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シナリオ詳細

<タレイアの心臓>純白の常夜で君の手を取る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●白銀というには騒々しすぎて
「嗚呼、また吹雪だというのですか。茨の呪いは『タレイアの心臓』が解呪してくれているのではないですか!?」
 クロサイト=F=キャラハン(p3p004306)は目の辺りに腕でひさしを作り、眼鏡の奥で目を眇めつつ前進する。大樹ファルカウの解放のため万事を整え(そして敵方の異常な対策を以て)激突のときを迎えたローレットは、『タレイアの心臓』による『咎茨の呪い』の解呪、『大樹レテート』とその巫女、そして聖域『玲瓏郷ルシェ=ルメア』の2つがおりなす奇跡というあまりに大きな助力を得ることに成功した。その状況下にあってしかし、『冠位怠惰』の権能は伊達ではないらしい。現に先ほどから、ファルカウ下部で吹き荒ぶ吹雪も激しさを増している。
「ここまで躍起になって追い返そうというのだ、俺達の存在が余程不都合なのだろう。尤も、手品の種は一度割れてしまえば大して脅威ではない。夢を誘発するならそうすればいいのだ」
「夢に追いやられるのは、何度も体験したいとは思いませんがね。とはいえ……この吹雪は異常です。何か、意図を感じはしませんか」
 マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)と金枝 繁茂(p3p008917)はクロサイトほど悲観的だったり辛そうではない(というか平気そう)ではあるのだが、さりとてこの状況がなにかの布石である可能性を捨てていない。或いは、夢に誘い込むという今までの流れがブラフである可能性すらも――。

 だが、彼等は白銀の世界に慣れすぎた。
 だからこそ、『それ』に気付くことに遅れた。

 ――ここにいてはいけない。ここから出なければならない。そうだろう? 繁茂。
 ――君は賢い。現実に向き合うんだ。
「な」
 繁茂はその声を知っていた。
 その顔を知っていた。
 それは、『今の繁茂』にとってではなく。
 『嘗ての繁茂』にとって必要だった、相手。

●真夜中というには
「あれは鬼人種か? この辺りにいるのは不自然なように見えるが……繁茂殿、知り合いかね?」
「『私』の知り合いではありません。ですが、顔見知りというには知りすぎている相手です」
 マッダラーの問いに応じた繁茂は、煮えきらぬ様子でそう応じた。どうにも歯切れが悪い、思うところを感じる……そう思ったマッダラーであったが、口にするほど野暮ではない。なれば、何か話を聞いておいて悪くはあるまい……そう思って踏み出した足は、しかし己の意思を無視し、恐ろしい速度で相手から遠ざかっている。
 どころか。四方八方から吹き荒ぶ白により、自らの前進も、後退も、細かい移動すらも儘ならぬではないか。
「ああ……ここはもう夢の中だというのですね。これは雪などではない、のかもしれない」
「虫ですか」
 クロサイトの考え込んだ姿に、繁茂はすぐに合点がいった。
 吹雪のなかで進んでいた自分たちは、しかし吹雪と見違うなにかに囲まれるような夢の世界へ拉致されていたということか。

 ――この世界は夢だ。だから俺は此処にいられる。お前の記憶になった、『繁茂』を探しその姿に触れられればと思った。
「新樹、あなたは……あなたには聞きたいことが多すぎる」
 だから前に出なければならない。失われたはずの身で、失った心が待つあそこまで。

GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●成功条件
 樫木・新樹の手を取る

●樫木・新樹(かしぎ・しんじゅ) 
 繁茂さんの関係者で、故人。敵ではありません(超重要)。
 だいぶ前に、夢枕に立って繁茂さんに『深緑の危機』を伝えるかのような素振りを見せていますが、今回の一連の騒動とは別件だったりします。
 それはそれとして、『植物に強い関わりがあり』『繁茂さんの霊魂に対する疎通能力が高く』『夢の世界である』という偶然の積み重ねにより登場しました。
 ざっくりいうと周囲の何者からも影響を受けず、自分が求める相手とのみ触れ合える状態にあります。
 初期位置は機動力を勘案して遠くはないのですが、以下の理由により困難を極めます。

●白妙虫×無数(毎ターン追加、というより多すぎて増減カウントが困難)
 夜にも関わらず空間が真っ白であるのは、全てこれが飛び回っているせいです。
 常にイレギュラーズに向けて四方八方から突っ込んできて、空振ったらUターンして再び襲ってきます。
 1体あたりの攻撃力は劇的に低く、場合によっては【無】扱いになるぐらいには貧弱です(むしろ肉体の重要な部分じゃないとダメージ入らないんじゃないかってぐらい)。
 ただし無数にいるため回避がほぼ通用せず、その攻撃にはそこそこの確率で【飛】が追加されます。
 また、誤差程度に強い個体は【ブレイク】や【無策】やその他BSなどを持っていることもあります。
 体力は非常に低く抵抗も微妙。引き付ける、範囲攻撃などで大きく削れますが、人が邪魔されず前進することは困難です。一丸となって工夫しながらこれらを凌いで前進する必要があるでしょう。
(と、いうのが攻略法の一例です。私の理解の及ばぬ攻略法が確立されたらこの限りではありません)
 余談ですが、これら一群が『常夜の王子』の配下であり、勝利条件の達成により夢から抜け出せれば、本体は滅び、魂はもとの持ち主に戻ることでしょう。

●戦場
 果てのない地平線が続く無の夜の世界。ただし、新樹の周辺だけは植物が茂っている。

●『夢檻』
 当シナリオでは<タレイアの心臓>専用の特殊判定『夢檻』状態に陥る可能性が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

  • <タレイアの心臓>純白の常夜で君の手を取る完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年06月05日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
クロサイト=F=キャラハン(p3p004306)
悲劇愛好家
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸

リプレイ


 天も地も並べて白。空間を覆う虫の群れは絶えず移動し、すれ違いざまにイレギュラーズへとぶつかってこようとする。
 夢の世界への闖入者であるところの一同を容赦なく仕留めにかかるその姿は、世界そのものが各々を拒絶しているようにもとれた。
「また、この空間ですか。いえ、以前とは少し違う……?」
「俺達をただ殺すためじゃない、むしろ、繁茂ひとりを混乱させたいようにすら覚える仕掛けだな。……或いは『君を過去と向き合わせるため』か」
 『抱き止める白』グリーフ・ロス(p3p008615)と『死と泥の果より』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)は、純白の世界そのものに覚えがあった。あったが、嘗て生への執着を感知して奪いにきた状況とはまるで違う。たった一人に近づけさせぬ、そのためだけの仕掛けだ。あまりに醜悪な夢だと感じると同時に、『逆』があるのでは、とも考えられる。
「夢か現か……問いかけるだけならこれほど楽なこともないけれど実行するには難しい、世の中往々にしてこういうものよね」
 『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は視界の隅に見えた新樹を確認し、ついで『特異運命座標』金枝 繁茂(p3p008917)を見た。繁茂に縁深い相手が、死後に形をなして現れる。呪いのようで、救いのような現実。夢現を問うだけでは済まされない状況が、そこにはあった。
「あの人の手を、私が取っていいのか、私の歩みが鈍るのは虫だけが原因ではないのでしょう」
「……え、あの真っ白いの全部虫なの! 飛ばされないように一団にならないと大変だね、なにか縛るもの……」
「どうぞ。あと、皆さんも眼鏡を。目に入っては大変です」
 繁茂の言葉を遅まきながら理解した『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)は、あまりの状況に顎が落ちるほどに驚いた。ついで状況を整理し、全員を結ぼうと懐を探ったが適当な道具がない、と気付くより早く、『悲劇愛好家』クロサイト=F=キャラハン(p3p004306)が自身の腰元を縛ったロープと眼鏡をアリアに手渡し、仲間たちにもギフトで生成した眼鏡を配る。他人の歓心を買うためのギフトがこんなところで役に立つとは、何事もわからぬものである。
「流石に多い……弱いといえこの数は厄介すぎる」
 『航空猟兵』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)もうんざりしたような顔をし、仲間たちを見る。眼鏡、そしてクロサイトと自分のロープでひとまずの対策はできたが、強力な斥力を持つ個体の比率と襲ってくる頻度、角度の傾向がわからないというのは面倒極まる。
「皆さんにはご迷惑ばかりおかけします。ですが、私は」
「詳しい事情とかよくわからないけどさ――あんまり気負うなよ、いざって時は俺たちが付いてる」
 繁茂はこの状況と、一連の事実を口ごもる自分に少々の嫌悪感を覚えつつ頭を下げる。が、アルヴァはそんな彼の肩を掴み押し上げ、視線を合わせた。誰にだって『そういうこと』はある。無理に口にすることばかりがいいことでもないのだ。
「フリック  墓守。死者 安寧 祈ル者。新樹 『嘗ての繁茂』 穏ヤカニ 眠レルヨウ 手伝ウ。……眼鏡 主 老後 カケテタ。主 オ揃イ。嬉シイ」
 『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)は目を点滅させながら繁茂の心に理解を示し、装着した眼鏡(というかバンド式ゴーグルだ)に喜びを隠さない。墓守は死を見送り、魂に祈る者。この状況がなにより適役であることは語るまでもないだろう。クロサイトはそんなフリークライに笑みをむけると、真剣な目で繁茂を見た。
「もう逢える事が無かったかもしれない二人が手を取りあえるのは、とても尊い奇跡だと思うから……私達にできることを全力でやりますとも」
「代わりといってはなんですが、ここから出るには貴方のお力が必要なようですので、宜しくお願いします」
「泥人形に成り果てた俺には分からん話だが、だからこそ尊重するのが筋だろう。仲間なのだからな」
 クロサイトの言葉にグリーフとマッダラーのそれが続くと、他の面々も揃って頷く。もう語ることなどない。今は一刻も早く、新樹の手を取り夢の世界から帰るのだ、と。


(ううん、やっぱり数が多すぎて焼け石に水だなあ……でも、俯瞰すればわかる。この状況は無駄じゃないって)
 アリアは眼前の白妙虫の群れへと魔術を打ち込み、その手応えに顔を顰めた。効いている、というより殲滅できている。が、数が数だけに実感がわかないというのが正直なところ。四方八方から襲い来るそれらは一同から距離を起き、小刻みに襲撃してきている為、全くの無意味とは思わないし、思いたくはないが。
「哀しい。思いの通じる二人の邪魔をする不埒な虫には、惨めな末路しか残っていないでしょうに」
 クロサイトは正面少し先で待ち受ける白妙虫へと呪歌を浴びせ、道を切り開こうとする。ヴァイスも同様に、しかしそれよりも苛烈な一撃で撃ち抜かれた白妙虫の群れは、一瞬ながら直線的な空白を呈した。
 虫がその空白に群がれば元も子もない。一気に前進すると、マッダラーとグリーフは別々の方向を向き、声を上げる。
 グリーフは虫達を引き寄せるための口上。マッダラーは、技の名を高らかに叫び、土壁を生み出した。敵の攻撃に指向性を与えて引き付け、あからさまに後退させるべく向かってくる個体群は土壁で受け止める。役割が違うなりの連携は、十分と言えないまでもランダムに動きを乱される不確定性を幾ばくかは減ずることができた。
「もう、あまりにたくさんで来ても私たちはあんまり相手してあげられないのよ?」
「全員、足を踏ん張ってロープを掴め! 誰かが飛ばされたら引き戻すんだ!」
「フリック 回復 万全。魔法 全力行使 支障ナシ」
 マッダラーが指示を飛ばし、アリアが状況を俯瞰しつつ警戒。ヴァイス、クロサイトらが道を切り開き、グリーフが敵の猛攻を誘導する。じわじわとではあれど、着実に前進できている自覚はある。フリークライの治療や魔力の回復があり、個々人に潤沢な魔力がある。そうそうあっさりと力尽きることはないが、長期戦になれば厳しいか。
「なあ。……あっちに草木が生えてるってことは、もしかして地面は土なのか?」
「その可能性は高そうですね。ですが、それがなにか?」
 アルヴァは白妙虫を排除しつつ、ふと足元に視線をやった。新樹の周囲は草木が生えていた。そして、真っ白な世界とはいえ質感がある。足場もなにか、自然法則に従っていないとおかしいのだ。
 繁茂はその問いかけの意味が少し理解できず、怪訝な顔で問い返す。
「つまり……少しでも、掘れるんじゃないかってことさ!」
 アルヴァは叫ぶと、きもち地面を狙う格好で前方へと魔力を叩きつける。先程はなった攻撃が少し地面を削っていたとすれば、今の一撃は膝程度までは掘り返したか。如何せん四方八方の白妙虫がテクスチャめいて視界を埋めているため判別は難しいが……叩きつけられた白妙虫の群れを受けても、彼は上体を傾ぐのみで後退も吹き飛ばされもしなかった。
「え、ああ、なるほど……! 地面を掘って進むんだね! それが行けるなら、私も試したいことがある!」
 アリアはアルヴァの妙案に目を輝かせ、思わず拍手してしまった。頭を悩ませつつ魔力を練っていた彼女に、薄っすらと降りつつあった天啓。それは地面にめりこんだアルヴァを白妙虫が敬遠したことでより確実に形として脳裏に閃いたのだ。
 手を翳した先も意識を集中させると、そちらにアルヴァの姿が浮き上がる。地面に立っている彼が。
 すると、白妙虫はそちらめがけて群がっていくではないか。四周を覆うだけの数なのだからすべてを引き付けることはできないが、しかし明らかにイレギュラーズを阻む濃度は薄れ、うっすらと進行方向が見えてくる。
「あたり一面真っ白だったから考えもしなかったけど、そうね、地面は白くはないのね……」
「先入観を捨てるというのは、思った以上に簡単ではなかったようですね」
 ヴァイスは地面に暴風を叩きつけ、正面をゴリゴリと削り飛ばしていく。グリーフは妨害しようと迫る白妙虫達を引き付け、神気閃光で次々と行動不能へ追い込み、油断なく周囲を警戒した。土を掘り返し、前進経路をつくるまで20秒から40秒といったところか。一箇所にとどまれるなら、マッダラーの土壁は守りの意味で多いに役に立つだろう。
「足元さえ確保できれば前進あるのみ! 頑張りましょう! 私は地面を掘り返せないぶん、虫を相手取ります!」
「ン。フリック グリーフ クロサイト 治療 全力」
 クロサイトの持つ魔術は、物理的干渉を起こす意味で仲間達には一歩及ばない。されど、虫を払うには十分すぎる攻撃なのだ。フリークライは現状で真っ先に標的になりうる二人を確実に、次いで地面を掘り返す面々を照準するかたちで治療に専念した。前へ、前へ。文字通り土を食んででも突き進もうとする一同は、腰元までうまる程に地面を掘り返すことに成功した。
「あとは真っ直ぐ進むだけだ! アリア、位置の確認頼む!」
「う、うん……! ええとあっち! 密度は低いけど草が生えてるよ!」
 アルヴァの合図に、アリアが応じる。ほぼ何もない地面に現れたわずかな植栽。それは一同がこれまで何より望んだ、新樹への道標だった。


「ありがとう、ここまでで大丈夫です。あの人の手を取るには、私が一歩踏み出さないといけないのだと、誰より私が決心しなければならないのだと思います」
 繁茂は、円陣の中心から最前線へと入れ替わり、掘り進められた土に手をかけた。守られてきた。何もできなかった。これまでは。だが、彼と新樹を軸にした物語は、彼しか幕引きができないのだ。
「行ってください繁茂さん、どうか悔いのないように!」
「行ってらっしゃい! その手を取って、戻るべきところへ戻ろう!」
「さ、いきなさい!」
 クロサイト、アリア、そしてヴァイスが背を押すように励ましの声をかける。マッダラーはあえて多くを語らず、協奏馬達に目配せをした。
「ン。フリック 見守ル。皆 帰ル」
「夢。望む望まないに関わらず見るものですが、醒めるもの。囚われませんように。そして、醒める前に、向き合えますように」
「はい、これまで先延ばしにしていた”俺”の思いをここで果たします」
 フリークライとグリーフの言葉は、おそらくこの面々のなかで殊更に重いものなのかもしれない。秘宝種として記憶する嘗ての恩人のこと。会えぬ相手への思慕。知っている者ゆえの想いがある。
「……じゃあ、行くぞみんな。チャンスは一回、タイミングは一瞬だ」
 アルヴァは自分につながるロープを切り離すと、一同に再度確認する。繁茂は、そして仲間達うなづき、同じ方を見た。
 繁茂と同時に飛び出したアルヴァは、両手を広げ足を踏ん張る。マッダラーの協奏馬がかき鳴らす音楽を背景に、イレギュラーズのあらん限りの魔術が、呪歌が、暴力が進路を開く。
 そして、繁茂の足は制御不能となった速度とともに、新樹へと駆け抜ける。

(今ここであの人に向き合えないのなら、これまでに意味はない)
 ――来てくれたか。
(今ここであの人の手を取れないのなら、これからに意味はない)
 ――思いつめなくてもいい。違うのだろう、君は?
「もう離しません! たとえあなたが夢でも! たとえ”私”が偽物でも! ”あなた達”を二度と離れ離れにはさせません!!」
 悲しそうに笑う新樹を放っておくなどできなかった。
 この世界から出るためではなく、『嘗ての繁茂』と新樹のために。
 “あの日”の絶望を超えるために、彼は運命に祈りを捧げた。……結果から話せば、針を通す可能性は成らなかった。奇跡は起きなかったのだ。
「奇跡 起キルカハ 分カラナイ。デモ PPPダケガ 奇跡 違ウ。繁茂 発動デキナクトモ キット 足 止マラナイ。ナラ 届ク」
 フリークライはその顛末を見ていた。
 手が届き、強く握った繁茂が新樹に何事か叫んだのを見た。声は不思議と、一同には届かなかった。……だが、繁茂と新樹の周囲に伸びた光は、繁茂から何かを引き出した、ように見えた。
「帰りましょう」
「“君の物語”は俺が奏でよう。“彼の物語”は君が語るべきだ、繁茂」
 グリーフとマッダラーの声に振り返った繁茂の表情は、やり遂げたような、寂しさを噛みしめるような、そんな表情を。

成否

成功

MVP

アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮

状態異常

なし

あとがき

 フリークライさんの言葉が真理だと思います。
 MVPは「そういうのを待ってたんだよ!」ってあなたに。

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