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シナリオ詳細

<Raven Battlecry>野心抱く盗賊の小さな望み

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『願いを叶える秘宝』が眠っていると噂され、学者達が調査を行っていた遺跡群『FarbeReise(ファルベライズ)』。
 その中には、小さな願いを叶える宝、『色宝(ファルグメント)』が眠っていた――。

 ラサ傭兵商会連合首都、砂漠のオアシスであるネフェルスト。
 この地の周囲へとガラの悪い連中……大鴉盗賊団を名乗る者達が集い、周囲を取り囲んでいる。
 その小隊の一つに、ガレス小隊なる集団がおり、彼らは木陰で決起のタイミングを待っていた。
 副小隊長である女性アナイスは、胸部と腰部のみ布地の小さな衣装を纏った褐色肌で健康的なボディを見せつける。
「ファルベライズの宝、色宝……。いったいどれほどの力があるんだろうね」
「「うーん……」」
「どうなんすかね……」
 彼女の問いに、答える小隊員はいない。
 そもそも、小さな願いをかなえる宝、というものが盗賊達にはいまいちピンとこなかったのだ。
「どうだっていいさ」
 響く声に、小隊員達の表情が固まる。
 中にはたまたまこの小隊へと割り振られたという者もいるのだが、小隊長である金のガンブレードを担いだガレスがゆっくりと立ち上がる。
「この作戦、気に入らなくてなな」
 大鴉盗賊団の狙いは二つあり、その片方、色宝の奪取をガレス小隊含む首都を取り囲む小隊は命じられている。
 ただ、ガレス自身は頭領・コルボらが向かうファルベライズの中核が向かうのが気になっていた。
 色宝など、小さな願いを叶えるだけと聞いている。
 もしかしたら、頭領は大きな願いを叶える宝を狙っているのではないかとガレスは考えていたのだ。
 ならば、目の前にある色宝など、大した価値を見いだすことができない。
「小さな餌で俺らを釣って……こんなんで喜ぶと思ってんのかよ」
 そのイラつきが小隊員にも伝わっており、緊張感が漂う。
「ねえ、ガレス。今は目の前のミッションをこなすのみよ。頭領に目を付けられたくはないでしょう?」
 ガレスへと近づくアナイスは、自らの豊満なプロポーションで自らの小隊長を魅了しようとする。
 ――こんな団は抜けてしまい、大きな盗賊団を。
 ラサだけでなく、混沌中に轟くほどの名を持つ一団となるのだ。
 爛々を目を輝かせるガレスは、すでに大いなる狂気を抱く。
 それにアナイスは酔いしれており、部下達も少しずつ浸食されているようである。
「それが小さな望みというなら、今はその色宝を手に入れて叶えてやるぜ……!」
 ガレスは木陰で大きな布に覆われた何かを見上げ、口元を吊り上げるのだった。


 ラサの首都、ネフェルスト。
 事前にこの地への襲撃を察知したローレット、イレギュラーズ達は改めて状況を確認することとなる。
「まずは前提となる状況ですが……」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は集まるメンバー達へと再確認も兼ねて話し始める。
 遺跡群『FarbeReise(ファルベライズ)』には、『色宝(ファルグメント)』と呼ばれる小さな願いを叶える秘宝が眠っている。
 ここしばらく、パサジール・ルメスの少女達によってもたらされたその情報を元に、ラサの傭兵達やローレットがメインとなり、開かれた遺跡に潜って色宝を回収していた。
「それらの色宝は、ネフェルストで保護・管理されることになったんです」
 色宝の悪用を防ぐ為という目的で、ラサ傭兵商会連合は『赤犬』ディルクも商人の上で、取り決めたのだが……。
 やはりというべきか、私利私欲に走る者が出始めたのだ。
「色宝を我欲の為に使おうと考える輩が必ずいると思ったからな」
 話を聞いていた天之空・ミーナ(p3p005003)は早い段階から警鐘を鳴らしていた。
 彼女はローレットへと自らの考えを伝え、すぐに動けるようにと構えていたのだ。
「『大鴉盗賊団』……すでにネフェルストの周囲にその小隊がいくつか展開しているようです」
 この盗賊団の頭領・コルボは、富と名声を得ることに加え、国家転覆も目論んでいるという。
 この強襲作戦を、コルボは部下の小隊に任せたのだ。
 コルボ自身は色宝の防衛に当たる傭兵、ローレットの虚をつき、ファルベライズの中核へと向かおうとしているらしいが、そちらは別動隊に任せたい。
「皆さんには、この小隊の掃討、撃退に当たっていただきたいのです」
 その一つに、金銃剣のガレスと呼ばれる男が指揮する小隊がある。
 非常に野心の強いこの男はここしばらくの間に魔種へと堕ちてしまったようで、副小隊長である銀飛輪のアナイスや小隊員達は原罪の呼び声の影響を少なからず受けているものと思われる。
「このガレスという小隊長は作戦には乗り気ではないようですが、色宝の奪取にはかなりの執念を抱いているようですね」
 彼は大鴉盗賊団に所属こそしているが、小隊長どまりな状況が気に入らず、独立を考えている。
 その為に、色宝を手に入れて自らの野心を叶えようとしているようなのだ。
「力を得た彼は遺跡の魔物までも従えているようです。くれぐれもご注意を」
 敵の情報を纏めた資料をイレギュラーズ達へと手渡しつつ、アクアベルはメンバー達を戦いの場へと送り出すのである。


 ネフェルスト近郊。
 イレギュラーズ達はオアシスから少し離れた位置にある木々の立ち並ぶ場所でその集団と出くわすことになる。
「へっ、やっぱり素直には行かせてくれねぇか……」
 金の銃剣を煌めかす小隊長ガレス。そして、その部下達が広い砂漠へと散開しつつ、この場から首都方向への突破を目論む。
 イレギュラーズ達は銘々にガレス小隊へと言葉を投げかけ身構える。
 一方敵は自信満々に戦闘態勢をとる。ガレスの強さを知っているからこそ、イレギュラーズにも遅れはとらないと感じているのだろう。
 それに、盗賊達は奥の手も用意していて。
「そういや、こんな奴を手なずけていてな」
 ガレスが部下へと命じると、後方にあった大きな物体を包んでいた布切れを取り去る。
 ガルルルルルル……!!
 現れたのは、上半身がライオン、下半身がアリという奇妙な生物、ミルメコレオである。
「目的は色宝だ。俺はこの場の突破を優先する。お前達はあいつらを足止めしろ」
「「了解っす!!」」
「それじゃいくわよ、英雄さん達」
 小隊員達とミルメコレオは、銀色のチャクラムを回す副小隊長のアナイスに引き連れられ、突撃してくる。
 イレギュラーズ達もこの場から通さぬよう、盗賊達を迎え撃つのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 こちらは、天之空・ミーナ(p3p005003)さんのアフターアクションによるシナリオです。
 『FarbeReise(ファルベライズ)』の全体シナリオ<Raven Battlecry>をお届けいたします。

●目的
・首都に敵を踏み入らせないこと
・大鴉盗賊団ガレス小隊の掃討

●敵……ガレス小隊
 私欲の為、色宝を奪い取って盗賊団からの独立を考える者達です。

○小隊長:金銃剣のガレス
 魔種と化した人間種。粗暴な印象を抱かせ、我欲に突き動かされている感の強い男です。
 金色の輝くガンブレードを使って遠近隙のない戦い方を見せ、荒ぶるままに相手を蹂躙してきます。

○副小隊長:銀飛輪のアナイス
 プロポーションが良く、露出度の高い褐色肌、人間種女性。
 魔種の傍に居続けていることから原罪の呼び声の影響を強く受けているようです。
 チャクラムを使って攻撃を行い、近距離から中距離程度の攻撃をこなしつつ、ガレスや部下達のサポート支援を行います。

○ミルメコレオ×1体
 胸部から前はライオン、胸部の途中から下半身はアリの姿をした生物、別名アントライオン。
 魔種となったガレスが遺跡を護っていた1体を屈服させたようです。
 見た目以上に素早く、剛腕での薙ぎ払い、鋭い牙での食らいつき、腹部から酸を発して猛毒、ショック、崩れといった状態異常を及ぼしてきます。
 なお、拙作「<FarbeReise>Geh nach rechts.」にも遺跡の守護モンスターとして登場しております。

○小隊員×20体
 盗賊団によって配された末端員達。
 アナイス程ではありませんが、原罪の呼び声の影響を若干受けているようです。
 戦闘となれば、サーベルやダガーなど、短剣から長剣の片手武器を主に使用します。
 攻撃力はさほど高くありませんが、盗賊団だけあって軽い身のこなしの者ばかりで、手数で攻めてくるので油断なりません。

●概要
 これまでのファルベライズ探索において回収した色宝を防衛する為、それらが管理されている首都ネフェルストを防衛すべく盗賊団を迎撃することになります。
 首都近辺で網を張り、やってきたガレス小隊を叩きます。
 戦場は砂の上、ヤシが数本生えるだけの広い場所です。
 敵の数も多く、砂漠の広さを活かしてくる為、後方へと突破させない為の作戦が必要となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <Raven Battlecry>野心抱く盗賊の小さな望み完了
  • GM名なちゅい
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年12月21日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
ハロルド(p3p004465)
ウィツィロの守護者
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
エミリア・カーライル(p3p008375)
新たな景色

リプレイ


 ラサの首都ネフェルスト。
 茶髪の小柄な少年を取っているが、その正体はたい焼きの見た目をした海種、『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)はそこに立って一言。
「砂って熱いんですよね……」
 砂漠は日中、最高で50度を超すこともある。
 冬ということもあり、幾分か暑さは和らいでいるが、それでも日中だと少し動くだけでも汗ばんでしまう。
「なーかなかハードな場所だな……夜は寒そうだ」
 銀髪のポニーテールから狐の耳を突き出すオッドアイの獣種、『策士』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)も汗を拭う。
 ただ、そんな汗も気にしてはいられないような出来事がネフェルストに起こっている。
「もうちょっと、小規模なのを予想してたんだがね……。まさかこんな大規模になってるとは思わなんださ」
 普段はやる気なさげに気怠そうな態度をしている『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)も、今回はスイッチが入っていて。
 ――ファルベライズの宝、色宝(フェルグメント)。
 ラサ傭兵商会連合によって、ネフェルスト某所で管理することに決めたものの、これを狙う者は必ずいるだろうとミーナは踏んでいた。
 ただ、それが思った以上の組織だったことに、彼女も目を見張っていたようだ。
「願いの叶う色宝ね」
 瞳を閉じた黒髪の女剣士、『女怪』白薊 小夜(p3p006668)が呟いた通り、それは願いを構える秘宝だが、一つでは微々たる力しかないとのことだ。
 その色宝を狙っているのは、大鴉盗賊団と呼ばれる盗賊達である。
 団長や幹部クラスは直接、ファルベライズの宝を狙っているようものの、多数の小隊が集められた色宝の奪取を目論んでいる。
「さぁて、やたら元気な人たちがいらっしゃいましたね……」
 ベークはヤシの木陰や足元の草むら、砂の上に迷彩で隠れていたその小隊……大鴉盗賊団ガレス小隊に目をつける。
「無法者どもの集まりなど離散集合が日常茶飯事ですから、独立を考える、と云うのは至極当然な流れなのです」
 それが、上の立場の者が下を駒としてしか見ず、情報を抱え込むのならばなおの事。
 旅人を自称するスレンダーな女性、『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)は諦観したように独白する。
「しかし、その駄賃の為に我々を貫けるなどとは残念ながら、思い違いなのですよ」
「何処に行っても私利私欲のために動く人間の多いこと多いこと。全く、嫌になりますよ」
 ヘイゼルに続き、ベークが辟易としながらため息をついて。
「迷惑かけられないようにしないといけませんねぇ……」
「ここまで大それた事をする連中の願いなんて碌な物ではないでしょうし、邪魔立てさせて貰いましょう」
 それに、小さく小夜が頷く。確かに、これは仕事ではあるが、私的にも思うことがあったようだ。
「ま、なんにしろ……仕事は仕事。恨みも何もないが、始末はつけるさ」
 ミーナは仕事として、後腐れのないよう遂行する構えだ。
「へっ、やっぱり素直には行かせてくれねぇか……」
 敵小隊の中で、金色の銃剣を携えた男……金銃剣のガレスがこちらへと呼び掛ける。
 露出高めの銀のチャクラムを操る銀飛輪のアナイスに、20名ほどの小隊員。そして……。
 ガルルルルルル……!!
 上半身がライオン、下半身がアリというキメラ、ミルメコレオ。
 遺跡の守護獣であったものを、ガレスが屈服させて従えたのだ。魔種へと堕ちたその力で。
「魔種混じりの盗賊団とは厄介な……」
 この状況にあっても、優しそうな笑みを浮かべたままの『ひねくれ神官』カイロ・コールド(p3p008306)は糸目から敵を見回し、黒の聖杖を握る。
「まあ良し。私は私の仕事をするだけです。後ろは任せました」
 また、魔種の姿を認めた別世界の勇者、『聖断刃』ハロルド(p3p004465)はガレスを睨みつけて。
「この世界の癌ども……魔種は皆殺しだ。魔種に与する奴らも纏めてこの世から消し去ってやる」
 僅かに地面から浮かび上がるハロルドは、自らのギフト「聖剣リーゼロット」によって自分の周囲に結界を展開していく。
 だが、ガレスはさほど気にすることもなく、部下達を一瞥して。
「目的は色宝だ。俺はこの場の突破を優先する。お前達はあいつらを足止めしろ」
「「了解っす!!」」
 展開した結界の外には音が聞こえなくなるハロルドのギフトだが、その範囲も手伝ってかガレスの声は小隊員に聞こえていたようだ。
「それじゃいくわよ、英雄さん達」
 指示に応じて声を揃えた小隊員達を、副小隊長であるアナイスが取り仕切る。
「随分、ラサの事を舐めてくれるじゃねえか」
 ラサ出身、とある傭兵団に所属する青年、『アートルムバリスタ』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)は鼻を鳴らし、この場を突破しようとするガレスを見据えて。
「テメェもなんとかっつーハゲも、身の程知らずだって事を思い知らせてやるよ!」
 両手で扱うような魔剣のレプリカを片手で扱うルカに続き、小隊員の引き付けをと緑がかった銀髪の鉄騎種『新たな景色』エミリア・カーライル(p3p008375)が飛び出す。
「財宝は虎口に飛び込まなければ手に入らないものだよ」
 さらに、ボーイッシュな肉食系悪魔、『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)が敵陣へと呼び掛けて。
「さあ、遠慮はいらない。存分に飛び込んでもらおうか!」
 両手にフォークとナイフを模した槍を手にし、マルベートも仲間に続き小隊員に向けて飛び出すのである。


「いくわ、散開してネフェルストを目指すのよ!」
「「おおおおおおおおおお!!」」
 大鴉盗賊団ガレス小隊は、副小隊長であるアナイスの指示で広域に展開して襲い来る。小隊長のガレスはイレギュラーズの出方を窺っており、こちらを注視していたようだ。
 そんな中、カイロはこの砂漠を照り付ける太陽の力を借り、自らの機動力を強化する。
 そうして、低空飛行したカイロは小隊員達を飛び越え、唸って誰を襲おうかと品定めしていたミルメコレオへと一直線に向かう。
「奴の特性は把握済み。どんな動きをするのかも知っています」
 カイロにとってはミルメコレオは一度、とある遺跡で交戦経験のある相手。
 1人で倒すには厳しい相手であることも重々承知しているが、敢えてカイロは抑え役を買って出る。それも、耐えて抑えるだけならば十分に可能だと判断したからだ。
「ガルルルル……!」
「前回の戦いよりも私の耐久性は遥かに向上しています。絶対に通しませんよ」
 相手の進行を防ぐカイロは、その場で身構えて獅子の剛腕に耐える構えだ。
 同じく、少し浮かぶ上がるミーナ。飛行を行うのは、戦場が砂地と言うこともあり、足場で移動などのデメリットを受けぬようにする為だ。
 そのミーナもまた敵の1人を探す。金色のガンブレードなど悪目立ちすることもあって見間違えようもなく、ミーナもまた一直線にガレスの元へと一気に距離を詰めて。
「よう、あんたが頭目のガレスだな。悪いがこの先は通行止めだ。料金は払ってから、行儀よく観光を頼むぜ?」
 青い刀身で切りかかりながら、彼女は自らの存在をアピールする。
「ふん、とんだご挨拶だな」
 ガレスも二つ名の金銃剣でそれを受け止める。
 この場を突破する気でいた魔種だが、多少なりともミーナに興味を抱いたようだった。
 強敵の猛攻にさらされる仲間を、ヘイゼルが支える。
(数の差もありますから、長期戦は必至ですね)
 ヘイゼルは敵味方の状況把握の為、待機をしてから自らの行動を決める。
 その間に、ハロルドが敵陣へと叫ぶ。
「まさかとは思うが、『泥棒が魔法のランプを手に入れて成り上がる』なんてお伽噺でも信じてやがるのか?」
「なんだと……?」
 ミーナを相手にするガレスがハロルドへと注意を向けるが、この場は周囲にいた小隊員がいきり立つ。
「だとしたら傑作だぜ。メルヘン小隊とでも名乗ればどうだ?」
「んだと、ゴルァ!?」
「俺達の力、思い知らせてやんぜぇ!」
 さらに煽るハロルドに怒り心頭の小隊員達は、一斉に刃を煌めかせて切りかかってくる。
 一撃一撃はさほど強くはないが、何せ数で攻めてくる相手。だが、予めハロルドは物理攻撃を遮断する魔力障壁……ルーンシールドを展開し、それらの攻撃を悠然と受け止める。
 ただ、障壁を壊される可能性も否めず、ハロルドはそうした攻撃にも注意を払い、壁役を続ける為に敢えて仲間へとそうした敵を任せる構えだ。
「さて、ここから先は通行止めですよ、と……聞いちゃいませんか」
 ベークもまたルーンシールドを張った上で、甘い香りを撒き散らしながら戦場を駆け回ることで、フリーとなった小隊員に引き付けに当たる。
「抑えが得意な方が多いようで頼もしいわね」
 弱視である小夜は、それを補うギフト「研ぎ澄まされた感覚」によって周囲の状況を把握する。
 仲間の立ち回りもあり、攻撃手として存分に刀を振るうことにした小夜だが、ガレスを斬りたくとも群がってサーベルやダガーの刃を振るってくる小隊員が邪魔だと感じて。
「敵の数を減らさないとね」
 仕込み刀に手をかけた小夜はハロルドの集めた小隊員に狙いを定める。
「俺ごと殺って構わん」
「ええ、いくわよ」
 そんなハロルドの主張もあり、小夜が放つ『落花狼藉』なる技は流麗風雅なる花の剣。
 それでいて、苛烈果断で乱暴さすら感じさせる連撃。
 小夜の刃は次々に自らの間合いに入った小隊員達へと斬りかかっていく。
 なお、巻き込まれる形のハロルドは前述のスキルの発動を再確認し、仲間からの攻撃を自らのスキルで無効化していた。
「まずはオードヴルだ」
 魔門開放によって迸る黒きマナを迸らせるマルベートは紫雷を纏い、小隊員達へと両手の魔槍を突き立てようとする。
 魔槍がディナーナイフとディナーフォークを思わせることもあり、その姿はまさに摘まみ食いだ。
 エミリアも小隊員の方へと駆け出し、巨大剣「フォートレスブレイカー」を力任せに叩きつけていく。
「さて、足止めしてもらってる隙に各個撃破させてもらうっすよ!」
 軽い口調のエミリアだが、その一撃は非常に重い。
 エミリアの繰り出す渾身の一撃は小隊員の身体をやすやすと切り裂き、瞬く前に個々の相手を追い詰めてしまう。
 続けざまにルカが魔剣による乱撃を浴びせかけていき、追い込んだ小隊員を倒し、さらに周囲の敵にも斬撃を刻み込む。
(敵の総数は20人以上……まずは、俺達と同じくらいまで減らさないとな)
 すぐには倒せそうにない小隊長に副小隊長、それにミルメコレオで3体。なお、視認できる小隊員の数は丁度20体だ。
 一方のイレギュラーズは10人。つまり、14人倒すことで数の優劣を覆すことができる。
 そう考え、ルカはさらに敵陣へと刃を振るうが、その最中で部下へと指示を飛ばす副小隊長のアナイスへと迫って。
「邪魔するぜ」
「怯まず、攻めるのよ」
 部下を支援し、自らもチャクラムを飛ばしてアナイスは攻撃を仕掛ける。
「「はい、姐さん!」」
 小隊員は男が多めとあって、セクシーなアナイスの指示に従順な印象である。ただ、女性小隊員も全く嫌な素振りを見せぬことから、カリスマ性も備えているのだろう。
 そのルカを含め、小夜やハロルドへと、マニエラが支援に当たる。
「さっさと終わらせるために、球の補給はこちらに任せてもらおうか」
 マニエラは自らへと強化を施してから、号令を発して仲間達の継戦能力を高めようとする。
 スキル、ソリッドシナジーを使う想定だったが、準備が万全でなかったのか、咄嗟の方針転換でこの場を乗り切ろうとするマニエラ。果たしてそれがどう影響するか……。
「まずはここを終わらせてから、だな」
 ともあれ、この場は1人も逃がすわけにもいかないと、マニエラは敵陣目がけてうねる雷撃を発し、撃ち貫いた小隊員を地面へと伏していくのである。

 力ずくでもこの場を突破しようとするガレス小隊を、イレギュラーズも全力で食い止める。
 魔種となった小隊長ガレスをミーナが、キメラを思わせるミルメコレオはカイロがしばし抑え続けている。
 そのバックアップに、時折回復へとヘイゼルがつく。
 可能な限り、仲間をケアできるようにと位置取りながら、ヘイゼルはガレスやミルメコレオとの接敵を避け、小隊員の抑えも当たるなど、臨機応変な立ち回りを見せているのも印象的だ。
 ヘイゼルのサポートを受け、他メンバー達は一気に小隊員を蹴散らしていく。
 多くはハロルドやエミリアが主として敵を引き付け、小隊員を1人たりともこの場を抜かせない。
「やっぱり、整然とした戦場にはならないですね……」
 乱戦状態となっていたこの場を見回すベークは、引き付けていた小隊員達が涎を垂らしていることに気づいて。
 ベーク自身は人の姿をとっているものの、ギフトによって多くの者にはたい焼きの姿に見えてしまう。
 だからこそ、小隊員達もベークを食べたいと感じてしまうのだろう。
「盗賊って、食糧事情悪いんですかね……?」
 実際はどうあれ、ベークから漂う香ばしい匂いに、小隊員が食欲を刺激されているのは間違いなさそうだ。
 熱い砂の上を駆け回るベークは、同じ砂を踏みしめる盗賊達が首都の地を踏み荒らさないようにと気を引き続ける。
「冷静に、相手の隙を見るのよ!」
 副小隊長アナイスがチャクラムを飛ばしながら指示を飛ばすが、小隊員達はイレギュラーズ達へと向こう見ずに斬りかかるばかり。
「なめるなよ、三下共ォ!」
 ルカは敵全体を見回し、冷静さを取り戻して突破しようとする者を優先してアナイスを含めた空間ごと殴り飛ばす。
「な、なんだ、今のは……!?」
 少なからずルカにも反動は来るが、一方の殴られた小隊員は自分がどんな攻撃を受けているのかも把握できていない様子だ。
 ただ、戦場で隙を見せれば、それだけで命取りとなる。
「そろそろいいかな。宴は賑やかな方がいいからね」
 ある程度足止めできる状況となったと判断し、マルベートは両手の槍から黒い魔力を放つ。
 その魔力は確実に棒立ちとなる小隊員を捉えて切り裂き、魂を……命の灯を喰らう。
 舌なめずりしたマルベートは次なる餌を見定め、魔槍を振りかざしていた。
 また、戦いの最中で、小夜がこんな策を巡らす。
「頭目の方に向かうわ、後は任せるわね」
 徐々に数を減らしてきていた小隊員だが、小隊長であるガレスの突破が最優先事項という指示を遵守し、小夜の行く手を遮ろうと回り込む。
 だが、それは小夜の思惑通り。
 眼前に集まる敵にほくそ笑む彼女は円を描いて敵に斬りかかる。その姿はまるで、風に吹かれて舞う菊の花のよう。
 ある程度小隊員を仕留めたところで、小夜は周囲の戦況を見回し、仲間のサポートをすべく駆け出すのだった。


 敵の数が多いこともあり、ガレス小隊との戦いは長期化してしまう。ほぼ全ての敵に魔種となったガレスの影響が及んでいたことも要因として大きい。
 互いに疲れが見え始めるが、イレギュラーズは気力を振り絞ってなおも交戦を続ける。
「ルージュ・エ・ノワール……」
 息を整えつつ、ミーナは引き付けるガレス目がけて赤と黒の連撃を叩き込む。
「ふん、こんなもの……」
 毒と炎に苛まれるガレスは、ガンブレードでミーナを傷つけてくる。
 金の刃は彼女の血を散らし、さらに銃弾がその身体へと埋め込まれる。
 だが、すぐにミーナの身体を光が包み、傷を防いでいく。ヘイゼルがすぐさまカバーに入り、回復へと転化した自らの力を与えていたのだ。
「容易く崩せる等とは思わない事なのです」
「面倒な奴らだ……!」
 なかなか倒れず、行く手を阻むミーナと、すかさず体力を回復に動くヘイゼルに苛立ちながらもガレスは金のガンブレードを強く握り、また刃を一閃させていた。

 ライオンとアリの合成獣ミルメコレオとカイロの戦いは膠着状態となっていて。
 アオオオオォォォン!!
 敵の太い腕は何もかもをやすやすと引き裂き、破壊する威力がある。
 それをカイロは手や杖で弾くと、さらに大きく口を開いたミルメコレオが食らいついてくる。今度はカイロも直接受け馳せず、大きく身を仰け反らせて回避する。
 だが、全ての攻撃を避けるとはいかず、時には纏った金色の光の一部を反撃として浴びせながらも、カイロは敵の攻撃を耐え続けていた。
「絶対に通しませんよ」
 ここまで、カイロは防御態勢を続け、纏う金の光でミルメコレオに反撃を与え続ける。
 グルルルル……!
 力任せではダメだとモンスターも気づいたらしく、腹から酸を飛ばしてカイロへと浴びせかけようとする。
 カイロはこれもダメージこそしっかりと耐えるが、高い抵抗力で毒やショックといった異常を防ぐ。
 防御特化な戦法に加え、再生、充填の力も兼ね備えるカイロはミルメコレオに特化した対策を行っていたことで、間違いなく善戦していたと言える。
 ただ、反撃だけでは敵の体力は多すぎた。多少は削っていたが、やはり火力が足りないのだ。
 それでも、カイロは表情一つ変えず、この場を持たせようとしていたようである。

 小隊員も手数で攻め来る厄介な相手ではあったが、イレギュラーズ達はそれぞれの戦法でその数を減らしていく。
「攻撃、いくよ」
 マニエラが仲間達へのサポートの合間に再度雷撃を発すると、ハロルドはスキルを駆使して神秘攻撃もシャットアウトし、彼ごと小隊員を撃ち抜く。
 仲間と声を掛け合い、被害を軽減する中で、小隊員は半数以上が倒れ、砂の上で伸びている。
 その状況もあり、抑えに当たっていたベークはこれ以上体を引っ張られたり、食らいつかれたりせずホッとしていたようである。
 ただ、倒れていた小隊員はまだいい方だっただろう。
 マルベートなどはまだ腹が満たされていないらしく、またも黒い魔力で1体の小隊員を食らいつくす。
 また、この場を突破しようとするガレスの元へと小隊員を向かわせても、小夜が見とれるほどに美しく、それでいて荒々しい太刀筋で敵を次々に切り捨てる。
「これでは……」
 魔種であるガレスの影響を色濃く受けていたアナイスではあるが、苦戦を強いられて眉を顰めてしまう。
 少し距離を取っていたはずのアナイス自身の方にも、イレギュラーズ達は攻撃を差し向けてくる余裕が出ていたからだ。
 しかしながら、小隊長ガレスが意地を見せる。
「俺達を……舐めるなよ!」
 銃弾を発射したガレスはその速さと同じくして、ミーナへと斬り込む。人を越えた行いはまさに魔種ならでは。
 二方向からの同時攻撃を避けることは難しく、ミーナは避けること叶わずガンブレードによる2種の傷は防御してもなおその身に深く刻まれる。
 ヘイゼルが治癒に当たろうとするが間に合わず、恐ろしいまでのガレスの力がミーナの意識をも吹き飛ばそうとする。
「まだだ……」
 しかし、パンドラを少しだけ砕いたミーナは強く意識を保ち、その場に留まる。
「私は仲間がアンタの部下を倒すまで、アンタを抑えられればそれでいいんだよ」
 そこへ、唐突に飛び込んでくるエミリア。
「助太刀するっすよ!」
 小隊員がいなくなったこともあり、エミリアは目下の敵としてガレスを見定め、巨大な剣を旋回させる。
 さらにハロルドもこちらへと回って来ると、激しい暴風を浴びていたガレスの表情が歪む。
 ギリ……。
 手応えを十分に感じていただけに、そいつは口から血が出るほどに強く歯を食いしばっていた。
 同じく、副小隊長のアナイスも、援護すべき小隊員が悉く倒れていた状況に厳しい表情をしていて。
「ガレス、援護を……!」
 チャクラムで周囲のイレギュラーズを切り裂くアナイスだったが、厄介だと認識されていたメンバー達から続けざまに攻撃を受け、苦しい状態となっていたのだ。
 ミルメコレオを抑え続けるカイロが安定していたこともあり、残るメンバーはガレスとアナイスの2人に分かれて攻撃を仕掛けている。
 ただでさえ、メンバーの範囲攻撃に煽られて傷付いていたアナイスだ。
「一気にぶっ潰してやる」
 小隊員全滅直後にすぐアナイスへと仕掛けていたルカが現した膨張した黒の大顎にかぶりつかせて。
 露出度の高いアナイスの肌へと食い込む黒い牙。
 なんとか堪えていたアナイスへと、マルベートが槍を突き刺して。
「とてもそそる見た目だ。とても楽しみだね」
 そんなアナイスはマルベートを睨みつけ、チャクラムを飛ばすが腕を多少切り裂いた程度。
 早速味見をと、頃合いに仕上がった副小隊長をマルベートは大きく切り裂く。
「あああああっ!!」
 血を撒き散らして崩れ落ちるアナイスの命の灯を、マルベートは部下達と同様に美味しくいただいたのだった。


 残る敵はガレスとミルメコレオのみ。
「さぁ、詰めに取り掛かろう」
 自身の気力も苦しくなってきていたマニエラだったが、残る気力を皆に振りまいて。
「終盤だからって、手が止まるとは思わないでほしいね。その為の私なんだから」
 ここまでは上手く仲間の気力を維持できていたが、さすがにマニエラの気力も尽きてくる。ここから先は残る力を振り絞っての戦いとなるのは間違いない。

 全身を使ってカイロに攻撃を叩きつけていたミルメコレオ。
 小夜は敵の攻撃直後に態勢が崩れかけた隙をつき、敵の頭、喉、そして鳩尾を一気に貫いていく。
 さらに、小隊員を倒したメンバー達の攻撃も手伝い、ミルメコレオが大きく仰け反る。
 ガオオオォォォォ……ッ!
 苦しむ声を上げる敵はなおもカイロへと鋭い牙を突き立てようとしてきた。
 防御態勢のままのカイロはその牙を聖杖で受け止める。
 直後、彼の身体を包む光がミルメコレオの身体を灼く。
 アオオオオォォォォ…………ン。
 ついに、ミルメコレオの目から光が消え、重い音を立てて巨体を砂の上に横たえていった。
「さて、後は貴方だけですね?」
 ミルメコレオが倒れたところで、カイロはすぐ残るガレスを標的にしてブロックしようと回り込む。
「まだだ。俺1人残っていれば、全ては事を成せる……!」
 ミーナやカイロへと猛攻撃を続けるガレス。なおも止まることは無い彼に、攻勢へと転じたミーナが聖剣を振るって赤と黒の連撃を叩き込んでいた。
「確かにお前さんは強ぇ。実際大したもんだと思うぜ」
 また、ルカも前のめりに攻撃へと出て、黒き魔性の顎を現しながら叫ぶ。
「だけどなぁ! ラサの強さを見誤ったな!」
 黒い牙がガレスの身体へと食い込む。
 その時だ。後方から数人の小隊員が援軍として駆けつけてきたのは。
「遅くなりやした!」
「……来たな、遅ぇぞ!」
 数の優劣を覆すには至らぬ数だが、この場で7人が追加されるのはイレギュラーズ達にとっても厳しい。
「やっぱりいたっすね、伏兵」
 ただ、エミリアはこの援軍もまた想定していて。
「モード解禁! モードSADっす!」
 ここぞとエミリアはギフトを使うことで腕、足、首、左眼の機械部分が身体を覆っていく。
「さて、ここから先は通さないっす。……なんて、一度言ってみたかった台詞っす」
 不敵に笑うエミリアは新手の小隊員達の動きを止め、我が身に賭けてもとネフェルストへと道を塞いでみせる。
 小夜もまたそれらの敵へと先んじて仕込み刀で切りかかっていき、自らの傷を修復するベークももうひと踏ん張りと砂の上を駆け回り出す。
「テメェら魔種はここで死ぬんだよ!」
 ハロルドも気力が尽きかけ、持ち前の充填力で気力を回復しながらもこの場は小隊員の殲滅を進めることに。
「何も成せないまま! 誰にも顧みられることなく! 駆除される害虫のように無価値になぁ!」
 雄叫びを上げてまたも敵の気を引くハロルド。
 とはいえ、先程までのように物理障壁を維持出来なくなっていたこともあり、長くはもたないことも彼は自覚していた。
 そんな中で、マルベートは余裕を見せながらも、ガレスを抑えていたミーナに紫雷を纏わせる。
 さらに、彼女は自らへとガレスの矛先が向くよう、獣の眼光を差し向けて。
「中座は無粋というものだよ」
「ここまでやられたんだ。是が非でも持ち帰るぜ。色宝ってやつをよ」
 多数の部下を倒され、手懐けたモンスターが崩れ落ち、片腕であるアナイスを失ったガレス。
 だが、その闘志はまだ衰えてはいない。

 魔種となったガレスの影響は少なからず部下達へと及んでいたが、伏兵として駆けつけた部下もまた視力を尽くして刃を煌めかす。
 それらの敵の注意を強く引いていたベークの身体深くまでサーベルの刃が食い込み、運命の力を砕くこととなる。
 たかが雑兵とは侮れぬ底力がこのガレス小隊にはある。
 ただ、仲間が駆けつけたことで攻勢に出たミーナは、頭さえ潰せば終わると疑わない。
 跳び上がったミーナは空中を飛び回って刃を突き出し、ガレスを追い詰めようとして。
「悪いが、あんた達の盗賊団は今日で解散だ。続きがやりたいなら、あの世でやってくれや!」
 その心臓を狙って飛び込んだミーナだったが、金の銃剣の引き金を引いたガレスが僅かに速く。
「負けられねぇ……俺は何度も這い上がる」
「ううっ……」
 直後、ミーナの身体を貫く弾丸。彼女は2度も起き上がることはかなわず、砂地へとうつ伏せに落ちていく。
「まだだ!」
 さらに銃砲を放つガレスは、マニエラの腹部も撃ち抜く。
 虚をつかれた形のマニエラは運命の力に縋ってなおも仲間達を支援する。
「相当追い詰めているはず。もうひと踏ん張りだ」
 身を起こしながらも、マニエラは更なる号令を発して仲間を鼓舞していた。
「流石に、強い……ですが、此処を通す訳には参りません」
 さすがは魔種と言ったところ。己の願望を叶えるべくして力を得た男を食い止めようと、ヘイゼルも仲間と共に抑えようとする。
 それでもなかなか止まらぬガレスだが、深手を負っており、荒い息を繰り返している。
 そいつへ、ルカは思いの丈をぶちまけて。
「俺は小器用な真似が出来る男じゃねえ! だから、こうやって仲間がいなきゃ十分の働きも出来ねえ!」
 頭領を出し抜き、部下に任せて自ら宝をつかみ取ろうとしていたガレス。
 そいつへとルカは魔剣を鈍く煌めかして。
「だけどなぁ! 仲間がいて、連携がある! だからこそ俺らは強ぇ!」
 すでに、大多数の部下を失ったガレスだ。伏兵としてやってきた者達も徐々にイレギュラーズ達に押されてきており、倒されるのは時間の問題となってきていた。
「コイツで……終わりだぁ!!」
 砂漠に幾度も姿を現していた黒い顎で、ルカはガレスを野望ごと完全に噛み砕いてしまう。
「こんな、ところで……」
 抱いた小さな野望すらも掴むことができず、魔種と成り果てた男は砂漠の上で果てていったのだった。
 
 残る伏兵の小隊員達を掃討するイレギュラーズ達。
 それが終わっても、まだ大鴉盗賊団を完全に討伐したわけではない。
 ある者は別の戦場に、ある者は状況の確認に。皆散開するようにこの場から離れていったのだった。

成否

成功

MVP

カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇

状態異常

マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)[重傷]
記憶に刻め
天之空・ミーナ(p3p005003)[重傷]
貴女達の為に
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)[重傷]
運命砕き

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPはミルメコレオをほぼ1人で抑えた貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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