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シナリオ詳細

<最後のプーロ・デセオ>『恐るべき』ディゴン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幸せはここにある
 願いを叶えよう。
 此処では、全てが叶うのだから。
 さあ、お前にも居るだろう。会いたくてたまらない人が。
 もう会えない人、会いたくても今は会えない人。
 此処ならば会える。何処に行ってしまった、どんな人でも。
 死んだ友? ケンカ別れしてしまった恋人?
 それとも顔も知らない誰かに会いたいのだろうか?
 叶えよう、全て叶えよう。
 此処では、それが出来る。此処は、お前の願いが叶う場所なのだから。
 さあ、思う存分語らえばいい。
 さあ、思う存分出来なかったことをすればいい。
 夜通し語ればいい、酒を酌み交わせばいい。
 出来なかったことを、やりたかったことを全てやればいい。
 此処では、それが出来る。望むままに、望むことをすればいい。
 1人でも、2人でもいい。会いたかった人たちに会わせよう。
 誰がそれを責めようか?
 会いたいと望むことの、何が罪だというのだろう?
 もう苦しまなくていい。お前の願いは此処で叶う。
 叶えよう、全て叶えよう。
 此処はお前の願いを叶える場所だ。
 さあ、お前の願いは、望みは、此処で叶うのだ。

●いざ、決戦へ
「と、いうわけで今回の皆さんの割り当てについて説明するです」
 『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)は船上で、そう説明を開始する。
 ダガヌ海域に存在するインス島、その海底に存在する『ダガヌの海底神殿』。
 ダガヌ海底神殿は、海底火山内部に作られたダガヌが封印された聖域と、その一帯になる。
 エリア内は、海底火山のため熱く、またダガヌの神力により時空が歪み、特に『そのものの欲望を喚起させるような幻影』を見せるエリアが多く発生しているという。
 しかし、それらに挑み打ち勝つことで決戦に向かう者たちの支援に繋がるだろう。
「特に、皆さんが向かう領域ですが……どうにもデカいです。恐らく相当強い敵が潜んでると思われるです」
 前回の戦いの幾つかで聞かれた「ディゴン」という単語。
 それが恐らくはタコの化け物のような何かであることは分かっている。
 あるいは、その「ディゴン」が構築する領域であるかもしれない。
 もしそうであれば……かなりの激戦になることは間違いないだろう。
 報告書では、足1本でもかなりのパワーがあったことが報告されている。
 ならば相当なパワーファイターである可能性もあるが……油断はできない。
「幻影の誘いにのってはいけないです。何が現れるのかは分からないですが……誘いに乗れば、廃人になる可能性だってあるです」
 ディゴンの領域に、どんな誘いがあるかは現時点では分からない。
 だがきっと、誘いに乗りたくなるような……そんなものであることは間違いない。
 その誘いに打ち勝ち、領域の主であるディゴンを倒さなければならない。
「とはいえ、皆さんなら出来ると信じてるです」
 ダガヌ海底神殿での決戦……その完全勝利の為にも、ディゴンの誘いに打ち勝ち倒さなければならない……!

GMコメント

皆さんが領域に突入すると「会いたかった誰か」の幻影がそれぞれに接触してきます。
それが誰かは皆さんにしか分かりません(プレイングにてご指定ください)。
しかし、その人は幻影であり決して誘いにのってはいけない相手です。
皆さんに示される幸せは、決して現実ではない破滅への誘いなのですから。
幻影の誘いを跳ねのけディゴンを現出させる為には、何処かに隠された「黒い石」を破壊する必要があります。
黒い石の数は皆さんの数だけあります。皆さんが悩み抜いた果てに「それでも受け入れられない」と決心した時、黒い石はその姿を現すでしょう。破壊すればディゴンとの決戦です!

●『恐るべき』ディゴン
全長30mのタコの化け物のような深怪魔(ディープ・テラーズ)です。
とにかくタフでパワーが強く、その触手で皆さんを打ち据えるでしょう。
また【狂気のオーラ】を自分の周囲の幅広い範囲に放つことがあります。
これにはダメージの他に【狂気】の効果があります。

●特殊ルール『竜宮の波紋・応急』
 この海域ではマール・ディーネーの力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。

  • <最後のプーロ・デセオ>『恐るべき』ディゴン完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年11月02日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
雨紅(p3p008287)
愛星

リプレイ

●とある願いの姿・前
「長い船旅の後、我々は海底火山へたどり着いたのであったーあったーあったー……ぶはは! 暑い…暑くない? しふぉりぃさんは脱いでもいいのよ? さーて、ウチらがなんか石をぶっ壊せばいいんだっけ? ヒューッ! ワイルドだぜえ! これがゼシュテルスタイルってやつ? ん? 違う? ほらほら、地蔵みたいになってないで! 雨紅さんも行くぜ!」
「ディゴンは私も一部目にしました。足だけでも恐ろしさを感じるあれを、放置はできませんね……誘惑にも負けるつもりはありませんが、仮にも神と呼ばれたものの力。油断せずに行きましょう」
 テンションをとことんまで上げた『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)の声が響き、何処か冷静な『刑天(シンティエン)』雨紅(p3p008287)がそれに応える。
 ダガヌ海域に存在するインス島、その海底に存在する『ダガヌの海底神殿』。
 不可思議な霧のような場所こそがディゴンの領域であるはずだが……その姿は、何処にもない。
 ダガヌの神力により時空が歪み、特に『そのものの欲望を喚起させるような幻影』を見せる領域が発生しているというこの場所そのものがディゴンの手の内だとすれば、そこで待ち受けるものは何なのか?
 『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は濃い霧の中を歩きながら、不可思議な不安のような、期待のようなものに包まれていた。
 願いを叶えよう、と。そんな声の響くこの場所で……シフォリィは他の仲間の姿が霧のせいで見えないことを気にしていた。
「……もはや家族との別れも、何もかもが納得している私に何がでてくるのかはわかりませんが……いえ、間隙すらをついて幻を生み出してくるでしょう、心を強く持たなくては……」
 叶えよう、と。そんな声がもう1度聞こえてくる。
 それに耳を貸さないようにシフォリィは歩いて。
「フィナリィ」
 そんな、声を聞いた。
「……勇者様」
 そんな、有り得ない言葉がシフォリィの口から漏れ出た。
 それはシフォリィの家族でも、愛した人でもない……そう、それはシフォリィが夢の中で見た事のある、『私』『私ではなく』『けれど私』の仲間だった『勇者様』。
 幻影と分かっているはず。しかし彼は、勇者王アイオンは……確かにシフォリィに笑いかけた。
「迎えに来た。さあ、こんな所に君を1人にするわけにはいかない……皆も待ってる」
 ああ、なんて甘いと。シフォリィはそんなことを思う。
(そんな、いつでもそばにいてくれる甘い言葉。そうそれは、『私』の秘めたる願い……)
 そう、思いかけて。
「……いいえ、そんな事を、『私』が望むわけがない。これは傍から見てた私(シフォリィ)が、『私』への哀れみから生み出した幻。あの人がもう一度会いたいかどうかなんて私が決めてはいけない。私が勝手にあの人の生きざまを、私が同情心で塗り替えていいはずがない! 私は、こんなものを望まない!」
 その言葉と同時に幻影が消え、黒い結晶のようなものがシフォリィの前に現れて……しかし同時刻、同じように幻影の誘いを仲間たちも受けていたのだ。
「ここがダガヌの神域……『欲望を喚起させるような幻影』とは一体、どのようなモノなのだろうか。最初からそれが幻影だと分かっているなら、対処はできそうなものだが……」
 『海淵の騎士』フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)はしかし、すぐにそうではないのだと気付く。
 分かっていても抗いがたいからこそ、叶うはずのないものがそこにあるからこそ誘惑足り得るのだと。
「なるほど……そういう事か……」
 未だに心のどこかで、"これ"を願っているというのか……と。フェルディンはそうひとりごちる。
「……――困ったな。ボクはもう、27ですよ」
 苦笑うように漏れるのは、そんな言葉だ。
 眼前に立つ一組の夫婦……それは見間違うはずもない、フェルディンの父と母、その人であった。
 これが幻影であるというのだろうか? 何もかもが記憶のまま、違和感などあるはずもない。
 差し出してくるその手は、恐らくは無意識のうちに自分が望んだモノなのだろうと……そうフェルディンは感じていた。
「関係ない。幾つになろうとも、お前は我らの息子だ。きっと貴方達なら、そのように仰って下さる。そして、今すぐ故郷へ帰還せよ――それだけを考えよ、と。勿論、それは我が兄妹の悲願でありました。王族としての責務、必ずや果たさんと願っておりました」
 しかし、それでも。フェルディンはその手を取らない。
「……ですが、その手は取れません。ボクは――レオンハートの嫡男である前に、貴方達からフェルディンという名を授かった一人の男は。この世界で、為すべき事がある。生涯を賭けて、遂げると誓った想いがあるのです!」
 明確な拒絶。そして……フェルディンの前にも、黒い結晶が現れる。
 そして『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)もまた、幻影を前にしていた。
「HA! 貴様――嗚呼、成程、貴様か! 私の事を随分と好いている様子だが、そんなにも発狂したいならば覗き込むと好い。会いたかったぞ貴様、常々、貴様の頭の中を少々、ホイップクリームで飾り付けたかったのだ。貴様を攻撃し、其方側へと往く事こそが……? 貴様の存在を『受け入れてはならない』? 莫迦な――今、私は、第四の壁で在り同一奇譚――。つまり、真っ黒だと? よろしい。ならば破壊せねばならない――忌々しい※※※※※め!!! 碑、石、それを栞と見るならば仕方がない私は――我等『物語』は甘い蜜を拭うのみ」
 その姿は、オラボナにしか理解できない「何か」ではあるのだろう。
 しかしながら、オラボナもまた明確に拒絶し黒い結晶を己の前へと出現させる。
 同様に……『蒼輝聖光』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も、また。
「どんな幻を見せてくるのかはわからないけど誘惑に負ける訳にはいかないよね。まだまだやらないといけないことは沢山あるんだから!」
 そう、分かっている。分かっているのだ。
 しかしながら、母の姿を……エイル・ヴァークライトの姿を目にした時。
 何もかもが記憶そのままの姿で、何処にも幻影だと切り捨てる要素がないその姿は。
 けれど。だからこそ。
「お母様のことは忘れたことはなかった。天義の決戦でお別れをした時から……」
 スティアはその姿を前に、そう呟く。
 その声も、匂いも。何もかもが、望んだままで。
 だからこそ、思うのだ。
「私が出会ったお母様は、魂だけ似せたまがい物だということはわかっている。それでも母親の愛情を感じられずにはいられなかった……例え幻影であってもこうやって姿を見られることは嬉しく思うんだよ。でも私は精一杯生きるってお母様と約束したからこんな所で誘惑に負ける訳にはいかないんだ!」
 叫ぶ。スティアは叫び、否定する。
 それがどんなに好きな人で、いつでも会いたいと願っている人だったとしても……私はこんな誘惑に負ける訳にはいかないのだから、と。そうして、スティアの眼前にも黒い結晶が現れていた。

●とある願いの姿・後
「どういう事だ。俺はディゴンを倒すために海に出たはずだ。何で死んだ筈のお前がいる……フィル」
 『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)は信じられないような表情で、そう呼びかける。
 フィル。ベルナルドがそう呼んだ男こそは、もう会えないはずの……けれど、ベルナルドの知る「フィル」そのものだった。
(同じ師の元で修行していた、芸術家フィル・マクリーン。『太陽の画家』と称される彼の絵はどれも温かみがあり、人々の心に温もりを与えた。彼自身も陽だまりのように穏やかで……死に至る病を患っている事なんて、微塵も俺に悟らせずに)
 語り掛けるベルナルドにフィルは困ったように「ごめん」と返す。
 ああ、フィルならばそう言う。それが分かるからこそ、ベルナルドの中には不可思議な感情がこみあげてくる。
「馬鹿野郎、ごめんじゃねぇ、獄中でお前が亡くなったと聞いた時に、俺がどんな気持ちだったか分かるかよ! 同期で、親友で。大切なお前の死に目に立ち会う事もできず、弔いの絵を描く事もできず……あの時ほど、俺が無力を感じた事はねぇ」
「これからは、出来るよ。幾らでもね。もう、弔いの絵も必要ない」
 この誘いにのれば、あるいはそうした夢を見続けることができるのかもしれない。
 いや、それが現実として認識しているのであれば……けれど、それでも。
「お前の誘いにはのれない。お前が残した遺作。そのタイトルは『生きる』だった。あの絵を見た時に誓ったんだ。フィルの分まで生きなきゃいけねぇってな」
 だから、ベルナルドは拒絶して……その眼前に黒い結晶が現れて。
「もう会えない人だろうと、こりゃ私はしっかりしなきゃ! って思うワケだよ。うん。だからごめんね。やっぱりダメ」
 秋奈もまた、その人物相手に拒絶を突きつける。
「貴方だからじゃなくて、誰だろうと誘いには乗らない。私はさ……もうみんなが好き好き大好きなんだよね。だから私は前に進まなきゃならない」
 秋奈本人が「がんがんいこうぜ!」と言っていた通り。此処で思い出に立ち止まることは秋奈には出来ない。
 だからこそ、その拒絶に黒い結晶が姿を現して。
 『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は……会えるならば会いたいと願っていた人物に出会っていた。
 「アヅチ・バクフ」直属研究所の主任研究者「Z」。
 何も言わない彼相手に、モカは静かに口を開く。
「あの女スパイはあなたに殺された。しかし彼女によく似た女が、この混沌世界で料理店の経営者として成功した」
 やはり、Zは何も言わない。こちらを観察するかのようなその視線は、とても見慣れたものだ。
「あぁそうだ、彼女からあなたに届けてくれと頼まれていたものがあるんだ」
 風景が変わる。レストランのようだ。そしてテーブルと二つの椅子。
 いつものバーテンダースーツを着たモカが、スーツのZに料理を運ぶ。
 そして対面の椅子に座るモカは、黙って料理を口に運ぶZを見ていた。
「……美味い料理だった。君に、この世界はどう見える?」
 ああ、知っている。この男は、どうしようもなく本物に「見え」る。
「あの世界へ帰らないか。向こうでレストランでも開いて、一緒に暮らそ……」
「ではあなたには、この世界はどう見える? この混沌世界は今や、私の故郷だ。こっちでも争いはあるが、あっちよりは快適だ」
 彼の眉間に銃を突きつけ、引き金を引く。
「さよなら、私の制作者(ちちおや)」
 銃声の後、モカは静かにひとりごちる。
「……あの男がこんな戯言を言うはずがない。これは幻影(わるいゆめ)だろう」
 そう、悪い夢。けれど、何処かで願っていたもの。
 拒絶したモカの眼前に現れるのは、黒い結晶。
 そして、雨紅もまた「それ」と相対していた。
「幸せとは何でしょう。今、苦しみながら歩むことは、それではないのかもしれません。だからか、時々昔を、『当時の主』を……貴方を思い出すのです」
 かつて自分を強制停止させた主を……今も記憶に残るその人を前に、雨紅は語り掛ける。
「どうすれば人を笑わせられるか、どうすれば武器を握る必要がなくなるか。どうすれば、指示であれ自身の意志であれ、必要なことであれ……他者を害した罪悪感から逃れられるか。主の指示で動いてる間は、こういう悩みはなかったのです。指示を聞くだけでいるのは、楽なのです」
 けれど、それではダメだと今の雨紅は知っている。
「でも、嫌ですよ。楽しく踊ることも、美味しい食事を知ることも、休日に何をしようかと悩むこともできなくなる。苦しみから逃れられないとしても、それらを手放さないことを、私は選択したい」
 拒絶。
 そして、全員が黒い結晶を叩き割った時……濃霧が晴れ、巨大なタコにも似た何か……ディゴンが、その姿を現した。
「願いを、望みを。自ら手放すか」
『願い事はなんですか』の力を解放し、ベルナルドは叫ぶ。
「俺の願いは、親友の分まで描いて、描いて、生きる。画家としての人生を全うする事だ。ディゴンの支配に溺れて筆を折る訳にはいかねぇ!」
「それが望みなら、それを叶える事も出来たはずだ。友と合作をすることもだ」
「分かんねえだろうな。だから、俺たちはお前を倒すんだ」
「うわー! タコじゃん。マジかよ。こういうの、ベルナルドさんこれ描ける系? いやなんかハラへってきたな。帰りにコンビニ寄ってこー」
「よし秋奈、今俺カッコよくきめたとこだからな?」
「マジで? メンゴ」
 しかし、その秋奈のブレなさは此処こそが現実だという強い楔となる。
「ああいう押し付けは、止めていただきますよ」
 雨紅もそう告げ、舞面『紅鏡』に軽く触れる。
「これがディゴン……なんという巨体だろうか。だが、相手が如何に強大であろうとも、退く理由になりはしない。我が主より賜った宝剣レプンカムイ。そして新たなる技、絶海剣。この力を以って、必ずや――我が誓い、貫き通す!」
「ディゴン ダゴン クトゥルー 貴様の仕業か。壁の中の鼠が騒々しい。夢を見せたな、赦されない。殺せるものならば殺すと好い。倒せるならば斃すと好い。私は『ここ』だ」
 フェルディンが、オラボナが……それぞれの想いを叫ぶ。
 そう、ディゴンは触れてはいけない部分に触れた。
 たとえそれが願いであったとしても、触れられたくないことはある。
 だからこそ、武器を握る手にも自然と力がこもる。
 そうして始まった戦いは、激戦だ。オラボナの名乗り口上を合図に互いに死力をぶつけあう戦いが繰り広げられていく。
 地面を砕くような触手を受け、あるいは避け、シフォリィの桜花破天とフェルディンの絶海剣『怒涛』が放たれる。
 スティアの花天が仲間を癒し、雨紅のデッドリースカイが、そしてベルナルドのフルルーンブラスターがディゴンの巨体を穿つ。
「いくぜモカちゃん!」
「ああ!」
 秋奈の崋山の刀、そしてモカの享楽のボルジアからの雀蜂乱舞脚が連携するように叩き込まれて。
「恐ろしい相手です、ですが、今の私は怒りに震えている! 消えなさい、深海の眷属!」
 幾度かの交差の後にシフォリィの一撃が、ついにディゴンにトドメを刺す。
「私を……倒すか。それもよかろう。それもまた……」
 泡のように消えていくディゴンを見て「何方の終焉か 終幕か エンディングか」とオラボナが呟いて。
「死の離別があっても、お前の魂は心(ここ)にある。そうだろ、フィル」
 ベルナルドが軽く自分の胸を叩き、遠い友へと呼びかける。
 そう、再び会えずとも……あるいは今は会えずとも。
 その想いは、確かに……その身に、刻まれている。

成否

成功

MVP

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女

状態異常

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)[重傷]
同一奇譚
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)[重傷]
音呂木の蛇巫女
雨紅(p3p008287)[重傷]
愛星

あとがき

「恐るべき」ディゴンを撃破しました!

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