シナリオ詳細
<総軍鏖殺>オペレーション・ポッポー<トリグラフ作戦>
オープニング
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オペレーション・ポッポーとはザーバ派による特殊作戦任務である。
元々鉄帝には平時であれば補給を支える要として『鉄道』が走っていた訳だが――政変に伴う混乱により各地の鉄道状況は完全に不明となった。つまりオペレーション・ポッポーとはこの鉄道網の一角を奪還する作戦だポッポー。
ザーバ派から最も近い鉄道施設は『ゲヴィド・ウェスタン』なる地だポー。此処には列車砲もあるとされており、近い内に軍事作戦を決行する予定もあるが……しかしまずはその前段階として攻略ルート上の安全確保や偵察が重要ポッポー。
その任務を総称してオペレーション・ポッポーだポー!!!!!!!
「違う! トリグラフ作戦だろお前ら! オペレーション・ポッポーはボツ案だろ!!」
「何を言う! 汽車だからポッポーだろ! オペレーション・ポッポーだろ!!」
――さて。此処は城塞バーデンドルフ・ライン作戦会議室。
連日連夜、現在の鉄帝の状況にどう動くべきか議論がされている訳だが……しかし疲労なのか酒でも飲んでるのか、なんかすごい作戦名とかいうどうでもいい所で議論が白熱していた。
真面目に解説すると、先述した特殊作戦任務は存在する。
公的な作戦名は『トリグラフ作戦』と名付けられた――訳だが。何故かどういうことか一部に根強く『オペレーション・ポッポー』派が存在しているのだ。『いーじゃんポッポーで!』『何が悪いんだポー!!』とかのたまう連中だ。お前らマジでどうした。
「はぁ、はぁ。とにかくもう覆らんからな……!
何を言おうがトリグラフ作戦だからな……!」
「くそ! 参謀部の横暴に我々は負けないぞー!」
「いいからお前らさっさと路線修理に出向け馬鹿!! 仕事は山ほどあるんだ!!」
壮絶なブーイング。飛ばしているのは南部戦線に所属する工作部隊である。
工作兵とは所謂、陣地の構築や橋や道路などの整備任務などなど……直接戦うというよりも戦闘の為の場を整える様な任務が主体の兵科である。敵前での工作を任務とする戦闘工兵と言った枠組みなどもあるが――まぁ細かい区別はともあれ、とにかく此処にいる工作兵はトリグラフ作戦の為に用意された者達である。
先述した様にゲヴィド・ウェスタン確保の為の一連の任務を総称して『トリグラフ作戦』なのだが。ゲヴィド・ウェスタンからバーデンドルフ・ラインまでの路線が使い物にならない状態では確保しても意味がない。
破損している箇所が発見されれば修理もまた大事な任務である。
その為の連中が此処にいる――のだが。
「くそー……なんでオペレーション・ポッポーは駄目なんだ……!」
「ああ……参謀部のネーミングセンスは狂ってるとしか思えねぇぜ……!」
「まぁ仕方ねぇ……とりあえず現場に行くかぁ……」
なんか作戦名に大層御不満らしい。疲れてるのかな?
……何はともあれ任務は果たそうと向かう先は、バーデンドルフ・ラインより北上した森林地帯スフィスの一角である。此処にも線路が走っていたのだが……魔物の仕業か、破損個所が見られる。
これを修理せねばならない、が。
「周辺では新皇帝派の賊もいるらしいんだ……そいつらが出てきたら頼んだぜ、イレギュラーズ」
「ああ任せてくれ……それはそうと俺達も工作を手伝った方がいいか?」
「ん? 手伝ってくれるのか、オペレーション・ポッポーを!!!!!」
「ポ、ポッポー?」
そう。賊が出る可能性もあるが故に――イレギュラーズに支援を要請したのだ。見た限り結構な範囲まで破損している様であり、修理完了まで時間はかかりそうだ……周辺の警戒を行ったり、或いは修理の手伝いを行ってもいいかもしれない。早く終わればそれだけ任務終了の時間も早まるだろう。工作に長けた技能があればより迅速となりそうか。勿論、先述した様に敵が出てくるので修理にだけ集中……は難しいかもしれないが。
「ああそうさオペレーション・ポッポーこそが真の作戦名さ!
さぁご一緒に――オペレーション・ポッポー!!!!!」
「ポ、ポッポー!!」
……ちなみに貴方はトリグラフ作戦派かな? オペレーション・ポッポー派かな?
工作部隊の無垢な瞳が――貴方を覗き込んでいた気がするポー!
- <総軍鏖殺>オペレーション・ポッポー<トリグラフ作戦>完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月29日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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オペレーション・ポッポー!
……その掛け声と共に工作部隊が修理を行っていく。ポッポーでいいのか君達よ。
「オペレーション・ポッポー……子供達に親しみを持たれやすくていい名前だな。
鉄帝の歴史に残った時も覚えやすいだろうし。
線路を直し終わったらここら一体の線路をポッポー線路と呼ぶのもいいんじゃないか?」
「うんうん。確かに子供達が喜びそうなネーミングだね。
覚えられやすそうだし、良さそうかも。鉄帝の人達ってユーモアに溢れてるのかな?」
「ありがとぽ~! やっぱりオペレーション・ポッポーこそが至高ぽ~!!」
しかし『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)はオペレーション・ポッポーに肯定的であり『蒼輝聖光』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も悪くないのではと思考するものだ。ぽっぽ~!
まぁそうでなくとも、彼らの作業効率とやる気が出るのならポッポーでも良い。とにかく作業しやすいようにウェールは物資を、亜竜の馬車――亜竜車のシュヴァくんで運び込むものである。中の荷物が壊れない様に慎重かつ、迅速に。
同時にスティアは周囲の警戒をしながら近くに精霊がいないか探すもの。
「お邪魔してごめんね? この近くに変な人達とかがいたら――教えてくれないかなぁ」
それは彼らに協力を頼む為、だ。精霊に命を下して、彼らと共に警戒網を構築。
この作戦の名前はともかくとして重要な作戦には違いないのだ。
きっちりとやり遂げる為にも万全を期す。
「でもさーポッポでもトリグラフでもどっちでもいいからさー
早い所修理をお願いね? この作戦で鉄道網を取り戻す第一歩にするんでしょ?
重要作戦だよ? 真面目に頑張っていかないとね!」
「そうね。聞いた時は思わず、鳩か何かなのかと思ったわ……
まぁ気分よくやれる方に合わせてもいいけれど――
せめて語尾にポーはやめなさいな。普段からってわけじゃないんでしょ?」
「うう、そんなぽー……」
だからソレよソレ――と紡ぐのは『瑠璃の刃』ヒィロ=エヒト(p3p002503)に『玻璃の瞳』美咲・マクスウェル(p3p005192)である。ええいトリグラフでもポッポーでも構いやしないが、とにかくやるべきことをやるのだと。作業が疎かにならなければいいが、なんとも気が入らない語尾である。
「まぁ、周辺は私達に任せて。ただし、全力で働いて全力で休む……
弱音は聞かないのでそのつもりで!」
重要なのは線路の修理。近くにどれだけ敵が潜んでいると知れぬのだ。
故に一刻も早く任務を達成する必要がある、と。
「ま、まぁまぁ! トリグラフでもポッポーでもいいじゃないか!
なんならトラグラフでもいいんだよ? どうだいトラグラフ。
ふふん。威厳のありそうな作戦名になりそうだろう!」
「HAHA! ――ん? おっと、なにやら邪な気配が近付いてくるのを感じるぜ……
早速お仕事の時間になりそうだな!」
次いで虎のポーズを取る『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)に『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)が言を紡げ、ば――その時。貴道は感じた。敵意の襲来を、だ。やはり情報通り敵はあちらこちらにいそうである……
故にこそマリアは天に跳躍。飛翔する如き異能をもってして周囲を見渡せば、いた。
賊だ。少数ではあるが、明確な敵意と共にこちらに向かってきている。
こんな、周囲に街もない離れた場所に訪れた者達は格好の得物とでも思っているのだろうか……? ならば、精々思い知って貰おうかとイレギュラーズ達は動き出すものだ。
「ここから時間がかかりそうですしね……張り切っていきますよっ! と!」
「ふふっ。ポッポー作戦開始だね。僕は好きだよ、ぽっぽー」
貴道と同様に、此方に向けてくる敵意を感知する術を『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)は張り巡らせながら、オペレーション・ポッポー派である『あなたの世界』八田 悠(p3p000687)もスティア同様に自然に住まう精霊へと意志を交わせ、警戒を頼むものだ。
これだけの念入りに周囲の警戒を行っていれば敵の接近にも一早く気付けるもの。
では、こちらの邪魔をしてくる愚か者たちを――叩きに行くとしようか!
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「ヒャッハ――! 野郎ども、今日の獲物だ行くぞ……って、ぐぁあ!!?」
「狩りにきたつもりだったか? 残念だが、待ってたのはこっちでな――
逆に狩り尽くさせてもらうぜ? 恨むんなら軽率だったユー自身を恨みなッ!」
木々を抜けて駆け抜けてくるのは、新皇帝の治世を謳歌する賊共だ。
言動からして粗野な連中だ――が。一人一人の戦闘力は大した事はなく。
故にこそ気配を殺し奇襲をかけた貴道の拳を防ぎ切ろう者などいる筈もない。
「悪いな、今日は正面からは戦ってやらない。ユー達が悪いんだぜ?
わざわざ新皇帝側に付いて、こんな所にまで縄張り広げてるんだからな」
直後。横っ面から打ち抜かれた拳の一閃は、先頭を走っていた男を吹き飛ばす勢いである――更には。
「がああ! な、なんだこりゃあ……落とし穴の中に……刃だとぉ……!?」
「あはっ! 引っ掛かったね――そんなのも見破れないなんて、この先に進めるのかな?
力が全てって割には、今のその弱々な姿はミジンコと同じだよねー」
「考えも無しに只管進むなんて、余程無警戒の塊だったのかしら」
突如として賊の一人の足が地に沈んだ。それはヒィロの仕掛けた罠の一つである。
周囲の自然に対する知識を備えたヒィロは、現場に到着してから多くの仕掛けを張り巡らせていたのだ――敵が来るのならば罠を設置して出迎えておけばいいのだ、と。ソレらは殺し切る類のモノではなく傷を負わせる程度のモノである、が。
場合によっては重症になりえるかもしれない仕込みであった。
痛みをすぐさま想起させるような……そう、敵集団の恐怖心を煽らんとする狙いがあったのである。えっ? 賊への慈悲? なにそれ美味しいの? ま、ともあれ――それらの罠をすり抜けてこんとする輩がいれば、傍に在る美咲と共に襲い掛かろうか。
抜群の連鎖力で、これより先には進ませぬと――撃を振るう。
紡がれる斬撃が幾重にも敵に襲い掛かり、更に。
「ふふ! だけどこれだけで終わりじゃないよ。さぁ空からも攻めたら防ぎ切れるかな!」
立て続けで襲来したのがマリアである。地上と上空からイレギュラーズの攻勢があらば敵の注意も散漫となるもの。油断すれば空から雷撃が如き一閃が降り注ぐなど、敵にしてみれば恐ろしい事この上あるまい。
そのままマリアは攻撃の位置を調整し、賊をヒィロらが巡らせた罠へ誘導する様に。
そうしてまた罠に掛かれば――混乱立て直す暇もなく連中は壊滅するものだ。
「よし。賊の数が少ないのもあったけれど……順調だね。
また次にいつ来るともしれないし、今の内態勢を整えておこう――
あっ。そうだ、工作員の皆にも『繋がって』おこうかな」
「あぁ。彼らにもいずれ疲れが溜まるだろうしな。
俺も手伝ってみるか――邪魔な岩も転がってきてるな。退かすとしよう」
然らば次なる敵影が確認されない内に悠は工作員らも含めて、強制なる配役の力を齎そう。認識した状況を物語として定義し、まるで凄腕エンジニアなる役を彼らへと。さすればウェールも工作員らの動きを援護する形で動く。
ショベルやピッケルで邪魔になりそうな土山を撤去し、準備が整えば線路にも手を。
「出来る限りのことを私もしてみようかな。これとか、あっちに運んでも大丈夫?」
「あぁありがとうイレギューズ! そうだな、その木材はまた向こうで使うから先に判子でいてくれると助かる……ぽー!」
「あ、そうだお仕事の間に飲み物で一息ついて下さいね!
無理し過ぎると大変ですから……これどうぞ!」
続け様、スティアも彼らを手伝わんとするものだ。誰でも出来る仕事……例えば今彼女がしている様な資材運びもまた重要である。誰でも出来る事は、されど誰かがやらなければならない事であり、それを自分でやるのが仕事と言うのだ。
工作員達には専門技術を持つ人しか出来ない仕事に専念してほしいから……スティアは彼らの手を煩わせぬ様に動き続ける。雑用とは私達にお任せあれー!
更にアリアは微笑む笑顔と共に暖かな飲み物を工作員達へと差し出すものだ。
冬の気配が少しずつ近付いているのだ。昼と言えど寒い事もあると。
ありがとぽー! どういたしましてぽー!
穏やかな返答が紡がれる――が、無論その間も周囲の警戒を怠ってなどいない。
ウェールは優れた耳で足音が近づいてきていないか警戒し、マリアは再び上空より各所を確認。精霊とも連絡を取り合うスティアや悠らも注意を続けていて……と。
「……反応あり! 方角はあっちです!
迎撃の体勢をすぐに整えて、待ち構えるよ!」
さすればアリアが気付いた――新たな敵意が接近しつつある、と。
声を張り上げ注意喚起。また賊が幾らか近付いてきている様だ……
故にアリアは魔力を収束させる。神秘の泥を放ちて先制すれば、押し流さんとしつつ。
やれやれ後何度打ち倒す必要があるのか――
長丁場になりそうだと、誰かが感じていた。
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「聞け、諸君! 退けば追わんよ? 命あっての物種だと思わないかい?
そもそもだね新皇帝にどれだけの恩義があるんだい? 彼が皇帝になったのは昨日今日の話に過ぎない――もしもこの先彼が皇帝ではなくなった時、君達の立場はどうなるかな? 無法を是とした者が倒れた時だ……よく考えたまえよ」
それから幾度も幾度も賊は襲い掛かって来た――どれだけいるのかと小さな吐息を零したのはマリアである。彼女の身には雷撃の鎧が纏っており、超速を活かして何度となく敵を追い詰めていた。只管に敵を削り取り、注意力を散漫に挿せるヒット&アウェイ。
もののついでに彼らが無為であると説得も行おうか。
こちらとそちらの実力ばかりでなく、そもそも新皇帝に未来もないのだと。
「お疲れ様。負傷した人はいる――? 今の内に治癒しておこうか。
あっ、それから軽食も持ってきてみたよ。
お腹がすいてるなら遠慮せずに食べてね!」
「おぉ、ありがとぽー! うまうまッ……!!」
周辺が落ち着けば、スティアは負傷者に治癒術を行き渡らせるものである。彼女は、賊達の攻撃を受け止め注意を引き付けながら立ち回っていた――魔力を旋律に変えて福音を鳴らし、邪悪を祓う光にて薙ごう。
そして敵の攻勢の波が途絶え、休息の一時が訪れればスティアは持参していた簡単に食べれるサンドイッチやおにぎりなどなどを出すものだ。幸いと言っていいのか一度敵を倒せば十分、ニ十分と時が経っても新たな敵が確認されない事もあり……食事の暇も時にはあった。
「そうね。休める内は休むのも重要だわ……近くに隠れ家があるから、そこで休息も良いわね。限られた人員で腰痛になられても困るもの――その前にゆったりとした所で休んでおきましょ」
更に美咲も休憩場所として自らが所有せし隠れ家を提供せんとすれば、作業を分担・交代し取り組んでいけるものだ。線路修理自体は美咲も、持ち前の科学の知識で助言するものである……まぁ運搬や荷揚げの負荷軽減案が中心であるが。
とは言え彼女らの援護は確実に修理の速度に影響を与えていた。
やはり作業効率をどれだけ維持していけるかというのは重要である……食料にせよ休憩所にせよ、だ。勿論時間がかかるが故にこそスティアや美咲の様な援護があっても、もう少しばかり時は必要そうであるが。
「わぁ、こうやって修理していくんですね……凄いですよね! 私なんかどう頑張っても皆さんのような熟練した動きできる気がしませんもん! どれだけ慣れたらこんな事が出来るんでしょうか……ちょっと近くで見ててもいいですか?」
「て、照れるぽー! でも歓迎だぽー!」
「手もちゃんと動かしてね! そろそろ日が暮れ始めちゃうよ……!」
同時。アリアは荷物を運び、労いのドリンクを振舞って工作員達を励まそうか。
せめて少しだけでも精神的負荷を軽減して行ける様に――と。
ヒィロはポッポーには触れず、黙々と修理を続行。陣地を構築する様に線路を修復するのだ……口より手を動かす事こそ、強者を尊び武を良しとする鉄帝風だと。
それに何より、そろそろ日が沈み始めてきた。
夜になれば視界が悪くもなる。その前に目途を付けておかねばならぬ……! 故に。
「何度掛かってきても無駄だぜ、新皇帝派のクズども」
貴道は往く。再び襲いかかってきた、敵の下へと。
新皇帝ブームに乗っかっただけのミーハーゴミ野郎共。頭の中はお花畑か?
何も出来ずに、何も成さないまま、何者にも成らずに。
自分の短絡に歯噛みしながら……
「血飛沫になりやがれ」
彼は五指を握りしめ――穿つ。
それは虚空を。それは敵の肉を。それは魂の芯を。
浸透する無数の打撃が万象を打ちのめそうか。
続け様にはウェールの一撃も敵へと振るわれる。それは自らに怒りを集中させるかの如く。
「さぁ来い――連中は狙わせないぞ。相手は俺だ」
そうして敵の狙いを逸らすのだ。修理を行っている者達から。
逸らした先から新たな敵など挟み撃ちが無いか、全方位を警戒しつつ……大丈夫そうな領域にまで至れば攻勢に転じようか。実体化した銃の引き金を絞り上げ、敵を片付ける様に――掃射する。
「うーん。僕も手伝えればいいんだけど、僕の手持ちは弾ける火の術だから……
森だと危ないんだよねぇ。彼らを纏めて燃やしちゃってもいいなら楽なんだけどなぁ」
と。悠は戦闘の余波が工作員達に及ばぬ様に位置しながら待機中だ。彼女の行動は常に治癒か支援――と言うよりも撃に転じれば要らぬ被害を齎してしまうかもしれないという懸念があったが故である。その為、一歩引いて万が一の被害が無いように努め続ける。
さすればヒィロや美咲は引き続き訪れる敵共を罠に嵌め、ズタボロにしていくものだ。
連中。やはりそう計画的に行動する輩ではないのか、搦め手の類はなさそうである。
「ざーこ! 地に這いつくばって泥と屈辱でも舐めてなよ!」
「末端の構成員はおろか、ただ調子に乗ってる連中……という感じね。
全く。折角だったら情報も取れれば――とは思ったのだけど、仕方ない」
舌を出し、変わらず挑発を繰り出すヒィロに、吐息を零す美咲。
と、そうしていれば――
「ひぃ~! やっと終わった――!!」
工作員の一人が声を挙げる――作業が完了したのだ、と。
線路がものの見事に元に戻っている。
予定よりも早めに終わったのはイレギュラーズ達の数々の支援があったおかげか。
なんにせよこれでようやくこの場を離れる事が出来そうだ。
「よし、じゃあ後はこの連中をどうするか、ね。折角だし建築の鉄板、人柱にでもする?」
「ひ、ひぃー! お助け――!! もうしませんから!!」
ならばと、言葉を紡ぐのは美咲だ。
彼女が視線を滑らせた先にいるのは――先程まで暴れまくっていた賊達である。何人かは適当に捕まえて転がしていたのだが、報いを受けてもらおうかと……ま、無駄手間なのであくまで脅しだが。
「ねぇねぇ。やっぱりオペレーション名はトラグラフで良いと思うんだけど?
作戦名っていうのは雄大さが必要さ! そうしたらモチベーションも挙がるだろうし!
どうかな? 駄目? 別にいいじゃないか!! けち!!」
「ケチじゃないぽー! ニャングラフなんて認めないぽー!」
「ちがう! トラグラフだって言ってるじゃないかぁ!!」
仲間じゃないか! いいでしょ?
頑なに作戦名変更を訴えるマリア――ダメです。仮にとらぁ君を連れてきても屈しないからね!
「ま、とにかく修理が完了したなら帰還しようか。
帰るまでが遠足っていうし、まだまだ注意はしておかないとね」
「鉄道網ねぇ――ラド・バウにとっても他人事じゃないからな。
……いずれはまた帝都にまで、復旧したりもするのかね」
次いで悠や貴道は帰還の準備を整えつつ……線路の果てを見据えるものだ。
これの先は新皇帝派が占拠する帝都――スチールグラードまで繋がっているのだろう。
イレギュラーズ達が本格的に帝都に介入できるようになるのはいつの事か。さて。
(これが第一歩だからね……!)
分からぬが、アリアは拳を握りしめる様に心の中で呟くものだ。
いずれ来る、鉄帝の未来の為の一歩が紡がれている――さすれば。
「さ、次の作戦に進も! まだやる事は盛り沢山だよ!」
「そうね……冬が来る前に、なんとかこの辺りは安定させておきたい所だし」
ヒィロや美咲もまた同様に想い巡らせようか。
鉄帝の冬は厳しい。極寒なる環境が訪れる前に……と。
そして何より、トリグラフ作戦はまだ――始まったばかりなのだから。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お待たせしました、依頼お疲れさまでしたイレギュラーズ!
鉄道網が回復すれば、補給や進軍……いろいろな事に繋がりそうですね。
ありがとうございました!
GMコメント
オペレーション・ポッポー、よろしくだポー!!
●依頼達成条件
線路修理まで工作部隊を守護する事ポー!
●フィールド
バーデンドルフ・ラインより少し北上した地点に存在する森林地帯スフィスだポー。
時刻は昼。周囲は木々に囲まれていて、一角を線路が走ってるポー。
今の所敵の姿は見られないけれど、賊の類の出現が予測されてるポー。
賊の出現に備えて罠を張り巡らせてもいいし、或いは修理を早く終わらせる為に手伝ってもいいと思うポー。工作部隊だけだと、恐らく夕方~夜までかかるポー!
陣地工作やそのほか似たようなスキル、アイテムがあると有利になるかもしれないポー!
●敵戦力
・新皇帝派の賊×??
周辺には新皇帝派に賛同する賊が沢山いるポー。
連中は散発的に工作部隊やイレギュラーズを標的に襲い掛かってくるポー。
なので総数は不明ですポー。と言っても十人や二十人が一斉に襲い掛かってくる事はないですポー。少数の波が散発的に襲い掛かってくる感じだと思いますポー。
戦闘能力はまちまちですポー! 強い! っていう奴はいないと思いますポー!
●味方戦力
・ザーバ派工作員×5名
ザーバ派に属する工作員ですポー。
今回は線路の補修にやってきましたポー。
軍人なのである程度の自衛能力はありますが、戦闘は本職ではないので護ってほしいポー!
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
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●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もありますポー。
でもオペレーション・ポッポーなのは事実ですポー!!!!!
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