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シナリオ詳細

<オンネリネン>鉄帝の悪は夜に花開く

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝の夜に
 鉄帝。日々様々なトラブルが起こる町ではあるが……その夜は、少しばかり様子が違っていた。
 1つの鉄帝の商人の自宅が、赤く染まっていた。
 絨毯の赤。血の赤。豪奢な内装も飛び散った血で染まり、護衛と思わしき男達も使用人と思わしき人達も倒れている。
 一体何故。何故こんなことに。
 その理由はどうやら……襲撃者である8人の子供達が知っているようだった。
 どうやらそれぞれ、15にも満たない子供たちのようだが……それぞれ違うカラーの額当てをしているのが実に印象的だった。
「プラチナ、護衛は全員倒したよ」
「ええ、ありがとうレッド。あとは……あいつだけね」
 子供たちの額当てと同じ名前がつけられているようだが……その呼び方は実に自然で、まるで本名であるかのようだ。
 そして「あいつ」と呼ばれた男は「ひいっ」と声をあげる。
「な、なんなんだ! お前等……なんで俺を狙う! 俺が何をしたって言うんだ!」
 その問いに、青い額当ての子供がチッと舌打ちをする。
「調べはついてるんだぜ、オッサン。相当悪い商売してたんだろ?」
「そうよ! 奴隷商売だってやってるって……とんでもないわ! 神様だってお許しにならないわ!」
 ブルーとピンクの言葉に、商人の男は呆けたような表情になったあと……ハッとする。
「神? 神だって? まさかお前等」
「ピンク。余計な事を言い過ぎですよ」
「あ、ごめんなさいプラチナ」
「構わないわ。ええ、でも言ったからには教えてあげます。貴方みたいな悪い奴を殺してお金を稼ぐ。そして私達はきょうだいを救うの。もう、あの子たちも魔女狩りなんてしなくて良くなるのよ」
「や、やっぱりお前等……!」
 ザクン、と。プラチナのフランベルジュが商人の男の首を飛ばす。
「さあ、戻りましょう皆。明日は次の仕事が待ってるわ」

●鉄帝の町に潜む
「オンネリネン。そう呼ばれてる傭兵部隊があるです」
 今、豊穣を除く各国で、『オンネリネン』と言う子供しかいない傭兵部隊が、悪い依頼主に雇われて悪事を働いたりしているのだとチーサ・ナコックは集まった面々に説明する。
 彼等は鉄帝にも雇われる形で入ってきており、今回の対象となるオンネリネンは全員が15歳に満たない男女で構成された8人の集団。
 どうやら「プラチナ」と名乗る14歳の少女が彼等を取りまとめているようだ。
 その行動はあくまで品行方正だが、夜な夜な彼等を雇った悪徳美術商「ネイベル」の指示で商売敵を殺して回っているようなのだ。
 そしてネイベルはプラチナ達に「ターゲットはとんでもない悪徳商人だ」と噓を吹き込んでもいるようだ。
 被害者に配るという目的で金品も集めさせているようだが……これだけでとんでもない悪党だとよく分かる。
 当局にバレないように隠し倉庫に運び込ませている事からも、その悪質性は高い。
 そんな悪事に子供達を関わらせるようなことは、なんとしてでも止めなければならない。
「……ですが、オンネリネンの子供達は、ローレットを悪者だと思わされているですから、説得はほぼ通用しないと思っていいです」
 ならば腕ずくでも彼女達を止めてやらなければならない。
 そしてキッチリとネイベルも捕縛してやらなければならないだろう。
 子供たちの未来を救うための鍵は……イレギュラーズに託されているのだ。

GMコメント

鉄帝の町でとんでもない悪事を働く悪徳美術商ネイベルと、彼の手先となって動いているオンネリネンの子供達を捕まえましょう。
プラチナ率いるオンネリネンの子供達は、朝から昼の間にターゲットとなる「宝石商ミガル」の情報と実際との差異を確かめ、夜に襲撃をかけてきます。
この夜のパートに見事オンネリネンの子供達を撃破し、捕らえる必要があります。
またネイベルは彼女達が襲撃して「保護」した金品を隠し倉庫に入れてロンダリングの手はずを整えています。
この隠し倉庫を押さえれば悪事の証拠としては充分でしょう。チンピラしかいないのですぐぶちのめせます。

なお、以下必要な情報です。
・オンネリネンの子供達(プラチナ隊)
少女プラチナをリーダーとする8人で構成された部隊。
全員が違う色の額当てを装備しており、武器は全員フランベルジュ。
プラチナが戦う手段を教えた大切な「きょうだい」たちです。
技も全員が近距離攻撃の「スラッシュ」、炎を纏った飛ぶ斬撃を放つ「フラムスラッシュ」を使います。

・プラチナ
プラチナ隊のリーダー。14歳の少女。絆を結んだ「きょうだい」がまだ下層で魔女狩りをやらされていて、オンネリネンに入隊させて助ける事を目標にしています。
苛烈さと優しさを持つプラチナ隊のお姉さん。
・レッド
プラチナ隊のサブリーダー。13歳の少年。プラチナを慕う熱血少年。
・ピンク
プラチナ隊のサブリーダー。12歳の少女。プラチナを慕う純情少女。

他はブルー、イエロー、グリーン、ゴールド、シルバーがいます。全員11歳です。

・ネイベル
悪徳美術商。チンピラを雇って嫌がらせしてるだけならマシだったものの、オンネリネンの子供達を雇えた事で行動が過激化しました。基本的にド悪党です。オンネリネンの子供達に渡している情報も襲撃場所、人の情報以外(悪徳がどうのとか)は全部嘘です。上手く動かそうと思ってめっちゃ嘘ついています。

・宝石商ミガル
まともな商売をしている宝石商。ちょっとばかりメンタルは悪人寄りですが、真っ当な商売をしています。
ミガルの宝石店は1階が店舗、2階が事務所、3階が住居になっています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <オンネリネン>鉄帝の悪は夜に花開く完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
メルバ・サジタリウス・サーペンタリウス(p3p007737)
自称パッショニスタ
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切

リプレイ

●昼・邪悪の種は蒔かれる
 鉄帝の街は、いつも通り。人々が行き交い、いつも通りに騒動が起こって。
 様々な人間模様の中に、確かな邪悪が隠れている。
『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は、思う。
 アドラステイアの洗脳を受けている子供達は皆被害者。
 わたしはずっとそう思ってる。
 助けたい。胸に湧きおこる気持ちは止められない。だから助けにいく。
「わたしがそれを望むから」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は思う。
 嘘を信じ込むように教えられれば、そうもなるか。
 弟子の手前、仕損じるわけにはいかなくてね。
 安っぽい? じゃあどっちが正しいか決めましょう。
「神がそれを望まれる」
 弟子と師匠。
 そんな2人の2つのコトバは違うけれど。しかし、確かに同じ方向を向いている。
 オンネリネン。
 アドラステイアから放たれた、子供だけで構成された傭兵団。
 プラチナ隊と呼ばれる子供たちを止めるべく、イーリンたちは動いていた。
『とっ捕まえて終わりだってさ! みんな優しいよな。オンネリネンだろうが人殺した奴らだぜ? 俺は仇を打ってやるべきだと思うけど』
「意見が合わないな。罪人だろうが何だろうが無駄死には俺の主義に反する。罪を償う機会を与えるべきだ」
『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)は虚と稔……2つの意見を自分で体現するが、それは正しくこの事件に関わる者達の意見を代弁していたとも言えるだろう。
 襲撃があるのは夜。その時間に向けて、全員が行動を開始している。
「嘘の情報を教えて純粋な子供達を騙すなんて……自分の手は汚さず、甘い汁だけ吸わせてなるもんかー! 絶対に捕まえてみせる!」
『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はプラチナ隊を雇った悪徳商人ネイベルの店から可能な限り近い喫茶店で精霊さんに協力して貰いながら情報を集めていた。
 可能ならば隠し倉庫の位置でも見つけられれば儲けもの。
 もしネイベルの店そのものに隠すなら地下室か隠し部屋にしそうだし、そこにあたりをつけて調べて貰おうと、そんな事を考えていた。
 そして、マルク・シリング(p3p001309)達は仮拠点として宿屋を押さえてもいた。
 誰の目も気にせず情報交換や集約が出来る場所は重要だからだ。
「アドラステイアのやり方が信仰を利用した洗脳なのは今更だけど…それにつけ込んで悪行に利用する方も、度し難いね」
「そういうものよ。そう仕込まれればね」
 マルクにイーリンはそう答える。イーリンは近所の子供に小遣いを握らせることで「普段ミガルの商店辺りに来ない子供や大人」
の存在を探らせていた。
 勿論、たいした成果は期待していない。顔や場所程度の大雑把なものさえ分かれば良いのだ。
 出現場所やその他仲間の話から、どこから襲撃を試みようとしているのか類推し、夜の迎撃の際にこちらが動くまで露見しにくい場所を割り出そうとしているのだ。
 一方のマルクは宿の部屋からファミリアを用い情報収集をしていた。
 狙われている宝石商ミガルの店の入り口を鼠のファミリアに隠れて見張らせ、下見に来るオンネリネンの子供達を捕捉しようとしていた。
 勿論顔は知らないが……然程特定は難しくない。オンネリネンの子供たちは15歳以下。
 つまり子供だけで宝石店に来る、商品ではなく店主や店内の構造を見ている、等から判断できる。
 それだけではない。マルクはプラチナ隊の拠点はネイベルの隠し倉庫と推測していた。
 理由としては宿等では滞在中に正体が露見するため、「隠れられる所」に滞在していると思われるため……といったところだ。
 もしそうならば、一度補足すればファミリアーで追いかけ隠し倉庫の位置を補足できる。
 この作戦が空振りに終わったとしても、プラチナ隊の顔をしっかり確認できるチャンスだった。
 さて、そして拠点から様々な策を動かすイーリンやマルクのような者もいれば、直接動く者も当然いる。
 たとえば『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は、ヤドヴィガ・ホルショフスカと共に情報収集に努めていた。
 探すのは悪徳商人ネイベルの所有する物件についてだ。ピックアップされた条件のうち、人目につかず出入りがし易い場所を特に抽出し、味方の情報とすり合わせる手法は、単純明快に「隠し倉庫であるかもしれない場所」を見つける助けになるだろう。
 ついでにエッダはただのメイドに見えるような形で宝石商ミガルの家に入り込んでもいた。
「おいメイドじゃねえって言ってるだろ」
 そんな事を言うエッダにヤドヴィガは苦笑しながら「人遣いが荒いのは相変わらずですね」などと言ってくる。
「喧しい」
 エッダはそう端的に返すが……久方ぶりに会う元部下との会話も連携も、決して悪いものではなかった。
 そして、ココロもエッダ同様にミガルのところに……ココロの場合は客として来ていた。
 オンネリネンの子供達に見られないようにベールをかぶり『変装』しているが、これは怪しまれない程度に顔を覚えられることを避けるには良い手段だ。
 ウィンドウショッピングする体で伺い、店の周りと『透視』で店内を見て覚えていく。
 覚えておくのは裏口があるか、2階への階段、3階にはどう行けそうか、1階店内の物の配置。
 こうして得た情報は別行動している『自称パッショニスタ』メルバ・サジタリウス・サーペンタリウス(p3p007737)の得た情報と合わせれば、確度の高い素晴らしいものとなるはずだった。
 さて、そのメルバはどうしているかというと……スケッチ道具を持ちながらいい感じの構図を探しつつ、周辺の構造を【瞬間記憶】していた。
 ちょうど宝石商店の入り口と内部が見えそうな建物の屋上を見つけると、さながらそれが自然であるかのようにスケッチを開始する。
 別に鉄帝では珍しい光景でもないので怪しまれもしない。
 不審な動きをする人物や子どもの様子を気にしながらスケッチしていけば、後々の情報のすり合わせで色々なものが浮かび上がってくるだろう。
「美術品で悪どい事しようなんて……っ! 芸術家をバカにしないで! そのうえ子どもたちに嘘をついて悪行の片棒を担がせるその腐った根性……例えお天道様が許してもこのパッショニスタが赦さないんだから!」
 怒りと共に呟くメルバの表情は、真剣そのものだった。
 そうしてミガルの宝石店周辺ではTrickyも『本人・オンネリネンの子供達』と接触しない範囲で調査を行っていた。
 周囲を散策し『看破』を使用しながら隠し倉庫の場所や襲撃計画に関連しそうな情報を集めるのが目的だった。
 ギフト「Hollow Truth」の発動チャンスも狙っていたが……そうして得られた情報も、役に立つだろう。
 そして……『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)もまた、隠し倉庫の情報収取にあたっていた。
 それっぽいフード付きマントやヴェールを被ってラサの方から来た占い師とかを装うアーマデルだが、それを疑う者はいない。
 卦を見てでもいるように装いつつ周囲に聞き取られないよう霊魂疎通で疎通出来そうな霊を探すアーマデルだが、そこには彼なりの勝算というものがある。
「美術品、宝石…高額なほどにヒトの思い入れは捩れ、時に死者の魂をも絡めとる。血なまぐさい経緯でやり取りされれば尚の事だ」
 事件現場周辺にそのような霊が残っていれば、それは非常に大きな情報を持っている可能性がある。
 代わりにアーマデルは宝石商にはなるべく近づかないことを決めていた。
 凄惨な事件のあった現場を見る野次馬はそう珍しくなくともそれが次の標的の近くをうろつけば怪しいだろう、と……そう考えていたからだ。
 ……そして同時に気になる事もあった。
「相手はなかなかの悪徳美術商。隠し倉庫へ荷を運び込むのはオンネリネンか? もしそうだとして、そこは正しく隠し倉庫か? ワンクッションではなく?」
 考えすぎ……とも言い切れはしないだろう。アーマデルの懸念は検討すべきものだ。
 傭兵にそう簡単に、見つかれば致命的ともいえる隠し財産の置き場を教えるかという疑問があった。
 故に、オンネリネンから聞き取れたとして、真偽をある程度絞り込める程度には日中に調べておきたいと思ったのだ。
 無論、オンネリネン……プラチナ隊が嘘をつくといった話ではない。
 彼女達に何かあった時の防御策を悪徳美術商ネイベルがとっているのではないかという、そういう疑問だ。
 事実、隠し財産の場所を複数に分けるのは基本的な防御策だ。
 様々な可能性を模索し、可能性を潰しておくのは後々の混乱を防ぐ事になる。
 そうして得た情報を統合し、宿屋でスティアたちはプラチナ隊とその動き、今後に関する情報を統合して導き出していく。
 限られた時間で情報を制する者が勝つ。それは、どんな場面においても不変の真実だろう。

●夜・邪悪が花開く前に
 夜のミガル宝石店は閉店しているが、1階の電気がついている状態だった。
 何かの閉店後作業でもしているのだろうか?
 それは分からない。分からないが……チャンスだと、プラチナは判断した。
「行きましょう。一気にきめるわ」
 店の入り口の扉の鍵をフランベルジュで切り裂き突入すれば、そこにはエッダとアーマデルの姿があった。
「!? これは……!」
「プラチナ! 後ろから敵が!」
 近くの路地に潜んでいたTrickyたち、残りのメンバーが外から囲めば、完全な包囲がそこに完成する。
「罠……!?」
「……原色でありますなあ。目が眩む」
 そう言い放つのはエッダだ。
「しかし、今までのアドラステイアのお子様共に比べれば、まだ……幾分か、救いがあるように見える。おい。数で優位に見えるか、ガキ共。早計でありますな。これで――袋詰めの鼠の一丁上がりであります」
「私達が今日仕掛ける事を知っていた……? 何者なの」
「何者かって? 正義の味方よ」
「戯言を!」
 プラチナの問いにイーリンはそう言い放ち、プラチナからは予想通りの反応が返ってくる。
 ここで説得できるとは思わない。まずやるべきことは無力化。
 そしてそれは、向こうも同じであるようだった。
 殺すつもりがあるかないか、というのは大きな差ではあるだろうが……煙草をふかしながら不敵に笑うイーリンの挑発も、予想以上に効果があるようだった。
 そうして始まった戦闘は、マルクの神気閃光で始まった。
 徹底的に不殺を狙い、1人も死なせないという固い決意。
「どいつもこいつもレッドに染めてあげる、死んだらブラックでしょうけどね」
 そんな事を言うイーリンですら、不殺を徹底している。
「わかっているでありますよ。別に欲しくも無い、こんな命。戦で取って名誉になるのは戦士の命だけであります」
 エッダの言葉も……乱暴ではあるが、同じ方向を向いている。
 そして、最後まで抵抗したプラチナをも倒し捕縛すると、敵意を向けてくる彼女達をメルバはなんとか説得しようとしていた。
 子どもたちに家族がいるように、芸術家にとって作品たちは家族であることを熱心に伝えたい。作品たちをあるべき場所へ返してあげたいんだ"家族"の元へ。そんな想いは子供たちのほとんどにはよく分からなかったようだが……プラチナだけは、真剣な表情で聞いていた。その様子に、スティアは話を「聞いてくれている」ことに気付く。
 戦闘前には敵意しかなかったが……もしかすると、今ならば。
「私達は貴方達を悪いようにするつもりはないし、ネイベルについて知っていることがあれば教えて貰えないかな? 必要なら天儀の貴族である私の家が保護先を探してあげるし、最悪私の家で保護するから! 知りたいのは隠し金庫の場所やそこへの行き方かな?」
 場合によってはギフトを使おうと思っていたイーリンは、プラチナの瞳が僅かに揺れたのを見て様子を見るべく黙り込む。
「あなた達を本物の悪の手先のまま死なせたくないの」
「……本物の悪の手先、ですか」
 ココロの言葉に、プラチナがようやく口を開く。
「貴方達を信用しているわけではありません。ですが、1人も殺さなかった貴方達が本当に言われていたような極悪人なのか、私には分かりません」
「少なくとも、今君たちを雇っているネイベルは、私欲の為の悪徳に、君等を騙して利用している。そんな仕事は、君達だって本意でない筈だよ」
「ネイベルは悪い人で金品を集めるために嘘の情報を流しているんだよ! 信じられないかもしれないけど……私達が悪い人だっていうなら問答無用で貴方達を殺しているんじゃないかな?」
 しばらく黙り込んでいたプラチナだが……再度、口を開く。
「……どのみち、私達は失敗しました。なら、此処に居るきょうだいだけでも私は救いましょう」
 そう言ってプラチナが伝えてきた場所は、昼間に調査した結果を完全に補強するものだった。
 そしてメルバは、そんなプラチナに心からの笑顔を向ける。
「何より先ずは盛大な感謝を! 君たちのおかげで救われた人がいる! 今度はあたしが君たちの家族を彼らの元へ一人でも多く連れて帰る事を約束するよ。教えてくれるならあたしがアドラスティアに囚われてる子どもたちの人相書きでも作ってもいい。どこかの戦場で会えるかもしれないし……そうだ、ローレットに貼り出してもらえないかな?」
 そんなメルバの言葉にプラチナはポカンとした様子を見せるが……そこからは否定的な感情は見受けられなかった。
「よーし! 証拠を抑えてネイベルには今までの報いを受けさせるよー! 時間はいっぱいあるし、牢屋で反省させなきゃ」
 スティアが叫び、即座に動き……隠し倉庫にいたチンピラをガッと叩いて黙らせれば、そこには今まで奪われた大量の財宝があった。
 それらの証拠は、悪徳商人ネイベルを短くない期間監獄にぶち込むには充分すぎるものだ。
 ……そうして、鉄帝で騒ぎを起こしていたオンネリネン「プラチナ隊」の事件は解決した。
 彼女達の処遇については幾つかの提案もあった、のだが。
 結論から言えば……マルクが領地で引き取る事を提案し、それが了承される形となった。
 執政官である『忘れられた武略』メイナードに子供達を保護させ、領地まで送らせる事になったが……その折、マルクはプラチナ達にこう伝えていた。
「僕の領地には、元オンネリネンの子供達が何人も暮らしてる。傷を癒やす間、僕の領地で彼らがどんな生活をして、何を思っているか、自分たちの目で確かめて欲しい」
 血を流さずとも、飢えずに暮らしていける世界があるんことを知って貰えれば、もっと多くの子供達を救う事に繋がるはずだから。
 その言葉通りになるかは分からない。しかし……きっと、明るい未来に繋がる事を……今は、信じるだけだった。
 そう、誰もがそれを望むから。
 きっと、いつかその未来に辿り着くだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
オンネリネンの子供たち「プラチナ隊」を全員保護しました!

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