PandoraPartyProject

シナリオ詳細

お腹のボタンを取り戻せ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 命からがら逃げだしてきた。どうしても、この洞窟にいるエネミーを倒さなくてはならない。ログアウトできない恐怖を共有できない。
 回復スキルを使ってくれたヒーラーは、ひどく困惑した顔をした。
「え? あーっと、そういう種族的特徴みたいな――」
 言われた俺も腑に落ちなかった。割とよくあるアバターだが。野良同士だ。
「いや?」
「あ、そうなんだね。あはは、うんうん」
「何か問題でも――」
「あ、大丈夫。HPは満タンだよ。回復はきっちり済んでるし、状態異常もないよ」
 ヒーラーはそそくさと俺から離れていく。
 なにかおかしな所はあるかと、自分でざっと見、見えないところは不自然じゃない程度にまさぐってみる。

 ない。あるべきものがない。

 怪我で欠損していたとしても回復すれば治るのだ。ヒーラーのひきつった笑い。これが俺がこの洞窟のエネミーを狩らなくてはならない理由。ログアウトできない理由か。


「いや、ほんとにどうしてって案件なんだけど、がんばってもらうよ」
『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は、情報屋にも羞恥手当が欲しいとぶつぶつ言いだした。
「聞き返すなよ――おなかのボタンを取り返してきてくれ」
 沈黙。なんだって?
「へそだよ――二度言わすな。手間賃を請求するぞ」
 いつになく恥じらっている。メクレオの出身文化的におへそそのものは口にするにも羞恥にまみれる箇所らしい。
「R.O.Oのアバターからその部分の画像データをスティールしてくエネミーがいるんだ。そして、そのデータがないとトロフィーにデータ不備が生じて技術者が回収できない」
 へそをスティールしていくって、どんなエネミーだよ。
「ん~。なんていうんだ。こう――意味はない」
 理不尽。
「アイテム持ち去りするとかエナジードレインするエネミーはいるだろ。というか、結構いるだろ。体のどっかを持ってくエネミー。そいつはアバターの外見データに干渉するんだ。外見はこう――アライグマのような、猿のような、猫のような――直立哺乳類、暗視持ち、手先が器用、敏捷性と柔軟性が高く、液体のように防具の隙間に手が入り込んできて、お腹のボタンが盗まれる」
 エネミーデザイナーの正気を疑われかねない事案だ。
「いや、本来そういうエネミーはいない。ただ、システムが暴走してるんだよ。エネミーがプレイヤーに干渉できる範囲がおかしくなってるんだ。まあ、実害はないんだ。こう、腹からへそが消える。くらい? 実害は――イカ腹になることくらい?」 あ、あとウエスト位置が決まらない。イカ腹になるからビキニがエロくない。丹田に力をためるときのポイントがあいまい――あ、チャクラが一個減る? 画像データだから問題ないんじゃねー? わからん。データが取れてない。ひょっとするとひょっとするかもしれんが気のせいかもしれん。わからん」
 ただ、データ欠けでは助けられるものも助けられないのは確実だ。
「ただ、ちょっとあれだ。奇妙な感じ? その場にいるエネミーを全部狩るとイベントクリアになるからよろしく頼むわ」

GMコメント

 田奈です。
 せっかくのR.O.Oなので、いろいろ失ってもらおうかな。と。
 皆さんはトロフィーではないので、おへそとられた後死んでもログアウト処理されます。ご安心。

●敵:ベリーボタンスナッチャー×10
 OPに書いた通りです。身長1メートル弱。
 へそ盗み:防御に相応の隙があると盗まれます。ランダムでBSが発生します。
 様式美:へそを盗むものは電気属性が付きます。

●洞窟
 暗いです。明かりが必須。
 通路幅は3メートル。天井は2メートル。アバターによってはジャンプもままなりませんが、肉壁効果は高くなります。天井は石。崩落の危険はありません。足元は踏み固められた土です。

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • お腹のボタンを取り戻せ!完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)
薔薇を追う
レモン(p3x004864)
憧れと望みを詰め込んで
沙月(p3x007273)
月下美人
真読・流雨(p3x007296)
恋屍・愛無のアバター
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
大樹の嘆きを知りし者
ネコモ(p3x008783)
ニャンラトテップ
アマト(p3x009185)
うさぎははねる
キサラギ(p3x009715)
雷火、烈霜を呼ぶ

リプレイ


 洞窟の前にパーティーがいた。狭い空間でばたばたするのは命取り。中に入る前にもう一度おさらいだ。
「『おへそだけを盗る』ですか……面妖な敵がいるものですね」
『月下美人』沙月(p3x007273)は、大体現実と同じ感じでアバターをつくった。というか、名前までそのまんまだし。ただ、着ているのがジャージだ。スタイリッシュなトレーニングウェアではない。希望ヶ浜関係者ならピンとくる学校指定ジャージである。
「雷様にへそを盗られるっつー話は聞いたことあるが、そんな生き物までいr……へ、バグ?」
『狐月三刀流』キサラギ(p3x009715)はもっともらしく言っているが、ほぼアシストAIである。ログイン主は『オート便利』と思っているが、そんな仕様ではない。面妖な。とログイン主が気づかなくてはならないのだが。仕方ない。ログイン主は迂闊でアホの子なのだ。
「ヘソと雷神には諸説あるらしいが。まぁ、何にせよ「要所」という事だろう」
『恋屍・愛無のアバター』真読・流雨(p3x007296)はぢごくぱんだである。お耳は黒、しっぽは白である。メイドドレスの下なので、おしっぽの確認のしようがないが。
 一般的におへそは大事だ。腹膜直結だから。アバターに内臓ないけど。
「まあそういうことができてしまうことにも驚きですが」
 バグです。アイテム欄から物が消えるくらいならともかく、アバターのスキンに干渉なんてあっていい訳がない。
「これもR.O.Oの世界特有の現象と言った所だろうか?」
『白竜』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)は、疑問を述べた。
 至極きりっとした――ポメラニアンだ。ポメラニアンの獣人ではない。まんま犬だ。アバターは何でもありなのだ。しかし、二つ名は竜なのになぜ一般的室内犬なのだ。きゃわわなワンちゃんから鼓膜に美丈夫が染みわたる声が出てくるギャップは訳が分からなくなる。テキストチャットも併用した方がいいかもしれない。
 しかし、ローレット・イレギュラーズの誰もそこを聞かない。疑問が浮かばないでもないが、ゲームだからそういうものなのかもしれない。聞いたやつが負けような気がする洞窟攻略チキンレース。
「へそを盗まれてログアウト出来ないとはまさかの事態だな」
 淡々と打ち合わせが続く。そうだ。今はデータの欠落によってログアウトできない事象について考えるべきだ。
「実際ログアウトできぬのは困りものだ。疾くクリアするのがベターか。もともとヘソが無いアバターはどうなるのだろうなという疑問はあるが」
 ベネディクトの言に、『偽りの獣(レイナ)』♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)が大きく首肯した。
「オレの特技は姿形を変えることなんだが、そのオレからヘソは取れんのかね」
 神界族の典型。白くて小柄で性別不明の凹凸のないボディライン。耳と尻尾付き。チャームポイントは八重歯です。判断材料がない以上、可能性しか語れない。
「ふむ。そういえば俺のアバターはへそはあるんだろうか」
 四足歩行ポメラニアンが確認するべく、お腹をのぞき込んでいるがふんわりしたおポンポンでよくわからない。ところで、今の一連のモーション、ポメラニアン的かわいい選手権優勝です。
「うへー、へそ捕られるのは勘弁願いたいニャー…」
『にゃーん』ネコモ(p3x008783)は困り顔だ。
「このアバターヘソだしにこだわってるからイカっぱらにされると泣くしかないニャ」
 猫耳へそ出しショートパンツモンクキャラの腹がイカ腹など、世界の損失である。というか、ネコモの外見特徴が消える。データ不備がどう影響するかわからない。
「……これ、もしも盗まれたら倒せば取り返せるのか? 取り返せるんだよな? その後ずっと爬虫類のお腹みたいになったりしないんだよな?」
 大丈夫だ。倒せば取り戻せると情報屋が言っていた。
『憧れと望みを詰め込んで』レモン(p3x004864)のナカノヒトがちょっと透けている。頑張れ、あこがれの人のロールプレイ。強く優しく女の子には少しだけ軽く。
 とまれ、鋭利な目をしたスカーフェイスの女戦士の口から「爬虫類のお腹」とか言う単語が出た瞬間、ギャップ萌えで一部の人の心臓が止まるので注意してください。
「なので捕られる前にぶちのめすしかないニャ!」
 とられなければいいのだ。という強い意志。やられる前にやれ。は、大体において正しい。
 それにしても。と、黒いうさ耳が揺らめく。
「――おへそを取ってどうするのでしょう? おいしいのでしょうか?」
 スイートラビットの素朴な疑問に若干の沈黙。『うさぎははねる』アマト(p3x009185)が急に重みを増した空気に小首をかしげている。
 食べる? 情報屋は言っていた。倒すと取り戻せると。どういうこと? 腹から回収? それとも装備アイテム?
「……おへそを狙うのなら、おへそを出しておいたほうがおびき寄せられるでしょうか」
 お着換え機能オンで、アマトはおへそが見えるコスチュームに着替えた。


「オーケイ、洞窟なら先頭はまかせろ」
 キサラギが先に立って歩きだした。
「暗視(弱)があるからこの中じゃ一番見えると思うぜ。昼間のようにバッチリ……とまではいかねーが暗がりからの不意打ちくらいは対応出来るだろう」
 実際足取りは危なげない。パーティー内で明かりのデータが共有されるのか後ろの方から光が見えるよ。
「慣れねえな」
 ♱✧REⅠNA✧♱は、自分のアバターをじろじろ見ている。おててちっちゃぁい。持ってる盾、おっきい。アンバランスな巨大武器、一定の需要があります。
「んー、違和感があるっつーか、馴染まねぇ」
 物は試しでアバター設定した結果である。ひとまず記憶から読み起こしたものだから、全く親和性がないこともなくはない。そのうち慣れるんじゃないかな、希望的観測として。
 カンテラでてらされる洞窟はじっとりと濡れた岩肌がぎらりと光る。
「現実じゃなくてもランプが必要になるなんて、なんだか不思議な感じですね」
 ぎゅっと固まって動くと一網打尽の危険性があるから、散開。アマトは真ん中。
 照明アイテムを切らせてはいけない。物陰からバックスタブ―されるぞ。
「おへそはここですよう」
 囮をきちんとしなくては。
 ベネディクトのサイバーたいまつが宙に浮いている。サイバーなので。大丈夫。ステータス「保持」になってるから。
 研ぎすまされた勘が敵の襲来を確信させる。複数の敵が四方からやってくる。
「来るぞ! 戦闘準備だ!」
 手足をつっぱったポメラニアンが流ちょうに注意を促した。ごろりとサイバーたいまつが土の上に転がった。ベネディクトのシックスパック――鍛え抜かれた肉体は両手扱い。システム上、サイバーたいまつを保持したままでは戦えないのだ! 原始的だが消えにくいことになっているから心配はいらない!
 ぬろろろろろっ!
 アライグマのような、猿のような、猫のような、直立哺乳類。目がでかい。指が長い。鼻づらが長い。毛はまばらでもふもふじゃない。。身長一メートル。こんな萌えない猫耳、なかなかない。
「ボクは遠近どっちも攻撃できるから殿は任せろニャ!」
 ネコモの声が後ろからする。燃える猫耳だ。
「先手必勝、動如雷霆。オレのヘソを盗りたきゃ雷(イカヅチ)より速く動いてみせることだな!」
 見事に啖呵を切っているが、このアバター、誰も操作していないのだ。キサラギに問えば「俺は俺だぜ?」と答えるだろう。いや、だから、誰。
 きっちり登録された技名が、『雲耀』、『霜嵐』と表示され、六つ花雪エフェクトもかかっている。
 レモンの戦術は堅実だ。
(パッシブスキル1】の力もあってしっかり守りを固め、【アクティブスキル1】の必中防無攻撃で着実にダメージを与えていく堅実なスタイルだな)
 色々考えて、これならいけると思ったのだが。
「ぱんだくろー」
 流雨の手から抜き放たれた氷の刃がスナッチャーのあばらを穿つ。音を立てて傷口から凍り付いていくスナッチャーに向けて氷の竹槍がスタンバイだ。竹であるところがぢごくぱんだのアイデンティティである。
(あ……これって自分の技の名前を自分で決められるのだわ……? みんなカッコいい名前つけてる……)
 レモンのナカノヒトはなんだか難しそうだったからスルーしてしまったリンクのことを思い出した。あれってそういうのだったんだ。
「まだ研究中の技なんでね、名前を付ける程の物じゃあないのさ」
 つい、そういうことにしておこうとなんとなく早口で言ってしまう。いけないいけない、悠然と。ロールプレイ、ロールプレイ。
 狭い洞窟の中、隙間にぬるんと入るのが得意なベリーボタンスナッチャー達はローレットイレギュラーズを分断するようにしがみついてくる。一人一人に複数で飛びつき、各個撃破する気だ。
 自陣に侵入されないことを大事にしていた沙月はそうはさせじと、手を振りぬいた。装備品のデータはあれどアバターには反映しない「無手」で虚空を薙ぎ払ったように見える。何で校章が入っていても違和感がないジャージ。
 有言実行。ネコモはきっちり体を張っていた。
 「昇猫拳!」
 下から突き上げるジャンピングアッパーで天井に叩きつけられるスナッチャー。しかし、あまりにもへそが無防備になるモーションだ。多勢に無勢。ペロっと何かがめくられるように――。
「ぎにゃー! ないにゃ。へそがないにゃああああ!」
 何と言うことでしょう。へそがなくなった途端にすっきりとしてうっすらと腹筋が確認できていた魅惑のボディラインが一気にメリハリのないイカ腹に。筋肉の締まりがどこか行った。テンションがさがる。こう、今すぐ膝ついて泣き伏したいくらいの喪失感。今確かに世界から何か大事なものが失われた。
 アマトもちょっとぽかんとした。その隙をつかれた。イカ腹。
あるべきところにあるべきものがないですよ? なんか、こう、じわっと何かが沸き上がってくる。
 ぎりりっと奥歯がなった。あのスナッチャーがとってった。もうあいつしか見えない。
「ぜったいぜったい返してもらいますからね!」
 ヒト、それを、BS[怒り」という。チュッとキスして思いを込めて投げるイースターエッグがスナッチャーの頭にすこんと当たる。やけにくらくらしている様子だ。
「全部ぶっ倒せば返ってくるはずだし、倒しきるまでの我慢ニャ」
 知らず、ストレス性の涙がネコモの目元ににじむ。操舵、失われたものは取り戻さなくては。今、ドラマが始まる。
 ベリーボタンスナッチャーは巧みだった。へそをとられたローレット・イレギュラーズはランダムに押し寄せてきた精神的不調に連携することができなくなった。
 今までのパーティーもそれで攻めきれず「全滅させる」というクリア条件を満たせないでいたのだろう。
 ♱✧REⅠNA✧♱のへそをまんまと盗んだスナッチャーが奇声を上げる。すでに、再構築を済ませ、♱✧REⅠNA✧♱の腹は健在なのだが。とられたことには変わらない。体がひどくだるく、動きが重い。
「取られたからってどうなるもんでもねぇが、ただでさえ据わりが悪ぃんだ」
 巨大な盾でスナッチャーを押しつぶそうと乗り上げる。殺陣の下でスナッチャーがじたばたしている。
「これ以上の違和感の元は絶ち切らせてもらうぜ」
 イカ腹までつけると、属性過積載である。
 一見するとか弱そうなベネディクトにスナッチャーの魔の手が迫る。シックスパックが緩んだらただのかわいいが過ぎるワンちゃんになってしまうかもしれない!
 ♱✧REⅠNA✧♱のHPバーが急速に減っていく。へそがないというのが致命だった。ログアウト。
「一匹残らずぶっ倒すためにがんばニャ!」
 次の瞬間、ネコモの姿は薄れ消えていった。ログアウト。
 ささやかなBSが蓄積して、府のスパイラルが発生していったのだ。まさしく多臓器不全。
「この行為の代償は――」
 沙月がこぶしを握り締めた。
「高くつくと身を持って思い知らせてあげましょう」
 もはや、巻き添えを気にしている余裕もない。水面に揺れる月のように、つかみどころなくスナッチャーが打ち据えられていく。
 更に別の角度から茶色い肉弾がスナッチャーを襲う。ベネディクトのアクティブスキル2だ。
(あ、技の名前またついてないヒトがいました)
 レモンのナカノヒトがほっと胸をなでおろした。かっこいい名前考えなくちゃ。
「さァて、あと1体はどこに隠れてやがる……うぉっ!」
 キサラギの脇を一匹のスナッチャーが通り過ぎていく。え、なんか、体が緩んだ気がする。イカ腹。
「待て! 返せ! 返しやがれオレのヘソォ! 逃げンなァ!!」
 キサラギがスナッチャーの後を追って洞窟の奥に走り出した。ランタンやたいまつの効果範囲の外だ。
「ここなら燃えるものはねェ! 昇れ、焔塵!」
 遠くの方からサウンドエフェクト。ここは孤立させないよう後を追わねば。それぞれ照明アイテムを手に後を追おうとした時、テテンと明るいサウンドエフェクトが入った。
「へっ、まァオレの狐月三刀流にかかればこんなもんよ!」

『クエストクリア!』


 まもなくパーティを解散します。のアナウンスが入った。
「――よしよしよしよし」
 流雨は、念のためドロップ品の有無を確認した。
「帰ってみたら前任者が帰っていなかった、などとは流石に寝ざめが悪い。大した手間でも無いしな」
 画像データということなのだろうか? 紙に書かれたへその絵がぽう、ぽうと燃えていく。
『トロフィー:画像データの結合に成功しました! を、獲得しました。』

「……ところで、ベネディクトさんは随分可愛らしい姿ですね」
 沙月が言った。ついに言った。 あなたが勇者か。
「メインアバターが調整中でね。ポメ太郎を参考に作ってみたんだ」
 調整中、わかる。愛犬のポメラニアンをアバターにする理由がわからない。なぜ、美形ドラゴンクォーター(外見特徴登録済み)のサブアバターが犬なのだ。イケてるポメラニアンであろうことは置いといて。
しかし、沙月にとってそれは意外な理由ではなかったようだ。
「やはりもふもふなのでしょうか?」
 言葉尻ににじんでいる。差し支えなければ触らせて頂いても良いでしょうか? ココロの副音声でお送りしております!
「触ってみるかい?」
 魅惑のお誘い。ポメラニアンのふわっふわのお背中。
「まあ。まあまあまあまあ」
 もふもふもふもふ。堪能。これが希望ヶ浜の街角なら平和なご近所の光景だが、これファンタジーゲームの中なのよね。
「……」
 おへそをとられた自覚がある面々はそっと自分のかわゆいものが帰ってきたことを確認した。お帰り、おへそ。これからもよろしくね。


「――ログアウトを確認しました。お疲れ様です。ログイン時間が推奨時間を大幅に超過――」
 彼が目を開けると、そこは何度挑んでもクリアできなかった洞窟近くの宿屋ではなく、現実だった。

 研究員一名、回収確認。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)[死亡]
薔薇を追う
ネコモ(p3x008783)[死亡]
ニャンラトテップ

あとがき

お疲れさまでした。データ不備になっていた研究員さんの覚醒が確認されました。みなさんのアバターのおへそデータも復旧しています。ゆっくり休んで次のお仕事頑張ってくださいね。

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