シナリオ詳細
<クリスタル・ヴァイス>氷狼の欠片と霊喰の魔将<貪る蛇とフォークロア>
オープニング
●幻影の向こうから
北方の冬であることを加味してもなお酷く冷たい空気が大空洞に満ちている。
吐息さえも凍てつかせんばかりの冷気は『フローズヴィニトル』の存在をひしひしと感じさせる。
多数の建造物の廃墟や使い物にならないガラクタでしかない古代兵器が散乱する場所に、複数の影がある。
ぼろきれのようなローブとフードに身を包み、風貌のうかがい知れぬ『亡霊』の如き者達と相対するは移草さえ感じさせる白い毛並みの狼たち。
炎熱が横に薙ぎ、辺りの気温が微かに上がったかと思えば狼が消し飛んだ。
「ようやっと見つけたと思ったが……まじかよ」
白い息と共に吐いた傭兵の声は地下特有の反響を残して消えいった。
真っ二つに切り開かれた狼――そこに何も無かった。
血も無ければ遺体もない、それはまるで幻影の類であるが如く。
「――くだらねぇ……不味いどうこう以前に空じゃねぇか」
明確な苛立ちを乗せて、傭兵――テオドシウスは舌打ちする。
「あいつらが冬狼でしょう。
『フローズヴィニトル』が生んだ幻影、あるいはその力の残滓なんでしょう?
いくら頭でもただの幻は……」
そう言ったのは傍に控える女の傭兵だ。
「はっ――魂がねえんじゃあ食えたもんじゃねぇな。斬るだけ無駄じゃねえか」
傭兵の言葉にテオドシウスは興味の失せたように消えた幻影のあった場所を見据えた。
「……ですがどうやらあちらはそんなつもりはないらしいですよ?」
「――全くだ。くだらねえ……霞を斬っても無駄なんだがなぁ。
まぁ、でも無駄とは言えねえか。こいつらが俺らの前に現れるってこたぁ、この奥にいるんだろ、狼の欠片がよ」
女が見据える咆哮を見て、揶揄して笑うテオドシウスは炎熱の曲刀に力を籠める。
「――しゃあねえ。全部斬り捨ててやるか、行くぜ『亡霊』ども。
冬を喰らいつくして、俺達は俺達の居場所を作る。
連合王国連中さえ俺らを捨てた――なら俺達はもう自由なわけだ。
何をしようが何をされようが文句は言わせねえ……そうだろ、野郎ども!」
傭兵達の喊声が大空洞を包み込む。
『――――』
それは触れることの出来ぬ、けれど確かにその存在を表す寒波のごとく冬の狼たちが駆ける。
その向こう側、そこにはたしかに『何か』が立っていた。
それはどこか氷を思わせるかのような――美しき女のように見えた。
「――どうやら、本命もいるみてぇじゃねえか。
全部呑み込んで、『氷狼』の力とやらを喰らってやるとしようぜ」
テオドシウスの瞳が『それ』を見て凄絶に笑った。
●いざ大空洞へ
鉄帝国北東部、赤い城壁が特徴的な城塞都市クラスノグラード。
そこはローレットとノーザンキングス系の勢力との戦いが続いてきた場所である。
かつて存在していた陣地の上に建てられたこの町にはその地下に巨大な空間が広がっている可能性があった。
調査に向かったイレギュラーズは実際に広がっていた地下道の探索を開始。
その中でも一番大きなチームだったイーリン・ジョーンズ(p3p000854)やココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)のチームが見つけた大空洞は『フローズヴィニトル』の封印を感じさせる冷気に満ちていた。
「あるかもしれないっていう話は聞いていたが、本当にこんな大きな空洞があるなんてな」
そういうラダ・ジグリ(p3p000271)やレイリー=シュタイン(p3p007270)、ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)はクラスノグラードの地下道に訪れるのは初めてだった。
「テオドシウス……奴はいったい」
リースヒース(p3p009207)は自らとも似た性質を持つ『亡霊』たちの頭、テオドシウスを思い起こす。
夥しいとさえいえる程の大量の魂に呪われるその男は魔種だった。
その目的は未だに明らかならざるものだが、この地に眠る多くの霊たちを委縮させ恐れられるようなことをしてきたことだけはたしか。
「……死者に安らかな眠りを齎すためにも、御身は倒さねばならない」
冷気に満ちた戦場へ視線を向ければ既に戦端が開かれていた。
「それにあの特殊能力? も厄介でして」
「そうね、あんな風に神出鬼没だと対処に困る……」
ルシアの言葉にレイリーも同意するものだ。
10人のイレギュラーズが地下道を進み、冷気を肌に感じ始めた頃、面々は思わず顔を見合わせた。
「私達より先に誰かが来てる……わけでもなさそうね」
空洞の奥へと視線を向けたイーリンは戦場の様子にぽつりと呟く。
「あの傭兵達と……冬狼? が戦ってるみたいですね。
……あっちの人? は誰でしょう?」
そちらを見てみたココロは傭兵達の向こう側、冬狼たちの更に奥にいる女に視線を向けた。
「……嫌な予感がするわね。碌な事にならない気がするわ」
「なんだ、誰かいると思ったらローレットじゃねえか」
イーリンが閃きかけた所でそんな声と共に眼前に魔種が姿を見せる。
「……テオドシウス」
それはまさに突如として姿を現した時と同じように、一瞬にして気配がそこに現れていた。
「あんたらも来るとはな。いいぜ、三つ巴と行こうじゃねえか。
俺達とあんたら。どっちが先に『氷狼の欠片』に辿り着くか、勝負と行こう」
楽しそうに――本当に楽しそうに、魔種が挑戦的な笑みを浮かべる。
冬の狼と、傭兵と、イレギュラーズ。
三つ巴の幕が上がる証と言わんばかりに、空洞の奥から狼の遠吠えが轟いた。
- <クリスタル・ヴァイス>氷狼の欠片と霊喰の魔将<貪る蛇とフォークロア>完了
- GM名春野紅葉
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年02月05日 22時06分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
「さて、それじゃあまぁ、俺は先に行くとするか!」
笑って動き出そうとしたテオドシウスが駆けだそうとした刹那、『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)は動く。
「なんかやばそうな雰囲気がプンプンするっスが……退く理由にはならないっス!」
「ライオリット殿、合わせるわよ!」
それに合わせて動いたのは『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)だ。
「速ぇな! その体躯でその速度とか! おもしれえ!」
最速で飛び込だライオットが打ち込む残影百手、滅海竜の鱗より打たれた軍刀を打ち払えば、冷気纏う曲刀が合わされる。
残像さえ質量を持つが如き連撃の末、熱を帯びた曲刀がライオットに傷を生む。
「兎にも角にも、アナタをここで足止めしないと駄目そうってことは分かるっス!」
「ふぅん? 初めてのはずだが、よくわかってるじゃねえか。
いいねえ、軍刀の二刀流ってのも気があいそうでよ!」
続け、テオドシウスの足元へ弾丸が跳ねる。
炸裂した弾丸は強烈な爆風を引き起こし、テオドシウスの身体をあおり、そのフードを吹き飛ばす。
「ニーズを喰えないとなったら早速次の獲物とは、暴食の魔種だったか?
ま、不意打ちもせずに教えてくれたんだ。勝負に乗ってやるよ」
その弾丸を撃ち抜いた『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)が言えば、イヌ科と思しき頭部をした獣の顔がそこにあった。
年齢は以外にも若い、少なくとも30代はいってなさそうだ。
「あぁ――誰かと思えば、同郷の……けっ、しかし折角の魔具が吹き飛んじまった」
ふるふると顔を振ったテオドシウスを、その周囲にいた霊たちが襲い掛かっていく。
それも、尋常な数ではない。元々彼の周囲にいた数どころではない大量の霊たちが、どこからともなく現れて襲い掛かる。
意にも介してはいないが、明らかに挙動が鈍っている。
「悪いが後は頼んだ!」
その様子を確かめてからラダは亡霊たちの方へ銃口を向けた。
「やってきたわねテオドシウス。強そうだしで一度やってみたかったのよ!
私の名はレイリー=シュタイン! さぁ、私達の相手してもらうわよ!」
愛馬リットと共に走り抜けたレイリーは、槍を突きつけるようにしてテオドシウスを牽制する。
「誰かと思えば『亡者』の御守をしてた嬢ちゃんか。良いぜ、まずはアンタらからだな?」
「イーリン、反対側は任せたわ! 大丈夫、2人ならやれる」
そのまま、レイリーはテオドシウスの背後に回る彼女へ声をかけた。
「ベロゴルスクの歩き巫女、で通じるかしら?」
ラムレイに跨る『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は応じて夜花の髪をかきあげた。
「ベロゴルスクの歩き巫女。あぁ、あの日もいたな。アンタの旗はよく覚えてるぜ」
それを見てテオドシウスが楽しそうに笑う。
「……それだけの霊を食らって纏う――どこに吐き出すつもりなのかしら?
或いは、腹の中で溶かし続けたいほど憎い連中が居るのかしら?」
改めて向かい合えば、テオドシウスの身体が数多の悪意を纏っているのがよく分かる。
「そう遠くはならねえさ。俺はアンタらに挑戦してみてぇだけなんでね」
にやりと笑う様はどこかヴァルデマールを思わせた。
「『三つ巴』なんて何を勘違いしてるのですよ?」
愛銃を構える『開幕を告げる星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)が言えば。
「へぇ、そいつぁどういう意味だ?」
「確かにルシアたちと奥の氷精とは中立ですけども、
明確な敵意や悪意はそっちの集団しかもってないのでして。
誤射ありの二対一の戦いって言った方が正しいのですよ」
「はっ、なるほどねぇ。そりゃあ違いねぇ!」
(戦いに生きる傭兵たちの気持ちはわたしには理解しづらい。
でも、もう自分を死んだものとして亡霊を自称するのはあまりにも……あまりにも……)
姿を露わにしたテオドシウスを見た『何度でも手を差し伸べて』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は胸の内にもやもやとした物を抱く。
(……いえ、それはあと。
私の役目は、2人がテオドシウスの抑えを完遂できるようにサポートする事……!)
ココロはその身に祈りを紡ぐ。
自分自身へと告げる祈りは覚悟に代わり、紡がれた思いが温かな光を帯びて戦場を照らし出す。
判然としない感覚のまま、先を行く師匠や友人を支えるように手を伸ばす。
「……なんか、ムカつくし……絶対殺す」
殺意高めな『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)の視線はテオドシウスに向かっている。
(リリーの弾をいとも簡単に避けて、あんな剣を使って来たあいつ。
多分、何かしらの技術で消えてるか、そういう力を使ってるか。
分からないけど活かせるのは接敵した経験と、これまでのリリーの経験。
目で、耳で、鼻で、ファミリアーで、自分の出来る限りで、あいつを感じるしかないねっ!)
小動物たちを空洞内部へ散らして警戒を露わに。
(こんなところにまで来る人達です、
それ相応の心構えで挑むべきってことは分かるのですよ。
ならば、ルシアは……)
刹那、ルシアは一気に戦場のど真ん中に向けて突っ込んでいった。
「ひゅぅ、とんでもねぇな、最前線に単身で突っ込むかよ」
そんなルシアを見て、テオドシウスが感心したように声をあげるのを耳に入れながら、ルシアは襲い掛かってくる敵を見る。
(こんな無謀な突撃なんてしちゃったら無事では済まないのですよ。
でも、それで……それがいいのでして)
小柄な妖精と言った雰囲気を帯びるルシアへと向けられる狼の牙、傭兵の白刃。
それらの猛攻を受けながら、ルシアは真っすぐに戦場を見据える。
●
(あらあら、混戦模様ねぇ……戦場が絡まっちゃうと、ちょっと大変だと思うのだけれど、ううん。まぁ、しょうがないわよね。
ともかく、こちらもやることをやらないといけないわね。
……あっちの、精霊? さんは、何をしているのかしらねぇ……)
展開した結界術の内側に立つ『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は視線を戦場の最奥に向ける。
浮かぶ氷の精霊らしき何かは亡霊と名乗る傭兵達にも、自分達にも一切の関心を向けずにただそこにある。
「名も知らぬ佳人よ、私はリースヒース、影と闇の精に連なるもの。
同胞の危機とみてはせ参じた。我が名にかけて、御身を守ろう。早く我が馬車に!」
宙に浮かぶ氷精に肉薄した『冥焔の黒剣』リースヒース(p3p009207)に、それまでただ虚空を見ていたソレが視線を動かした。
「ここから逃げるために使う肉体がなければ、私を乗り物にせよ。
呼ぶ名が必要ならば、ニエンテ(無)と呼ぼう! さぁ、早く手を!」
リースヒースの言葉に氷精は小さく首を振って、手をこちらにかざした。
『――去りなさい、零れ落ちた宵闇の子』
美しい声でそう告げた刹那、猛烈な冷たい風が指向性を以ってリースヒースを叩く。
身体が煽られて後退を余儀なくされれば、小さな氷が身体にへばりつく。
代わって彼女へ声をかけたのはヴァイスだった。
「落ち着いて。私達には敵対の意思はないわ」
対話を試みたヴァイスに氷精が視線を向けてくる。
「氷精さん……? かしらね? 貴女は何者なの?
ここで何をしているのかしら?」
『人形の娘よ、私が何者であるか問うのですか。
私がここで何をしているのか問うのですか』
そう静かに氷精が告げれば、冬狼の遠吠えが響く。
(明確にヒトの形をとり、自我まであるのか。
本当に氷狼の欠片であるなら、もとの氷狼がどれほどの存在か垣間見えるな)
最奥にある存在へ『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は視線を向けていた。
「ヤツは霊喰らいであんたを狙ってるようだ」
アーマデルの言葉に、氷精がアーマデルを見た。
『ええ、重々に承知しておりますよ。
ですが、彼は間違っている。私は氷狼の欠片であってそうではありません。
私は、楔。この地に眠る氷狼の欠片を封じ込める楔。
数多く存在する封印の1つでしかないのです』
「……つまり、貴方がここから動けば」
『封印は解き放たれ、彼の望む通り、『本物の氷狼の欠片』が目覚めるでしょう。
……あるいは、そうして目覚めた欠片こそが、彼の目的なのかもしれませんね』
アーマデルの言葉に、静かに氷精はそう答える。
「ヒトは名を介して縁を結ぶ、故にあなたを存在を表す『氷精』より『名』で呼びたい。
あなたには名乗る名はあるか、無ければ仮でもいい、呼び名をつけていいか」
『……いいえ。それは存在の固定をも意味し、
私は氷狼の楔の役目から一瞬であっても解き放たれるでしょう。
さすれば冬狼は私の手綱を放れます』
小さく精霊は首を振った。
「冬狼は貴女が操作してるのね。
であれば仲間達を攻撃しないようにさせることはできないかしら?」
アーマデルに次ぐようにヴァイスが言えば、再び彼女は首を振った。
『あれら冬狼は私と言う楔を経由して顕現している氷狼の幻影。
私にできることは、その攻撃が私に及ばぬようにすることだけです』
「……分かった。ならば傍にいることを許してほしい。
迫るあの者らから御身を守る」
ヴァイスの問いに答えた氷精へリースヒースが言えば、暫しの沈黙を保つ。
『……そのぐらいであれば許しましょう。
私が楔から放たれれば、この地は瞬く間に凍土の内側に眠るでしょう
そうなる前に逃げることを進めますが』
恐らくは思案をしていたであろう間の後、氷精は静かに告げた。
(魂を支配したか喰らったか、ニーズ=ニッドの件といい、いささかテオドシウスは苛つく輩。
とはいえ、自然の摂理に逆らって霊を支配したところで、いずれ待つのは破滅のみ。
ならばその宿命に私達が導いてやろうではないか)
改めて煤色の影で作り上げた黒い鎧に身を包んだはくるりと冬狼の方へ視線を向ける。
咆哮を立てる冬狼が飛び掛かってくる。
それよりも遥かに早く、アーマデルは既に動いていた。
(疎通を出来る霊がいれば退避をしてもらおうと思ってたが、どうやらいないみたいだ……)
そう思いつつ、アーマデルは向かってきた冬狼2体を纏めて薙ぎ払う。
(既に退避してくれているのか、あるいは……既にヤツの餌食となってしまったか)
後者の可能性の方が高そうに思えてしまうのが嫌な話だが。
「霊を、抱えた未練を喰らう事で己の力にする者は故郷の伝承にもいたが……」
そう呟くアーマデルの視線の先で傭兵が突っ込んでくるのが見える。
リースヒースは迫りくる傭兵達へ視線を向けていた。
「私を越えて彼女に手を出せるとは思わぬことだ……」
影がリースヒースの身体を、近くにいる面々を包み込む。
影の抱擁は暗く心地よく。
視界には戦場には不釣り合いな優雅にして繊細なる装飾を抱く馬車。
バリケード代わりの黒現のアバンロラージュは撃ち込まれる弾丸をはじき返していく。
「さて、あなたたちのご用件は何かしら」
氷精の下を離れたヴァイスは迫りくる傭兵達へ静かに問いかける。
それは意味のない問いかけに違いなかったが、それでも十分だった。
生まれた隙を見逃さず、ヴァイスは術式を起動する。
トレーネへと籠めて練り上げた自然界のエネルギーを集約させ、一気に放出する。
放たれた魔力は暴風を生み出し、氷精へと迫る傭兵達を押し戻していく。
●
「ここから俺は全力で行かせてもらうっス!」
ライオリットは自らに術式を付与すると共に一気に斬撃を見舞う。
撃ち払うツインストライク。双刀により見舞う連撃の斬撃はライオリットの気迫によって青白く瞬く。
その連撃を冷気纏う剣で受け止めたテオドシウスが笑っている。
「やるねぇ。アンタの速度は見逃せねえ脅威だなぁ!」
体勢を崩したテオドシウスが凄絶に笑い反撃の太刀を浴びせてくる。
「怨念を纏う者、伝承の一部。
狙うは怨念による汚染か、名前による定義付けか。
何れにせよ、亡霊が帰るべきは故郷よ。詳らかにしましょう。
神がそれを望まれる」
改めてイーリンはテオドシウスへと宣告する。
「いいねぇ、覗いてみな」
笑うテオドシウスを抑え込みながら、イーリンは術式を起こす。
数多の願いから溢れる泥の槍が戦場を走り抜けていく。
「さぁ、私達と1曲踊りましょ、亡霊さん」
合わせて、槍を構えたレイリーがそう言えば。
「ダンスの相手としちゃあ、悪くない3人だな?」
その手に握る双刀に更なる密度の魔力を纏う魔種にレイリーは真っすぐに視線を合わせる。
(あぁとても楽しいわ! だからこそ、絶対に勝つわよ)
身体が武者震いで振るえて仕方がない。
「私達2人、抜けると思ってるの!」
「抜いてみせるさ。俺はこう見えてあんたらを高評価してるんだぜ?
――じゃねえと、負けた俺達がとんでもねえ雑魚になるだろ?」
傲慢の魔種かと思うほどに傲慢に、にやりと笑って魔種が動き出す。
「生きているから気絶してもまた目が覚める。
死んだようなもの、は死んでないって自覚してるじゃない。
子供みたいな駄々を言わないでよ!」
そう叫ぶココロはウルバニの剣を振り払う。
瞬く聖なる光が傭兵たちの眼を眩ませる。
倒れる兵も死んではいない。
それは、ある意味でココロの我儘のような色さえあった。
「楽しもうぜ、ローレット!」
炎熱の太刀が燃え上がり、挑発したレイリー目掛けて振り下ろされる。
堅牢なる守りを以って打ち返すレイリーをしてなお、盾が軋みをあげた。
●
傭兵の銃弾が飛び交い、冬狼の咆哮が響く。
戦闘は激しさを増していた。
「命がないなら容赦する必要もない!」
ラダは愛銃に籠めた弾丸を一気にぶちまけた。
荒れ狂う数多の跳弾は宛ら砂漠の砂嵐を思わせる強烈な制圧力を秘める。
それがラダの正確なる狙撃技術より放たれるとあらば、その苛烈さは言うまでもない。
数多の弾丸が傭兵達や冬狼を問わず、嵐の如く打ち据えて行く。
「は、やってくれるじゃねえか、商人!!」
巻き込みがてらにぶち抜いたテオドシウスから放たれた炎の斬撃がラダを撃つ。
「作戦は変わらず! 主力はローレットは気にせず、冬狼を叩きましょう!」
合わせるようにラダの砲撃を受けて女の声が響く。副隊長格だろうか。
その一方で、4人ほどが別れてこちらに向かってくる。
「ラサの傭兵ならそれぐらい対応してくれないとな」
ラダはその様子に静かに次の弾丸をぶちまけて行く。
「いくら傭兵でも冬狼の前で石化したら痛手だよね!」
リリーは魔弾をぶちまけて行く。
放たれた魔弾の一撃が降り注ぎ、傭兵達に身動きを躊躇させていく。
それはさながら堕天使の誘い文句に魅入られたようなありさまだった。
リリーが予想した通り、そこへ冬狼たちが飛び掛かっていく。
(冬狼さん、声聞こえる?)
しかし、返答はない。
それどころか、声掛けによってこちらに気付いたかのように咆哮を上げる。
冬狼たちは他の依頼では意思疎通が不可能な存在であり、倒すと消えてしまうという話が合った。
悪しき狼『フローズヴィニトル』の残滓、漏れ出た力の塊であって所謂精霊とは厳密には異なるのだろう。
「亡霊さん……これを覚えていってほしいのです」
数多の傷を受けたルシアは静かに視線を上げた。
「――まずい、散開なさい!!」
それに気づいたらしい女傭兵が声を張り上げる。
けれど、それは既に遅いという物だ。
「死にたくない消えたくないって想いは、最強の火薬になるのですよ…!
そうなのでして! 『風前の灯火』が! 最も燃え盛る炎であるってことでして!」
真っすぐに駆け抜ける一条の魔砲。
その身は殲滅の使徒。
その身に降ろした魔神の力が一端。
酷く冴えた弾丸は想いを乗せて戦場を駆ける。
ヴァイスは展開した結界魔獣tの内側から静かに傭兵達の方を見た。
「あまり待たせてしまうのも耐えて貰ってる3人に悪いもの。
迅速に、安全に蹴散らしましょうか」
ヴァイスがトリーネを手に術式を励起させた刹那。
薔薇の茨が如き魔力の塊が傭兵の1人を絡めとっていく。
夢想より現実を侵す茨が傭兵を絡めとるに時間はかからない。
●
戦いは続いている。
傭兵達の数は確実に減りつつあった。
「手を出すのは自由だが相応の報復はあるものだ。
ラサの傭兵なら分かるだろ?」
テオドシウスの方へと動きつつある傭兵を見咎め、ラダは引き金を弾いた。
優れたコントロールにより打ち出された弾丸は万に一つも仲間に触れることなく。
傭兵とついでにテオドシウスを撃ち抜いた。反撃の斬撃がラダを撃つが気にしない。
それは幾度目の砲撃か。
ルシアは再び愛銃を構えている。
射線は真っすぐに傭兵と、その向こうにテオドシウスを収めていた。
「これは、復讐っていうよりただの八つ当たりかもですけども!
ありったけの命の輝きで! 未練ごと浄化させてやるのでして!」
おろした魔神の力が全身をめぐり、引き絞る指に魔力が帯びて行く。
数多の苛立ちを、数多の怒りを、未練を打ち砕くように。
星は戦場を一掃するが如く瞬いた。
傭兵との戦いはほぼ形勢が着いたと言えた。
「どうやらこっちはこっちは押し切れそうっスね!」
ライオリットはその刹那に全身のリミッターを叩き折った。
脅威的なまでに反応速度を叩きあげ、踏み込んだ。
身体がブレるほどの迫力の一撃を以って撃ち抜くは何度目かになる斬撃。
「今までと同じとは思わないほうが良いっスよ!」
「――まじかよ、もっと早くなんのかよ!」
驚いているようでいて、寧ろ楽しそうにテオドシウスが笑う。
軍と速度を上げた剣が合わせてきたテオドシウスの剣を撃ちあげ、追撃の太刀筋が彗星の如き尾を引いて斬り降ろされる。
苛烈にして凄絶なる斬撃が眩く輝いて痛烈な一撃を生んだ。
「ったく、アンタはアンタでどこまで行っても堅ぇな!
そういや、あんたはニーズヘッグの炎も止めたんだっけか!」
レイリーが大盾を駆使して魔種を防いでいると、愉しそうにテオドシウスが笑う。
出力の上がった炎が振り抜かれ、真っすぐに振り下ろされた。
振り下ろされた斬撃は真横に引くように熱を帯びて刻む。
「何度だって、言ってあげる。
私達を抜けられると思ってるの?」
「――いいねぇ、それぐらいじゃねえとよ」
そう言って笑った男はここまでの攻撃でも常に炎を帯びた刀で攻撃してきていた。
「お師匠様! レイリーさん、あと少しだけ頑張って!」
ココロは不死鳥の魔術を奮い立たせて、発動させる。
戦線の維持が必要なのは、あと少しだろう。
描いた熱の魔術は、2人の傷を癒していく。
「動きを掴めないのなら、攻撃に転じたその瞬間に相打ち上等で撃ちこむまで!」
冬狼の数が減っていることを確かめたラダは標的を変えていた。
一気に肉薄すると、無理矢理その場で弾丸をばら撒いていく。
回避するには無理がある距離から放たれるは凄絶なるコントロールと天運から描かれた弾丸。
それは三連撃の斬撃のように傷を刻んでいく。
邪剣の如く喰らいつく凶弾を受け切って、獣種が笑う。
「おう、やってくれやがったな!」
激昂と共に、炎がラダの体を襲う。
「……ったく、激しいねえ、あんたら。
これ以上やっても意味ねえか。
分かったよ、退いてやんよ、おい、野郎ども!
撤退だ。死地はここじゃねえってのは分かってんだろ!」
そうテオドシウスが叫ぶ。
それに傭兵達が応じて、弾幕をぶちまけながら後退していく。
「そんなわけでな、退かせてもらうぜ、ローレット」
更にテオドシウスが出力を上げる。
炎熱の太刀が陽炎を起こし、燃え上がった刀身が狼のような姿を取る。
余波だけで火傷するような熱を持つ斬撃が振り払われた。
「もういっちょ――」
そう言って、それまで使ってこなかった冷気纏う太刀を振り下ろす。
刹那、尋常じゃない熱量の蒸気が一面を焼き、爆風が轟いて思わず後退を余儀なくされた。
「逃がさないっスよ!」
そこへ追いすがるはライオリットだ。
持ち前の反応速度を以って立て直すと共に爆発的な速度を跳ね上げ、一気に飛び込んだ。
苛烈に撃ち込んだ二連撃がテオドシウスに一瞬とはいえど隙を作り出せば。
「おっと! 流石に追いついてくるか。
けど、大丈夫か? 突出しすぎるんじゃねえか」
そう言ってテオドシウスが笑った刹那、ライオリットの身体を傭兵達の銃弾が撃ち抜いていった。
「わりぃな、竜人さん。また会えたら戦おうぜ――じゃあな」
追撃を弾幕で防ぎながら、亡霊たちが撤退していく。
(――本当に?)
撤退を装うとは明確に色合いの違う撤退戦を演じる傭兵達。
だがイーリンの脳裏にはもやっとしたものがあった。
●
「わたしはココロ。寒波と戦いに苦しめられる人たちを助けたくてここまできました。
何か解決できる手立てをご存じないでしょうか」
戦いの終わり、ココロは氷精へと問いかける。
本物の氷狼の欠片を封じる楔であるという精霊は目を閉じて少し考えるような仕草を見せる。
『できるかどうか、というのを無視して言うのであれば、
最短にして最効率な方法は、フローズヴィニトルを討つことでしょうね』
氷精の言葉は淡々としていた。
『あれは、悪意に満ちた邪悪なる獣。そういう存在です。
打ち倒すのに遠慮はいらないでしょう』
「リリー達に力を貸してくれないかなっ!」
氷精が静かに首を傾げる。
『力を、ですか……しかし、私はこの地の封印を保つ楔に過ぎません。
どこに行くこともなく、何をすることも出来ぬのです……』
「それでも、今の状況少しでも対処できるかもしれない、から」
食い下がるリリーに、暫く黙考をしていた氷精はやがて何かを思いついたように微笑する。
「……私は『冬の王の友人』よ。
友好の証に、これ、良かったら如何?」
イーリンがそう言って取り出したらのはゴラぐるみ。
『冬の王……懐かしい名前ですね』
驚いたように目を瞠り、精霊は微笑する。
『――ですが、ええ。これは素敵なぬいぐるみです。
……本当に頂いても?』
「ええ構わないわ」
頷いたイーリンからゴラぐるみを受け取った氷精は緩やかに後退する。
ふと、その表情が人で言うところの『覚悟を決めた者』のそれに見えた。
『……今、冬狼はいないようですね。
であれば――少しばかり覚悟を決めましょう。宵闇の子、私をニエンテと呼びましたね。
ふむ、それだけでは縁が足りませんね。もう1人ぐらい、縁を結んでいただけますか?』
リースヒースを見て、そう言った氷精は少しばかり首を傾げ。
「……であれば『フラネーヴェ』はどうだ?
かけ離れ過ぎない名の方が馴染むだろうが、友好的でありたいと思えば氷狼とは呼び難い」
そう言ったのはアーマデルだ。
『フラネーヴェ……待雪草ですか。
無と待雪草とは、また不思議な響きですね。
――さて、それでは最後にもう1つ。覚悟は良いですか?
時間をかけすぎるとバレてしまうかもしれませんからね――』
「……なるほど、そういうことね」
彼女との会話を聞いていたヴァイスもこれから起こることが何となく理解できた。
「貴方は今から一度、楔の任を終えるつもりなのね」
『――えぇ』
頷いた刹那、精霊の力が急速に集束していく。
ピシリと音を立てて、氷精が砕け散り、視界を埋め尽くするような雪が辺りを包み込んだ。
『ォォォォォォオオオオ!!』
狼の咆哮がどこから聞こえて――ビリビリと殺気が辺りを包む。
その時だった。
(――来る)
イーリンのそれはギフトによる恩恵だった。
「――それじゃあ、頂くかね」
それは吹雪の向こう側から確かに聞こえてきた声だった。
猛吹雪が視界を覆いつくす中でのそれは最悪のタイミングだっただろう。
「熱源が、あっちから――駄目、吹雪の冷気で見えなくなった」
同時、レイリーは微かに戦場に熱を感じたが、猛烈なる吹雪が瞬く間に掻き消してしまった。
「――えぇ、貴方みたいなやつが仕掛けるならは『このタイミング』でしょうね」
振りかざす戦旗、放たれるは泥の槍。
――呪われよ、と、普段の文言は言わぬ。
何せそれは奴にとって『喜ぶべき言葉でしかない』だろう。
「これだけの小魔術、一発くらいならどっか当たるでしょ、当たって!」
だが、イーリンが泥の槍を放つよりも前に、そう言って魔術をぶっ放したのはココロだった。
ウルバニの剣を声が聞こえた方角目掛けて掲げてぶっ放した魔弾は狙ってなどいない。
それはまさに『直感頼り』以外の何物でもなく、だからこそ――彼の獣には天敵だった。
幾つもの魔弾が雪景色を貫き、獣の位置を暴き立てる。
「――マジかよ!?」
連続する魔弾が幾つもテオドシウスを撃ち抜く。
「――流石、私の弟子」
そう微笑するイーリンが放つ無数の泥槍が暴き立てられたテオドシウスを貫き。
「後は任せる!」
ほぼ同時に動き出していたラダが振り上げた銃床が追撃となる。
強かに振り下ろされた銃床はテオドシウスを三連撃を2度にわたり撃ち抜いた。
「――あぁ、任された」
それを受け取ったのはアーマデルだ。
圧倒的な速度を以って受けた奇襲を立て直し振り抜いた切っ先が戦場を駆ける。
空気を軋ませ、震えるは諦観の情動。
激情の絶叫を思わせる風を切る音色を立てて戦場を突っ切った蛇鞭剣が振り下ろされる。
締め上げるように巻き付けた剣を利用して、そのまま一気にテオドシウスへ肉薄していく。
テオドシウスの舌打ちが聞こえた。
「――聞け、霊たちよ」
そこへリースヒースが声をあげる。
視線は真っすぐにテオドシウスの周囲に漂う悪意たちへ。
「私はかつてクラスノグラード周囲の霊を弔った者だ。解放し弔いをするから出来ることはないか」
その問いかけに反応する者は、なかった。
かわりに放たれたのは重厚な呪いが指向性をもって払う悪意の斬撃。
それを受け止めたリースヒースへ、テオドシウスが笑う声がした。
「止めときな、霊術師。
死にてえなら止めねえが、もうこいつらは当の昔に『霊魂』らしさを零落させてやがる。
ただ、俺を憑り殺したいっつー本能だけで動いてる獣さ。
言ってみれば呪詛の塊だ。如何にアンタでもどうしようもねえさ……」
「……この前の借り、返してやるっ!」
笑うテオドシウスに生まれた隙、ガジェットを起動したリリーは一気に弾丸をぶちまけて行く。
めちゃくちゃに打ち出された魔弾が最速で到達し、テオドシウスの右目を、手足を撃ち抜き。
壮絶な御業に身体が硬直したテオドシウスへ続けて呪いを纏った魔弾が襲い掛かる。
真っすぐに撃ち抜いた魔弾はテオドシウスの右肺あたりへと炸裂し、内側へと吸い込まれていく。
「くそっ――誰かと思えば、あの時の嬢ちゃんか!」
テオドシウスが今度こそどこかへと跳ねるように逃げて行った。
「――逃がさないよ!」
それは執念に近い魔弾だった。
炎で出来た小さな狼のような形を取った魔弾は、空を駆け抜けてテオドシウスを大きく撃ち抜いた。
「――ねえ、もしかして、彼……全ての能力が同時に使えるわけじゃなかったりして?」
レイリーは炎を纏いながら撤退していくテオドシウスを見ながら、何となく思った。
考えてみれば、そうなのだ。
もしも仮に、亡霊のように完全な気配遮断で移動できるのなら、遮断したままで攻撃すればいい。
そうしなくとも、炎と氷を常に纏って移動した方が絶対的に先手を取りやすいはずだ。
しないのではなく、出来ないのであればその挙動は理解できる。
「もしかして、彼はどれかの能力を使うまでに多少の隙が出来てるんじゃ」
挙動そのものに一手分の消費があるのなら、使い勝手は思ったよりも悪いのかもしれなかった。
「――――」
かと思えば、何か音が聞こえて、吹雪が急速に集束していった。
「……冬の王の友人さん。これ、お返ししますね」
吹雪が終わった頃、美しい青に近い白色の髪と瞳をした妙齢の女が微笑してイーリンにゴラぐるみを返してくれる。
「……さっき渡した時よりも重くなってる気がするのだけど?」
イーリンの問いかけに、女性がどこか悪戯っぽくウインクして、人差し指で口を封じる仕草を見せる。
「それを離さずに持っておいてください。それから、さっきみたいに、私を守ってくださいね?」
氷精だったものはゆっくりと微笑した。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
遅刻してしまい、大変申し訳ありませんでした。
お疲れさまでしたイレギュラーズ。
GMコメント
そんなわけでこんばんは、春野紅葉です。
地下道にて見つかった冷気に満ちる大空洞にてドンパチしにまいりましょう。
●関連シナリオ
<貪る蛇とフォークロア>シリーズ
https://rev1.reversion.jp/page/folklore
<総軍鏖殺>来たる冬を見据え、怒れる残滓を越える日<貪る蛇とフォークロア>
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8571
<エウロスの進撃>赤き城塞と地の底にある怨嗟<貪る蛇とフォークロア>
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8920
●オーダー
【1】『霊喰の魔将』テオドシウスの撃破または撃退
【2】『亡霊』の撃破または撃退
【3】冬狼の撃破
【4】テオドシウスを氷精に近づかせない
●フィールドデータ
地下に広がる先史文明期の遺跡です。
多数の建造物の廃墟や古代兵器と思しき機械が転がっています。
遮蔽物の類もいくつか存在していますが基本は平地になっています。
また、『フローズヴィニトル』の封印の影響か凍っている部分、霜があるなど非常に寒いようです。
●リプレイ開始時状況
皆さんが戦場に到着した時点で既に『亡霊』と冬狼の戦闘が始まっています。
●エネミーデータ
・『霊喰の魔将』テオドシウス
元獣種の魔種です。属性は憤怒。
自分たちを『亡霊』と名乗るラサの傭兵集団にて実質的な指導者と目される人物。
何らかの目的を持って行動していると思われますが、現状は不明。
自分たちの居場所をもう一度作るといったふうのことを言っていましたが、果たして。
イレギュラーズとの交戦により判明している情報は以下のとおり。
【1】獣種由来の超反射神経は健在である(もしくは超反射神経相当の特殊能力を持つ)
【2】自称『亡霊』らしく神出鬼没にみせる何らかの特殊能力を持つ。
【3】大量の霊を捕食しており、それらに呪われているらしい
【4】戦闘時は曲刀による二刀流、攻撃を受ける際には冷気を纏わせ、攻撃をする際には炎熱を纏わせている。
・『亡霊』×10
自分たちを亡霊と名乗るラサの傭兵。
自称の理由は自分達の首魁を討たれて残党となった時点で死んだようなものだからとのこと。
比較的軽装備ですが彼らもラサの傭兵です。
甘くみると痛い目を見るかもしれません。
・冬狼×20
『フローズヴィニトル』が作り出した幻ないし溢れ出した残滓とも思しきもの。
見た目は白い毛並みの幻狼です。実体はなく、精霊にも近しい存在であるようです。
侵入者を追い払わんとしているように思われます。
『亡霊』、イレギュラーズを問わず交戦します。
●???データ
・氷精?
美しい青に近い白色の髪と瞳をした妙齢の女を思わせる存在。
冬狼たちの集団が現れる方角の遥か向こうに佇んでいます。
何故かはわかりませんが、皆さんはテオドシウスを彼女?に近づかせてはならないような気がします。
テオドシウス曰く、『氷狼の欠片』らしいですが本当にそうなのかは不明です。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
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