PandoraPartyProject

シナリオ詳細

How do you get to ――?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●わたしのせかい
 私は正しい。
 私は間違ってない。
 この世界で、私だけは。私だけが。

 私だけが"正常"なんだ。


●行き着く先は
 ――逃げる者は違う。殺さないで。

「どういうこと……」

 ――逃げて、戦うよりも生き延びて。

「いきのびて……それから……?」

 結月 文は何度も読み返したその言葉を思い返し、呟きを落とす。彼女からのメッセージは、すべきことは分かってもその意図がわからない。
 この歪な世界には嫌な事に慣れてしまって、動き回るのもこの世界を訪れた時からすればずっと楽になった。同じ姿をした者は誰ひとりとしておらず、その中には確かに逃げるものもいた。増援を呼ばれないように、全て仕留めたけれども。
 化け物を倒して、倒して、倒して。同じ姿をした生き物を探して、時間と比例するように独り言が増えていく。考えて、それを吐き出さなければ、何もできなくなってしまいそうだった。
 立ち止まれない。正気でいなければならない。
「いきていたら……また、会えるのかな……」
 逢いたい。逢いたいよ。
 その願いを胸に文は只々歩き続ける。どこをどう歩いたのかなんて定かでないけれど、ひどくひどく寒くて、それでも彼女をつき動かすヒトがいる。

「詩織ちゃん」
 その名を、よすがに。


●行き着くべきは
「――あなたにとってライムイエローなお知らせ。結月 文の足取りが掴めたわ」
 『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)の言葉に夢見 ルル家(p3p000016)は目をまん丸に見開き、その向かい側に座っていたヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)は腰を浮かせた。
「今、どこに!?」
「幻想の北方よ。一面ムーングレイに染まっているでしょう」
 それにね、とプルーが付け足した言葉にルル家は眉根を寄せる。
「イエティの群れですか……見つかったのなら文殿を保護したいところですが、鉢合わせたら厄介ですね」
「ええ。あなたたちが接触する前に、彼女が群れと遭遇しないとも限らないわ」
 結月文――それはヴァイオレットと故郷を同じくするウォーカーの少女である。但しその心は正常でなく、この世界へ降り立った文は無差別に殺戮を繰り返していた。これが少し前の話である。
「文ちゃんがワタクシのメッセージを読んで、戦わずに逃げ延びているのなら……この機会を逃せばまた、足取りは掴めなくなってしまうでしょう」
「バーミリオン……なんて、知ってのことでしょうね」
 ヴァイオレットの言葉にプルーは小さく肩を竦めた。
 以前戦った折に握らせたメッセージ故か、文の目撃証言は減っている。次に位置が知れるのはいつのことか、なんて待っていられない。早く保護し、深緑で借り受けた『心覗の球』で彼女を狂気からすくい上げなければ。
「大丈夫ですよ、ヴィオちゃん。拙者も、皆もついてます!」
「……ありがとうございます」
 にぱっと笑うルル家にヴァイオレットは視線を向ける。彼女の言う通り、頼もしい友人も、仲間もいる。
 果たして彼女を保護できるのか。どのように保護するに至るか。そしてイエティの群れの脅威に――文とどう向き合っていくか。まだ不安要素は大きいが、まず足を踏み出さなければ始まらないのだ。


●辿り着く場所は
「……さむ、い」
 寒さは段々酷くなっていた。北の方なのだろうか。いや、こんなおかしな世界で『北が寒い』なんて常識は通じるのだろうか?
 がちがちと歯が鳴る。向かう道を変えようか。寒くない方向に。
(それは……どこ?)
 地図も持っていない、土地勘もまるでないこの状況で、向かう方向を変えて何になると言うのか。せめて出来るのは道を戻るくらいだが、戻ればまた化け物たちがいるだろう。
(あれは、逃げて行った……それは『違う』んだよね……?)
 詩織からのメッセージにそう書いてあったから、怖かったけど殺さなかった。この後どうなるかもわからないけれど、あのメッセージに従って、幸いにしてまだ生きている。
(生きたい。死にたく、ない……化け物に殺されるなんて、いや……!!)
 温かい場所を求めて文は彷徨い歩く。彼女はまだ、気づいていない。

 ――詩織のメッセージには、逃げる『者』と。ヒトを指し示していることに。

GMコメント

●成功条件
 メイン:結月 文の保護
 サブ :イエティの撃破
※サブ条件は成功の正否には関わりません。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。


●フィールド
 幻想の北方。雪が積もっており、足場は悪いです。
 また、本来であれば見晴らしの良さそうな場所ですが、軽く吹雪いているため、イエティ以外の全員に毎ターンBS【氷結】の必中判定が入ります。
 文とイエティが開戦済みであるかは不明です。探してください。


●エネミー
・結月 文
 ヴァイオレットさんの関係者。彼女と元の世界を同じくするウォーカーの少女であり、この世界に依らない重篤な狂気を抱えています。そのため、彼女から見た生き物は全て化け物に見えていますし、言葉も届いてはいないようです。
 例外として、以前ヴァイオレットさんが残したメッセージは視認できているようですが、今回の戦場において文字で何かを伝えられるほどの余裕は無いでしょう。また生存執着が強く、隙があれば逃げる可能性があります。
 武器は魔力銃で、命中と特殊抵抗に優れています。また、通常攻撃に【防無】【流血】が付与されます。
 非常に怯えた状態ですが、戦闘力は高いです。戦う場合は注意して立ち向かってください。また、彼女を保護するためには気絶させる必要があります。

・イエティ×5
 ずんぐりむっくりした人食い巨人。獰猛な性格です。言葉はわからないようですが、仲間内では何かしらの意思疎通を行っているようです。同じものを狙う、逃がさないように取り囲むなどの連携を取る可能性があります。
 全長5mほどの体躯で、基本的に二足歩行します。拳や爪で戦う他、その握力は大きな脅威です。また、四足歩行の方が移動速度は速く、突進技なども使ってきます。【凍気耐性】を持ち、乱れ系統や痺れ系統のBSを付与してくる可能性があります。
 彼らはその突進ひとつで大木をへし折ると言われるほどに攻撃力が非常に高く、次いでHPが高いです。他の能力は不明ですが、軽んじてはならない相手でしょう。
 彼らを野放しにしておいた場合、今後近隣の村落で被害が出る可能性があります。但し、今回のオーダーに関しては扱いについて触れられていないため、撃退としてOKです。


●ご挨拶
 愁と申します。さあ、彼女を迎えに行きましょう。
 どうぞ寒さにお気を付けて。
 それでは、いってらっしゃい。


関係シナリオ:
『Alice in ...』https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4721
『Almost everyone is mad here.』https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5304

  • How do you get to ――?Lv:20以上完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年01月10日 22時22分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
離れぬ意思
未だ怯懦の心は去らずとも、今この場で逃げ出す程弱くもありません
他ならぬヴィオの為、どうか今一度の勇気をこの胸に!
ハッピーエンドの為に!

文殿の捜索は仲間に任せ、拙者は捜索とモンスター知識を使用してイエティの場所特定に努めます
情報は常に仲間と共有し、イエティと接触せずに文殿のもとに向かいますよ!
どうしても避けられない場合を除いてはイエティは避けます!

文殿を見つけたら確保
本当は手荒な真似をしたくはないのですが…!
それをするのはきっと我々の役目でしょう!

副主行動共にラフィング・ピリオドで攻撃!
APが足りない場合はデッドエンドワン
間違っても殺さないように、相手が弱ってきた時は不殺持ちにおまかせします!

文殿との戦闘中にイエティが来たらリコシェット・フルバーストで攻撃して引きつけます
「拙者はヴィオを手伝う事はできます。それでも、文殿の手を引くのはきっとヴィオの役目ですから!」
「必ず救い出して下さいね!」
モンスター知識で攻撃したら怒りやすいところを割り出しそこを攻撃!
怒ったら文殿から離れて引き離します!
「少々分が悪いですが…親友の為に頑張る拙者を舐めないでくださいね!」
幸運だって味方につけてみせましょう!
イエティが怒って拙者かドラマ殿を狙う時には全力防御
文殿の方にいこうとしたらリコシェット・フルバーストで攻撃

文殿確保後はイエティをラフィング・ピリオド>デッドエンドワンで弱ってるものから始末します!
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
●心情
私は報告書に目を通しただけ、で直接今回の目標のコトは知りません、が何やらヴァイオレットさんと浅からぬ縁がある様子
狂気に侵されているよう、ですが心を取り戻すコトが出来るのでしょうか
……ここはとても寒い
早急に、保護致しましょう

●方針
結月文の身柄の確保を最優先
その目標が達成されるまでは極力イエティとの遭遇は避ける

●道中
ハイセンスで周囲の状況を確認しながら捜索を行います
この吹雪で視界は悪そう、ですが特に音と臭いに注意致しましょう
目標の発見、もしくはイエティの発見をした場合は情報共有

●戦闘
結月文単体との遭遇の場合は……私は瞬間火力に乏しい、のでブロックをして逃走の阻止に努めましょう
出来るだけ怖がらせたくない、傷付けたくないがヴァイオレットさんの方針ですから

言葉を介さないモノに名乗る名もありません、が我々の目的の為、討たせて頂きます!
目標の確保後、もしくは同時に遭遇した際はイエティ相手の壁役として立ち回る
初手は接敵して、可能な限り多くを巻き込んでの名乗り口上
以降、副行動は移動が必要ない限り、二速で身体能力を引き上げ、主行動は最初の一回は術式理解、以降は禍断のMアタックでリソースを削りつつ、体力回復に努めます

持久戦は得意分野、ではありますがこの相手にこの数、捌ききれるか……!

●事後
安全が確保出来たなら、とても寒い場所に長く居ましたから、何かしら温かな汁物の料理でも作って回復を待ちましょうか
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
スナーク・イーター
ヴァイオレットの物語を覗くのも良いかと思って依頼を受けたけれど
北方なんて鉄帝ほどじゃないにしても寒いだろう。この季節だし。
風邪ひかないうちにあったかいところに連れ出してやろうよ

・捜索
「うわ…寒い。こんなとこで彷徨ってるなんて心細いだろうね」
私はドラマが探ってる反対側をハイセンスで探ろうか
ハイセンスで匂いや唸り声、人の声を聞き分け把握
文を先にみつけられた場合は最優先でそちらに移動
イエティを先に見つけた場合はなるべく避けて通る
両方を見つけた場合、私は文の方で無力化に当たろうか

・戦闘
「残念ながら優しくってわけにはいかないけどねー…」
手荒だけれど気絶させるしかないか
相手は女の子だよ?全く気は進まないけれどね

狙うは早期決着…ま、簡単に言えば文が怖がる前にさくっと気絶させようってこと
あまり大勢で囲むと逃げられてしまうかもしれないし、なにより彼女が怖がるよね
私はドリームシアターで周囲に吹雪の幻影を作り景色と同化、忍び足で存在を悟らせないようにしよう。彼女が逃げようとした時のみ阻止
ヴァイオレットの魔眼を合図にAKA自付与、精度を高め【不殺】のノーギルティで昏倒を狙う!

文が保護できたら暴れても良いのだね!
AKA自付与、全力でいくよぉ
クレセントサイズで全部刈り取ってやるさ

・後
寒いよねぇやっぱ
気休め程度だけど、落ち着く場所まで移動して焔式で火を起こそう
皆も冷えたでしょ。ほら、風邪ひく前にあったまりなよ?
シラス(p3p004421)
竜剣
寒いので防寒は確りと

結月文……覚えのある名前
実際に直ぐに思い出せた
去年に仕留めそこなった標的
そして今回は保護対象だ

願わくば彼女の『レベリング』があれ以来は止んでいますように
単純に相手がより手強くなったら困るというのもあるけれど
人殺しを重ねた標的を単に保護するのも色々と難儀だから

「人間ってどうあれば正常なんだろうなあ」

さて、余計なことを考えるのはこの辺にして俺の仕事をしよう
自分が特に注力したい点は結月文を不意打ちかつ不殺でノックアウトすること
がっつり対峙した挙句に捕らえるのはその後が大変だろうという相談の結果
彼女の認識が曖昧な中で昏倒させられたらベストだと考えてる

ざっと言うと──
エキスパートで強化した忍び足と気配遮断を駆使して標的に接近
迅との連鎖行動により先手を取る
ノーギルティの連打で無力化したい

軽く吹雪いているとはいえ見晴らしの良い地形
普通にやったら不意打ちは難しい
白づくめの格好で挟み込むように背後から雪の上を這うようにゆっくり近づく
気配を殺してヴァイオレットが魔眼で隙を作るのを待つ

「凍え死ぬかと思った」

この形に持っていくためにはイエティに遭遇する前に結月文との戦いに持ち込みたい
捜索は仲間の技に頼る形になりそうだから体力の温存に努める

あくまで結月文の保護を優先しつつイエティは臨機応変のタイミングで排除
こちらは手加減無用だ
猪鹿蝶で一気に仕留めにかかるよ
負傷はヴァルキリーオファーで回復
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
影を歩くもの
◆心情
あの手紙が功を成したという事は…彼女はまだ、「私」の事を覚えてくれている
…だったらまだ、可能性はあるはずです

私が彼女をああしてしまった
重篤な狂気を癒す為には、長い時間が必要で…いつになるかも、治るかもわからない
私が彼女に犯させてしまった罪も無くならない
どうやったら彼女を救えるか…それを考える事だって身勝手な願いかもしれない

…それでも、ルルは背中を押してくれました
共に支えると、言ってくれたから
私は、目を背ける訳にはいきません

彼女を、連れて帰ります


◆方針
・イエティを陽動し、文と遠ざけてから彼女を気絶させる
・文になるべく恐怖を与えないよう短期決戦を狙う
同時交戦は彼女の恐怖をより刺激するだけでなく、此方まで危険に陥る可能性があります
イエティを遠ざけ、その間に彼女を確保します


◆行動
前衛を張り、回避盾の要領で彼女に肉薄します
初手で【黄金の奈落】による暗闇を狙う以外に攻撃はせず
移動妨害を行いながら彼女を逃がさないよう立ち回ります

隙を見つけてステラ様のテスタメントのお力を借り、【魔眼】を試みます
狂気を塗り潰す程に強い催眠をかけ、ほんの一瞬でもワタクシの姿を、かつての「私」に見せる事が出来れば…

「ごめんなさい、文ちゃん。もういいの。一緒に帰ろう」

彼女の心を少しでも和らぐ事ができれば、その後の説得が楽になる筈ですし、より大きな隙も作れる筈です
その隙をついて仲間が不殺で気絶させてくれる事を願います
日車・迅(p3p007500)
挫けぬ軍狼
文殿、見つかりましたか!
それは何よりです。後は迎えに行くだけですね!

それにしても寒い冬に北へ向かうとはなかなかの無茶ですね。
もちろん北の冬は美しいですが……彼女とお話が出来るようになったら次は南をおススメしておきましょう。

その為にも今回のお仕事は頑張らないといけませんね!

■行動
寒いので防寒着等はしっかり準備していきます。
捜索中は仲間の技を頼りにさせて頂きますが、自分の耳目でも警戒は怠りません。
戦闘中は連鎖行動で感情を結んでいる方々が僕と同じ速度で行動出来るようにしておきます。

文殿を先に発見したら速攻で保護の方針ですが、不意打ちの形を取るためまずは伏せます。
ヴァイオレット殿の魔眼が効果を発揮してくれる事を願いつつ見守りましょう。
彼女に隙が出来たら飛び出して【不殺】の鉄拳鳳墜で眠らせましょう。


イエティと文殿を同時に発見した場合は文殿の保護を最優先に。
仲間が文殿とイエティを引き離してくれますのでその間に文殿を鉄拳鳳墜で眠らせます。
……それにしても目的は保護なのにやれる事が殴る事というのは流石の僕でも違和感が凄いですね!!

文殿の保護が無事に終わりましたらイエティの対応ですね。
こちらは手加減無用。デッドリースカイで殴ります。
途中で逃げる場合は追いません。あくまで文殿が一番ですから。

その文殿ですが寒いようでしたら僕の防寒着も貸しましょう。
僕はほら、存在変質で完全に狼化すれば何とかなりますので!
橋場・ステラ(p3p008617)
斬城剣
成る程…お友達を助けたいのですね
では微力ながらお手伝いしますとも!


保護後の為に防寒具等を準備
まずは装備で増やしたファミリアを、テンとシマエナガを陸空に展開
この子達ならば雪中活動も素早く可能でしょう
結月さん、イエティの捜索を開始しますね
進行方向としては拙達を含め、他の方の探査と被らない三方向をカバーして効率良く

情報は逐次共有
どちらか片方の場合、監視を付けもう1体で捜索を継続
両方発見の上、双方距離が近い場合は雪男側の子をわざと気付かせ他方向へ注意を誘導
結月さんと接触時、雪男が居なければ両方を周辺警戒に

過去の報告書には軽く目を通した程度ですが、多少の衰弱等あるかもしれませんが手加減は難しそうですね・・・
戦闘開始後はSPノヴァ、ヒルデブラントを軸に少しの様子見を
体力的に余裕そうなら攻撃続行で削りに入ります
逆ならば通常で動きを阻害させる牽制メインに切り替えを
ホロウウォーカーさんが魔眼使用の際にはテスタメントで補強
バッチリ決めてきて下さいな!

結月さんの確保完了次第、雪男の対処に移行
まだ未発見ならファミリアの索敵範囲を拡大
……此処からは、心置きなく全力です
攻撃は黒顎魔王を軸に全力攻撃、防御は致命傷等のみ全力で防ぎ攻勢を優先
背水状態に移行後は距離を詰め、雷切に切り替え攻撃続行
攻撃力が高い?体力が多い?上等ですとも!
立ちはだかる敵をぶっ飛ばし、味方の為の道を拓く、この位を斬れずして何が斬城剣ですか!
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
きっと彼女は何も信じられてないですよ。
全てが見えない世界で、一人ぼっちで歩いたまま……ただ、会いたい人にも会えない。
もうそんな事はやめにするですよ。殺戮も、絶望も全ておしまいにするですよ。
その為なら、ブランシュはがんばるですよ。

人助けセンサーで文さんを確認するですよ。
機動力を生かしながら、とにかく探してみんなに伝えるですよ。
イエティとの位置関係、彼女と交戦中か否かも確認して状況を伝えるですよ。

見つけたらとにかくイエティと文さんを引き離す方向で戦うですよ。
戦闘中なら、アンガーコールで怒りを付与してこちら側に引き込むですよ。
付与出来たら機動力を生かしてとにかく下がりつつ、みんなの元に近づけるですよ。
後は斬神空波からのスーパーノヴァで大ダメージを与えて体力を削るですよ。
倒れそうになったら組技で不殺をして気絶にとどめるですよ。
暗闇や奇襲戦で兎に角早くこちらの状況を終わらせるですよ。

残りはイエティ。こいつらもアンガーコールを当てつつ文さんから遠ざけて戦うですよ。
そうして安全な距離を取ったら、斬神空波からのスーパーノヴァで1体ずつ倒すですよ。
ただこちらの目標は余力があればにするですよ。第一目標は文さんですよ。

寒い世界に取り込まれた彼女も、これでどうにかなるですよ?
これからの彼女の可能性に、幸あらん事を願うですよ。

リプレイ


 吹き荒ぶ雪と風はあたりを取り巻き、心まで冷たい空気に侵されてしまいそう。
「こんなとこを彷徨ってるなんて……心細いだろうね」
 寒い、と口にすれば余計寒くなりそうで『優しき咆哮』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)はその言葉をグッと堪える。何かを探すには吹雪く音が邪魔だ。
 ここは鉄帝にほど近い場所である。かの国ほどではないが、寒いのは道理だ。"彼女"が風邪をひかないうちに、暖かい場所まで連れ出してやらねばならない。
 2体のファミリアーをシキが探すのと別の方へ放った『斬城剣』橋場・ステラ(p3p008617)は荷物を背負い直す。防寒具というのは嵩張るが、身ひとつで彷徨ってあるであろうことを思えば用意しないわけにはいかなかった。
(空は……非常に視界が悪いですね)
 ステラは空へ放ったファミリアーの視界に、ほんの少しばかり顔を顰める。地上も似たところだが、地面に近い分手がかりも掴みやすいだろう。
「ここに出没するイエティたちは個で動くことはあまりなく、基本的には群れ単位で行動するそうです」
 餌を分け合うらしいですよ、と言う『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)。ここで言う餌は人間だ。
 吹雪いてなくともこの雪だ、通りかかる人間は決して多くない。故に群れで確実に仕留め、分け合うのだと。
「では複数の音が聞こえればイエティの可能性があり、この状況で発信源がひとつなら……」
「はい! 文殿の可能性が高いでしょう!」
 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)にルル家は頷いた。発見できれば保護をしたいが、そう簡単にはいかないだろう。8人のイレギュラーズとも渡り合える手練れだ。
(だからこそ……我々にしか務まらない。手荒な真似になるとしても、それが役目です)
「――誰かあっちにいるみたいなのです!」
 不意に声を上げたのは『流れ込んだ悲しみと』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)だった。誰かへと助けを求める声がビビっと流れ込んだのだ。
 鋭敏なドラマの聴覚が争うような音を聞き取る。
「文殿でしょうか!」
「はい。恐らくは、ですが」
 ならば迎えに行こうと『挫けぬ軍狼』日車・迅(p3p007500)は一番槍に駆け出していく。その後に続きながらドラマは音へ耳を澄ませた。この吹雪の中、向かうべきを誤らないように。
(……私は報告書に目を通しただけ。今回の目標のコトは知りませんが)
 ちらりと『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)を見やって、再びドラマは視線を戻す。
 彼女と今回の目標には、浅からぬ因縁がある。思うところもあるのだろう。特に相手は心を病んでいるというから、尚更。
(願わくば、彼女の『レベリング』が止んでいますように)
 自分たちのためにも、彼女自身のためにも。『竜剣』シラス(p3p004421)はそう願う。
 彼女――結月文は、シラスが仕留め損なった標的"だった"。今は保護対象であるからこそ、これ以上の人殺しを重ねていて欲しくはない。
 だが彼女の情報を読んで、思ってしまう。

 ――人間は、どうあれば正常なのだろう?

 正常かと問われた時、大半の人間は正常だと返すだろう。しかし実際、本当に正常なのだろうか。あくまで自身にとっての正常で、他人から見れば異常かもしれないのに。
(……これ以上はよそう。余計なことを考えている場合じゃない)
 相手の立場が変われども、それが依頼だと言うのならこなして見せよう。それがローレットのイレギュラーズなのだから。
「それにしても、北の冬は美しくも厳しい。……彼女とお話ができるようになったら、次は南をおススメしてみましょうか」
 ね? と迅はヴァイオレットへ目線を向ける。向けられた彼女は一度、二度と目を瞬かせる。
 文の狂気は自身が原因で、治るかもわからなければ狂気によって犯させた罪も消えない。ここで保護し、救おうとすることが彼女にとって良いことなのかもわからない。
 ここまで、そんな思いを足取りに滲ませていた。
(……それでもルルは背中を押してくれた)
 救うため、共に進む仲間がいる。
 1人で背負うにはあまりにも大きすぎるそれを、共に背負ってくれると言う友人がいる。
「ヴァイオレットさん」
 視線を向ければ、ドラマが小さく頷いた。
「早急に、保護しましょう。……ここはとても寒いから」
「……ええ」
 冷たくて暗いひとりぼっちの場所から、彼女を連れて帰ろう。



 寒い。冷たい。体の芯まで凍ってしまいそう。どこまで行っても変わらない。
 しおりちゃん、と言葉がこぼれ落ちる。あのメッセージをもらってからずっと、ずっと、呼んでいる。
 その声へ応えるように音がしたから、文は目を見開いた。
「詩織ちゃん……?」
 この寒さの中にいるのだろうか。音は近づいてくる。けれどひとつではないから、誰かといるのかもしれない。
 絶望の世界に見つけた希望。それに胸を膨らませ、音の方へと振り返った文は巨体の影に固まった。
 大きな、大きなモンスター。複数体のそれらは明らかに自分の探す詩織ではなく、逃げる様子もなく。
「っ!!」
 咄嗟に武器を構えて発砲する。浅い? そんなわけはない。けれども化け物は痛いそぶりも見せず腕を振りかぶる。逃げようとしても、ここはひどく体が重い。化け物たちを撒いて逃げるのは至難の業だろう。
 戦わねば。怖くとも、気持ち悪くとも、そうでなければ殺される。死ぬのは一番怖いことだ。
 それでも祈らずにはいられない。どこからかメッセージを託してくれた、彼女に。
(詩織ちゃん……たすけて……っ!)



「――文ちゃん!」
 ヴァイオレットがイエティたちと戦う文に叫ぶ。言葉は理解できなくとも声は届いたのだろう、文はイレギュラーズたちの方を向いて顔を強張らせた。
「文殿の手を引くのはヴィオの役目です。その手助けならいくらでも、ですけれどね」
 ルル家はヴァイオレットににっと微笑みかける。イエティとも同時に遭遇した今、ルル家がすべきは文の保護に回ることではない。『文と他に向かう仲間たちを護ること』だ。
「ヴィオ、必ず救い出して下さいね!」
 両手に握られる拳銃。ルル家はイエティたちへ無数の弾丸を乱射する。同時に別方向から回り込んだドラマの声が響き渡った。
「言葉を介さないモノに名乗る名もありません――が我々の目的の為、討たせて頂きます!」
 小柄で柔らかそうな人間にイエティの目が向く。文がその様子に困惑しているうちに、迅とシラスは雪へと伏せ、不意打ちのため備える。シキもまた、吹雪へさらに幻影を重ねて同化した。
 気配を殺し、そっと囲むように動く3人。ブランシュは文を誘導すべく弾丸を敢えて外し、挑発する。
「さあ、こっちに来るですよ!」
 ブランシュの攻撃に文は怯えを滲ませながらも、意を決したのか勢いよく肉薄した。そしてブランシュごと、じりじり近づいていたシラスや迅も巻き込むように弾丸を放つ。
「っ!?」
 伏せた状態から一転、飛び退くシラス。這うようにして進んだ跡が視界へ入る。
(気づいたのはこれか……!)
 吹雪いているとはいえ、そうすぐさま足跡が消えるものではない。もしかしたら雪に同化する服装も、正しく見えていない文には関係なかったかもしれないが。
 しかしまだ一部の不意打ちを防がれただけ。畳みかけんとヴァイオレットは第三の眼を開眼させる。
「ごめんなさい」
 少しでも傷つけてしまう事。怖がらせてしまう事。金色の光を幻視させながらヴァイオレットは呟く。まだ、きっと、彼女には届かないだろうけれど。
「いや……こないで!」
 見せられた錯覚に文が後ずさる。ステラはその差も詰めるように鋭く肉薄した。
(多少の衰弱等はあるようですが、手加減は難しそうですね……)
 正しくこちらを認識できていないとなれば、その恐怖から抜け出せぬままがむしゃらにでも逃げ出そうとするかもしれない。保護をオーダーとする以上、逃がさないためにはこちらもそれ相応に戦わねばならないだろう。
 しかし躊躇している暇がないのも事実。ステラはちらりと後方を見やった。
「いい感じですね!」
「ええ。とはいえこの相手にこの数、捌ききれるか」
 イエティたちを相手取ったルル家とドラマが、文たちを巻き込まないようにと距離を置く。守勢になり、自らを癒しながらの持久戦だ。文の保護に時間がかかればかかるほど、あちらにも負担となる。
(少々分が悪いのは事実ですね)
 それでも、とルル家は全力で身を守りながら歯を食いしばる。そう簡単に負けてなるものか。倒れてなるものか。親友の為ならどれだけでも頑張れるのだ。
(あの手紙が功を成したと言う事は……彼女はまだ、"私"の事を覚えてくれている)
 その可能性にかけて、文の前へ立ちはだかるヴァイオレットは集中する。ステラのテスタメントの力を感じながら、その眼を開いた。
「――!」
 文の身体が強張る。その身に巣くう狂気を塗りつぶすほどの催眠を、とヴァイオレットは念じた。この姿が化け物ではなく、かつての"私"になるように。
「……文ちゃん、もういいの。一緒に帰ろう」
 ヒュッと文が息を呑む。その瞬間、迅とシラスがほぼ同時に動いた。武器に頼らぬシラスの一撃、そして迅の突き技に文が翻弄される。
「保護の為に殴るとは、流石の僕でも違和感が凄いですね!」
「でも、残念ながら優しくってわけにはいかないんだよねー……」
 迅に苦笑いするシキ。人間の、特に女の子だ。気が進むということは決してない。
「それでも……殺戮も、絶望も全ておしまいにするですよ」
 ブランシュが真っすぐ突っ込んでいく。辛うじて文は衝撃を受け流したものの、皆一様に足場は悪く、何をするにもやりづらい。
(きっと、彼女は何も信じられない状態ですよ)
 全てが正しく見えない世界で、ひとりぼっちで歩き続けて。こんなに近くにいるというのに、知人の1人にすら本当の意味で会うことだってできやしない。少しでもその手助けがしてあげたいから、ブランシュは頑張るのだ。
「そろそろ眠ってもらえるといいんだけれどっ」
 シキの一撃が昏倒を促す。しかしそのレベルの高さ故か、未だ彼女が膝をつく様子はない。
「さっき……詩織ちゃんの声が、聞こえた。どこにいるの……? あなたたちが、なにかしたの……!?」
 文が銃をヴァイオレットへ突き付ける。そこまで深い催眠にはかけられなかったようだが、錯覚にも似た形で声は届いたのか。しかしそれは『友人に危害を加えた可能性がある』として敵意を燃え上がらせることとなったらしい。
(それならそれで、構いません)
 ヴァイオレットは銃弾を避けながら文の前に立ち続ける。
 自身へそれをぶつけてくれるのなら、逃げずにいてくれるのなら。それは文を保護しやすくなるということなのだから。
「もう少しでしょうか」
 ステラは武器を構え、文の様子を窺う。ギリギリまではその体力を削っていきたいが、線引きは重要だ。早過ぎればその後の保護までが長引いてしまう。
「そっちには行かせませんよ!」
 ルル家の声が聞こえ、続いて複数の銃声。イエティたちを必死に引き留めている様子だ。しかし横目で見れば、その状態は芳しくないことが見て取れる。
(未だ怯懦の心は去らずとも、今この場で逃げ出す程弱くもありません)
 その胸に、ひとひらの勇気を抱えて。望むハッピーエンドを掴むべく、ルル家のパンドラが苛烈にその力を発揮する。
「ルル!」
「大丈夫です! ヴィオの為なら、拙者はまだまだ頑張れますよ!」
 分かれて戦う前と同じ笑みを見せて。ルル家は再びイエティたちを引き付け、攻撃をいなす。そこへ飛び込んだシラスは的確に攻撃を撃ち込んだ。
「あちらはそろそろ決着がつきそうだしね」
「助かります」
 自身の強化を改めて付与しつつドラマが返す。こちらが瓦解してしまえば一気にあちらの戦場が混沌と化すだろう。蒼い刀身を持つ魔術礼装を構え、魔力の流れを読み、ドラマは『攻撃は最大の防御』というように突っ込んでいった。
「こちらも負けていられませんな!」
 迅の突き技にブランシュが続き、シキが慈悲の一撃で追い詰める。かくんと傾いだ文の身体をヴァイオレットは慌てて受け止めた。
「文ちゃん!」
「ホロウウォーカーさん。こちらを、結月さんに」
 ステラが素早く荷物を預け、イエティの方へと身を翻す。荷に入っているのは文のための防寒具だ。ヴァイオレットはそれで文を包みこむと、そっと抱きしめる。
 伝わる脈の音が、彼女がちゃんと生きていることを教えてくれていた。


「此処からは、心置きなく全力です!」
 ステラの斬撃がイエティたちへ飛び込んでいく。仲間たちの加勢にルル家は小さく口角を上げた。
(文殿は保護できたようですね)
 ならば攻勢へ転じよう。ルル家の銃弾は死神が撃つが如く、避けられぬ『死』をイエティに大きく近づける。
「全部刈り取ってやるさ。行くよ!」
 シキの一撃がシラスを狙っていたイエティへ直撃し、敵が後ろへと後ずさる。シラスはその隙に自らを回復させ、自らも畳みかけに肉薄した。
「まったく、体力が有り余ってるようで厄介だ」
 未だ残る4体は多少の怪我があるもののピンピンしている。とはいえ、仲間が1体倒されたことに多少の動揺は見られた。
「1体ずつ集中攻撃ですよ!」
 ブランシュと迅が同じ敵を殴り込みに行く。圧倒的な火力だが、近くにいたイエティが腕を大きくぶん回し、何人かが跳ね飛ばされた。素早く受け身を取ったステラが再び距離を詰める。
(攻撃力が高い? 体力が多い?)
「上等ですとも!」
 この程度を斬れずして、何が斬城剣か。その気迫がイエティたちを圧倒していく。イエティは不利と見たか、1体、また1体と逃げ出した。
「追う必要は……」
「ええ、今はないでしょう」
 シラスに迅が頷く。彼らの討伐はオーダー外。今回は何よりも、保護対象を安全な場所へ連れて行くことを先決とすべきだろう。
 一同は文を守るヴァイオレットと合流し、吹雪が穏やかになる方向へと向かう。シキがぶるりと震えた。
「寒いよねぇ、やっぱ」
 言ってしまった。だって言っても言わなくてもやっぱり寒いのだ。少しでも落ち着ける場所までついたら、火にあたって温まった方が良さそうだ。
「文殿は大丈夫そうですか?」
「ええ……とはいえ、一刻も早く休ませてあげなければ」
 ステラの防寒具によって寒さはマシだろうが、それでも横になれた方が良いだろう。医者にも見せて傷の治療をしてあげたい。
「目覚めたら、温かいものを食べさせてあげたいですね」
 ずっと寒い場所にいたから、とドラマ。ブランシュも頷いて運ばれる文を見上げる。彼女の狂気が晴れて、会いたい人に会えますようにと願う。

 どうか――これからの彼女の可能性に幸あらん事を。

成否

成功

MVP

夢見 ルル家(p3p000016)
離れぬ意思

状態異常

夢見 ルル家(p3p000016)[重傷]
離れぬ意思
ドラマ・ゲツク(p3p000172)[重傷]
蒼剣の弟子

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 無事に文を保護することができました。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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