シナリオ詳細
涼を求めて
オープニング
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さわさわと揺れる葉は優しく、吹く風もどことなく涼し気で。
強い陽の光をさえぎってくれる木々は悠々と聳え立ち訪れる人々に木陰を提供してくれる。
ぽつりぽつりと建つのは木造のコテージだ。
素朴な見た目ではあるが、冷房完備で大変過ごしやすい家であることは見て取れた。
広々としたコテージにはキッチンとリビングのスペースが設けられ、リビングに繋がる扉を開けた先にはロフトが見受けられた。
ロフトのあるスペースはどうやら寝室のようで、ひとつのコテージに6人程度泊まれるようになっている。
数人で入っても悠々と過ごせる風呂場つき。ロフトの先にあるこぢんまりとした扉を潜れば秘密基地のようなベランダに出られる。
夏場は大人気のスポットとなっており、近々開放されるとのことで予約も詰まっている。
――が、山の中という事でちょっとした問題も抱えていた。
●
「あっついよね」
開幕、『勿忘草』雨(p3n000030)はひどく憔悴した様子でそう零した。
どうにも連日の暑さに参っているようで、これから夏も盛りだというのに耐えきれないようだ。黒を好んで着ているようだが、今日はそれも涼し気な色に変わっている。
「というわけで、ちょっと付き合って欲しいんだけど」
これ、と取り出したのは一枚のチラシ。
緑豊かな森に囲まれたコテージの写真がででーんと一面に推しだされている。
どうやら複数人で泊まれるコテージ群があるようだ。森の中に建てられており、街にいるよりも涼しいのは見て推測に易い。
チラシの下の方には団体割引として、人数が多ければ多いほど割引されるといった文言が書かれている。付き合ってほしい、と言ったのはこの割引目当ての事だろう。
と、思いきや。
「ここの経営主さんが、宿泊開放の前に辺りの整備をしてほしいらしくて」
どうやら依頼のようらしい。
「報酬は開放に先行して一泊二日の無料お泊り。どう?」
泊まれる人数はコテージの数で限りがあり、30名程度と制限がある。多少の増減はあれど、ひとつのコテージを一人で貸し切りとはいかないようだ。
それでも良ければと雨はお誘いもとい依頼を残し、水を求めて手を振った。
- 涼を求めて完了
- GM名祈雨
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年08月10日 21時30分
- 参加人数30/30人
- 相談5日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
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冷涼とした森の一角、コテージが立ち並ぶ中へイレギュラーズは足を踏み込む。
どんな時間が待っているのだろうか。どんな時間を過ごすのだろうか。
ロクは真っ先にベランダへ向かうと、扉を開けて勢いよく寝転がった。
「もうわたしは寝るよ! 寝る! お昼寝する!」
暑さにぐったりしがちな今日この頃、外でお昼寝出来る絶好のチャンスを見逃さないはずもなかった。
そよぐ風は涼しく、街中と違って優しく毛並みを撫でる。
ごろんと無防備を晒して眠っていれば、ちょんと鼻先に違和感が。
「ぐー……すぴ……んむっ!?」
ちくりと針が刺さったような痛みで飛び起きると、カブト虫とご対面。
ぱあとロクの瞳が輝くのもアッという間、すぐにまた睡魔が押し寄せすやすやり。
あっという間に整備が終わり、自由時間となった。
アニーヤはベランダの椅子に腰かけてぼうっと空を眺める。随分と早く暇になってしまったものだ。
さて何をしようか。流れる雲を眺め、そうだと椅子から跳ね退いて。
月が高く登るまで、筋力トレーニングで有意義な時間を。こんな涼しいところなら、汗もすぐに引いてくれる。
終われば夜にはお楽しみが待っている。夜風に当たり、ウォッカで喉を焼くのだ。
実に有意義で、実に幸福な時間。
じわじわと肌を焼く暑さはどうにも慣れ難い。
ノエルは蛇口から落ちる水を掬って、その冷たさに息を吐く。
下にはもうすっかり冷たくなった西瓜やトマトなど色々な食べ物があった。
桶から西瓜を持ち出せば、包丁を入れて等分に。
「皆さんも良ければどうぞ」
コテージを同じくする二人組へ声をかければ、夕食の材料にと野菜も手渡して。
準備の片手間、美咲に塩を勧められればほんの少し振りかけて一口ぱくり。
「……!」
甘さ引き立つ味わいは、またひとしおである。
仕事終わりの夏涼み。
聞こえる談笑の声に耳を傾けながら、美咲とリアムは夕食作りに励んでいた。
「ふむ……」
今ある食材を眺めながらメニューを決めて、てきぱきと作業を進めていく美咲の横、リアムは美咲の動きを見てフォローに入る。
息の合った二人だ、お互いに邪魔になるような行動にはならない。
「よし、あとちょっと。味見してくれる? はい、あーん」
「ん?」
一匙差し出された料理をリアムが口にすれば、美咲はもう味の調整に入っている。
感想は必要なかったようだ。表情が物語るもので察しがついた。
「流石美咲だ、今日のもとても美味しいよ」
もう一口飲みこめば、ふうわり笑顔でリアムは応える。
夕食の準備もこれで万全だろう。
「お似合いだね」
ひょこりと匂いにつられ顔を覗かせた雨に、ふたりは顔を見合わせ首を傾げた。
「特別な関係って程じゃないかなー」
「うむ。色々思われるだろうがな」
そうは言うものの、感じる雰囲気は独特のもの。にんまり笑顔の雨はなるほどねと一人得心したように頷いた。
コテージの入り口には『メシのリクエスト伺うぜ』と書かれた木札が置かれていた。
扉を潜れば鼻歌まじりに料理をしているオークが一体。ゴリョウだ。
「おぅ、オークの手料理でよけりゃ食ってくか?」
パジャマパーティが始まるまで、小腹が空いてくる者も多い。代わる代わる木札を見かけて入ってきた人達へと料理を振る舞えば、皆の腹も満たされて。
賑やかな時間が始まれば来訪も減ってくる。
そこへひょこりと顔を覗かせた狼を見れば、ゴリョウは酒と共に肉料理をふるった。
「おいしい」
「ぶははっ、中々イイもんだろ?」
盃を片手にのんびりタイム。
訪れた雨は時折リクエストをしてみて、満足そうにゴリョウの料理にありついた。
●
アマリリスに誘われ、コテージへと訪れたシュバルツはふうんと辺りを見渡した。
中々に過ごしやすい所だ。息抜きには丁度良い。
見上げた星空はいつもより綺麗で、二度目の天体観測にふたりほうと息を吐く。
星を見る度に思い出すのは隣の人のこと。だから、きっと。
「いつか離れ離れになっても、」
「そう簡単に離すわけねーだろ」
仮定の話を持ち出すアマリリスに、シュバルツは呆れて手を伸ばす。いつかの話なんて、必要ない。
抱き寄せられて固まるアマリリスはふにゃりと嬉しそうに笑うと、あっと声を出した。
「……ところで、もっと良いところありますよ」
楽し気な笑みに変わるアマリリスにシュバルツは不思議そうな顔。
手を取り引いて、良いところへ。
「ん~、お泊りといえばパジャマパーティ! 一度やってみたかったのよぉ」
人でごった返すコテージの入り口、アーリアは高らかと声をあげた。
始めはどうなるかと思ったものの、こうして賑わっている様子を見ると嬉しくもなる。
白いとっておきのネグリジェはアーリア。
淡い青のワンピースをまとったポテト。
買ってもらった白とピンクの甚平はノーラ。
華奢な身体をふわりと包むネグリジェのマナ。
猫柄の可愛らしいパジャマはエリーナ。
こちらも可愛らしいお菓子柄のミルキィ。
ゆるゆるなタンクトップにパーカースタイルの風迅。
ポテトの苦笑の先にいるのはリゲルだ。
スタイリッシュな前面に対し、くるり背を向けると堂々「騎士」とプリントされているのだから目も当てられない。
その隣はグレイル。普段は下着だけの彼も、今日は涼し気なパジャマを持ち込んだ。夏は慣れないパジャマにパタパタ手団扇で扇ぐ。
「よ、邪魔するぜ」
他にも多種多様のパジャマに身を包んだ人達が揃っていた。
チェック柄のパジャマを着たアオイは軽食を片手にコテージへと入る。既に結構な人数が揃っていて窮屈ではあるが、入れなくはなさそうだ。
土産のフレンチトーストを置きにキッチンへ向かえば、そちらもまた賑やかな様子。
見渡す限り、人、人、人。
アーリアはいそいそと羽織を着ると歓談スペースを確保して一足先に腰を落ち着けた。
「それにしても、結構集まったわね」
「ひ、ひとおおくない……?」
竜胆が軽く肩を竦めて、一堂に会したメンバーを眺める。
忙しなく視線が彷徨うリアは些細な物音にびくりと肩を跳ねさせて、どこか挙動不審だが、心地良い旋律が聞こえるのだからこういうのもたまには悪くない。
「……えっと、パーティーって……何をすれば……いいのかな……?」
そわそわと落ち着かない様子で尋ねるグレイルに、アーリアはにまりと口角をあげた。
「お喋りしましょ!」
「ま、軽食や菓子を作るなら造作もないってところだな」
「俺も手伝うぞ!」
ぱっぱと手早くサンドイッチやサラダ、パスタといった軽食類を用意していくクロバの手つきは実に鮮やかなものだ。
サンドイッチの中身は様々で、リゲルはレタスたっぷりやハム卵などメジャーな物も用意する。
折角だからとクロバは女子会にうってつけの華やかな見た目に盛り付けて。
ポテトが持参したフライドポテトにカプレーゼ、デザート類も含めれば沢山の選択肢が生まれる。
ミルキィも負けてはいられない。
見習いパティシエが持ち寄ったのはドーナツだ。砂糖をまぶして甘々に仕上げたものから、少しほろ苦い甘さ控えめのドーナツまで沢山ある。
さて広々と調理している面々の横、フォーガはかちゃかちゃと使った器材を洗っていた。
金の林檎亭でしていることと同じようなものだ。慣れた手つきで順々に片していく。
時折ちらちらと腕利きのシェフらを盗み見ては、なるほどなんて頷いて。身につくかはまた別のお話ではあるのだが。
どさどさとキッチンカウンターに増えるのは風迅が持ち込んだお菓子類。
既に山盛りになっているそこに追加されれば、いよいよもって大量だ。
用意もなかった竜胆は、並ぶ料理を見ればそれが正解だったと悟った。
見渡す限りに広がる料理の量は一晩で食べきれるかも心配になる。
それに加え、エリーナの妖精がお茶会の空気を感じ取って、せっせとお菓子を用意していた。
「……寝る前にお菓子やら何やらとかって、太る定番よね」
さて飲み物はアルコールからノンアルまで用意されて、誰でも楽しめる仕様となっていた。
マナは料理本と睨めっこしながらカクテル作りに挑戦。
どんな味が良いか、どんな見た目が良いか、慎重にリキュールを混ぜていく。
マルクも未成年なのでノンアルコール。呈茶を活かしてフルーツカクテルティーをご用意。
「お茶を淹れるのだけは、少し自信があるんだ」
おいしいとリアが素直に零せば、マルクもどこか嬉しそう。
ジュースをもらったノーラは上機嫌に、並ぶごちそうを摘まんでいく。
ミルキィのドーナツにアオイのフレンチトースト、それに加えパパのサンドイッチとママのご飯。
お腹いっぱい胸いっぱい。パジャマパーティーとはこんなにも楽しいものだったのか。
「……へぇ、この料理結構美味しいわね」
「お、お目が高いな!」
ポテトが嬉しそうに答えれば、成程作り手は彼女だと竜胆は得心する。
「ゼリーもお手製?」
「美味しそうなお菓子ですね」
エリーナも一口食べてみればひんやり加減に肩を跳ねさせた。
そこから広がるのは料理の話題。
定番の恋バナなんてそっちのけ、ミルキィは持ち込まれた料理を見てはこれはあれはと興味を向ける。まだまだ色気よりも食い気だろうか。
「あ、こちらのシュークリーム、どうでしょうか? とってもあまおいしいですしっ」
どうぞどうぞと風迅が勧めてみれば、早速ミルキィはぱくりと一口。
そうして今度はクリームの作り方やシューの焼き方などなど話に興じる。
賑やかな一角に座ったマナは、簡単な相槌から始めぽつりぽつりと話に混じって。
いつしか片手にとったお菓子を食べるのも忘れ、頬を綻ばせ輪に溶けた。
「何の話だ? あ、これ美味しいぞ?」
ずいずいと話の中へ入っていくノーラに遠慮はない。
リアへお気に入りになったクッキーを差し出せば、リアはありがとうと受け取って。
「んふふ、これもどうぞ~」
アーリアは持ち寄った珍味を渡してみる。
楽しい旋律に耳を傾け、時折自身も混ざり、リアは満ち足りた時間に身を置いて。
「これが女子会か……」
「男は少ないな」
わいわいと盛り上がる中心を眺めながら、ポテトはクロバのクッキーを摘まんでみる。
隣でリゲルは興味津々な様子。これはこれで、貴重な経験だろう。
「男性も混じってって言うのも新鮮な感じね」
くすくすと楽し気に笑う竜胆に、何かを感じたのかノーラが首を傾げる。
そんな様子を見やって、竜胆は人差し指を口元にあててはにかんだ。
勿論、盛り上がっているのは女子だけではない。これを機会にと集まった面々は多いのだ。
お菓子を摘まみながら、グレイルは少し離れたところで耳を立てる。
癒しの領域は常にふわふわと効果を及ぼしていて、ともすればリラックスして眠ってしまいそう。
カードの擦れる音は、真剣勝負のただ中から。
勝負の行方を見守るグレイルの目は、見える二人の手札を行ったり来たり。楽しそうだ。
フォーガは手に収まるカードとにらめっこしながら次の一手を考えて、アオイは読めぬ表情で手札を眺める。
酒を傾けながら娯楽に興じる夜も悪くない。
ディーラーを務めるのはトランプを持ち込んだビスだ。頭数は多い方が楽しいものである。
掛け金として置かれているのはクッキーや一口チョコと様々で、どうやら各自好きなものを賭けて勝負しているようだ。
「まぁ、最後に勝つのはこのちび兎なんだけども」
にんまり弧を描くビスの口が、への字になる時は来るのだろうか。
「皆のギルドとか、遊びに行ってもいいかな」
カードゲームの傍ら、雑談に興じていたマルクが問いかければ多方面から勿論との声が返る。
三者三様の世界だ、訪れたギルドでもまた違う出会いが待っていることだろう。
触れる風は慣れ親しんだものとは違い新鮮で。
エマは賑やかなコテージから離れ夜の散歩に赴いていた。
木から木へ、闇に紛れて跳んでいく。熱の下がらない夏の夜でも、この場所なら涼しくて。
「ひひひ。そういえばアマリリスさんから頼まれ事をしているんでした」
にまりと薄っぺらい笑みを張り付けたエマは、少しだけ回り道をしながら木々の合間を跳ねた。
今頃彼らは何処にいるだろうか。近いコテ―ジの窓を覗き、エマはぶらり目的地へ。
「……えっと、シュバルツさん……誕生日なんだってね……」
アマリリスに手を引かれ現れたシュバルツに、パジャマパーティーの面々が歓迎を示す。
「おう、誕生日らしいな。おめっとさん!」
顔を出したゴリョウが続いて声をかければ、チーズケーキにジャムをかけた豪華な一品がもてなされた。
竜胆やエリーナ、風迅からもおめでとうの声があがる。リアからはお花の贈り物。
「誕生日おめでとう!」
リゲルとポテト、ノーラが言い添えて、クロバは手作り誕生日ケーキを差し出す。
マルクはメッセージカード。書かれているのは勿論祝辞である。
「シュバルツさん、おめでとうございます」
フォーガが贈るのはアップルパイ。ぱーんと隣でビスがクラッカーを鳴らす。
「誕生日おめでとう」
「良き一年になるといいですね」
これもどうぞと美咲とリアムが差し出したのは二人で作った夕食のお裾分け。
賑やかな声に導かれ顔を出したコーデリアも祈りと共にお祝いを。
アニーヤも声をかければ、いよいよ大人数だ。
微笑むアマリリスは、サプライズに驚くシュバルツの手を取って。
「貴方の一年が良い年になりますように」
込めた熱と共に、お祝いを。
●
うとうと、瞼が重たくなってくる頃。
ルアナはひつじの枕を抱っこして、グレイシアはそんなルアナを見守って、眠る前のお話タイム。
一緒に召喚されてもう1年。ルアナはこの機会にとじぃとグレイシアを見つめた。
「おじさまは、召喚前なにやってたひと?」
突飛な質問にグレイシアはふむと唸る。
「気が付いた頃には、主に鍛錬等自身を鍛える事をしていたが……」
魔王たるもの、常に万全の状態で戦えるようにしておくのがグレイシアの務め。
ふんふんと頷くルアナは次の疑問を口にして。
「ルアナ達のいたのってどんな世界?」
すっかり忘れているルアナは、同郷のグレイシアにぐいぐい尋ねる。
グレイシアは技術進歩や魔法体系の違いなどに触れながら、視点は自身の身分にならぬようにと気を付ける。
はて、二人の関係はと言うと、神様の悪戯でもあったか勇者と魔王ではあるのだが……。
そんなことは露知らず。
「元の世界でもここれも、おじさまはルアナが守るからね! だいじょぶ!」
寝ぼけ眼のルアナがぐっと拳を握り、対してグレイシアは瞠目して。
「……そうか、それは心強い」
顔を背けたグレイシアに首を傾げつつも、ルアナは睡魔に導かれ。
寝言でもおじさまのゆーしゃにと零すルアナを眺めたグレイシアは、まだ少し眠れぬ夜になりそうであった。
霧玄は零夜とふたりコテージの屋根の上に寝転がっていた。
頭上に煌めく星々は常では見られないような数にのぼる。一等強く輝いているものから、仄かに赤く色づいているものもある。
「零、あれ綺麗だよ」
「ホントだ」
そのうちに、隣り合わせの星を繋いで、少し離れたところの星も組み合わせて、ふたりだけの星座を作りだす。
「出来た! 甘い物食べたいし、アイスクリーム座!」
「あっ、霧玄先とんなよ!」
なぞる指先が同じ星を示すのは、霧玄と零夜だからこそ。
「じゃあ、こう繋いでシャーベット座!」
「それ、変わんなくない!?」
優雅に空を泳ぐ月を見上げ、Morguxはひとり息を吐く。ベランダには心地良い風が吹いていた。
平時よりも涼しい環境に身を置ければ、筆も滑らかに進むというもので。
Morguxの前には書類が広がっている。あらかた手を付け終わり、見直しを控えた程度だ。これぐらいならばすぐにでも終わるだろう。
思っていたよりも早く片付いてしまった。
「本でもあれば暇を潰せるんだがな……さて」
かたり椅子から立ち上がれば書類を片し、小脇に抱える。確かコテージのリビングに本棚があったような。
残る時間は涼やかに。朝のめざめが来るまで。
●
チチ、と小鳥の囀る声が聞こえ始めた頃。
空はまだ夜との狭間で仄暗い。コーデリアはひとりコテージを出れば、さくさくと青草を踏んで辺りを見回した。
豊かな自然に、避暑に適切な環境。それに、朝は静かでまた違った顔を見せる。
足元を駆けてゆく栗鼠に頬を綻ばせ、目を閉じ密やかに祈りを捧げる。
「――主よ、この地にご加護のあらん事を――」
さて。
この祈りが届いたか、今シーズンは事故もなく、無事沢山の人に安らぎを提供したのだが、それはまだ見ぬ先のお話。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
プレイングお疲れさまでした。ご参加ありがとうございます!
イレギュラーズの皆さまがどのように過ごすのか、覗き見させてもらった気分です。
また、賑やかなパーティも楽しませて頂きました。
これだけ大人数のグループは初めてでしたが、楽しんでいただければ幸いです。
GMコメント
祈雨と書きまして、キウと申します。
酷暑が厳しくだるだるしたい気持ちでいっぱいです……。
気持ちだけ避暑しようと、第二弾をお届けに参りました。
●ご注意
30名限定イベントシナリオです。
ペア、グループでの参加の場合は人数制限にご注意ください。
●場所・時間帯
森の中に転々と建つコテージが5軒。計30名が泊まれるコテージです。
どのコテージも似たような造りになっており、どのコテージに泊まるかはランダムとなっております。
広々としたリビングにキッチン、扉を隔てて、下が3名、上が3名の計6名がそれぞれ眠れるロフトの寝室、ロフトの先にあるベランダが主な活動場所となります。
到着した日の日中~次の日の正午までの時間帯からお好きな時間をお選びください。
日中は木々に囲まれているお陰で過ごしやすく、朝夜は気温も下がり涼しいといった感じです。余分な灯りはありませんので、星は見えるかと思います。
●できること
周辺の整理は到着してすぐに全員協力してささっと終わらせたていでスタートします。整備に重点を置くよりも、コテージでどういう風に過ごすのかに焦点を当てると良さそうです。
大雑把に日中、夕方~夜、翌朝程度の区分分けとなります。
あれもこれもとすると、結果的に描写が薄くなってしまう可能性があります。何か一点に絞ってプレイングを書くと良いかもしれません。
複数人での参加の場合は、同じコテージとなるように配慮致します。
禁則事項は特にありません。公序良俗に反するもの、周囲に迷惑をかけるものでなければ大体大丈夫です。
●同行NPC
『勿忘草』雨(p3n000030)が同行しています。
人数オーバーにもめげずコテージを転々としてのんびりしています。声を掛けられれば応えますので、何かありましたらお声がけください。
●お願い
お連れ様がいる場合、グループでの参加の場合は、相手の名前とIDもしくはグループ名のご記載をお忘れなくお願いします。
愛称のみの場合、迷子になりやすいので、きちんと記載して頂けると助かります。
白紙プレイングの場合、シナリオの雰囲気を大きく損なうプレイングの場合、描写が薄くなる可能性があります。ご了承ください。
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