シナリオ詳細
再現性東京202X:犯人は超絶可愛い天使みたいな女の子だったってさ!
オープニング
●犯人はしにゃこ (p3p008456)!!!
「――と、言うわけでして」
再現性東京――希望ヶ浜に存在するカフェローレットで説明を行う音呂木・ひよの (p3n000167)に笹木 花丸 (p3p008689)は思わず「ひよのさん疲れてるの?」と問いかけた。
「ええ、最近肩こりが凄くって……。いいえいいえ、違いますよ。
もう一度おさらいしますね。希望ヶ浜での防災訓練があるのですが、希望ヶ浜中央銀行……略して『希銀』が銀行強盗が現れた際の訓練をしたいと希望ヶ浜学園に提案してきました。
学園に提案した理由は、学生も防犯に対してもっと意識をして欲しい、銀行業務を知って欲しいという理由なのです。
ですから、犯人役にしにゃこさんを推薦したんですよ」
「どうして?」
「どうして、うーん……そうですね。似合っていそうだから」
「ははーん!! 成程成程。訓練ですしね、アイドルが参加するのは良くある事! いやあ、しにゃの可愛さに皆さんが驚いてしまいそうですけれども!」
困惑する花丸の隣でしにゃこはふんぞり返っていた。ついでのようにふんぞり返るポメ太郎も参加予定であるらしい。
「当人もやる気ですので皆さんにもお手伝い頂ければ、と思いまして……」
「いや、うん。そうだね。地域との交流は大事だし、ジャバーウォックのこともあったから防犯と防災に力を入れるのは……」
うんうんと頷く花丸は「どういうプランなんだ?」と問いかける新道 風牙 (p3p005012)に気付いて「やる気だね」と笑いかけた。
「まあ、防犯と防災に力を入れて、それが地域振興だか何だか分からないけど後々役に立つ可能性だってあるだろ?」
「確かに……。けど、やる気が溢れる『アレ』をどうにしかしないと待ち受けているのは……」
ほら、としにゃこを指さした秋月 誠吾 (p3p007127)は「しにゃが強盗団のボス。皆さんは手下ですよ!」の声を聞いて頭を抱えた。
「ふむ、この場合は罪は全てしにゃこが被るって事かのう? 『ボ ス』だからのー?」
わざーーーーとらしくそう言ったアカツキ・アマギ (p3p008034)に「そうだね、『ボ ス』……だもんねえ?」とフラン・ヴィラネル (p3p006816)も追従する。
「ああ、逮捕されるまでが強盗の醍醐味。あまり斯うした機会もないだろう。
しっかりと強盗団を演じきって、希望ヶ浜の住民達の訓練となるように善処しよう」
「承知致しました。ご主人様がそう仰るならば」
「わん!」
保護者として聞いていたベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)が同意するように頷けば、リュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)は何時もの如く同意する。
嬉しそうな鳴き声を漏したポメ太郎と黒狼主従を振り返ってから誠吾は「え?」と呟いた。
いつの間にやら目出し帽(リュティスのお手製である)を被って立っていたベネディクトとポメ太郎はやる気を溢れさせている。
「さて、『ボス』。作戦はどうする?
襲うのは希望ヶ浜中央銀行中央駅前支店だ。時刻は平日の昼下がりが最も襲いやすいと思うが」
真剣な顔をしたベネディクトにリュティスは「周辺の監視カメラの映像です、ご主人様」とタブレットを差し出す。
銀行強盗役になりきってしまった黒狼主従。真剣な態度で挑むのは『訓練のため』である。
――だが、超絶プリティー女神的天使世界最高峰美少女は黙っては居なかった。
「ちょ、ちょちょちょちょ、ちょーーーーっと待って下さい?
これじゃあ、しにゃが霞むじゃないですか。どうしてイケメンが目出し帽を被って冒頭でキリッと強盗団してるんですか!?
ここで超絶悪い顔をしても、可愛すぎて皆が見蕩れるしにゃが颯爽と出てきて『クックック……作戦を伝えよう』ってする場面じゃないんですか!?」
……つまりは仕切り直しなのである。
これより強盗団『黒狼』の銀行強盗(訓練)が始まる――――!
- 再現性東京202X:犯人は超絶可愛い天使みたいな女の子だったってさ!完了
- GM名夏あかね
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年03月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「ジャバーウォックの事件は特例も特例だと思うけど、防犯と防災の訓練はいざって時の事を考えると確かに必要だもんねっ!」
うんうん、と頷いたのは『可能性を連れたなら』笹木 花丸(p3p008689)。希望ヶ浜も再現性東京『202X』となり、様々な変化を経ている。防災と防犯の意識だけはどれだけ発展を経ようとも変えては為らぬ事なのだ。
「って事で、」
\強盗団『黒狼』の銀行強盗(訓練)の時間だーっ!/
勢い良く挨拶をした花丸の側には涼やかな笑みを浮かべている音呂木・ひよの (p3n000167)が立っている。
「あ、ひよのさんも今回の訓練に参加するの?」
「ええ。花丸さんたちとですし。折角ならと思って」
「だったらひよのさんも花丸ちゃんと一緒に銀行員役はどうかな? 今ならしにゃこさんにペイントボール投げ放題だよっ!」
その言葉に噴出したのは『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)であった。概要を眺めていた『嵐の牙』新道 風牙(p3p005012)の表情にも徐々に何とも言い難い笑みが溢れ出す。
「なるほど防犯訓練。今の不安定な情勢だと、良からぬことを考える人間も出てくるだろうしなー。いいんじゃね?……で、犯人役がしにゃこ、と」
そう。ペイントボール投げ放題というのは犯人役が『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)であると言う事だ。
ひよのがしにゃこを犯人役に推薦したらしい。本人はアイドル的かわいさの女の子だからとご納得済みなのだろうが。
「げへへ、この仕事が成功したら駅前のケーキバイキング行き放題! ポメ太郎もお肉食べ放題ですよ!
え、これは訓練? こういうのはノリが大事なんですよ! 別にあわよくばとかは考えてないです!」
「わぁん!」
――はまり役である。
「うんうんわかる、しにゃこさんってば犯人顔だもんね。
希望ヶ浜の皆も、何かあった時に今度は逃げ回るんじゃなく戦えるように――うん、その為の協力なら頑張っちゃう!」
銀行強盗で金目のものを『がっぽがっぽ』を期待するしにゃこを横目に『結構』な事を言った『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)の言葉に風牙は盛大に噴出した。
転げ回る風牙の側ではポメ太郎が尾をぶんぶんと振り回し、『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も「さて、やるからには本気を出さねばな」と普段は余り浮かべぬ年相応の笑みを浮かべている。
「何事にも備えは大事ですよね。相手には優秀なデコイがいることですし、気を引き締めていかなければなりませんね。
訓練とはいえ、全力を尽くすのがメイドですから」
最早、しにゃこの事をデコイとして認識してしまったのだろう。『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)はやる気も十分に準備を整えている。
「こころなしか、リュティスも楽しそうに見えるな。あまりいじめてやるなよ?」
「ええ、心得ております。ですが、『訓練』ですので」
楽しげに見えるリュティスにベネディクトはポメ太郎の頭を撫でて「ポメ太郎、お前は自由に動いて良いぞ。楽しんでおいで」と優しく声をかける。
「いやー訓練じゃからなー仕方がないなー! 訓練じゃからなー!!」
やる気も十分の『焔雀護』アカツキ・アマギ(p3p008034)は行くぞとポメ太郎を掴みしにゃこサイドに合流してゆく。危険な放火魔の仲間入りに風牙の笑いは更に膨らんだ。
「はーーーヒーー……あー笑った笑った!
うんうん、しにゃこにピッタリだな! いやほら、目立つというか、そういうの? あーはい、かわいいかわいい。
まあ頑張れよ! 応援するぜ!」
「え? 風牙さんもでしょ?」
「ええ。そうでしょう?」
ひよ花ペアに首を傾げられてから「……は? オレも?」と呟いた風牙はきょとんとしていたのだった。
誠吾は一連の流れを見やってから頭を抱える。
「そもそも……タイトルの『犯人は超絶可愛い天使みたいな女の子だったってさ!』
超絶かわいい天使みたいな女の子ってどこにいるんだよ。
可愛い女の子は複数いるが……一部殴り合いしそうな雰囲気じゃね?
殴り合いっていうよりはしにゃこがお仕置きされるっていうほうが正しいかもしれないが、自分に火の粉が降りかからないなら遠くから眺めておくさ。女こえー」
――もしも、この発言が聞かれていたら火の粉が降り注いだのは……きっと、気のせいではないのだ。
●
「……『ボ ス』を倒しちゃだめとは書いてなかったしねっ!」
ぼそりと呟いたフランは話の長いおじいちゃんの相手をしながら窓口業務の社会見学へ。
お札を扇子宜しく開いて仰いで見たり、裏口の窓から不届き者は来るから強化ガラスにしようなどという提案も行い続ける。
「強盗団『黒狼』が仕掛けてくるまで社会科見学も兼ねて業務のお手伝いをさせて貰うね。
護身グッズは自前の拳があるから良いとして、色んな色のペイントボールを用意しておくよっ!」
「花丸さん。拳は護身グッズ分類なんですか?」
「え、うん。あと、希銀の防犯マニュアルに沿って動くから勉強しておこうか!
今回がイレギュラーなだけで事件が起きる時に都合よく花丸ちゃん達が居る訳じゃないし、マニュアルの見直しにもなるしね」
花丸がまじめに勤務している様子を眺めながら敵がイレギュラーな場合はどう想定するべきなのだろうと考えるひよのははた、と気付いた。せっせと動き続けるリュティスの様子に。
「ねえねえ、リュティスさんは何してるの?」
「ええ、敵が敵ですので、トラップを適当に仕掛けておこうかと。
……扉を開けたら矢が飛び出す仕掛けやワイヤーロープで縛りあげる罠が良いでしょうか?
後は偽の現金を入れた重いバッグでも置いておけば大丈夫でしょう。流石に引っかからないと思うのですが……お約束らしいです?」
首を傾いだリュティスに「扉のトラップは漫才のようで面白そうなので私はカメラを構えておきますね」とひよのは何故かカメラをセッティングする。花丸は「録画を後で見るの面白そうだね」と全肯定なのである。
ちなみに、後輩・誠吾の活躍を眺めるためにリュティスは銀行員役のピンチに駆けつけるのだそうだ。大切な後輩の雄姿を見たい――気にかけてあげる先輩の心優しさなのかもしれない。
「強盗側も力を入れてやらないと訓練にならないからのうー! ということで燃やし放題と聞いて、妾参上したのじゃ」
「燃やすのはちょっとアレだろ」
「え? 違う?? えっ!? 武器は玩具の武器限定? そっかあ……じゃあ妾、帰るね……」
その頃、後輩・誠吾は必死に放火魔アカツキの凶行を止めていたのだった。だが、何時にも増して楽しげなベネディクトは「相手はリュティスだ。本番さながらを想定すれば多少は許されるだろう」などと突拍子も無く常識を明後日へと送り込む。
「本番さながらの想定だからちょっとならOK? わはは! それを早く言ってほしいのじゃ!!
ゆくぞしにゃこ、もといボスよ! 中央銀行に殴り込みじゃーい!!」
やる気十分すぎるアカツキの傍らでリュティスお手製の目出し帽を被ったベネディクトとポメ太郎がしゃきんと背筋を伸ばして立っている。
「ボス、指示をくれ。俺はどうすれば良い?」
普段は黒狼隊を率いる立場であるベネディクトにとって、こうして『ボス』の指示を待つのは新鮮だ。心なしか楽しげな彼にしにゃこは覆面を被って「正面は警備員が居てやりづらいので裏口の窓をぶち破って奇襲ですよ!」とびしりと指差した。
「防災訓練は大事。いざという時にスムーズに動けるよう、日頃から意識を高めないとな」
一人まともな誠吾の肩を叩いて「やろうぜ」と言いたげな風牙。最早ここに常識と言う言葉は無い。
「行きます!」
――フランが強化ガラスの方が良いと進言し、さっさと入れ替えられたガラス面に見事に『美少女』の顔面魚拓が取れた。
「ぶえっ!?!?! なんだこれ超硬いんですけど! 強化ガラスですか!? 防犯しっかりしてますね……」
「そりゃな」
「ふぅむ、なるほど。裏口から回ると言ってもやはり銀行側も対策はしてあるのだな」
真顔で答える誠吾と感心するベネディクト。流石にその辺りの防犯意識はしっかりさせておかねば『本番』に……
「チッ仕方ないですね! いけギガンティックアカツキボム!」
「なるほどのう……さすればこうじゃ! ファイヤー!!」
炸裂するアカツキの一撃! 誠吾は「ああ」と呟いた。風牙は「ひゅー!」と手を叩き、ボスに「やったな」とベネディクトがうきうきとした様子で頷く。
「ふっふっふ、妾のスペシャルな炎にかかればこんなもの、紙屑同然の強度よ……!!
これボスよ、ギガンティックアカツキボムはよすのじゃ、力が抜けるネーミングセンスなのじゃ。
どうせなら格好良くアカツキフェニックスアタックとかにするのじゃ!」
技名は必要なのだと言いたげなアカツキによる爆破で道が開かれた強盗団『黒狼』一行。
「ひゅード派手に行くぜぇー! ボスに続けー!」
「オラーーッ! オレたちは強盗集団『黒狼』だー! 怪我したくなかったら、大人しく金を出せー!!」
叫びながら飛び込んだ風牙を待ち受けていたのはこめかみを狙ったとしか思えない玩具の矢であった。
●
「なんか音がした! ぐわー!」
頭を抱えたフランは「うるさ」と言い掛けてから忘れてましたと言わんばかりに手を頭の上へと上げる。
「えっ、強盗……ふっ」
思わず笑みを漏らした花丸の視界には目出し帽で飛び込んできたしにゃこの姿があった。正直、似合わないと言うのが花丸の感想だ。
「リュティスさんは少し隠れますか?」
「ええ。出番までは少しお時間を頂戴します。ご主人様のお相手は気が引けますから、私はつまみ食い王(しにゃこ)の相手をするとします。捕まったポメ太郎は餌で買収する予定です」
淡々と作戦を開示するリュティスにひよのは末恐ろしいと呟きながら花丸とフランと共に縛られる役へと回った。
「えーんえーん、あたし達はいいけどお客さんだけは逃がして下さい!」
床にびちびちと転がりながら、まるで打ち上げられた魚のように動くフランの目の前に唐突に現れた桃色。
暑い上に超絶プリティーすぎる顔が見えないと早々に覆面を投げ捨ててフランの顔面にシュートしたしにゃこは高い机に飛び乗った。
「オラァ! 全員手を上げてください! 通報したり妙な事したらしにゃこラブリーフェロモンが火を吹きますよ!」
「びえー」
「よし、そこの女! こっち来い!」
フランを指差すボスに従って、誠吾がせっせとフランを縛り付ける。
「全員、大人しく言う事を聞くんだな。さもなければボスが凄い事をするぞ、ボスが」
「あん!」――そうだ、そうだ、しにゃちゃんが悪い事をしますよ!
びしりと指差すベネディクトの側でポメ太郎が吼える。リュティスは「流石はご主人様です」と頷いている様だ。
「ボス、鞄です。これに金を」
「あー。悪いようにはしないから、この袋にあるだけの金を詰めてくれないか?」
頬を掻いた誠吾はベネディクトが用意した鞄を眺める。ポメ太郎が「あん!(この鞄の中、面白いですよ!)」と飛び出してくるが、今日は其処にいられても困ると抱えてフランの隣に撤収させられる。
目出し帽にはポニテ穴を用意していた風牙は『荒くれ者』達との退治の経験からサングラスに黒の革ジャン、槍状の玩具を手に完璧な悪役を演じていた。
「オラー! 大人しくしろやー! 騒ぐんじゃねえぞー!」
蹴り飛ばしたテーブルは地面を傷つけないように気を配り、玩具も危険が無いように訓練参加の客役へと気遣った。ぐすぐすと泣いた子どもにはあやす様に優しく声をかける徹底振りである。
「全員動くでないぞ、妾の炎が加減を間違えばフランちゃんの髪がちりちりのアフロになっちゃうからのう。
ほれ、ポメよ。行員が下手に動かぬように睨みを効かせておくのじゃぞ。おやつで懐柔されてはならんのじゃ!」
アカツキがフランの髪をちりちりアフロにしようと狙う最中、フランのポケットから転がり落ちたお菓子は――
「はっポメ太郎! ほらほらおやつだよーよーしよし、このワイヤーロープはパズルだよ解いてねー。へへ、せーごさん優しいからすぐ解けるやつだ!」
アカツキとしにゃこにはばれない所で首尾よく抜け出すフランに花丸がこくりと頷いた。ここからが反撃開始なのである。
「これでケーキバイキング! 焼肉食べ放題! 酒池肉林(?)!
何なら、銀行強盗チェキも販売して一攫千金ですよ! いやー、しにゃが可愛いばかりにー!」
最高にテンションマッハの『ボス』にフランが「あ、あの! ちょっとその、お腹が痛くて!」と苦しんだように腹を抱えた。
「え? おなかを壊したんですか? やれやれ……」
「支店長のへそくりも渡します」
「えっ!? いやあ、可愛いのは罪でブフェッ!?」
振り被ってフランのゴリラパワーが頭突きとなって『ふんぬ』した。母の教え、素晴らしい石頭にボスの身体が吹き飛ぶ。
「ボ、ボス!?」
叫ぶ風牙にベネディクトが「ボスがやられた」と呻く。リュティスは「やられ役のご主人様も素敵です」と頷いたのだった。
●
「何だっていい、強盗団を追い返すチャンスだ! ――皆イクゾーっ!」
「了解です」
花丸が立ち上がりペイントボールを手に『強盗鎮圧アタック』を仕掛ける。雪合戦よろしくペイントボールを花丸に渡すひよのは何故かなれたしぐさなのだった。
「悪いことして捕まったポメ太郎は暫くおやつ抜きだよっ!」
「!?」
「……そ、そんな顔をしてもダメだからね?」
ポメ太郎を捕まえてわしゃわしゃとした花丸にリュティスが「変わりましょう」と囁いた。
「あのピンク髪に噛みついて足止めをすればご褒美をあげますよ」
ついに登場したリュティスに「リュティス……!」とベネディクトは笑みを浮かべる。
「それでは覚悟はよろしいでしょうか? 今回は峰打ちなので安心して下さい」
やる気十分のリュティスに続き、フランと花丸の『反撃』が襲い来る。
「金の延べ棒アタック! 札束ビンタ! あつあつお茶スプラッシュ! カラーボールマシンガン! くらえー!」
「くっ、ボス! 此処は俺に任せてこの鞄を抱えて早く逃げ、ぐわーっ!」」
ベネディクトの顔面に降り注いだペイントボール。そのまま倒れたカラフルベ卿を飛び越えて往く一行。
「うむ、何だか雲行きが怪しいのう。あっ、じゃあ妾はこの辺でお暇を……」
「逃がしませんよ」
「メイド本気すぎるのじゃ!」
慌てるアカツキへと襲い来るリュティスの鋭い一撃に「フンッ! 奥義ボスしにゃこシーーールド!!」と構えようとして「ちょっと、駄目ですって。美少女のボスを逃がさないと! ああー!?」としにゃこがじたばたと足を動かした。
「なんかすげー集中攻撃受けてません!? こんなに可愛いのに!
しにゃはこの現金バッグだけでも……うわ重っ!? 誰ですかこんなパンパンに詰めたの! ぐぐぐ、びくともしない…あー!ちょっと待って置いてかないでください!?」
手にしていた鞄が犠牲になるが一度は攻撃を避ける事が出来たようである。
「アカツキ逃亡ダーーッシュ!! あっ、しまっ、躓い……」
「つーかまえた!」
花丸にがしりと掴まれてアカツキが「ああー!?」と叫ぶ。折角手に入れた黒狼の外套でカラーボールから身を守る誠吾はこんな事に使って良いのだろうかと自問自答していた。
「悪いのはそこのしにゃこなんだ。俺は脅されただけなんだ」
慌てる誠吾がぺたんと尻餅をつくがしにゃこは叫んだ。
「ぴぇー! もう無理! 無理です! 顔はやめてください! いや乗せられただけで悪いのは部下です! しにゃだけは見逃して!」
誠吾の冷たい視線を受けてしにゃこは「ええ、どうしてそんな顔をするんですか」という表情を見せた。
(……一部私怨混じりの戦闘が繰り広げられてるような気がするんだが…。
あれだな。喧嘩するほど仲がいいってことだろうし、しにゃこが皆の攻撃を引き付けてくれてるとこっちはやりやすいよな)
そんなことを考える誠吾の前でリュティスとフラン、花丸の反撃に屈したしにゃこが「ぐあーー!!」と叫んだ。
「リーダー、リーダー! あんまりやりすぎないようにな?! 訓練、これ訓練だから!」
慌てる風牙にフランははっと我に返り「……や、やりすぎたかな?」と呟いた
「でも防犯はこれくらい本気で備えておかなきゃだからね! よし!」
――結論・しにゃこなら良いのである。
「意外と爽快で楽しい気分になってしまいますね。頑丈さには定評がありますし、あまり加減しなくて良いのはメリットですした。
これが参考になれば良いのですが……結構動いたと思いますし、骨のおやつでどうですか? たまには甘やかすのも良いでしょう」
優しいリュティスに「やったー!」と尾をぶんぶんと振ったポメ太郎。
ベネディクトも「中々良かっただろう」と感謝と畏怖を伝える『希銀』の面々に微笑んだ。
「みんなの動きも良かったぞ、しにゃこはボコボコになっていたが……
何、そう凹むな。みんな頑張ったんだから、ケーキバイキングくらいは連れて行ってやるさ」
その後、ポメ太郎が食べ過ぎたのは言うまでも無い事なのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
おつかれさまでした!
とってもかわいい女の子が犯人でヤッターでしたね(棒読み)
GMコメント
リクエスト有り難うございます。夏あかねです。
リクエスト文章にベネディクトさんはポメ太郎と一緒に目出し帽を被るってあったのでリュティスさんに作って貰いました。
●成功条件
銀行強盗をする!!!(した後のことは不問)
●希望ヶ浜中央銀行中央駅前支店
希望ヶ浜に存在する銀行です。銀行強盗をして欲しい理由についてはひよのさんが説明してくれました。
簡単に言うと信頼できる希望ヶ浜学園と一緒に訓練をしよう!なので名声マイナスはありません。
時刻を指定し、その時刻から『銀行強盗訓練』が始まります。あくまで訓練ですが、中央銀行側も積極的に反抗してきます。
イレギュラーズの中で「私は強盗団じゃ無くて、銀行員になってボスしにゃこを撃破するぜ!」という方が居ればどうぞ。
強盗団でも銀行員でも可能です。ただし、しにゃこさんは強盗団のボスを任命されていますので、しにゃこさんのみ配置換え不可となります。
●強盗団『黒狼』
しにゃこさんをリーダー(ボス!)とする強盗団です。どのような強硬手段に出てもOKです。
武器類は一般人を傷つけないような玩具をひよのが用意してくれました。其れなりに精巧な出来です。
ある意味何をしても大丈夫です。ギャグシナリオですから人も死にませんし、自分も死にません。
多分ポメ太郎は強盗団です。多分……。
●銀行員役
強盗団に参加しないで銀行員としてボスしにゃこさんを撃退したい方が居れば此方にどうぞ。
ペイントボールの他、護身用の武器を持ち込むことが出来ます。
どのようなことをしても許されます。罠を仕掛けておくのも大丈夫ですし、面白ければなんでもOKです。
●NPC:音呂木ひよの
この訓練の話を持ってきた張本人です。何でも手伝わすことが出来ます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はA(?)です。
想定外の事態は絶対に起こりません。多分!!!!!!!!!!
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