シナリオ詳細
<深海メーディウム>命の欠片、虹の如く
オープニング
●<深海メーディウム>命の欠片、虹の如く
一面に拡がる海がどこまで続くかも解らない広大な国、海洋。
かつては絶望の青と言う、物騒な名に苛まれたこの『静寂の青』の地に浮かぶフェデリア島は、今や『シレンツィオリゾート』と名付けられ、開拓二周年の時を前に様々なイベントが始まっていた。
だが……そんな祝賀ムードな『シレンツィオリゾート』を昨今悩ませているのは、近隣海域である南東海域『ダガヌ海域』。
その周域に現れし深海魔(ディープ・テラーズ)や狂王種と、突如現れた深海の『都』なる場所よりやって来た少女。
少女は深海魔を撃退する為に、都に伝わりし神器『玉匣』を復活させる為に、この周辺海域に散ってしまった『竜宮貨(ドラグチップ)』を集めてきて欲しい、という御願い。
その話を聞いた『シレンツィオリゾート』に集まりし有力者達は、イレギュラーズ達にその貨幣収集の依頼を下す。
……そんな話が取り立たされる中で、更に最近知れ渡るは不思議な幽霊。
今迄に良く聞く様な……不気味で恨みを持ってこちらを傷付ける……というような事はせずに、夜がなダガヌ海域近辺に現れては消えるという……そんな不可思議な行動を取る者達。
ただ一つ分かって居るのは……この幽霊の元となりしは『竜宮幣』であるという事。
竜宮幣を手にする為には、この幽霊と遭遇し、退治する事が一番早い訳で……その退治も、イレギュラーズ達へと下されるのであった
●
「……という訳で、だ。今日も又、皆には竜宮幣の確保に向かって欲しい、という訳だ」
集まった皆に説明するのは、『黒猫の』ショウ(p3n00005)。
この地に散らばる竜宮幣……その場所を感知した竜宮の女王の命の下、彼はイレギュラーズ達にてきぱきとその場所を伝えていく。
だが、今回集まった君達に告げたのは……ただの確保ではない。
「……今回の竜宮幣のありかには、どうも最近幽霊が出るって話なんだわ。どうやら、この幽霊ってのが、竜宮幣に色んな思いが絡みつくように纏わり付き、それが幽霊となって出てきてしまう……ってな類いの様でな」
「恐らく……この海域からすれば、過去の大戦で死んでいった若い海員達の怨嗟が寄り集まって出てきた物だと思われる。この海員達が残した未練を解消させる事で、幽霊となった思念は成仏し、竜宮幣が残る……ってな訳の様だ」
「という訳で、だ……皆にはこの幽霊の未練を解消する為に力を貸して欲しい、ってな訳さ。若い海兵隊達が、楽しい事も果たせず海に沈んでいって閉まったとなれば……奴らに何をしてやればいいか、はおのずと出てくる筈さ。皆が得意な方法で、な?」
ニヒルに笑うショウ……大戦に敗れ海に沈みし彼等の未練こそが、今回の解決の為の鍵。
とは言え疑問符を浮かべる君たちに対し、ショウは、皆の肩をポン、と叩きながら。
「……皆が戦勝した時に、何をするか、って訳さ。ま……食べ物や酒位ならば用意してあるから、宜しく頼むぜ?」
と、囁くのであった。
- <深海メーディウム>命の欠片、虹の如く完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月26日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●命と共には
広大な海が拡がる地、海洋。
かつては絶望の青と呼ばれしここも今では静寂の青に護られるが如く……そして、その地に浮かびしフェデリア島は、今となってはシレンツィオリゾートと言う名と共に開拓二周年を迎えていた。
とは言えそんな祝賀ムードに水を差すのは、ダガヌ海域とその周域に度々発生している深海魔や狂王種の事件。
……そんな事件を解決して欲しい、とショウから依頼を受けたイレギュラーズ達。
「ぶはははッ、そうかそうか! 未練を沢山垂らして死んで行ったって訳か!」
大きく豪快に笑うのは、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)。
ショウの告げた依頼……このダガヌ海域の外際海底に眠る怨念と思しき存在『フリーパレット』を成仏させる事。
ただ、そのフリーパレット自体は純粋に戦う力はほとんど無く、悪霊とは言われて居るものの……決して好戦的ではない過去の大戦の遺恨。
そして……その遺恨を喰らおうとする蛇のような姿形をした虚滅種を合わせて倒してきて欲しい……というのが今回の依頼な訳で。
「竜に似た海蛇、か……いい思い出は無いね……」
顔を曇らす『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)に、『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も。
「そうだな……その名も『闇心喰蛇』、という……十分に貧欲そうな名だ。蛇と竜のあいの子、というがどちらだ……? 海流を操る、ならば竜寄りと言えるのだろうか?」
「ああ、確かにどちらと言うべきなのだろうか。まぁどちらであろうと……自分にとって軽蔑の対象であるのは間違いない」
「そうか……成る程。今回のこの事件、故郷の『屍人』の成り立ちに似ている、気がする。まぁ、屍人は遺体に『死』が凝り、残留した強い未練と捩れて縺れた『運命の糸』が結びついて、起き上がる。そしてヒトの紡ぐ『運命の糸』を求めてヒトを喰らうのだろう……勿論、食われるより食う方がいい筈だがな」
振り返るアーマデル。
霊体であるフリーパレットであるが、その実の所に於いてはまだ人たる部分が強く残っているのも奇妙な話であろう……だが。
「ふむ。フリーパレットは霊の類い、という訳か……」
「そうだな! この世に未練を残した連中、それがフリーパレットってヤツだ。やりたい事もやれずに死ぬのはよくある事だが、その残留思念が渦巻いて残り、実際に具現化するだなんてな」
「そういう事になるわね。まぁ、フリーパレットという名前は言い得て妙な名前よね。様々な残留思念の複合体だなんて、ね……」
アーマデルと『元心霊機械第十三号』岩倉・鈴音(p3p006119)の言葉に、息を吐く『紅蓮の魔女』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)。
そんな仲間達の言葉に、『不屈の障壁』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が。
「うーん……怨念……みたいなものなのでしょうかねぇ? まぁ、海ならそういう事もあるでしょう。いろんな事が起こりますからねぇ」
ふんわりと頷く彼の言葉にゴリョウは。
「そうだな! まぁ、そんな未練はしっかり解消してやんねぇとなぁ! その為にも先ずは戦勝ってやつを、きっちりやっとかねぇと! そしてその戦勝を受けての祝勝会、ってな訳だな、ぶはははっ!!」
手を叩くゴリョウに、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は。
「ああ。奴らもぱーっとしたい事だろう。だからこそ宴会が丁度良いのかもしれないな。とは言え……俺は昔そういうの、すぐに抜け出すか、最初から参加しないのが殆どなんだよな……イレギュラーズになってからは、勝利パーティーとかそれなりに顔を出しているものの、慣れないんだよな。笑顔とか楽しんで居る雰囲気、準備をするのは好きなんだがな……」
「そうかそうか! んじゃぁウェールにもしっかりと手伝って貰うとするか! よろしく頼むぜ、ぶははははっ!」
ポンポンとウェールの肩を叩くゴリョウ。
そしてベークと鈴音、ジュリエットの三人も。
「まぁ、僕に出来ることをやりましょうか。とは言っても、そう多くを出来るわけではありませんけどね」
「そうだな。元いた世界もわたしらに倒されてダンジョンにほったらかしにされたり、灰になったりしたヤツらもいたが、こいつらの未練を断ち、竜宮幣をゲットだぜ!」
「ええ……魂に関する魔術についての研究をしていただけに、竜宮幣と結びついてカタチを成すプロセスが気になるけど……ま、これは個人的趣味に留めておきましょう。今回は仕事は仕事として、ちゃんとやるわね」
そして『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)、セレマも。
「そうだな。竜宮幣に取り憑いているというフリーパレット、と……面倒な敵が現れたものだ。だが、虚滅種を倒して祝勝会をすれば、竜宮幣が手に入るという訳だから、精一杯やらせて貰おう」
「ああ。この辺りの海域は嫌な予感ばかりさせてくれるが、仕事はしよう。完璧な仕事をね」
一人一人の思いは様々。
とは言え竜宮幣を手に入れる為には彼等を成仏させる他に無い。
そして……イレギュラーズ達の乗る船は、ダガヌ海域の際へと辿り着くのであった。
●海底の無念を晴らす為
「……こっちの様だ」
船から飛び込み、海底へと降り行くイレギュラーズ。
アーマデルが霊魂の気配を鋭く感知し、海底深くに眠るフリーパレットの元へと先導。
勿論深夜の刻故、視界は殆ど無い状態……とは言えそんな視界の中においても暗視の力を活用したイレギュラーズ達は、すいすいと海底へと向かっていく。
そして船を降りて約三十分ほど潜水していくと……海底に、仄かに光る影を発見。
「ん……あれかな?」
「その様だ。そして……ああ、あっちの方からかの竜蛇が近づいて来ているようだね。まるで美味しい餌を嗅ぎ付けたが如く、な」
ベークの言葉にセレマが指を差す。
確かに其方の方向からは、波を掻き分けて進み来る何かの影。
「ととと、取りあえずフリーパレットに先手を取らせる訳には行かないな! 急いで向かうぞ!」
そう鈴音が声を掛け、イレギュラーズ達は急ぎ海底へ。
フリーパレットのぼんやりと輝く身を背に護る様にしてイレギュラーズ達が立ち塞がると共に、瞬時にゴリョウが己が身体を発光させる。
『……ウゥゥゥ。眩シイ、眩シイ……!!』
そうフリーパレット達が次々とざわめき声を上げる。
一人の声だけでなく、複数の声が重なる為に、静けさに包まれている筈の海底でも、その音が響きわたり、アーマデルは眉を顰め。
「疎通……するまでもなく自己主張激しいなお前達」
勿論アーマデルの言葉に対し、フリーパレットは自重する事等ない。
……そしてそんな騒ぎに、虚滅種達は身を翻し、イレギュラーズ達を包囲する様に取り囲み臨戦態勢を取る。
更に虚滅種達に向けてセレマが。
「さぁ、サイレンよりも狂わせてあげよう」
彼自身も光を纏い目立つようにし、敵の注目を惹きつける。
『グガァァァ!』
獰猛な牙と共に、長い身を海中に翻して先手の一撃を叩きつける虚滅種……だが、セレマは攻撃を受けつつも、フッ、と笑みを浮かべるがのみ。
左、右、左……と次々と攻撃を嗾けてくるのを、不死の力で立ち回るセレマ。
敵攻撃が一巡した後に、いざ鈴音、ベーク、シューヴェルトが。
「よーし、儚く散った連中を成仏させる儀式、お前達に邪魔はさせないぜ!」
「そうだね。海の底で、また眠って貰いましょう」
「虚ろなる海蛇よ、この貴族騎士が成敗する!」
との三者の戦線布告。
その言葉にフリーパレット達は。
『……ウ、ウゥゥ……』
呻き声を上げながらも、イレギュラーズ達の背中に隠れるような素振りを見せる。
意識的なのかは分からないが……少なくとも敵対者ではない、と認識為てくれたのだろう。
対しての虚滅種達は、美味しそうな存在であるフリーパレットを喰らうのを邪魔するイレギュラーズ達に。
『グゥ……グガァァァ!!』
獰猛なる咆哮と共に、蛇の身を海の中で轟かせる。
……そんな敵の牙、セレマに向けて嗾けられるが、後方から撃ち抜くはシューヴェルト。
「させんぞ……!」
呪いの力を刀に込めて、強い力で撃ち抜く。
その一閃は一番前の敵だけでなく、身を貫きその後方の敵にも次々と斬撃を与えていく。
更にはアーマデルも、英雄の未練が奏でし音色を響かせ、虚滅種達の抵抗力や機動力を減少させて足止め。
そして、ベークとジュリエットの後衛二人も。
「取りあえず、フリーパレットの周りは僕達に任せて貰うとして……近づいて来たのは迎撃していきましょうか」
「そうね。それじゃ私は、纏めて灼き払わせてもらうわね」
不敵な笑みを浮かべるジュリエット。
「うん、それなら僕もサポートさせてもらうね?」
そうベークは頷くと共に、ジュリエットに黙示録を展開。
その強化を受けたジュリエットは、蛇のようにうねり、のたうつ雷撃で敵を纏めて狙い撃つ。
そうベークの強化を受けたシューヴェルト、ジュリエット、アーマデルの中後衛に展開する三人が上手く立ち回る一方で、タンクの立ち回りで敵の攻撃を引き受けるのはセレマとゴリョウ。
「ぶはははッ! ほらほら、お前達の狙いは背後のアイツらだろう? 喰らうなら俺達を喰らってからにするんだなぁ! ま、簡単に行かせねぇけどよッ!!」
と豪快な声を上げながらゴリョウは己へのヘイトを稼ぎ、ターゲットを決して外させないようにしながら、セレマとは逆の側へと立ち塞がる。
そして両側面に展開した所で、それぞれの方向より牙を向きし敵には。
「ふふ、まぁそんなにがっつかれてもねぇ。ま、そう易々と通しなんかさせないんだけど、ね! ゴリョウ、しっかりと回復するから倒れないでね?」
ニコッ、と笑みを浮かべた鈴音は仲間達を中心に回復。
倒れぬように回復をし続け、そしてウェールがその間に己の強化をしつつも、吹雪の如きカードを放ち、敵を一網打尽。
その一閃により、攻撃を躱しきれなかった一匹が霧散するが如く倒れる。
「良し……先ずは一匹、と。結構数は多い様だ、気を抜かずに行くぞ」
と、セレマは仲間達を鼓舞……そして、怒濤の勢いで敵を逃さず、討伐を進めるイレギュラーズ。
海の中故に行動の利は虚滅種の方にある。
だがその性質上……タンク役の二人が発光する事で目立てば、その後ろにあるフリーパレットの光はそれよりも穏やか。
そして怒りを収集する様惹きつけ、そこに攻撃を加えていく。
そんなイレギュラーズ達の陽動作戦が上手く周り、経過する事十数分。
「全く、ローレットの情報屋はホントに優秀だぜ! こうして対処手段を講じていける訳だからよォ!」
「ああ、全くだ。まぁ……確りと仕留めて行く事としよう」
ゴリョウに頷き、ウェールの吹雪が次々と敵を巻き込み討伐。
それに重ねるように、ジュリエットとシューヴェルトの猛攻も重なり、敵の体力を瞬く間に削り行く。
そして……とうとう残るは一匹のみとなり、漂う虚滅種に。
「さぁ、最後ですね。それでは……終わりにしましょうか」
とベークの放つ甘い香り。
その香りは弱りし蛇を内から滅ぼし……海中を左へ右へと漂い崩壊するのであった。
●虚しき海底
そして……虚滅種全てを倒した後。
『……ウ、ウゥ……』
イレギュラーズ達の背後でふわりふわりと漂いながら、呻き声を上げるフリーパレット達。
自分達を襲う敵を倒したことで、信頼をしてくれている様だが……明確な意思を計り知るのは中々難しい。
「やれやれ……これで終わってくれれば簡単な仕事で済んだんだが……この後にももう一仕事しなければならんな」
息を吐くセレマ、そして漂うフリーパレット達に、ゴリョウが。
「さぁ、お前達。無事に虚滅種達も倒したし、一緒に祝勝会でもしようぜ!」
サムズアップするゴリョウに対し、フリーパレット達は。
『……ウゥゥ……?』
その声色に、どこか……嬉しそうな感触を感じ取るゴリョウ。
「ほら、海の中だと寒いし暗いだろ? 俺達に付いて来い! 思いっきり食わせてやるぜ! 俺がいる以上、宴での腹ぺこは許さんぜ!」
くいくいっと手招きをして、海底から昇り始めるゴリョウ、そしてイレギュラーズ。
フリーパレット達はちょっとだけ迷うような仕草をとるものの……その声に従うのを決めたようで、イレギュラーズ達の後について、浮上していく。
……そして、海底を出て再び船の上に戻ると……幽霊体のフリーパレット達も、甲板にふわり、と登場。
「よしよし、来たようだな。それじゃあ宴の用意だ! お前達を満腹にさせる料理も酒も用意してやるからな!」
ニッ、と笑みを浮かべ準備を始める。
ゴリョウだけでなく、ジュリエットや、シューヴェルトらもその料理作りを手伝う。
又、アーマデルも。
「俺は俺で作るとしよう。やらかすと申し訳無いしな……スパイスも種類がある。ならばどれかは口に合う筈。レシピも貰ってきたしな」
と、カレーを準備。
そう、テキパキと準備されていく中、フリーパレット達は、固まってふわりふわりと浮かぶがのみ。
……そんなフリーパレット達に向けてベークが。
「ん……そうですね。君たちは深海でずっと、苦しんでいたんでしょう? その苦しみから開放されて、満足するには休息を取るのが一番です。そう、休息。強いて言うなら美味しいご飯を食べる事ですかね? ゴリョウさんのご飯は本当に美味しいですし。アーマデルさんもご飯を作ってくれるみたいですし、ね」
と説明。
そんなベークの言葉に対し、フリーパレットは。
『……ウゥ……ゥ……?』
頷く仕草に続けて……そっとベークに近づいてくるフリーパレット。
……何だか、ベークの薫りに惹きつけられているような。
「……あ、僕はたい焼きじゃないです。食べられないです」
『……ウゥ』
どこかしょぼんとした感じのフリーパレット。
それに、ウェールも。
「んー……まぁ、確かに香ばしい匂いだもんな。とと、お前達もさ、一緒に料理でも作ってみないか? 働かざるもの食うべからずって慣用句が俺の世界にはあってな? 一緒にタルトでも作ろうぜ?」
と提案し、フリーパレット達に生地を渡す。
……だが。
『……ウゥ』
当然幽霊の存在故に、その生地はすっ、とすり抜けて仕舞う。
「あ、そうか……幽霊だったか。物とか持てるのか……? ポルターガイストとかは」
『ウゥゥ……』
「そ、そうか……ま、まぁ細かい作業が無理でも、材料を持ったり、移動させてくれるだけでパパは助かる、ぞ……ごほん俺は助かるぞ」
頬を掻きながらも、フリーパレットが出来る事で手伝って貰う。
そして……一通りご飯を作り終えた所で、フリーパレットの下に持って居行くのは……メイド服に身を包んだ鈴音。
「ンッフッフ♪ 今宵は皆さんの妹、冥土へ送る装束をして参った。さぁ、手土産と共に思う存分楽しんでくれ」
彼女の給仕に促されるよう、並べられた料理に纏わり付くフリーパレット。
その身が差し掛かった後には、並べられていた料理と酒、どちらも完全に平らげられており……心なしか、フリーパレットの身体の輝きも、少し強くなったような気がする。
「ふむ……どうやら満足してくれている様だな。さぁ、遠慮せずに、満足いくまで沢山食べな」
そうウェールも促し、フリーパレット達はみるみる内に量りっを平らげていく。
そして……出された料理を全て平らげたフリーパレット達は……一人、また一人……とその姿を消失させる。
勿論その消失した後には……煌めく竜宮幣。
「これで良し、っと……うん、竜宮幣も8枚ある様だね」
「ああ。これにはあいつらの意思も込められているであろう……それをしっかりと活かして行くとしよう」
鈴音に頷くシューヴェルト。
そして深夜の闇の中に鈍く輝く竜宮幣を握りしめながら、イレギュラーズ達はダガヌ海域を後にするのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
フリーパレットの成仏に尽力いただき、ありがとうございました!
祝勝会という形で、ある意味彼等も皆様の戦いを見てその気分になった事でしょう。(負けた結果に霊化したので、彼等にとっても受け入れやすかったと思います)
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
今回の依頼は竜宮幣に結びつき、実体化した幽霊の『フリーパレット』を倒す(成仏させる)事になります。
●成功条件
フリーパレットを倒し、竜宮幣を持ち帰る事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
今回の舞台は、ダガヌ海域の端っこの辺りです。
海域的にはそこまで荒れた海ではなく、嵐の前の静けさ、のような雰囲気が漂って居ます。
そんな海域の海底深くにこの『フリーパレット』が具現化しています。
深い海の中故に、空の灯りは殆ど届きません。なので暗闇対策は必要になります。
又、この暗闇の海底の中に、彼等フリーパレットを喰らった……存在かは解りませんが、海蛇の如き敵がこの辺りを根城にしており、それらも襲撃を仕掛けますので、こちらに対する対処も必要です。
尚、戦闘終了後にフリーパレットを満足させる事で、竜宮幣の確保が可能となります。
戦闘が終わった後に、ぱーっとしたいのは何か……皆様も多分する事を、このフリーパレットにしてあげれば、彼等は満足してくれる事でしょう。
●討伐目標
・虚滅種(ホロウクレスト)『闇心喰蛇』達
姿形は蛇と龍のあいのこが巨大化したかのような姿です。
体長は5m程度と、人間に比べれば大きい物の、そこまで大きな体躯ではありません。
勿論彼等は海の中において縦横無尽に動き回れるので、その身のこなしを上手く動かして攻撃を回避しながら、イレギュラーズ達を喰らおうとします。
またその動きでもって海流を作り出し、皆様の動きを海流の流れにて左へ右へと押し流す事で動きを制限する事も可能です。
尚、自分も痺れるものの、超高圧の電流を周囲に放出し、戦場全体に麻痺効果(解除不可)を及ぼす事も可能なので、ご注意下さい。
●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。
●特殊ドロップ『竜宮幣』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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