PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<FarbeReise>Geh nach rechts.

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 砂漠地帯のラサには様々な遺跡が眠っているが、遺跡群の一つに「FarbeReise」(ファルベライズ)と呼ばれる区域がある。
 そこに眠るのは『願いをかなえる宝』とされており、多数の盗賊らが遺跡の攻略へと当たっているらしい。

 その「FarbeReise」にこんな遺跡が存在する。
 石造りの内部は整然としており、外の砂漠の熱気が届かぬほどにひんやりとした空気が支配していた。
 そして、道中にはいくつかの分岐点が存在し、その全てが左右へと伸びている。
 分岐点には悉く看板が掲げられ、こう書かれている。
『右へ進め』
 何度も何度もそれが続くことで、侵入者の判断能力を鈍らせ、罠にかけるのがこの遺跡を造った者の狙いなのだろう。
 右、また右、さらに右……。
 実はこの分岐は左ではないか。そう何度も思わせたところで、思考能力の鈍った侵入者はトラップが回避できず、落盤に埋まったり、落とし穴にはまったりして命を落としてしまうのだ。
 十数か所もの分岐を乗り越えたとしても、最奥の部屋、淡いピンクの長円形をした秘宝の守護者として、2体のモンスターが待ち構える。
「ウウゥゥ……」
「ガルルル……」
 上半身はライオン、下半身はアリという奇妙なその生物はミルメコレオと呼ばれる、とある世界のヨーロッパにおける伝説上の生物だ。
 アリの酸を振りまき、敵が弱ったところを食らうこのキメラ達は、散々2択を迫られて苦しんだ侵入者達を翻弄しながらその肉を食らおうと大きく口を開いてくるのである……。


 幻想ローレットにもたらされた依頼。
 その中に、パサジール・ルメスの民であるレーヴェン・ルメスがもたらした遺跡攻略の願いがあった。
 なんでも、『FarbeReise』と呼ばれる遺跡群に眠る秘宝を回収してほしいとのこと。
「なんでも、『願いをかなえる秘宝』が眠っているらしいっす」
 ローレットへとやってきたパサジール・ルメスの民、リヴィエール・ルメス(p3n000038)が楽しそうにイレギュラーズへと語る。
 色宝(しゅほう)と呼ばれるその秘宝は個々では力が弱く、かすり傷が治る程度の効果しかないらしい。
「ただ、数多く集まれば強い願いも叶う……とも言われているっす」
 真偽のほどは定かではないが、ラサ傭兵商会連合トップたちの話し合いにより、色宝は報酬と引き換えに首都ネフェルストで管理することが決まった。
 色宝の悪用も考えられたことから、数々の実績のあるローレットに白羽の矢が当たり、イレギュラーズ達にこの色宝の回収依頼が舞い込んできたのだ。

 すでにレーヴェン自身も他のイレギュラーズを伴って別の遺跡を攻略中とのことで、リヴィエールもまたどんどん探索していきたいのだそうだ。
「あたしが攻略を考えているのは、『右に進め』と問いかけてくる地底遺跡っす」
 幾度も左右への分岐があり、分岐点には悉く『右に進め』との問いかけがあるらしい。
 基本的にはその通りに進めばOKだが、時には左に進まねばダンジョンによくある落石、落とし穴といったトラップに引っかかってしまい、生命の危機に瀕することもあるとのことだ。
「遺跡最奥にはモンスターもいるらしいっすが、分岐ミスで襲ってくることもあるらしいっすよ」
 モンスターの名はミルメコレオ。獅子の上半身と下半身を持ついわゆる合成獣とも呼ばれる存在である。
 非常に狂暴であり、侵入者を獲物と捉えて食らいついてくるそのモンスターは、トラップとしては単体で強襲を仕掛けてから撤退し、基本的には遺跡奥で宝を守るべく2体で立ち塞がるという。
「充分注意して探索に当たっていきたいっすね」
 そう締めくくったリヴィエールは、参加表明をしたイレギュラーズへと1人1人握手を求めたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 『FarbeReise』のシナリオをお届けいたします。
 ラサの遺跡内部に存在する秘宝の回収を願います。

●目的
 遺跡内の秘宝の回収。

●状況
 石造りの地底遺跡の内部を進みます。
 左右の分かれ道が続き、『右へ進め』という看板がある状況が幾度も続きます。
 実際はかなりの数がありますが、簡略化して3回程度の分岐のみここでは問う形をとります。それ以外は「本当に右だった」、「あからさまに右は危険だ」などと判断できたとします。
 1番最初、中盤、終盤の3回について、イレギュラーズはどの指示が本当か、どの指示が嘘かを確認しながら進むことになります。
 なお、分岐が間違っていても適切な対処法があれば、トラップを回避できた、あるいは被害は軽微だったと判定いたします。
 なければこの探索パート地点でパンドラ復活か戦闘不能、重傷判定もありえます。

 遺跡最奥にはモンスターが待ち構え、これを撃破することで秘宝を入手できます。
 討伐後は部屋の奥の転送装置から外へと出られるようです。

(以下、PC情報)
 分岐は14回。1、7、13回目の判断をここでは願います。
 ○右右左右、右○右左右、右左○右
 以上の順番が正しい分岐です。なお、プレイヤーには今いる分岐地点より先の情報はございませんので、ご了承の上でご選択願います。

●敵……モンスター
○ミルメコレオ×2体
 胸部から前はライオン、胸部の途中から下半身はアリの姿をした生物で、別名アントライオンともいわれ、「欲望に動かされて身を滅ぼす悪魔の象徴」とされております。
 見た目以上に素早く相手を捕捉して剛腕を薙ぎ払い、鋭い牙で食らいつく他、腹部から酸を発して猛毒、ショック、崩れといった状態異常を及ぼすことがあります。

●NPC
○リヴィエール・ルメス(p3n000038)
 現地までの案内に加え、探索にも同行します。
 奥での戦いでは簡単な回復、支援を行ってくれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <FarbeReise>Geh nach rechts.完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月09日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
アト・サイン(p3p001394)
観光客
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
カナメ(p3p007960)
毒亜竜脅し
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと

リプレイ


 傭兵……ラサ傭兵商会連合内にある遺跡群ファルベライズへとやってきたローレットイレギュラーズ。
「次から次へと見つかるもんだな」
 色黒な肌の青年、『鬨の声』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)はコンスタントに学者達から上がってくる遺跡の発見報告を受け、彼らの調査力は馬鹿にできないと感嘆する。
「ま、そんだけ見つかる中から、あれを全部回収っつーのは一苦労だな」
「そうっすね……」
 ルカの言葉に褐色の海種の少女、リヴィエール・ルメス(p3n000038)が大きく頷く。
 あれとは『願いをかなえる宝』であり、ラサ傭兵商会連合がネフェルストで保管することが決まった秘宝だ。
 それを回収すべく、イレギュラーズ達は遺跡内部へと突入していく。
「むぅ……」
 白い翼の飛行種少女『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)はそのつり目な緑色の瞳で前方を見つめる。
 遺跡に突入して程なく、左右に伸びる分かれ道の分岐点にこう書かれてあって。
『右に進め』
「んー……右に進め、ですかー。こういう指示をされると逆が正しいのでは、というのが私の考えですねぇ」
 微笑みを称える神官、『果てのなき欲望』カイロ・コールド(p3p008306)は小さく唸って主観を語るが、それに根拠はないとのことだ。
「右へ進めって書いてあるから、右でいいのかなーって思ったけどそうじゃないのかな?」
 マゼンタとシアン、ツートンカラーの髪をルインテールにした『二律背反』カナメ(p3p007960)が首を傾げ、左右の通路を見ていてハッと思い至る。
「あ、そっか! こういうのってわざと間違いを書いてる事もあるよね」
 しばらく、指示通りに進むべきかどうか、カナメは悩む。
「こういうのは疑心暗鬼になったり、後悔したりすんのが一番ダメだ」
 『正解ならラッキー。間違えならしゃーねぇ』と割り切り、ルカは進むことにする。あとは、間違えた時の対応をしっかりやればいい、と。
「どこの遺跡もまぁ、ややこしい罠や通路は仕掛けてあるもんなんだよなぁ」
 ダルそうな態度をした『死神教官』天之空・ミーナ(p3p005003)は元アサシンでありながらも、この手の遺跡攻略は苦手だと言う。
「『迷路は右手をついて進めば必ずゴールにたどり着く……』って話もあるけど、罠がある場合は役に立たない方法だね……あと日が暮れちゃうだろうね……」
「お宝探しもラクじゃないねー」
 そんな狼の獣種の少女、『恋の炎に身を焦がし』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)の話もあり、カナメは嘆息してしまう。
 そこで、ダンジョンに秘宝とあれば、未踏の洞窟に並々ならぬ興味を抱く『観光客』アト・サイン(p3p001394)が黙ってはいない。
 遺跡を興味深く見回す彼と久々のダンジョン探索に、フラーゴラはわくわくそわそわしていて。
「お宝に……! アトさん……!」
 途中で我に返ったフラーゴラは自ら顔をぺちんと叩き、ううっと唸る。
「浮かれてる場合じゃないね……。これもまた厄介そうなダンジョンだね……?」
 気を引き締めようとするフラーゴラだが、それでもお宝探しと言うことも合わさって、いつもより若干テンションが高いようだった。
「最初は右を選ぼうと思っているが、調査や推理なんかで正しい道がわかった場合はそっちを優先するぜ」
 そんなダンジョン攻略のプロフェッショナルであるアトに、仲間から判断を託されていたルカも期待を寄せる。
「異論ないな。道中の判断は任せるぜ」
 現状怪盗を目指す赤茶の少年、『須臾を盗む者』サンディ・カルタ(p3p000438)は事前の取り決めと自身の認識が合っていることを再確認し、この場を仲間達に任せる。
「不本意だが、こういうのには滅法強いアトがいることだしな」
 罠やダンジョンは任せれば良いとミーナが太鼓判を押すと、フラーゴラもルカやアトの状況判断に任せることにしていたようだ。
「ま、楽しく行きましょう」
 カイロもやや楽観的な態度でルカに合わせることにしていたが、アトに対して金色の光を纏わせ、感情探査でモンスターが接近していないかなどサポートも忘れない。
「右に進もう」
 さて、そんな仲間達が注目するアトは最初の選択肢を即決してみせた。
「この看板……僕らを支配する為にあるんじゃないかな」
 右へ進んで無事なら看板に従ったおかげで。左へ進んで酷い目にあえば看板に逆らったせいで……そう刷り込まれると、彼はその理由を分析する。
「そこを逆算すれば、最初は右かなって」
 そんなアトの判断に、リヴィエールも目を輝かせていた。
 イレギュラーズ一行はすぐ右へと曲がり、警戒を強めながら先へと進む。
 サンディは平常心で簡単にマッピングしながら、遺跡の構造の把握に努める。
「遺跡の外まで突っ切ってそう……ってことはないか。多分」
 さすがにサンディの思ったようなことは無く、何事もなく通路を進んだ一行だったが、程なく次なる分岐点で、またも『右へ進め』と書かれた看板に出くわすことになるのである。


 その後、イレギュラーズ一行はしばらく2択を迫られる。
 3回連続右が正解で今後も右かと思いきや、4度目で左が正解だったり、その後また右が続いたりとメンバー達を悩ませる。
「罠対処の基本は何がトリガーかを考えればいい」
 アトは目ざとく、偽装された感圧版等やバネを見つけ出し、遺跡内に転がっていた石を投げつけて罠を起動してみせる。
 誰もいない場所で捲れ上がる床。そして、底の見えぬ落とし穴が恐怖を誘う。
「右、左、右、左……うさうさ……」
 法則性を見いだすことができず、すっかりお手上げな華蓮は罠を踏んでしまった場合の対処へと考えをシフトさせていた。
 そうして、7度目の分岐でまたも同じ看板。そろそろ左に行きたくなるタイミングであり、ルカも左と直感で判断していたようである。
「簡単に宝を渡してやるものか……という造り手の遺志が感じ取れます」
 とはいえ、こういう意地の悪いダンジョンは好みだと、カイロは笑みすら浮かべていた。
 今回はパッと見では判断もつかない為、皆判断に時間をかける。
 フラーゴラは看板をランプで照らす。左が正解だった4つ目の分岐で看板に細工された跡があったことも大きい。
 だが、この場の看板にはそういったものは確認できなかった。
 カイロもまた床や壁、天井などに注意を払い、罠らしきものがないかをくまなくチェック。
 華蓮も少しでも情報を引き出せるようにと周囲の精霊に何か知らないかと尋ねていた。
 ここまでアトはチームの斥候として3m棒で石壁を突き、仲間に自分の足跡の上を歩くよう促していたのだが、今回は分岐から左右と来た道を一通り見回す。
「よし、右に行こうか」
 そして、冒険知識をフル動員させた彼はそう判断した。
「今まで進んできた道、どっちも最期には合流してた。つまりもう一つの通路は後付ということになる」
 アトの説明に首肯する一行は右へと行くことに。
 並びの中央を歩くミーナは前後の様子に変化がないか、注意しながら歩く。
「こういう場所では冷静さを保たねばな」
 例えトラップが発動しても、冷静に対処すれば不発に終わる。
 ミーナは怪我人が出た際にすぐさま回復できるよう備えるのみだ。
「間違った方向に行けば、痛い目に遭うのかな?」
 見たところ、仕掛けはないようだが、カナメも何があっても仲間に迷惑はかけられないと罠には十分注意する。
 マッピングを続けていたサンディもまた、罠を警戒していて。
「どっかなんかこう、通る人の精神に魔法的に作用して強制的にやばい道を通らせるとかって類の罠とかあるのかな」
 また、モンスターが現れた時に備え、サンディはその身に潜ませた苦無をいつでも取り出せるようにしていて。
「なんといっても、俺の攻撃は特別製だからな!」
 サンディの苦無は毒に窒息、苦鳴、泥沼、不吉、不運に呪いを付与してからの呪殺で体力を削ることができる。
 ただ、サンディも十分な距離をとる必要があるのだが、遺跡内は長い通路が続く。抑え役もおり、心配する必要はないだろう。

 そこも、うまく凌ぐことができたメンバー達。
「警戒は緩めねえが、正解がわかるに越したことはねえ」
 アトの見識に舌を巻きつつ、ルカは進む。
 ただ、皆もアトだけに分岐の判断を任せることは無く。
 華蓮は上手く罠を避ける仲間達がほとんど傷付くことが無かった状況もあり、回復は不要と判断していたようだ。
 また、精霊の力で華蓮も罠を感知して。
「ん、この天井……」
 次は左手通路の天井から僅かに落ちてくる砂礫にカイロが気付く。
「直接、正解を導き出せたのなら、何よりですわ」
 仲間と合わせて分岐判断ができたことを、華蓮も喜んでいた。
 次の通路では、カイロの感情探知が右の通路に潜むモンスターを見つけ出す。
「今度は左の通路から行きましょう」
 彼は罠を確認し、罠対処で避けて遺跡奥へと進む。
 続き、フラーゴラがハイセンスを働かせ、化学物質を思わせる臭いや僅かな火薬の臭い、そして異音に気付いて、罠の仕掛けられた通路を避ける。
「右、右、左……これで12回。奇数偶数ではない。素数でもない。曲がった回数による進行方向か、或いは……」
 ミーナも攻略の助けとなるべく法則性を考えるが、見出すことができない。
 この場は仲間に任せ、ミーナは有事の回復に備えて先へと進む。
 そうしてやってきた13回目の分岐。
 どうやら罠は相当先に仕掛けられているらしく、分岐からでは判断が難しい。
「随分奥まで来たね。なら、この方法が使えるだろう」
 仲間達に動くのを制したアトは地面の埃を払い、そこに水を流す。
「最深部を出入りする人間ってのは正解を知っている人間に限られている。……となれば、不正解の方を進む痕跡は激減するのさ」
 僅かでも足を擦った痕跡が残っていれば、そっちが正解。今回の場合は右だ。
「さすがっすね!」
 ここまでほとんど出る幕の無かったリヴィエールは、ただただイレギュラーズ達を絶賛し続けていた。
 ところで、カナメはというと、罠であれモンスターであれ、ルカやフラーゴラを優先して庇うことができるよう、2人から余り離れないように移動していて。
「大丈夫、カナは痛いの大好きだから……うぇへへ……」
 皆が見事に罠を避け続けたこともあって、カナメはただただトラップを受け止める自分を妄想するだけに留まっていたようだった。


 最後の分岐も右に曲がり、最奥の部屋へと至ったイレギュラーズ一行。
 部屋の奥に安置されている秘宝を守るように、2体の魔物が立ち塞がる。
 ガルルルルルル……!!
 ミルメコレオ、別名アントライオン。上半身はライオン、下半身はアリという奇妙な魔獣である。
「うへー、こりゃ気持ち悪い見た目だな」
 ルカがその見た目に顔を引きつらせる間に、フラーゴラが持ち前の反応速度で先陣を切り、左側のミルメコレオ目がけて漆黒の刀「払暁」で青い残光を残しながら連続斬りを食らわせていく。
「長引かせては不利だね。早めに片をつけよう」
 素早いフラーゴラに続き、他のメンバー達も彼女の攻撃した1体に集中攻撃を仕掛ける。
「そうだな。一気に攻撃しよう」
 仲間に呼びかけつつ、ミーナは聖剣を手にミルメコレオを追い詰めるべく狙いをつけて威力の込めた一撃を叩き込む。
「合わせるのだわ!」
 回復役となる華蓮だが、まだ仲間達が傷付いていない状況とあってミーナの攻撃に続く。
 そっとミルメコレオに触れた華蓮は蝕みの術を展開し、徐々に呪いで浸食していった。
 続き、サンディはその身から暴風を湧き立たせて狙ったミルメコレオを棒立ちにさせれば、すぐさまルカが仕掛ける。 
「悪いが……一気にいくぜ!」
 見た目は兎も角、油断ならない相手とあって、ルカもきっちり潰す為に強力な一撃をと形作った黒の大顎を膨張させ、食らいつかせる。
 鋭い牙を突き立てられて苦しむミルメコレオへと、ルカが更なる攻撃を繰り出す為に構えをとる間、アトもまた青い残光を残しながら片手剣で切りかかっていく。
 ミルメコレオもやられてばかりではない。イレギュラーズ達が攻撃を仕掛けてくるのと同時に、鋭い牙や剛腕を唸らせて襲い掛かってくる。
 獰猛な獅子の頭を持ちながらも巨大なアリの下半身を蠢かすその奇怪な見た目の相手に、カイロは近づくことすら憚っていた。
「アントライオンの動きって、少し気味が悪いんですよねぇ」
 だが、仲間に危害が及ぶとなればそうも言ってはおられず、カイロはブロックを仕掛けて全身を止めようとする。
「しっかり抑えててあげるねー……うぇへへ……」
 道中、ほとんど何事もなく奥までたどり着いたこともあり、うっぷんの溜まっていたカナメは防御態勢をとり、聖なるかなをその身に降ろしてから素早く刀を刻み込む。
「ふーん? 見た目が気持ち悪いだけで、大した事ないねー☆」
 ダメージを与えた後は相手を煽ることもカナメは忘れない。
 グガアアオオオオォォォ!!
 いきり立つ魔物達はアリの下半身から酸を振りまき、抑えに当たるカイロやカナメへと浴びせかけてくるのである。


 ミルメコレオはアリの酸で相手を弱らせ、四肢の剛腕や爪で相手を叩き伏せるという異形ながらも攻撃に特化した魔物である。
 ただ、相手をするイレギュラーズ達はその長所を発揮させることなく、1体を追い込んで。
「息をつかせる暇も与えないよ……!」
 並々ならぬ速力を破壊力へと変え、フラーゴラが漆黒の刀身でアリの腹を深々と突き刺す。
「狼の爪牙を食らえ……!」
 さらに獅子の頭を脳天から突き刺すと、泡を吹いたその1体は本領発揮すらできぬまま、冷たい遺跡の床の上に転がっていく。
 もう1体のミルメコレオは果敢にカナメやカイロへと噛みつき、剛腕を唸らせる。
 アオオオオォォォン!!
 頼りなさそうなアリの下半身にかかわらず、その素早さは本物のライオン以上。
 カナメはその痛みを楽しみ……もとい、堪えながらも、防御態勢を維持したまま百華【大水青】で斬撃を見舞う。
 リヴィエールが回復支援をと抑えとなる2人に癒しを振りまく傍で、華蓮も敵の酸に対する恐怖を打ち破り、万全の状態へと治療していく。
「これなら、私にまで攻撃が来ることは無さそうだわ」
 念の為にと逆転魔術、サヨナラといったスキルも用意していた華蓮だが、思った以上に圧倒的な力を見せつける仲間があっさりと魔物を倒してしまいそうだ。
 そうしている間にも、攻撃手段を変えたフラーゴラの地獄の業火がミルメコレオの顔面を焼き払う。
 それがカナメへと剛腕を振り下ろせば、カイロが庇いに当たる。
 彼はその態勢のまま、ルカやサンディへと体内を循環する力を効率化させて力を高めていく。
 そのサンディは至近距離からミルメコレオへと暴風を浴びせ続けており、敵を満足に立ち回らせない。
 態勢が崩れかけたミルメコレオの背後から近付いたアトは敵の腹を重点的に狙って。
「内部で溶解液を破裂させてしまえ!」
 全身全霊の一撃を振り下ろし、アトがアリの腹を大きく切り裂いてしまう。
 彼にも酸が浴びせかかってしまうが、ミルメコレオのダメージはそれ以上だ。
「もう敵の体力は残っていないな。畳みかけよう」
 エネミースキャンで敵の状態を見ていたミーナが呼びかければ、皆攻撃の手を強めてミルメコレオを追い込む。
 ミーナ自身もまた死神たる力を持って命を刈り取るべく、青い刀身を獅子とアリの身体の境目目がけて突き入れれば、痛みにのたうち回る敵へとルカが仕掛けて。
「悪いが……一気にいくぜ!」
 カイロの支援もあって力を高めたルカは、再度形作った黒の大顎を敵へとけしかける。
 それにライオンの頭を食らいつかれたミルメコレオはじたばたとライオンの前脚とアリの四足をばたつかせていたが、やがて力尽きて動きを止め、なすすべなくその顎によって食らいつくされてしまったのだった。


 宝の番人であるミルメコレオを討伐したイレギュラーズ達は、奥に安置されていた淡いピンクの長円形をした秘宝を回収する。
「これで依頼完了っすね!」
 リヴィエールの笑顔にほっこりしながらも、皆遺跡から脱出すべく最奥の転送装置へと向かう。
「しっかし、転送装置が空中神殿以外にあるたぁな」
 もし、空中神殿の技術の大元がこれだったなら。そのうち想像以上に面白いものが見つかるかもしれないと、ルカは考える。
 ところで、装置に乗ろうとする仲間達をカナメが呼び止めて。
「帰る前にハズレの道寄っていい?」
 だが、わざわざ危険を伴う行為を、メンバー達が許容するはずもなく。
「ダメ? そっかぁ……」
 興味津々だっただけに、カナメはしゅんと肩を落として仲間と共に遺跡を脱出していったのだった。

成否

成功

MVP

ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは分岐判断など多くの仲間に頼られていた貴方へ。片方のミルメコレオ撃破も良ポイントです。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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