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シナリオ詳細

<咬首六天>娯楽さえも

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<咬首六天>娯楽さえも
 帝都スチールグラードの中に在る、闘士達が凌ぎを削る地、ラド・バウ大闘技場。
 帝都の中にありながら、新皇帝派の進め方に異議を唱え、抗戦の動きを見せている彼等は、新皇帝派に虐げられている市民達を匿い、食事や娯楽を提供していたりする。
 ……だが、そんな『ラド・バウ独立区』の動きを煙たがるのは、当然ながら新皇帝派閥の面々。
 そして、そんなラド・バウに属するものたち含め、抵抗するイレギュラーズ達を自分達の手だけでなく捉えられる方法を編み出す。
 それこそが『手配書』。
 鉄帝で手柄を上げているイレギュラーズ達に懸賞金を掛ける事で、金に目の眩んだゴロツキ連中や、力は無くとも数だけはある一般人達も数の暴力で捉えて貰おう……という話。
 無論、その話は各派閥の目にも付く事になる。
 しかし街中に張り出された手配書を剥がしても、次から次に手配書が張り出されてしまい、イタチごっこになっている状況が続くのであった。


「という訳なのよ。本当アタシ達の興行を邪魔しようだなんて……新皇帝達はそんなに偉いのかしらねぇ……?」
 笑みを浮かべるも、どこか口端を引き攣らせているのは、『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー。
 その手にあるのは『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)の『600万G』の報奨金が掛けられた手配書、ただビッツの手によりぐちゃりと握りしめられていた。
 彼女のいう通り、新皇帝の勅命により鉄帝国中に貼りだされた手配書は、イレギュラーズを対象に懸賞金がかけられている。
 その中でも、レイリーの手配書の懸賞金の額は10本の指に入る程の高額手配書であり、貼り付けられている数はとても多く……ここ、ラド・バウ大闘技場近隣にも多数貼りだされていた。
 勿論ビッツとしても、ラド・バウで活動してくれているレイリーの手配書が貼りだされる事に内心強い怒りを覚えている。
 ……そんなビッツの前でレイリーは。
「まぁ、わたしはわたしのする事で、みんなを楽しませる事だけよ! ラド・バウに集う方々に歌や踊りを披露して楽しんでもらう事! 手配書なんかでわたしの活動を止める事は出来ないわ!!」
 ググっと拳を突き上げて満面の笑みを浮かべるレイリーに、ビッツもふふっ、と笑いながら。
「そうね。あなたが良いなら、だけど……この手配書に目がくらんで割り込んでくる奴らを一網打尽にする……とかはどうかしら?」
「勿論! 例え新皇帝派達がわたしの舞台を壊すような真似をしたら、全力で返り討ちにしてやるわ!!」
 強い口調で、テンションも上がるレイリーに、うんうんとうなずきながらビッツは。
「それじゃあ決まりね……レイリー、いっちょ派手に目立って、奴らを一網打尽にしましょ!」
 と言いながら、ラド・バウ大闘技場とその周囲に貼りだすライブイベント告知の張り紙を差し出す。
 かの手配書の横にそれを貼りだす事で、あえて懸賞金に目がくらんだ輩たちを一網打尽にしようとする作戦の開始、である。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 とうとう報奨金が600万と、誰しもが金に目がくらみそうな金額になりつつありますね。

 ●成功条件
  ラド・バウで行われるライブイベント中に、懸賞金を手にしようと割り込んでくる新皇帝軍やらごろつき達の討伐です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  舞台となるのは、ラド・バウ大闘技場近辺に作られたライブイベント会場です。
  お立ち台の上で歌い、踊りながらライブパフォーマンスを見せることが可能です。
  観客となる一般人の方たちは下手の観客席(椅子とかないから観戦エリアといった方がいいかもしれませんね)でサイリウムを振ったりしてライブパフォーマンスに興じることが可能です。
  なお、新皇帝軍やらごろつき連中は当然ながら観客席側の方から襲撃を仕掛けてきますので、一般人にも被害が及ぶ可能性は十分に高いです。
  その為、観客たちを守りつつライブイベントに割り込んできた新皇帝軍の連中を殺す……という流れになります。
  また、低確率ではありますが、レイリーさんの手配書を見て、一般人が寝返る可能性は少なからずあります。
  ただ、彼らを熱狂させればさせる程、その可能性は低くなるでしょう。
  レイリーさんだけでなく、一緒にライブパフォーマンスをする、というのもいいかもしれませんね。

 ●討伐目標
 ・金に目が眩んだ『一般人』及び『ゴロツキ連中』
   その高額な報奨金に目がくらんだ者たちです。
   一般人は、避難民を装いラド・バウ独立区で避難生活を行っている一般人達です。
   一般人達は戦闘能力はありませんが、腕や足、四肢に抱きつくことで行動を制限する、等の行動をとる可能性はあります。
   一方ゴロツキ連中は目つきは悪く、腕っ節が強そうな奴等です。
   彼等はいろんな事をして捕まったりした人も含んでおり、戦闘能力は高めです。
   ただ一般人に比べて高い……というものなので、イレギュラーズの皆様に対してはそんなに強いって訳ではないです。
   とは言えこちらも数纏めてくると中々に厄介な敵になるので注意が必要でしょう。
 
 ・新皇帝派『新時代英雄隊』:30人
   『波瀾に道だ新時代こそ英雄が必要』と騙る鉄帝軍将軍『レフ・レフレギノ』の下に集い、動く者達です。
   高額賞金首というのと、ラド・バウでイベントをやるという張り紙にレイリーさんがいるのを知っている為、かなりの軍勢で仕掛けてきています。
   彼等は一般人やゴロツキ連中らに対し、『ヤツが賞金首だ!』と声高らかに宣言すると共に捉えるように指示を与えます。
   勿論彼等自身の戦闘能力は、一端のイレギュラーズと張り合える程の戦闘能力を持っていますので結構強敵ですので、ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <咬首六天>娯楽さえも完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月28日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●憩いを邪魔する者
 帝都スチールグラードにあり、人々に観戦という娯楽を提供する場、ラド・バウ大闘技場。
 強い者同士が戦い、凌ぎを削り合う……自分達に無い物だからこそ、スチールグラードに棲まう人はそれを求め、熱狂する。
 そして戦いが終われば炊き出しに舌鼓を打って、温かい食べ物を食べて……ささやかな幸せと共に眠る。
 新皇帝派の抑圧から逃れたい、と此処に集いし市民達は娯楽に触れるのを楽しみに日々生きている。
 しかしそんなラド・バウの動きを快く思わぬ新皇帝派は、ラド・バウに力を貸す者を『手配書』という形で国全体に流布し、金目当てのゴロツキ連中だけでなく、極々普通に過ごす一般人でさえも、味方に引き摺り込もうと画策していた。
 そして……。
「手配書、ね……」
 レイリーの手配書を握りながら、大きく溜息を吐くのは『狐です』長月・イナリ(p3p008096)。
 それに『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も。
「ああ……これ見よがしに、大闘技場の近隣には絨毯爆撃するかの様に貼ってあったな……」
「そう……ま、どうせ貼っている連中は末端だろうし、こいつらを捕まえても蜥蜴の尻尾切りで意味は無さそうね。それにこの手の行為には、犯人を公開拷問とか、公開処刑とか、強烈な恐怖で無理やり抑えつけるのが簡単なんだけど……正義の味方ポジションだから、悪逆非道な行為は無理なのよね……」
「そうだな。とは言えこのまま放置している訳にも行かないだろう。レイリー殿がやりたい事をするには、ここに避難している人だけ……という訳にも行かないしな」
 イナリとアーマデルの視線の先には……仮設ステージの準備を進める闘士達と、それにテキパキと指示を与える『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)の姿。
「うん。左は……そうね、もうちょっと照明を上に。右はそれくらいでいいわ」
 ステージ……今日、ここで行われるのは、レイリーの一般市民達に向けたライブイベント。
 ヴァイス☆ドラッヘの名で、今迄も色んな所で歌やダンスを披露してきた彼女。
 ビッツからもあった、このスチールグラードに住む人達に向けてのライブイベントをやってみては……と言う話から、事は進み、今日はそのライブ当日。
 手配書の上にそのイベント開催の張り紙をし、敢えて目立つようにライブイベントを行う事で張り出した輩達と、それに目が眩んだゴロツキやら新時代英雄隊達を炙り出そう……というのはラド・バウ派の作戦。
 とは言え避難民達からは、ちらほらと今日は愉しみだね……という言葉がちらほら聞こえてきており、作戦は作戦ではあるが、レイリーはライブイベント開催に本気に取り組んでいる。
 そんな彼女の動きに『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)と『闇之雲』武器商人(p3p001107)も。
「ライブですか?」
「うん。ウタは好きだよ。ああいう風に、我(アタシ)は人に披露するっていう事はないけどね」
「そうなのね……まぁ、確かに武器商人さんが歌を披露している所って、見た事が無いわね。まぁ人は衣食住をある程度整えても、娯楽がなければ心が疲弊していくものだものね」
「そうそう。だから、それを邪魔する野暮なニンゲン共には、さっさとご退場願うとしようかねぇ、ヒヒヒ!」
「ええ。娯楽がなければ心が疲弊していくものだもの。ここにいる人達が楽しめるように、お手伝いしましょう」
 そんな武器商人とフルールの会話の一方。
「ねぇねぇ、レイリーちゃん! 三曲目終わってからの入れ替わりについて相談してもいいかな?」
「ええ! そんなにステージが大きいという訳でもないですし、私が左から吐けつつ、曲をフェードインで掛けて貰って、そこに焔さんが入る……って言うのでどうでしょう? 流れを止めないように、観客の方々の熱狂そのままに繋げたいですし!」
 わいわいと『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)とレイリーがステージプランを相談し、それを数歩離れた所で『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が。
「ふむ……そうか。分かった。となれば、そのタイミングはそれでいいだろう。勿論何時奴等が割り込んでくるかも分からないから、いつでも切り替えられるようには備えておく必要があるだろう。何にせよ、新皇帝派の刻潰し共を根絶やしにしなければならないからな」
「うん! あ、でもエッダちゃんはそうしている暇無いんじゃないかな?
「何でだ?」
「だって、ステージ側に居ないと! エッダちゃんも出るんだから!」
「何、私も? ちょ、ちょっと待て。テンションが追いつけなくなるから」
「大丈夫大丈夫!! ね、レイリーちゃんも大丈夫だって言ってるし!」
「ええ! エッダさんと焔さんと一緒に歌とダンスを披露するの、とても楽しみです!」
「っ……わ、分かった。ちょっと待ってくれ」
 焔とレイリーの言葉にちょっとたじたじになりながら、エッダはびしっといつも着こなしている軍帽を脱ぐ。
 続けてそそくさと、どこからともなくヘッドドレスを取り出して装着。
 ……厳しそうな表情から、活発そうな表情になり。
「……おーし、やったるか!!」
 と元気溌剌に声を上げて。
「うんうん、エッダちゃん宜しくねー!」
「それじゃあもうちょっと流れを確認しましょう!」
 焔とレイリーは、舞台上に立って魅せるプランを活き活きと相談している。
 ……其れにフルールが。
「……舞台に立つ人は、人数は十分ですね。では私は裏方に回りましょう。私はどちらかというと、夜野御相手の方が上手いかもしれませんから……ふふ」
 妖艶に笑うフルール、そして『玉響』レイン・レイン(p3p010586)は。
「ん……僕がステージに上がる訳じゃないけど……ラド・バウに居る人達……楽しんでくれるといいね……」
 と言うと、焔、レイリーも。
「ええ。一緒にライブを楽しむのなら歓迎するけど、違うならお仕置きね」
「うん! 皆が楽しみにしてるライブの邪魔をしようだなんて許せない! そんなことをしようとする人が来るなら、もう二度とやろうだなんて思えないようにお仕置きしなきゃだよ!」
 その言葉にイナリが。
「そうね……まぁ、今色々と考えていても仕方が無いから、目の前の連中を処理しましょう。と言う訳で、皆、宜しく頼むわね」
 と、皆を促すのであった。

●与える時
 そしてステージの準備も着々と進み、空の陽射しが傾き掛けた時。
 観客席側にはかなり多くの市民達がおり、ステージに熱視線。
 ……そして時間になり、照明の中、ステージ中央に威風堂々と立ち、構えるレイリー。
「ヴァイス★ドラッヘ! 只今参上!」
 決めポーズを取るレイリー……それにわぁぁっ、と拍手喝采。
「さぁ、今日もみーんなに楽しい夢を魅せてあげる! まずは、これから行くよっ!」
 元気一杯、笑顔でステップを執るレイリー。
 アップテンポな曲に乗せて跳ねて、跳んで、くるくる回る。
 先ずは一曲歌い上げて、続けて二曲目はちょっと落ちついた曲調に乗せて、魅せるダンスを披露。
 三曲目は転調の激しい曲で、踊るのが難しそうだが、それも涼しい顔で踊りきる。
「うわぁ……やっぱり凄いね、レイリーちゃん。エッダちゃんも一緒に頑張ろうね、アイドル! いっぱい盛り上げちゃおう!!」
「ああ、勿論だ!」
 そしてその曲の勢いを止めること無く……ステージ上で入れ替わる焔とエッダ。
 笑顔でアクロバティックな動きを絡ませて、活き活きとステージ上で踊る焔に対し、エッダは。
「さぁ、お前ら見ろ。そして褒めろ」
 と、武道の演武の様な質実剛健な舞を魅せる。
 レイリーの華美な踊りに対して対比的な二人の踊りはステージの抑揚を付けている。
 その後は焔ソロの踊りに変わり、続けてエッダとレイリーのペアでの踊りだったり……三人が目まぐるしくステージ上で入れ替わりながら、観客を楽しませていく。
 そう、ステージ上で踊る一方……他のイレギュラーズ達は客席に紛れ込んでいるのもいれば、後方で警備員として立ち番で張り込み、突然の蹴撃に対処出来るようにする。
 又、ステージサイドでは、レインが。
「……凄く寒いし……それに……温かいものは……イライラしないで気持ちが安定するんだ……だから……これでも飲んで、温かい気持ちに……なって欲しい……」
 と、コンソメスープを大量に仕込み、炊き出しが如く観客達に配る。
『本当、ありがとう……ラド・バウの皆さんに守って貰えてると、改めて感じる事が出来ます……!』
『これからも、どうか宜しくお願いします……』
 等と、避難している人達はぺこぺこと頭を下げて感謝を伝える。
 そんな村人達の言葉に心を動かされつつも……イベントは恙なく進行していく。
 十曲ほどパフォーマンスが終わった所で……イベント的には休憩時間。
 人々は凄かったね、楽しかった等と笑顔で語り合う……だが、その時。
『おうおう! てめぇら罪人達が何やってんだよぉ! 人々を集めてよぉ、洗脳しようとでもしてんのかぁ、ぁぁ!?』
 ラド・バウの外から、柄悪く突撃してくるゴロツキ共。
 更にその懐からビラを撒くかの如く、レイリーの手配書をぱぁっ、と風に乗せて配れば、600万Gという事に驚きの声を上げるのも多数。
 加えてゴロツキ連中の後方から、整った武器防具を装備した者達が。
『お前達、良く聞け! そのステージに立っている物こそがその手配書に乗りし罪人だ! ヤツを殺せば、お前達も600万Gを得られるかもしれないぞ! さあ、金が欲しくばヤツを捉えろ!!』
 と、声高らかに宣言。
 ……だが、それにフッ、と笑みを浮かべたエッダ。
「へっ、懸賞金だぁ? ここにもっと高いのが居るだろうがよぉ!!」
 服の中に隠し持っていた、自分の手配書を散蒔くエッダ。
 900万Gという金額がデカデカと踊り、観客席の一般人達はえっ、何? と驚きの表情。
 一方でゴロツキと新時代英雄隊達は。
『何、900万なんてのもいやがったのか! これはいい、合わせて1500万Gだぜぇ!』
『想定外ではあったが、同じ手配されている者なら問題無い! さぁお前達! 更に金額が跳ね上がったぞ! 殺れ! 殺るんだ!!』
 民衆達を鼓舞する彼等。
 ……しかしそれにぼそっとレインが。
「賞金首は国の一部が勝手に言い出した事……皆はそんなの、認めてないよ……」
 それにフルールと、一般人に紛れ込んだアーマデルが。
「そうですね。というかですね、手配書を出してお金を支払うとか言ってますが、ぶっちゃけ弱者から奪ってOKという勅命があるのに、それって意味があるんですかね? 第一私達を殺して死体を持ってきたとして、持ってきた人が殺されないという理由にはならないですし? むしろお金があってもお腹は膨れないので、こっちに来てきちんとした衣食住を確保した方が絶対得ですよね? ねぇ、ゴロツキさん達? こっちに来た方が、きっと上手くいきますよ。それに、守ってくれる人の方がモテますよ? 私はその方が好感持てますし」
「そうだな……皆でこの冬を越える為に、今は力を合わせる時……あいつらの言葉にかまけてる必要は無いと思う。俺は……あいつらの側につく」
『……そ、そうだな。確かに……』
 観客席に紛れ込んだアーマデルが言う事と……今迄楽しませてくれた事も有り……多くの一般人達は、ゴロツキと英雄達の方から離れる。
 勿論、その高額に目が眩んだ十数人ほどは。
『何言ってんだよ、1500万Gだろ? ……あいつをみんなで寄ってたかって抑えつければ、金貰えるかもしれねえんだぜ!』
『金は貰えるかもしれねえけどよ……あの形相だろ? 金本当に払ってくれんのかよ!?』
 と、言い争いをし始める。
『あー、しゃらくせえ!! 兎に角奴等を殺すんだ! いいか、殺せ殺せ!! 裏切る奴等もだ!』
 そんな市民達の煮え切らない動きに痺れを切らしたゴロツキ連中は、市民達をもターゲットにして殺しにかかる。
 しかし、その間にさっと割り込むのは武器商人。
「……狂え」
 短く言葉を発し、恐怖を呼び起こす声を奏でる。
 みるみる内に発狂し、その狂いし手を武器商人に向けて下すゴロツキ共が、新時代英雄隊の前に居る故英雄隊は前に進めない。
 その間にレイリーは市民達へ。
「みんな聞いてー! ライブの前に言ったように、あっちから避難出来るから、焦らず動いて!」
 と、レインの居る方向を指さし、避難指示。
 レインの方向に駆けてくる一般人達。
「ライブは……後でちゃんと必ず見れる様にするから……無事に生き残ろうね。だから、着いてきて……」
 そう人々に言いながら、ラド・バウ大闘技場の方へと避難させていく。
 勿論人数が人数故、掃けるまでは時間が掛かる。
 だが、追い縋ろうとする奴らには、ステージ側からイナリと、観客席側からアーマデルがそれぞれ対峙し。
「今日は標的が人間で良かったわ。化け物だと、急所の位置なんて見た目じゃ分からないからね♪」
「ああ……首元を狙えば、一発で……終わる。死に急ぐ様ならば、止めはしないがな」
『何だぁ、くそがぁああ!!』
『おい、落ち着け! 冷静になれば、確実に倒せる筈だぞ!』
 怒り狂うゴロツキ連中と、指示を与えようとする英雄隊。
 無論ゴロツキ連中の上司が英雄隊な訳ではなく、ゴロツキ共は自分の利を追求する為に、賞金首を狙う為に暴れるがのみ。
 ……ただ、武器商人の呼び声に怒りを孕み、冷静に動く事が出来ずにバラバラに行動する彼等……そこへエッダがステージから飛び込み降りると。
「さぁ、始めよう。精々いい声で鳴いてくれよ?」
 エッダは笑い、敵を串刺しに書し、焔はステージ上から。
「よそ見なんかしちゃダメだよ。ボク達から目を離さないで♪」
 と戯けながら彼等を裁く焔にて包み込でいくと……逃げる事も出来ずに炎に捲かれ、苦しみ倒す。
 そうゴロツキ連中達を仕留める一方で、武器商人、フルール、エッダ、イナリ、アーマデルの五人は一小隊レベルの人数で攻め入る英雄隊を足止め。
「ヴァイス☆ドラッヘ、只今参上! ライブを楽しまない乱入者達、私はここにいるわよ!」
 と注目を集めて逃げないようにしつつ、一人ずつターゲットを定め、確実かつ即座に仕留めて行く。
 目の眩んだ一般人達は、そんなイレギュラーズ達の動きの前では大した成果を上げられる筈もなく……イナリが頚元に軽く手刀を食らい、気絶させる。
「これで……良しと。暫し大人しく寝て居てね」
 イナリはそう裏切った一般人達を案じる言葉を投げかける。
 ともあれ、ゴロツキと英雄隊をそれぞれ各個撃破し……荒れたステージを平定するのであった。

●声高らかに
 ……そして、ゴロツキと英雄隊を一通り倒した後。
「……ふぅ、終わった見たい。みんな、もう大丈夫だよ……」
 戦闘音が消えて、静寂に包まれる場。
 安心させるようレインが声を掛けて、市民達を連れて……ステージの方へ連れて行くと、転がるゴロツキと英雄隊。
「さぁ、皆! まだまだライブは中盤戦だ! こいつらの後片付けは任せて、ライブ再開するぜ!」
「そうだね! 今日の想い出が襲撃されて怖かった、だけで終わっちゃうのは嫌だもんね! ほら、みんな落ちついたら観客席の方にね!」
 エッダと焔がステージ上から声を掛け……倒した者達を排除しつつ、落ちついた所で再び音楽が流れ始める。
 市民の方達を落ちつかせるよう、最初はゆっくり目の曲調から始まり、曲を重ねる事で段々と楽しく、激しいダンスで魅せていく。
 ……そんな三人のパフォーマンスを、今度は後ろからしっかりと観戦するアーマデル。
「ん……どうかしらね、あの踊りで皆元気付けられたかしら?」
 と言うフルールに、アーマデルは。
「そうだな……俺は、音楽と言えば奉納神楽しか知らなかった。召喚されて、習い覚えた音楽は主に錬達のもので……概ね、あいつの影響でな。こういう音楽は聞いた事が無い。だが……何だろうな、心が躍るというか、楽しい気持ちになってくるな」
「ふふ……そうね。三人の表情も、とても楽しそうだし、市民の方達も楽しんで居るみたいだもの。曲だけで無く、彼女達のパフォーマンスも重要な要素だと思うわ」
「そうか……そういう物なのか。歌だけでなく、ダンスも大事、と……」
 影響を受けた相手の事を思い浮かべながら、言葉を紡ぐアーマデル。
 それにくすくすっ、と笑みを浮かべながら、イナリは。
「ほらほら、二人共難しい顔をしてないで、後はゆっくり楽しみましょう!」
 と二人に笑い掛けるのであった。

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

なし

あとがき

ライブ成功、お疲れ様でした!
レイリーさんのパフォーマンスだけだったら、もっと裏切り者は出ていたかもしれませんが、焔さんエッダさんの情熱的なプレイングを見て、これでは裏切る人はそうそう出ないだろうなと思いました。
勿論避難誘導が無ければ別の大惨事を迎えていた可能性もあった訳で、皆様のプレイングが素晴らしかったと思います……!

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