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シナリオ詳細

<咎の鉄条>茨姫のように

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●深緑を覆いて
 練達で発生していたR.O.Oを巡る一連の騒動が収束……した、かに思えた直後。
 なんと練達にはジャバーウォックなる竜と、ジャバーウォックが引き連れし亜竜の大群が突如として襲撃を行ってきた。
 イレギュラーズの協力もあり辛くも撃退には成功したが、そもそもなぜジャバーウォックが襲撃してきたのか……。
 謎に思える事件。その背後では冠位魔種の思惑が流れていた……。
 ジャバーウォックらの襲撃の真意を測りかねるローレット。そこへラサの商人達より突如として驚愕の情報が齎された。
 なんとファルカウ全土が『茨に覆われ入ることが出来ない』状態に成ってしまったのだ。
 強引に中に侵入を試みようとしても鉄条網のような茨に阻まれ――急速に眠りについてしまう者や、絶命の危機に陥ってしまう者も多々発生。内部のリュミエ達とも連絡が取れなくなってしまう。
 そして内部に侵入できないのはイレギュラーズも同様だった。
 深緑ほぼ全土が謎の『茨』に覆われ、ワープ機能も使えず完全に閉鎖された深緑。
 そこではR.O.Oで生じていた『大樹の嘆き』が現実でも生じていたのだ。
 深緑を覆う程の脅威に反応し出現した彼らは『その脅威を発生させた何か』に抵抗する様に周囲を攻撃している。
 それはまるでR.O.Oで発生していた<クローズド・エメラルド>事件を連想させるには充分だった。
 幻想種達がどうなっているのか? 彼らは無事なのか?
 偶然、国境線側の警備に出ていて難を逃れたルドラ・ヘスはラサを介してローレットに依頼を持ち込む。
 ……そして、偶然「茨」から逃れた者達もまた、その厄介さを身をもって体感していた。
「これは、一体……!」
 そのうちの1人。
 深緑領内に無数にある植物の植生をチェックする植物監視官の長であるスイロリル・スー・スーミクもまた、この状況の異常さに「自分では手に負えない何かが起こっている」と強く感じていた。
 何かが起こっている。
 けれど、何が起こっているのか全く分からない。
 仕事で深緑の外縁部に来ていなければ、スイロリルもまた巻き込まれていただろう。
 分かるのは、この茨に今近づくのはやめたほうがいいだろうということ。
 そしてスイロリルの持つ知識にはない「何か」であるということくらいであった。

●スイロリルからの依頼
「植物監視官長のスイロリル・スー・スーミクです。仕事は植生のチェックなので、何か特別な権限があるわけではありませんが」
 スイロリルはそう言って、集まった面々に頭を下げる。
「もしかすると聞いているかもしれませんが、今深緑に異変が発生しています」
 ファルカウ全土が『茨に覆われ入ることが出来ない』状態になっている。
 その茨は有刺鉄線のように張り巡らされ、少し触れるだけでも傷つく事があるようだ。
 一体どういうものかは分からないが、場所によっては茨に対抗するように暴れる「何か」も存在している。
「……つまるところ、何が起こっているか全く分かりません」
 だが、調べるチャンスはある。
 ラサの国境線近くに存在するコハクの村。
 迷宮森林の中などに存在する村落の1つであり、恐らくそこならば辿り着くことが出来るかもしれない。
 だが……そこもかなりの確率で『茨』に覆われていると思われ、スイロリル1人では近づくことすら躊躇われた。
「恐らくですが、茨は貴殿達を妨害してくるかもしれません。危険です……調査を終えたら、撤退した方がいいでしょう」
 調査とは無茶を要するものではない。
 特に初回調査であれば尚更だ。
 まずは現状を確認し、情報を持ち帰る事。
 それこそが大切であり、スイロリルが望むものなのだ。

GMコメント

今回の仕事はラサ方面から迷宮森林に向かい、森を進み「コハクの村」に辿り着き調査をする事です。

●調査で判明すること
コハクの村はそれほど大きな村ではありませんが、村全体は茨に覆われています。
調べれば分かる事ですが、村人は『全員眠りについていて何をしても起きない』様な状態であるようです。
また強引に移動させようとすれば苦悶の表情を浮かべ、命の危機がありそうで動かせないことが分かります。
家の扉などを覆う茨は破壊可能ですが、攻撃の意思を見せた瞬間に急成長しながら襲ってくるでしょう。
また、茨の撃破により住民が目覚めるといったことはないようです。

コハクの村から先は茨の量が凄まじく、どうやっても今は通れそうにはありません。
森の中の茨、コハクの村の茨は全て敵とお考え下さい。
【火気厳禁】&全てを倒す事は不可能です。
襲ってくるかこないかは茨次第のところがあるので、スニークミッションみたいなものとお考え下さい。

●茨
深緑全体を覆っている謎の茨。触れるだけで怪我をします。
攻撃モードに入った場合、急成長して攻撃する「トゲの鞭」「トゲの槍」といった攻撃があります。
どちらも相手に「茨の呪い」により継続的にダメージを与える効果があるようです。
襲ってくる茨を倒す事で他の茨がどうにかなる、あるいは刺激することはありません。
その辺りの条件も謎に満ちています。

●スイロリル・スー・スーミク
深緑領内に無数にある植物の植生をチェックする植物監視官。その長。
植物好き好きっ子。木とかに名前を付けたりしてる。
知識欲が高く真面目で努力家。事務的な話し方でとっつきにくそうだけど、
国外に気軽に出ることができない立場のため、自分が知らない場所や遠くの土地の植物の話をするとすごく食いついてくる。なので旅人は歓迎する方。魔術の能力はとても高く、霧を発生させて植物に水分を与えたりできる。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <咎の鉄条>茨姫のように完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
セララ(p3p000273)
魔法騎士
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
武器商人(p3p001107)
闇之雲
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
霞・美透(p3p010360)
霞流陣術士

リプレイ

●コハクの村へ
 ラサからコハクの村へ。
 その道のりは、不思議なくらいにシンとしていた。
 何もかもが眠りについたかのような、そんな不思議さだ。
 だからこそ、その雰囲気にのまれないように声をあげる者がいる。
「魔法騎士セララ参上! 困っている人がいるなら助けてあげないとね。 茨の正体を暴く手がかりを見つけてみせるよ!」
 そんな『魔法騎士』セララ(p3p000273)の明るい声が、暗い雰囲気を僅かに中和する。
 ファルカウ全土が『茨に覆われ入ることが出来ない』状態となっている、この状況。
 それは、少なくない数の者達に陰鬱な想いをもたらしていた。
「周囲が茨で覆われているとは……一体何が起きているのでしょうね」
「……なるほど、まるでいばらの森の眠り姫という事か。主に深緑で活動していた身としては事前の対処をできなかったことを悔やみたいところだが……今は自分にできる事をしよう。少しでも早く真実にたどり着く為に」
「何か起こるだろう事自体は予測の範疇でしたが、しかしこれは……茨。この茨こそが脅威の事象であるのなら、これを引き起こしたものは恐らく深緑内部に潜んでいた冠位怠惰に連なる魔種達か……」
『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)と『黒鋼二刀』クロバ・フユツキ(p3p000145)、そして『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)も、そんなことを呟く。
 実際にどうであるかは分からないが……今の状況は、そうした憶測を重ねていくしかないものであることだけは確かだった。
「茨に囚われ、眠り続ける、か。どこぞの童話のような有様だ、な。内から発生したものか、外からの侵略か……少しでも掴めれば、良いのだが」
「やれやれ、困ったものだね。サヨナキドリの深緑支店も現在連絡がつかない。この調査でなるべく多くの情報を持ち帰りたいものだね」
 だからこそ、『金色の首領』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)と『闇之雲』武器商人(p3p001107)も全ての可能性を否定しない。
 何かが起こっている。だが、その「何か」が何であるかは断定するには早過ぎるからだ。
「あくまで目的は調査、帰還が第一だね。この中では一番の若輩者だ、無理はしないよ」
『霞流陣術士』霞・美透(p3p010360)もそう言って……見えてくるコハクの村を前に、『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)も気を引き締める。
「この世界は理解できない事がよく起こります。でも、不測の事態が連続してもより多くの人を助けていきたい。それがわたしの意思なのです。だから此処に来た……呪いになっても死ぬことはなく、しばらく眠りについていた、程度で済ませたいから」
 それは、祈りにも似ていただろう。
 そして、誰もがそれを望んでいた。

●コハクの村調査
 茨に覆われている。
 まず最初に浮かぶ感想は、それだった。
 迷宮森林の外側近くにあるコハクの村は、あちこちが茨で覆われている。
 今まで僅かであった茨の量が凄まじく、奥に行けば行くほどそれは増えているように感じられた。
 広域俯瞰で見ていたクロバは、やがて小さく溜息をついて首を横に振る。
「何も分からないな。広域に茨があることは分かるが、そのくらいだ」
 この村までのルートが残っていたのは偶然のようなものだ。
 恐らくはもう少し奥側にあれば、コハクの村も完全に呑みこまれていただろうとクロバは感じていた。
 そしてセララも上空を飛行していたが……一定の位置へ近づくと、眼下で茨がピクリと動くのが見えていた。
「たまたま伸びていないって感じ……かな?」
 茨は村全体を覆ってはいる。いるが、然程密度は高くないというのが正解だろうとセララは感じた。
 事実、コハクの村を上空から見ても仲間以外に動く者は居ない。
 そして……どうやら、飛行して居ようと奥まで進み過ぎれば、茨は容赦なく攻撃してくるだろうとも感じていた。
 降りて状況を伝えたセララとクロバの情報を合わせると、外で倒れている人もいるが……数はそんなに多くはない。
 ただ、どの時間にどういった状況で茨が伸びたのかは分からない。
 該当する候補が多すぎるのだ。
「では、次は私が」
 リュティスは森羅伝心で周囲の植物にどのように茨が発生したのか確認しようとする。
「何者かが訪れて起きたことなのかは確認しておくべき事だと思いますので、また住人が眠る前の状況だけがわかりそうであればついでに聞いておきましょう。何故、眠っているのかも突き止めなければなりませんからね」
 そうしてリュティスは呼びかけてみるが……気が付いたらこうなっていたということしか分かりはしなかった。
 だが、それで終わるわけにはいかない。リュティスはそのまま、倒れていた住民の1人の様子を見る。
(ただ眠っているだけなのか、魔術的に拘束されているのかは確認しておくべきでしょう。何か痕跡が残っているのであればそこから原因を辿れるかもしれませんしね)
 見たところ、「ただ寝ているだけ」に見える。
 だが、明らかに尋常ではない。揺すっても起きず、動かそうとすれば苦悶の表情を浮かべる。
 何かしらの超常の力によるものであることは疑いようもない。
 周囲に妖しい物などがないかはチェックするが……どう考えても原因は1つであるだろう。
 そして美透も、自分なりに調査を開始していた。
「そもそも何故住民が眠りについている……? 立ち入った瞬間眠気が、という事もないようだけれど。やはり空間そのものが眠りを促すのではなく、茨やその他の要因が……? 調べてみないことには何とも、だね」
 だが、それすら確定ではない。此処から先に踏み込めば、美透たちが眠くなって昏倒する可能性だってゼロではない。
 だからこそ、美透は透視を使う事にした。
 扉の茨は破壊出来そうだし、他のものが連鎖的に襲ってくる事もないようだが……どのみち全てを相手にする訳にはいかない。
 無闇に荒らせばこの場では無事に帰れても、次回以降の調査で茨がより強固にならない保証は無い。
 だからこそ強硬手段は仲間に任せ、比較的穏当な手段を選んだのだ。
(家を透視して中の様子を確認できれば、破壊する茨を最小限に出来るだろう。窓があっても茨に覆われていない保証は無い)
 眠りについている住民は一人でも多く調べたいし、他の手がかりも見つかるかもしれない。
 透視でそういったものを見つけられた建物に優先して入るのが良いだろうと、そう考えたのだ。
 透視をすると……住民達が寝ているのが見えた。
 茨は僅かな隙間などから入り込んでいるようだが、特に怪しい気配はない。
 そして……家の中にいる住人は、誰もが静かに眠っているように見えた。
 どの家を見ても、一切の例外もない。
 一方、ココロとエクスマリアも組んで探索をしていた。
 狙いは1つの家。窓の外から見える光景で、中に住人がいるのは確認済だ。
「マリアさん、中は入れそうですか?」
「ちょっと待て……ん? 茨は……これは物質透過では抜けられそうにないな」
 直感で「刺さる」と感じたエクスマリアは、その場からいったん離れる。
 分かってはいるが、ただの茨などでは断じてない。
 それがまた1つ裏付けられた形になったが……エクスマリアは家の周囲を巡ると、茨の隙間をぬって物質透過で家の中へと潜入する。
「昏睡と茨が時間差で生じていた場合、眠る前の住人が何かしら気付いて、手がかりを残していた可能性も、ある」
 それを探して、丁度書き物をしていたらしい青年の机の上のメモを見るが……何かの覚書のようで、手がかりのようなものはない。
 しかも丁度書き終えていたようだ。これでは判別は不可能だろう。
 だが、まだ手はある。
 眠っている青年へリーディングを使用し、夢への干渉されていたり、表面上は寝ていても意識は覚醒状態ではないかどうかを調べることにしたエクスマリアだが……特に読み取れそうな思考はない。
 霊魂疎通で疎通できそうな霊も周辺には居ない。
 となると……エクスマリアは茨にリーディングを使用してみる。
「……?」
 やはり読み取れるものはなかったが……妙な違和感をエクスマリアは感じていた。
 その間にココロも家の外で寝ていた青年を診察していた。
『医術士』としての医学系知識を活かして病気の患者を診察するように観察していく。
 脈は……正常な範囲。
 顔色は悪くない。
 パッと見での異常はなく、寝かしておいた方が安全であるだろう。
 皮膚に腫れ物のようなものは……確認できる範囲では、ない。
 水ぶくれのようなものだったら毒の影響を疑えるが、それもない。
 声を掛けたり顔の前で手を振るが、寝ていて起きる様子はない。
 医学的見地から言えば脳の神経に茨は働きかけられるとココロには判断できるが……確定診断を出すには材料が足りない。
 同様に別の場所では、アリシスも住人を調べていた。
(茨に手を出すのは後です。可能な限り住民の状態確認を試みなければ……)
 茨のせいで内部に侵入できない家屋については、先ず透視で壁面や扉を見通して内部を確認し、住民の位置や状態を確認。
 その上で、可能なら物質透過で内部に侵入を試み住民を調べていく。
 そしてやはり気になるのはエクスマリア達同様に「眠りに落ちたタイミング」だ。
 そのタイミングに個人差はあるのか。住民以外に眠りに落ちていない生物は居るのか。
 調べれば眠りに落ちた時の凡その状況が解ると思ったのだが……どうやらペットを飼う習慣が此処の住人にはないようで、人間以外の生物が見当たらない。
 ならばと住人の体温や外傷等を確認するが、やはり動かそうとすると苦悶の表情を浮かべる。
 それはアリシスに「住人の命の危険」を充分に予感させた。
 ではせめてと、身体に布団をかけるが……今できるのはそのくらいのものだった。
 リーディングですら、読み取れる情報がない。
 一方、セララはファミリアーでハムスターのムっちゃんを召喚していた。
「この子なら茨で封鎖された場所も隙間を見つけたして潜入してくれるはず。隙間を抜けて茨の根元を確認しに行って貰おう。人間じゃ無くて小動物なら茨も反応しないかもしれないしね」
 そう期待したのだが……結果としては「茨の根元はたぶんあるのだろうが分からない」「ハムスターでもあまり近づくと茨が反応する」といった結果であった。
 そうして全員で一通りの情報を集めてきて戻ってくるが……分かったことは多くはない。

 住人は中に居たり、外に居たりするが全員眠っている。
 動かす事は命の危険がある。
 何か読み取れる情報、あるいは残された証拠などは存在しない。
 住人に怪我はない。眠っているだけで健康そのもの……と判断できる。
 茨の根元はあると思われるが、どれが「そう」であるかはイマイチ不明。
 そしてクロバの調べた限りでは、この先に進むのは茨の密度からして今は不可能に近い。

「この茨で我(アタシ)が"どうにか"なるんだったら──こいつはとんでもなく危険なシロモノってことだね。ヒヒヒ!」
 武器商人がそう言って笑うが……まさに危険で謎だとしか言いようがない。
「全員揃いましたし……茨に問いかけてみましょう」
 そう言って、リュティスは茨に森羅伝心を使用し、普通の植物と同じように意思疎通が図れるか試してみる。
「どうしてこのようなことをしているのでしょうか?」
 そう呼びかけてみるが……リュティスは、何も感じ取れない。意思を交わすことを拒否されたというよりは、これは……。
「もしや……これは植物ではない……?」
 分からない。だが、このあまりにも異質な茨が「そう」であったとしても、何の不思議もない。
「茨を刺激せずに出来る調査はこのくらい、かな?」
「そうだね。最期に茨を刺激してみるのもいいと思う」
 クロバとセララは頷きあい、美透も同意する。
「戦闘は茨の特性を掴むチャンスだ。私自身、支援を届ける為には周りに目を向ける必要があるから余裕があるとは言わないが、一歩引いた地点で茨の動きを見れる筈だ」
 あくまで防衛反応として攻撃を仕掛けてくるのか? それとも茨自身に意思があるのか?
 積極的に攻撃を仕掛けてくるなら、後者と考えても良いかもしれない。
 茨が何かは分からないままだが……少なくとも、ある程度の理解を深める一助にはなるだろう。
 その行動に入る前に、アリシスは茨を神秘的な観点から観察してみる。
 そして、気付く。これは茨……に見えるが、やはり植物ではない可能性もある……と。
「サンプルが欲しいですね」
 自然と出たそんな呟きに、全員が頷いて。
「それじゃあ、タイミングを合わせて……」
「いきます!」
 クロバとココロ、そして全員がタイミングを合わせ、茨へと攻撃を加える。
 一斉攻撃に茨は抵抗を見せることすらせずに地面にドサリと切れ端が転がって。
 しかしその瞬間に、急速にしおれていく。
「こ、これは……!?」
 カサカサの何かになった茨の欠片を手に、クロバは嫌な汗をかく。
「これは本当に植物だというのか……?」
 調べれば調べる程、違うのではないかという想いが高まっていく。
 だが、裏付ける決定的な証拠がない。
(何故このようなものが出てきたのか。深緑全体で何が起こっているというのか。謎は多い、だが今の俺達には少しずつ足を使って調べていくしか、ない)
「怠惰の魔種、眠りの粉……この眠りと茨が密接に繋がるのなら、眠りは冠位怠惰の権能の可能性がありますね」
「分からない。分からないが……少しでも情報を持ち帰るしかないだろう」
 アリシスとエクスマリアも頷き、武器商人が「ヒヒヒ、確かに今はそいつしかなさそうだ」と笑う。
「出来るだけ大きな破片を持ち帰りましょう。こんなものからでも何か分かるかもしれません」
 その辺りは、期待薄かもしれないが……今は、それしか頼るものがない。
「必ずこの状況は解決します。それまでは……」
 おやすみなさい、とココロは村の人々へと告げて。
 そうして、手にした情報としおれ切った茨の欠片を手に、ラサへと戻っていくのだった。

成否

成功

MVP

霞・美透(p3p010360)
霞流陣術士

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
無事に情報を持ち帰りました!

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