PandoraPartyProject

シナリオ詳細

瓶の中の雪化粧

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あなたの望む世界を
 1年に1度、大切なヒトへ自分の特別を贈ってみませんか?
 瓶の中に広がる世界があなたを、そしてあなたの大切なヒトを引きつけます。
 朝焼けも、黄昏も、満点の夜空だって思いのままに。あなたを表すモチーフも瓶に込めて、たった1つの世界を創りましょう。
 瓶の大きさは小さなものから、両手で抱えるような大きいものまで。持ち込みも歓迎します。

 依頼は瓶詰め屋『エアインネルング』へ──。


●今年の営業は終了しています。
「っあああぁぁぁぁおしまい!!」
 寒々しい工房の中、1人の女性が声を上げて大きく伸びをした。勢いがつきすぎてあわや後ろへ倒れそうになった彼女は、体勢を戻すなり目頭を押さえる。
 オーダーメイドは神経を使うが、収入は多い。富裕層からのオーダーが多いこともあってなおさらだ。自分で出品の手続きを取る必要もなく、自営業としては比較的楽な部類である。――が。
「疲れたー……眠い。でもまだシャイネンナハトの準備してない……無理……」
 すでに入り口には『今年の営業は終了しています。』と看板をかけているのだが、彼女にとっては受注が終了しているだけでやるべきことは残っている。が、いかんせん紛らわしいことを書くとやんごとなき身分のお方(の使者)が押し寄せてくるのだ。バッサリお断りするならより払いやすくしておくべきである。
 さて、すでに疲労困憊の彼女はといえばブツブツ何か呟きながら工房の奥――私室へと向かっている。その体はベッドへ倒れこみ、脱力した。
「いや、これダメだー……お布団の魔力……むにゃ」
 先程やるべきことがと言っていた口は今やすやすやと寝息を零し、その瞼はちょっとやそっとじゃ持ち上がりそうにない。起こすような人出がいないのも相まって――当然ながら、時間など気にせず爆睡するのだった。


●そういうわけなので手伝ってください。
「まだめちゃくちゃ疲れてそうなのですが」
「えー、十分寝たよー」
 心配そうな『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)に笑いかけるは此度の依頼人であり瓶詰め屋『エアインネルング』の店主、ミーロ。その目元には濃いクマが見えるが、本人は問題ないと主張している。
「まあ、ボクからは強く言いませんが……こほん。皆さんお集まりでしたね。今回はミーロさんからの採集依頼なのです」
「そうそう。シャイネンナハトに小物を売っているんだけれど、その準備まで手が回らなくってー。だからイレギュラーズにちゃちゃっと集めてほしいんだよね」
 曰く、今年のオーダーメイドが殊の外多く複雑で制作期間が押してしまったのだという。自営業ならばそこのさじ加減も重要だろうが、彼女は同時に芸術家でもある。面白そうだと感じたオーダーを蹴ることはしなかったのだろう。
 ならばシャイネンナハトの出店を今年は見送れば良いという話なのだが、それもそれでミーロは頷けないらしい。
「だって子供たちが目をきらきらさせて買っていくんだよー?」
 シャイネンナハトはいくらか質を落とし、安価に小瓶を売るのだと言う。利益はさほど出ないが、シャイネンナハトはこの1年でどの夜よりも優しいひとときなのだ。多くの笑顔を見られるならばということらしい。
 そういうわけで、お使いである。

GMコメント

●成功条件
 スモルスファイから素材を回収する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。不測の事態は起こりません。

●スモルスファイ×20
 群れで行動するトナカイです。誰かが攻撃されたら皆で迎え撃つという一致団結の姿を見せます。その角は特殊な水晶で出来ており、これが採集対象となります。
 スモルスファイの生死は問いませんが、戦闘不能にすれば角の採取は可能です。武器などでヒビを入れれば、あとは軽く力を込めるだけで折れます。彼らへの痛みは特にないようです。そのうちまた生えます。
 防御に劣る一方で突進など貫通攻撃を始めとして攻撃力は高く、併せて非常に機動力が高いです。

突進:強力な貫通攻撃です。【体勢不利】【出血】
共鳴:仲間同士の鳴き声で強くなります。何だかもうちょっと戦えるような気もします。【攻撃力UP】【HP回復(弱)】

●フィールド
 幻想の草原です。
 見晴らしはよく、隠れる場所などありません。

●瓶詰め屋『エアインネルング』
 ミーロが店主をしている瓶詰め屋。オーダーメイドで瓶詰めを作ってくれます。お値段はピンキリですが、シャイネンナハトには安価に大量の小瓶を作って売るようです。

関係作:
瓶に込められしモノは(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1457)
瓶詰め屋『エアインネルング』(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1550)
記憶と想いを込める瓶(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3164)

●ご挨拶
 愁と申します。速達でよろしくお願いします!
 とても相談期間が短いので注意してください。

  • 瓶の中の雪化粧完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ボルカノ=マルゴット(p3p001688)
ぽやぽや竜人
セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アイリス・ラピスラズリ(p3p006943)
斬り込むお姉ちゃん
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
リーラ ツヴァング(p3p009374)
蠱惑可憐な捕食者

リプレイ


 幻想の無数にある草原のひとつ。スモルスファイなるトナカイたちが生息するという場所へイレギュラーズは急いでいた。
「ミーロ殿、という御仁は心根の優しい方なのだな」
「そうですねぇ。子供たちの笑顔のために、アタシたちも頑張りましょうですぅ」
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)に同意するように『蠱惑可憐な捕食者』リーラ ツヴァング(p3p009374)はエヘヘヘヘと笑う。そこには下心が――主に少年少女への――あるかもしれないが、ここに集ったイレギュラーズは極論『オーダークリアできれば良い』のである。そこにミーロを想う気持ちがあろうと子供たちを想う気持ちがあろうと、当然なかろうと関係ない。まあ、こうした人との関わり合いが動機となるケースは多々あるし、勿論今回だってそういったメンバーも含まれている。
「エアインネルング様の作品は素敵ですよ。今でも部屋に飾ってあるくらいです」
「私も前にお世話になったよ!」
 窓辺にある瓶の事を思い浮かべた『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)に、にっこり笑う『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)。ミーロが営む瓶詰め屋『エアインネルング』はこれまでもイレギュラーズとの関わりがある店だ。時として今日のように材料採取の依頼を出し、時に瓶詰め体験を催す。ある時は戦いに向かうイレギュラーズを鼓舞するため、お守りとして即席オーダーメイドの小瓶を作ってくれたこともあるのだ。
「面白そうだな。時間があればちょっと見てみたいものだ」
 アーマデルがそれに興味を示す。透明な瓶であれば陽が入り、その角度や色によってまた違う雰囲気を持つのだろう。完全に時が止まるわけではなく、緩やかに過ぎていく箱庭と言ったところか。
「ええ、是非。けれどまずは緊急の依頼を解決してからにしましょう」
「……なんというか、この時期は大変な時期だよね」
 すごいなあと言いたげな『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)は、しかして出立前のミーロを思い出す。倒れてしまわないだろうかと心配だ。ちゃんとご飯は食べたのだろうか、いや食べていない気がする。
「それでも皆の笑顔のために頑張っているなら、ボクたちもできるだけ応援してあげないと」
「うん! 張り切っちゃう気持ち、わかるね」
「楽しみにしてる人も多いみたいだし。頑張ろうか」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)とアレクシア、そしてセリアはミーロが出店するんだと言っていた時を思い出して小さく笑う。熱意というのは時として人を動かすのである。これが依頼だったから受けたが、きっと依頼でなくてもあの熱意を見せられたら請け負っていただろう。
「もうすぐですぅ」
 リーラが空間が開けてきたことを感じ取る。イレギュラーズたちは速度を落とし、草原へ出ないほどよい場所でその先を窺った。
「あんまり小細工はできなさそうだね」
「集めて来るのはトナカイさんの角、だっけ?」
 どこかなあと焔が辺りを見回す。同じようにしていた『瑠璃星空』アイリス・ラピスラズリ(p3p006943)が小さく声を上げた。
「あの綺麗な角の動物? まあまあ、なんて素敵なのかしら!」
 その視線上には群れでのんびりと過ごす動物が映っている。なんてことない四つ足の動物に見えるが、その頭上では陽光を受けてキラキラと角が輝いていた。こうして眺めているだけでも美しく、うっとりしてしまいそうである。
(でも、お仕事なのよね)
 アイリスはふるふると頭を振って気を取り直す。これは仕事、これは仕事。折ってしまうことが可哀想でも、勿体なくても、これがなければ沢山の子たちが悲しんでしまうかもしれないのである。
「トナカイさんたち、悪いことをしたわけでもないんだよね。あんまり傷つけないようにはしたいなぁ」
「あっ! 我輩も同じである! そこでやってみたいことが!!」
 はいはい、と元気よく挙手した『ぽやぽや竜人』ボルカノ=マルゴット(p3p001688)は背負っていたものを下ろす。それは草食動物たちなら集まってくるだろう――干し草だ。
「我輩たちだけ貰うのもなんだかなーなので持ってきたである! 物々交換作戦であるよ」
 角が欲しいのはイレギュラーズたちの都合。スモルスファイ達からすれば理不尽に怒るのが流れである。そこで干し草という対価を与えて平和的解決を望むという算段であった。干し草に気を取られれば結構簡単に採取できるかもしれない。
「やってみてもいいんじゃないかな? こっちの都合っていうのは私も思うし」
 アレクシアが頷き、仲間たちは有事の際動けるようにということでボルカノより少し後方から近づくことになる。ボルカノが草原へ出てスモルスファイたちへゆっくり向かっていくと、当然ながら彼らは警戒心露わにした。
「あまり刺激しないように……」
「分かっているであるよ。そおっと、そおっと……」
 じりじりと近づくイレギュラーズ、じりじりと警戒を高めていくスモルスファイ。ボルカノが手にした干し草をゆっくりと差し出して――。

 ドカドカドカドカ!!!!

「ぐわーっ」
 群れの突進に転がされるボルカノ。干し草に見向きもしなかった。スモルスファイたちを追いかけたアレクシアは自らの頭上に赤の花を咲かせ、魔力を拡散させる。
「おいで、私が相手になるよ!」
 何体かの注意がアレクシアへ向き、意地(奇跡)で立ち上がったボルカノはぶんぶんと頭を振った。
「ま、負けないである! おーい素敵なツノのトナカイさん! 少しだけ分けてくださいなであるよ!」
 大きく手を振ってアピールすればこれまた何体かがボルカノの方を向いた。突進してきた敵を躱し、次いで真正面からぐっと受け止める。
(白昼夢は……意味がありませんか)
 カードを出した幻はスモルスファイたちの様子を見てそれを戻す。突撃してくる前に試して成功したかもわからないが、少なくとも今は簡単に気づかれてしまうだろう。
「悪いが止まってもらおう。こちらに殺す意思はない」
 アーマデルの奏でる不協和音が前方にいたスモルスファイたちを縛り付ける。群れで行動する彼らならば射程内に入りやすく、故にアレクシアやボルカノも多くを相手取っていた。
「ごめんね、ちょっと我慢して!」
 焔は札を放ち、炎をスモルスファイたちへ絡みつかせる。相手を蒸発させるほどの高温でもなく、彼らとてちょっと毛が焦げる程度のはずだ。セリアの放った聖なる光が激しく瞬き、スモルファイの何体かがぐらりと体を揺らす。そこへ追い打ちをかけるように青の蝶と花弁が降り注ぎ、燃えて消え――。
「まずは、1体」
 幻はそう告げすぐさま近くにいたスモルスファイへ奇術を魅せる。仲間たちが範囲攻撃で徐々に削っていくため、1体ごとの体力が底をつきやすいのだ。それはリーラも同じで、スモルファイが仲間に気を取られているうちに死角から意識を刈り取っていく。
「いいですねぇ、どんどん無力化していきましょうかぁ」
 そう告げるリーラ。アイリスも殺さぬ一撃で少しずつ仕留めていく。けれどもスモルスファイたちもそうやられてばかりではいられない。雄叫びで士気を上げてアレクシアやボルカノを、そして注意の逸れたスモルスファイたちは相手構わず突進していく。
(互いを鼓舞しあって強くなる……2人組をつくれと言われたらさりげなく死ぬやつが出そうだな)
 なんて思っていたアーマデルにもスモルスファイが向かっていく。翼の幻影を出そうにも、スモルスファイのスピードが殊更高い。
「だが、倒れるのはそちらだ!」
 奇跡がアーマデルを高く押し上げる。何もない所を突き抜けたスモルスファイは、アイリスの名乗り口上に乗せられた。
「さあ、いらっしゃい。私を崩すのは難しいわよ~」
 初手から引き付けを担う2人ほどではなかろうが、アイリスもそれなりに打たれ強い。ある程度凌ぐことはできるはずだ。そこへリーラが拳闘で攻め立て、仕留める。
「フヒヒヒ……アサシンがまともに戦うわけないですぅ。一気に仕留めるんですよぉ」
 相手の隙を突いてなんぼ。ヒヒ、と笑う彼女へスモルスファイの1体が視線を向けた。
「でもなかなか……強いね!」
 アレクシアの周囲を色とりどりの魔力花弁が覆う。傷を癒して尚ダメージが残るのだから、スモルファイたちの攻撃力は相当だ。ボルカノも自らの能力を引き上げて対応しつつも傷が目立つようである。
 だがしかし、それでも傷は出来るだけつけたくないもの。ボルカノは呪いを纏った爪でツノめがけて振りぬく。ぽきん、と軽い音がした。
「これは早々に決着をつけたほうが良さそうですね」
 幻は奇術を披露しながら戦況を見渡す。相手を戦闘不能にするのが早いか、こちらの体力が尽きるのが先か。貫通攻撃を持っているという事もなかなか痛い。
「だが、もう少しだ」
「一気に畳みかけるわよ~」
 アーマデルの言葉に同意しながらアイリスがノーギルティを放つ。セリアのソウルストライクが確実にスモルファイの意識を持ち去って、少しずつイレギュラーズへ形勢が傾いていく。アレクシアは最後の一押しだと魔力を込めた。
「――ちょっと痛いかもしれないけど、ごめんなさい!」
 次の瞬間。眩い光がスモルファイたちの眼前で点滅した。



「ごめんね」
「素敵な角、頂いていくわね」
 セリアやアイリスは謝りながら、気絶したスモルスファイたちから水晶の角を採取する。ぽきん、と小気味良い音が鳴るが彼らが目を覚ます気配は一向にない。痛覚どころか触覚もないのかもしれない。
「暴れられなくて都合が良いですね。ミーロ様に早く届けましょう」
 幻はステッキから透明な刃を出してさくさくと角を折っていく。回復はできないが、そこは適材適所。リーラも回復はできないからと割り切って角の採取に精を出している。
「痛くしちゃってごめんね」
 焔は角の採取をしながらも、傷を見たらそっと癒してやる。傷の深そうなスモルスファイがいないことが幸いだ。アイリスも回復が使えない間でも、一般的な手当てでスモルスファイたちの傷を綺麗にする。
「いつか、貴方たちにも何かお返しが出来れば良いのだけれど~……」
 無理かしらとアイリスは揃って気絶している群れを見渡した。誰も彼もが似たような姿で、仮に角の形で見分けようとしてもイレギュラーズが採取してしまうのである。それらしい特徴が分からなければ、次に会った時どの子かも分からないだろう。
(角は依頼だから、折らないわけにもいかないし)
 手元の角はきらきらと輝いて美しい。これが小瓶の中に収められるだなんて、どんなものになるのだろう。妹分と一緒に見に行けたら行ってみようか?
「角にひびを入れて……ふむ」
 ぽきん。軽い音と共に角が折れる様を興味津々に眺めるのはアーマデルだ。けれどもあまり時間をかけてもよろしくない。スモルスファイたちは身動きも取れない中で角を折られているのである。意識が飛んでいるからまだいいものの、これが意識のある状態だったら恐ろしいだろう。
(手際よく、手早く……)
 ぽきん、ぽきんとテンポよく作業を進めるアーマデル。しかし次第にその手がスモルスファイの毛に誘惑され始める。ふかふかに見える毛は『冬毛』というものなのだろう。なかなか触れるような機会も無いのだから、この際にちょっとだけ――。
「む……外側は意外と……」
 ごわついた毛がアーマデルの指に触れる。これまた興味津々にアーマデルは毛をふさふさを触り、それから暫ししてようやく我に返った。
「これで最後かな」
 アレクシアは全てのスモルスファイの治療を終え、すっくと立ちあがる。頭の上は随分さっぱりしてしまっただろうが、それ以外は問題ないはずだ。
(変に人間を怖がってほしくない……なんて、自分勝手かもしれないけど)
 そもそもこちらの都合で怪我をさせているのである。感謝と、謝罪の心も込めての行動だ。
 採取も終わったようで、一同は荷物をまとめて立ち上がる。周囲にスモルスファイを狙うような輩もおらず、イレギュラーズの採取した角を狙う者もいない。平和である。
「お詫びの干し草であるよ」
 ボルカノはそっと持ってきていた余りの干し草を置いていく。きっと彼らが美味しく食べ、また角を生やす栄養にすることだろう。
 こうして、一同はローレットへの帰路についたのだった。

「おかえり! 待ってた!!」
 ローレットではやきもきとしたミーロが待ち構えていた。相変わらずクマが濃いが、イレギュラーズの持ち帰った水晶の角を見るなり爛々と目を輝かせ始める。
「ミーロ様、簡単な作業でもお手伝いさせてもらえませんか? 身の回りの事でも」
「ご飯作るよ!」
「私も……あまり得意じゃないけれど」
「えっ寝食忘れちゃうから寝ないよ? 食べないよ?」
 さも当然と言うように返すミーロに幻と焔、そしてセリアはぴしりと固まる――が、ここで引いたら本当に彼女は倒れかねない。掃除や仕分けでもと幻が告げると、背後で焔とセリアが反応した。彼女らも疲れていそうなミーロの手助けがしたかったのだが、素人である2人では作業に関われないだろうと考えていたのだ。
「それならボクたちにもできそうかも!」
「瓶を並べたりするもの効率が上がりそうだね」
「ああーなるほどー。掃除とかお願いしたいな。瓶を並べるのもお願い!」
 そうとなればと材料を持ってローレットを飛び出したミーロを3人は慌てて追いかける。一体あの原動力はどこから来ているのだろうか。
「子供たちの笑顔のため、かな?」
「そうかもしれませんね」
「終わったらゆっくり寝て欲しいけれど」
 焔の言葉に幻が頷き、セリアが苦笑を零す。ああ、けれど。ここまで切羽詰まるのは大変だが、こうして誰かの笑顔のための手伝いなら来年もやりたい。来年も、こんな風にシャイネンナハトを迎えられたら良い。

 こうして、超特急でのシャイネンナハト準備が始まった。イレギュラーズの依頼は完了したが、ミーロの戦いはこれからである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 速達でお届けしました!

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