シナリオ詳細
<Raven Battlecry>霄漢
オープニング
●手記
人間は万能ではない。故に、願い叶える宝珠を貪欲に求めるのだろう。
人間は全能ではない。故に、叡智及ばぬその先に手を伸ばし藻掻くだろう。
無より有を。
有より真理を。
――良いかい?
ブルーベル、リュシアン、ジナイーダ。
こうして『命』は生み出されるのだよ――
●砂丘の向こう
天を仰ぐ。飛来する煌めきは眩く目を疑うものである。
蒼穹に抜ける雲霞を散らし、天をも引き裂く如く唸り上げる。
真白の湖の如く煌めき返した砂漠を煽り、散り散りに広がってゆく風は世界の境目さえも不安視させた。
――そこに存在するのは。
『砂漠の幻想種』イルナス・フィンナ(p3n000169)が『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)の指摘通り色宝の保管庫であるネフェルストの防備を整えていた刹那であった。
ラサの実質的指導者たる『赤犬』が不機嫌を滲ませ「おい、出番だ」と声を掛けてきたのだ。そのかんばせに滲んだ獰猛なる獣の気配――そして、張り詰めた緊張に只ならぬ事があったのだろうと直ぐに出撃の準備を整える。
ラサの砂漠地帯には無数の古代遺跡が存在している。混沌大陸には様々な場所に古代遺跡が点在し、嘗ては鉄帝の地下迷宮及び古代遺跡にした『ギア・バジリカ』や深緑の地下迷宮を抜けた先に広がる常春の国にもイレギュラーズは足を運んだことだろう。
砂漠地帯の遺跡と言えば『カノン・フル・フォーレ』が座した砂の楼閣が意識に新しいが……さて、今回の舞台は『ファルベライズ』と呼ばれた奇妙な形状の遺跡であった。
外郭と内郭に別たれたその場所は、外より入るために『鍵』が必要であった。学者達の浪漫溢れる探求の結果、イレギュラーズの協力を得て内郭へと至った訳である。
その中に存在するは願いを叶える色宝。人の欲望は栓も無く。貪欲なる者達にとっては喉の奥から手が出るほどの――無数の人の手が伸ばされる中で、ラサはその首都のオアシス『ネフェルスト』に色宝を集積・保管することを決定した。
悪しき者の手に渡らぬようにと管理を行うという目的は傭兵やイレギュラーズ達に『報酬』を支払うことで難なく叶えられていた、が。其れを芳しく思わぬ者が舞台へと堂々と上がる。
『大鴉盗賊団』――それは、色宝を狙い国家転覆を目論む集団だという。
彼等の狙いの一つは、風牙の予測したとおり『ネフェルスト』への急襲である。
そして、もう一つがファラベライズ遺跡の中に更なる中核が存在することが判明したのだという。
パサジール・ルメスと縁深きその遺跡の奥深くへと潜るが為に、レーヴェン・ルメスという娘が敵に囚われた状態だ。
「……私達はネフェルストを、ラサの『中核』を護る事になりましょう」
民、商人、傭兵。様々な者達が住まうこの場所を害されるわけには行かぬのだから。
防備を固めるイルナスへと声が掛る。
「イルナス、『赤犬』『凶』と一緒に出陣しろって!
砂漠が揺れているわ。酷い、酷い耳鳴りがする! 何だか危険なことが起こるかも知れない!」
走り寄り、怯えた表情を見せたレナヴィスカの新米の娘は陽に焼けた自身の体をぎゅうと抱き締める。砂漠の幻想種と呼ばれた彼女たちは砂漠と共に生きてゆく。
故に、砂漠の危機には聡いのだろう。
「三大傭兵団が出るって?」
ざわつく商人達に「貴方達は下がりなさい」とイルナスは静かに言った。
傭兵と商人で構成された連合国家である以上、人手が足りないと云う事はないだろう。
ならば、自身らが求められるような緊急事態がやってきたという事だ。砂漠の幻想種は耳が良い。その長耳を使用して、近寄る獲物を察知するからだ。
「……『レナヴィスカ』は一先ず陣を展開します。都内の警備を手薄に為ぬように。
精鋭部隊は私と共に。……イレギュラーズも此方に。良いですね?」
「ああ。色宝をネフェルストに集めてるんだ。こういうことがあると思ってたけど――『それ以上』って事だろ?」
風牙にイルナスは頷いた。盗賊団による襲来を予期し、ある程度のネフェルスト内の警備を整えていたが、此れは予想外だ。
耳を劈くような叫声が響く。
なだらかな砂を捲り上げるように吹き荒れた突風の向こう側に、のっぺりと影が落ちた。鮮やかなる陽の許で天蓋より影を落とすオブジェクトなど何処にも存在して居なかったはずだ。
「ああ。どうやら、」
イルナスは溜息を吐いて弓を番えた。
「我らが『赤犬』殿が苛立つ理由の最たるものが遣ってきたとでも言うところでしょうか。
ハウザーも獲物を捕えて興奮しているようですが……私達は冷静に事を熟しましょう」
イルナスが天蓋を――徐々に迫りくる影を睨み付けた。陽の光を浴びてきらりと光るは決して美しき砂塵だけではない。その奥深くに『怪物』が存在して居るのだ。
「最たるもの?」
幻想種の娘の言葉にイルナスは頷いた。
「貴女も周辺の警戒に当たりなさい。ここに居ては危険です。
……良いですか。誰一人としての死者を出さぬように心がけるのです。いえ、そんなことに気を配れるほどの余裕はないかも知れませんね」
「どういう……」
「目の前に存在するのは圧倒的な理不尽ではありませんか」
風が吹き荒れた。耳を劈く叫声。そして、荒れた砂の奥から無数の影が天を覆い尽くす。
幻想種の娘の目には其れが世界の終わりのようにも映り込んだ。
恐ろしい――なんと、悍ましい世界の在り方だろうか。
唇を震わせ、「あ、あれは」と指し示す。
「竜……?」
誰もが、その言葉に天見上げ。口をあんぐりと開け。怯えたことだろう。
「――いいえ。本当にアレは『亜竜』なのでしょうか。
聞く限りアレは違和感だけが付随する。ですが……恐ろしいものであることには違いない」
小さな身震いと共にイルナスの唇が釣り上がった。冷静なる乙女に似合わぬ好戦的な表情(いろ)は戦場に奮い立てられるかのようである。
それは寓話で語られた竜のかたちをしていた。
それは絶望の海で眠った竜のかたちをしていた。
それは――
『アレ』が何であるかは定かではない。ヒントとして捕えるべきは色宝。
色宝が『引き連れてきた』モノであろうことが認識される。だが、それを探求している時間など存在しなかった。
それが『亜竜』、そして竜種なのであれば、此の地に訪れるのは絶望だ。
それが『紛い物』であるならば倒してからの探求でも遅くはない。
あれだけの無数の存在を見て弱い存在だと認識できる者など居ない。
「……人助けはお嫌いですか?」
イルナスは静かにそう言った。
「私は嫌いではありませんよ。
ああ、それと――戦う事は、お好きですか?」
弓を番えた砂漠の乙女は好戦的に眸を煌めかせ、
「私は嫌いではありませんよ」
――空を覆った影を睨め付けた。
- <Raven Battlecry>霄漢Lv:25以上完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2020年12月22日 22時10分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
生温い砂漠の風は、頬を撫でて通り過ぎて行く。蒼に塗りつぶされた霄漢は自由を象徴するかの如く。だが、其処に落ちた影は自由とは程遠い響きを宿していた。
「イルナスさん」
声掛けた『森の善き友』錫蘭 ルフナ(p3p004350)にイルナス・フィンナは頷いた。鈍色の髪が風に煽られ揺らされる。美しい砂漠の幻想種は「見えますか」とイレギュラーズへと問い掛けた。
「……あの大群だろう? 勿論、見えるとも。
さて、竜とはわくわくさせてくれるね。知っているかい? 冒険譚には竜(ドラゴン)はつきものなのさ」
笑み零した『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)。オッドアイを煌めかせ、探求者はその眸に幾つもの期待を乗せている。眼前より迫りくる敵影は簡単な存在ではないのだろう。
ネフェルストへの襲撃を防ぐが為に、別働隊として『赤犬』と『凶』が出陣するという大仰さ。それがどれ程の大事であるかを『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は知っている。
「レナヴィスカの頭領殿、あれは飛竜か? 『本当に』?」
「ええ、私も『同じ事』を考えました。ラダ嬢」
ラダの父は武装商人である。故に、傭兵団を率いた砂漠の乙女は『ラサの傭兵団の代表者』としても繋がりがあるのだろう。
「アルペストゥス殿にとって『仲間』であるかは分かりませんが――アレは余りにも、生気がない」
天蓋仰ぎそう言ったイルナスにラダは頷いた。翼を揺らがせ、合図を送るように心を躍らせていた『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)は自身の名を呼ばれたことに気付き首を傾ぐ。
「グオオオオゥッ!!!」
――君たちは、なかま? ぼくは、ここにいるよ!
「……グゥゥ……」
――あれ、でも、変……。
「ギャウ……?」
――仲間じゃない……?
違和感は確かに付き纏う。ラダにとってもそれは遺跡で見るゴーレムに近いのではないかと、遠目で見た限りそう感じていた。
「確かに、作り物染みている。そも、命というものはを創造できるかはまた別の話なのだがね」
「それは輪廻から外れて森(かみ)の意に反する大罪だよ。
もしもあれらが本当に竜に類する存在なら、僕だって一般人と大して違いはないかもしれない。絶望的な状況だよね」
身体震わせたルフナは此度こそが深緑がラサから受けた恩に報いるときなのだと、そう考えていた。
――だと、言うのに。あれが竜だというならば。指の先まで伝わった怖れを飲み込むようにごくり、と喉を鳴らす。
「竜、か」
『散らぬ桃花』節樹 トウカ(p3p008730)はその言葉を紡いでから身を包み込んだ震えを抑えるように息を吐き出した。恐怖から手を出さず、逃げることだって出来た。だが、それを放置しておいたならばこれから先『護りたい者が害された』時に、臆病風に吹かれるかも知れない。
一人では勝てない敵に無謀という言葉を背負って突撃する勇気が欲しい。臆病なままでは全てを喪ってしまう可能性だってあるからだ。
「竜……いや、亜竜。それも非生命的か。
いいだろう。たとえどれほど劣勢だとしても、全力で迎え撃つ以外に何もないからな」
「ええ、『亜竜』、ですか」
『一刀暁明』浅蔵 竜真(p3p008541)が唇に笑み浮かべ剣を構えたと同様に『帰心人心』彼岸会 無量(p3p007169)は鞘に仕舞い込んだ刀をするりと抜き取った。それが造られたモノではないかと想定されている――ならば、許しがたいのだ。輪廻の理に反するその存在。
「此処でその行いの理由を暴く事は出来ずとも、必ず情報を得て次に繋げてみせましょう」
「ええ。それに……人助け、嫌いではありませんから」
竜より人々を助ける英雄譚を『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)は識っている。
屹度、それを綴るように。戦う事は、護るという事。手を伸ばすことは、諦めないという事ならば。
イレギュラーズならば、屹度と望んだ人が居る事を喜びそして答えれば良いだけなのだ。
「……だけど、ディルクさんやイルナスさん、他のローレットの皆からここを任されてるんだ。それならその思いに応えてこそじゃんか」
ぐ、と掌に力を込めて、決意を漲らせる。『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)はその言葉を聞いてから唇に笑みを湛えた。
「リヴァイアサン程の圧はないけど衝撃的だよね……。
かと言って戦わない理由はないよ! かかってこい!」
天蓋仰げば影が落ちる。砂塵に紛れる羽音など、怖れるに足らぬというように。周囲をきょろりと見回してから『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)はからからと笑みを零す。
「おーおー、いっぱい飛んでるなあ。
こっちにゃアレで陽動。うまくいきゃお宝もゲット! ってか?」
あれが『どこまで大鴉盗賊団の想定の内』かは分からない。誰の手の存在であるかを考えるのも時間が惜しいほどにそれは距離を詰めてくる。ああ、だが、無性に腹が立つのだ。其れを利用するようにファルベライズの中核へ至らんとする盗賊団様とやらが。
「……ナメやがって。そんな片手間で何も奪わせやしねえ。宝も、命も、何もかもだ――ぶっ潰す!!」
●
「グルルル……」
アルペストゥスがイルナスへと合図を送る。『あしなみを揃えて、攻めていこう』と。
その言葉に頷いた彼女は「イレギュラーズの指示に従いましょう。皆さん、来ますよ」と合図を送った。
陽の光を帯びてきらりきらりと返すその美しき翼。影が落ちる刹那、顔を上げたトウカの双眸に映り込んだのは『トルメンタ』、そう呼ばれた飛行亜竜。巨大な翼を双眸に映し、桜の木刀を握りしめた鬼人の青年は鬼紋の花弁に決意を載せる。有刺鉄線の如く鞭へ変容した鬼血は花弁を内包し、トルメンタへと追い縋った。その背を見遣る深緑の眸。
(僕達は役目を全うしなくては――)
ルフナはトウカと共に強力なるトルメンタを引き付ける。侵されざる聖域たる己の身体には故郷の守護が巡っている。生きる幻想、そう呼ばれた『幻想種』は音を聞く。
オオオ――!
それが亜竜の声。トルメンタを引き付けるが如く二人、走り出す。共に飛来した亜竜から引き離すが如く。そして、己達を倒されぬようにと気丈に前を向いて。
空を飛び続けた飛行亜竜の視線を引き付けるが為に。天下無敵の勇猛果敢、鬼として、『桃果の名に懸けて』と構えてみせる。
青年の傍らで、その足に力を込めて路地の中を走り抜けたのは竜真。地を叩き降り立った小型亜竜の隙を突くが如く、至近より放つ速力は威力を増してその懐を刃で穿つ。
水晶の固さを叩いた気配がする。ギャ、と苦悩の声を漏らした分類ネーム<天>。その相手を行う竜真の傍らで、『引き付ける』かの如き一迫彗勢。
一瞬で間合いを詰めたその脚が空中で、天を叩く。速力と破壊力を武器にして『気』を流し込んだ風牙の身体を受け止めたのはゼフィラの義手か。
「っと、空中散歩は如何かな?」
「砂漠の空ってのも悪くはない!」
に、と唇吊り上げて再度、亜竜を見上げた風牙へ向けて襲来する<天>達。その身体全てを巻き込む等価の魔術。
アルペストゥスの喉が鳴る。竜語魔術(ドラゴンロア)は概念をも変容させる領域を作り出す。
「グゥウ……」
「どうですか? 『仲間』でしたでしょうか」
問い掛ける。イルナスの言葉にアルペストゥスとて疑問と不安を感じていた。そうだ、あれらからは『生きている気配』がない。
その美しすぎる水晶の身体も、こうした数の多さが『ラサの本陣』まで到達することも。
全てが全て、紛い者だからではないかとさえ、思えて仕方が無いのだ。
「……グゥ……」
竜の言葉を呟きながら問い掛ける。それでも、応えを返さぬ亜竜達にアルペストゥスも違和を感じていた。
「少なくとも同種の存在ではなさそうだ。見れば見るほどに、其れ等からは生気を感じられない。
作り物の命――嘗て、天義に現われた月光人形の亜種のようにさえ思えて仕方が無い……」
呟くラダが構えたのは練達的宇宙技術の細工が施された妙な銃。その名も『九人の賢者』を構えて狙いを済ます。
揺らいだのはジグリの印章。鋭利なる獣の鼻先がすん、と音を立てた。混沌とした戦場では眼を、耳を、そして鼻といった己の感覚を研ぎ澄ませて総動員すべきだ。降らせ続けるは鋼の驟雨、一匹たりとも逃さぬが如く、地へと這い蹲った<天>達を穿つ銃口はブレることはない。
「任せきりで悪いが、死ぬなよ」
「死なない程度に、こっちに追いついてよね」
軽口を叩いたルフナに対しラダは小さく笑みを浮かべる。支える大役を担った小さなハーモニアは循環する魔力を逃さぬようにと集中力を研ぎ澄ませる。
「先輩方を信頼しているんで」
巨大な爪を受け止めながらも、鬼人の青年はそう言った。恐ろしい相手が眼前に迫っている。それでも尚、彼は『怖れ』だけで竦んでは居られないと鮮やかなる花弁を纏い声を張り上げた。
「各員、位置に付きました。我らのオーダーは『一人も欠けることが無きよう』です。
不肖の身ではありますが―レナヴィスカの皆様、お力添えください」
「お任せを」
リンディスはレナヴィスカと共に<飛>――飛行を続ける小型亜竜の迎撃に向かう。地を蹴ればその身体を運ぶのは『飛行者の物語』の紙片達。
待とう、『鏡』の物語。鏡面世界と呼ばれた一人の娘の異能力を模したが如く、己の負担を分かち合うが如く。冷静なる娘は司令塔として前を向く。
「無量さん、敵影此方を認識しました」
「……ええ。誰も死なせぬ為には抑えるだけでは足りません。――参ります」
動乱の中でさえも、冴えた意志(やいば)は曇りを識らず。無量の声は鋭く響く。
全を掻き集めるが如く。飛行するそれらを誘う無量が宙を『足場』の如く蹴り続ける。
「よもや只の女と勘違いをしたわけではありませんね?
私が斃れるが先か、貴方達が壊れるのが先か……否、斃れようが必ず壊します」
蜜色が細められる。生者が為に、死者を救済する。かりそめの身体を与えられた其れ等を在るべき輪廻に返すが為に無量が引き付けた<飛>達へ、アリアの歌声が包み込む。
其は清浄な大地に根ざす古い神。其は民草を愛して國に住まうた一人の神。
其は――愛する子らに迫害と呪いを受けて転じた悪意。その怨嗟。
「さあ、耳を澄ませて――キミの耳にも聞こえるでしょう?」
手遅れなんだよ、と唇が釣り上がる。共に動くはキトリニタスの欠片のひとつ。自分と異なる誰かのかんばせが、怨嗟を唇に乗せるように激情の呪いで包み込む。
闇雲に展開するわけには行かない.故に、リンディスの指示と合わせ、レナヴィスカは最も優れた『迎撃ポイント』からそれらに対して弓を番えた。
●
建物の壁を、そして障害物を、そうした『小さき者』にとって有利なフィールドを利用しながら風牙は走り続ける。
鉱物のひかりを僅かに返した槍の穂先が眩い水晶竜の照り返した光を返す。それは天を走る彗星の如く鋭く地に光の軌跡を作った。
地を灼き溶かす火の如く――鮮やかなブラウンが揺らぐ。尾のように纏めた髪を追い大きな口をばくりと開けた亜竜は鼠を追いかける猫を思わせた。
「識ってるか? 窮鼠猫を噛む、ってな!」
翻弄し続ける風牙を支える様に、狂王種の鱗を加工した大盾で<天>を受け止めた竜真は弱り往くその亜竜の首を向けて恍惚なる刃を放つ。変幻の邪剣は鋭くも穿ち素後々を刈り取るように。
「……殺した死骸は物陰へ」
「OK、『持って帰る』なんて事しそうだもんな、トルメンタ!」
風牙に竜真は頷いた。周囲を旋回する<飛>にも気を配りながらも地へと降り立ち此方を標的として狙う<天>を兎に角逃さぬように全て殲滅することが彼等に課されたオーダーだ。
ピューー。
宙から聞こえた鳴き声に鋭く地へ向けてその翼で風を巻き起こす<天>は目眩ましの風の中からその身を地へ向かって叩き付けるように落ちてくる。
「ッ」
巻き込まれてなるものか。僅かな瞬間、盾にぶつかった牙が自身を丸呑みすることを狙っていたのだと竜真は気付いた。
「食欲、というのは生き物にとっては最も動力だというのは本当だな……」
「……グゥゥ」
アルペストゥスが『おいしくないよ』とアピールするような声を漏らした。希少金属で飾られた優美なる金属彫刻の飾りが揺らいでいる。竜真を喰らわんとばくりと開けた口蓋へと飛び込んだのは悪夢に叩き落とす呪われた魔弾。
アルペストゥスは風牙の動きに合わせて竜の――彼等の『仲間』の言葉を呟き続けた。概念構造さえも変化する。それは等しく在るべきモノへと変化させる『等価』の術。
「ギャアアウッ!!!」
――なかま? なかまじゃない?
「仲間じゃないのだろうな。……あれは、死骸ですらない、
姿を変えただけの紛い物だ。『亜竜』如き、と砂漠の民は見くびることをしない」
ラダは静かにそう言った。出し惜しみなどしては居られなかった。地を這い蹲る<天>達の中には回復行動を行う竜も居るのだから。
「……回復とは器用な奴等だ。実際、覇竜にはそんな竜もいるのかね」
呟く。集中的にその個体を潰すことを狙うラダが見据えたのはこの砂漠地帯から進んだ位置に存在する危険地帯のことである。その地には亜竜などではない、其れよりも強大な――嘗て、あの絶望の海でも相見えた『竜種』が無数に存在して居ると、そう言われているのだ。
「どうなのだろう。けれど、それは非常に興味深いね。竜種に回復技能が存在するか。
ああ、しないとも言い切れないのは確かかも知れない。モンスターにもそうした技能を持つ者も居るからね」
成程、と頷くように首を捻ったゼフィラは冷たき霊刀に魔力を帯びさせた。冷酷なまでの絶対性を今は発揮することはなく。覚悟を完了した根源探求者は天使の福音を響かせる。
「此方も回復という技能はしっかりと発揮できているからね」
「人と竜は何方も同じような存在だと?」
「まあ、そのようなものさ。どちらも『生き物』ならね。
最も――アレはどうやら『生きてなさそう』に見えるからそれらしい行動をしているだけなのだろうけれど」
ゼフィラに「へえ」と呟いたラダは「まあ、『これ以上発展性の見込めない存在』には興味も芽生えないか」と弾丸を降注がせた。
風牙と竜真がその標的となるように地で翻弄を続ける最中、アルペストゥスとラダの攻撃が周囲を灼くように降注ぐ。美しき水晶亜竜を砕く鋼に重なる結晶化の魔術。
まるで地上が光を帯びているようだと歌い続けていたアリアはそう感じていた。高台より、呪いを歌った彼女の傍で弓が幾つも飛び続ける。
無量が全ての標的となるように誘えば、リンディスは己の身を盾とするべく前線で倒れるべからずと云わんばかりに宙で己の身を支え続けた。
「さ~て、呪いのお味はいかがかな?」
「屹度、美味でありましょう」
無量が囁くアリアの歌声でその動きを鈍らせた<飛>達に、レナヴィスカの弓兵が今だと弓を放つ。
小さな暴風域を作り出す大業物。二対の腕があるかの如く。刃を閃かせ、無量は襲い来る亜竜を退け続ける。その間合いに入ることを厭うが如く――剣に生き、剣に死するおんなとして。剣鬼は只管に抗い続ける。
「レナヴィスカの皆さんは翼を狙って下さい! 地へと叩き付け、一気呵成で狙います。
<天>の対応が終われば、<飛>を倒しきることも容易――トルメンタを引き付ける仲間のために、急ぎましょう!」
声を震わせた最前線の司令官。軍略の記録から今に見合った戦略を励起・伝達しては記録者として、編纂者として、小さな娘は耐え続けた。
(――挫けるな。挫けてはいけない)
無限に白紙を生み出す魔導書に刻まれた過去が己にそう告げている。<天>の数は十分減った。次は<飛>を――そして、メインディッシュが待っているのだから。
●
信じているからこそ、歩みを止める事は無かった。距離を離すが為に、トルメンタの攻撃を受け続けるトウカ。
遮蔽物の影より顔を出し、放つ呪いは夾竹桃。葉は竹に、花は桃に似ていようとも其れ等全てが毒を孕む。鬼らしく、欲望のままに蝕む毒を前にしようともトルメンタは止ることはない。
煽る風の中でも、護りの構えを見せ散る物かと青年はその身を屈める。『先輩方』は<天>を倒し尽くしただろう。地に落とすべく翼を穿たれる<飛>達がバランスを崩し墜落する様子を只管に見詰め、星の加護を纏い青年は木刀で攻撃を流す。
「それにしても、本当に綺麗なんだか、気持ち悪いんだか分からないよね。このデカブツって」
「腹が輝いてるのは美しいのかもしれないけど……」
「どうかな。其れが無くなったら簡単に崩れるかもよ」
瓦礫の影から声を掛けたルフナにトウカは何気なく返答する。トルメンタと作戦本陣を大きく引き離すことを考えた二人は互いに支え合うように戦っていた。トウカが大きく傷を負ったならばルフナは直ぐさまに澱の森の魔力を使用し、『変化』を拒む。害された傷を修復するそれは傷痍をも拒み癒す為に存在して居た。
「トウカさんがデコイなら、僕はサイドキックだね。まあ、この状況じゃ一蓮托生だけどさ」
感覚過敏たるその全てを生かしてルフナはトルメンタや戦場の様子を探り続ける。仲間達の状況は此方からも確りと把握できた。予期せぬアクシデントは存在しない――彼等の他に、『凶』と共闘する仲間や『赤犬』と共に水晶竜を相手にする者達は今、どうしているだろうか。
其れを気にする暇も無いか。ルフナはトウカを支えながらも、健闘し続ける仲間の様子を伺った――
対空攻撃を行い続けている無量と、其れを庇い懸命に戦うリンディス。翼を広げたアルペストゥスの『等価』の魔術が<飛>の翼を結晶へと変換し続ける。
――違う。
その時、一匹の竜はそう思った。仲間が、友人が、と心を躍らせたそれも最早、過去。其処に存在する紛い物は竜では無く、竜の如き力も所有しては居ない。ただの木偶の坊に過ぎないのだ。
「グルルルル……」
竜語の魔術が伝える苛立ちを窺いながらも竜真は天を穿つように剣を振り落とす。地へと向かい<飛>を叩き付けるように。翼など必要ないと云うように。
「地を這い蹲れ」
冴えた言葉と共に連撃が放たれる。無形の術、その刃を支援するかの如く司令官は朗々と告げた。
「今現在は制御が出来ています。地上での不測事態の警戒を。
そして、地へと敵を叩き落とすのです。無用な翼は、この物語には必要ありません」
冷静に、その心に満ちていたのは戦況を見通すための司令官としての自負。無量とアリア、二人が引き付けた<飛>へと不k数の攻撃が飛び込んでゆく。地へと降り立つ<天>の殲滅が終了したならば、次は天蓋を覆う影の始末だ。
レナヴィスカの弓が幾つも空を舞う。耐え続けると身体を傷だらけにしても、前線のリンディスは庇うことは無かった。
「リンディスさん」
囁かれる無量の声に頷いた。建物の屋上まで引き付けるが如く。レナヴィスカが狙った個体を出来る限り地へと近づける。
「――任せて!」
にこりと微笑んで、アリアは「竜が釣れた~」と楽しげに目を細めた。
脈々と残る血という名の足跡。全てを支配し操るは思念体の女神。身を蝕む好奇心という甘く痺れる毒がは誰にも止めることは出来ないのだ。故に、『自身の元へと』飛び込んだ<飛>をアリアは貫いた。
「待たせたなリンディス! 今からオレらでこいつら片付けっぞ!」
「ええ、待ちくたびれましたよ?」
揶揄うようなリンディスに風牙は小さく笑う。仲間達を引き連れるように先陣切るのは慣れたもの。その手腕やご覧あれとでも云うように、無量が引き寄せた<飛>達へ向けて彗星の勢いで風牙の槍が宙を裂く。
「オレ自身が対空砲だ!」
「ああ。……待たせた。<天>班、今より<飛>の討伐を行おう」
静かな声音と共にゼフィラは福音を奏でる。皆を支えるべく、戦線の維持を続けトウカとルフナが二人で引き付け、相手をし続けるトルメンタを心配する素振りを見せる。
(彼方も消耗は激しいだろう――だが、後少しだ。耐えてくれ)
身を隠し、『デコイ役』を譲ったルフナは只管にサポートを続けていた。戦力を裂いたことによりトウカの限界点も近いが其れに間に合う可能性もあるのだ。
故に、鋭い勢いで飛行し続ける亜竜を打倒する仲間達にゼフィラは願っては已まなかった。
此の儘――此の儘、押し切ろう。
その祈りに応えるが如く銀弾は貫いた。籤の如く気紛れに。気に入らなければもう一度弾き直せば良い、チャンスだって有限だ。故に、ラダは破壊を求める如く撃鉄を落とす。
「――羽音がうるさい、落ちろ」
ずん、と音を立てた水晶が結晶化し続ける。アルペストゥスの声を聞き、旋回するその翼音の中で、無量は静かに息を吐いた。
「此れが、魂の救済とならんことを――」
かりそめだらけの体と魂。其れを繋ぐ何とも希有な光。空虚な獣を貫くようにその刃が亜竜のその身を切り裂いた。血潮など存在しない。硬い感覚と共に、水晶の光がちらりと舞う。
それをリンディスは美しいと感じていた。竜真の視界の端に煌めいた光の欠片は、生の気配さえ感じられなかった亜竜達の唯一の美しさであった。
●
消耗は激しい――
「ルフナさん……」
肩で息をして、トウカは静かにそう言った。トルメンタの獲物で居る為に。少しでも長く、それの前に立っているためにと二人で戦い続けた。だが、それも限界か。
「……及第点だって褒めて欲しいくらいだよね」
「……はい」
恐ろしい。その気持ちに変わりは無い。あれだけ強大な敵なのだ。其れを怖れずに何とするか!
だが、二人は竦まなかった。もはや意識さえも朦朧とするトウカを支えるために耐えることなき魔力を感じながらルフナは汗を滲ませる。
「まあ、これだけ頑張ったんだしさ……リュミエ様も喜んでくれると思うんだよね」
どうでもいいけどさ、と呟いたルフナにトウカは「皆喜びますよね」と頷いた。淡い光――太陽の輪郭さえ歪んで見える。トルメンタが口をばくりと開き迫りくる。その尾がトウカの体を建物へと叩き付け、ルフナは覚悟をしたというようにそれと向き合った。
「まあ、馬鹿の一つ覚えだよ。
目の前の敵ばっかり見て、他がおろそかになってるんだから、さ」
ルフナの呟きのその背後――
――風が吹く。それは天を走る彗星か。『気』による爆発の後、刃が閃いた。
「無事か!?」
問う風牙になんとか、とルフナは手を上げる。だが、戦う事はもう難しいだろうか。無量はトルメンタを前に刀を構え直す。その姿勢は未だ崩れず、美しい。剣の道はその美しい形からも繰り出されるのだ。
「ギャウ……」
トルメンタを伺ったアルペストゥスが警戒する様にその翼を開いた。レナヴィスカの各員へと癒しの福音を齎したゼフィラは「メインディッシュの時間だ」と小さく笑みを零す。
「ええ、メインディッシュは美味しく平らげる。ただし、逃げる者は追い縋らず『目的』を果たすというのが私達レナヴィスカの考えですが如何ですか?」
「……悪くはないさ」
イルナスへと小さく微笑んだゼフィラは「それにしても竜が相手だと会話をする訳にもいかないからね。中々『状況把握』が難しいさ」と呟いた。
だが、同じ竜――アルペストゥスはどうだろうか。自身の用いる竜語を使用して幾度にも対話を望んでいた。だが、其れに答えは無く、寧ろアルペストゥスを『敵』と認識した攻撃が降注ぐ。
「グルルル……!!」
だが、アルペストゥスはトルメンタをその双眸に映したときに語りかける気にもならなかった。
その肉体の破片を残しては鳴らない気がした。体の水晶を、残して置いてはいけない気がしたのだ。
「ギャウ………」
獲物とされないようにと物陰から狙い弾丸を放つラダに続き、アリアはゼフィラを補助し、呪いを歌う。
「この街を、醜い欲望の果てに蹂躙するなんて、許さないからね!
ここで倒して、後願の憂いを排除するよ! そのためなら限界も超えて見せる!」
体の限界点が近いのは誰もが分かっていた。消耗が激しく、これ以上の戦闘がどれ程の危険であるかを竜馬は承知している。
それでもだ、目の前にトルメンタが健在で、それが街へ向かおうと言うのだ。それを許しておけるものか。そも、無量が掲げた目標は、そしてリンディスが告げた方針は『誰も失わない』なのだ。それはこのラサのネフェルストの者も含む。
「……退かぬ、か」
物陰から飛び込んだ。その刃に乗せた勢いの儘、その広い背中へと竜真は飛び乗ってゆく。足場の不安定さを感じる。ちくりと刺した度に鬱陶しいとでも云うように尾が大きく音を立てて地へと叩き付けられる。
「届け――」
竜真は唇を噛んだ。振り落とされるか、耐えられるかの瀬戸際。
「――いいや、届かせる!」
それでも、耐え続けて刃を振り落とすが為に。
「……一刀の下に、お前をッ!」
刃を突き刺せばトルメンタが酷く唸りを上げた。そのまま竜真の体が宙に投げ出される。は、と顔を上げたリンディスがその体を受け止めて、地へと叩き付けられる。
直ぐさまにゼフィラは回復をお送り「立てるか」と問い掛けた。
「……ええ」
リンディスがトルメンタを睨め付ける。その視線に気付いたかのように無量は残り少ない自身の体力を感じながらもトルメンタを受け止めた。自身の体を苛むならば、その分返して遣ろうと――それは無量なりの意地である。
「捨て鉢? いいえ、違いますね……魂を燃やすだけです」
生に執着があるわけではない。だが、個人的な目標をこの場で違える気も無いのだ。
全員が生き残る。絶対的な絶望さえも支配する竜という存在を前にして、鬼はそう考えていた。
輝きに違和感を感じながらもアリアは「……あれを、狙いたいね」と呟く。それを狙うだけでは難しい。風牙とて分かっていた。アリアに頷きながらもう一度と狙い地を蹴った。
続くようにイルナスが弓を番える。
「……支援します!」
「ああ!」
頷く。砂漠の幻想種は集中を研ぎ澄ませる。傭兵団の頭領としての力を見せるが如く――
続くのはアルペストゥスだった。
「グラアアゥッ!!」
トルメンタの大口がその体を捉えようとも決して言葉を絶やしはしない。獲物が何だというか。言葉さえも通じず竜と呼ぶのも似合わぬ獣染みたその生き物。
――獲物は、お前だ――!
砂塵が立つ。その中でも未だ健在のトルメンタが地へとその声響かせて天へ帰ろうと飛び上がる。
「ッ、」
もう一度、と痛む体を押さえるように風牙が天を仰いだ。
倒れた仲間達。それでも、『それ』を穿つためならば支える腕一本あれば良い。
「――せっかくの夢の都だ、土産のひとつもくれてやらねばな!」
そして、放たれる。色宝らしき石。その内部の煌めきを掠めたラダの弾丸に――
オオオオオオオオ―――――!
竜の叫声が響き渡った。その怨嗟に塗れた声と共に、トルメンタが悶え天高く昇ってゆく。
「トルメンタ!」
それは酷く闘志を湛えながらも周囲に連れた亜竜達が姿を消したことに気付いたように撤退してゆく。追う訳には行かない。倒しきるには足りず、これ以上の戦闘は被害が大きくなっていく。
「亜竜……」
竜種ではない。亜竜。それでもその強さは脅威そのものだ。竜真はぐ、と息を飲んだ。
水晶の如く輝いた<飛>と<天>。その個体を振り返った無量は「……どういうことですか」と呟いた。
それらは土塊のように崩れた個体も多い。
水晶の竜などと、名乗っては居られない――もはやそれはただの蛻の殻であった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
この度はご参加有難う御座いました。
イルナスとの共闘です。とても綺麗にレナヴィスカのことを利用していただけたと思います。
その腹で輝くものが何か、どうして竜が姿をあわらしたのか。それはまたこの先で、ですね。
GMコメント
夏あかねです。色宝がまさかこんな……。
さて、そうは言ってられません。排他シナリオです。
●依頼達成条件
・水晶亜竜<飛>の撃破
・水晶亜竜<天>の撃破
+可能であれば 水晶亜竜『トルメンタ』の撃退
●ネフェレスト
夢の都と称される美しい街でラサの最大拠点。
但し砂漠の中心に位置するオアシスの街である為、防御力は無いに等しいです。
一帯の避難勧告は終了しており、ラサの傭兵団は市街地での迎撃を覚悟しています。
街中である為、遮蔽物は十分にあります。動き回るのも小回りが利く人間に有利。
●水晶亜竜『トルメンタ』
全長にして5m程度。華奢な体躯をしていますが巨大な翼が影を落とす。ワイバーンです。
体は水晶のように透き通り、腹の内側に煌めきを内包します。共に飛翔する宝石竜と同様に『非生命体的な何か』であることに気付くでしょう。月光人形やそれに類するようなものであるかのような……水晶の如くきらりと輝きますが、所々が違和感を感じさせます。
常に『飛行状態』にあり、『自身を攻撃する獲物』を見つけた場合は地上~低空域へと降り立ちます。それ以外は飛行状態での攻撃を中心とするようです。
極めて高い『HP』と『特殊抵抗』を『EXF』を持ち、遠距離攻撃に長けています。
範囲攻撃を中心としますが、『獲物』に対しては単体の強力な攻撃を放ちます。
●水晶亜竜<飛> *15
宝石竜と共に襲来する水晶亜竜。それぞれが2m~3.5m程度の大きさのワイバーンを思わす生き物です。
共に飛翔する宝石竜と同様に『非生命体的な何か』であることに気付くでしょう。月光人形やそれに類するようなものであるかのような……水晶の如くきらりと輝きますが、所々が違和感を感じさせます。
名の通り常に『飛行』状態。空中戦が必須です。
遠距離攻撃に長けていますが防御技術に欠ける部分があります。
非常に強力な単体攻撃を使用します。
その他、詳細については不明点が多いようです。
●水晶亜竜<天> *10
水晶亜竜<飛>よりも更に小型のワイバーンです。此方も生命反応はまちまちです。
小型で非常にすばしっこく速力を武器にしているようです。天より飛来し、地へと降り立っての戦闘を行います。
反応・機動力が高めです。また、特殊抵抗も高めとなります。
地上での戦闘を行います。
個体によって物理・神秘・回復能力等、長けている部分が違うようです。外見からは判別がつきません。
●イルナス・フィンナ
幻想種だけで構成された傭兵団『レナヴィスカ』の頭領。『赤犬』ディルクの副官ポジションの女性です。
砂漠の弓手として名高く、『怒っている赤犬』の補佐として戦場へと馳せ参じました。
基本は頭脳派です。イレギュラーズたる皆さんの事を信頼していますので指示にはきびきびと動いてくれます。
また、此処でうち漏らすとネフェルストにも被害が及ぶ可能性があるとし、警戒を強めています。
●『レナヴィスカ』の傭兵たち *5
弓手で構成された長耳の乙女たち。全員が砂漠に集落を作り過ごす『はぐれ長耳乙女』です。
その中でも精鋭が5名。その他の団員たちは他の戦場での戦闘を行っています。
基本は迎撃を行います。指示があればご指定下さい。また、統率に関してはイレギュラーズが司令官として立ち回る事で更に強固になるでしょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●重要な備考
このシナリオは三本連動(排他)です。
『<Raven Battlecry>逆鱗』及び『<Raven Battlecry>刃凶』と同時参加は出来ません。
以上、宜しければ御参加下さいませませ。
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