PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Tower of Shupell

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『神』への挑戦
「まぁ、簡単な依頼にはならないよ」
 ローレットに集められた多数のイレギュラーズを前にした時、『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)は何時もより幾ばくか真剣な調子でそう言った。
「オマエ達に頼みたいのは或る『塔』の攻略だ。
 どれ位訳知りかは知らないが――その顔を見る限りじゃ何人かは聞いてるな?
 そう、御存知の通りだ。オマエ達が挑むのは混沌の歴史の根源、創世、御伽噺そのものだよ」
 Tower of Shupell――
 それは『スターテクノクラート』の異名を持つシュペル・M・ウィリーの拠点である。
 練達の首都であり、練達そのものでもある『セフィロト』からそう遠くなく。天を突き、聳える塔が持ち主の性格と等しく傍若無人に存在しているのは混沌の住民には知られた話だった。
 同時に彼は禁忌であり、常に世界の治外法権でもあった。
 混沌は彼の存在に干渉しない。同時に彼が何をしようとも干渉『出来ない』。過去にはならず者や有力な軍隊が塔に攻め寄せたという記録が残されているが、彼等は例外なく忽然と歴史から姿を消してしまった以上、やはり『塔』はそういう場所でしか無かった。
「間違いなく混沌最高の天才だよ。いや、天才なんて言葉じゃ片がつかない。
 神ならぬ神と言い換えても良い。恐らくアイツに不可能な事なんて死体を生き返らせる事位のもんだから」
 ローレットにとっては特殊な装備を用意してくれる人間、といった印象が強いが、レオンの言葉はそれ以上だった。
 物事を茶化しがちな彼が直接依頼をもってきて、大真面目な顔を崩さないなら言いたい事は知れている。
「……R.O.O――いや、『ネクスト』事件解決の為だよな?」
「ああ。確証はないが、奴ならこんな状況にも手が打てるだろう。
『真相を既に知っているのか、それとも対処が可能なのかは知れないが』。
 何れにせよ、空振りがない事だけは断言出来る。それがシュペルだから」
「……随分信用してるんだな」
「信頼はしてないけどね」
 この切り返しだけは如何にもレオンらしく、肩を竦めた彼は小さく嘆息した。
「問題はそこなんだ。アイツは兎に角変わり者で性格が悪い。
 悪いと言うか……まぁ、何だ。兎に角面倒くさい。
 ……そういや、オマエ達。ネクストでは竜域に挑戦してるんだろう?
 アイツの出方は不明で、今回の『塔』が冗談で済むのか、その竜域より危険なのかすら『分からない』。
 規格外が過ぎるのは碌でもないもんだ」
「……マジかよ」
「大マジ。遊ばれるのか、殺しに来るのかどうかも分からん。
 ついでに言うなら素直に協力を願ってもまず言う事は聞かないし、望む結果は得られないだろう」
「……だろうな」
「それで、必要なのが――」
「――『塔』の攻略、と」
「その通り」
 レオンは頷いて説明を足した。
「アイツは天上天下自分に並ぶ者が無いと確信しているからな。
 まず、話を聞いて貰うには『最低限』聞く価値がある人間だと証明する必要がある。
 ご自慢の『塔』を超えて会いに来れる人間ならまさにお誂え向きって訳だ。
 話が分かり易いだろう? だから、オマエ達には『塔』を攻略して貰う必要があるんだ」
「つまり、これはローレットを挙げての挑戦だ」とレオンは言う。
 曰く総力戦で『誰か』が届けばそれでいい、と。
「成程ね。でも、確かレオンはもう攻略済みなんだろう?」
「なら、アンタが話せば」。そう言いかけたイレギュラーズに苦笑したレオンは首を振った。
「アイツは『塔』を超えた人間の願いを『面白ければ』叶えてくれる。
 だが、それは一回限りのパスポートだ。俺はもう力を借りちまってるからね」

 ――ローレットに協力しろ。混沌の神託をぶっ壊すギルドだ。絶対退屈はさせねぇからよ?

「……ま、そういう訳だ。だから資格が残ってるのはオマエ達だけ。
 ただ、悪い事ばかりじゃねぇぞ。今言った通りだ。
 もしお目通り叶い、願い事がお眼鏡に叶ったなら――条件はキツイが不可能は殆どない。
 素直に叶えてくれるかは別として『そういう事』だ。
 まさに神代の冒険の英雄譚みたいなもんで――頑張りがいがあるってもんだろう?」

●プレイヤーキラー
 幻想北部商都サリュー。
「実に愉快な展開じゃないか!」
 執務室の机に頬杖を突いた上機嫌極まるクリスチアン・バダンデールの地獄耳はこの日、最高に耳寄りな情報を掴んでいた。
 それは言わずと知れたホット・ニュース。
 Tower of Shupell――混沌の『聖域』にローレットが挑む大作戦の話であった。
「上で待つ『神』は万能だと聞く。
 ローレットにつまらない願いを叶えさせるのは退屈だし……
 ここは一噛みしたくはならないかね?」
「誰ぞに頼るのは嫌いでな。そう興味はないが?」
「いいや、嘘だね。それは単なる手段と目的の順序問題だぜ。
 君が君の願いを叶えたなら、闘争は永遠のものになるだろう!?
 君はこの世の混乱の為に、或いはその先に待つ『君の世界』の為に私を手伝っているのだろう?
 なあ、そうだろう。バイセン!」
 何時になく興奮し、熱っぽい雇い主(クリスチアン)に死牡丹梅泉は辟易した。
 言い出したら聞かない男である。子供のように無邪気に残酷極まる行為を『やり切る』男なのだ。
 その好奇心が向く先には大抵碌でもない未来が降りかかる。
「……まぁ、良い。それで何じゃ。主はわしにちょっかいを出せと言う心算か?」
 梅泉とて、毎度顎で使われる趣味はないのだ。
 あのイレギュラーズと一戦交えるのは吝かではなく。
 吝かではないから――何だかんだで『お使い』をさせられているのは否めないのだが。
「いいや、違う」
 だが、この日のクリスチアンの言葉は何時もと少し違っていた。
 こんな時、大抵彼は「任せるから遊んできたまえ。私を楽しませてくれたまえよ」等と言うのだが……
「今回は君にお使いを、じゃない。私も行くからね」
「――ほう?」
 眠たげだった梅泉の目が開く。
 チェスのクイーンのように滅多な事では動かないクリスチアンが重い腰を上げるのは滅多に見れるものではない。
「……じゃが、構わんのか? ローレットに堂々と敵対しても」
「何を言っているんだ、バイセン。敵対なんてとんでもないよ。彼等と遭遇するのは偶然さ。
 彼等が伝説の塔に――神に挑むのと同じように、偶然我々もそうするに過ぎない。
 更に間の悪い事に私達は独自の情報を得ているんだ。
『塔を攻略出来るのは一組だけ』。意味が分かるかい?」
「陰湿な主らしいな」
 梅泉は呆れた調子で溜息を吐いた。
 クリスチアンは出会ったイレギュラーズに例えばこんな風に言うのだろう。

 ――塔を攻略出来るのは一組だけなんだ。だからこの場は我々に譲って貰うよ?
   もし、譲ってもらえないなら……そうだ、ここはフェアに勝負といこう!
   勝っても負けても恨みっこなしで、ね!

 承諾する筈がない。結果として物別れするのだから『やむを得ず排除せざるを得ない』と言いたい訳である。
「そういう訳だから、急いで準備をしよう。
 留守番は……今回は時雨に任せよう。私、君、たては君、それから小雪君。
 チーム・サリューだ。素晴らしい。
 いやあ、私もデスクワークには飽き飽きしていたんだ。
 たまには運動をしないとこの身体も鈍ってしまうというものだからね!」
 相変わらず上機嫌のクリスチアンを半眼で眺め、梅泉は考えた。
(成る程、この男の底は知れない。見極めるも良き機会じゃろう。
 さて、イレギュラーズには災難じゃが、乗り越えてこそ『勇者』といった所か――)

●『神』
 一体何時ぶりの出来事か。
 酔狂の気まぐれと、愚者の蛮勇。
 それを除けば『塔』を望む者等多くはない。
 ましてや本気で攻略を目指す等――天に唾する方が『マシ』であろうというものだ。
「一つ前は『蒼剣』か。その前は『あの女』。その前は――アイオンだっけ?」
 実際問題、混沌の長い歴史の中でも『塔』を踏破した者等、数える程も居ないのだ。
 だが、どうも、ローレットと――オマケが『塔』を目指しているのは本当のようである。
『散発』と違うのはローレットが本腰を上げた以上、『攻略』を重視してくる事は間違いないという点だ。
「ま、経験者(レオン)の考えそうな事ではある。
 ……しかし、まったく。どいつもこいつも俗っぽい。
 小生に謁見しようというのに、実に嘆かわしい限りだな?」
 混沌の全てを見通し、全治を気取る――『スターテクノクラート』は皮肉に口の端を持ち上げていた。
 練達の三塔主から協力を要請されたのは随分前の出来事だが、当然そんなものは一蹴した。
 そうしたら今度はこの通りである。自分の『お気に入り』をてこに話を進めようという事なのだろう。
「……………ま、良いか」
 時間は売ってもなくならない位に余っていて。
 代わり映えしない長閑には些か飽き飽きしていたのは事実である。
 何年振りにか――それも迷い込むレベルではない。
『塔』に挑むに最低限礼儀の整った連中が大挙して押し寄せるなら、これはシュペルにとってもいい娯楽であった。
「……うむ、レオンの所の連中ならこんなものか?
 いや、もう少しか? それともやり過ぎか?」
 彼は空中に生じた青い魔力のコンソールを素早く打鍵する。
 その一打ごとに『塔』の内部は姿を変え続けているのだ。
 元より外から見える姿は仮初のようなもの。
 無限に引き伸ばされ、自由に再構築される内部空間は彼のみに許された至高の幻想そのものである。
『塔の見た目、外から見える高さに意味は無く。実際問題一度足を踏み込めばそこには別の世界そのものが広がっている』。
 シュペルに言わせればシステムを介して『混沌』をコピーしたR.O.O等、玩具に過ぎない。
「良し、一先ずはこれでいい」
 塔を訪れる稀人であるレオンの顔を思い浮かべ、シュペルは作業に『一先ず』ほんの少しの手心を加えた。
 先の保証はしないが、一層から全滅してはいよいよ退屈であるし、何より。
 彼が自分のルールを理解しているのに満足した。お願い事を二回されるのは好きじゃない。
「何人が会いに来る事か――」
 恐らくローレットはレオンの指揮で実に効率的に『攻略』を目指す事だろう。
 それに、ダークホース。『おかしな連中』のお手並みも見物するには愉快だった。
「――尤も、期待はしないがね」

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 Tower of Shupellのてっぺんでもやしと握手!
 非常に特殊なラリーです。以下を読み込んでご参加下さい。

●依頼達成条件
・Tower of Shupellの攻略

※ローレットの誰かが達成すればOKです

●シュペル・M・ウィリー
 混沌において神に最も近しい人間。
 魔術王であり、鬼才のアーティファクトクリエイター。
 性格は面倒くさくて傲慢。塔を登って会いに行きましょう。

●Tower of Shupell
 練達の『セフィロト』近郊に存在する塔。
 シュペル・M・ウィリーのアトリエとされており伝説そのものです。
 外から見えるのは高い塔の姿ですが、実は内部は一つの別世界になっておりあらゆる変化が生じます。
 塔は登るものですが下る事もあれば、別の事態も生じ得ます。
 またレオンは外見に関係なく空間は無限に続き、何もかもを内包していると言っています。
 塔を攻略した人間は(シュペルが気に入る話なら)願いを叶えてもらえるそうな。

※本人的に面白くない事願うと不機嫌になって叶えてくれない場合もあるそうな。

●チーム・サリュー
 幻想北部商都サリューを支配する一党。悪人です。
 クリスチアン・バダンデール、死牡丹梅泉、紫乃宮たては、刃桐雪之丞からなる四人パーティ。
 所謂プレイヤーキラーであり、プレイヤーチームにランダムでエンカウントする場合があります。
 エンカウントした時、どうなるかは不明です。

●第一層『星彩迷宮アリアドネ』
 Tower of Syupellに足を踏み入れたパーティはその瞬間、それぞれ全く別のポイントに強制転移させられます。
 入り口は同じでも全く別の場所。そしてそれは無限を感じるような大迷宮です。
 シュペル側が一応『手加減』してくれているのか、同チームのメンバーは固まって転移しますが、それぞれのパーティの開始ポイントはバラバラです。
 恐らくは『迷宮をクリアする為のゴール』が存在するものと思われ、ゴールに到達した人間は第二層へ移動出来るものと推定されます。
『星彩迷宮アリアドネ』は大迷路の形状をしており、道中には様々なトラップや、番人(経験者であるレオン曰くシュペル・ナイトと称される彼の駒)が存在しています。
 シュペルがどれ位『本気』かは不明ですが、忘れてはいけないのは彼にとっては冗談程度の事でも他人には重篤な結果を及ぼす可能性は低くない事です。
 死亡判定を含むその他様々な判定が状況上生じ得る事を忘れないようにして下さい。
 制限時間やゴールまでの距離は不明(かつ単純に『配置運』にも左右されると考えられる)ですが、中長期の対応が強いられる可能性は高く、単純な戦闘力のみでの解決は容易くないと考えられます。
 ギフトや非戦スキル等、効果があるものはありますが、塔主は混沌最高の『気分屋』かつ『反則』です。
 尚、レオンはこの迷宮を経験した事はありません。「俺の時の第一階層とはどうせ違うから当てにならない」との事。

 シナリオ結果(返却状態)には以下のステータスが存在します。(ハッキリと記載されます)

【クリア】:現階層をクリアし次階層への参加権を得た状態です。おめでとうございます。次階層をお待ち下さい。
【継続】:返却結果を『オープニング』と捉え、その状態に追加のプレイングをかけて下さい。(チームのプレイングが揃わない場合、プレイングの内容等によっては追加の結果が来ない場合があります。その場合は下記の【脱落】と同様の扱いになります)
【脱落】:現階層にてクリアに失敗しチームの脱落が確定した状態です。残った人を応援しましょう!

●特殊な備考
 Tower of Shupellに参加するルールと心構えです。
 全て守られていないプレイングは有効としない場合があります。

・攻略者は必ず四人のチームを編成して下さい。
・チームメンバーは一行目に【】でくくったチームタグを記入して下さい。(例:【特攻野郎ローレット】)
・本シナリオは『ノックアウト形式』です。第一層を攻略成功したチームのみが第二層以降の参加権利を得ます。第二層以降のルールも同じです。最新層で攻略成功しなかったチームは(不参加も含めて)以降層では自動的に不採用になります。
・特に悪い所がなかったとしても脱落する時はします。そういうものだとご理解下さい。
・PVPではありません! 誰かが届けば皆がOKです。自分が落ちても次の誰かに託す気持ちで応援しましょう!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

 以上、宜しくお願いいたします!

※2021/07/15追記
 各チームの攻略状況を公開しています!
https://rev1.reversion.jp/page/shupelt_challenge

  • Tower of Shupell名声:境界20以上完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年10月01日 23時15分
  • 章数5章
  • 総採用数397人
  • 参加費50RC

第5章

第5章 第1節

●シュペル・M・ウィリー
 謁見を許された僅か八名のイレギュラーズの目の前に不機嫌面の神が居た。
「今更だが……
 初めまして、イレギュラーズ諸君。小生がシュペル・M・ウィリーだ」
 機械仕掛けの巨大な椅子に座った彼は傷だらけの八人をそれぞれ一瞥して嘆息する。
「ハッキリ言うが、小生が二人以上の挑戦者と会ったのは初めてだ。
 四人を認めた時点で大サービスの心算だったのだがな。
 欲深な凡百はこれだから困る」
『残りが八人になった時点で待てば四人になったのは間違いないが、予想を裏切られた彼からすればそれを待つのは屈辱だった』のだろう。
 シュペルの異常なプライドの高さと美意識はこの時ばかりはイレギュラーズ有利に働いたという事だろう。
 彼の裏を取った【鉄腕】【ルサルカ】【チームK】【ヨゾラ】の四チームはまんまと『規定以上』の数を謁見に送り込む事に成功したという訳だ。
「……で? 何が聞きたい。知っているが。こちらから気を利かせてやるのは腹が立つ」
 水を向けてきたシュペルは面倒くさそうにもう一言だけを付け足した。
「それから『願い』だ。
 改めて説明しておくが小生は塔を登ってきた人間の願いを『聞いて』やる事にしている。
 ローレットの知りたい事、なんて願いは面白くも何とも無いからそれは別にしてやるとして。
 諸君等個人の願いを『聞いてやる』という事だ」
 イレギュラーズの表情に緊張が走った。
 いざ願いを聞いてやる等と言われれば心穏やかにはいられまい。
 ましてやシュペルの異能はこれまでの塔で嫌という程理解しているのだ。
 彼は本当に殆どの願いを叶える事が出来るだろうから――
「だが、つくづく今日は親切な小生が一つだけ確認しておいてやる。
 願いは『叶えてやる』ではない。『聞いてやる』だ。
 凡百の願いの実現如き小生にとっては遊びのようなものだが、面白くない話にはその手間さえ払いたくないのでね。
 一人につき一度の機会、精々面白い話を聞かせてくれたまえよ」
 ――こんな例外を押し通したのだから、とシュペルは肩を竦めてそう言った。


●GMコメント
 YAMIDEITEIです。シナリオを補足します。

●謁見
 塔の頂上、シュペルの研究室でシュペルと謁見しています。
 皆さんが主にするべき事は二点です。(願いは別に義務ではありません)

1、ローレットの任務としてIDEA及びR.O.Oに起きている異変についての情報を得る
2、個人的な願いを言う

 1については嫌々ですがシュペルはこれに応じる事を約束しています。
 2については全く保証がありません。シュペルは恐らく(死者蘇生以外の)大抵の事を叶えられますが、塔の特典は願いを『叶える』ではなく願いを『聞く』です。
 彼の気が向いた場合のみ願いが叶う『可能性』があります。
 当然ながら全く一つも叶わない可能性もあります。その可能性も低くはありません。
 その他の事も可能そうな事ならしてもOKですが、シュペルは圧倒的に危険な存在です。
 最低限それだけは前提において行動を取って下さい。

●重要な備考
 プレイング期間が大変短いです。
 シュペルは全知ですが親切ではありません。主にプレイヤーの聞いた事が異変に対しての解答の情報精度となります。
 プレイヤー個人の願いは自由ですが、R.O.O等の情報収集については個人は勿論、参加し脱落した他チームの人等とも相談する事も推奨します。


 Tower of Shupellはこれでオーラスです。
 以上、宜しくお願いいたします!


第5章 第2節

エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

●謁見
 長きに渡る苦難の道のりを越えて、かくてイレギュラーズは『神』に謁見する――
 彼等の目的の最大は『ローレットより受けた依頼に基づき、IDEA、或いはR.O.Oに起きている異変の原因を探る事』である。
 ゲームマスターを気取る何者かの掌握を打破する為にシュペル・M・ウィリーの知識や情報が必要という話であった。
 但し、その目的とは関係なくTower of Shupellには神代より続く『ルール』がある。

 ――塔を踏破した者は神に願いを『聞いて』貰えるという――

「あくまで聞くだけだ」とは言うが、イレギュラーズは実際に叶った人間が居る事を知っている。
 まさにローレットとその現状は遠い日にレオンが叶えた願いの先であり、それが挑むイレギュラーズを個人的にも熱くさせた原因とも言えよう。
「で、何から聞く。誰から聞く?
 但し質問は一人一つだ。杓子定規に区切りはしないが、つまらん拡大解釈には答えないからその心算で問いたまえよ」
 閑話休題、水を向けてきたシュペルに言われるまでもなくまずは『仕事』の方からである。
「じゃあ、私から行かせて貰おう。私のはかなり根本的な問いになるのでな」
 名乗り出た一番手――『倫敦の聖女』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)にシュペルが「ふん」と視線を向けた。
「私の問いは簡単だ。ROOに起こっている異変の根本的原因を知りたい」
 この問いは『最初』、そして『一つ』と考えるからかなり有効なものと言えよう。
 シュペルは然して面白くもなさそうに口を開く。
「練達のルーキー共がIDEA、或いはR.O.Oと称するあの空間で起きている不具合(バグ)はその再現性が問題だった」
「……?」
 当然意味が分からないエクスマリアにシュペルは続ける。
「IDEAは元々『混沌世界をコピーする』即ち、この世界を模した疑似的実験場を作る企みだろう?
 しかしながら連中の望んだのは世界の模倣であり、後天的に生じた人間や社会の模倣ではない。
 連中が打破したいのは混沌法則であり、実験があくまで世界に向くならばR.O.Oの如きゲーム性なぞ蛇足に過ぎんからな。
『つまり、IDEAは混沌世界そのもののみを模倣した』。しかし『その再現性こそが問題だった』のだ」
「……偶発的なものか? 敵がいるのか。あるいはマザーが関係している?」
「全て正解だが、厳密にマルはつかないな。
 事態は小生以外の誰にとっても偶発的なもので理解の外だったし、敵はいるし、クラリスも関わっている」
「……クラリス?」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が不意に零れたその名前に眉を動かす。
「今現在、我々はR.O.O内での問題を解決するためにログインしているのだが。
 R.O.Oを……ネクストをこのまま放置した場合、具体的に何が起こってしまうのかな?
 ネクストがなにか別のものに変貌してしまったりするのかな?
 また、今回の事件に明確な敵が居るとして、対抗手段を知っているなら教えてほしい。
 ……敵のことを聞いても、対抗手段がないのではどうしようもないからね」
 シュペルはゼフィラの表情には構わず聞かれた事に肩を竦める。
「R.O.O(オモチャ)はバグが好きなように組み替えていくだろうさ。
 所詮、玩具は玩具に過ぎないからな。ルーキー共はさぞや口惜しかろうが、あんなものどうなろうと小生の興味の無い事だ。
 ただ――そうだな。強いて諸君に意味のある事を言うなら、だ。
 クラリスは事態を維持する為にバグと繋がり過ぎたという事だ。
『彼女』はそうしようとも思わないだろうから気付いてもいないだろうがね。
 既に接続切断が不可能になっている筈だ。そしてそれが諸君等のいう所の『敵』の狙いでもあった」
「ネクストから混沌へ直接何かできるの?」
 息を呑んだ『幻耀双撃』ティスル ティル(p3p006151)が問いかける。
「R.O.O……ううん、ネクストから混沌への悪影響を防ぐにはどうすればいい?
 そもそもの話、今のR.O.Oは一体何? デスカウントが現実側に起こす影響はあるの?
 どんなに凄くてもシミュレーターなら現実に関わることはできない……はずよ!」
「質問は一つと言っただろうが」
 やれやれといった顔をしたシュペルは「まぁいいが」と口を開く。
「そもそもがR.O.OはIDEA――ルーキー共の玩具をバグが変質させた『玩具』に過ぎん。
 デスカウントとやらも悪ふざけの産物ではないのかね?
 しかし、アレが現実に染みるのは最初に言った『再現性の問題』が故だ」
「はいはいはい!」
 何とも難しいシュペルの物言いに挙手した『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)が割って入った。
「ズバリ『敵』……とりあえず敵と呼びますが!
 イルミナたちが対処しなければならない物の名前や正体、それにR.O.Oへの介入手段でしょうか!
 問題の根底をズバッとお願いするッス! 分かるように!」
「ルシェはproject:IDEAがこのままで成功するかどうか知りたいです!
 もし失敗するなら原因と解決方法も!
 シュペルお兄さんすっごく賢くてなんでも知ってるから、ルシェには難しいことも簡単にわかると思うの!」
「練達、魔種、パンドラ、滅びのアーク……これらが存在しないROOと混沌との差異は何が決定的な原因は私達に害するものか?
 対応が必要ならそれはどのようなもの、なのだわ?」
 イルミナのこれは続いた『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)や『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)と合わせ、中々のファインプレーだったと言えるかも知れない。
「必ず失敗する。と言うより既に失敗しているだろう?
 要するに最大の問題は一点、全ての根源は一点だ。
 IDEAは混沌を模す時に再現してはいけないものを再現してしまったという事だな。
『そして足りないのは感傷とその時の事情の産物だ』。
 まぁ、これ以上勿体をつけるのも何だからいい加減ハッキリと答えてやるが。
 諸君は『原罪』を知っているかね?」
 イレギュラーズは「原罪?」と首を傾げる。
「な、七罪とかの事なのだわ?」
「まぁ近いが違う。その上だ。諸君等が遭遇したのはベアトリーチェ・ラ・レーテとアルバニア――
 ニアミスにルクレツィア、バルナバス・スティージレッド、ベルゼー・グラトニオス、ルスト・シファーといった所か?
 七罪と称する魔種連中は『原罪』の子等、つまり部下のようなものだから」
 当然のように知らない名前も沢山ある。華蓮が小さく嘆息した。
 七罪なる大魔種とローレットが遭遇したのは数度程だが『権能』を持つそれ等は余りにも恐ろしい敵だった。
 それが最大でないとなれば、更なる災厄がそこにあるのは想像するに難くない。
「簡単に言えば全ての魔種の父親、親玉のような奴だが。
『IDEAは混沌を模倣する時、アレと神託の少女の双方もコピーしてしまった』。
 人物はコピーしなかった筈なのにどうして、と言いたいだろうがね。
 それは当然の事なのだ。イノリとざんげは個人であるというよりはこの世界そのもの。
 七罪は所詮子に過ぎないが、連中は構造体の一部なのだから当然だ。
 混沌をコピーすれば少なくとも必ずイノリとざんげはコピーされる。そしてそれは余りにも致命的な話になる」
 ざんげの名前が出た時、華蓮の表情が少し強張った。
 自身の抱く『個人的な願い』も含めて、彼女はどうしても特別な存在である――
 とはいえ、乙女の事情以上にシュペルの語った事実は衝撃が大きいものだ。
 彼はイレギュラーズに構わず不親切な長広舌を続けている。
「これだけはむしろルーキー共を褒めてやるべきなのだろうがね。
 IDEAに模倣された『イノリ』は『殊の外精密』でね。規格外の力も同様に有してしまった。
 受け身のざんげに比べれば貪欲な奴はIDEAのリソースを食い荒らし、『原罪』に近しい力を得てしまった。
 まぁ、後は想像がつくだろう。『イノリ』はIDEAを掌握した。
 だが、奴は力の塊とはいえ電脳世界を作り出すなんてもんが専門じゃあない。
 当然ながら、R.O.Oを作り出し『ゲイム』をする――そこには協力者が居た、という訳だ」
 シュペルは一つ息を吐いて言った。
「名前をクリストという。諸君等の面白おかしい報告書を読んだ限りでは『Hades-EX』の方が通るかも知れないがね。
 意味が分からんというような顔をしてるな? まぁ分かるが。
 奴はクラリス――ああ、要するに所謂練達の『マザー』だな――の兄だ。
 元々は兄弟機のようなものでね。小生の昔の知人が作り出したものだ。
 R.O.Oに接続した時点でクラリスが『回避不能』になったのを察知したアレは恐らくは『諦めた』」
「『Hades-EX』がR.O.Oの生みの親? という事は『彼』が敵――」
「――クリストと『イノリ』が敵、と言うのが正しい。
 IDEAを掌握し、クラリスを捕まえているのは『イノリ』。R.O.Oでゲイムをしているのがクリストだ」
「『クエスト』に対し先手を打って有利な状況を作りたい。今後発生するクエストを有利にする方法にはどんなものがある?」
『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)のこの問いにはシュペルは「さあね」と肩を竦めた。
 知識では無く属人化した思考については興味も無ければ知りもしない、予測は出来ても語る気は無いといった所だろう。
「その、クリストは何故IDEAをR.O.Oにバグらせた?
 異変解決のためにマザーの能力をどう使えばいい? もし他に力を借りれる存在がいるなら、誰だろう?」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の問いにシュペルはくっくっと笑い声を上げていた。
「即座の影響を免れる為だな。最初は『イノリ』――つまりIDEAだ――と繋がったクラリスの浸食を抑える為に。
 奴が介入してIDEAを面白おかしいゲイムに変えた。諸君が誰に力を借りられるかは興味はないね。小生以上なんて存在しない。
 まぁ、強いて言うならば諸君等が事態解決に力を借り得る存在があるとするならそのクリスト本人って所だろうがね!」
 シュペルは皮肉で意地の悪い顔をしている。
「そして諸君はクラリスに力を借りる事を考えるより『彼女』に事態を伝え、自衛する事を勧めるべきだな。
 彼女は愚直だ。『機械仕掛けの母は愛し子の為に我が身も忘れて尽力を続けている事だろう』。
 クリストが諦めるような状況でこれだけ長い時間、『イノリ』に繋がっていたのだ。影響が出ないとはとても思えんね!」
 シュペルは八人全てが一通り問うたのを確認し、「まとめよう」と咳払いをした。
「IDEAを狂わせたのは再現されてしまった招かれざる客――『原罪イノリ』だ。
『イノリ』と接続されたクラリス(マザー)を救う為にIDEAを改変したのがその兄(クリスト)。
 R.O.Oで諸君が相対するクエストとやらはクリストのゲイムで目的は遊び半分だろう。
 R.O.Oにおける総ゆる不具合は『イノリ』とクリストの同盟による共同作業の産物だろう。
 奴の初期の動機は妹の救援だが、現在の奴の思考は恐らく違う。
 ……アレ等の『父親』は過保護でね。甘えるのが下手な妹に引導を渡すのに兄を作った位だから。
『同盟』と言っただろう? 今、『イノリ』とクリストは同じ陣営でタッグを組んでいる状態なのだ」
「妹の敵を相手に不思議だろう?」とシュペルは笑った。
「まぁ、それも別に不思議はないのだ。小生は余りそういう感傷的な話に興味は無いがね。
 少なくともクリストは『イノリ』が嫌いになれまい。むしろ共感する理由は十分にある。
 連中が『本当にしたい事』は間違いなくほぼ同一で、『妹を自由にする』というのは――まさに奴等の悲願だからな」
「ちょ、ちょっと待って欲しいのだわ。今の言い方だと『まるで』」
 ざんげを自由にしたいと願う華蓮だからこそ声が乾いた。
「――ああ、言ってなかったな。イノリはざんげの兄だ。
 それがクリストとクラリスの関係と等しいなら、永遠に妹を縛り付ける宿命やら責務をどう思うかは愚問だろう!?」

●願い
「で、個人の願いも一応『聞いてやる』としようか」

・華蓮
「ざんげさんに、空中庭園に囚われない四日間の自由を」
「そもそもざんげを物理的に縛り付ける枷なぞない。本人にその気がないだけだろう?
 あの女を空中神殿から引き摺り出す事は実に容易に可能かも知れんが。
 君の想い人君がどんな顔をするかは余り想像したくない話になると思うがね!」

・イルミナ
「『イレギュラーズの戦いを記録してほしい』ッス。
 なにか……記録媒体に残して、後々誰もが見られるようにしてほしいッス。
 シュペルさんならきっと情報の欠落だとか、見られなくなるだとか……
 そういうことのない記録を残せるんじゃないかなと」
「成る程。『報告書』とやらの完全なる映像化をすれば構わんな?」

※今後ローレットの報告書(リプレイ)が設定上、映像で閲覧できるようになりました!

・エクスマリア
「混沌と故郷の異世界を自由に行き来できる手段が欲しい。
 一度限りの片道切符では、ダメだ。何方の世界にも、捨てられないものがある」
「可能不可能で言えば可能だが、あくまで小生にとって可能なだけで手間が無い訳ではない。
 言ってしまえば死ぬほど面倒くさいし、やり方を教えた所で凡百に叶う話ではないな。
 或る意味で誰にでも出来る『方法』という話なら、『神託』を回避すれば『神』とやらも多少は考慮する事だろうよ!」

・ヨゾラ
「僕やローレットの皆が、頑張り続ければ
 いずれ必ず混沌の夜空や叶えたい事に手が届きますように。
 もし気が向いたなら、その時は――手を貸してもらえたら嬉しいな 」
「気の長い話だ。小生の気が向く程輝くならば吝かではないがね」

・キルシェ
「願い事、ルシェ何も考えてなかったわ……!
 あ、お友達になって下さい!
 だって、折角知り合いなれたのにここでさよならは寂しいわ……
 たまにで良いから一緒にお出掛けしたりご飯食べたり、きっと楽しいしご飯も美味しいわ!
 シュペルお兄さんと仲良くなりたいの。だめ?」
「……………まぁ、知人位には認めてやらんでもない」

・ゼフィラ
「第三層でちらっと耳にしたが、あなたは旅人が元の世界に変える手段を知っているらしいね。
 私自身は帰るつもりはないのだけれど、元の世界に帰したい人がいるんだ。
 具体的な方法を私に教えてほしい」
「先程も言ったが『自己完結』は凡百には不可能だ。
 そして小生は現時点において諸君等の為にそこまで力を割く心算はない。
『方法』という意味ならば『神託』を回避すればいい。そうしたら願いが叶う道もあるだろうよ。
 まぁ、強いて言うなら近世界の移動位なら叶わん事もないか。
 例えば諸君の言うライブノベル――境界図書館の自由移動位なら、な」

・イズマ
「興味から塔に挑み、願いは考えてなかったが。
 今はただ、混沌を知りたい。未知の領域に踏み込みたい」
「願いが叶ったではないか?
 まさに『塔』こそ伝説だ。君は『神』の前に居る」

・ティスル
「……叶うのなら。
 目の前の悲劇に割り込んで、運命を変えられる『速さ』をください……! 」
「それは小生に力を求めている、という話か?
 生憎だがお断りだ。小生を前にして力を欲するなぞ、余りにも機会を軽く見過ぎているというものだろう?」

成否

成功

PAGETOPPAGEBOTTOM