シナリオ詳細
どう調理しても美味しいならどう調理するか迷うって話
オープニング
●覇竜の食糧事情とは
覇竜領域デザストル。
モンスターや亜竜が闊歩するこの場所は人が生きるには厳しく、ちょっとしたことで死んでしまう。
ある意味で当然のことで、それを前提に覇竜では様々な文化が築かれていた。
それは建築であったり、生活様式であったり、服飾であったり、酒造であったりした。
一部「外」と取引があると言えど、それも覇竜の全てを満たすものではないし、取引をするにはやはり元手といったものは必要。
そして何より、「外」に頼りきりになるのは不健全ですらある。
だからこそ覇竜では様々な試みがされ続けている。
山菜を育てるのもそうだし、食べられそうなものを狩るのもそうだ。
覇竜では生きる為に様々な試みがされ続けている。
そしてその中には、食用に適したモンスターなどの狩りも含まれている。
勿論、返り討ちにあっては意味がないので、様々な手段を講じる。
それに絶滅させても意味がないので、計画的に狩ってもいる。
まあ、絶滅させられるほど亜竜種は覇竜領域デザストルにおいては強くない……むしろ個の強さとしては最底辺だ。
だが、そうあろうとする心意気は大事だ。
かくして、覇竜の食糧計画は様々な試みがされているのだが……その中には、未だ発展の余地があるものも存在する。
たとえば……そう、料理とかだ。
●ちょっともう1回言ってみて
「ほう、料理技術か」
亜竜集落に料理の技術を伝える仕事などはないでしょうか?
そんな『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)の提案に、『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は面白そうに何度か頷く。
料理。
それは地域ごとの特性が強く出るものだ。
たとえば幻想では見た目の華やかな料理が好まれたり、鉄帝ではとにかく量の多い料理が好まれたりする。
地域によっては魚を生で食べたり、香辛料をこれでもかと使ったりもする。
そして覇竜ではどうか。
一言で言うなら「ファンキーにしてフリーダム」である。
山菜などを除けばいつどんな食材が手に入るかは狩りの成果による。
ワームの干し肉などの保存食も常に存在するが、それはそれ。
常識では測れない食材も多いので、自然とそうなるわけだが……。
「そういうことであれば、外の料理技術でやってほしいものはあるかのう」
「どのようなものでしょう?」
「ブタウシ鳥じゃ」
「豚、牛、鳥……ですか」
「いや、ブタウシ鳥じゃ」
ブタウシ鳥。それは覇竜に存在するモンスターの1種である。
豚のような外観と牛のような模様と頭部、そして鳥のような羽を持つ生き物だ。
その肉は部位によって豚、牛、鳥の特徴をそれぞれ持っており、外でいうそれらの生物が持つ部位を全部持っているという、意味の分からない生き物だ。
しかし、ファンキーにしてフリーダムな覇竜式を代表する食材であるとも言えるだろう。
「正直、どう調理しても旨いもんであまり手を加えないのが普通になってしまってのう。ここらで外の刺激っつーもんも必要じゃろ」
早速狩ってきてくれるかの、と。
相賀はそう笑うのだった。
- どう調理しても美味しいならどう調理するか迷うって話完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年04月21日 21時55分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ブタウシ鳥を狩れ
「ぶはははッ! またトンチキな食材もとい生物だねぇ! だが俺らみたいな料理人から見れば夢のような食材だ」
「ふふ、ゴリョウ君は相変わらずゴリョウ君してるね」
「ブタウシ鳥ですか……一粒で三度おいしそうな名前をしていますね。何とも珍妙な生き物とは思いますが、食材として便利なのは確かです」
笑う『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)に、『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)も頷く。ヤマダが何か言っているが、まあゴリョウはいつでもゴリョウなので安心のゴリョウクオリティであるとも言える。
「色々と作れそうですし、料理のやりがいがあるというもの。今回は御主人様も一緒ですし、満足して頂けるように頑張らなければなりませんね」
「確かにファンキーにしてフリーダムというだけあって、全部盛りの愉快な食材だな。覇竜ならではの食材と言った所か?」
『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も、リュティスに頷きながらブタウシ鳥の説明を思い出す。
豚、牛、鳥……全ての特徴と部位を持つという不可思議な……分類は何だろう。実際に見てみると鳥っぽくはない。
「覇竜の食材というか生態系はトンチキとも言いますが今回は豚とチキンならぬブタウシ鳥とはまた美味しそうなコンボの様相ですね。逆に調理のし甲斐があるとも言えましょうか」
「ブタウシ鳥……? ブタなのかウシなのか鳥なのかどれなんだー!?」
実際に見てみると『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)の通り更に分からなくなるが……『想光を紡ぐ』マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)は逆にやりがいのようなものを感じているようだった。
「まぁどれでも良いか! 肉だしな、とにかく食おう! って言っても、まずは捕まえたり倒したりしないといけないんだよな? よーし、美味い肉を食うためだ。狩り、頑張るぞー! 俺が飼われてるところでも、働かざる者食うべからず、って言われてたしな。ワイバーン、一緒に狩って一緒に食おうな。よしよし、頑張るぞ!」
そんな中、地図を見て自分の郷里の村から、ブタウシ鳥を狩りに来れないか思考していた『竜の祭司』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)が地図を仕舞う。
「よし、それでは狩りましょうか!」
ブタウシ鳥たちは、警戒した様子すらない。今ならばまさに狩り時であると言えるだろう。
「今回面子はアタッカーも多いから、逃げ足を一瞬でも止めさせりゃ大丈夫だろ!」
「手早く済ませようか、リュティス。君の料理も楽しみだ」
アルフィオーネの提案した包囲陣形をとりつつ、ゴリョウたちはブタウシ鳥を囲んで。
「グワー目がー!」
「悪臭程度で私を足止めできると思うなよ、ウシブタ鳥。むしろこの匂いは嫌いじゃないぐらいだがぐあー!」
ゴリョウも『無幻皇帝』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)も、身体のあちこちから入ってくる刺激にのたうち回る。
匂いが好きでも目や鼻のツーンだけはどうしようもない。
それでも、なんとかブタウシ鳥を捕獲すれば……戻って、調理の時間である。
●ブタウシ鳥、実食
「ゴリョウ先生、リュティス先生、今日はよろしくお願いします!」
ユーフォニーはそう頭を下げ、捌き方や部位はわからないので見学しながら勉強するつもりでいた。
「ネズミキノコの時はついドラネコさんたちの可愛さばかり見てしまいましたが、命をいただくという重みが身に染みますね……」
そう呟くユーフォニーであるが、それが分かっていれば料理人としてはもう50点はとれているだろう。
「今回、カレーを作るためにラサ産のスパイスを持ち込んだのには二つ理由がある。一つはこの依頼の目的である食文化の発展。もう一つは覇竜に程近いラサとスパイス交易をすれば外貨の獲得も出来て経済的に成長もできるだろうと思ってのことだ」
ムエンの作るものはカレーだ。事実、外との取引はある程度行われている為、作るメニューとしては考慮されたものと言えるだろう。
「料理という物は往々にして面倒なものだ。だが食材となってくれた生命に礼と愛を注がずにそのまま食べていたらいつか飽きてしまうだろう。自分達が飽きないように、そして自分達の糧になる命に礼儀を忘れないようにするための娯楽であり儀式。それが料理というものだ」
そう語りながらも、ムエンは手慣れた手つきでスパイスを空炒りとタマネギの微塵切りを同時進行で行っている。
動きが身体に染み付いているのだろう。素晴らしいことだ。
「ブタウシ鳥の肉はまず酒に漬け込んで柔らかくしておく。そして刻んだタマネギをフライパンで飴色になるまで炒めれば、擦りおろした生姜とニンニク、リンゴの順番でフライパンに投入。それが馴染んだら火から離して空炒りしておいたスパイスをしっかりと混ぜればカレーの素になる。そして野菜の煮汁に、漬け込んでおいたウシブタ鳥の肉と酒を入れて煮込み、頃合いを見てカレーの素を投入、後は全体を馴染ませたら【覇竜風スパイスカレー】の出来上がりだ。ゴリョウ氏の持ち込んだ白米と共に食べるとしよう……ああ、野菜などの材料はアルフィオーネさんから少し拝借させてもらった……少し、凝りすぎてしまったかな」
他の料理……たとえばシンプルな物は作りやすいだろうし、作りやすさから皆の口に広がっていく物だとムエンは思っている。。酒造文化のあるこの覇竜なら酒に合う料理というのもまたいろんな人の元に広がるだろうと、そう感じていたのだ。
そんな中、熾煇もしっかり下処理したブタウシ鳥の調理にとりかかっていた。
「なんか大きな棒に刺して、くるくる回して焼く! あれだ、なんかどっかで見たことあるんだ。「じょーずに焼けましたー!」ってやつ! 俺もやってみたいんだ!」
何処で見たのかは分からないが、野外料理としては比較的豪快で、しかし意外と繊細な技術の要求される料理ではある。
「良い香りにするには草とかいるんだよな。わかんないから教えて欲しい! ワイバーンにも美味しいのを喰わせてやりたいからな」
だからこそ、分からないところは仲間に教わりながらも熾煇は調理を進めていく。
「おー! じょーずに焼けましたー、だぞ!」
そしてマグタレーナ。こちらは中々に手慣れている。
「揚げ物、すなわちカツなど作ってみましょうか牛カツ、豚カツ、鶏カツとそれぞれの味わいの違いなど感じて頂ければと思います」
そう、折角様々な部位があるのだ。それぞれを楽しめる贅沢なカツセットだって可能なのだ。
目を閉じて調理は大丈夫かと問われれば、むしろ油の「音」で温度や揚げ頃を判断しておりますのよとマグタレーナは答ええうだろう。
「ジュワッと大きな音からチリチリと小さく高い音に。例えばざあざあ振りの雨からしとしと降る雨に例えることなどもありましょうか。それはそれとしてカツですね。牛カツは牛肉、いえこの場合はブタウシ鳥肉ですけれど少し赤みの残るレアな状態でも食べられるのが他の肉との違いですね。断面も鮮やかで見た目にも綺麗かと思います」
そう、牛カツはそうしたレアな状態で提供されることが多い。他の肉と比べると不思議な肉とも言えるだろうか?
「鶏カツは他の肉より揚げてもさっぱりした感じになるでしょうか。豚カツは定番として衣のサクサクした食感と肉のジューシーさを存分に味わって頂ければ」
カツといえば基本は豚だが、鶏カツも根強い人気がある。
「アルフィオーネさんが用意して下さった野菜から茸と大根を分けて頂いて牛カツに茸のデミグラスソースを、鶏カツにはおろしポン酢で。豚カツは塩で味わって下さいませ。此方は覇竜の外、海辺から持ち込みいたしました。お互いの食材を通じて交流するのも一興でしょうか」
そこまで言って、マグタレーナは思い出したように声をあげる。
「コラボと言えば皆様も料理も興味深いものです。カツならば米に乗せて丼にしてもよし、カレーに掛けてカツカレーもよしですので色々な食べ方を試して頂ければ幸いです……せっかく皆様が多種多様の料理を作っておられるのならば今回のレシピを纏めてお渡ししたら今後の覇竜の皆様にもお役に立ちましょうか」
そう、そうやって出来たレシピは更に纏められる。これは覇竜の食を発展させる仕事なのだから。
さて、アルフィオーネはどうか。こちらはポトフを作ろうとしているようだ。
「う〜ん。うちの村から、ブタウシ鳥を狩りに来るのは難しそうねぇ。5、6人死者が出そう」
下拵えをしながら、そんなことをアルフィオーネは考える。
郷里の村はフリアノンに、近い位置にあるが、それでも、幾つかの危険地帯を通らなければならない。
行って帰る程度ならどうとでもなるが、獲物を担いでいくのは、恰好の餌食になってしまうのだ。
だから、まずは村の近くに生息地があるかどうかの確認から……になるだろうか?
さておき、ポトフである。
じゃが芋、大根、人参をざく切りにし、煮崩れないよう角を取る。鍋で沸騰させた水にそれらと塩を入れ煮る。
豚バラ肉は短冊切り、牛ロース肉はサイコロ状、鶏もも肉は角切りにし、それぞれ、焼色がつく程度にバターで炒め、溶け出した脂ごと、鍋に入れる。
茸は縦にスライス、苔はみじん切りにして、鍋に入れる。
生姜は薄くスライスしたあと、線切りにし、油で揚げ、盛り付けの最後に上に添える。
これらの全工程において、火はギフトである覇竜放炎調理法を用いているが……火力調整は完璧だ。
勿論、他のメンバーの調理風景もアルフィオーネはしっかりと見ていた。他のメンバーのレシピや技術の修得を持ち帰ることが出来れば、それは故郷の料理の発展にも繋がるのだから。
さて、そんな中ユーフォニーは「すき焼き」を作り始めていた。
どんなお肉でもこの調理法であれば楽しく調理できるだろう。
「私はすき焼きを作ります。牛肉が主流みたいですが豚も鶏も美味しいそうです! 子どもも大人も食べられますし、お酒にも合うと思います。大人数でも楽しめると思って……!」
レシピの選択の理由も、実に優しいモノだ。確かにすき焼きを嫌いな人間は少ないだろう。
「厳選調味料一式と卵は持ってきました。とりあえず10人分くらいの量で足りるでしょうか? ミーちゃんたちは向こうで遊んでてね。あっ、つまみ食いはだめだよ? ゴリョウ先生のレシピを読みながら調理開始です♪」
割下の調味料を合わせて準備は完了している。
「あ、アルフィオーネさん、お野菜ありがとうございます! いつか村にも行ってみたいです♪ お野菜とお肉も切って……火加減は……これくらい? 美味しくできますように」
他のメンバーへの感謝を忘れないユーフォニーだが、その姿勢は料理人としては大事なものであるのは間違いない。
さて、そのゴリョウであるが……連れて来たヤマダをアシスタントに調理を開始している。
「メインの料理だな、腕が鳴るぜ!」
売り込むつもりの米や豊穣系調味料については自前のものを使うし提供もするが、基本的に食材そのものはブタウシ鳥の肉とアルフィオーネから提供してもらった野菜や茸類、つまり覇竜で手に入る食材をメインに使うつもりだった。
「外でしか手に入れられねぇ食材を使ってちゃあ本末転倒だしな。何なら調味料(醤油や味噌)とかのレシピもヤマダに資料纏めさせとくから、この地でも和食が食えたり発展して新しい調味料が出来る日も来るかもしれねぇな!」
「えー、丸投げかい?」
「美味いメシたっぷり食わせてやるからそんくらいの仕事はしろって!」
まあ、ヤマダはやってくれるのだろうが……そんな会話をしながらゴリョウの調理は進んでいく。
「ともあれ俺が作る料理は肉系の和食だ! しぐれ煮(牛)とか照り焼き(鶏)、生姜焼き(豚)とかだな。肉じゃがや豚汁、鶏皮と野菜の酢の物とかも新しい食味を感じられるかもしれねぇな。また、通常なら食いにくいスジ肉とかも煮込みにしてぇところだ」
その辺りがサラサラ出てくるのは流石にゴリョウと言ったところだろうか。
「調理技術としては筋切り、ブライニング、乾燥茸や苔・魚の干物の削りを使った合わせ出汁……こいつは複数種の旨味を合わせると深みが増すんだが、そういった技術は覇竜でも取り入れやすい筈だ」
そう、レシピを基本に様々な技術を吸収すれば、それは独自の料理に繋がる。そうした相互作用は、料理の発展の歴史の中で何度も行われてきたことだ。
「とくにブライニングとかはレシピ通りやれば比較的簡単だし、パサつきやすい胸肉とかもしっとりジューシーになって不人気な部位肉なんかも美味しくいただけるから覇竜向けなんじゃねぇかな」
言いながら、ゴリョウは思い出したように額をピシャリと叩く。
「おぉっと、しかし米や酒に合うもんばっかだな! 白飯の提供は勿論だが、黒鉄の爺様にはこれらに合う良い酒も紹介してもらわねぇとなぁ!」
これぞゴリョウの作戦通り、だろうか。実際試食の時には美味い酒が提供されることだろう。
そしてベネディクトはシンプルかつ誰もが好きでアレンジも自在な料理に挑戦していた。
「豚肉に包丁を入れて、筋切りに……あとは玉葱の皮をむいて、生姜も一緒にすり下ろす。後は肉を先程すり下ろした玉葱、生姜、それとお酒と蜂蜜を袋に入れてかき混ぜる。本来ならこの中に肉を一日程度漬け込んでも良いんだが、今回は時間が無いので30分ほどで良いだろう。後は肉を取り出して、焼く。火が通ったら豊穣から手に入れた醤油と漬けていたタレも絡めて完成だ」
そう、これは定食としても大人気の逸品。
「という訳で、俺から出すのは生姜焼きだよ」
そうして色々なものが揃う中、リュティスも本腰を入れて調理を開始していた。
まずは加工品のソーセージの作成からだ。冷たい水もしくは氷が近くにある所を教えて貰ってその場で作るのだ。
「豚を挽肉にして、調味料を入れてよく混ぜます。この際、なるべく冷たい状態を保つように注意……種が完成したら腸に詰めて捻ります」
此処で暖かくなってしまうのが「失敗しやすいミス」であるらしいが、リュティスはそんなミスはしない。
「空気が入っていれば抜いて、茹でましょう。待ち時間で粒マスタードも作って、完成です……付け合せにはザワークラフトを用意しましょう」
これだけで美味しそうだが、まだ終わらない。
「後はひと手間加えるだけで美味しいと理解して頂けるような料理にします。まずは下処理で塩を馴染ませ、焼く時に塩胡椒で味を付けた串焼きとステーキ、それにつける色々な種類のソースを用意しましょう。塩や胡椒を使うだけで味は変わってきます。ですので、ひと手間加えるようにしましょう」
そうやりながらも、リュティスはメモ用紙に何かを書きつけていく。
「せっかくなのでベーコンの作り方も書いておきますね。今回は時間が足りなくて下処理しかできませんから。後はただの内蔵もそのままでは美味しくはありませんが、味噌ダレを絡めて焼くとお酒のつまみに変わったりします……ので、牛の腸と思わしき部分を使ってホルモン焼きを作ります。味をつけたタレに漬け込んでから焼くのもオススメですね。タレの作り方もまとめておきますね」
何とも凄まじい勢いだ。まさに本気の料理と言わざるを得ない。
そうして全員の料理が揃う頃……ベネディクトは静李を見つけて連れてきていた。
最近噂のフリアノン3人娘の1人だが、他の2人はどうにも不在であるらしい。
「折角複数人で集まる様だから、それに他所の土地の文化の食事を知りたいだろう?」
そんな興味を引くようなことを言って、連れてきたのだ。
「俺の覇竜での知り合いで静李だ、今日は折角だから呼ばせて貰ったよ」
そう紹介すると、ふと思い出したようにベネディクトは静李に視線を向ける。
「よく一緒にいる様だが、奏音は流石に今日は居ないかな?」
「修行バカだからね。昼寝バカを連れて何処かに行ったみたいだ」
どうやら静李はタイミングが合わなかったようだが……まあ、そういうこともあるだろう。
静李がちょっと不機嫌そうなのはご愛敬……といったところだろうか?
「呼んでみようかな……でもこれを言うのが……助けて係長」
そんなユーフォニーの小声に、万能遠距離攻撃係長『今井さん』がすっと現れる。
彼と契約主の関係は、攻撃だけ後腐れ無いの関係、らしいのだが。
「えっと、今日はごはんパーティーなんです。たくさん作ったので今井さんも良ければと思って……やっぱり攻撃の時以外は呼んだらだめでしたか……?」
「いえ」
短く答える今井さんにユーフォニーはホッとして。
「お料理何から食べますか? 飲み物は何にしますか? 私、取ってきますね」
そんな風に世話を焼き始めて。自然と試食パーティは始まっていく。
「では、恵みに感謝を。いただきます」
どの料理も、とても美味しくて。ベネディクトは思わず感嘆の声をあげていた。
「ふむ……これは、美味いな! 正直、説明を受けた段階では半信半疑だったが実際に食べれば解る! 確かに、1体から間違いなくブタ、ウシ、鳥の特徴を出している……!」
静李も美味しそうに食べているが……リュティスの作ったものは勿論、どれも素晴らしいものばかりだった。
「皆が作った料理も美味しいな。後で良かったらレシピを俺達も貰って帰るか」
「肉以外もある! ってワイバーン、でかいの取るな! それ俺が楽しみにして焼いたやつ! お前のはこっち!!、全部制覇して食べ比べするぞー!」
熾煇も楽しそうに駆け回りムエンも犠牲になってくれた生命に感謝を込めて味を噛みしめる。
「……美味い」
その一言が、今回の成果を何よりも強く証明していたと、そう言えるだろう。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ちなみに天野はスジ肉はしっかり煮込む派です。特に牛スジ。
手に入ると牛スジカレーとかにしちゃうんですが……そういや今度牛スジ煮込み作ろうとか思いながら作ってないな……?
しかし、どうしてMVPは1人にしかあげられないんですかね?
GMコメント
地図に従って「岩山の近くにある草原」に行き、ブタウシ鳥を狩りましょう。
そしたら戻ってお料理です。皆様の作ったお料理は後でレシピを纏めて各御家庭に配られたりします。
覇竜の食事情の進歩は皆様の手にかかっている……!
あ、作ったものは当然食べるのでパーティですね。
●ブタウシ鳥
全長5m。
豚のような外観と牛のような模様と頭部、そして鳥のような羽を持つ生き物。
その肉は部位によって豚、牛、鳥の特徴をそれぞれ持っており、外でいうそれらの生物が持つ部位を全部持っているという、意味の分からない生き物。
全然強くないですが、ワサビのような強烈なツーンとする刺激臭を放つことで外敵から身を護る術をもっています。
基本行動は「匂いを放つ」「逃走」です。
匂いを放つ攻撃は目、鼻、口、皮膚などから入り「ツーン」とした感覚を呼び起こします。結構辛いでしょう。
ただし、全然強くないです。
●お料理、そして試食会
こっちのプレイングを重視した方が良いと思われます。
相賀は今回手出しせず、試食会の時にお酒やジュースを振舞ってくれます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
Tweet