PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ドラネコを探して

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●子ドラネコ
「……」
「……」
 亜竜集落フリアノン。
 岩の上に座って本を読んでいる亜竜種の少女、静李の膝の上に何かが乗っている。
 猫。
 いや、猫のようで猫ではない。
 何やらドラゴンっぽい翼が生えている。明らかに亜竜だ。
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、周囲をゆっくりと見回すと……気付く。
 同じようなちっこい亜竜が、ちらほらとフリアノンの中を闊歩している。
 地面、岩の上、誰かの膝の上。
 我が物顔で歩いているソレは、非常に猫によく似ていた。
 しかし、小さすぎてもふっとしすぎて、全く戦闘力があるように見受けられない。
「ちょっと、いいだろうか?」
 ベネディクトがそう聞くと、静李は本からチラリと顔をあげる。
「ドラネコだ」
「ドラネコ……ああ、ドラゴンで猫だからか?」
「そうかもしれないし、違うかもしれない。昔から人里にいて、こうして甘えに来る」
 そういえば猫とはそもそも人と生きるように進化した生き物だというが、このドラネコもあるいはそうなのかもしれない。
 ともあれ、亜竜集落における猫的な生き物だというのは間違いなさそうだった。
 話は終わりだとでも言うかのように静李は再び本を開きかけるが……ふと、思い出したように顔をあげる。
「そういえば、相賀の爺様がよくドラネコに埋もれている。気になるなら、聞きに行けばいい」

●ドラネコを探して
 静李から、あるいは別の誰かから似たような話を聞いたらしい者たちが酒屋に行くと、そこでは亜竜種の老人、黒鉄・相賀が色とりどりのドラネコに埋もれていた。
「おお、丁度良いところに来たのう」
 それはドラネコをどけてくれという話だろうか。
 いや、違うらしい。
 相賀はドラネコに埋もれたまま、「子ドラネコを探してほしいんじゃよ」と言い放つ。
 子ドラネコ。その言葉通り、ドラネコの子供だが、どうにも好奇心旺盛なところがある。
 可愛らしさに全振りして生きている亜竜なので、それそのものには危険性はないのだが……可愛さだけで生きていける程デザストルは甘くない。
 まあ、他の亜竜やモンスターに可愛がられて生きるドラネコもいるようだが……「かわいい」という概念を理解できないモンスターや亜竜も当然いる。
 ちなみに相賀はワイバーンと一緒に飛んでいたりアダマンアントの頭に乗っているドラネコを見たことがあるらしい。さておいて。
「最近生まれたばかりの子ドラネコが8匹ほど行方知れずになっておっての。まあ、場所の検討はついておるんじゃが……」
 相賀曰く、干し肉を保管している隠し倉庫の方に行ったのではないかとのことであった。
 ワームの干し肉だが珍味で、ドラネコの前に置いとくと結構な確率で齧られてしまうらしい。
 前に相賀が取ってきた時に匂いを覚えて行った可能性が恐らく高いだろうが……最近あの辺りは、乱暴なネオサイクロプスがウロついている。
 もしかすると、子ドラネコが脅えて帰れなくなっているかもしれない。
「儂はこの通りじゃしの。ちょっと行って探して来てくれんか?」
 

GMコメント

子ドラネコを探して連れ帰ってあげましょう。
見事連れ帰ると、集まってきたドラネコたちとのもふもふパーティーが始まります。
なお、ワームの干し肉を持ち帰ってきてご馳走になることもできます。
ドラネコも大好きワームの干し肉。そう、もぐもぐタイムです。

●隠し干し肉倉庫
黒鉄・相賀から貰った地図の通りに岩場を抜けて、岩山の壁に空いた穴を潜ると辿り着きます。
穴にはドラゴンっぽいマークを掘ってあるので、すぐに気付くでしょう。
穴の中には空間が広がっており、ワームの干し肉がたくさん保管してあります。
8匹の子ドラネコは、その中で丸まって寝ているようです。意外にふてぶてしいな。

●乱暴なネオサイクロプス
暴力万歳暴れん坊な一つ目巨人。
その辺の岩山を割って作った巨大なこん棒を持っています。
そのこん棒による薙ぎ払いと叩き潰し、巨体を利用した踏み潰し攻撃を使ってきます。
なお、ある程度ダメージを与えると戦意を失って逃げていくようです。

●ドラネコ
亜竜集落をトコトコ歩いてるかわいい亜竜。
大人になってもサイズは猫程度。可愛さに全振りした結果戦闘能力を失った、可愛さで世の中を渡る亜竜。
猫にドラゴンの羽が生えたような姿で、色や模様は千差万別。
鳴き声は「ニャー」です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 決められたルートを通る限り、想定外の事態は絶対に起こりません。
 決められたルートを外れた場合、難易度が大幅に跳ね上がる可能性があります。

  • ドラネコを探して完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月09日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
桐野 浩美(p3p001062)
鬼ごろし殺し
御幣島 十三(p3p004425)
自由医師
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

リプレイ

●ドラネコを探しに
「この世界に来て初めての依頼。準備はしてきたつもりですが、大丈夫でしょうか……」
『特異運命座標』ユーフォニー(p3p010323)の、そんな呟きが響く。
 やはり最初の依頼ともなれば緊張するのは当然だろう。
 しかも未知の領域であるデザストルだ。
「ユーフォニーちゃんは依頼、初めてなんだっけ。まー気負いすぎずゆるっと頑張ろーね」
 そんな『自由医師』御幣島 十三(p3p004425)を中心に、仲間たちが「緊張するな」と励ましていく。
 誰でも最初はあったのだ。ユーフォニーを気遣うのは、ある種当然の流れであっただろう。
「皆さんのおかげで緊張が和らいできました……ありがとうございます。私、猫、結構好きみたいです。安全に連れ帰ってあげたいです!」
 そんなユーフォニーの近くでドラネコがニャーと鳴いて、十三の視線がそっちへ向く。
「いやぁ、俺は騙されないよ。猫っぽくても竜でしょう?そんなあざとい姿でトコトコ歩いて……きゃわゆいなーもう!!」
 一瞬であざとさに惑わされる十三だが、他の面々も似たようなものだ。
「ドラネコちゃんを探せー! 心細い思いをしているに違いないしね。手早く保護してあげないと……そのためにもまずは危険の排除から! ネオサイクロプスなんて追い払っちゃうぞー!」
「ニャー」
『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の叫びに合わせてドラネコが鳴き、スティアがキュンとして。
「ドラネコチャン……もふもふかわいいドラネコチャン……絶対助けるっす! 人懐っこいドラネコがいたら、なでなでさせてもらえるっすかね?」
『囂々たる水の中で』桐野 浩美(p3p001062)などは、子ドラネコ用にカゴも用意していた。
「人懐っこそうだし捕まえるのは面倒じゃ無さそうっすけど、習性も猫っぽかったら箱に入るのが大好きなはず。そういう習慣が無くて見つけられなかったら、着物の袖に入ってもらうっすけど……俺っち着物だから胸に入れるのはきついっす」
 上手くカゴに入ってくれれば良いのだが……とそんなことを考えていると、置いてあるカゴに関係のないドラネコが入って丸まってしまう。
「あっ、ダメっすよ。あ、あ……」
「グルグルグル……」
 上機嫌に喉を鳴らすドラネコを目の前にしては、もうどうしようもない。
「ドラゴンとネコの間の子みてえなやつか。ネコってのは人気あるらしいが、俺はあんま縁がないんだよな。可愛いとは聞くが、ネコもこんな感じなのかね」
『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)も自分の靴に顔を擦り付けているドラネコを見下ろす。
 まあ、その辺りは個体差が非常に大きい。気分屋なのは確かだろうが。
「羽の生えた猫さん……! 可愛いし、可愛さで生きていってるなんて凄いわ! すぐに子ドラネコさんたち連れてくるから待っててね!」
 気合を入れる『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)に、リチェルカーレもプイプイ鳴く。
 お母さんドラネコの匂いで安心させる為に2人はその辺のドラネコを探すが……どれがそうかはイマイチ分からない。
 数体の匂いを嗅いで「お母さんドラネコの匂いで安心させる」作戦を発動させるが、成功するかはドラネコの気分次第だろうか。
「いやなかなかにこう……生命の神秘というものを感じるな。可愛さ全振りの生存戦略などという進化を2種類も見ることになるとは。ともあれ……集落の人たちが困っているというなら見逃す手はない。彼らもまた混沌世界に生きる民だ」
『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)も言いながら、ドラネコに視線を向ける。
 丁度目の前を飛んでいくドラネコは確かに可愛さ全振りだが……そういった進化は間違っていないという証明なのかもしれない。
「「かわいい」という概念を理解できる生物に生きる環境を作ってもらう、と考えると……この小ささで過酷な世界を生き抜くための最適解という感じがするのですよ! ドラゴンになってもねこちゃんいいのでして……」
『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)もホワホワとした様子を見せ、『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も使い魔のポメ太郎と共に地図の確認を始めていた。
「子ドラネコの捜索か、俺達でも対処出来る場所に居る様で良かったと言った所か。後は油断せずに俺達の出来る事を為せば事はなる」
 言いながら、ベネディクトはポメ太郎を軽く撫でる。
「ポメ太郎、今回はお前にも手伝って貰うからな」
 そう言って、ベネディクトは頷いて。
「一刻も早くドラネコちゃんを吸いたいところだけど、まずはネオサイクロプスを追い払って安全を確保してからだね」
「ああ、行こう」
 十三とベネディクトが、頷きあっていたその頃。
「相賀さん、いっぱいのドラネコに囲まれて楽しそうでしたね。もうすぐわたしも20歳……こんなこと言っては子供っぽいと笑われるだろうけど、主張したい」
『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は誰も周囲にいないのを確認してから覇竜の岩山に向かって、思いきり叫ぶ。
「わたしも、もふもふしたーーい!」
 もふもふしたーい。
 したーい。
 したーい……。
 返ってきた山彦に、仲間たちは慈愛の表情を浮かべ何もコメントすることはなく。
 そうして、一行は子ドラネコを探すべく隠し干し肉倉庫へと向かうのだった。

●子ドラネコとの出会い
 ネオサイクロプスとの遭遇は、突然だった。
 岩山に手をかけながら歩いてくるネオサイクロプスは、ベネディクトたちを見るとニンマリと顔を歪めてこん棒を振り上げる。
 イジメるものを見つけた、と。そう言わんばかりの態度だ。
「来るよ、ネオサイクロプスだ!」
 スティアが叫び、ベネディクトと共に前に出る。
 スイッチで壁役を行う2人の連携は、恐らく完璧だろう。
「この覇竜領域で似た様な個体は幾度か見たが……ある程度叩けば下がるのは有難いな。今回も大人しく引き下がって貰うとしようか」
 やはりこういう場所にいると、そういう性質が身につく者も多いのだろう。
 引き時、とでもいうべきだろうか。覇竜領域では必要な才能であるようにベネディクトは感じていた。
「お前さんとは気が合いそうだが……これも仕事でな。悪いが乱暴に行かせて貰うが、お互い様だよな!」
「ルシェもがんばるわ! 直接的な攻撃は得意じゃないけど、みんなが戦いやすくするのはそれなりに上手になったのよ! 多分!」
 ルカにキルシェ、そして仲間たちがネオサイクロプスを円状に囲むように布陣する。
 ネオサイクロプスの薙ぎ払い攻撃を意識してのものだが、どう攻撃したものか迷うネオサイクロプスの一瞬の隙をエーレンは見逃さなかった。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。シンプルに立ち退いてもらうぞ、巨人」
 サザンクロスを閃かせ、エーレンは斬神空波を放つ。
「特に恨みはないけども、今そこにいられると困るのですよ!」
 ルシアも飛行し、IrisPalette.2NDをネオサイクロプスへと向ける。
「この辺りを縄張りにすることに決めたのなら申し訳ないのですよ! でも、もう少しだけ違う場所にしてもらえると嬉しいのでして!」
 放つ破式魔砲は凄まじい威力をもってしてネオサイクロプスを撃ち抜き、シュート・ボウを構えたユーフォニーも仲間たちの動きに感嘆の声を漏らす。
「あれ、やっぱり少し緊張してるのかな……ううん、大丈夫。よく聴いて、見て、感じ取って。私にできる最大限のことを!」
 外の世界よりも強大なデザストルのモンスター……ネオサイクロプスを睨みつけ、ユーフォニーは魔弾を放つ。
「ユーフォニーさん、その調子です!」
 スティアに幻想福音を発動させながら、ココロもそう叫ぶ。
 緊張しているだろうことは分かっている。それでも、動けている。
「武器を失えば戦意を喪失するかもしれないけど……このこん棒、大きすぎない!?」
 地面に叩きつけられるネオサイクロプスのこん棒を見ながら、スティアは叫ぶ。
 明らかに岩だが、これだけ雑に扱って壊れないのなら相当硬い材質なのだろう。
「でも、本体にダメージは与えてるっす!」
「ああ、この調子だって気はするよ!」
 ダブルクリメーションを放った浩美が叫び、十三もヴェノムクラウドを放つ。
 少しずつダメージを与えてはいる。ならばあとは、ネオサイクロプスが何処で諦めるかだ。
「巨人さんお家帰ってくれるまで、ルシェたち負けないのよ!」
 鬼哭啾々をキルシェが放ち、ベネディクトが猪鹿蝶を放つ。
 そうして……ついにネオサイクロプスは身を翻し、脱兎のごとく逃げていく。
「あっ、そうだ! 急に襲って悪かったのですよー! どこか違う場所に行くのならこれあげ……あー、もう遠いのでしてー」
「傷つけてごめんなさい。住処に戻って休んでくださいね。あ、でももう人里近くには来ないで頂けると嬉しいのですが……!」
 ルシアとユーフォニーの声も、届いているかどうか。
 ズシンズシンと音を立てて逃げていくその姿は、少しばかり滑稽だったが……これでまずは大きな懸念が消えたと言えるだろう。
「倉庫、ドラゴンさんの絵が彫ってあるのよね? ……これかしら」
 キルシェが見つけたそれは、明らかに人間しか入れないサイズの穴だ。
「良いか、ポメ太郎。もし子ドラネコを見つけたらちゃんと家まで連れて帰るんだ、ポメ太郎の方がお兄さんなんだからな」
 警戒させないように、とベネディクトはポメ太郎を先行させるが……その先にあった光景は、なんとも平和なものだった。
 ちなみだが「にゃー、にゃー」とドラネコの鳴きまねをしていたココロは警戒を解いていくつもりだったなどと供述しており。さておいて。
「ようやく終わったのですよ!大丈夫でして!?つらい、思いを……寝てるのですよー!?」
「怯えてると思ったけど寝てるなんて案外逞しいのかなぁ?」
「こいつら外であんだけ騒いだのにめちゃくちゃくつろいでるな……」
 ルシアにスティアやルカは、丸まって寝ていた子ドラネコたちの姿に思わず苦笑してしまう。
 ぴすー、と寝息を立てている子ドラネコもいて、中々に可愛らしいがふてぶてしい。
「せっかくだし、1匹抱っこして帰りたいな!」
 言いながら、スティアが一匹を抱っこすると……「くぁー」と欠伸をしてスティアをじっと見てくる。
「この場でもふもふしちゃいたいような気もするけど帰るのが先だー!」
「嫌がらないみたいだし、一匹抱っこして帰るわ! リチェの上が良いの? 可愛いの上に可愛い……!」
「ぷいぷいぷいー……」
 ……わたしの頭はベッドじゃないのよ? とでも言っているらしいリチェルカーレだが、子ドラネコに気遣いをしてくれているようで。
「無事でよかった……いい子いい子。もういなくなっちゃダメだよ?」
「俺っちあんまり素早くないっすから、避けられたらと思ってペットフードも持ってきたっすけど……」
 ユーフォニーもドラネコを抱き上げ、浩美の頭にもドラネコが乗っている。
 ココロもザックを開けるとドラネコが入っていき……そうして無事に子ドラネコたちを持って帰ると、それぞれ好き勝手に動き始め他のドラネコも混ざり始める。
 というか、全員に満遍なく絡み始めていた。
「あ、もふもふ……」
 まずはココロがドラネコに埋まって。
「わ、わ、そんなにがっつかなくてもいっぱいあるから! いい子だから大人しくしようね」
 ワームの干し肉をあげるスティアに食いしん坊のドラネコたちが殺到する。
「そんなにお腹が空いているのか? 良かったら、俺のも食べるか」
 ベネディクトは子ドラネコに干し肉をあげながら、ポメ太郎も忘れずに撫でる。
「心配するな、ポメ太郎。お前の分もちゃんと用意してくれているよ」
 そう、ワームの干し肉もたくさんあるし、ドラネコたちもたくさんいる。
 どうやら干し肉の匂いに惹かれてきたようだった。
「すごい人懐っこいっす……」
 浩美の膝の上にも、すでにドラネコが乗っかっている。
「ん~、ぎゃわいすぎる! ペットフードあげちゃおう! 外の世界のお食事は、お気に召すかにゃ?」
 愛猫の弥七とドラネコにペットフードをあげていた十三へのドラネコの集まりっぷりも凄い。
「相賀のジーサン、こいつら名前とかあんのか?」
「皆好きに呼んどるのう」
 ルカもそれを聞くなり、ちょっと目付きの悪い赤いドラネコを抱えあげる。
「お前は今日からディルクだ!俺の尊敬するラサの傭兵王の名前だぜ!」
 そうして頭をなでたり喉をくすぐってやったりすると「なるほど、こりゃ可愛いもんだ」と頷いてしまう。
「なぁ、ジーサン。ディルクを連れ帰ったらだめか?」
「ついてくるなら好きにすればいいんじゃないかのう」
 外の世界で野良猫を拾う感覚とあまり変わりはないらしい。
 そうしてルチェも子ドラネコに干し肉をあげて、もふもふして。
 エーレンなどは、かなり本気で遊んでいた。
「ねこのおやつタイムとあれば張り切らないわけにはいかないぞ。押すな押すな、ドラネコみんなに分ける分の干し肉はある」
 そうしてドラネコに干し肉をあげていくと、エーレンが猫じゃらし的なものを作り始め……作っている途中でドラネコに攻撃されながらも何とか製作成功させる。
「ドラネコが猫と同じような生物ならこうして……」
 動かして、ひゅっと素早く物陰に隠したりして。
 さらに聴覚にも訴えるべく、軸の部分を床に押し付けてカサカサと小刻みに音を立ててみる。
 だが当然、囲まれているのだから全方位からドラネコは絡みついてくる。多勢に無勢だ。
 ならば、こうした遊び方のコツを知らない里の子供がいれば一緒に教えながらドラネコと遊ぼうとエーレンは思い立つ。
 これもきっとよい経験や交流になるはずだ、と。そう思ったのだ。
「でしてー!」
 そして干し肉を欲しがって群がってきたドラネコにルシアが埋め尽くされて。
「ふああぁぁ、もふもふ……! ずっとこうしていたいです……!」
 ドラネコを抱きしめていたユーフォニーが、嬉しそうにそう呟く。
 ワームの干し肉も、意外に美味しくて。
「ん〜、美味しいです……! 私、食べることも好きなのかな?」
 そんな自分を発見しながらも、ユーフォニーは干し肉を嗅ぐドラネコに気付く。
「子ドラネコさんも、はいどうぞ♪ ふふ、美味しいね!」
 そうしている中、ベネディクトはそっと喧騒を離れて1人の少女の元へと向かう。
「まだ居たか。良かった、ほら、静李。子ドラネコだぞ」
 子ドラネコを差し出すと、静李はチラリと本から顔をあげ……再び本に視線を戻してしまう。
「好きじゃ無かったか?」
「……ドラネコを嫌いじゃない人はあんまり居ない。でも、集中できなくなってしまう」
 言いながら静李は、自分の横でプー、スー、と寝息を立てているドラネコに視線を向ける。
「干し肉食べてたんだろ? この子も連れて行ってあげてほしい」
 優しいことを言う静李にベネディクトは苦笑しながらも、その願いを受け入れる。
 そんな、ある意味で幸せなフリアノンの一日であった。

成否

成功

MVP

エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
ねこかわいい。

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