シナリオ詳細
超ニンポー炸裂!~煩悩を打ち払う108のすごい打撃~
オープニング
●山蛇忍軍、鉄帝に舞う
忍、忍、忍。
刃に心と書いて忍と読む。
別にニンジャとかではないけど、いい言葉でござるよね、ニン。
そんな戯言をほざく真っ赤なニンジャ装束の集団が、鉄帝には存在する。
山蛇(サンタ)忍軍。
なんとなく気が合ってなんとなく同じ戦法を習得していて、なんとなく集まっている仲良しサークルである、と主張する集団である。
忍軍……? そんなこと言ってないでござる。そんな感じの集団である。
さて、そんな彼等であるがシャイネンナハトが迫るとソワソワし始めるが、何をやっているかは不明だ。
最近忍トナカイが賃上げ交渉を煩いらしい。
何の話かはサッパリ分からないが、さておこう。
そんな彼等が洒落た喫茶店でミルフィーユをつついている姿はなんともミスマッチなような、そうでもないような。
「どうするでござるか……?」
「拙者、去年やったから嫌でござるよ」
「某も一昨年……」
「というか、なんかすげー見られてる気がするでござるが」
「あとなんか拙者の名前を結構な人数が言ってる気がするんでござるが……」
「三太、お主何かやったでござるか」
三太と呼ばれたニンジャは首を傾げると、ハッとしたように口元に手を当てる。
「もしや……拙者が先日試作したふんわりクリームのスペシャルショートケーキの秘密が漏れて……!」
「そういえばマジパンの人形そんなに美味しくないよね問題は結局どうなったでござるか?」
「クッキーで代用できないか検討してたはずでござるが」
どんどん脱線していくニンジャたちの話題を、1人のニンジャが手を叩いて元に戻す。
「それより問題は今年の煩悩をどうするかでござろう」
「うむ……ここはやはり……」
●依頼です
「というわけで依頼です」
「某、山蛇忍軍頭領……ゴフン! 趣味の善行サークル代表の者でござる」
胡乱な目で見ているチーサ・ナコックの視線を受け流しながら、赤服のニンジャがそう自己紹介する。
「皆様には、とある怪物の退治をお願いしたいのでござる」
怪物。
なるほど、それならば確かにローレットに頼む依頼としては比較的スタンダードだろう。
依頼人の奇天烈っぷりと比べると大分マトモだが……。
「敵の名は煩悩獣。今年一年の穢れとでも言うべきものでござる」
そう、人の煩悩とは凄まじいもの。
1年という長い時間があればそれだけで怪物の如き力を得て、放っておけば、やがておかしなモンスターとして顕現しかねない。
故に、この年末という時期にわざと形を与えて消し去る必要があるのだという。
「といっても、おまじないのようなものでござるがな! 斯様なものでモンスター被害が減るなら苦労はないでござる!」
要は、そういう「てい」の、人々の心をちょっと軽くする派手なお祭りのようなものなのだという。
この儀式で「今年1年の煩悩よさらば」と、人々に笑顔を与える為だけの盛大なボランティアなのだそうだ。
「ハハッ、楽しい設定でござろう?」
そう言うニンジャに、なるほど鉄帝の変な研究所からロボットでも借りてくるのかなと誰もが考えて。
「というわけで、某たちのニンポーにより鉄帝の街の煩悩を具現化し外に追い出すでござる」
なんか途端に雲行きが怪しくなってきたが、大丈夫だろうか?
「まずどうでもいい煩悩たちが煩悩獣になるでござるが……まあ、多くて30ほどでござろう。これを消し去るでござるが」
そこで、とニンジャは言う。
「皆様の中から1人『依り代』を出し、特に強力な108の煩悩を封じ込めるでござる」
巨大煩悩獣となったその人物は、自分の最も強力な煩悩を肥大化させ暴れ回るだろう。
そこに残りの7人の力を合わせ秘伝の「煩悩退散砲」を撃ち込めば、夜空に綺麗な花火になって打ち上がるという。
そこがこの儀式のフィナーレ。
見るだけでなんだか心が安らかになるという花火で、忙しい年末をスッキリと凄そうという……そんな儀式なのだ。
「依り代に選ばれた人はちょっと、かなり、すごく、とんでもねー痛い想いをするでござるが……まあ、一番すっきりもするでござるよ」
ニンジャは最後にそんなフォローにもならないフォローを残すと、ニゴリと笑うのだった。
- 超ニンポー炸裂!~煩悩を打ち払う108のすごい打撃~完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年12月21日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●煩悩獣、顕現!
「吾の故郷でも108回ぶん殴って煩悩を打ち払う奴があったので懐かしいのである。何か微妙に違う気がするが、些細な事よな!」
『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)がそう言って不敵に笑うが、もしかすると鐘的なものを打つのかもしれない。
どの道百合子の言う通り、些細なことである。
今日の仕事は煩悩獣を倒し一年の穢れを祓うこと。
生贄……もとい依り代役の『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)もやる気満々でニンジャたちから具体的な説明を受けている。
「ほぉぅ、実に変わった方式じゃないか。任せろ、煩悩絡みは大の得意だ!」
煩悩絡みが大の得意というのも正直どうなのだろう。
滝にでも当ててみたほうがよいのではないだろうか?
「アイエエエ?! ニンジャ?! ニンジャナンデ?! ……すみませぬ、なんかそういわねばならない衝動にかられたであります!
これもまた一つの煩悩?! ともあれ、煩悩を発散してすっきり!そして来年のモンスター被害も減ってやったー! といければ万々歳でありますな! 楽しそうなボランティアですし吾輩協力しますぞー!」
「ドーモ、ジョーイ=サン。山蛇忍軍……ゴフン! 趣味の善行サークル代表の者でござる」
テンションがとんでもなく上がっている『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)にニンジャがそう挨拶を返すが、まあ挨拶は大切である。マナー本にも書いてある。
「サンタ忍軍って言ってなかった??? 気の所為???」
「気のせいでござる」
「そうか、気のせいじゃったか……」
『天を見上げる無頼』唯月 清舟(p3p010224)がなんか即座に誤魔化されているが、目の前で揺れている紐付きコインはきっと気のせいだろう。
「煩悩を具現化、ねぇ……年末らしい催し物じゃ。一年の穢れを落とすっちゅー意味合いはわかるが最近はこんな見せ方もあるんね。まぁこういうのは楽しんだ方が勝ちじゃ。乗るからにゃ全力で煩悩ぶっとばすべ!」
「煩悩……ほら、自分の場合? 酒とか? ケンカとか? そういうガハハな感じの奴でありましょうね?」
自分の煩悩も具現化すると聞かされたせいか、『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)もそんな風に首を傾げているが……その視線は『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)に向けられている。
「マジパンの人形がそんなに美味しくない? ……どうやら、薄汚い異教徒がいるようですわね。粛清しなくては」
おおっと、マジパン過激派である。
好みの分かれるマジパンではあるが、思わぬところにマジパン過激派が潜んでいたようだ。
「聖夜のテンションで食べるあのぼそっとした食感と、ほのかな甘味が良いのではありませんの! あの世でマジパンの職人さんの前で土下座なさい!! あっあっ、放しなさい! どうして止めますの!」
「はーいはい、どうどうどう。これから仕事でありますよー」
「まあまあまあ、大丈夫。大丈夫ですから」
エッダと『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)が2人がかりでマリアを止めて、ニンジャが紐付きコインを目の前で振る。
そうしてマリアが落ち着いたところで、オリーブは説明を受けている……そういえばニンジャは今日1人しかいないはずなのだが、先程からチョイチョイ出てくるのは分身でもしているのだろうか、ともかく説明を受けている汰磨羈へと視線を向ける。
「依り代は仙狸厄狩さんが務めるのですね。色んな意味で大変な役ですけど、頑張って貰いましょう。見聞きした事は内密にしておきます。その方が良さそうですので。ですから皆さんも……ね?」
そうオリーブが言えば、全員が頷く。
そもそも今日は全員の煩悩が姿を現すのだ。お互い様、今日この日は口外無用の盟約の日である。
「わっはっはっー! 一年の締めにこんなおかしな依頼受けるなんて面白れぇのだ! まあ! ヘルちゃんは普段から面白おかしく生きてるから煩悩なんてないはずなのだ! むしろ他の面子がどんな煩悩を垂れ流すか高みの見物してやるのだ! わっはっはっー!」
ドヤ顔で『呑まれない才能』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)がフラグを全力で建築している中、ニンジャと汰磨羈がやってくる。
「準備は完了でござる。さあ、各々方……覚悟はよろしいか?」
「さぁ来い、108の煩悩よ! 我が身に宿り、最後の大暴れタイムと洒落込むが良い! という事で――」
\変! 身!/
何やらポーズを決めた汰磨羈の姿が光に包まれ、キュンッと音を立てて消える。
そうして現れたのは何処か招き猫を彷彿とさせる、まるっと太り気味の、タヌキめいた猫。
そしてそれを護るように立つ煩悩獣たち。
始まる……ついに始まろうとしているのだ。
煩悩を倒し素晴らしい来年を迎えるための、戦いが。
●煩悩撃滅大決戦
全長8mの巨大煩悩獣ポテットタヌキ・ザ・タマキネコ。略してポテネコとなった汰磨羈は、自分の姿を何となく自覚できていた。
(――どこかタヌキっぽいのは何故だ? どうにも気になるが……まぁいい。では行くぞ!)
やるべきことは分かっている。
煩悩を成就させるのだ。
いや違う。
欲望を全部叶えるのだ。
いや違う。
見事倒されるのだ。
なんか気を張らないと怪獣側に大きくブレそうだと汰磨羈は軽く危機感を抱く。
\もっと甘いものが食べたぁ~~~い!/
\冬はこたつに入ってごろごろしていたぁ~~~い!/
\可愛い子といちゃつきた~~~い!/
声を出そうとしていないのに声が出る。たぶん何か言おうとしたら全力の煩悩を駄々洩れにしそうである。
(なるほど、これはかなり駄々洩れになるな。煩悩が。8Mの巨体で練り歩くこと自体は割と楽しいが、ここまでナチュラルに駄々洩れだと、しまいには致命的な事を口走りかねんな?)
\もっと可愛いタヌキのコスプレした~~~い!/
(……いや待て。これは違うんだ、これは私の煩悩じゃないんだファイヤァーーーーッ!!)
\今まさに可愛い女の子とイチャつきた~~~い!/
(なるほど。この火炎放射はいわゆる、『顔から火が出る』とかそういう、羞恥心的なヤツの表現という訳かッ! なに、違う? ええい、どうでもいいから煩悩退散砲はよ! カマン! ばっちこいやぁあああっ!!)
ゴオオオオオ、と凄まじい勢いで火炎放射する大煩悩獣ポテネコ……もとい汰磨羈。
その姿も凄まじいが……幸いにも全員、それどころではなかったりする。
「ま、まさかこいつは吾の取ってこい遊びを求める煩悩! ほ、ほねっこを投げられると取りに行きたくてうずうずしてしまうではないか! 戦闘に集中、集中せねば……!」
誰よりも速く飛び出した百合子が、自分の煩悩に対応した煩悩獣を前に驚愕に打ち震えている。
ちなみに「ほねっこ」とは百合子がレオンに投げてもらっている骨だ。
その時々によって種類は変わるが夜盗等の罪人の大腿骨であることが多いとのことだ。
なんだこの美少女、超怖い。
「まずは小手調べの雑魚煩悩退治ですな、ほうほう食欲・性欲・睡眠欲色々な欲望がモチーフな煩悩獣が勢ぞろいですのぅ。お、あのへっちな外見な煩悩獣ムフフでありますな! 実に吾輩好み……げふんげふん……じ、じつにけしからんでありますな! 色んな意味で!」
ジョーイの視線の先には、なんかへっちな雑誌のグラビアになっていそうなお姉さん型の煩悩獣がいたりする。
まあ、頭部がジョーイっぽいので明らかにジョーイの煩悩なのだろうが。
女性陣の針どころか槍のような視線がジョーイを刺し殺しそうだ。
「なんか、こう、煩悩が具現化したような奴が居るようなので、手が滑る可能性はなきにしも非ずでありますね死ねェ!!」
「うひょえー!?」
メットのバイザー部に「(°Д°)」と表示したジョーイがエッダの鉄拳をギリギリのところで回避するが、誰も見てないフリをするあたりジョーイの明日が危ない。ハイクを詠む必要がありそうだ。
「おもしろおかしくしてやるであります。顔のカタチとか」
そしてジョーイが回避の神髄に目覚めそうで目覚めない辺りの感動エピソードはひとまずさておこう。
「見せもんなんじゃろ? んなら出来るだけ派手にいきたいところじゃなぁ。安全にという前提はあるが」
こちらに迫る煩悩獣たちを見ていた清舟は、まさに清舟好みのバニーガールっぽい煩悩獣がいるのに気付く。
「え、なんか煩悩獣の姿がバニーガールの別嬪さんに……あ、あ、あ、めっちゃ好……へぶぅ!! え、遠慮無く殴りおってからに……!」
「働けでありますカスがあ」
「酷い!?」
言いながらもエッダが怖いので、全員が戦場へと駆けだしていく。
もう自分の煩悩獣がどれかは把握できたので頃合いだろう。
ちなみにバニーガール煩悩獣の名札には「ゆいづき」と書いてあった。妙に芸が細かい。
「くっ、来たはいいが、だがこんな別嬪を殴れやしない…… え? あれ当たり馬券? 競馬で大勝した? あらよいしょー!!! 」
清舟のアデプトアクションが酒瓶を武器にしていたバニーガール煩悩獣を打ちのめす。
「やっぱ許せなかった……」
ちなみに清舟の煩悩は「酒! 女! 賭博! 美人のおねーさんにお酌されたい! 美味しいお酒飲みたい! 競馬とかチンチロで買って一攫千金したい!!!」
まさに俗物ランドの俗物王である。あるが……煩悩獣も全部一緒にしなくてもいいのではないだろうか。
ちなみにだが、酒欲が顕現している者はもう1人いる。
「え、君20歳なの? 証明書類とかある?」でお馴染みヘルミーネである。
「……でけぇのだ……てかデカすぎるんだろ……えっ、これ倒さないといけないの? ヘルちゃん達……? ……と、とにかくまずは煩悩獣からなのだ!」
迫るポテネコを見ながらヘルミーネは気合を入れ直すが、その視線の先に居るのは料理と酒瓶の乗ったお盆だ。
無論煩悩獣なのでナマモノだし、酒瓶の下に足が生えている。キモい。
「うん! わかってた!ヘルちゃん、酒も料理も大好きだから出てくるかな~とか思ってたのだ。でも! 多すぎなのだ! 特に酒!! これ絶対他の連中のも交じってるのだ! というか他の連中もどれだけ酒欲してるのだ! なんでヘルちゃん、こんなツッコミしながら戦わなくちゃいけないのだ!」
混ざってるだろうか、どうだろうか。エッダが酒瓶の煩悩獣を砕いているのでそうかもしれない。
でも現実を見据えるのは大事である。
氷結死世界で仕留め終わると、次に出てくるのはヘルミーネに酷似した妙齢の美女の形をした何かだった。
ただし般若顔でヘルミーネに罵詈雑言を浴びせてくるソレに、ヘルミーネは大きく溜息をつく。
「……ハッ……成程……煩悩だったら、ヘルちゃんにとっての執着のこいつも出てくるか……チッ、うぜぇのだ。とっとと消えろなのだ、母ちゃん」
そんな、因縁の欠片もはらみつつも。
「酒とか金とかそういうのが出て来るのはいいんです。でも、こう、『キャラ作りやめてもうちょっと普通にみんなと仲良くしたいな』と思っているとか、そういうあれそれは、見ないで下さい!! やめて下さい!!!!」
なんかいつもよりだいぶ可愛らしいエッダのような限りなく近いっぽい普段の彼女を知ってると2度見するタイプのそれをエッダが比較的速やかに滅ぼしている横では、ヴァレーリヤがまだ吞んでないのにハイになっている。
「お酒が、お酒が迫ってきますわ!! ふへへへ、これだけあれば数時間は……えっ、飲めないんですの!? ええい、見せかけだけのお酒に用などございませんわ! 散りなさい!! ……エッダ、何か言いまして?」
きょとんとした顔でエッダに復唱を要求してくるヴァレーリヤ。
はたしてハイになっていたのは演技だったのか、それともハイになりつつもエッダの見せた隙を絶対に逃すまいとしているのか。
その辺りは不明だが、恐るべきはヴァレーリヤである。
「……まあ、自分の煩悩に対応する奴は優先的に倒した方が色々得ですよね。そんな気はしてましたが……」
ヴァレーリヤとエッダを見ながら、オリーブは煩悩獣を倒していく。
「強くなりたい有名になりたい認められたいお金が欲しい……ふふ、煩悩まみれです」
そしてそんな中、百合子がついに開眼する。
「はっ! そうか! ほねっこが気になってうずうずしてしまうのなら一瞬で取って戻ってきてから殴ればよいのか! 強い美少女なら遊びと戦闘同時にこなせて当然!! 完全に集中してる吾の拳の冴えを見るがよい!」
繰り返すが「ほねっこ」は夜盗等の罪人の大腿骨であることが多いらしい。
ともかく煩悩獣に百合子の瞬天三段が叩き込まれ相手の体勢を崩した後、白百合清楚殺戮拳を連打していく。
「108には足りぬが吾の連打力も中々のものであろう?」
そうして完全開眼した百合子の破壊力が加わっていけば、もう煩悩獣はあっという間に排除されていく。
残るはもう、大煩悩獣ポテネコ……つまり汰磨羈だけだ。
「な、なんという巨大な煩悩! 混ざり過ぎてなんかよくわからなくなってる感ないか!? だが、煩悩退散砲があれば汰磨羈殿も元に戻る筈!」
「なんだかよく分からないけれど、一緒に詠唱すれば良いんですのね?」
「……何メートルぐらい飛ぶのでしょうね。心配です」
「しかし煩悩とは、あれでありますね、欲望とか願望とも言い換えられるでありますね。人間に必要なものであり、無くしてはいけないものでもあると、そんな綺麗めのシメを入れつつ、どうせ爆発オチなんでありましょう!!」
「タヌキ鍋にするかはさておき、むむ! これはすごい姿に……いや、本当……どういった反応をするべきなのでしょうかな? 関心してる場合ではありませぬな、ではニンポで撃退しましょうぞ!」
「さあ、絆の力を見せつけてやるのだ!」
「えぇと、忍・法・投・射・改・心・滅・罪・善!煩悩退散砲!だったか……これでなんかでるん? 本当に? まぁ恥ずかしがってたら逆に恥ずいのぅこれは。腹から大声出して叫ぶぜぇ!」
そして、全員の気持ちが1つに合わさっていく。
ニンジャから学んだ怪しげな印を高速で結んでいき、7つの腕が大煩悩獣ポテネコ(汰磨羈)へと向けられる。
「忍・法・投・射・改・心・滅・罪・善! 煩悩退散砲!」
7人から放たれたエネルギーが合わさっていき、凄まじい勢いの光線が放たれる。
7つの力が合わさったこの煩悩退散砲……なんとその威力、11810の108連撃。
なんかもう一撃ごとに死ぬんじゃないかという威力の108連撃が、かつて汰磨羈であった大煩悩獣ポテネコにこれでもかというくらいに突き刺さっていく。
「108連撃……吾はまだ20連撃位が限界であるのにあのニンジャどもやるな。うむ、とにもかくにもこの大暴走は吾の心の奥底に閉まって置く故……安心して打ちあがるがよい汰磨羈殿」
\ぬわぁーーーーーっ!!!/
そんな断末魔をあげながら、大煩悩獣ポテネコが空に撃ち上げられ……ド派手な花火に変わる。
ドドーン、と。凄まじい音と火花。なんか中央に「大」の字の汰磨羈がいる気がするが、ド派手な108連爆発の花火である。
きっと気のせいだろう。
「綺麗……いや、やっぱり(爆破した内容を考えたら)汚ねぇ花火なのだ……だけどすっきりするのだ!」
「ところであのでっかいタヌキはタヌキ鍋にするのが良いのでは?」
「うっうっ、さよならたぬきち(汰磨羈)。美味しい狸鍋になって頂戴ね……」
エッダとヴァレーリヤが具材の準備をしているが、きっと煩悩退散のお祝いだろう。そうに違いない。
「……あれ、いつ終わるんでしょうね? 今何回目でしたっけ?」
オリーブは回収の心配をしているが、ニンジャに「まあ死なねーでござるよ」と言われ安心していた。
「むはー! なんかかっちょいいであります!」
ジョーイはこの技が年末限定である事にちょっと残念そうにしつつも、ド派手さにまだ興奮が収まらない。
「来年はもっと楽して稼げますよぉぉにぃ!!!!」
花火に向かって手を叩いている清舟など、煩悩が取り切れていない。
あとで煩悩退散砲で撃ちあがるべきではないだろうか?
まあ、酒瓶を取り出しているヴァレーリヤも似たようなものかもしれないが。
「美しい……心が洗われるような美しい花火であるが主成分は煩悩であるのよな。そう思うと途端にしょうもないものに思えてくるが、まぁ見てる大半のものには関係あるまい! 一件落着!」
百合子がそう綺麗に締めると、ヘルミーネはニンジャを見つけて詰め寄っていく。
なんかいつの間にか増えているが、とりあえずどうでもいい。
「さて依頼はこれにて完了なのだ! ……じゃあ、もういいのだ? おい、山蛇ニンジャ。よくも人が見られたくねぇ煩悩を見せやがったな? 覚悟はできてるんだろうな? 暴力反対? なら、宴会の準備くらいするのが筋ってもんじゃないのだ? さあ、酒をもっと寄越せなのだー!」
「そうでござるなあ……たとえば、此処に何の変哲もない酒瓶があるでござるが」
「ふむふむ」
「これをまずお渡しする」
「おー、高そうなのだ」
「然らば……散っ!」
「あー、逃げやがったのだ! でもコレすっげー高そうな酒なのだ!」
一瞬でいなくなるニンジャたちだが、もう追いかけるのは無理そうだ。
しかし手元の酒は実に美味そうで、横で清舟とヴァレーリヤがほうほう、と感心したような声をあげている。
そうして花火が終わった後。
「……うん。中々に痛い想いはした。どっちかっていうと心の方が。しかしまぁ、確かにかなりすっきりした。ストレス発散手段としては優秀かもな。あまり勧められないが!」
「怨霊が出ましたわ!? ええい、悪霊退散!!!」
「ぬわぁーーーーーー!」
何やらちょっと楽しい事件が起こり……はしなかったそうである。
かくして今年の煩悩は立ち去り、翌日酔っぱらった大人たちを百合子が宿に叩き込む事件が発生したりもしたが……まあ、些細な結末である。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
コングラチュレーション!
見事今年の煩悩を撃破したんですが、すでに煩悩塗れで大変よろしいと思います!
GMコメント
依り代の人は最終的に108連撃を喰らって夜空に撃ちあがります。
煩悩をカミングアウトして、綺麗な花火になってくださいね。
●煩悩退散砲
依り代役以外の7人が力を合わせて放つ超ニンポー。
「忍・法・投・射・改・心・滅・罪・善! 煩悩退散砲!」
という詠唱で物凄いレーザー的なものが放たれます。
依り代役の巨大煩悩獣に108連撃を与え、綺麗な花火に変えて撃ちだします。
●依り代役
ニンジャのニンポーで108の強力な煩悩を宿し、全長8Mの巨大煩悩獣となって街から離れた場所に煩悩獣と共に現れることになります。
攻撃方法は怪獣モノではお馴染みの火炎放射的なやつです。
どんな姿かはプレイングでご指定ください。
煩悩を垂れ流しながら進撃することになるので、派手に散って全部なかったことにしましょうねっ
●煩悩獣×30
弱い煩悩が具現化したミニ怪獣たち。全長2M。
攻撃方法はボクシング。
姿は色々ですが、もしかすると皆さんの煩悩が具現化した何かがいるかもしれません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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