シナリオ詳細
<巫蠱の劫>引き裂かれし、人と妖
オープニング
●幸せな夕餉、幸せな夜は壊されて
神威神楽のとある田舎、山の斜面に開いた洞穴の中で、一組の夫婦が幸せそうに西瓜を食べている。
「ふぅ、食った食った……しかし、まだ半分も残っているな」
「では、明日の楽しみと致しましょう? ここなら、温くなることもありませぬ故」
何処にでもいそうな、朴訥な田舎者と言った風情の男が腹を撫でてごろりと横になる。土の上に敷いた板張りの床が、ひんやりと冷えていて心地よい。
女はそんな男の様を幸せそうに見やりつつ、幸せそうに微笑んだ。整った容姿の美人であるが、それ以上に髪も肌の色も白いことが見るものの眼を引くであろう。その白さは、女が雪女と呼ばれる妖であることに起因していた。
人と妖でありながら、二人は恋に落ち、結ばれた。そして、雪女にとって大敵である日差しを凌げるこの洞穴で、共に暮らしているというわけである。
――だが、そこに無粋な闖入者が現れた。どやどやと、十人ばかりの武士が入ってきたのだ。
「な、何だ。あんたらは!」
「貴様などに語る必要は無い! おい、連れて行け!」
「な、何をするんだ! 雪は外に出たら――」
「やかましい!」
「うぅ……し、白雪……」
雪女を連れて行こうとする武士達を男は止めようとするが、邪魔立ては許さぬとばかりに袋だたきにされ、意識を失う。
「だ、旦那様ぁ……!」
涙を流しながら雪女は男を見るが、既に縛り上げられ自由の効かない身体では如何することも出来なかった……。
●重傷の依頼人に成り代わり
「豊穣で、攫われた女性の救出をお願いします!」
『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)が、ローレットでたむろするイレギュラーズ達の前に、慌ただしく駆け込んできた。普段はだらだらしている勘蔵が息せき切って走ってくるあたり、余程急ぎの依頼であるようだ。
息が整うのを待つのも惜しいのか、ぜいぜいはあはあと荒い息交じりに、攫われた女性とは雪女であり、依頼人はその夫であると勘蔵は告げる。
「おそらく、その雪女は呪詛に使われるものと見られています」
――夏祭り以降、高天京では呪詛による祟りが頻発していた。呪詛は夜半に妖の身体を苛むことによって、その妖の姿となった呪いである『忌』が相手に降りかかるというものである。そして、呪詛の媒介とされた妖が『呪獣』となって無差別に人を襲うという事件も、同時に発生していた。
呪詛に用いられれば、雪女が酷く傷つけられることは想像に難くない。まして、救出が遅れれば『呪獣』として無差別に人々に襲いかかるだけの存在となってしまうだろう。そうなれば戦って止めるしか無いが、命の保証は出来ない。
「願わくば、呪詛に用いられる前に――仮に間に合わなかったとしても、命だけは何とか、助けて下さい。傷が深くここに来ることも出来ない依頼主に代わり――どうか、よろしくお願いします」
静かな、しかしはっきりとした口調で勘蔵はそう告げると共に、深く頭を下げて依頼を受ける者を募るのだった。
●苛まれんとする贄
旦那様と引き離されてから、私は一日中蒸し暑い部屋の中で転がされていました。陽光に当たらずとも、夏の暑気は雪妖である私の身体から力を奪っていきます。
夜になってから、ぐったりしている私の前に邪な笑みを湛えた男が灯りを持って現れました。男は床に転がっている私の両腕を引っ張り上げると、天井から吊り下げた縄に結わえ付けます。
「……待たせたのう。犯さずにいるのはもったいないくらいだが、貴様には儂の呪(まじな)いの贄となってもらうぞ」
男は私の着物をはだけさせ、乳房を露わにすると、絡みつくように視線を向けてきます。旦那様以外の者に見られてたことが悔しくてならず、ふいと顔を背けた私に男は言いました。
「そんな態度を取っておれるのも今のうちよ。その乳房、針で突き刺してやろうか、鋸で切り落としてやろうか。ああ、股ぐらにこれをねじ込んでやるのも良いやも知れんな」
その言葉につい男の方に視線を戻すと、杭のような大きさの鋭い針、ギザギザの刃が付いた鋸――そして、先端が灼けて赤くなっている鉄の棒が私の目に入ってきました。
カタカタと、私の身体は恐怖と絶望に震えます。一体、私の身にこれから何が……。
「――ああ、旦那様……」
ご無事でしょうか。今頃、どうしておられますでしょうか。西瓜の残り半分も、旦那様と共に食べとうございました……。
- <巫蠱の劫>引き裂かれし、人と妖完了
- GM名緑城雄山
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年08月29日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●許されざる所業
深夜の高天京を、イレギュラーズ達は駆ける。豊穣の貴族に捕えられ、呪詛の贄にされようとする雪女、白雪を救出するためだ。贄にされた妖は『呪獣』として無差別に暴れ回る存在になりかねず、そうでなかったとしても拷問のようなやり口で苛まれるのであるから、速やかに救出したいところであった。
「こんなむごいこと、許されていいわけがないよ。
妖とはいえ、なんの迷惑もかけずにひっそり暮らしていただけだよね……」
何の罪もない雪女を夫から引き離して捕え、呪詛のために贄とする。その所業に憤る『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)はギリ、と歯を軋ませてつぶやいた。
(呪詛の生贄……そんな理不尽な行為を実行させるわけにはいかないわね。
必ず助け出してみせるわ!)
チャロロのつぶやきを耳にした『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は、貴族の所業を阻止し白雪を救出するべく、改めて意を固く決する。
「人と妖怪……異なる種族であろうと愛し合う夫婦を引き裂く悪の貴族……ええ! そんな輩は貴族と呼ぶに非ず! ただの下種だよ!
全く、どうして豊穣の貴族は下種屑が多いのか……我が主を見習ってほしい!」
「――ホントに、下種よね。
自らを貴族と称するならば、その行いで正しさを示して欲しいモノよ」
矢萩 美咲(p3p008713)も、貴族の所業に憤懣やるかたない様子だ。特異運命座標になるまでも人知れず悪を討ってきたこともあってか、美咲は豊穣の貴族には悪印象が強かった。その美咲に同意したのは、『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)である。正道どころか邪道としか言えないその所業に、竜胆は呆れたように嘆息してみせた。
「……胸糞が悪い。なんて、口が悪いと怒られてしまいますかしら。
幸せを奪うなら、奪われる覚悟がある者だけにするべきですわ?」
『星を墜とす者』星穹(p3p008330)が、吐き捨てた。否、内心を吐露したが、不器用で口下手である故か吐き捨てたように聞こえたと言う方が正確であっただろう。だが、誰も星穹を咎めはしない。多かれ少なかれ、同様の感情は皆抱いてはいるのだ。
(嗚呼、大丈夫よなんて言えない、から)
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は、混沌に来る前の出来事を想起して、胸に痛みを覚える。
「神がそれを望まれる」
だからこそ、自身に為しうる限りのことを為す。イーリンは、決然として独語した。
「拠点突入&救出とか面倒の極みじゃないですかやだー……」
「ああ、確かに面倒だな」
「……冗談ですよ?」
「わかっているさ」
軽口を叩く『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)に、『聖断刃』ハロルド(p3p004465)が大真面目に応じる。確かに、今回のような依頼は単純な討伐とは違って、敵地の中に乗り込む上に救出対象の安全を考えねばならないため、世界の言も事実としては間違っていない。
もっとも、世界も本気で嫌だと思っているわけではないし、それはハロルドにもわかっている。だから、冗談だと言う世界にハロルドは笑って返してみせた。
●表門、突破
「こんばんは。ちょっといいかしら?」
「私たち神使の者なんだけど、仕事帰りに道に迷っちゃって――」
貴族の屋敷に到着したところで、イナリとイーリンが道に迷った通りすがりを装い、表門を警護する武士達に接近する。『神使』の単語が出たところで、武士達は一瞬ピクリと顔をしかめた。その反応を、二人とも見逃しはしない。
「ああ、それなら――」
リーダーらしき武士が、面倒くさそうに道を教える。この場から去らせたいと言う空気が、ありありと出ていた。
「ありがとう。ついでにもう一つ聞きたいのだけど、いい?」
「――雪女が、どこに居るか知らない?」
続けての問いに、今度はリーダーの顔色がさっと変わった。
(――まずい! 聖剣リーゼロットよ、結界を!)
リーダーが、叫ぼうとしている。他の武士達を呼ぼうとしているのだろう。物陰から様子を見ていたハロルドが、聖剣リーゼロットを地面に突き立てる。
瞬間、聖剣を中心に結界が展開された。この結界は、混沌においては音や匂いを外に漏らさない機能を持つ。
「出会え! 出会ええ!」
リーダーの叫びは、結界の中に閉じ込められた。これで、戦いの喧噪も増援を呼ぶ声も、外に漏れることはない。
「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女!」
世界は、『儀典・占事略决』を取り出して空中に浮かせると、呪言を唱えつつ両手で印を結ぶ。ぼう、と『儀典・占事略决』が光ったかと思うと、そこから放たれた光がイレギュラーズ達に宿り、力を与えた。
「ここは、通らせてもらうよ!」
「悪いね、君達の命まで面倒見てられないんだ」
チャロロが武士の一人に対して、『機煌宝剣・二式』を叩き付けるように振るう。同時に、武士の背後に回り込んだ美咲が『不知火』で斬りつけた。
「がはっ!」
前後から同時に斬りつけられた武士は、大量の血を吐くと意識を手放してその場に倒れ伏す。
「貴方の主人の悪行は、貴方にも不幸をもたらしますわ。ほら、裁きの刃がすぐそこに――」
「推して通るわよ。手加減はしないわ」
「がっ……!」
星穹が、何処からともなく不穏な囁きを発生させて、別の武士の気勢を削ぐ。囁きに惑った隙を衝かれた武士は、竜胆の邪剣に三度貫かれる。胴と左右の太股を貫かれた武士は、急速に血を失って昏倒した。
武士達は反撃を試みるも、誰一人イレギュラーズに傷を負わせることは出来なかった。そして八対三と数で不利に立たされた武士達は、程なくして全員が倒された。
(さて、ここからは時間稼ぎね)
表門の内側に陣取ったイナリは、『鉄条薔薇の種』を表門の下に捲くと、瞬く間に育て上げて鉄条薔薇によるバリケードを構築する。
「御用改めである! この家は通行人であった私を襲った罪がある! 家長は誰か!」
イナリのバリケード構築を確認したイーリンは、戦旗『紅い依代の剣・果薙』の石突を地面に突き立て、高らかに叫んだ。
二人が担うのは、他のイレギュラーズ達の潜入から貴族や武士達の目をそらすための陽動と、白雪救出後の退路の確保である。二人は迫り来るはずの武士達を、その場で待った。
イナリとイーリンを除く六人は、表門を抜けたら二手に分かれて白雪を捜索する手筈だった。だが、分かれる直前。
キィィィン! 世界の持つ超小型感応共振端末が振動する。
「これは――そうか!」
強化された世界の直感が、白雪の位置を探り当てる。
「うっ……オイラ、白雪さんを感じたよ!」
「ええ、これは恐怖と苦痛……それも、こんなにも強い……!」
「ああ、アタイにもわかったよ!」
同時に、チャロロと竜胆、美咲も助けを求める白雪の心を、あるいは白雪の抱いている感情を察知する。
「――大体、この辺りですわね」
四人から白雪の位置を聞き出した星穹が、ファミリアーである梟をその上へと飛ばす。
「よし! 突っ込むぞ!」
梟の位置を視認したハロルドを先頭に、六人は屋敷の中へと突入していった。
●救出!
「何だ、これは!」
それが、鉄条薔薇によるバリケードを目撃した武士達の第一声であった。表門以外の警護をしていたところ、イーリンの叫びを聞きつけて表門に駆けつけてくれば、表門の警護をしていた同僚達は倒され、不可思議な障害物が屋敷の中への進入を阻んでいる。驚愕するのも、無理のない話であった。
「ええい、射殺せ!」
バリケードの突破は難しいと判断した武士達は、矢をつがえてヒョウと放つ。イナリは二本をひらりと躱し、イーリンは三本を『紅い依代の剣・果薙』で叩き落とした。
五人の武士達を待っていたのは、熾烈な反撃だった。
「迦具土神よ――」
イナリは異界の火の神、迦具土神を自身の身体に降ろすと、その熱量を迸る無数の熱線と化して武士達に浴びせかけた。
「ぐああっ!」
「ぎゃあっ!」
熱線を避けきれず、火傷を負った武士達が苦しみ悶える。だが、武士達の受難はそれでは終わらなかった。
「ごふっ!?」
突如、武士達の一人が血を吐いて倒れる。イーリンの魔眼に照らされたその武士は、背後から魔力の刃に刺されたのだ。
距離を取っていては危険と判断した武士達はやむなくバリケードを突破せんとするが、鉄条薔薇に足を止められているところに一人一人各個撃破され、全滅した。
「こっちは、こんなものかしらね。中の方は、どうなっているのかしら」
「きっと、上手く行っているはずよ」
イーリンが、屋敷の中の方へと視線を向けてつぶやく。期待と信頼を半々に抱きながら、イナリは応じた。
一方、屋敷の中に突入したイレギュラーズ達は、呪詛が行われている部屋へと駆けつけた。そこで彼らが目の当たりにしたのは、醜い笑みを浮かべた貴族が身動きの取れない白雪の胸に鉄の杭を打ち付けている姿だった。鉄の杭は白雪の胸に深く食い込んでおり、それが肺を傷つけたのか白雪は口から紅い血を垂れ流していた。
「下……衆がぁっ!」
その姿に、ハロルドは激しい憤怒を抱いた。同時に、ハロルドの姿がぼやける。否、ハロルドにハロルドの姿が重なったのだ。あり得た可能性を自身の姿として身に纏ったハロルドは、闘気を蒼く透明な刃と換えて、次々と撃ち放った。
「ぎゃああっ!」
次々と刃に貫かれた貴族は、自身から流れ出た血溜りの中に倒れ伏した。
「こんなの……酷いよ!」
チャロロは白雪へと駆け寄ると、両手を拘束する縄を外し、ぐったりとしたした白雪の身体を受け止める。
「――うあっ!」
だが、あまりの冷たさにチャロロは思わず叫び、雪女の身体を取り落としそうになる。雪女だから冷たいのは仕方ないにしても、受け止めた腕が凍てつくほどだ。
「どう言うこと? ……夏なのに、凍えそうなくらい寒い」
白雪に着せるつもりで上着を用意した竜胆が、ぞくりと身体を震わせた。
「命の危機に、妖力が暴走しているんだ。このままでは、『呪獣』になってしまう」
「そんな……如何にかならないの?」
「まだ間に合う。呼びかけて、意識を呼び戻すんだ。傷の方は何とかする」
竜胆の疑問に、直感で状況を理解した世界が答えた。
「もう、大丈夫よ! 私達は神使。アンタを助けに来たのよ!」
(だが……傷が深い。一気に引き抜いたら、大出血しかねないぞ)
手が凍傷を負いそうなのも構わず、竜胆は白雪の手を取って呼びかける。一方、世界は慎重に少しずつ杭を引き抜きながら、調和の力による癒やしを施していった。
「白雪様、お気を確かに……貴女を待つ方が居ますわ。どうか気を強く持たれてください」
杭を引き抜く役を世界から引き継いだ星穹は、世界と同様に慎重に杭を引き抜きつつその心へ呼びかける。
「……だ……な……ま……」
ふと、白雪の口から微かに言葉が漏れる。途切れ途切れではあっても、それは間違いなく愛する良人を呼ぶ声。
「そうだよ! その旦那さんから助けて欲しいと頼まれたんだ! しっかりして! 白雪さん!
無事に帰って……残った半分の西瓜を食べるんでしょう!」
「だんな、さま……すいか……」
迷わずにもう片方の手を取った美咲が、白雪の掌を両の掌で包み込みつつ、ここぞとばかりに呼びかける。ここまで戻ってきているのだ、あともう少し。呪獣なんかに、させはしない!
必死に呼びかける美咲の想いは、通じた。苦しそうではあるものの、良人と、良人と共に食べるはずだった西瓜のことを口にした白雪は、はっきりと意識を取り戻した。凍えるような寒さは収まり、白雪の体温も人からすれば冷たいレベルにまで戻った。
●後日
「お見舞いの西瓜、喜んでくれるかな?」
「きっと、喜んでくれる……はずだ」
大きめのクーラーボックスを肩にかけながら歩くハロルドに、チャロロは尋ねる。ハロルドは、優しく微笑みながらチャロロに答えた。
――白雪の救出は、成功した。その後、貴族の屋敷から脱出するまで、イレギュラーズ達を阻むものはなかった。だが、白雪の傷は深すぎて、依頼人の元に戻して終わりとは行かなかった。依頼人にしても、白雪が連れ去られた際の殴打による傷が深く、そのままでは危険だった。
結果、イレギュラーズ達は情報屋と相談し、二人を信頼出来る診療所で療養させることにした。そして、二人の容態がある程度落ち着いたと知らされたので、見舞いに出向いたというわけである。
「……この度は、何とお礼を申し上げてよいやら」
「私達を助けて頂き、本当にありがとうございます」
「無理に身体を起こそうとしないでいいから、楽にしていて頂戴」
一行の姿を認めた二人は、礼を述べつつ身体を起こそうとする。それを、イーリンが制した。
「もう、大丈夫そうだね」
「ええ、おかげさまで」
傷の重さを感じさせない白雪の様子に、世界はホッと胸を撫で下ろす。憔悴するまで癒やしを施し続けた身として、その後は気になっていたのだ。
「これは、お見舞いね。良く冷えているわ」
イナリがクーラーボックスの中から、西瓜を取り出す。西瓜はクーラーボックスに敷き詰められた氷によって冷やされていたのだ。
「ありがとうございます。せっかくですから、今頂いてもいいですか?」
「皆さんも、どうぞご一緒に。私達だけでは、食べきれませんから」
「そう? じゃあ、ありがたくお相伴に預かるよ」
「それなら、すぐに切って来ますわ」
二人の勧め――特に白雪の微笑みながらの――を、美咲は受け容れることにする。それならばと、星穹は西瓜を持って台所を借りに行った。
やがて、カットされた西瓜が運ばれてくる。最初に依頼人と白雪が、そしてイレギュラーズ達が次々と手に取って、シャクシャクと食べていった。
(この西瓜、美味しいわね。でも、この美味しさはきっと――)
西瓜だけの美味しさではなく、目の前で幸せそうにしている二人を救い得たからこその美味しさなのだろう。竜胆はそう感じながら、西瓜と共にこの時間をよく味わったのだった――。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
シナリオへのご参加、どうもありがとうございました。また、リプレイ執筆が遅くなりまして、大変申し訳ございませんでした。
さて、白雪は重い傷を受けたものの、呪獣になることなく救出されました。シナリオの設定としてどんなにイレギュラーズ達が早くとも無傷で白雪が救出されることはないと決めておりましたので、これはベストでこそないもののベストに近いベターくらいの結果となります。
白雪を無事に救出するために、いろいろアイデアを練って下さってありがとうございました。非戦スキルが充実しており携行品での強化もあったため、けっきょくは実行の前に白雪の位置が判明した扱いとしましたが、三角測量なんてものが出てきたのにはびっくりしました。
本当に、お疲れ様でした。
GMコメント
どうもこんにちは、緑城雄山です。
今回は、攫われた雪女の救出をお願い致します。
●成功条件
雪女(白雪)の救出
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●ロケーション
高天京にある、とある貴族の邸宅です。
この屋敷の何処かで呪詛が行われています。
まず表にいる武士達をどうにかして中に入り、呪詛が行われている部屋を探し当てる必要があります。
屋敷の建物はいずれも平屋ですが、いくつかの棟が廊下で繋がっていて広くなっています。
・表門
門の外で、5人ほどの武士がかがり火を焚いて侵入者に備えています。
いずれも腰に刀、肩に弓を装備しており、遠近共に対応出来ます。
・屋敷の中
この中の何処かに、呪詛が行われている部屋があります。
それを探し当てねばなりません。灯り等はなく、真っ暗です。
OPで灯りを灯している描写がありますが、その光は建物の外には漏れていません。
・武士 ✕10?
呪詛の主である貴族に使われている武士達です。
表門を警護している他にも、屋敷を警護している者がいると見られています。
●白雪
呪詛の媒介として貴族に攫われた雪女です。非常に衰弱しています。
救出が遅れれば、『呪獣』と化す可能性があります。
もし『呪獣』となった場合、戦闘不能にするしか止める方法は無く、【不殺】以外で戦闘不能にした場合は衰弱もあって確実に死亡します。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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