シナリオ詳細
レイクドレイクを救え
オープニング
●レイクドレイクの危機
覇竜領域デザストル。その中でも水の気質の強いウェスタには、様々なスポットがある。
特に水場に関してはフリアノン、ペイトといった他の大集落ですら及ばないほどに多種多様なものが存在している。
何処かに何かあっても他で補える。そういった余裕が他より大きい分、問題を先延ばしにしがちとも言えるのだが……。
ともかく、そんなウェスタの水場には1か所、特殊な場所があった。
ウェスタ近郊の水場の中でも比較的安全で、しかし肝っ玉の小さい若者は近づかず。
慣れた年配の亜竜種はむしろ好んで近づく、そんな場所だ。
その名前はレイクドレイクの湖。
名前の通り、「レイクドレイク」と呼ばれるドレイク種の亜竜が住んでいる湖だ。
ドレイクといえばイレギュラーズには、かのアースドレイクやファイアードレイク、サンダードレイクといった狂暴にして強大なものたちを想像する者も多いだろう。
しかし通常種のドレイクであれば小さな頃から世話をして亜竜種のパートナー的存在になっていることもある……一説では闇市に流されているらしいが……そのくらいには融通の利く……もっと言えば「話の通じる」亜竜でもある。
つまるところ、レイクドレイクもそういった気性が穏やかで話の通じる亜竜なのだ。
更にはレイクドレイクの能力なのか水も非常に綺麗であり、飲用にこの上なく適した水質に保たれている。
水遊びにも最適であり、溺れかけたらレイクドレイクがそれとなく救ってくれる程度には友好的だ。
産湯に使うならばこの水、とまで言われるほどだが……そんな場所に今、危機が迫っていたのだ。
●レイクドレイクの湖へ
「本当にレイクドレイク、いたんですね……」
「うむ。しかしのう、問題が発生しとるんじゃ」
『諦めない』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)に『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)が頷く。
「まあ、ぶっちゃけて言えばドレイクレイクに別のモンスターがウロついとるんじゃよ」
相賀は集まった者たちに、そう説明する。
レイクドレイクが住んでいるからレイクドレイクの湖。
まあ分かりやすい名称のそんな湖だが、初めて行った者が驚かない為には重要な名づけではあるだろう。
共存できているのだから、変に気取った名前をつけてパニックになられるよりは分かりやすい名前のほうがいいのは間違いない。
さて、そんなレイクドレイクの湖だが……何処からやってきたのか、スライムじみたモンスターがウロついているのだという。
恐らくは縄張り争いに来たのだろう、近づく者に邪魔するなとばかりに強力な水鉄砲のようなものを放ってくるため、危なくて近づけていない。
更には一定時間ごとに分裂しているようであって、レイクドレイクを倒すための戦力を整えているようですらあるという。
スライムが何処から来たかなどの問題は、ひとまずどうでもいい。
一番大きな問題はレイクドレイクが倒され、スライムが水場を占拠してしまうようなことがあれば水質の保証がなくなってしまうということなのだから。
「つまり、わたしたちに頼みたいことっていうのは」
「うむ、レイクドレイクを救ってきてくれんかの?」
- レイクドレイクを救え完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年09月20日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●ドレイクレイクへ
「さて、問題の湖までやってきたわけだが。……仲良くなれそうな竜が竜の姿のままでいるのはいまだに新鮮だな」
「レイクドレイクさん……おとなしいですね」
「だな。おーい」
ドレイクレイク。そこから顔を出しているレイクドレイクに『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)と『愛を知りたい』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)が手を振ると、ドレイクレイクが僅かに揺れる。
「あっ……かわいい! よし、張り切ってスライム……スライムですか。罠の予感しかないですね。実はスライムに絡まれるのが好きらしいイーリンお師匠様のお力を借りましょう。うんうん」
「弟子がこういう仕事を個人的に依頼されるようになるとは、感慨深いわね。といっても一番弟子なんだからある意味当然だけど……で、なんで師匠をこんなスライムを相手にさせようとしてるのかしら?」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が言えばココロは露骨に目を逸らすが、その視線の先にはなんだかウキウキしている『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の姿がある。
「えへへ、ココロさんがお仕事に行くって聞いて付いてきちゃったのだわ。しかも司書さん(イーリンさん)も居て……他の皆も顔見知りが多い、楽しいお仕事になりそうだわね…………と、思って来たのだけれどスライム……スライム……? あれ? もしかして思いの外ヤバいお仕事に来ちゃったのだわ……?」
今のところそのスライムの姿は見えないが……いつ出てきてもおかしくはない。
「しっかり準備運動なのだわよ……! 足をつったりとか怖いからね、いちに……いちに……」
準備体操をする華蓮の姿は、真面目に浮かれている、という言葉がぴったりだが……そんな様子を事前に察知した者もいた。
「スライム退治か……スライムといえば「いやーん」とか「服だけ溶けてくー」みたいな展開が基本よね。というわけで面白そうだからカメラ持って来たわ!」
「そうか」
『狐です』長月・イナリ(p3p008096)に何と言えばいいか分からず、エーレンは適当に頷く。
実際そうなるかはさておき、仕事を楽しみながらやるというスタンス自体には学ぶべきものがある。
「話を聞くにつけいい場所なんだね、このレイクドレイクの湖……ウェスタのためにもレイクドレイクのためにも、スライムをやっつけて平穏を取り戻さないとね。分裂して数を増やしてるなら、速攻で倒さないといけなさそうだし」
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)がそう言っている間にも『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)はレイクドレイクに視線を向けていた。
「レイクドレイク、ちょっと噛みそうな名前ですけど、見た目は可愛らしいですね。大きいですけど、とても温厚そうで、優しい目をしています。亜竜……ワイバーンと一緒に戦う人はいくらか見たことはありますが、野生でここまで温厚な子は初めて見ますね。ふふ、どうか一緒に戦ってくださいましね」
フルールの言葉に僅かにレイクドレイクは目を細めてみせるが……『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)は自分たちの存在に気付いたらしきスライムたちが水の中からボヨンボヨンと姿を現したのに気付き声をあげる。
「なんだかよくわからないっスけど事情はおおむね把握したと思うっス。とりあえず、とっととスライムを片付けて遊びに興じるっスよ!」
そう、現れたスライムたちはすでに戦闘態勢だ。水の詰まった風船のような姿をしているが……アレを倒さねばならないのだ。
「……あのスライムって食べられるんっスかね。いや食べられたとしてもあんまり食べたいとは思わないっスけど。あんまり味もしなさそうな感じがするっス」
『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)が思わずそう呟くが……まさか食べようとしている者がいるのだろうか?
「さて、問題のアクアスライムですか。大きいスライムですね。飛んで跳ねて攻撃してくるようですが、それなりに強い弾力を持っているってことでしょうか? 思いっきり爪を突き刺したら、パァンって破裂しないでしょうか? あとちょっとゼリーみたいで美味しそうよね。ね、アルミラージ?」
どうやらフルールが自分の精霊にそんな話をしていた。まあ、その辺りは趣味の範囲である。
「スライムたちの攻撃方法は分からないのだけど……見た目からして移動に強そう。乱戦の気配がするだわねぇ……」
華蓮のそんな声も響くが……やってみなければ分からない。
ともかく、戦いの始まりだ……!
●ドレイクレイクで遊ぼう
「はーい皆、足首くじいたりしないように準備運動は良い?」
「アキレス腱に注目がいきがちだが、体側もちゃんと伸ばしておくともしもの時に反応が違うぞ。にーに、さんし」
イーリンが戦旗を太ももに挟みながら肩をゴキゴキ鳴らし、エーレンや仲間たちもそれに続く。
アクアスライムたちはその動きを警戒するように見ていたが……そこにイーリンがミニアクアスライムに絶海拳・珊瑚を撃ち込む。
「先ずは敵の数を減らしたいところっすね」
ライオリットの言う通り、それもまた急務だ。
「水鉄砲には気をつけて!」
フルバースト・ヒートニトロを発動させたアクセルも仲間に警戒を促しながらアナイアレイト・アンセムを放つ。
終わらざりし弾幕の進撃、蹂躙の殲滅頌詩。相応の威力で放たれるそれは、アクアスライムたちにかなりのダメージを与えていく。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。悪いがここは清水の領域、粘液の入り込む余地はないぞ」
そう、如何に水鞠のような姿とはいえ、スライムは粘液系のモンスターだ。あまりこの場所にいて欲しい存在ではない。
だからこそ、今日のエーレンは回復役がしっかりいるので甘えさせてもらって存分にスライムと乱戦を繰り広げようと、そう考えていた。
放つのは一閃。そしてアクアスライムの動きにも注視せねばならない。だがこうして戦っている限りでは、アクアスライムは然程の強敵ではない。
「むっ」
エーレンに迫ろうとしていたアクアスライムにココロのダーティピンポイントが炸裂し、そのままココロはグラム・アンティノアを振り回し「これ! これです! 見えますか!」とレイクドレイクにアピールする。
そのアピールに気付いたのだろうか、アクアスライムにレイクドレイクの水弾が炸裂する。
「よしっ、いい感じですね! しかし……くっ、「7号神」があればダイレクトシュートも打ち返せるのにっ!」
何やらバットを振るうような動作を見せるココロだが、今日は打ち返す日ではなくぶった切る日なので仕方ない。
そんな中、乱戦に入っていた華蓮がぽつりと呟く。
「大好きなココロさんと敬愛する司書さんが私を置いて二人で連携しているのだわぁ……妬ましいのだわ……両方が妬ましいのだわぁ……二人とも綺麗だなぁ」
そう、華蓮の視線の先ではココロとイーリンが今まさに回復に関する連携をしていた。
「味方の状況を見て随時回復を集中させて、すぐに戦線復帰を! 自分のHPは3-5割をキープね、これくらいがアツくなってくるから!」
「了解です、お師匠様!」
「……って、何よ、その目は! やましい意味とかないけど!? 月神狩で心太にするわよ。あのスライムみたいに!」
「……こほんこほん、気を取り直して」
華蓮がイーリンに気付かれ「なかったこと」にするが……茨姫の指先を発動させることを忘れはしない。
あと、イナリが狐雨斬・改を発動する傍らカメラで自分たちを撮影してることも知っていたので、あとでダビングして貰おうとも思っていた。さておいて。
「さあ、あと一歩よ! このまま畳みかけましょう!」
そんなイナリの声に応えるように、フルールが蒼星真火を放つ。
「分裂して数を揃えて、人海戦術よろしく多勢に無勢で押すつもりだったのでしょうけど、個体ひとつひとつはそこまで強くはなさそうね。別に服を溶かすとかそんな能力もないようだし。アクアってことはほぼ水でしょうね。真火で蒸発しないかしら?」
イナリが少し残念そうな顔をしたのを見なかったことにしつつ、フルールは自分をカバーするように動くライオリットにバトンタッチする。
そうしてライオリットが放つのはDD……ディメンション・デス。
その一撃がアクアスライムに最後の一撃を加え……アクアスライムたちが見事に全滅する。
「おつかれさま! これで終わりかな?」
「ちょっと待ってくれ。逆波、一緒にもう一仕事だ」
竜宮イルカの逆波にエーレンはそう声をかけ、討ち漏らしのスライムが増殖する可能性を懸念し湖内を見回っていく。
ついでに侵入経路が判れば御の字……といったところだが、湖底に穴があったので、これが原因かもしれない。
どの道、そこから今何かが侵入してくる様子も今はない。
「ひとまずはこのくらいか。さ、お楽しみだ。レイクドレイクはこういうの好きなんだろうか」
エーレンはそう宣言すると、馬車に積んできたBBQセットをくみ上げていく。
「きれいな水ってホント貴重だから……私達が泳いだりして水質汚染とかにはならない? 大丈夫? あ、業務用の食料樽があるから必要な調味料とか持っていっちゃって!」
イーリンも言いながら食糧樽を渡していく。
「司書さんは食糧を用意してくれているみたいだから、私は料理を頑張るのだわ! 【華蓮ちゃんキッチン(時短編)】も用意して来たのだわよ! 皆が遊んでいる間に下ごしらえをしておいて、食べられる様になったら皆を呼びましょう」
「勿論お手伝いしますよ!」
華蓮とイーリンも加われば、まさに完璧といったところだろうか?
「船頭多くしてもなんちゃらっていうっスから料理は出来る人に任せた方が良いっスね。まぁ、火をつけるぐらいならすぐできるっスよ。口からボボって出せばいいっスからね、それ以外は食べることに注力させてもらうっス! 勿論、ついでに肉の焼き加減とかは見るっスよ」
そんなことを言うライオリットに火をつけて貰えば、すぐにエーレンの調理開始である。
持ち込んだ食材をしっかり美味しく焼いて、酒の肴にスパイスを効かせたアヒージョも作る。
試しに湖の端に近寄ってきたレイクドレイクの手前に置いてみれば……器用にペロリと食べてしまう。
「……果たして食えるのか、こいつらは?」
更にはスライムを薄造りにして味見してみるが……口に入れた瞬間、エーレンがガタッと崩れ落ちる。
「ど、毒⁉」
慌てるアクセルに、エーレンは「違う」と答える。そう、毒ではない。強烈な……凄く強烈なハッカ味だったのだ。そうと分かっていなければ結構辛い程に……。
「バところで、レイクドレイクは肉食? 草食? 雑食? 今のが食べられるなら雑食でしょうか? レイクドレイクも一緒に食べましょう。ここに魚がいれば獲ってきたいですけど……どうでしょうね。あとは獣とか……お肉は欲しいし、お野菜の代わりになるもの……あ、さっきのスライム、こちらにも頂けますか? アルミラージがすごく食べたそうにしていますし。蜜はあいますかね?」
「どうだろうな……」
エーレンがフルールに何とも言えない顔をするが、蜜とハッカ味が合うかどうかは……やってみないと分からない。
「おぼれたヒトを助けてくれるなら比較的友好的……だよね?」
そんな中、アクセルはレイクドレイクにお肉をあげてみるが……アクセルの差し出した肉をレイクドレイクはペロリと食べて、1度水の中に潜ると大きな魚を1匹プッとアクセルの手の中に吐き出す。
「うわっ、貰っちゃった! ありがとう! あ、これお願い!」
そのままエーレンの元へアクセルは運んでいくが……なるほど友好的だ。
そうして遊んでいれば、やがて日も暮れてくる。
「……レイクドレイクを見ながら、夕焼けのきれいなことったら」
イーリンも湖のほとりでレイクドレイクと……その頭の上に乗せてもらっているイナリを見ながら、そんなことを呟く。
「あと何回、こうして皆と過ごせるのかしら……」
そんなアンニュイな気分になるのも、此処が素晴らしい場所だからだろうか?
酒も飲んで、ぼうっとしてるところに……皆の喧騒で、ちょっと私もはっちゃけましょうか、などとイーリンはそんな悪戯じみたことも思う。視線の先に居るのは、華蓮とココロだ。
そう、華蓮は少し落ち着いてきた雰囲気の時を狙ってココロの隣にごく自然に座っていた。
(食材の余りでデザートでも用意したし、それを話しかける口実に……)
そうして並んで座って話していれば、ココロを挟んだ反対側にイーリンが座る。
「って、司書さんも反対側に座るのだわ!? むぅー……むぅー! いくら司書さんでもここは譲れないのだわ!」
「――あら、私はこんなところに連れてきてくれたココロにお礼の一つでも言おうとしただけよ?」
「はぁ……しかたのない人たちですね。はい華蓮ちゃん、嫉妬の炎で鬼になってしまっても知りませんよ? はいお師匠様、子供なのは見た目だけでお願いします」
ワチャワチャとやっている3人だが、その姿はとても仲が良い。
「……あはは♪ こういう時間が、ずっと続けば良いだわね……」
「わたしも、皆と一緒が楽しいです。あと何回? ずっとですよ! わたしが皆を生き延びさせてみせます!」
そんなココロの宣言に、イーリンも華蓮も笑う。
「ありがと、とても楽しかった」
イーリンの、そんなどこか無邪気な笑顔が夕日に照らされる。
ココロは楽しい時がずっと続いていく、続けさせると信じている。不安を笑顔で打ち消す。
(博愛? 違う。わたしの命はお二人の為に)
そんな決意を、覇竜の夕日がただ……静かに、見守っていた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
湖に向かい、スライムをぶっ飛ばしてレイクドレイクを救いましょう。
その後は水遊びも出来ます。
レイクドレイクの姿はネッシーとかを想像してください。
全長5mほどの大きさであり、皆さんが戦闘開始すると口から放つ水弾で援護してくれます。
●アクアスライム×1
水に適応したスライム。全長2m。球状のプニプニしたスライムで、跳ね回り相手を押し潰します。
攻撃方法はジャンピングプレス、そして相手に体当たりするダイレクトシュートです。
●ミニアクアスライム×8
アクアスライムの生み出した子分です。全長1m。基本的にはアクアスライムと同等ですが、アクアスライムと比べるとザコです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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