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シナリオ詳細

クヌゥイ防衛戦 ~敗残兵、襲来~

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●邪妖精の前に立ちはだかるは
 冬の王の封印が解かれたことに端を発した、ローレットと迷宮森林警備隊によるアヴァル=ケイン城への攻城は未だ記憶に新しい。その際に起きた戦闘の一つ「アヴァル=ケイン城前会戦」と呼ばれる戦いは、イレギュラーズ十名で構成された決死隊が冬将軍と呼ばれる敵将を討ち取ったことによって、冬将軍の軍の戦意が瓦解し、ローレット・迷宮森林警備隊の勝利に終わった。
 しかしながら、士気崩壊による敗走という形で冬将軍の軍が敗れたこと、また、元々冬将軍の軍の方が数において優位であったことから、追撃は行われたもののそれを逃れた討ち漏らしが発生するのは必然であった。

 わらわらと、二十体ほどの邪妖精が森の中を進む。人よりも大きな巨躯を誇るオーガに加えて、そのオーガさえも小さく見える巨人、トロルが何体か混じっていた。この邪妖精共こそ、敗走した冬将軍の軍の残兵である。
「ギギ、ガガガッガァ」
「グゲッ、グゲエッ」
 一行は敗走の後しばらくは潜伏していたのだが、ほとぼりも冷めた頃と判断したことに加え、久しぶりに妖精を食らいたくなったこともあり、妖精の街クヌゥイに向かっていたのだ。そして、久々の妖精の味が楽しみで仕方ないと言わんばかりに、楽しそうに邪妖精共は言葉を交わす。
 そうして邪妖精共がもうすぐクヌゥイに着こうというところで、十人の人影が一行の前に立ちはだかる。
「どうやら、間に合ったようだなァ……ここから先は、通行止めだぜ!」
「ギゲッ、グギャッ!?」
「ギギィッ! ギィーゲッ!」
 その中の一人、レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)が邪妖精共を睨め付けながら笑みを浮かべると、邪妖精共は激昂し邪魔者は殺すとばかりに得物を握りしめた。

●妖精の街を救援すべく
「レイチェルさんの予想が当たりました。
冬将軍の残兵の邪妖精共が、クヌゥイと言う妖精の街に向かおうとしています」
 ギルド・ローレットで、『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)がレイチェルに告げる。勘蔵は「冬将軍の残兵による襲撃が、あるかもしれんなァ」と言うレイチェルの言を受け、人を使って冬将軍の軍勢の残兵について調査と警戒を行っていたのである。
「邪妖精の戦力は、オーガ十数体、トロル数体。これがクヌゥイに入れば、クヌゥイの妖精達は襲われ、食われてしまう危険があります。
 幸い、今から向かえば十分に間に合います。すぐに人を集めますので、その人達と一緒にクヌゥイに向かってもらっていいですか?」
「もちろんだ、捨て置く気はねえ――一匹残らず、俺の炎で燃やし尽くしてやる」
 レイチェルは勘蔵の要請を快諾し、邪妖精共を殲滅すべく自らの意気を高めるのだった。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。
今回はレイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)さんのアフターアクションからシナリオを用意しました。
 拙作『アヴァル=ケイン城前会戦』で敗走した冬将軍の残兵が妖精の街クヌゥイに迫ってきていますので、この残兵達を討伐し、妖精達を守って下さいますようお願いします。

●成功条件
 邪妖精共の全滅

●失敗条件
 邪妖精が1体でもクヌゥイに侵入する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 クヌゥイの入口付近の森。昼間の晴天。
森の中ではありますが、開けている場所のため環境による戦闘へのペナルティーは一切ありません。

●初期配置
 邪妖精の一団とレイチェルさんとの距離は20メートルとなります。
 他の方の初期配置については、レイチェルさんより前に出ない限りは自由です。

●オーガ ✕16
 拙作『アヴァル=ケイン城前会戦』で冬将軍の軍に参加していた邪妖精です。
 身長2~3メートルほどの、邪鬼と呼ぶべき禍々しい姿をしています。
 命中と回避はそれなりで、防御技術と特殊抵抗は低めです。
 生命力と膂力に優れ、一撃の威力は大きくなっています。

●トロル ✕4
 拙作『アヴァル=ケイン城前会戦』で冬将軍の軍に参加していた邪妖精です。
 身長8~10メートルほどの、毛むくじゃらの巨人です。巨体であるため、マーク・ブロックで移動を妨害することはできません。
 オーガほど好戦的ではないため、戦況によってはイレギュラーズ達を放置してクヌゥイに向かう危険があります。
 命中と回避はオーガに劣りますが、生命力と膂力、防御技術と特殊抵抗はオーガを上回ります。
 また、強靱な再生能力を持っており、生半可な傷はすぐに塞ぐどころか、十分な時間さえかければ切断された四肢さえ再生させることが出来ます。
 しかし一方で火を弱点としており、【火炎】【業炎】【炎獄】が付いている攻撃、もしくは火属性と判断される攻撃に対しては防御技術判定を行うことが出来ません。さらに【火炎】【業炎】【炎獄】によるダメージは2倍となり、BSによるものを含め受けたダメージを再生させることは出来ません。

●クヌゥイ
 妖精郷の街の一つです。それなりに人口が多いため、妖精を食らわんとする邪妖精達に狙われました。
 戦場からは数百メートルの距離があるため、戦闘から離脱した邪妖精が1~2ターン程度で到達することはありません。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • クヌゥイ防衛戦 ~敗残兵、襲来~完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月30日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
ラクリマ・イース(p3p004247)
守る者
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
エリス(p3p007830)
呪い師
アルム・カンフローレル(p3p007874)
両手にふわもこ
ソニア・ウェスタ(p3p008193)
いつかの歌声
メーコ・メープル(p3p008206)
ふわふわめぇめぇ

リプレイ

●世界を問わず、良くある話
(今回はクヌゥイの防衛、ということだけど……少人数で敵に挑む依頼は初めてだ)
 クヌゥイ救援に向かう道中、『両手にふわもこ』アルム・カンフローレル(p3p007874)の面持ちは普段と違い、緊張と決意から真剣なものにならざるを得なかった。緊張は既に幾多の依頼を解決してきている他のイレギュラーズ達と肩を並べて戦うことによるものであり、決意は邪妖精達の手から必ず妖精郷を守ると言うものであった
(冬将軍の残党……あの戦いのとき、俺はエウィンの街にいたから直接は戦ってないが、再びこの妖精郷を脅かすことは許さないよ……!)
「緊張してるんですめぇ? そんなに固くなることはないですめぇ。
 クヌゥイの街を守るのは責任重大ですけど、メーコ達が一緒だから安心して下さいめぇ」
「ありがとう、メーコ君」
 表情からアルムの緊張を読み取った『優しい夢』メーコ・メープル(p3p008206)は、優しく微笑みかけながら声をかけて、アルムを安心させてその緊張を解そうとする。アルムの方も多少余裕が出てきたらしく、その表情は少し和らいだ。

「……散らして残党となって、尚これか。……面倒なものである。
 大事になる前に片付けておきたい物だが……はてさて」
「残党による襲撃は良くある話だなァ。
 なァに、冬将軍の軍は強かったが、奴らも全て燃やし尽くしてやるさ。
 クヌゥイの街へは一歩たりとも踏み入れさせねぇよ!」
 クヌゥイを襲撃しようとする邪妖精達の数に、憂えるように嘆息したのは『艦斬り』シグ・ローデッド(p3p000483)である。実のところ、邪妖精共は散り散りに逃げ延びた後、徒党を組んだ故に数が多くなったというところはあるのだが、それでもこの数は多く、脅威であった。
 一方、『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は愛する人の肩をバンバンと叩きながら、その憂いは杞憂だと言わんばかりに言い放つ。確かに数が多いのは面倒であろうが、手間はかかったとしてもクヌゥイに入られる前に全て焼いてしまえばいいだけの話だ。
(まだいるんだ……冬将軍の残党)
 『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)にとって、冬将軍の残党は出番の終わった役者に他ならない。
(約束したからね。一緒にこの先の旅路を見ようって)
 キトリニタスの自身の核であった、フェアリーシードの欠片が入っている瓶を大切そうに胸に抱きつつ、アリアはその約束を交わした時のことを想起した。二人で歩む旅路と言う演目、その舞台に未だ居座り続ける邪妖精共は最早邪魔であり、早々に退去させたいところだった。

「妖精を喰らいに……ですか。
 敗残兵が狼藉を働く、というのは人間でもよくある話ではありますが、邪妖精もそうなのですね。
 種族が変わっても、世界が変わっても、これは万国共通なのでしょうか……」
「冬の王との戦いが終わって一安心……にはまだ早いか。妖精達の平穏が戻ってくるにはまだまだ時間が掛かりそうだね」
 自身の出身世界でも、そう言う事例はあったのだろう。『(((´・ω・`)))』ソニア・ウェスタ(p3p008193)は嘆く様につぶやいた。それに、『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)が続く。妖精郷の危機を救うために幾多もの依頼を受け、冒険や戦闘に身を投じてきたウィリアムとしては、先のアヴァル=ケイン城を巡る戦いで妖精郷の危機が完全に去ったとならなかったのは残念なところであった。
「……まあ、仕方ない。一つずつ地道にやっていこうか。まずは目の前の敵を片付ける事から、だね」
「そうですね。妖精たちの平和のためにも、残党の討伐は絶対に成功させましょう!」
「ええ! 妖精達を、食べさせるわけにはいきません!」
 ウィリアムが気を取り直したように邪妖精共を倒す決意を固めると、『冷たい薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247)と『呪い師』エリス(p3p007830)が同調する。ラクリマにしてもエリスにしても、妖精郷の平穏を乱し、あまつさえ妖精を食らうという邪妖精を放っておくことなど出来るはずがない。その声には、邪妖精達を何としても止めるという強い決意が宿っていた。

(妖精の敵は俺の敵だ……妖精を守るために斬らないと……!
 妖精に危害なんて加えさせるか! 加えたかったら俺を破壊してからにするんだな!
 その前に俺が奴らを切り刻む!)
 まだ見ぬ邪妖精達に対し既に強烈な敵愾心を露わにしているのは、妖精の姿と大きさにその身を変えている『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)である。邪妖精の中でも特に膂力に優れるオーガやトロルへの対策なのであろう、易々と倒されることが無いよう自身が造った装甲板を即席の鎧として纏っていた。

●数は活きず
「オオ――ンッ!」
「グウッ!?」
 銀毛の狼となったレイチェルが金銀妖瞳を光らせつつ、手近なトロルの一体に向けて吼えた。これは、ただの雄叫びではない。吸血鬼の変化たる銀狼の、魔力を宿した咆哮なのだ。瞬時に迫り来る、衝撃波と化した咆哮はトロルの身体のど真ん中に直撃し、その巨体をよろけさせた。
「この陣から、逃しはしない!」
「ギゲッ!」
「ギャーアッ!」
 サイズは自身の前に氷のバリアを展開すると、オーガ三体の立っている地面に、妖精の血で呪われし魔法陣を描く。魔法陣からは炎を纏った血の色の鎌が次々と飛び出して、オーガを何度も斬り刻んでいった。鎌が付けた傷からは炎が燃え上がりながらも、血がだらだらと止まることなく流れ出している。
「我が最愛の契約者よ。――剣を執り給え」
「──ああ、執ろうじゃないか。我が最愛の男にして、我が最高の刃。我が聲に応えよ!」
「さぁ願いたまえ、我らの――勝利を! 邪悪の――両断を!」
「俺の願いは妖精の守護。害為す者を絶ち、燃やし尽くす……!」
「グ、ガッ……」
「ギ、ギイィ……」
 魔剣の姿となったシグは、己を手に取るようレイチェルに呼びかける。銀狼の姿から元に戻ったレイチェルはシグを手に取ると、大上段に振りかぶった。シグは自身の、レイチェルの勝利を求める意志を己が刀身に纏わせて巨大な光の刃とする。
 そしてレイチェルによって振り下ろされた刃は、光の奔流として邪妖精共の一団を一直線に貫き、その線上にいたオーガ五体をまとめて灼いた。
「一撃が重いオーガやトロルが相手となると、忙しくなるだろうからね――これで、よし!」
 気力の消耗を抑える支援を、ラクリマは自身に施した。主に回復を担う身として、癒やしに費やす気力が少ないに越したことはない。特に今回の敵は、膂力に優れて一撃のダメージが大きい手合いであるのだ。
「さぁ、メーコの方に来るですめぇ」
「さあ、お前達の相手は僕達が相手だ。その筋肉で僕の首が取れるかやってみるがいい!」
「ギャッギャッ!」
「ギィーエッ!」
 カランカランカラン、前に進み出たメーコは、レイチェルが仕掛けたトロルの一体に音色が届くように、激しく鐘を鳴らす。それに続くように、ウィリアムが邪妖精の一団の側方に回り込んでから、高らかな声で邪妖精共を挑発する。
 結果、邪妖精共のおよそ三分の一がメーコに、三分の二がウィリアムに目を向け、牙を剥いた。
「――数多の氷の刃よ、彼の敵を斬り刻め」
 魔法の詠唱を終えたソニアは、サイズが描いた魔法陣に重ねるようにして三体のオーガの周囲に小さな氷の刃を生み出し、幾度となく斬り刻む。オーガの身体には燃え盛る傷口と凍てついた傷口の双方が刻まれ、そのどちらからも血が止まることなく流れていく。
「行きますよ! まとめて一網打尽にします!」
「ゲギャッ!!」
「ギゲッ!?」
「ゲッ、グッ……!」
 エリスの指先が、破壊のルーンを描く。発動したルーンは邪妖精の大半を巻き込んで、天から無数の雹を降らせた。目前のイレギュラーズ達に意識を向けていた邪妖精達はこの雹を察知するのが遅れ、防御姿勢を取るまでの間強かに雹に打たれ続けることになった。
「俺も仕掛けるか……風の刃よ!」
「ウッ……ガアッ!」
 アルムは、レイチェルの咆哮を受けたトロルに風の刃を放って斬りつけにかかる。ズパッ! と風の刃はトロルの太股を深く斬り裂き、パックリと開いた傷口からどくどくと赤黒い血が流れ出す。
「……グガッ!?」
 トロルが、異変に気づいて困惑した様子を見せる。風の刃による傷が、全く回復しないからだ。レイチェルの咆哮はトロルの再生能力を封じていたのであるが、トロルはそのことに気が付いていなかった。
「いい感じです、この調子でいきましょう! 私もトロルを引き付けます!」
 最後方から鼓舞するように仲間に声をかけたアリアは、メーコにもウィリアムにも牙を剥いていないトロルめがけて、悪しき神の名を持つ曲を歌う。
「……ギッ!?」
「……えへへ、聞こえた? 聞こえたんならもう手遅れだよ」
 ニヤリと、意地の悪い笑みを浮かべるアリア。曲に込められた怨嗟は、トロルの精神を捉えて苛んでいるのだ。

 悪しき神の名を持つ曲を聴かされたトロルは、地響きを立ててアリアに急接近すると手にした棍棒で殴りかかるが、アリアは難なく回避する。
 ウィリアムには多くの邪妖精が群がったが、オーガもトロルも巨躯である故にウィリアムへの攻撃に参加出来たのはオーガ三体とトロル一体のみであった。しかもそのオーガとトロルも、ぎゅうぎゅうに押し寄せてくる味方に半ば邪魔されてしまっている。とは言え、ウィリアムも全ての攻撃を避けきる事は出来ず、少なからず手痛い傷を負うことになった。
 一方、オーガの斧が立て続けに直撃したメーコは倒れ伏す。だが、メーコは血を流しながらも気力を振り絞って、ゆらりと立ち上がった。残るオーガとトロルは倒れないのならば倒れるまで殴るまで、と斧で斬りつけ棍棒で殴りかかるが、それでもメーコは倒れない。否、メーコは一度倒れはするのだが、満身創痍になりながらも必ず立ち上がってくるのだ。それも、強かに反撃を入れながら。

●討たれゆく邪妖精共
 尋常ではない攻撃力と高い生命力を持ち、数で優位な邪妖精共であったが、イレギュラーズの誰一人として倒せないうちに次第にその数を減らしていった。
 ウィリアムやメーコに挑発された邪妖精が、他の邪妖精に遮られて攻撃出来ないにもかかわらず二人に殺到し、大半が遊兵と化したからだ。冷静な状態ならともかく一度頭に血が上ると、その凶暴性故か、攻撃出来ない者は他の敵への攻撃に回るという判断は不可能であったらしい。
 しかし、集まった内の一部とは言え、攻撃力の大きい邪妖精に数体がかりで攻撃されれば、ウィリアムもメーコもただではすまない。だが、ウィリアムの傷はラクリマが白い雪で包んで癒やし続けていき、それでもダメージが残る時はソニアが治癒魔術を施し、さらに不足であればウィリアムが自分で回復を行うことで持ち堪えた。
 一方のメーコは、何度も倒れるのだがその度に立ち上がってきた。邪妖精共がメーコを倒すのを諦めて他の者を攻撃すれば、イレギュラーズ側の回復も分散して戦況をもっと優位に運べたかも知れない。しかし、反撃の痛さに邪妖精共がメーコではなく他のイレギュラーズ達を攻撃しようとしても、メーコは都度鐘を鳴らして邪妖精共を苛立たせ、自身に釘付けにしてのけた。
 そうして無意味にウィリアムとメーコに集まった邪妖精共は、ウィリアムの雷撃をはじめ、サイズの呪血の魔法陣、ソニアの氷の刃、シグの光の奔流と言った範囲攻撃の餌食であった。それらの範囲攻撃を受けても辛うじて生き残っているオーガにはエリスが呪いの矢を放ち、着実にその数を削った。
 戦場からの離脱が警戒されたトロルについては、アリアが二体の、メーコとウィリアムがそれぞれ一体の足を止めている。レイチェルの紅蓮の炎とアルムの風の刃による集中攻撃、それとメーコの反撃でメーコの前にいるトロルの生命力を着実に削っているのであるが、まだどれも撃破されるまでには至っていなかった。

 さらに戦闘は進み、戦況はますますイレギュラーズ有利に傾いていく。
「さすがに……こいつで倒れろ! 憤怒、そして復讐の焔こそ我が刃。復讐の果てに燃え尽きるのが我が生なり!」
「ガアア、ア……!」
 残る気力を振り絞って、レイチェルは己の血で魔法陣を描く。魔法陣はレイチェルの命を食らうと、メーコの前のトロルに向けて燃え盛る炎を勢いよく噴き出した。既に深い傷を負い、再生もままならないトロルは、炎に包まれると叫びにもならない断末魔を上げて、ドウ、と地面に倒れた。
「これで……終わりだよ!」
「ギャーアッ!!」
 ウィリアムの雷撃が、目前に残るオーガ三体の身体を這い回るように絡みついていく。既に虫の息であり、辛うじて立ち上がっていただけの三体は、黒焦げとなって倒れ伏しそのまま動かなくなった。
「貴様も、後を追わせてやる!」
「ギゲッ! ……ウ、グキグ……ッ」
 サイズはウィリアムの前のトロルに肉薄すると、自身の本体である大鎌で斬りつける。魔術を交えた一撃はトロルの不意を衝き、太股をザックリと深く斬り裂いた。既にシグの光の刃の奔流によって再生能力を封じられているトロルは、痛みに耐えかねた様子で片膝を突いた。
「歪め、捻じ曲げよ……その身に、災いを吸い寄せよ!」
「ガアッ! グオオオオッ!」
 シグの詠唱に応じてトロルの側に出現した黒い剣が、サイズの付けた傷を狙ってトロルを斬りつけた。傷口をさらに斬られ、骨まで曝されたトロルは、苦痛にジタバタと悶絶する。だが、このトロルの受難はまだ終わらない。
「呪いの炎よ、怨敵を焼き尽くせ――さらに、これもおまけです!」
「ギィーエエエッ! ガアアアアアッ!」
 エリスの放った炎が、隙だらけとなったトロルの太股の傷に、直撃した。かと思えば、再度呪いの炎が放たれ、さらにトロルの傷口を焼いていく。これ以上無いと思われる痛苦に、トロルは狂乱したように吼えた。
「これで、ウィリアムさんは大丈夫そうですね。それじゃ、俺も攻勢に出ますか」
 重くは無いとは言えウィリアムに残る傷を、ラクリマは白く舞う雪で癒やしていく。ウィリアムの傷は完全にでは無いものの、ほぼ癒えた。それを確認したラクリマは未だ吼え続けるトロルの方へダッシュすると、魔導書『蒼穹のグリモア』を両手で持って全力でジャンプ。
 ガスッ! バスケットボールのダンクシュートさながらに、ラクリマの体重を乗せた魔導書の角が、トロルの傷口に突き刺さる。
「ガァッ――!!」
 最早、トロルの咆哮は声にならない。
「……戦いである以上情け容赦は要らないとは言え、ちょっと可哀想になってきたよ。せめて、早く終わらせてやるか」
「グガッ――!」
 トロルの太股の傷への集中攻撃に、アルムはやや引いた。そして、一刻も早くこの苦痛を終わらせてやろうと、風の刃を首筋目がけて放つ。最早動けないトロルの首の半分を風の刃が斬り裂くと、ブシャーッ! とものすごい勢いで血が噴き出した。既に幾度もイレギュラーズ達の範囲攻撃を受けた上、大腿部と首筋から大量の血を失ったトロルの生命力は尽き、ぐらり、と体勢を崩すと横向きにどうと倒れた。
「あと少しね。この二体もお願い」
 アリアは自身が引き付けた二体のトロルを、クヌゥイから進路を逸らすように後退して距離を取りつつ、悪しき神の名を持つ曲と紅蓮の蛇を喚ぶ呪詛の歌で攻撃していた。そして他のトロルが倒れたのを見ると応援を求めつつ、さらに後退しながら片方のトロルに紅蓮の蛇をけしかけていく。
「ギゲエッ!」
 既に身体を何カ所も焼かれているトロルは、さらに蛇に身体を焼かれて苦悶の声をあげる。
「任せて下さい。数多の氷の刃よ――」
「ギ、ギャッ!?」
 ソニアは急ぎアリアの方へと駆けていくと、トロル二体にある程度追いついたところで小さな氷の刃を創り出し、その身体を斬り刻みつつ冷気で足を止めた。
「逃がしませんめぇ! こっちに来るめぇ!」
「グゲエッ!」
 思いもかけぬ方向から攻撃されたことで、二体のトロルがソニアの方を振り返った瞬間。ソニアを追い抜かしたメーコが、トロル達に接近して鐘を鳴らす。トロル達はその鐘の音色に反応してすぐさまメーコに殴りかかり、手痛い反撃を受けながらもやはり一度は倒したが、すぐに起き上がられた。

●妖精達の歓待
 こうなると、もうトロル達は逃れる事も勝つ事も不可能である。後から追いついてきたイレギュラーズ達も含めた十人を相手に、再生能力を封じられ、弱点である炎で焼かれ、その他様々な攻撃を浴びせられた結果、トロル達は一体、また一体と倒されていった。
 冬将軍の敗残兵である邪妖精はここに全滅し、クヌゥイの街は守られたのだ。

 街を狙っている邪妖精を倒したことを報せにクヌゥイへ向かったイレギュラーズ達は、クヌゥイの住人である妖精達から熱烈な歓迎を受けた。さもあろう、邪妖精に襲来されていたらクヌゥイの街が地獄絵図になっていたのは間違いなく、それを阻止したイレギュラーズ達はこの街と人々を救った英雄に違いないのだ。
 さらに言えば、妖精達にとってイレギュラーズ達の業績はそれだけではない。妖精郷が永遠の冬に閉ざされ滅亡しかけ、それをローレットと迷宮森林警備隊が合同で阻止したのは記憶に新しいところである。
 イレギュラーズ達は、口々に集まり感謝を述べてくる目の前の妖精達を守り抜いたのだと改めて実感し、達成感に包まれた。

成否

成功

MVP

メーコ・メープル(p3p008206)
ふわふわめぇめぇ

状態異常

メーコ・メープル(p3p008206)[重傷]
ふわふわめぇめぇ

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。かくして、クヌゥイの街は邪妖精達の手から守られました。

 MVPは何方に差し上げるか迷いましたが、EXF100で倒れることなくダメージアブソーバーとして機能しつつ、防御技術マイナスによって被ダメージを増やすことで手痛い反撃ダメージを返してきたメーコさんに差し上げます。
 メーコさんが自身へのオーバーキル状態を誘発していなければ、その分のダメージは他のイレギュラーズに向くことになり、回復にリソースを余分に費やすことになったでしょう。

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