PandoraPartyProject

シナリオ詳細

コスモスが揺れる

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ひらひらり。
 ふわふわり。

 秋の空に揺れるコスモスの花。
 涼しい風が花を撫でていく。一面に広がる花畑は美しい調和を保っていた。
 一輪の花を摘み取って、栞にしてみようかと考えを巡らせる。
 鮮明な秋晴れの空と、対比するコスモスの花はとても綺麗だった。

 花畑の中にはドーム型のトラットリアが浮かんでいる。
 魔法の力で浮かんでいる移動食堂らしい。
 そこでは、ジュースやワイン、本格的な料理も楽しめるのだ。
「景色の良い花畑で美味しいご飯が食べられるなんて、ここは天国かのう!?」
 アカツキ・アマギ (p3p008034)がスキップをしながら花畑の道を歩いて行く。
 嬉しそうにテンポ良く飛び跳ねるアカツキにしにゃこ (p3p008456)も一緒になって飛び回った。

 アカツキとしにゃこの目の前をひらひらりと蝶々が飛んでいく。
「蝶々なのじゃ!」
「あれ? でも普通の蝶々じゃないですね?」
 しにゃこが掌を広げるとふわふわりと蝶々が降りてきた。
「ごきげんよう。ようこそコスモスの花園へ」
 掌の蝶々がゆっくりと立ち上がり白いドレスを摘まんでみせる。
「わぁ!? 蝶々じゃない。妖精です!」
「可愛いのう!」
 小さな妖精の歓迎にアカツキとしにゃこは顔をほころばせた。

「ほら、皆も早くー!」
 アカツキが少し遠くから手を振っている。
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)は「分かった」と手を振り替えした。
「それにしても、良い天気ですね。澄んだ秋晴れ……」
 ひらひらりと舞っている花弁にリュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)が手を伸ばす。
 掌に落ちてきたピンク色の花弁は、風に吹かれてまた飛んで行った。


「コスモスの花園に行きたいな」
 ローレットのカウンターにぴょこと顔を出した『真心の花』ハルジオン(p3n000173)が唐突に言い放つ。
 背の低いハルジオンは背伸びをしていた。つま先がぷるぷるしている。
「草原いっぱいにひろがる、コスモス。そんな所を、私は見たい」
 見たい。とても見たいのだと訴えかけるハルジオン。
 一枚のチラシを取り出したハルジオンはカウンターの中の『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)に見えるように、ぴょんぴょん飛んだ。それに会わせてユリーカも首を上下に振る。
「なるほど! よく見えないですが、花畑なのです!」
 チラシのイラストには青空の中の花畑が描かれていた。

「そこには、なんと。トラットリアがある」
 トラットリアとは所謂、大衆食堂やレストランといわれるもの。
「綺麗なコスモスを見ながら、美味しい料理が食べられる。最高だと思う」
「たしかに、それは最高なのです!」
 ぴょんぴょんと跳び回るのを止めたハルジオンからユリーカはチラシを受け取った。
「ふむふむ。トラットリアの他にも、妖精と一緒に遊んだり、風の精霊と空を飛んだり。
 魔法の飴で小さくなって花畑を冒険……! これは、すごいのです!」
 ユリーカの声に目を輝かせるハルジオン。
「行きたい!」
「そうですねぇ、ボクは忙しいので誰かを誘ってみるといいと思うのです」
 チラシを返却したユリーカはハルジオンの頭をぐりぐりと撫でて、背中を押した。

 振り向いたハルジオンはこちらに向かってくる。
「ねね、コスモスの花園に、一緒に行こう?」

GMコメント

 桜田ポーチュラカです。コスモスの花園でお散歩です。
 よろしくお願いします。

■依頼達成条件
 コスモスの花園で遊ぶ

■フィールド
 秋晴れのコスモス畑です。一面にコスモスが咲き乱れています。
 散歩道が引かれ、ゆったりと歩く事ができます。
 妖精と戯れたり、風の精霊と空を飛んだり、魔法の飴を食べて小さくなりコスモスの花畑を冒険することが出来ます。
 また、ドーム型のトラットリアがあり、ジュースやお酒、食事が楽しめます。

■できること(一つでも複数でも可)
 どの場面も「こんなのがあれば良いな」など現実的な範囲で可能です。
 食事など持ち込みも可能です。

(1)花畑で遊ぶ
 コスモスが咲き乱れる花畑です。
・妖精と戯れる
・風の精霊と空を飛ぶ
・魔法の飴を食べて小さくなり、花畑を冒険する

(2)コスモスを見ながらお食事
 ドーム型のトラットリアです。木の匂いが心地よいです。
・アフタヌーンティーや花を浸けたお酒、紅茶やハーブティーなど
・マドレーヌやマカロン、ケーキにタルトなど
・お肉料理、パスタ、サンドイッチも充実!

(3)栞を作る、手紙を書く、本を読む
 コスモスの花園で摘んだ花を栞にできます。
・花の栞を作る
・手紙を書いてみる
・ゆったり本を読む

■NPC『真心の花』ハルジオン(p3n000173)
 チラシを握りしめています。
 コスモスの花園に来るのが楽しみだったようです。
 はしゃいでいます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • コスモスが揺れる完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月14日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
※参加確定済み※
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
※参加確定済み※
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
※参加確定済み※
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
※参加確定済み※

リプレイ


 鮮やかなコスモスの花と青空のコントラストが綺麗な草原に風が吹いている。
 ゆらゆらと花が揺れて、舞い上がった花弁がまるで雪のよう。

「いやー、一面のコスモス! いいですね!
 こんな素敵な所を知っているだなんて、ベネディクトさんも意外と可愛らしい所があるのですね?」
 にこにこと『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)に笑顔を送るのは『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)だ。
「可愛いかどうかは分からないが。一度、綺麗なコスモスの花畑を見に行きたいと思っていた。こうして機会に恵まれるとは俺も運が良い」
 リアの笑顔に薄く微笑むベネディクト。
「ま、折角誘って頂いたんですもの。最近ずっと忙しかったし、お陰で頭痛も酷かったしで大変だったから、全力でリフレッシュさせてもらうわ!」
 リアは背の低い子供達に向き直る。
「アカツキ、しにゃこ、それにハルジオン、あまりはしゃぎ過ぎたら駄目ですよ?」
 今にも走り出さんばかりの『焔雀護』アカツキ・アマギ(p3p008034)と『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)が振り向いた。
「分かっておるぞ!」
「いっぱい遊ぶのです!」
「うんうん」
 二人の返答に頷くのは『真心の花』ハルジオン(p3n000173)だ。
「転んで怪我しても知らないからね……ってハルジオンは早速転んでるし。全く……ウチの院のガキ共と一緒に来てるみたい」
 リアの耳には三人の他にもベネディクトの嬉しそうな旋律が聞こえてくる。
「ベネディクトさんまで子供みたいにはしゃいじゃって」
 でも、彼のこんな穏やかな旋律を聞くのは珍しい。
「あたしはここで待っていますので、どうぞ存分に堪能して来てください」
 精霊に頼んで皆を見守りながらリアは栞を作る。
「院の子供達へのお土産にもなるしね」
 精霊が運んできてくれたコスモスの花を台紙に押しつける。
 黙々と作り上げる傍ら、聞こえてくる花々の旋律が心地よいとリアは思った。
「折角、精霊達の花畑にお邪魔させてもらってるわけだし、ちょっとはお返ししないとね」
 この花園に溢れる花々や精霊、皆の楽しそうな旋律がクオリアに響く。
 リアの演奏は風に乗ってコスモスの花園に降り注いだ。

「最近まで半袖でも良かった位の熱気だった筈だがなぁ……」
 涼しい風を受けて『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が目を細めた。
「まぁ、秋の空は一番好きな日だ。悪いことじゃない。息抜きには丁度いいし、ゆっくり身を休ませてもらうか……それにしてもいい天気だ」
 太陽の温かさと雲一つ無い快晴の空。マカライトは散歩道をトラットリアに向けて歩く。
 かたわらには狼のような相棒のティンダロスが付き従っていた。
「ほら、はぐれないように遊んでおいで。皆に迷惑かけないようにな」
 マカライトの命令に嬉しそうに「クルル」と鳴いたティンダロスはコスモスの花園に駆け出す。

「そうか、すっかり秋なんだな……。この所騒がしくて、季節が過ぎるのを見逃してしまう所だった」
 吹いて来た風に『遺言代行』赤羽・大地(p3p004151)が顔を上げた。
「図書館に籠もりっきりの本の虫ニ、季節とか関係あるのかヨ」
 同じ口からくぐもった赤羽の声が聞こえる。
「失敬な」
 大地はコスモスの花園の散策をしようとやってきた。
「特に、小さくなってコスモス畑を歩く……というのが気になるな。魔法の飴とやら、おひとつ俺も良いだろうか? 折角の機会だ、得難い体験をしたい」
「一緒に飴たべよう」
 小さくなる魔法の飴を大地に渡すハルジオン。
「俺達も迷子にならないよう気をつけないとな……」
 ぱくりと口の中に入れれば、みるみるうちに周りの景色が大きくなっていく。
「しかし、この身体になってみると、尚更ここが広く思えるな……。真心……じゃなかった、ハルジオンは、どっちに行きたい?」
「ハルジオンって呼びにくかったらハルでいいよ。私はあっち行ってみたい」
 右手の方を指さしてこくこく頷くハルジオン。
「どっちだっていいガ、はぐれるんじゃねぇゾ。普通に立って歩いてる時ト、全然距離感も違ぇからナ」
 身体が小さいということは歩幅も小さいということだ。休憩しながら大地とハルジオンは進んでいく。
「子供は風の子元気な子とか言うガ……ハルジオンの場合はどうなんだろうナ?」
「遊ぶの好き。本も好き。いっぱい好き!」
 今まで出来なかった事を吸収するようにはしゃぎ回るハルジオン。
「無理はするんじゃねぇゾ」
 はぐれたら見つけて貰うまでに大変だからと赤羽は言った。
 休憩がてら本を取り出した大地に赤羽は呆れたように「ここでも読むのかヨ」と呆れる。
「いつもの場所も良いけれど、やはり風情のある場所で俺の好きな事ができるのも、心が安らぐな」
 本が読み終わる前に夕暮れになるだろうから。その時はこの風景を思い出しながら続きを読むのだ。

「わ、わ、ここがそうなのです、ね。とても、とても……鮮やかで、綺麗です」
 ハルジオンの隣には『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)がうきうきしながら花畑を見渡していた。小さくなった二人はどんどん周りが大きくなっていくのにびっくりして笑い合う。
「すごい……コスモス畑が、あっという間にコスモスの森です、ね」
 カピブタのピピさんの背に乗って、冒険の旅に出発だ。
 のんびり、ゆらゆらと揺られて二人はコスモスの森を散歩する。
「下から見上げるコスモスも、良いものです、ね。妖精さまも、乗ってみます、か?」
「ふふ、良いわね。どうせなら空の旅も一緒にしてみましょうか!」
 風の精霊の力でピピさんが浮き上がる。虹色の軌跡を残して空を飛んでいくメイメイたち。
「わあ……本当に、飛んでます……!」
 宙に浮く感覚にドキドキしながら、コスモスの花園を上空から見つめる。
「ピンクと白のコスモスを摘んで、栞にするといいかもしれません、ね」
「そうだね」
「妖精の絵も描き加えて。今日の日の、思い出に」
 楽しげにメイメイが微笑んでハルジオンが頷いた。


「コスモス! 綺麗で可愛いですね! まぁしにゃの方が可愛いですけどね!」
「そうじゃな。コスモス畑、素晴らしい景色じゃのう。さて、何をしようかのう……お、風の精霊と空を飛ぶ?」
 アカツキとしにゃこの声がコスモスの花園に響き渡る。
 楽しげで見て居るだけでも心が弾むと精霊達も寄ってきた。
「しにゃこーーーしにゃこやーーーこれどうじゃ? 妾と一緒に大空へ飛び立つのじゃ!!」
「いいですね! しにゃ自身なんで飛べるかよくわかってないんですけどね!」
 しにゃこはアカツキと自分をじっと見つめるハルジオンに気付く。
「ハルジオンさん……えーと、しにゃより年下ですか! ではハルちゃんで!
 ハルちゃんも一緒に飛んでみますか!? 我々二人なら一人引っ張り上げるくらい楽勝ですよ!」
「行く!」
 風の精霊の力とアカツキとしにゃこに連れられてハルジオンは空へと舞い上がる。
「景色も風も最高じゃのう!わはは、大空で一回転じゃぞー!! ほれほれしにゃこ、風の精霊達と編隊を組んで遊泳じゃ!」
 ぐるぐると回転するアカツキ。しにゃことハルジオンも合わせてぐるりと回った。
「はー、上空から見るとこれはまた……綺麗ですね。
 どーです、ハルちゃん! ちゃんと見れてますかー!? しっかり掴んでるので安心してくださいね!」
「うん!」
 空の旅を堪能したあとは。
「さて、次はどうしようかのう……ほほう、魔法の飴で小さくなって花畑を冒険とな?
 ゆくぞしにゃこ! 未知なるお宝が妾達を待っておるのじゃ!!」
 しにゃこは花畑の冒険は疲れるから遠慮したいと思った。しかし、アカツキのキラキラした表情に溜息をひとつついて。
「仕方ないな~」
 笑いながら駆けて行く。

「こうして見上げると中々迫力ありますねコスモス!」
「おおー、普段見慣れたコスモスでもこうなると本当に別世界のようじゃ」
 花畑がダンジョンのようで。コスモスの茎から現れたアリに足を止める。
「そっかー、妾達小さいんじゃったな、普通のアリとか……そうなるのう。
 よし、しにゃこここは任せた! お主の命は無駄にはせぬぞ……!!」
 一目散に走り出すアカツキ。
「あ、アカツキさん! 置いていかないでくださいよ!? しにゃを生贄に捧げるなー!!」
「ふう、尊い犠牲じゃった。安らかに眠るのじゃぞしにゃこ」
 やいやいと小さくて大きな声がコスモスの森に響いていた。

 ――――
 ――

「コスモス畑ですか……たまにはこのような場所でゆっくりとするのもいいですね」
『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)はベネディクトの傍に付き従いながらコスモスの散歩道を歩いて行く。
「美しい風景だ、俺の生まれ故郷の外れにも規模は小さくはあったが花畑があってな。俺の母の好きな場所だった」
 懐かしい景色とコスモス畑を重ねて郷愁を感じるベネディクト。
「そうですね。とても美しい風景だと思います。ご主人様もお母様と同じく花畑が好きだったりするのでしょうか?」
「美しいものは見ていて心が落ち着くな」
 ベネディクトの眼が鮮やかなコスモスの花園を流れていく。
「そういえば、リュティスの家族はどうしているんだ? 偶には帰郷して元気な姿を見せに戻っても構わないが」
 雇い主としてリュティスの家族に挨拶はするべきかとベネディクトは考え込んだ。
 家族の話はベネディクトから以前聞いた事がある。ならば自分も話しておくべきなのだろうとリュティスはベネディクトに振り返った。
「肉親はおりませんね。育ての親ならいるのですが……。
 幼い頃はスラムで過ごして、そこで前のご主人様に拾われました。
 本当にたまたまだったので私は運が良かったのだと思います」
 どこか遠くを見ながらリュティスは自分の過去を話す。
「……そうか、話してくれてありがとう。俺も君の事を知りたいと思って居たからね」
 リュティスが紡いだ遍歴は、ベネディクトが想像する以上に過酷なものなのだろう。
 スラムの生まれだというのなら、自分が知らぬ苦労もしてきたに違いない。
「いつか、その方には礼を言わねばな。あなたが居てくれたから、リュティスと出会う事が出来たと」
「もちろん親切にして頂きましたし、会いたい気持ちもなくはないです。
 しかし顔を見せるよりは主人の元で頑張りなさいと怒られそうです」
 リュティスは普段見せない照れくさそうな優しい表情で微笑んだ。
 彼女の育ての親は従者の師でもある。だからあまり気を使って貰わなくても大丈夫なのだ。
 従者である自分に誇りを持ち、役目を遂行することこそ。誰よりも従者であった恩人への親孝行なのだ。

 コスモスの花園を一周して。リュティスはベネディクトをお茶に誘う。
「綺麗な景色を眺めながらお茶を頂くというのも良いかなと思いますので」
「喜んで、ご相伴に預かろう」
 今回は誘えなかった皆にも幾つかお土産を用意して帰りたいと思うベネディクトは、茶葉の前でどれがいいか首を傾げた。
「ここでは茶葉の購入もできるのでしょうか?」
「さて、どのお茶が美味しいだろうか?」
「そうですね。オススメの紅茶があればそれを頼みましょう。ご主人様も同じ物をいかがでしょうか?」
「ああ、そうだな。こういうのは疎くて。お勧めがあればそれにしよう」



 ハーブティーとアップルパイのの良い香りが漂う。マカライトはサンドイッチを食みながら静かに軽食を楽しんでいた。
こういう場所ではガツガツと頂くよりも、木々と花が風で靡く音を聞きながら食べる方がいいのだとマカライトはハーブティーを一口飲む。
「食にはそれぞれ楽しむ為の風景がある、例外はあるけど逆らったら美味しさに奥行きがなくなってしまうとは師匠であるリーダーの一家言だしな」
 食べ終われば花を見ながら本を読もう。本はファンタジー物がいいだろうか。
「練達辺りから来た本があれば良いが……どうせ途中で寝る事も考慮して一巻完結のハッピーエンド物をチョイスしよう」
 流れる時間に身を任せ、故郷の夢に思いを馳せる。
「ここの生活は楽しいが…育ての親の墓を磨いてやれないし、古い友人達が居ないのはやっぱり寂しい」
 マカライトは微睡む目で久しく会っていない仲間の夢を見たのだ。

「さて、目一杯楽しんだことじゃし、後は静かに読書でもするかのう。あ、ハーブティーとクッキー下さいなのじゃー」
 アカツキはしにゃこと一緒におやつを食べながら読書をしていた。
 本から顔を上げれば何やらベネディクトが一生懸命何かを作っているのが見える。
「おや、ベー君それは……栞かのう? 良さそうな奴が作れたんじゃな!」
「アカツキか。ちょうどよかった。この栞は君に」
 ベネディクトはアカツキに赤いコスモスの栞を渡した。
「え、妾に? ふふふ、とっても嬉しいぞ! ありがとなのじゃ!!」
「お、なんですか、ベネディクトさん! プレゼントですか!? あ、しにゃこにも!?
 ほー、ピンクのコスモスの栞……可愛いですね! 本とか読まないですけど、大事にします!!」
 アカツキとしにゃこはベネディクトから貰った栞を掲げ満面の笑みを見せる。
「俺のわがままに付き合って貰った様な物だからな、良かったら受け取ってくれ」
「今日は素敵な場所に連れてきて下さり、ありがとうございます。そして素敵プレゼントまで……。大切に使わせて頂きますね」
 黒いコスモスの栞を大事そうに胸に抱くリュティス。
「そこまで綺麗な代物ではないのが申し訳ないが…少しでも気に入ってくれたのなら、この武骨な手で作った甲斐があったという物だ」
 リュティスは家事や料理の本を読む。この栞を挟めばコスモスの花園の思い出が蘇るだろう。
 コスモスの花園からの帰り道。ベネディクトから貰った白いコスモスの栞を空に翳すハルジオン。
 自分を救ってくれた夜妖(あの子)と同じ色でハルジオンは嬉しくなったのだ。

成否

成功

MVP

しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き

状態異常

なし

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 楽しんで頂けたら幸いです。
 MVPはとても楽しんでいた方にお送りします。
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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