線も意地をみせよ――!」
「いったぞ! アルケイデス――ぶちかませ!!」
そして爆発させても問題ない個体……つまりは施設に近くない個体が、風牙やゴリョウの一撃によって生じればアルケイデスが軍人らを鼓舞しボムベらへと集中攻撃を加えようか。風牙も吹っ飛ばす方向をそちらへと意識し、援護となる様にする――更にアイアン・ドクトリンによる要塞強化の支援射撃も行われれば、かなりスムーズにボムベも粉砕。
新皇帝派も攻撃はしてくるし、ボムベも自爆を抜きにしても炎の力を振るうのだが。
「なんだこの迎撃態勢は……完全に待ち構えられているぞ!」
「おのれ――せめて一矢報いねば――!」
「無駄でぃ! やれるもんならやってみな。
豚も突破できねぇテメェらに何が成せるかなんて――知ったこっちゃねぇがな!」
それでも南部戦線やイレギュラーズ側の攻勢の方が圧倒的に上であった。
こうなってしまえば彼らにとっても『待ち伏せられていた』事が分かるものだが、しかし今更『では退く』などという手段を取るのも簡単ではない。なにせ南部戦線の本拠地であり、戦力も次々と増えているのだ。ゴリョウは常に物理を遮断する術を忘れずにかけ続け、新皇帝派の軍勢が集まれば豪快なる喝と共に押しのけようか――それに。
「ゴリョウ――先ほど言った宴の件は真だな? 後で奢りだ。分かるな?」
「おぉタツミか! 任せときな――食糧庫が無事なら全力尽くすからよ!」
一部では、更にイレギュラーズ達の知古がいたりもするのである。
食糧庫方面へと援軍として馳せ参じたのはゴリョウの友人たるタツミである。新皇帝派へと一撃加える彼女はゴリョウの要請に応じて、この戦闘へと至った――今回は防衛戦かつ元々敵の襲来が予測出来ていたが故にこそ援軍を呼ぶ事も出来たのである。
彼女は南部戦線に協力し、敵の押し返しの一助となろうか。
更には――元々布陣していた者以外のイレギュラーズの姿も見え始める。
「負傷した奴は一度下がっときな! こっちが有利な状況なんだ、無理する事はねぇ!
ったく、しかし無茶苦茶しやがる! 兵隊ってよりはテロリストだなこりゃ……!」
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ!
お前たちごときに墜とせる俺かどうか、たった今から試してやろう!
今更逃れる事など出来ぬと知れッ――!!」
それは『救い手』ヨシト・エイツ(p3p006813)や『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)である。食料後方面のサポートとしてヨシトは皆に治癒の力を振るおうか。特に最前線で敵を押しとどめるゴリョウや、攻勢を仕掛ける風牙、アルケイデスを中心に。
エーレンは施設の破壊を食い止めるべく、味方の陣形を突破せんと狙っているボムベの始末を担当しよう。名乗り上げる様に連中の注意を引き付け、施設に関係ない所まで引っ張り上げんとする――
斯様な奮戦の果てに食糧庫の被害は軽微であった。ゴリョウの保護結界も大きく役目を果たしているのか、中の食料は無事と言っていい――後はこのまま敵戦力を全て叩き潰してしまえば――!
「チッ。なんて戦況だ……こんな仕事とは聞いてねぇんだがな」
しかし。そう簡単には問屋が卸さぬ。
ディートハルトだ。防衛網の中核に投じたのはボムベではない爆薬か?
――直後に生じる炸裂音。幾人かの軍人が吹き飛ばされる――
が。食糧庫にまでは届かない。危ない所だった……イレギュラーズらの奮戦がなければ、防衛網がもう少し押し込まれていればディートハルトによる暗躍の一撃が届いていたかもしれない。しかし要塞の強化も相まって目論見は完全に潰れていた――そして。
「……見つけたぜ……! やっぱこっちに来やがったか! ここで終いだ!」
シオンのファミリアーがその姿を捉えた。
然らば往く。シオンは数多の感情と共に、奥歯を噛みしめながら。
ぶん殴る――あぁ逃しゃしねぇよ! 殺す! ぶっ殺す!!
「――とッ。しつこい奴だ! 今お前に構ってる暇はねぇんだよ!」
「こっちには在るんでな! ああ忙しいなら時間は取らせねぇよ――今すぐ死ねェッ!!」
殺す殺す殺す。シオンの瞳は憎悪に染まっている。
――テメエのせいであたしがどういう暮らしをしてきたか! 興味もねえんだろうな!
冬の寒さを知ってるか? 凍ったパンを齧った事は在るか?
生き延びる為になんでもしないといけなかった。そんな日々が在った事すら……
「テメェは……知らねぇんだろうなぁ!!」
「一々煩い奴だ。過去になんざ拘っても碌な事はねぇぞ――視野の狭いこった」
「――死ねッ!!」
誰の所為で、そんな過去を歩む事になったと思っている――!
一々シオンの、心の背筋を撫ぜるものだ。言動の一つ一つが!
圧倒的な攻勢。後を知らぬが如き、シオンの剣筋はディートハルトの命を抉らんとする。
――が。ディートハルトにとってシオンは『興味がない』
彼にとっては今、この戦場と言う盤面を如何にすれば楽しめるかに収束している――
そもそも。ディートハルトの狙いは『確実に被害を齎す所へ往く』事であった。
元々バーデンドルフ・ラインを攻め落とす事が目的ではないのだ。どこかで撤退する事が前提なら、簡単に被害を生じさせる箇所に確実に被害を齎す事が最重要と彼は考えていたのである――
その為の狙いは第一に食糧庫。第二に技術工房。
これからの南部戦線の軍行動の阻害を行う為に兵站を担う食料を燃やし尽くす事がディートハルトにとっての第一目標だった。故に食糧庫方面へと姿を現したのである――それを嗅ぎ取ったのはシオンの推察が優れていたからか、それとも本能の如き勘が働いたか。
――ともあれ、だ。食糧庫には至ったがディートハルトにとっては此処に固執する理由はない。あまりに防衛戦力が過多であれば技術工房に赴き南部戦線の軍事技術がこれ以上発展しない事を目標にしても良いのだ――
「あばよ。仕事があるんでな、お暇させてもらうぜ」
故に。彼は煙幕を投じる。
此処にいるボムベや新皇帝派の連中なんて知った事ではない。元々彼は傭兵に近いのだ。
シオンに構う理由も先述の通り無い。故に此処は――
「だから。なんで。俺が、お前を、逃がすんだよッ!!」
「――んっ!?」
だがシオンは逃がさなかった。足に力を。
超速の加速へと至れば技術工房方面に逃げんとしていた彼に――追いつく! 初手で傷をつけたのも功を奏していた。ある程度までの距離で在れば、シオンには追える祝福があるのだ。これが在る限り、要塞外に脱出でもしない限りは位置が分かる。
あんまり他人を舐めるなよ。お前、マジで誰にも興味ねーな?
「――そいつがテメエの命取りになるんだってことを今日ここでしっかりと刻んでやるよ!」
「チィ!」
「いつまでも好き勝手できると思うな! 人生も、何もかもをよ!!」
再びの一撃。絶対に逃がさない。絶対にだ!!
碌でもねぇ手札を後何枚持ってるか知らねぇが――全部潰してやるよ。
抑え込む様にシオンはディートハルトへと喰らい付く。さすればディートハルトはシオンの腹に向けて拳銃を撃ち込むものだ。二発、三発。引き金を何度も引き絞りて……
――だけど、離さない。
激痛が腹に生じる。熱が帯びる。血が滴り落ち、それでもシオンは。
「殺す。ころす、コロス、ころ、す――ッ!!」
「テ、メェ……! しつこいんだ、よぉ!!」
頓着しない。彼女には今までの『過去』がある。
過去が彼女を後押しする。許せない。許さない。絶対に。
五分に遣り合えなくても構わない。ここで少しでも傷を残して鼻っ面をへし折ってやる――!
それは憤怒。ここで呼び声でもあれば彼女にも影響があったかもしれぬ程の。
「シオンさん、あぶねぇ!! ボムベだ、気を付けろ――!!」
――刹那。風牙の声が聞こえたかと思え、ば。シオンとディートハルトの傍にボムベが飛来した。それは吹き飛ばされたのか、それとも味方たるディートハルトを援護せんと駆けつけたか……分からぬが直後に生じたのは爆発であった。
両名が吹き飛ばされる。恐らく、ディートハルトにとっても想定外だった事だろう。
が、好機と見るものだ。
死ねるか、こんな所で。こんな薄汚い小娘如きの為に――
「覚えたぞ……覚えたからな、テメェの臭いは……!!」
「シオン殿、ご無事でござるか!? これは……傷が深いッ。一端下がりましょう!」
その時。シオンが紡ぐのは――自らの嗅覚に残った『臭い』であった。
自らの血が奴に張り付いている。ならきっと辿れる。いつか必ず魂が呼ぶ。
敵に対して撃を紡いでいた『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389)が駆けつけて彼女の負傷具合を見据えれば……些か重体でありそうだ。軽症であれば更に己が背負いてディートハルトを負おうかと思ったが――今は彼女の身が優先か。
シオンを担ぐ。その中で、シオンは確信していた。
餓狼の牙が必ず奴の喉笛を――食い破る、と。
●
食糧庫方面、技術工房方面。
それぞれの戦いが激化している中――北東部方面でもまた激戦が繰り広げられていた。
「ボムベは任せて! 必ず止めてみせる!」
「うん、サクラちゃん任せたよ――シグフェズルは、こっちが必ずっ!」
サクラはスティアに声を掛けつつ、剣を振るいてボムベを押し返さんとする。
否。それだけではない、連中の思考を狂わせる狙いもある、か。狂気に染まれば同士討ちも行おう。上手く行けば此方ではなく敵陣中枢で爆発させる事も叶うかもしれない――!
「サクラさん達が前線で奮戦していますね。我々も援護しましょう――ハリエットさん、私が撃った標的を狙ってください。貴女の精度なら出来るはずだ」
「うん。やってみる……手伝いに来たんだしね。頑張るよ。
少しでも戦力の足しになればいいんだけれど」
そしてその動きを援護するのが『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)に『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)らの射撃行動である。傷ついているボムベらを敵側で誘爆させるべく精密なる射撃を撃ち込もうか――
寛治は言わずもがなイレギュラーズでも屈指の卓越した狙撃技術があり。
ハリエットも息を整え落ち着いて射撃を行えば、ボムベを狙いすます事は十分叶う。
――着弾。同時に、ボムベが炸裂。新皇帝派の軍人を巻き込みて狙い通りと至れば。
「好きに動けない気持ちはどぉ? まーるで酔っ払っちゃうみたいでしょ?
――ちょーと過剰に癖になっちゃうかもしれないけど!」
続け様『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)も援護に至ろうか。同郷のサクラやスティアが頑張ってると聞いて、手を貸しに来たのである。理性を失わんとする力が戦場に瞬き、ちょっとばかり嫌がらせしてあげるとしようか。
「負傷した方は後ろへ――すぐに治療します!」
一方で傷を負った味方には『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)が治癒の力を紡ぐ。深い傷には医療の技術と知識も使ってあちらこちらへと動いていれば。
「城壁は壊させない。マジカル迫撃砲次弾装填……発射!
何度でも、何発でも、撃ちこむ……!」
「攻めてきてる以上攻められるのも覚悟の上だろう?
盛大に銃撃の雨を味わってもらうとしようか」
前線ではオニキスや『靡く白スーツ』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)も敵を纏めて吹き飛ばさんと撃を紡ぎ続けるものだ。一手、一瞬たりとも油断できない――ボムベや新皇帝派の者達が完全に沈黙するまで、放ち続ける……!
「……ふむ。想像以上に防備が厚いな。こちらの動きは読まれていた、か」
「そうだ。昔から随分と、目算が甘いのは変わらんな」
然らば。要塞から繰り出される激しい抵抗を見据えて――シグフェズルは吐息零すものである。その顔には変わらぬ獰猛な笑みが張り付いているものの、やや困っている様な――そんな色もどこか含まれている気がする。
直後。誘いの魔力を充満させたエッダはシグフェズルを引き付けんと立ち回ろうか。
奴を孤立させ――此方が複数で当たれるように。
無論、奴は魔種だ。そう簡単に狙い通りには動いてくれないだろう、が。
「狙いは閣下を直接害する事か? 残念だが、閣下はそんな可能性などお見通しだ。
――此方にはおいでになられんよ」
「お前達だけで私を止められるとでも思っているのか?」
「突破できるならさっさとして見せたらどうだ?」
「――クハッ! 違いない!」
いずれにしてもエッダはシグフェズルを自由に動かせてやる気などない。
シグフェズルの作戦は恐らくサボタージュ及びハラスメント行為と想定。確度の低い行動を取ることあり得ると思いながら……串刺しにせんとする神秘を展開。シグフェズルの身を拘束せんとすれ、ば。シグフェズルは拳に圧を込めようか。
五指に力を。堅く握りしめたソレには――万物を砕かんばかり。
直後、眼前の空を叩けば振動が生じるものだ。
――それはまるで遠当ての如く彼方まで衝撃波を伝えよう。
人域に在らぬ撃。
人を捨てたが故に手に入れた破壊の力は南部戦線の軍人らも含めて呑み込まんとし……
「おーおー流石は魔種にして、今回の司令官枠って所ですかね?
でも――こっちも色んな戦い乗り越えてきてるんス。今更ビビったりしないっスよ」
「ボムベとかは順調に減ってきてるんだ。このまま抑えさせてもらうよ!」
それでも美咲は止まらない。味方の動きと連鎖する様に彼女は往く。
エッダ氏の父親なれば挨拶もしておこうかとも軽く考えながら……シグフェズルの動きを封ぜんと。ここは軍事施設、投げるモノに事は欠かぬが故に美咲は引き撃ちする形で、機もあらばシグフェズルの周囲に展開している敵も纏めて狙おうか。更にはサクラに『抑える』と約束したスティアもシグフェズルを狙うものだ。
再びに紡ぐ意思の力。白き神秘となりてシグフェズルの殺意を穿つ――
とにかく彼を自由にさせる訳にはいかないのだ。
戦線を移動しようという動きは今の所見せる気配ない、が。いつ心変わりするともしれない。故に。
「そんな所にいないでこっちに来て直接戦ったりはしないの? それとも恥ずかしがり屋さんなら、こっちから行った方が良いのかな? こう見えても少しは腕に自信があるから、もっと近くで相手をしてくれると嬉しいんだけど!」
「フッ、ハハハ。そうだな、ここが戦場ではなく仕合の場であれば例えばソレでもよかったのだろうが……生憎と私は闘士の類ではない。私は――玉座を目指す身なのでな」
スティアは挑発する様にシグフェズルへと言を紡ぐ……が。
流石に乗らぬか。彼は指揮官。簡単に挑発に乗るのでは失格だとばかりに。ううん。もうちょっとサクラちゃんみたいなバトルマニアだったら来てくれたかもしれないのに……シグフェズルさん、ちょっとの間サクラちゃんになってくれないかなぁ。
――刹那。再びシグフェズルの一撃が飛来しようか。
強烈な一撃だ。彼の振るう拳は近くにいる者の命を容易く奪わんばかりの威を秘めている――
「わぉまずいですね。油断すると最前線が崩れるっスよ――
ディートハルトがこっちに来る様子が無いのは幸いでしょうか。
多分食糧庫か技術工房方面に行ってるんでしょうね」
跳躍して躱す美咲。要塞の防衛力が強化されているが故に、まだ揺らいでいないが……流石は魔種。化け物と言った所か――彼女は跳躍と同時、リトルワイバーンのバーベに騎乗しながら素早く外壁を移動。
同時に巡らせるのはディートハルトに対する事である。
此方に姿が見えないという事はシオンさんが上手くやってるんでしょうかね――
(ディートハルト、怪しいとは思ってたんスけどねー尻尾見せなかったから仕方ない、スか。ともあれ……こっちはもうシグフェズルさんをなんとか止めないといけないですしね。ディートハルトの方は任せたッスよ――)
アーカーシュ陣営に属する彼女にとってもやはり気になる所ではある、が。来ないのならばそれはそれで構わない。やはりシグフェズルに集中する必要があるのだから。ただ、一応何がしかの手段で連絡を取らないとも限らない――ハッキングの術を巡らせて警戒もしておこうか。
「怯むな! 魔に尻尾を振る惰弱な者共に、南部戦線で戦ってきた諸君の力を見せてやれ! 南部戦線とは武の誉たる証であると示せ――それが諸君らの誇りでもあろう! 死地こそ自らの在るべき場所であると謳えッ――!」
と、その時。シグフェズルの一撃を受けた者達を鼓舞するべくサクラが高らかなる声を挙げよう。幸いにして味方の援軍も続々と到着しているのだ。強化された要塞の支援射撃も相まって――確実に敵に被害を齎しつつあるのだから!
此処を凌げば勝利は間近だ。踏みとどまれ! 敵の思惑を乗り越えろ!
「罪のない人たちを傷つけるお前達が何を企んでいようとも、必ず打ち砕く。
何が狙いだろうとここから先には通さない。お前達はこれ以上先には行けない――
マジカル☆アハトアハト・QB……発射!」
「敵を押し返せ! イレギュラーズに続け、南部戦線の意地を見せろ!」
故に――オニキスにゲルツが大攻勢を仕掛けようか。
超越の威力が天より襲い来る。オニキスの一撃、マジカル☆アハトアハト・QBによる襲来が敵陣中央へと叩き込まれ――多くのボムベが誘爆しよう。残った敵もゲルツの声と軍人らの一斉射撃により次々と数を減らしていく!
「ゲルツさんはそのままボムベを押し返す援護を続けて! ラドバウでも使ってたよね!」
「あぁ任せろ! 出し惜しみはせんよ!」
サクラはその様子を見ながら、新皇帝派の軍人の銃撃を退けつつ居合術を一閃。
ゲルツにボムベ対処の依頼も願いながら、共に攻勢を続けるものだ……さすれば。
「……なんたる惨事だ。抵抗は予測していたが、な。無様なモノだ」
シグフェズルの思考は段々と変わり始めていた。
どう考えても突破できない。
シグフェズルの狙いは『ザーバを直接狙う』のが主目的であった。一撃で殺す事が叶わなくても、多少なり負傷しただけでも南部戦線の士気はガタ落ちすると踏んでいたのである。そこから突き崩せる隙もあろう。或いは鉄帝の守護神と言えど血を流す只人であると喧伝しても良かった。
――しかしどうにも無理だなこれは。
いくら何でも不利すぎた。要塞も、この時の為に強化されていればどうしようもない。
防衛の中核たるイレギュラーズ達に隙があれば、まだ話は別だったかもしれないが。
それもどうにも無い様だ。ああ、全く――
「死地でこそ人は輝くのだ、シグフェズル。それを忘れていたのが敗因だな」
「ふむ――しかし。このままおめおめとは戻れんな」
刹那。周囲の味方を支援せんと指揮や治癒を行っていた『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)がシグフェズルへと言を向ければ……彼から極大の殺意が零れだす。
あぁまただ。ゲヴィド・ウェスタンでも見たその砲塔が――
また鉄帝に向くのかと、エッダは想えば。
「貴様――それは一体なんなのだ」
「知らぬか我が娘よ。鉄帝軍は元々古代兵器を多く保有している。
バイル宰相閣下殿も巨大兵器を持っているという噂もあるぐらいだ――
これもまたかつて保管されていた……」
「そういう事ではない」
なぜ向けるのだ。鉄帝の民に。どうして向ける事出来るのだ。殺意を。
――夢があれば、そんな事が出来るのか?
笑みを見せるシグフェズル。小さく呟いたのは――『Feuer(ファイエル)』、か?
直後、放たれる。殺意の砲弾が。敵を薙ぎ掃わんとする砲弾が。
「チャンスは一度……攻撃する時が一番油断する時、だよね! 今だッ!!」
「そうはさせない! 皆は――私が守り通すよ!!」
だ、が。その一撃に素早く反応したのは『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)にスティアであった。狂喜の感情を見つけていたアリアは絶好の機会を見据え潜み、そしてシグフェズルの背面砲塔を穿たんと、ありったけの力を込めたのである。
その撃を妨害する為に――! それでも砲塔は頑強であり射撃自体は行われた。であればこそスティアが紡ぐはアトラスの守護。誰も彼をも守らんとする大いなる意思の結晶。
――誰一人だって犠牲になんてさせたりしない。
戦局は覆させない。勝つんだ!
「皆と、一緒に――ッ!」
「スティアちゃん!!」
巨大な爆風。スティアを中心に生じれば――サクラが思わず声を張り上げるものだ。
親友が吹き飛ばされる……壁にまで至ったスティアの姿。
然らば。サクラの剣先は思わずシグフェズルへと向かうものだ。
聖剣『禍斬・華』が輝く様に。真の力を一時的に開放し――超速の踏み込みを行え、ば。
一閃する。かつてない程の抜刀速はシグフェズルの防御すら間に合わぬ。
流石の魔種と言うべきかそれだけで彼が倒れる事はない――が。
「ほう――ッ! イレギュラーズめ、存外やるもの……!」
「貴様が何を抱こうとも、我々は、私は打ち砕いてみせよう」
続け様。エッダの拳もまた、シグフェズルへと向けられた。
五指に力を。ただただ力を籠めるは、正に鉄帝式。
――撃ち抜く。それは銃弾をも超える勢いを伴いながら。
自らの父に――叩き込んでやった。
然らば、大きくその身が揺れる。直後には要塞からの支援射撃も行われれば……
「――潮時だな。最早これ以上の意味はない」
刹那。シグフェズルは大きく後方に跳躍するものだ。
彼が外壁方面で戦っていたのはもう一つ理由がある。
それは『撤退しやすい』と言う事にある。
まだだ。まだこんな所では死ねない。私は、必ず――
「帝位に就くのだ。私に付いてくる者に、共に新たなる世界の景色を見せる為に!」
「何を……そんな夢は……」
であれば、エッダは思わずつぶやくものだ。
その夢は、人間だけが紡げるものだ。
陛下のような理性ある者こそが。
私や貴様のような獣は、国を持ってはいけないのだ。
鎖から解かれた獅子の末路など知れていように。
……それでもと。願うのか?
今でもそんな、童のように。
「それは」
それは少しだけ、羨ましいです。
……新皇帝派は甚大な損害を出した。
潜入した新皇帝派の軍人はほぼ撃破、もしくは捕縛される。
ボムベによる被害は皆無ではないが――しかし南部戦線に影響を与える程のモノでなかった。
シグフェズル・フロールリジは負傷し、からがら撤退。
あの傷はそう簡単に言えるものではない。次なる戦いの折に、必ず残っている。
ディートハルト・シズリーは食糧庫でシオンに撃退された後に技術工房に向かわんとしていたが……しかしイーリンやムサシを中心とした戦況は圧倒的に優勢な状況であった。最早これまでかと彼も撤退。シオンに食い下がられた傷もあり、命を懸けてまで残る場ではないと断じたか……
「皆、よくやってくれた――作戦は成功だ。
要塞の被害も軽微。本当によくやってくれた……これで最終段階に行けるだろう」
「ザーバ閣下、その最終段階と言うのは……」
「今はまだ言うな。しかし――分かってはいるだろう?」
然らばザーバ・ザンザは皆をねぎらうものである。
彼が言う『最終段階』とは何か。次に南部戦線が見据えるのは何か。
美咲があえて尋ねるものだ、が。そんなモノはただ一つ。
――帝都奪還決戦。
新皇帝を玉座より堕とす。絶大なる士気の下に――南部戦線は在ったのだ。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ。
アイアン・ドクトリンによる要塞の防衛力強化も加わり、大きく優勢な状態で勝利する事が出来ました。
敵にはかなりの被害が出ています。シグフェズルやディートハルトも負傷。参加した軍人達はほとんど撃破・捕縛。
食糧庫や技術工房の被害も軽微です。南部戦線の士気はかつてない程に高まっています――
これらを受けてザーバ派が次に目指すのは、最早言うまでもないでしょう。
ともあれ、今はお疲れさまでした――イレギュラーズ!
GMコメント
●依頼達成条件
敵勢力の撃破、撃退
●特殊敗北条件
1:ザーバ・ザンザが重傷を負う事。
2:バーデンドルフ・ラインに、想定を超えた甚大な被害が生じる事。
どちらかが発生すると、敵を撃退しても依頼失敗となります。
●フィールド
南部戦線本拠地、バーデンドルフ・ラインです。
バーデンドルフ・ラインは強固な軍事要塞です。この戦場は地の利的に皆さんに有利であり、敵の背後、もしくは左右を突くと言った行動が非常に行いやすいです。一方で敵はそこまで臨機応変には動き辛いです。
敵はバーデンドルフ・ラインに侵入しています。
主に三方に別れているようです。
『食糧庫』『技術工房』『北東部外壁』をそれぞれ狙わんとしています。
●敵戦力
・『シグフェズル・フロールリジ』
この戦場における指揮官であり、魔種として非常に強大な力を宿します。
――誘い込まれた事は途中で気付いたようですが、しかし。
其れが故にこそ彼の戦狂いに火をつけたようです。
どこか歓喜しています。狂おしい闘争の気配に。
どこか狂喜しています。自らの血潮を滾らせる存在に。
R2以内の味方戦力の戦闘力を向上させる指揮能力を宿しています……ただし、詳細は後述しますが此処にいるのはシグフェズルの直接の麾下の人員ではない為、ゲヴィド・ウェスタン攻略戦の時ほどの影響は無い様です。
背面に砲塔付の外殻兵器(恐らく古代兵器の一種)を宿しており、かの砲塔からは非常に強力な一撃を齎す事があります――恐らく魔種としての力も加わっているのでしょう。警戒が必要です。
また、接近戦にも優れているようであり獅子の如く怒涛の攻勢を有します。
シナリオ開始時は『北東部外壁』方面で姿が見えていますが、段々と移動している様です。どこへ行こうとしているのかは不明です。
・『ディートハルト・シズリー』
戦争屋、とも称される人物です。新皇帝派に雇われていたのだとか。
シグフェズルと合流し、バーデンドルフ・ラインの破壊工作を目指します。
一部の軍人、天衝種と共に立ち回る事でしょう。
――しかし正面からぶつかる事は、あまりしません。
あくまでも破壊を念頭に、嫌らしい立ち回りが予想されます。シナリオ開始時『食糧庫』か『技術工房』のどちらかにいると思われますが、行方は不明です。
・『新皇帝派軍人』×18名
シグフェズルの指揮する精鋭部隊です。各戦場に分散しています。
『アラクラン』や『新時代英雄隊(ジェルヴォプリノシェーニエ)』から人員を借り受けている様で全体的な戦闘能力がかなり高いです。(しかしシグフェズルの直接の配下ではない様です)
銃やナイフ、一部は魔術を操る者もいて、南部戦線の軍人と言えど彼らを相手取るのは中々苦戦するでしょう。しかしだからこそ、彼らをこの段階で倒す事が出来れば後々の戦いにおいて影響がある事でしょう。
・『天衝種ボムベ』×20体
常に低空飛行している球体状の天衝種です。各戦場に分散しています。
特殊な個体でありHPが0、もしくは0に近くなると『自爆』します。
物自範の高ダメージ威力。また壁などの障害物に対する特攻性能を持つようです。
HPに余裕がある内は、火炎系の魔術を使用して敵を害する様です。
●味方戦力
・『アルケイデス・スティランス』
ザーバ派に属する人物です。非常に勇猛果敢……な様に見えますが、その実内面は争いが嫌いな人物であり、ぶっちゃけ今も一刻も早く帰りたい。しかし心情はともあれ戦闘力は確かであり、自身の責務を果たさんと前線で戦います。槍を振るう接近戦型です。
『食糧庫』方面に向かいますが、指定があれば別方向へ向かいます。
・『ソフィーリヤ・ロウライト』
縁があってザーバ派の下へ身を寄せている人物です。超接近戦型のパワーファイターであり、過去(大分若い頃)にはラド・バウ闘士として活躍した人物でもあるとか……?
『技術工房』方面に向かいますが、指定があれば別方向へ向かいます。
・『ヴィクトーリヤ・ヴィクトロヴナ・ヴィソツカヤ』
諜報機関『クネヒト・ループレヒト』の副室長。エッダさんの竹馬の友であります。
身体的にハンデがある為、直接的な戦闘は得手としませんが、幻惑の魔術を得意とする人物です。南部戦線派軍人の援護と、指揮を執りながら攪乱部隊の撃滅を目指します。
『技術工房』方面に向かいますが、指定があれば別方向へ向かいます。
・『ゲルツ・ゲブラー』
ザーバ派に属し、遠距離射撃を得意とする飛行種です。
ラド・バウB級闘士でもありそれなりに実力も高いです。近接戦闘も出来るようですが、どちかといえば遠距離射撃を得意とし皆さんの援護を行わんとするでしょう。
『北東部外壁』方面に向かいますが、指定があれば別方向へ向かいます。
・『南部戦線派軍人』×50名~
銃剣を携えており遠近、どちらからの攻撃も可能です。
一部には治癒系のスキルを扱う事が出来る医療班系統の軍人もいる様です。
更に戦闘が長引く程に援軍として軍人が参戦してきます。
『食糧庫』『技術工房』方面に15名ずつ。
『北東部外壁』方面に20名ずつ開始時は向かいます。
・『ザーバ・ザンザ』
鉄帝の守護神。ザーバ派の長です。シナリオ開始時は不足の事態への備えと、全体の指揮を執る為に少し離れた執務室にいます。状況に応じて前線に至る事があるかもしれません。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●※追加情報
https://rev1.reversion.jp/guild/1352/thread/21471?id=1652979
バーデンドルフ・ラインに対する迎撃計画により、フィールド上において以下の効果が生じます!
要塞の防御技術向上により『防技・抵抗』『命中・回避・クリティカル・ファンブル』に有利な補正が乗る様になりました!
また、全ての味方勢力の攻撃時、支援攻撃が行われるようになりました! 『敵にダメージを与えた時、与ダメージの『1d10』%の追加ダメージが発生』します!
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