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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>狩ろうぜ、ノーザンブラッドウサギ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●食糧問題
 食糧問題は、どんな派閥にだって平等に訪れる。
 そして食糧事情とは、人の集まる場所では常に起こる問題だ。
 特に鉄帝の今の事情を思うにそうしたことが発生するのは時間の問題だったとすら言えるだろう。
 さて、その上で現状を確認しよう。
 鉄帝は今、様々な無頼の輩が暴れ回っている。
 それを誅するべき警察機構は新皇帝の勅令によりすでに無く、場所によっては物資の流れの寸断が発生している。
 そして農村への襲撃なども加速し、いたちごっこのような様子になっている。
 しかしながら、全ての対象と村に力を割くほど人員に余裕があるわけではない。
 いずれどうにかしなければならない問題であるのは確かだが、出来ることからやっていくしかない。
 ならばどうするか。答えは簡単だ。
 ちょっと減ったところで問題の無さそうな巨大生物などを狩ればいいのである。
 なに、難しい話ではない。
 グダグダ難しいことを言いはしたが「食糧が必要⁉ なら狩りにいこうぜ!」という頭をちょっと鉄帝ナイズするだけでよく理解できる、そういう風な話なのだから。
 ついでに言うと今回に関しては「この土地の特産品になったらいいよね」「そしたら求心力も高まらないかな」みたいな、そういうことも狙っていたりする。
 ええい、食べ物を前にして難しいことを色々考えるんじゃない。まずはお腹いっぱいになってから考えようぜ!

●ノーザンブラッドウサギ
「ノーザンキングス解放戦線において求心力や生産力を高めるにもまずは食べ物。そう、お肉が大事だ。肉さえあればお腹は膨れるし美味しいしみんなハッピーで良い感じに纏まるはず! 卿等もそう思うだろう!?」
 ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)は集まった仲間たちを前に、そう演説した。
 ちなみに背後を通りすがって途中まで聞いていた『餓狼伯』ヴォルフ・アヒム・ローゼンイスタフ(p3n000288)は複雑そうな表情でそっと離れていった。
「まあ、あながち間違っておらんであろうな。食の問題は生の問題。森羅万象、古今東西。この問題を疎かにした者の頭上に星が輝いた事例はないであろうな!」
 咲花・百合子 (p3p001385)が言えばルカ・ガンビーノ (p3p007268)も「ま、そうだろうな」と頷く。
「しかし、具体的に何を狩るのですか? 対象も色々あると思いますが」
「そうだな。確かウサギがいたはずだ」
 リュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)にベルフラウは先日聞いたウサギの話を思い出す。
 ノーザンブラッドウサギ。
 全長3mのデカいウサギであり、非常に暴力的なウサギであることでも知られている。
 自分より弱い者にも強い者にも後先考えずに襲い掛かり、自分か相手を血塗れにするという、そんな真っ赤なウサギだ。
 山間部に住むと呼ばれるそのウサギは生息数も多く、多少狩ったくらいでは個体数はすぐに回復する。
 肉質は鶏肉に似ているというが、つまり結構美味しい……ということだ。
 たくさん狩れば食糧問題に僅かでも貢献できるかもしれない。
 となれば、狩るしかない……!

GMコメント

ヴィーザル地方の山の中でノーザンブラッドウサギを狩りましょう。
一部の部族の間では戦士の儀式として挑むウサギであるらしく、まあ皆さんであれば負けはしないでしょう。
しかし鉄帝では誰も食べたことのないお肉です。料理して味を確かめてみる必要もあるかも……?
(地鶏とかの味をご想像ください)

●ノーザンブラッドウサギ×たくさん
全長3m。素早いステップで突進攻撃、サマーソルトウサギキックを繰り出してきます。
この2つの攻撃は【原始の戦士】と呼ばれる効果を確率で付与してきます。
【原始の戦士】状態になると通常攻撃と敵への移動以外の全ての手段を忘却してしまいます。

好きなだけ狩ったら、調理したり持って帰ったりしましょう。
どの程度で狩りをやめるかは皆様次第。
ファイトです!

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <総軍鏖殺>狩ろうぜ、ノーザンブラッドウサギ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年10月09日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
※参加確定済み※
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
※参加確定済み※
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
※参加確定済み※
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
※参加確定済み※
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
※参加確定済み※
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
※参加確定済み※
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
※参加確定済み※
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
※参加確定済み※
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者
※参加確定済み※
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
※参加確定済み※

リプレイ

●ウサギ狩りだ!
「秋と言えば狩りであるなぁ! 吾の領でも今、狩りして保存食作っておるぞ! 此度のウサちゃんはどんな味がするのであろうか? 楽しみであるな!」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)の声がヴィーザル地方の山間部に響く。
 ウサギ狩り。そう、百合子たちは今ウサギ狩りにきていた。
「大分寒くなってきたわ。こうなると、冬に備えて食料がいくらでも欲しい所」
「確かにヴィーザルは食料問題があるからのう……だからこそ新食材を得る為に動こうかね!」
「だな! たくさん狩って持ち帰らなければ」
「生きていくためには食い物は大事だよな。これから冬になるなら春に向けての蓄えも必要だろう」
 『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)に『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)
、『戦旗の乙女』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)と『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)も頷く。
「自分より弱い者にも強い者にも襲い掛かるウサギですか。中々見境のない生き物のようですね」
「なんか随分物騒なウサギだな。そんだけ凶暴なら肉がしまってて美味かったりするのかね? ま、そこは狩ってからのお楽しみってやつだな。デケェし数もいるし、美味かったら満足いくまでたらふく食わせて貰うぜ」
 『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)に『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)がそう応えるが、そんなウサギの名前はノーザンブラッドウサギ。非常に好戦的で自分より相手が弱かろうと強かろうと構わず襲い掛かるウサギである。
「たしかに、冬の前に獲物を狩るのはありだぁな。一仕事してやるか」
 『探す月影』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)はドレイク・チャリオッツに雪原迷彩用の白幌をかぶせて、後は血抜きや皮剥ぎ用につるす縄なりナイフなりと、同行連中の寒さ除けと迷彩用の白外套を余分に用意してきていた。
 寒さ対策に酒も持ち込んでいて、ハイセンス、聞き耳と飛行・高機動による上空偵察に奇襲技術を交えて気づかれないように獲物を確認できるようにもしている。そう、今回は狩りは他の面々に任せて外回り要員に徹するつもりなのだ。
「自分か相手が血塗れにするって怖すぎない? 兎まで頭鉄帝なの? ま、鉄帝で食べたことがない味に挑むなんてテンション上がるし、未知の食材だって殴って美味しく頂くわよっ!」
「うおー! せーじとかよくわからないけど狩りだー! おにく! けがわ! いっぱい集めるぞー! 血まみれになるのは兎さんの方だ!」
 『パンケーキで許す』秦・鈴花(p3p010358)に『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)も声をあげる。
 そんな2人を見ながら、誠吾も少しばかりセンチな気分になる。
「俺のいた世界というか国では年中食い物に困ることはなかったが、ここいらでは死活問題だろう。沢山狩って……。って、真面目に考えてたのに何だよこの無駄にでかいウサギは! こえーよ! ウサギって本来小さくてすばしっこくて可愛いやつだろうか! ぼやいていても仕方ねー。やってやるぜ!」
「いや待て、目はキラキラしているぞ! それにあのステップ……素早い!」
「デカいのが問題なんだよなあ!」
 ベルフラウにツッコみつつも誠吾はメイドインメイドを発動させる。
 そう、デカい。デカいのだ。ノーザンブラッドウサギの群れは凄まじい速度で走ってくると、まずは百合子に目をつける。
「滅茶苦茶数がおる! とりあえず吾は仲間が引き寄せてくれたウサちゃんを片っ端から星見でぶん殴っていくのが良かろうか。全身をぶん殴りまくっては食べる時に支障があるやもしれぬ。今回は顔面を殴り合ってその他の部位は綺麗に食べられるように……」
 言いかけた百合子を、サマーソルトウサギキックが襲う。
 ズガン、と凄まじい音をたてて百合子の顎が上を向き……そのままグルンと百合子は元に戻る。
「ワ、ウサちゃん、マルカジリ」
 一体今の一瞬で百合子に何が起こったというのか。恐らく【原始の戦士】と呼ばれる効果が付与されたと思われるが……。
 説明しよう! 原初の種族:美少女の狩りとは獲物の喉笛に喰らいつき、顎の力で締め上げて引きずり倒すのだ!
 窒息して動けなくなった獲物を生きながら食らうのが昔ながらの狩のスタイルだ!
 そんな原始越えて原初に戻った百合子に誠吾は気付き「うおっ」と声をあげる。
「……ん? 何だか百合子がバーサーカーみたいになってるような? 原始の戦士? かっこいい言いかたすりゃいいってもんじゃねーだろ? あーでも楽しいかもな」
 リーガルブレイドを放っていた誠吾も、突進攻撃で【原始の戦士】効果にかかってしまう。たぶんフリのせいだ。
「はっはっは! 無益な殺生は好きじゃないが、食料確保のためだ。わりぃな! なるべく痛くないようにするから、大人しく狩られてくれねーか?」
 その近くでは……ルカも目を赤く光らせ、黒犬(偽)を振り回していた。
「オォラアアアアアア!!!」
 元々力任せに暴れまわる戦い方は嫌いじゃねえ、むしろ得意分野だ……とは、この後正気に戻ったルカの言葉だが。
 真正面からノーザンブラッドウサギと組みあうその姿は、本気で野生だったという。
「長身の私でも見上げる程のウサギ。これならお腹一杯になれるわ。しかし……【原始の戦士】状態ってああいうのなの?」
 レイリーの視線の先では、すでにベルフラウも野生に帰っている。その手で翻るブレイバリー・レガトゥスの効果には何の問題もないのは流石だが……ああ、ベルフラウがノーザンブラッドウサギとがっぷり4つに組みあっている。
 次々野生に帰っていく仲間たちを見ながらも、レイリーは自らの役割……「前線で盾になる」を心に刻み声をあげる。
「私の名はレイリーシュタイン! さぁ、いくらでもかかってきなさい!」
(獣の攻撃など、盾や鎧で受け止めて防ぎぎるわ!)
 そんな決意を秘めたレイリーをノーザンブラッドウサギのサマーソルトウサギキックが襲い、見事受け止める。
 受け止めたが……【原始の戦士】効果は、容赦なくレイリーにも襲い掛かる。
「ぎゃおおおおおおおおお!」
 竜のような咆哮を上げ、更に燃える原始の野生に身を任せたレイリーは、そのままズンズンと前進する。
「ココハ、トオサン!」
 通さんのはその通りなのだが、前に進んでいるのでノーザンブラッドウサギを槍で全て打ち払おうとするのが止まらない。
 勿論ノーザンブラッドウサギは売られた喧嘩は全部買うので、レイリーのいる辺りがウサギ団子みたいになっている。
「あれが【原始の戦士】ってわけね……! アタシが原始の力に飲まれたら、たぶん武器なんて投げ捨ててグーよグー」
 なんかもうオラァ!って感じでバベルなにそれわかんない! って感じになるだろうなー、と呟きながら鈴花は黒顎魔王を放つ。
「そしたら、なんんかこう……もう服とか面倒じゃない? って脱ぎ捨て……ないわよ! 流石に助けてよリュティスお願いそこの顔がいい男共(ルカ筆頭)に見られたら里に引き籠るから!」
「ええ、勿論です。鈴花様が乙女としてあるまじき行動及び、言動をしそうになった時は優先して回復しましょう」
 リュティスはそう頷くが……此処に居る面々はあまり気にし無さそうである。ベルフラウもノーザンブラッドウサギ相手に上手投げをキメている。
「むむむ! 鋭い牙じゃ!」
 オウェードは出来るだけ【原始の戦士】を受ける前に追い払おうとはするが、これが中々に難しい。
 肉体言語で【原始の戦士】になった仲間に話しかけてみれば「オレ、タタカウ。ソレガゲンシノサダメ!」と返ってくるのでそっちについてはすでに諦めている。
 今のところリュティスが平気なので、どうこうする気もないが……なんとも凄い光景ではある。ちなみに今はベルフラウがノーザンブラッドウサギと突っ張り合っているのが見える。
「うらららららー!  狩りを続けるのだー!!! 返り血なんて知るかー!」
 一方のユウェルも【原始の戦士】状態のせいか、難しい戦略とかは全部放り出していた。
 とにかく真正面からぶつかっていく。そう、それが原始の掟なのだ。知らんけど。
 かくして、野生に帰った原始の戦士たちは……見事にノーザンブラッドウサギを狩ったのである。

●ノーザンブラッドウサギの調理
「さて、獲物もとれたし……その場で血抜きしちまおうぜ。丁度いい木もあるし、チャリオッツ引いてる亜竜にもつるすか」
 そうしてルナがサクサクと下処理を進めていくことで、全ての肉が良い感じになっていく。
 ちなみに肉だが、モンスター知識で分かる範囲では特に毒や変な効果などもない。
 まあ、一部の部族が戦士の儀式として狩って食べる肉なのだ。そういう意味では実地で安全が確保されているとも言えるな、とルナはひとりごちる。
「お料理はよくわかんないからまずはお肉の処理係! 血抜きをして毛皮を剥いで解体するの。里でもやってるから慣れてるよ!」
 そうしてユウェルが動き出せば、まだ1人野生から帰ってこなかった百合子がハッとした表情になる。
「はっ! うっかり野生の姿を取り戻してしまった予感。とりあえず吾は料理できないので持ち帰りやすいようにウサギの解体したり、皮を剥いだりして仕事しよう」
 うっかりで全部忘却できる感じではなかった気のする百合子だが、美少女なので問題ない。
「このウサギの毛並みはどんなものであろう? ふわふわだとよいコートになりそうであるが……む、ふわふわだな! 赤いが! お肉はみじん切りと挽肉にするのは得意ゆえそこだけは手伝うぞ!」
「私も手伝おう! 人手はあればあるほど良いからな!」
 言いながら百合子とベルフラウはリュティスの元へ走っていくが、そう、今日のメインシェフはリュティスだ。
「……。俺のクールなイメージは何処に行ったんだろうな。まぁいいや。ソフィリアが見てないならセーフだ。あいつ見たらドン引きしそうだしな」
 そう呟く誠吾だが、この依頼の報告書はちゃんとローレットに届くので安心してほしい。
「酒が出るなら少し飲ませて貰いつつ、リュティスが料理を作る手伝いでもしようか……ああいや。女子会めいた雰囲気で料理するなら邪魔はしないほうがいいか? 楽しそうだしな。ここはひとつ、出された料理を感謝しながら頂くとしようか」
 そう言って邪魔しない位置に移動する誠吾だが……自分でも作ってみようとする男子もいる。
「お楽しみの味見だな。つっても俺は料理は大雑把なもんしか作れねえから得意なやつに任せるぜ。メイド……リュティスの料理の腕は確かだからな」
 ルカもそう言いながら、調理器具を取りだしていく。
「ま、折角量もあることだし繊細さにはかけるが簡単な料理は作ってみるか。まずは兎肉を一口大に切り分けてすりおろしたニンニクで揉み込む。その後に薄力粉と強力粉を混ぜたもんに塩コショウを混ぜてそれを兎にまぶす。あとはそいつを揚げるだけだ。味を染み込ませたりしねえから手軽に作れる唐揚げって訳だ。折角酒もあるからな。酒のつまみに適したもんはあれば嬉しいからな」
 そんな中、
戦闘後、ギフト「武装化四肢」で清潔な服に着替えたレイリーも火起こしの準備を始めていた。
「狩りの後にやる事と言ったら宴会よ! 建前はウサギに毒見のための現地試食会だけどね!」
 サバイバル能力を活かせば、火をおこす事などは簡単だ。
「こっちは火の準備は出来たわよー」
 そうして準備が出来ていけば、鈴花とお互いの得意料理を教え合っていたリュティス、そして鈴花が動き出す。
 まずは鈴花がギフト「ビストロ・アイズ」で兎を見つめ、美味しい食べ方を見つけていくが……「何をやっても美味しい」と出るのは何とも凄い。
「里ではラサ伝手の交流くらいしかなかったからスパイスとかラサ風になりがちなのよね。と、いうわけで……解体して骨や内臓を抜いた肉に香草をぎゅっと詰めて、鈴花秘伝(今思いついたけど)レインボースパイスを配合してたっぷり揉みこんだ上で太い串にドーン! レイリーの起こした火に直火でじっくり外パリパリに! ゆえ(ユウェル)にでも手伝わせましょ、串ぐるぐる回してなさい」
「回すよ! お肉ぐるぐる! いい匂いでお腹がすくけど我慢我慢……じゅるり。つまみ食いしたいけどやったらお肉抜きぬなっちゃうかもだから我慢しながらぐーるぐる」
「リュティスと同じように出汁もとっておくけど、アタシはシチューじゃなくからーい麻辣スープに。寒い鉄帝にはスパイスと辛味が最強よ」
 さて、そのリュティスだが……こちらもやはり手際が良い。
「私はウザギのシチューとラビットパイを作ります。パイは普通に作るのも面白くないのでパイ生地をスコーン風にしてみましょう」
 ウサギの解体や血抜きはすでに済んでいるので、野菜の下準備から始まっていく。
「ウザギの骨の多い部位や内臓を鍋に入れ、煮出し汁を作成。次はウサギ肉を炒めて取り出し、玉ねぎを炒めて頃合いを見てにんにくを投入……少し炒めた後、ウサギ肉を満遍なく盛り付け隙間を埋めるようにリンゴを詰めましょう。そこに先程作った煮出し汁、リンゴの発泡酒、調味料を入れ1時間程煮込みます」
 リンゴには様々な効果があるが、すでに素晴らしい香りが漂い始めている。
「その間にパイ生地を作成し、時間が立ったらパイ皿に移してスコーンサイズの生地を敷き詰めます。後はじっくりと焼けば完成ですね。シチューも煮出し汁を使って作成、マッシュルームを入れるのは忘れずに……何故なら私が好きなので」
 そんな少しばかりおちゃめな面も見せつつ、マッシュルームは嫌いな人間はいるはずもない。
「見事なラビットパイじゃな……ではリュティス殿、ワシの身に何か起きたら治療を頼む!」
 安全は確認しているが、念のためというものはある。オウェードが一口食べて……「旨い!」と声をあげる。
 その後少したっても、何の変化もない。どうやら大丈夫そうだ。
「よし、では始めるとしようか!」
 ベルフラウの乾杯の音頭で試食会が始まれば、百合子が嬉しそうな声をあげる。
「わぁい! リュティス殿のラビットパイ楽しみにしてたのである! あ、これは吾のリクエスト! 有難く食べるのである!」
「かんぱーい! お姉様も一杯、どうぞどうぞ」
「お? レイリー殿のお酒は吾の領地で作っておる地酒ではないか! 吾も有難く頂くのである! カンパーイ!」
 美少女すら酔わせる「特別純米大吟醸『美少女殺し』」を持ち込んだレイリーだが、百合子と楽しくコップを交わしていく。
「これは見事な料理じゃ!脂っこくなくて食べやすいワイ! 毒見時でも分かっていたが秦殿の覇竜料理はかなり美味しいッ! バランス良い調理出来た事に素晴らしいッ! またデザートのラビットパイも決めているッ!」
 メロンソーダで乾杯し食事を楽しんでいたオウェードも楽しそうだ。
「オウェードは自分ルールで呑まねぇっつってたからな、酒は無理にゃすすめねぇよ」
「ウム……ルナ殿の配慮に感謝じゃよ……」
 ルナとオウェードがそうして分かり合っていたが、これもまた友情というものだろうか?
 そしてユウェルも……こちらは年齢的な問題でお酒を呑めないが、その分しっかり食べていた。
「お酒は飲めないからその分わたしはお料理を食べる! りんりんのスープもリュティスせんぱいのスープも他の料理もコンプリートを目指すのだ! 狩りの後はやっぱりこれだよねー。勿体ないから骨もぼりぼり」
 言いながら本当に骨をぼりぼりしているが、本人が美味しく食べられているなら問題はない。
「わたしたちが食べた分を抜いても結構な数を狩れたし他のみんなもお肉食べられるはず! 毛皮もあるし暖もとれる! 寒いのとお腹が空いてるのはこれでどうにかできそうかな」
 確かにこれだけ狩れば、結構な量の食糧や暖房器具になるだろう。
 それはきっと、鉄帝にある種の安心や安定を……必ずや、もたらしてくれるだろう。

成否

成功

MVP

リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者

状態異常

なし

あとがき

ノーザンブラッドウサギの肉と毛皮を手に入れました!

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