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シナリオ詳細

<巫蠱の劫>呪いはネズミ算式に!?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 高天原にほど近い、上美ヶ原。
 いわば、高天原に通う人々にとってはベッドタウンとも呼べる場所であり、この地にも裕福な精霊種も多く住む。仕えたり、商売など行ったりする鬼人種達も少なくない。
 そんな上美ヶ原で現在、不気味な存在が暗躍しているようだ。
「きゃああああああああああっ!!」
 街を行く鬼人種女性による突然の叫び。それがこの事件を知る引き金ともなる。
 ウウウゥゥゥ……。
 街中に現れた異常なまでに膨れ上がったネズミ達。
 禍々しく黒いオーラを放つそれらは、妖に違いない。年を経て妖となったネズミ……旧鼠。
 窮鼠猫を噛むなんてことわざもあるが、旧鼠の名はその語呂合わせという説もあるらしい。
 ともあれ、状況の把握すらも人々は満足にできていない中だが……。
 ウウウゥゥゥゥ……シャアアアアアアッ!
「奴ら、野良を喰らってるぞ!」
 ネズミの体長は1m以上あり、並の犬や猫よりも大きい。なんとか野良達も抵抗しているが、牙を突き立てられ、被りつかれているようだ。
「可哀想だが、奴らの狙いが人に及ぶ前に……」
 アウ、アウ、アオオォォン
 最初は気丈に爪を振るって抵抗していた野良犬だったが、鳴き声に力が無くなってきており、そう長くはもちそうにない。
「神使を呼ぶんだ、早く……!」
 上美ヶ原の人々もすぐさま、事態の収拾の為にとイレギュラーズ達を呼ぶよう急いで馬を走らせるのである。


 此岸ノ辺、黄泉津に存在する穢れの地。
 カムイグラの地に訪れたローレットイレギュラーズは、事件について情報を集める『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)と落ち合って。
「急いで現場に向かいましょう」
 今まさに事件が起こっているとあり、鬼人種達が馬を走らせ、この地へと神使……イレギュラーズ達を迎えに来ている状況だ。
「状況的におそらく、このネズミは呪獣になっているものと思います」
 上美ヶ原の人々の状況によれば、街中に出現したのは4体。
 馬に乗ってこちらに向かう地点では野良犬、野良猫を襲っていたそうだが、その狙いが人間に向くのは時間の問題と、人々は現場から遠ざかってイレギュラーズの到着を待っているという。
「呪獣が出現したということは、魔種が関与する可能性が高いことの裏付けでもあります」
 呪獣を倒した後は、発動した呪詛……『忌』を探す為、その現場を調査する必要もあるだろう。
 そちらも色々気になるところだが、今は目下の事件の解決が最優先だ。
「それでは、よろしくお願いいたします」
 アクアベルに見送られ、イレギュラーズ達は馬の背に乗り、鬼人種達に捕まって現場上美ヶ原へと急行していくのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 カムイグラの都市部に現れる怨霊討伐を願います。

●目的
 呪獣の撃破。

●概要
 高天京の街中に突如として全長1m程度に膨れ上がったネズミが4体、人々を襲っているようです。
 呪獣は呪詛で媒介として切り刻まれた妖であり、必ずこの背後に魔種がいるものと思われ、呪獣の討伐と合わせて目的を探っておきたいところです。

●敵……呪獣
○旧鼠(きゅうそ)
 全長1~1.5mほど。元は年を経て妖となったネズミです。
 魔種の呪詛によって、その力は非常に強化されております。
 鋭い牙、毒爪、掴みかかり、尻尾での締め付けを行うなど、近距離主体ですが、非常に素早い為、遠距離にいても注意は必須です。

●状況
 昼間、高天原から近い上美ヶ原なる街にて、旧鼠なる呪獣が暴れているという通報がありましたので、まずはこの撃破を願います。

 呪獣となった魔獣は突如登場の後、一所に集まって町の野良犬、野良猫から、人間まで喰らおうとしております。
 現場の大通り周辺からは人は避難しています。できる限り、呪獣達を動かさないようその場で撃破を目指してください。

 事後は発動した呪詛……『忌』が事件を起こした現場を簡単に調べることとなります。
(先の呪獣騒ぎが優先と判断した為、調査地点で十分な情報がありません)
 詳しくはリプレイで描写予定ですが、犠牲者はもう助からないものと思われること、『忌』自体は目的を果たして既に姿が無くなっていることは確かです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <巫蠱の劫>呪いはネズミ算式に!?完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年08月30日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ハロルド(p3p004465)
ウィツィロの守護者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
夜咲紡ぎ
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒き葬牙
バスティス・ナイア(p3p008666)
猫神様の気まぐれ
鐵 祈乃(p3p008762)
穢奈

リプレイ


 馬に乗せてもらい、あるいは自ら操って此岸ノ辺から現地へと向かうイレギュラーズ達。
 すでに、妖の被害が出ているということで、
「意図的に呪術を使用し、我々が対処せねばならぬ物を生み出せる相手……」
 ともなると、対処が後手に回らざるを得ないと、『Black wolf = Acting Baron』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は歯痒さを感じていた様子。
「妖を用いた呪詛……ね」
 呪いをかける為に妖を害し、妖は呪獣となって周囲に被害を与える……。
 元の世界で猫神であった旅人、『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)はそう今回の事態について鑑みて、回りくどくはあるが、二重の混乱を狙うよくできた仕組みだと半ば呆れを通り越して感心すらしてしまう。
「これを考え付いた人は絶対性格が悪いよね」
 ところでと、バスティスは今回の件にちなんで自らの世界で、財宝を餌にして自らの墳墓に強力な呪詛を仕掛けた話を思い出す。
「『王の呪い』って言ってたけれど、あれって結局どうなったのかな」
 その話に興味を持つメンバーもいたようだが、今は急場の事態の収拾が先と考えを切り替える。
「呪詛か……発動方法も恐ろしければ、発動したあとも厄介な類のものだね……」
 かつて病弱で日々書物を読みふけっていたという幻想種の少女、『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)もその存在に危険を感じて。
「放っておけばそれこそどんどん被害が拡大していくだろうし、早いうちに大本を突き止めないと!」
 皆、その意見に同意を示し、現地である上美ヶ原へと駆け込んでいく。

 上美ヶ原は高天原から程近い場所にあり、ベッドタウンとして使用する貴族や下働きの鬼人種なども多く住んでいる。
「「うわああああっ!!」」
 それらの人々が逃げていたのは、妖の出現によるものだ。
 シャアアアアアアッ!
 全長1m以上にも膨れ上がったネズミの妖、旧鼠。
 魔種の呪詛によって、非常に強化されて呪獣となったそれらは目につく野良犬、野良猫を襲い、喰らっていたのだが、駆けつけたイレギュラーズ達も肌でその力を感じていたようだ。
「呪詛ば使って鼠ばこげん大きくしたんやねぇ。野良犬ば喰っておいしかとかね」
 褐色肌に白髪、それに獄相によって左手を巨大化させた少女、『穢奈』鐵 祈乃(p3p008762)が独特の訛りを伴って語る。
「野良犬、野良猫を襲うような鼠……化け鼠というと、旧鼠という所かしらね」
 色白で長い黒髪の和装女性、『月下美人』久住・舞花(p3p005056)が野良の獣をむさぼり喰らう妖どもを見てそう口に出すと、4体のネズミ達が一斉にイレギュラーズ達を見つめる。
「大本を突き止めるためにも、まずは目の前のことを片付けるよ!」「ああ、まずはこの呪獣どもを血祭りにあげてやろうじゃないか」
 アレクシアに続き、異世界の勇者……もとい聖剣使いである、『病魔を通さぬ翼十字』ハロルド(p3p004465)も馬から降りて敵へと近づく。
 仲間についていく死霊使いの幻想種女性、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)は接敵する間に、『ヨハナからアイリスへの預言書』を取り出して開いていた。
「呪を与えられた鼠……何の目的で今回の騒ぎを、呪を行ったのか」 異世界の文字録保管者、『妖精譚の記録者』リンディス=クァドラータ(p3p007979)にとっては今回もまた記録すべき事件なのだが、その全容を探る前にまずは呪獣どもの対処へと当たる。
 何者かの目的が果たされ、犠牲者が出ているのは間違いないのだが……。
「悔やんでも悔やみきれんが、我々にできることはまだ残されている」
 先ずはあの呪獣を仕留める。ベネディクトの意見に皆相違はない。
「まぁ、まずはここで仕留めんとどげんしようもなかやろうし、こっちば向いとうけん相手せんといかんよね」
 祈乃が言うとおり、旧鼠どもはじりじりとこちらとの間合いをはかっており、いつ飛び出してきてもおかしくはない。
「魔種……この世界の『癌』どもが、皆殺しにしてやる」
 そんなハロルドの挑発を受け、旧鼠は一斉にイレギュラーズ達へと駆け出してきたのだった。


 シャアアアアアアッ!
 街を駆けてくる4体の旧鼠達は殺気を放つメンバー達を敵視して襲い来る。
「──手筈は打ち合わせの通りに」
 この街へと向かってくる短い間に取り決めた段取りをベネディクトが確認すると、メンバー達は散開して旧鼠達の引き付け、討伐へと当たり始める。
「ははははっ! 聖都神殿騎士ハロルド! ここに推参、ってなぁ!」
 高らかに自らの存在を示すハロルドは、アバターカレイドアクセラレーションを使って自らの力を高めていく。
「さぁ、仲良く殺し合おうじゃねぇか!」
 ただ、ハロルドが一定範囲の敵を纏めて気を引く手はずとなっていたのだが、スキルに難があったのか、彼は個別に闘気を圧縮させた青い刃で旧鼠の機を引くこととなる。
「先ずは呪獣を全て始末しましょう」
 全て逃がさず、仕留めるべきと舞花も認識して名乗り口上を上げ、この場の旧鼠全ての注意を引きつけようとする。
 メンバー達も旧鼠をこの場で抑えようと、包囲網を敷いていく。
「余計な被害を増やさないように……」
 リンディスは重傷の身ではあったが、この場から外へと旧鼠を逃がさぬようフリーとなった相手の侵攻を止める。
 その際、勇者の物語の加護を自らへと与え、負担を軽減する鏡のような力を付与し、リンディスはできる限り多くの仲間を支援できる位置で敵の抑えに当たろうとする。
 しかしながら、旧鼠の動きは想像以上に素早く、イレギュラーズ達の想定していた布陣をかき乱す。
「こげん大きくなっとうばってん、素早いねぇ。攻撃、当たるとよかね……」
 威力でちまちまやるよりは大技でさっさと仕留めたいと、祈乃は衝撃波を帯びた拳の一撃で仲間の抑える敵を叩こうとする。
 しかし、素早い敵は自律戦闘人形・マグダラの罪十字を起動させたアイリスを執拗に狙ってくる。
 彼女も体力気力を奪いながら交戦するが、相手の掴みかかりから鋭い牙へと流れるような旧鼠の攻撃に押されてしまい、喉笛を食らいつかれてしまった。
 アイリスは早くもパンドラを使って堪え、十字架の顔の修道女人形を前線に押し出しで交戦を再開する。
 敵の攻撃が集まり、疲弊する彼女にはバスティスが調和の力を使って体力の回復に動いていた。
 バスティスは相手の毒の爪や尻尾の締め付けと、仲間が異常によって満足に戦えぬ状態となるのを避け、紫苑に当たる。
 ともあれ、今は鼠をイレギュラーズ達の包囲から逃さぬよう立ち回るのが最優先。
 毒耐性を持つアレクシアは相手の数を減らすべく、仲間の攻撃が集中する1体へと魔力で生み出した黄色く小さな花弁を浴びせかけていく。
 だが、相手は思った以上にタフなようだ。長く生きて妖となった旧鼠なだけに、しぶとさも備えているのだろう。
「これ以上、お前達にこの場を荒らさせる心算は無い……!」
 ベネディクトはイレギュラーズ達が抑えてなお、自由に立ち回ってメンバー達へと攻め立ててくる敵へと飛び掛かってくる敵を何とか抑え、遠心力を槍の一撃に加えて痛打を与える。
 ようやく効果的な一撃を加えることができ、安堵を見せるベネディクトだ。
「元が妖である以上、油断も慢心も俺達には無い」
 シャアアァァ……。
 とはいえ、爛々と目を輝かせる旧鼠達は、イレギュラーズ達が細心の注意を払ってなお、僅かな隙も見逃さずについてくるのである。


 ほとんど事前準備の時間もなく交戦せねばならなかった状況もあり、ローレットイレギュラーズ達も作戦を練ることが難しかったのは間違いない。
 シャアアアアアアア!!
 ハロルドや舞花による呪獣となった旧鼠の引き付けが思った以上に上手くいかない部分もあり、敵は我が物顔で戦場を駆け回る。
 ただ、死者の怨念を一条に束ねたアイリスが穿った矢で弱らせれば、祈乃がそいつを仕留めるべく飛び上がって。
「どげんしても逃がさんばい」
 空中で一回転した彼女は急降下と共に鋭角で蹴りを叩き込み、旧鼠の体を抉る。
 大きく目を見開いた敵はようやく、その体を地面へと横たえた。
 しかし、着地した祈乃へと飛び掛かる別の旧鼠。
 不意を突かれた形になった彼女は敵に牙を突き立てられてしまう。
 深々とその牙は祈乃の首に。意識が途絶えかけた彼女は運命の力を少し砕いて抵抗し、その旧鼠を振りほどく。
 深く傷つく仲間の状態を見たリンディスがすぐさま癒し手達の記録を励起することで、彼女の傷を癒しに当たる。
 また、アイリスもかなり狙われていた。
 相手の生命力を奪いつつ、なんとか場を持たせようとしていたが、旧鼠はそんな彼女を嘲笑うかのように飛び掛かる。
 長い尻尾で強く首を絞められてしまい、アイリスはその場に倒れて動かなくなってしまった。

 思った以上に敵の引き付けに苦慮する仲間達を見ていたアレクシアは、仲間達が苦しむ状況もあって赤き花の如き魔力塊を形作る。
 魔力を拡散させたアレクシアは敵の注意を引き、しばらく敵の注意の引き付けに当たる。
 一方、ハロルドは個別に敵の引き付けを続ける形となり、思った以上に壁として機能できずに歯痒さも感じていたようだ。
 ただ、舞花やアレクシアも敵の引き付けに当たっていることもあり、ハロルドは彼女達と挟み込む形で敵の動きをなんとか制しようとする。
「毒? 締め付け? やれるものならやってみろ!」
 抵抗力は高いハロルドだ。多少旧鼠が小細工を仕掛けて来ようとも、彼は涼しい顔をして闘気を圧縮して生成した透明な青い刃で敵の体を切り裂いていく。
 追撃をかけるのはベネディクトだ。
 彼は相手が妙な挙動をとるかもしれないと身構えながらも、膨張した黒の大顎を形作って。
「食らうのが自分の専売特許だと思わないことだな」
 その顎に噛み砕かれた旧鼠は白目を向き、力なく地面へと崩れ落ちていく。
 仲間達の疲弊が大きいこともあり、バスティスは終始回復に立ち回る。
 自らの回復以上の攻撃力が旧鼠にあることを察していたバスティスではあるが、それでも、調和の力を賦活のそれへと変えていただけではない。
 バスティスは効率的に仲間達の傷を塞ぐことができるようにと、仲間達へと天使の福音をもたらし、安らぎを与えていく。
 その間に、イレギュラーズ達も少しずつエンジンがかかってきたようで、抑えに当たっていた舞花が神速の踏み込みと同時に迅雷の一撃を繰り出す。
 舞花の振るった刃は紫電を纏い、前方にいた旧鼠の体を灼き払う。
 駆け巡る雷に苦しみ悶える敵に向けて、舞花はさらに刀身に気を込め、閃雷の太刀で完全に体を断ち切ってしまった。
 残りが1体となれば、多少速く動き回ろうとも、メンバー達の抑えがしっかりと機能する。
 敵の焦りをリーディングによって察したリンディス。
「一気に畳みかけましょう」
 イレギュラーズ達はリンディスの一声で包囲網を狭めていき、攻撃の手を強める。
 相手の気を強く引いていたアレクシアは、生成した魔力塊を黄色く小さな花へと変えて旧鼠の体を撃ち抜く。
 シャアァァ……。
 弱々しく一声鳴いた最後の旧鼠は瞳を閉じたのだった。


 呪獣となった旧鼠は殲滅したが、イレギュラーズ達の仕事はある意味ここからが本番だ。
「この鼠、一度殺されて呪詛で化物にされたんやろうかね?」
 呪詛なら何か痕跡が残っているのだろうかと、祈乃が実際の現場に向かうことを提案するが、先にこの旧鼠の依頼をメンバーは調べることにして。
「呪詛を掛けるには妖を刻む必要がある……ということは、何かしら手を掛けた痕跡が残ってるかもしれない」
 アレクシアやベネディクトが遺体を見ていくと、その身体に大きな刃で傷つけられたような跡が残っていた。
「何か仕掛けられているようには見えないが……」
 傷をつけたのは魔種だろうとベネディクトは推察するが、生憎と専門的な知識のない彼にはその確信までは持てない。
 なお、アナザーアナライズを使っていたアレクシアだが、残念ながら追加の情報は得られなかったようだ。
「呪術を行った以上、呪をかけた人、かけられた人がいる……と言うことだよね?」
 そこで、仲間達に確認をとったバスティスが倒した旧鼠達の霊魂に意思疎通を試みる。
「どこで君たちが呪獣になったのか教えてくれるかい?」
 その案内はしてくれそうだが、その前にとアレクシアもギフトによって旧鼠の記憶をたどろうと試みる。
「……どこかの蔵? 旧鼠に何者かが氷の刃で傷を……そして、『忌』が飛び出して……」
 断片的な情報しかないが、身に伴う苦痛が限界に達した為、アレクシアはやむなくそこでギフトの使用を止めた。
「下手人はこの近くにいるのかな?」
 バスティスが改めて案内されながらその蔵へと向かうが、残念がら霊魂達は揃って否定の意を示していた。

 その後、一行は町中から旧鼠の遺体を運びつつその霊魂の示す場所へ。
 呪詛が生み出された場所……蔵はとある商売人の自宅のもの。
 しかし、主である精霊種はどうやら事件直前から行方を眩ませており、事件の関与が疑われる。
「実験ばしとうち思ったばって、違うとったようやね」
 祈乃は徐々に呪詛を発展させて最終的に相手を狙う……と言った状況を想像していたが、地面に紋様、呪符のような噛み切れといったものが全く見当たらない。
 その代わりに壁や床にこびりついた黒い血の跡。それらは明確に、『忌』を生み出すべく妖である旧鼠を手にかけているのは状況的に分かる。
「痕跡ばこれだけ残しとって、よっぽど切羽詰まっとったんやろうね」
 祈乃は状況を見ても、解呪の方法の手がかりすら得られなかったようである。
「旧鼠は囮かと思っていたのだけれど……、これじゃ『忌』の発動によって生まれた副産物って感じね」
 状況から、舞花は推論を巡らす。
 『忌』は独立して蔵を破壊し、一直線に目的の人物の元へと向かったと思われる。残された旧鼠の遺体が呪獣となり、そちらは好き勝手に暴れ始めた。
「そんな所かしら」
 舞花の考えは他のメンバーからもほとんど異論は出なかったようだ。
 なお、リンディスの提案もあり、鼠達の遺体は街の裏手側に埋め、弔ってから次なる調査地点へと向かう。

 最後は、被害者宅。『忌』が発動した現場だ。
 聞き込みをしていたハロルドが街の自警を行う鬼人種達と連携を取り、家宅捜査を行う段取りを整えていた。
「被害者は1人だけ……か」
「行方不明になった精霊種男性と被害者は、普段から揉め事を繰り返していたようだ」
 ベネディクトが見たのは、夜、壁を蹴破った『忌』が寝ていた精霊種男性を食い殺したという現場。
 被害者男性の布団は赤いモノがぶちまけられる状況だったにもかかわらず、隣で寝ていた妻は血こそ浴びたものの怪我一つなく無事であったという。……もっとも、精神的なものはお察しな状態だが。
 物品などの強奪は一切なし。被害者男性のみ殺害した『忌』は逃亡。
「非常に分かり易いですね。どの状況証拠もそれとしか判断できないくらいに」
 リンディスは一直線に部屋の壁が2ヵ所破壊されているのを確認する。
 他にもリンディスは調査を進めていたが、目的は明らかに被害者の殺害。それ以外に考えられないと判断する。
「鴉達はものすごい勢いで駆ける『忌』を見たそうです。……それに、霊魂がネズミの獣人の姿をした巨体が被害者男性を……」
 意識を取り戻したアイリスも重傷に陥ってはいたが、ギフトやスキルを駆使して情報を集めて仲間達へと伝えてくれる。
「逃亡した『忌』と魔種の動向がつかめないね……」
 事件が起きたのが夜とあって、これだけ分かり易い事件だったにもかかわらず、その行方が分からないとアレクシアが告げる。
「加害者は最近、人が変わったように凍てつくような殺気を感じさせていたって話ね」
 舞花もまた、そんな話を関係者から聞きだしていた。
「芙蓉。君ならば呪術で解ることもあるのではないか?」
 ベネディクトは関係者である朝霧 芙蓉と合流し、状況を伝える。
「妖の肉体を切り刻み、その血肉を用いて相手に呪術をかけるという呪い……最近、流行の兆しを見せています」
 他にも似たような事件が起こっていると芙蓉は話す。今回の一件は模倣なのか、それとも……。
「もう少し情報を集めよう」
「ああ、僅かでも手がかりを得ることができれば……。この国に暗躍する者達に一泡噴かせてやろう」
 もう少し調査を進める意向のハロルドに同意し、ベネディクトはこの事件の黒幕……魔種の討伐に強い意欲を見せていたのだった。

成否

成功

MVP

アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女

状態異常

アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)[重傷]
<不正義>を知る者

あとがき

 リプレイ公開です。
 MVPは戦闘での引き付けのフォロー、事後の情報収集と幅広く活躍を見せたあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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