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シナリオ詳細

<グラオ・クローネ2022>It's a Sweetest World!

完了

参加者 : 18 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あまいくに
 グラオ・クローネ――それは誰もが知っている灰色王冠の甘い物語。
 ROOでもその文化は浸透しており、ゲーム世界ならではの期間限定フィールドがいくつか用意され、年に一度のチョコレートの祭典で盛り上がる。
 その中のひとつの告知が、ログインしたばかりのあなたのメインウィンドウに浮かび上がった。

 ――グラオ・クローネ特設スイーツフィールド『可笑しなお菓子の国』。
   大きなテーブルの上に並ぶ、大きなアフタヌーンティーセット。
   スイーツたちは、あなたよりもずっと大きなもの。
   豊かな香りのチョコレートに、さくっともっちり可愛いマカロン。
   流行りのドレスを纏ったご令嬢(レディ)のようなケーキたち。
   瑞々しい果物たちはチョコレートの噴水でおめかしをして、
   ふかふかマシュマロたちはあなたを優しく抱きとめる。

   DrinkMeを飲んだアリスみたいに『小さくなった』ような体験がしたいなら
   さあ、扉に手を掛けて! 目眩く甘味に満ちたひとときを!

 記された簡単なおつかいクエストで『鍵』を入手すれば、その『扉』は開かれる。
 扉を開けば、そこは甘味好きにはたまらない空間。
 地面は果てしなく続く、チェス盤めいたテーブル。
 見上げるほど大きな茶器たちに、武器になってしまいそうなカトラリーたち。
 食べきれるか不安になってしまいそうな程に菓子たちはどれもこれもが大きくて、どれから食べようかと悩んでしまう。
 漂う香りに導かれるように進めると、何故だか視界に収まるの茶器や菓子が大きくなっていく気がする。目の錯覚? と何度も目を擦れば、それが錯覚ではないことに気がつくはずだ。
 まるで、兎穴に飛び込んだ少女がDrinkMeを飲んだような世界。
 それが『可笑しなお菓子の国』というフィールドだ。

●あまいおさそい
「これでよしっと」
 ポチッと一斉メールを送信した『パラディーゾ』イヅナは送ったばかりの文面を見直して、悪戯猫のようににんまりと口の端を上げた。
 ちゃんと『自由に遊んで欲しいッス』とも書いたし、今回のメールは完璧。ちゃんとしたお誘いメールだ。お世話になった人たちにお誘いもできちゃうなんて、きっと彼女の『アニキ』だって成長したなと驚いてくれるはずだ。
「イヅナおねえさん。一通り見回ってきましたが、危ない所はなさそうですよ」
「あっ、ありがとうッス」
 皿に積まれたスコーンの奥から顔を出したのは『名探偵』猫屋敷・スイ(p3y000218)だ。先日このフィールドはバグが発生していたから、最終確認の人手に……とイヅナから依頼があったものの――如何せんこの探偵、敵を『倒せない』のだ。そのための用心棒役として呼ばれたらしい『検非違使』雲英・雨雀を伴って、フィールド内を一周してきたようだが先日のように徘徊するチョコレート・モンスターは発生しておらず、いたって安全なフィールドとなっていた。
「それにしてもすごいですね、ここ」
 フィールドステータスをスイが開き、読み上げるには――、
 『おいしくなぁれDX』……全ての飲食物が「おいしい」と感じられます。
 『きれいになぁれDX』……汚れても3分経過すると綺麗になります。
 ……他にもいくつか特殊な効果が出ているようだが、特筆すべきはこのふたつだろう。『おいしくなぁれDX』は甘味が苦手なひとでも「おいしい」と感ぜられ、飲み物等も自分が「おいしい」と感じられる温度になるようだ。
「この『きれいになぁれDX』、すごかったですよ。猫神様がチョコレートファウンテンに飛び込んだのですが、本当に綺麗になっていました!」
「……何やってるんスか、その猫」
「勢いよく飛び込まれたせいで僕も巻き添えを頂きましたけど……あっ、あと。トロトロのチョコレートなのに、熱くないのですね。びっくりしました」
 ゲームの中だからこそだろう。本来ならば熱々であろう溶けたチョコレートも、温かいなぁくらいの温度に感じられる。ポットに入っている紅茶やミルクも同様だ。ティーカップに入れれば紅茶風呂やミルク風呂、チョコレート風呂気分も味わえそうで、「水着アバターを持っていたら暫くここに住みたい……」と探偵はひとりごちた。
「お菓子は食べてみたッスか?」
「勿論、食べました! どれもこれも大きいので、ちょっと休憩しようと離れていたら消えていてビックリしました!」
 このフィールドでは負傷したアイテム(齧られたスイーツ)たちは、人が離れて3分経過するとリポップする。積まれたスコーンの皿から持ち出した場合、スコーンの皿の上にスコーンが。どこかの皿に単体で置いてあったケーキなら、目の前やランダムな位置にランダムな菓子が再出現するのである。
(アバターなので、カロリーも気にせず食べれるのも良いですよね)
 なんてこともスイは思うけれど、ゲームの住人であるふたりの前では口にしない。彼等は多分、カロリーなんて気にしたこともないのだろうから。
「人が来て賑わうのが楽しみッス」
 デイジーみたいに明るく笑ったイヅナに、「そうだな」と雲英が静かに返すのだった。

GMコメント

 ハッピー・バレンタイン! 壱花です。
 やっと! グラオ・クローネ!
 ……だいぶスタートダッシュを決めてきた気がします。

●目的
 バレンタイン期間用の限定フィールドを楽しもう!

●フィールド
 『可笑しなお菓子の国』という、バレンタイン期間用の限定フィールド。
 地面は果てしなく続く、チェス盤めいたテーブル。
 自分よりも大きな茶器に、お菓子たち。
 温泉のようなチョコレートファウンテンに、キラキラ輝く飴の滑り台。
 おしゃれなお茶会にありそうなものなら何でもあります。『おいしくなぁれDX』があるので甘い物が苦手でも楽しめ、『きれいになぁれDX』があるので汚れを気にする必要もなく、スイーツはリポップするので食べきる必要もありません。大きなお菓子に囲まれて、めいっぱい楽しんでくださいね!
 このフィールドは不思議なことに、奥に行けば行くほど周囲にあるものが『大きく』なっていきます。好みの大きさのスイーツたちに囲まれてくださいね。

・関連シナリオ『甘い顔にはご用心!』
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7236

●迷子防止のおまじない
 一行目:行き先【1】~【3】
 二行目:同行者(居る場合。居なければ本文でOKです)

 同行者が居る場合はニ行目に、魔法の言葉【団体名+人数の数字】or【名前(ID)】の記載をお願いします。その際、特別な呼び方や関係等がありましたら三行目以降に記載がありますととても嬉しいです。

 リプレイはフィールド内で楽しんでいるところから始まります。(おつかいクエストのプレイングは必要はありません)
 上記フィールド説明にもありますが、このフィールドは奥へ行けば行くほど小人気分が味わえます。どれくらいのサイズ感かは……可愛くイチゴで例えると以下のとおりです。
(※元のイチゴは親指と人差指で輪を作ったくらいの大きさのものとします)

【1】浅部
 イチゴが50cmくらいの大きさ。ティーカップに寝転がると足が出る。

【2】中央
 イチゴが1mくらいの大きさ。ティーカップが広めのお風呂サイズ。

【3】深部
 イチゴが2mくらいの大きさ。世界のすべてがとても大きい。
 2mくらいのドラゴンアバターでもきっと大満足!

●イヅナから招待状が出ている方へ
 お世話になったお礼と「出しておけばアッシが元気なのは解るっすよね」と出しているだけなので、彼女のことは事は気にせず楽しんでください!

●NPC
 三名が同行しています。イヅナとスイは基本的にどこでも見掛けます。
 全員甘いものが好きです。

・『パラディーゾ』イヅナ
 イレギュラーズたちと友達になったパラディーゾ。
 最後の時まで楽しく生きる! をモットーに元気に楽しいもの探しをする日々。
 甘い食べ物を口にすると幸せ成分が高い気がして、気になったお菓子を食べつつウロウロしています。

・『名探偵』猫屋敷・スイ(p3y000218)
 美味しそうなお菓子を探して猫神様とウロウロしています。
 チョコレートファウンテンでチョコまみれになったり、深部でマシュマロトランポリンで遊んでみたり、気ままに甘味を食べたりと満喫しています。

・『検非違使』雲英・雨雀
 休暇取りに来ました。【2】に居ます。
 わんにゃん肉球型マシュマロ(直径2m)を見つけ、寝転がってみたらもう何もしたくなくなりました。これがひとをダメにするマシュマロ……。

●EXプレイング
 開いています。
 文字数が欲しい、関係者さんと過ごしたい、等ありましたらどうぞ。
 可能な範囲でお応えいたします。(確約をするものはありません)

●ご注意
 イベシナなので描写量が控えめになります。行動は絞った方が幸せになれます。
 公序良俗に反する事、他の人への迷惑&妨害行為、未成年の飲酒は厳禁です。

  • <グラオ・クローネ2022>It's a Sweetest World!完了
  • GM名壱花
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年02月24日 22時05分
  • 参加人数18/50人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 18 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(18人)

パンジー(p3x000236)
今日はしたたかに
ザミエラ(p3x000787)
おそろいねこちゃん
ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)
叫ぶ流星
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
ルフラン・アントルメ(p3x006816)
決死の優花
シャル(p3x006902)
青藍の騎士
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
とっかり仮面(p3x007195)
よう(´・ω・`)こそ
シュネー(p3x007199)
雪の花
リュカ・ファブニル(p3x007268)
運命砕
焔迅(p3x007500)
ころころわんこ
ひめにゃこ(p3x008456)
勧善懲悪超絶美少女姫天使
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
アルフィンレーヌ(p3x008672)
ムッターロボ
アマト(p3x009185)
うさぎははねる
ねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)
しろねこぎふと
天狐(p3x009798)
うどんの神

サポートNPC一覧(1人)

猫屋敷・スイ(p3y000218)
名探偵

リプレイ


 鍵を回して『お茶会』への扉を開いたなら――そこは甘やかな空間。
 目に映る全てのものが大きくて、まるで自分が小さくなってしまったかのよう。
 そう、有名な物語に出てくる『不思議の国に迷い込んだ少女』のように。
 ティーカップの中に恋人とともに収まった九重ツルギ(p3x007105)は、現実ではありえないような光景に小さく笑みを零した。
「ツルギさんはどれがお好み?」
「俺はイズルさんが食べさせてくれるなら、何でも」
 肩に触れる熱に愛おしげに笑んだイズル(p3x008599)は、どれにしようかと辺りを見渡す。
 定番の苺ショート、グラオ・クローネに相応しいチョコケーキ。
「どれにしようかな」
「イズルさんはお菓子にナンパなのですね」
「違うよ。キミの口に合うのを選んでいるだけ。はい、あーんして?」
 意識を向けてと囀る口を、クリームでたっぷりと甘くして。
「それでは俺からは、これ」
 愛で染まったようなルビーカカオのチョコレートケーキなんて如何でしょう?
 フォークを差し出せば、互いに素直に口を開き合う。
 見た目にそぐわず甘酸っぱい後味に、甘いのにまた次が欲しくなる甘味。
「イズルさんはどれが好きですか?」
「私には一つだけ選ぶ事は難しいかな」
 ああ、勿論、お菓子の話だよ。
 なんて。イズルは甘く囁くのだった。
「イヅナ、イヅナ。乗ってみるぅ?」
 大きなクラゲ姿になったエイラ(p3x008595)がふわふわと浮かんでいた。それを見たイヅナの瞳が左右にゆらゆら移動するエイラを追いかけるものだから、エイラはぷかぷか笑ってぴかぴかと光った。
「え。乗れるんスか?」
「乗れるよぉ」
 借りてきた猫みたいになったイヅナが面白い。エイラは小さく笑うと、チョコや紅茶、ミルクの入ったティーカップへとぽちゃんぽちゃんと飛び込んだ。
 その度に上がるのは、感情の籠もった元気な声。その声が響く度、エイラの心は満たされる。ああ、生きてくれているんだねぇ、と。
「イヅナぁチョコぉ渡せた?」
 ぷかぷか楽しんだ後の、クッキーの丘の上。ハッピーグラオクローネの声とともにチョコを渡してそう尋ねれば、それだけで伝わったのだろうイヅナは眠る前の猫のように瞳を細めた。
「チョコのお花を見つけたんスよ」
 自身も主へチョコと花を備えたエイラは、一緒だねぇとまた微笑んだ。
「あー! 見つけましたよ、イヅナちゃん!」
 エイラとまた後でと別れて歩いていたイヅナを、ひめにゃこ(p3x008456)が見つけた。
「はいこれ、ひめからのチョコです!」
「くれるんスか?」
「ええ、ひめだと思って味わって食べ……あぁ! そんな!」
 ひめにゃこ型のチョコは遠慮なく頭から齧られた。嘆くひめにゃこにどうやら頭からいってはダメだった事を理解したイヅナは、それじゃあ違うお菓子を一緒に食べようと話を逸す。
「む。だいぶひめの扱いが上手くなってきてますね……あ! ちょい待ちです! 今どきの女子は食べる前に写真を撮るんですよ!」
「あ! イヅナさんたち女子会してるー!」
 ピースでのツーショットをするふたりを見つけたルフラン・アントルメ(p3x006816)が駆け寄って、三人でスリーショットも撮影した。可愛い女子たちと甘いスイーツの山。映え、というものだとひめにゃこが力説したが、イヅナは首を傾げていた。
 今日はチョコレートの匂いが身体からしないねなんて笑い合って、大きなナイフを手渡せばマーブルチョコのクリケットのはじまり。
 たくさん食べて、笑い合って、遊んで、また笑い合って……来月はねとルフランがイヅナに自身の誕生日を告げたところで、「よぉ」と頭の上に声が落ちてきた。
 招待ありがとうなと片手を上げるリュカ・ファブニル(p3x007268)の姿に、イヅナの瞳が丸くなって――そうしてゆっくりと細められた。来てくれて嬉しいと告げる声はほんの僅かに揺れたけれど、湿っぽくはない。
「ひめにゃこさん、あっちのクッキー食べよっ!」
「ええー?」
 ふたりきりの時間を作ってあげようと、ルフランがひめにゃこの手を引いていく。
 揺れるリスの尾へと感謝の視線を送ったリュカはイヅナへと向き直り、「この前はすまなかったな」と傷つけた言葉に対して頭を下げた。
「えっ、ちょ……解っているッス。アッシも、言わせてごめんなさいッス」
 頭を下げあったふたりは顔を上げ、はにかむように笑い合う。
 ティーカップに背を預けて暫く言葉を交わせば、イヅナが今を楽しんでいることがリュカには解った。
「今のお前の事、『リュカ』は誇りに思うだろうぜ」
「『ルカ』……さんが言うなら、間違いないッスね」
 共犯者のような悪戯めいた笑みを浮かべ合い、それじゃあまたなとリュカは離れていく。
「……ルフラン、すごい顔してるッスよ?」
 だって別れ際に頭を撫でられてるの見ちゃったんだもん!
 ……とは言えないルフランに、イヅナは潰れたまんじゅうみたいだとお腹を抱えて笑い出す。
「もー、なにー!?」
「わ、やめるッスよ!?」
「ひめもドーン!」
 きゃあきゃあと響く声は、いつまでも楽しげに。

 奥へと行くごとに、周囲のお菓子や食器は大きくなっていく。
 身体の半分よりも大きなイチゴの上にぴょんっと飛び乗ったアマト(p3x009185)の足元で、ぐらりとイチゴが傾いた。何故ならイチゴは湖みたいな生クリームの上。高いところから手紙の主を探していたアマトは「あ!」と嬉しげに声を上げぴょんっと飛び降り――イヅナの前へと降ってきた。
「イヅナ様! こちらをアマトと食べましょう!」
 手にしているのはアマトがまだ食べたことのないお菓子。一緒に食べればきっと、美味しさも驚きも二倍に違いない。
「イヅナさんこんにちは!」
 スイーツを前にすれば、誰だって『ただの女の子』。だからパンジー(p3x000236)は明るく笑って、一緒にお菓子を食べましょ? と声を掛けた。
「勿論ッス。パンジーはこれ、食べたッスか?」
「なぁに、それ」
 マーブルな怪しい色のカップケーキ(超特大)。見た目はアレだけど美味しいッスよとイヅナは楽しげで、あの日のしおれた花のような彼女はそこにはいない。それがパンジーにはとても嬉しくて、ただの女の子として心から楽しく笑みを咲かせた。
 大きなスイーツたちは秘密基地めいている。女の子たちが密やかに会話を交わしあう場でもあれば、ひっそりとお昼寝するにももってこい。
 大きな肉球型のマシュマロの上で手を組んで転がっている雲英を見つけたねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)は声をかけようか迷った。けれど近づけば彼が瞼を持ち上げたものだから、白仔猫とみゃーっとご挨拶。
「僕もご一緒してもいい……?」
「構わない」
 白仔猫を差し出せば満足気に瞳が細められ、いつのまにかふたりと一匹、川の字でスヤスヤお昼寝。
 弾力のあるマシュマロの上で瞳を閉ざしていると、ふと影が落ちた。
「そのマシュマロ、そんなに気持ちいいか?」
 Teth=Steiner(p3x002831)が尋ねるが、ダメになり過ぎてしまった雲英からの返事はない。転がれば解るといいたいのか、片手だけが隣のマシュマロをぽすんと叩く。
 チョコ風呂もふかふかのパンケーキの上でのゴロゴロも堪能し終えているTethはふむと思考して――。
(ん、ぁー……だめだ。こりゃ堕ちる。ヤベェ)
 ふかふかマシュマロの虜が、またひとり。

 大きなケーキはまるで怪獣のお菓子。
 けれども数多の宇宙怪獣を倒してきたアルフィンレーヌ(p3x008672)の敵ではない。どちらかと言えば、敵は時間の方。何故ならアルフィンレーヌは一時間以内に楽しみきらなくちゃいけないのだから!
 どーんっとケーキに突っ込んで食べ進め、この後はお茶のお風呂とふかふまマシュマロを堪能したいわとアルフィンレーヌは大忙しだ。
「うひょー! あの時のフィールドがこんな感じになったんだな!」
 お掃除に来た時よりも大きなスイーツたちの前でとっかり仮面(p3x007195)がびちんと跳ねた。大きいものはいい。大きいものはロマンだし、テンションが上がる。チョコの川を泳げるだなんて夢のようだ。
 チョコ風呂に浸かって次なる冒険に向けての一休みをするとっかり仮面の頭上を、何かが飛んでいく。
「何を食べましょうか、イヅナ殿!」
「あ、あそこに降りて欲しいッス!」
 あの日飛んだ空とは違い、大きなお菓子たちを見下ろして飛んだ焔迅(p3x007500)は了解ですと背のイヅナへと頷いて、彼女が指差す貝のお菓子――マドレーヌへと降り立った。
「これだけ大きいと僕でも食べ切れそうにありませんね」
 住めそうなくらい大きなカップケーキにマドレーヌ、フィナンシェ、マシュマロ、チョコレート。美味しいものを見つけたらお勧めしあって、あれもこれもと楽しんだ。
「イヅナ、あっちにアイスクリームもあったわよ!」
「えっ、本当ッスか!?」
 お菓子の間からぴょこんと顔を出したザミエラ(p3x000787)にパッと笑顔を向け、イヅナは彼女に手招かれるままに着いていく。
「アイスクリームスノーマンを作りましょ♪」
「スノーマン!」
 絵本で見たことがある雪だるまとは違い、身体はバニラアイス、帽子はイチゴ、腕はプレッツェル。初めての雪だるまにはしゃいで食べて身体が冷えれば、チョコフォンデュのチョコでとろり蕩かして。
「ハッハッハ! チョコレートうどんじゃ!」
 チョコフォンデュにうどんをつけている人物が居た。うどんの申し子、天狐(p3x009798)である。
 チョコラーメンなるものがあるのだから、チョコうどんがあってもいいはずだ。チョコパフェの白玉のような感覚になるのでは?
「生地にチョコを練り込んでは如何でしょう?」
「それじゃ!」
 通りがかりの探偵の言葉に、天狐は閃きを得たようだ。
 スイはそのまま通り過ぎ、大きなマシュマロへと向かう。伴うバディペットの猫神様と一緒に飛び込めば、ぽよんとマシュマロが弾力を持ってその身を弾き返してくれる。
「初めまして、猫っぽい人!」
 そこへ唐突にぽんっと飛び込んでくるのは流星――ではなく、ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)。マシュマロトランポリンは彼をもぽよよんと弾き返す。
「わ。どこから来たのですか!?」
「飴の滑り台だよ☆」
「楽しそうですね!」
「それじゃあ一緒にいこ? 案内するよ☆」
 行き方にコツがあってね、なんて。ふたりは高い位置にある飴の滑り台へと向かっていくのだった。
「ん! シャル様、このショートケーキ甘くて美味しいです!」
「シュネー、こっちのケーキも美味しいよ」
 ケーキが大きくてクリームが付いてしまうねと笑い合いながらも、シャル(p3x006902)とシュネー(p3x007199)のふたりは住めそうなくらい大きなケーキをたっぷりと頬張った。
「ねえ、シュネー」
 シャルが視線で誘う先にあるのは、大きなふかふかなマシュマロ。
 あれに飛び込んで休憩したら、気持ちいいとは思わない?
「食べ物で遊んではダメと教えられてきましたが……」
「お菓子の国なんだし、お菓子をベッドにするくらいダメなんて事ないさ」
「ふふ、ええ、そうですね。咎める人なんていませんものね」
 綿菓子みたいにふわふわと羽根を伸ばしたって、体重や栄養を気にせず好きなだけ食べたって、チョコレートよりも甘い甘さに身を浸したって、ダメだよだなんてだぁれも言わない。
 だってここは沢山のお菓子に溢れたお菓子の国なのだから。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ハッピーグラオクローネ!
心もお腹も、幸せで満たされますように!

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