PandoraPartyProject

シナリオ詳細

光差し込む海面を見上げて

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ここほれワンワン。選んだ世界は。
「わぅん!」
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)の愛犬、ポメ太郎の可愛らしい前足が一冊の本の前に置かれる。
「これか?」
 突然駆け出したポメ太郎を追いかけてきた秋月 誠吾 (p3p007127)の言葉に、ポメ太郎はぱたぱたと尻尾を振る。どうやらこの本が気になるようだ。
 本を手に取ると誠吾はポメ太郎を抱き上げる。どうやら脱走防止のようだ。
「誠吾さん、ポメ太郎は……いましたか」
 長いスカートの裾を持って走ってきたリュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)は、誠吾の腕にしっかりと抱きかかえられたポメ太郎を見てほっと肩の力を抜いた。
 本来図書館は動物厳禁。境界図書館故に一緒に入っても何も言われなかったが、ポメ太郎が本を破損させたら流石に怒られてしまうだろう。
「勝手に走っていってはいけませんよ」
 愛くるしく見上げてくるポメ太郎を軽くしかると、リュティスはくるりと体の向きを変える。
「ご主人様が心配していました。早く戻りましょう」
「はい」
 同じ主人に仕える先輩と後輩である二人は、スッと背筋を伸ばして主であるベネディクトたちが待つ場所へと向かうのだった。

「ふむふむ。ポメちゃんはこの世界が気になるのかな?」
 誠吾が持ってきた本を覗き込みながら、笹木 花丸 (p3p008689)がポメ太郎の顎下を撫でる。
「わふっ」
 大人しく撫でられながらも本を覗き込むポメ太郎。その視線の先には、揺れる海面から差し込む光に照らされた、海中の世界。
「ポメちゃん泳げるの? 花丸ちゃんはばっちりだよ!」
「うちもポメ太郎ちゃんと一緒に泳ぐぐらいなら大丈夫です!」
 泳ぐ自分を想像しているのか、ポメ太郎の前脚が水を掻くように動いているのを見て花丸とソフィリア・ラングレイ (p3p007527)のテンションが上がる。
 上手く泳げるか分からないけど、きっとポメ太郎と泳ぐぐらいなら大丈夫。
 そう思っていると、リンディス=クァドラータ (p3p007979)が近くにいた境界案内人を連れてきた。
「折角ですし、本の世界に行ってみませんか? その本の世界は安全なようです」
 光が降り注ぐ海中の世界。
 海底には白い砂と色鮮やかな珊瑚に魚たち。
 時間の経過とともに青い海が夕焼け色に染まり、刹那のコーラルピンクを超え、満天の星空と夜に光る魚が織りなす幻想の一時と化す。
「この世界では海の中でも陸上と同じように呼吸が出来るみたいですね」
 本に綴られた言葉を読みながらリンディスが呟けば、花丸とソフィリアとポメ太郎が期待に満ちた眼差しでベネディクトを見た。
 その眼差しと未だに宙を掻くポメ太郎の姿に、ベネディクトは小さく笑いながら境界案内人を見た。
「準備をしてくるから、戻ってきたらこの本の世界に案内してくれるか?」
 とびっきりの水着とお弁当を用意したら準備完了。
 さぁ、AQUARIUMの世界に飛び込もう!

NMコメント

 リクエスト有難うございます!
 海中世界、AQUARIUMを思う存分楽しんでください!

●目的
・AQUARIUMを楽しむ。
 海中でも呼吸の出来る世界です。
 泳ぐも良し。海底を散歩するも良し。だけど海面からは出られないのでご注意を。
 時間によって空の様子も変わるので、それを楽しむのもきっと楽しいでしょう。
 持ち込んだお弁当は海水でふやけたりしないのでご安心を。

●その他
・危険はないので、思う存分羽を伸ばして遊んでください!

  • 光差し込む海面を見上げて完了
  • NM名ゆーき
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年09月29日 22時20分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)
地上に虹をかけて
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華

リプレイ

●揺れる光、青い世界
「うわぁ……!」
 海面から差し込む揺れる光、ふわふわと浮く髪や服。少し離れたところを泳ぐ魚たちに『地上に虹をかけて』ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)と『おかわり百杯』笹木 花丸(p3p008689)の目が輝く。
「すごいすごいすごーいっ! ホントに海の中なのに呼吸が出来ちゃうよっ!?」
「本当に海中でも息が出来るなんて……。安全とはわかっていても、少し怖くはありますね」
 海面を見上げて眩し気に目を細める『未来綴りの編纂者』リンディス=クァドラータ(p3p007979)に、『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)が安心させるように微笑む。
「大丈夫ですよ。何かあれば、ご主人様が助けてくれますから」
 どこか茶目っ気を含んだその言葉に、『曇銀月を継ぐ者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が笑いながら頷く。
「そうだな。俺の手が届かない時はリュティスが助けてくれるから大丈夫だ」
 軽い二人のやり取りに、リンディスは思わず笑みが零れる。
「それに、クァドラータにとっても中々観察のし甲斐のある世界なんじゃないか?」
 自分の上を泳いでいく色鮮やかな魚たち。揺れる光に照らされる色鮮やかな珊瑚。ベネディクトにとっても、リンディスにとっても初めて見る世界。
「確かに、記録のしがいはありますがそれ以上に――今日は、皆さんの表情が輝いていて。よりそちらが楽しい記録です」
 足元で早く行こうとばかりに尻尾を振るポメ太郎を撫でると、ベネディクトたちは海の世界を堪能するために歩き出した。

 海底を歩いていると、混沌では海種やそれに準ずる者たち以外見ることが出来ないであろう風景にいくつも遭遇する。
「イルカに……見るからに遠くに居るが、白い……大きな鯨か? あれは」
「大きいですね」
 思わず立ち止まって魅入るベネディクト。六人分の食事と飲み物が詰まったバッグと敷物を持った『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)もその隣で同じ風景に魅入ってしまう。
 だがのんびりと風景に魅入っている暇はない。みんなでお出掛け、しかもいつもの散歩コースではなく海中と言う不思議な世界にテンションMAXなポメ太郎がどんどん先に進んでいくからだ。
「あんまり走ると、皆と逸れてしまうのですよ!」
 慌てて慌ててソフィリアが海中を飛ぶように泳いで追いかけ、花丸も後を追う。
「ポメ太郎待て待てー!」
 そんな二人を追いかけっこだと思ったのか、更に泳ぐスピードを上げるポメ太郎。そんなポメ太郎の様子を見て、ベネディクトは余程この世界に来たかったのだな、と笑みを零す。
「本の世界は何度か足を運んだ事はあるが、そうか、ポメ太郎は初めてだったな」
 危険な場所に行くときはいつも留守番をしているポメ太郎。そのせいか、今日はいつも以上にはしゃいでいる。そしてはしゃいでいるのは花丸もか。ポメ太郎と一緒にあっちへこっちへ。追いかけるソフィリアもあっちへこっちへ翼を羽ばたかせている。
「あ、あの辺り、周りも綺麗で見晴らし良くて、お弁当に良さそうなのです!」
「本当だね! 休憩に良さそうな場所あったよー!」
 その途中、休憩に良さそうな所を見つけて後ろを歩くベネディクトたちに大きく手を振った。

●みんなで食べる、美味しいご飯
「よっと」
 ソフィリアの見つけた場所に荷物を置いた誠吾は、敷物を広げてバッグを置く。すかさずリュティスがバッグを開けて中からお弁当と取り皿を取り出した。
 見た目にも楽しい、色んな具が詰まったサンドイッチはふわふわ食パン、もっちりベーグル、さくっとクロワッサンの三種類。おかずもリュティスが最近覚えた出汁入りの卵焼き、唐揚げ、ウインナー等が詰まっている。
「誠吾さんとリュティスさんが作ってくれたお弁当、どれも美味しそうなのです!」
 目を輝かせるソフィリアに、誠吾は苦笑して訂正する。
「殆どリュティスが作ったようなものだけどな。というか、ソフィリアも一緒に手伝ったじゃないか」
「うちは殆どお役にたってないのです」
 しょんぼりするソフィリアだったが、誠吾が取ってくれたサンドイッチとウインナーに目を輝かせる。
「お二人ともとても助かりましたよ。誠吾さんは焦らずにゆっくりと覚えていって下さって大丈夫ですよ。少しずつ慣れて頂ければそれで大丈夫ですので……。
 ご主人様の料理は取り分けた方が良いでしょうか?」
 ポメ太郎にジャーキーを与えつつ小さく首を傾げると、ベネディクトは逆にリュティスの取り皿に料理を乗せる。
「ご主人様!?」
「今回も弁当は皆に用意して貰ったからな。これぐらいはさせてくれ。あぁ、でも、俺も偶には故郷の味でも一度思い出しながら料理を作っても良いな」
 母親が良く作ってくれた故郷の味。母親の味には遠いだろうし、リュティスと誠吾が作る料理と比べて味は良くはないと思うが、日常生活でベネディクトに出来る数少ないお礼だ。だけど、今出来るお礼もある。
「何時も美味しい食事を提供してくれて感謝しているよ、有難う。無論、クァドラータにもラングレイ、笹木にも感謝している」
 感謝の気持ちを口に出して伝えると、花丸が満面の笑みを浮かべた。
「花丸ちゃんこそ有難うだよ! 今日はすっごく楽しい!」
「はい、こんな風に皆さんと一緒に過ごせて嬉しいです」
 リンディスも微笑み、ソフィリアもこくこくと頷く。
「ベネディクトさんにはいつもいっぱい有難うなのですよ!」
「そうだな。今日も、ここまで荷物を運べたのは日々筋トレや稽古をつけてくれるマナガルム卿はじめ、隊の皆のお陰です」
 六人分となれば結構な量の筈なのに、重く感じることなく運べた誠吾。彼自身の努力の結果でもあるが、共に励んでくれる仲間がいたからここまで鍛えられたのだ。
「私もですが、皆、ご主人様に感謝しているのですよ」
 そっとベネディクトの好きな具入りサンドイッチを取り分けながらリュティスが微笑むと、ベネディクトは恥ずかしそうに頬を掻いた。

「んーっ、美味しい! でも何だか変な感じ、海の中でご飯を食べてるからかな?」
「普通ならあり得ない状況ですからね。でも、皆さん笑顔でとても楽しそうです」
 だし巻き卵を食べながらこくこくと頷くリンディスに、花丸は山盛りにして貰ったら唐揚げを一つおすそ分け。
「美味しいは分け合った方がもっと美味しくなるんだよ!」
 にぱっと笑うと、リンディスはそっと微笑み有難うと言って唐揚げを口にする。
「笹木もリンディスも沢山食べてくれな。いってくれたら取り分けるから」
 そんな誠吾の言葉に甘えて、野菜たっぷりのサンドイッチを取ってもらうリンディス。花丸は卵のサンドイッチが良いようだ。
「ソフィリアは食いすぎるなよ? て言っても食うよな? おまえは」
 頬いっぱいに頬張ったソフィリアは、もぐもぐと口を動かしながら頷く。
「勿論です! 美味しい物はいっぱい食べるのです!」
 飲み込んでたら笑うソフィリアに、誠吾も賑やかな食事は楽しいものだな。なんて笑う。
 リンディスが用意してくれた海の青に似た青色のお茶をお供に食べれば、お弁当はあっという間に空っぽに。
「美味しいお茶を有難うございます」
「いえ、素敵なお弁当を作ってくださったリュティスさんと誠吾さんのお陰で良い時間を過ごせました。一個一個の料理に込められた愛情、出来るまでも、食べるまでもそれぞれの物語ですから」
 控えめに微笑み合う二人の横で、ポメ太郎は犬用クッキーをもぐもぐしていた。

 お腹がいっぱいになったら自由時間。
「迷子にならないように気を付けてくださいね」
「はしゃぎすぎて怪我もないようにな」
 リュティスとベネディクトから注意された花丸は、大丈夫だと言いながらもちょっと心配に。
「念の為って事で、お目付け役が必要だよね? 行こうよ、リンディスさんっ! 今日は何処までも一緒だよ! ……なんちゃって」
 リンディスの手を握りしめて笑いかければ、花丸はそのまま海面を蹴って海面目指して泳いでいく。ちなみに同じように翼のあるソフィリアは、海中でも飛んでいるのでそれとも海中だから泳いでいるのかと午前中ぐるぐる悩んでいた。
「上から見ると、全然違う……」
 翼を持たないリンディスは、初めて見る上からの景色に目を見開く。
「空を飛べる人は、いつもこのような景色を見ているのでしょうか……?」
 すぐ傍を飛ぶ友人に彼女から見た景色を教えて貰えないかと聞けば、花丸は嬉しそうに今まで見てきた景色を話し始めた。

 時間と共に海の色が変わって行く。青から橙、橙から夜空のような深い青へ。
「夜の海は、昼とは全然違うんだな……」
 初めて見る静寂の世界。揺れる海面越しに見える星空と、昼間は見ることが出来ない魚の姿。
「もっと見ていたいけど、そろそろ帰らないとな」
 はしゃぎすぎてうとうとしているポメ太郎を抱き上げると、誠吾とソフィリアが帰る準備を。
「手伝いさんきゅな。ほら、ご褒美」
 ポケットから出した飴玉をソフィリアに渡すと、ソフィリアは嬉しそうに笑う。
「ご褒美貰えるのです……!?」
 思わぬご褒美。だけど褒められると嬉しいものだ。
 思わぬご褒美はこちらも。
「タイミングを逃して言いそびれていた事があるのだが……リュティス。その水着、とても良く似合っているぞ」
 突然水着を誉められて狼狽えるリュティスだったが、微かに頬を赤く染めて
「そ、そうですか、ありがとうございます。しかし、ご主人様の水着の方が素敵だと思いますよ」
 そう褒め返すのだった。その言葉にベネディクトは屈託なく笑う。
「そう言われると俺も悪い気はしないな」

「ポメ太郎、今日は素敵な本を選んでくれて有難う」
 初めて見る風景。仲間と過ごす楽しい時間。それぞれ思い出と抱いた思いを胸に、海中世界AQUARIUMを後にするのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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