シナリオ詳細
繁殖せし魔草の脅威
オープニング
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カムイグラの夏祭りで出回っていた怪しげな呪具。
それらはあちらこちらへと運ばれ、様々な肉腫を生み出したという情報は記憶に新しい。
運搬の際に、ぽろりと地面へと落ちることだってあっただろう。
呪具を見つけられないということはなく、それは回収されて目的地へと運ばれただろうが、問題はそこではない。
呪具は場合によっては様々な生物を狂暴化させる。犬や猫、鳥、植物まで。道端の雑草とて、その例外ではないのだ。
わらわら、わらわら……。
力を持ってしまった雑草は大きく膨れ上がる。
その根は大きく伸びて蔓触手状に相手へと絡みつき、光合成する為の草は長く鋭い刃となって邪魔な相手を切り裂いてしまう。
普段は気にも留められない雑草だが、人々にとって思わぬ外敵となってしまうのである……。
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カムイグラ此岸ノ辺。
この地が大陸との懸け橋となっていることもあり、豊穣での依頼においてローレットイレギュラーズとの待ち合わせ場所になることは珍しくない。
「肉腫関連の討伐依頼です」
『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がやってきたメンバー達へと笑顔を見せるが、すぐに真顔になって説明を始める。
カムイグラで頻発する動植物の狂暴化。
時に妖怪、魔物の如く暴れるそれらは、肉腫によるものである事が分かってきている。
「とはいえ、強力な純正とは違って、複製であることがほとんどですね」
ただ、それらが人に害なすことに変わりなく、ごくまれにだが感染によって肉腫を増やすこともあるという。
それらを踏まえての今回の依頼なのだが、ある意味で恐ろしい相手である。
「どうやら、道端の雑草が肉腫化してしまったようです」
普段はなんてこともない雑草であり、多少踏まれた程度であればまた成長する力強さを表す象徴であるが、これが力を持ってしまうとかなり厄介な存在となる。
豊穣の街と街の間の街道にて、怪物化した雑草が暴れており、一時的に街道が封鎖されている。
このまま被害を抑えられればいいが、さすがに街道を封鎖されたままでは人々の生活に影響が出てしまう。
また、何より雑草は繁殖するもの。肉腫化した雑草が増えてしまうのだけは避けたい。
「現状は6体程度だと言いますが、念の為、それらを駆除した後は出現した付近の雑草は焼いておいた方がいいと思います」
ある意味で雑草には可哀想なことになるが、これも未然に事件を防ぐ為だと割り切って対処に当たりたい。
事後は報告がてら街に戻ることになるが、その際、街道を封鎖していた人々が冷やした瓜を用意してくれる。
ほんのりと甘く冷たい瓜を食べつつ、涼をとるといいだろう。
「日差しの強い中ですからね。こうした楽しみもあっていいと思います」
アクアベルは笑顔を浮かべ、そう説明を締めくくったのだった。
- 繁殖せし魔草の脅威完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年07月31日 22時55分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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豊穣の地にも夏は訪れる。
あちらこちらからセミの声が聞こえ始める中、幻想からやってきた一団が歩いていて。
「あぁ、暑い暑い……」
じりじりと照り付けてくる太陽に、つり目ポニーテールの『蒼海の語部』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が汗だくになり、げんなりとしていた。
「この猛暑の中で草むしりとは、この年になると中々辛いものがあるでござるなぁ」
今回の依頼は炎天下で行わねばならない。咲耶がそんな態度をとるのも無理もないことだろう。
「以前は竹、今回は雑草。何やら植物と縁がある気がするな」
人形を連れた忍者と言った風体の『章姫と一緒』黒影 鬼灯(p3p007949)は豊穣の地で植物関連の依頼に続けて参加している。
咲耶が言うとおり、依頼内容は端的に『草むしり』である。
「たかが雑草、されど雑草。この時節の雑草は本当に厄介な物です」
かつて朱呑童子と人々に呼ばれていた彼岸会 無量(p3p007169)は、一度抜いても1週間すれば新たに芽を出し、2週経てば立派に育ってしまうと、その生命力に辟易として。
「ふふ、忌々しいですね」
「雑草はせっかく育てた作物も駄目にしちまうからなぁ」
農家も行う色黒な肌のオーク、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)も雑草にはいい経験がなさそうだ。
ただ、今回対処が必要なのはただの雑草ではない。
「夏祭りの時に悪さをした呪具の一つがうっかり落ちただけで、この騒動?」
大きな目を持つ猫神、『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)が呪具の存在を迷惑がる。
外的要因……呪具から運悪く感染して肉腫となった雑草は、その繁殖力で勢力を増やそうとしているのだ。
「……肉腫って怖すぎじゃない? 面倒すぎるってモノじゃないよね、これ」
「呪具の影響範囲は非常に厄介なものですね。根絶せねばこの神威神楽は大ピンチじゃないですか!」
バスティスに同意するのは、本能のままに振舞う元宇宙警察忍者の少女、『不揃いな星辰』夢見 ルル家(p3p000016)だ。
肉腫事件はまだ記憶に新しいところだが、まさか雑草にまで影響があるなんて、とルル家は驚きを隠さない。
「誰が仕掛けたか知りませんが、犯人はとっちめてやらねばなりませんね!」
とはいえ、運搬中に落とした誰かを探すのは現状では難しい。結局はその大元を断つ方が早そうではある。
「肉腫は滅びのアークによって発生した魔物だ」
そこで、戦いに身を置き続ける別世界の勇者、『聖断刃』ハロルド(p3p004465)が自らの考えを語る。
「つまりは魔種由来の魔物と言って良いだろう。ならば俺がやることは決まっている」
「とりあえず、今は何とかこの雑草を倒して再発生を抑えないとね」
肉腫と化したのであれば、雑草とて駆逐せねばならないとハロルドは語ると、バスティスが大きく頷いてその対処に当たる。
そんな優秀な仲間達を気だるげな顔で見回す『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、依頼自体も単純な討伐だと考えて。
「植物まで肉腫化するのにはちょいと驚いたが、これなら何とかなるだろ」
わざわざ自分が出るまでもないと、世界はこのまま帰ろうと考えていたのだが、現場近くの街道を封鎖している鬼人種と接触すると、その態度を一変させる。
「……何!? これが片付いた後に馳走があるだと」
瓜売りが冷水につけて運んできていたマクワウリ。
それは、古くから別世界の日本で食用とされるメロンの亜種であり、糖度はメロンほどないが、安価である為庶民に好まれる食べ物である。
「何やら甘そうなものみたいだな。ならばしょうがない、手早く終わらせてしまおう」
「ならば、急がぬ手はない」
世界に続き、暑さにだれていた咲耶も気合を入れて。
「この炎天下で干からびる前に、肉腫であろうがサクッと刈って、早く冷たいマクワウリを頂くとしようぞ」
手早くこの依頼を終わらせようと、咲耶もやる気を見せていた。
「ともあれマクワウリの為――いや、安全の為しっかり仕事をこなすぞ」
「ふふ、頑張りましょうね鬼灯くん!」
そこで、鬼灯が持っていた人形、章姫が動き出す。最近自我が芽生え、自分で話すこともできるようになったのだとか。
「ああ、そうだね章殿。さぁ、舞台の幕を上げようか」
嬉しそうに応じる鬼灯は、仲間と共に現場となる領域へと足を踏み入れていくのである。
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現場領域を進むイレギュラーズ達は程なく、あからさまに蠢いている草を発見する。
雑草と思えぬほどに膨れ上がり、獲物を求めて草を触手状にしてわらわらと広範囲に動かしていたのだ。
その数は6体。現状ならバスティスにとってはさほど脅威とは思えぬようだったが。
「支援は任せてって言いたいけれど、なんか一方的な雰囲気を感じるんだよね」
とりあえず、しっかりと心の準備は整えるバスティスである。
「ククク……草の衆……相手が悪かったですね!」
そこで、ずんと雑草の前に距離をとって立ったのはルル家だ。
「こちらには爆裂丈夫なタンクと物理無効のタンクがいるのです! 発進! ゴリョウ殿&ハロルド殿!」
ルル家の呼びかけに応じて、前に出ていく2人。
完全武装したゴリョウはその身に聖躰を降臨させる。
ハロルドも物理攻撃を遮断する魔力障壁を展開して。
「『魔』の存在は皆殺しだ」
鬼気迫る形相で、ハロルドは蠢く雑草どもへと言い放ち、聖剣を抜く。
「貴様らはこの世界の『癌』だ。存在すら許しておけん」
迫ってくる2人に対して危険を察した肉腫化した雑草達は、長く伸ばした草を刃状や触手状にして応戦の構えを見せる。
引き付け役となるゴリョウ、ハロルドに続き、他メンバー達もその後方からついていき、攻撃に適した距離へと位置取っていく。
戦闘準備を整えたゴリョウ、ハロルドが距離を詰め、雑草らの攻撃を引きつけに当たる。
「ぶはははっ、どうしたおメェさん達の雑草魂とやらをみせてみろ!」
強く存在感を示すゴリョウに、肉腫化した雑草半数が気を引き、斬りかかっていく。
そいつらの攻撃に対してゴリョウは防御を固め、しばらく耐え凌ぐ。
彼の高い防御技術は伊達ではない。スキルの効力もあって、攻撃してきた雑草にしっかりと聖なる光で反撃も行うゴリョウである。
「おら、かかって来いよ! テメェらごときに俺の守りを貫けるか!」
「「…………!!」」
ハロルドは基本物理攻撃主体と思われる半数の雑草らの攻撃を無効化しながらも、自らの闘気を圧縮していく。
そして、それらを透明な青い刃状にし、空中へと多数設置していく。
「行け! 『月影剣』!」
それらをハロルドは投擲し、雑草らの体を傷つける。
なお、彼はゴリョウを巻き込まぬよう、かつ雑草を引きつけながら、距離をとっていく。
器用に根を動かして近づく敵を引きつけ、ハロルドは効率的な敵の撃破を狙っていた。
その2人を、世界やバスティスがバックアップに当たる。
世界は詩を紡ぎ、さらに占事を行って仲間達の強化を行う。
主に回復対象はゴリョウや前線メンバーで、広範囲に振るわれる草による傷を世界は調和の力で癒していく。
「切り傷に縛り付けと厄介だね」
バスティスも後方から前線メンバーが継戦できるようにと、問題解決の為の大号令を発する。
範囲攻撃も行う雑草達だが、多くは盾となる2人が攻撃を受けてくれることもあり、バスティスも聖光を発する余裕が時にあったようだ
その間に、他メンバーは雑草の殲滅を進めて。
肉腫化した雑草へと、咲耶が鴉羽の幻影を連射する。
「残らず駆逐するでござるよ!」
巻き起こる幻術の嵐は、蠢く雑草達の態勢を崩していった。
咲耶に続いて、無量は鬼渡ノ太刀で素早い突きを繰り出す。
本来は頭、喉、鳩尾という3ヵ所の急所を一度に攻める技だが、無量は根と草の繋ぎ目を突くことで雑草が満足に動けぬようにしていく。
「遠慮はいらん、俺ごと敵にブチかましたって良いんだぞ」
そんなハロルドの主張もあり、ルル家は拳銃、ライフルといった射撃武器で弾幕を展開し、彼を巻き込みつつ雑草の身体に風穴を穿っていく。
「ははははっ! 良いじゃねぇか! 矢、魔法、弾丸が降りそそぐ戦場! それでこそだ!」
なお、物理攻撃として展開したその弾幕で、豪快に笑うハロルドは一切ダメージを受けていないことにルル家が目を見張って。
「うおー! すごい! 弾いてる! なんか楽しくなってきました!」
なぜかテンションを高めるルル家は、高いクリティカル技能を活かしてなおも弾幕を展開する。
それによって、傷つく敵を纏めて捉え、鬼灯が呼びかける。
「悪く思うな、呪具に侵された貴殿らを野放しにはできんのだ」
「ごめんあそばせ!」
章姫の品のある謝罪の直後、鬼灯が放ったのは悪意によって広がる殺傷の霧。
それによって毒素を吸い込み、多くの雑草は満足に身体へと空気を取り入れられなくなっていたが、それ以前に殺傷の霧に耐えられず、枯れてしまった雑草が出始めていたのだった。
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雑草どもをうまく引き付ける前線のゴリョウ、ハロルドだが、不意にそれから逃れる雑草もいて。
弾幕を展開していたルル家目がけ、雑草達は長く触手を伸ばし、さらに刃となして彼女を攻め立てる。
気を抜けばそれだけで致命傷を与える力があるだけに、雑草とはいえ肉腫は侮れない。パンドラにすがって堪えたルル家を、世界が調和の力で癒していた。
ゴリョウが徐々に体力を削られてはいたが、それは彼もまた敢えて自分ごと敵を範囲攻撃で倒せと仲間に頼んでいたからだ。
多少傷が深くなれば、ゴリョウはスキル「サヨナラ」を発動させてさらに強く敵のヘイトを買っていたようだ。なんとも豪胆なことである。
バスティスがそんなゴリョウの傷を練達の治癒魔術で塞いでいた。
さて、広範囲の攻撃が続いていたことで、雑草らもかなり弱ってきていた。
ハロルドは隙を見て、剣身が赤熱した聖剣で雑草1体を刈り取っており、変幻邪剣で惑わせた雑草を無量が根元から素早く刈り取っていた。
「んぐ、少し動くだけでも汗が目に染みる」
早く涼しい日陰に移りたいと、咲耶が展開する死華羽の幻影で肉腫化した雑草に芽生える心を完全に摘み取ってしまう。
数が減ってくれば、メンバーの攻勢も激しくなる。
ルル家が一瞬の閃光を巻き起こして、雑草1体を爆ぜ飛ばしてしまうと、残る1体には迫る鬼灯が手に生み出した虚無の剣で切りかかり、全身を切り刻む。
さすがに苦しいと感じたのか、触手を伸ばして逃げようとした最後の雑草だったが、無量がそれをさせず。
「文字通り草の根一本も残しませんよ」
そいつにも急所をと根と葉の間を鋭く突き刺した無量は、なおも刃を一閃する。
肉腫化した雑草はそれによってだらりと葉を垂らし、全身を枯らして動かなくなってしまったのだった。
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肉腫化した全ての雑草を刈り取ってしまえば、あとは事後処理だ。
「雑草を倒したら雑草焼き!」
体力を回復してもらったルル家はテンション高く、仲間達の服についた草などをせっせと落とす。
「呪具を落とした、と言う事ですので、周囲を念入りに洗浄しなければなりませんね」
「駆逐が終われば今度は出現した周囲の雑草取り、一匹でも逃した後の事を考えるとぞっとせぬな」
無量や咲耶が言うように、少しでも残っていればまた繁殖の危険がある為、メンバー達は徹底的に雑草の駆除に当たる。
「もしよければ、俺達にも手伝わせてくれ」
「私も! 私も草を抜いてみたいのだわ、鬼灯くん!」
積極的に手伝いを申し出る鬼灯と章姫は丁寧に雑草を刈り取っていく。
地面へと集めた草に乾燥した木や枝を撒き、延焼防止の為にとバスティスが火の始末の準備を済ませたところで、ルル家が叫ぶ。
「ファイアー!」
そのかけ声に合わせて、鬼灯が焔式を、ハロルドが赤熱した聖剣で切りかかって燃え上がらせる。
「肉腫など焼き尽くしてやる。一片たりとも残しはせん」
特に、ハロルドは念入りにその焼却に当たっていた。
「拙者の店の焼きプロがいれば豪快に焼けたのですが、いないものは仕方ありません!」
致し方なしとルル家は油を撒いて焼いていく。機会があれば、是非見てみたいものだ。
ただ、それでは少し心配だと感じるメンバーも居て。
「どこからどこまでの草を焼き払えばいいんだろうね」
一応念入りにと、バスティスは少し広めに範囲を設定し直し、世界が精霊爆弾を使って一掃していく。
甘いものが待っている以上、一刻も無駄にすまいと、世界は手短に作業へと当たる。それでも、雑にはならぬよう配慮していたのはさすがだ。
「熱で地面に埋まっている根も根絶やしに出来ますね」
草が燃えるのを見ていた無量が語る。
鎮火後は灰も多く広がる為、荒地を耕して畑にするもよし、砂利を撒いて慣らし、雑草の生えにくい街道整備にするもよしと無量は提案する。
彼は鬼人種らに進言する予定だが、ここは街道である為、後者案が採用されそうだ。
また、鬼灯が除草剤を撒くことも提案する。
「万が一根まで侵されていた場合表面だけを焼いても、また同じことが起きるかもしれんからな」
街道を封鎖する鬼人種達にその提案をすると、当面の間の対策になると了承してくれたこともあり、鬼灯は傍に控えさせていた部下、水無月に除草剤の散布を任せていた。
さて、あちらこちらで火が起きれば、周辺の気温も上昇してしまう。
バスティスはこの近辺の植物には可哀想と感じながらも、暑さと熱さを感じてしまって。
「この暑さに火を扱うのはさすがに堪えるねぇ」
「そろそろ草抜きも終わりで良いでござるかな? もう体中が汗まみれで気持ちが悪くてかなわぬ」
冷たい水が欲しいと感じていたバスティス。昨夜も不快感を訴えていると、無量が切り分けたマクワウリを持ってくる。
「さあどうぞ、夏の仕事後の楽しみの一つですね」
「マクワウリ! 拙者初めて食べるものですね!」
「へえ、おいしそうな果物だね?」
ルル家は早速、それを一口。バスティスも興味を抱いてそれを手に取る。
なお、メロンの仲間であるマクワウリは分類上野菜であるのだが、果物と同様に扱いをされることも多い。
冷水で冷やしていたこともあって、涼をとるのと合わせて水分も取ることができる。そして、ほんのりとした甘さを感じさせるのが炎天下ではちょっとした贅沢にも感じさせる。
「んー、冷たくて美味しい!」
草を焼いているときはたまらない暑さだったが、これを頂けるなら悪くはなかったとバスティスは本音を口にする。
作業を終えた仲間達が集まってくるが、暑さの為木陰へと場所を移してから改めてブレイクタイムへと移る。
「俺はこの時を待っていた……!」
「これは……! 俺達ももらっていいのか? 感謝する」
鬼灯と水無月、その相棒の鷹ナナシが目を輝かせてマクワウリを食していく。
「なんと瑞々しいのか……!」
火照る身体を冷やすのにピッタリと鬼灯は目を輝かせる。
なお、傍の水無月もものすごい勢いで食べている。かなりの甘党であるのを隠しているらしいが、鬼灯にはバレバレである。
「そうだわ! せっかくだからお茶会にしましょうよ!」
章姫が両手を叩き、優雅な音楽と共に薔薇の庭園を展開しつつお茶会セットを準備する。
暑さもあって、その参加はまちまちだったが、洋菓子と紅茶に興味を抱いて口にするメンバーもいたようだ。
作業の都合で少し遅れて、マクワウリを口にする面々。
「ふむ、確かに甘さは程々だが冷たいし、水分も多いしで身体を冷やすにはいいかもな」
そう語る世界だが、持参した砂糖を盛り塩のごとくドバドバ持っている姿に、仲間達からは唖然とした表情も……。
「ふあぁ、生き返る! 冷えたマクワウリの味が火照った体によく沁みるでござるなぁ」
お腹いっぱい食べたいと咲耶は熟れたマクワウリを美味しそうに食べる。
「しかし懐かしい、昔はこう種を口に含んだら里の連中とどこまで飛ばせるか遊んだもの」
今はどこまで飛ぶのだろうと、ウリの種を口に含んだ彼女は思いっきり飛ばす。
「おぉ、よく飛んだものよ!」
そんな彼女は行儀が悪いと指摘されるも、童心に返りたくなったでござると笑ってみせた。
そこへ、マクワウリを調理したゴリョウがやってくる。
「ぶはははっ、遠慮なく食ってくれや!」
彼が作っていたのはまず、葛煮。柔らかく茹でて、削り節をひとつかみ入れて調味し、そのまま煮上げ、葛でとじたものだ。
「柔らかいマクワウリの食感を楽しめて、熱くても冷ましても美味しくいただけるぜ」
そして、生ハムメロンならぬ、生ハムマクワウリ。
ゴリョウお勧めのこの一品は、しつこくないあっさり目のウリの甘さと爽やかさが生ハムの塩気や旨味とよく合うのだとか。
「生ハムメロンは甘すぎてダメって奴でも、これはイケると思うぜ!」
「調理してもなかなかいけますね」
無量がそれらの料理を絶賛し、ハロルドも小さく頷いて口にする。
冷えた果実だけでなく、調理しても美味しさを感じられるなかなかに万能な果物、もとい野菜である。
一通りマクワウリを食べたルル家は満足したかと思いきや。
「あとは温泉にでも入って汗を流せれば最高なのですが、近所にありませんかね!」
そんな彼女の主張もあり、街道封鎖を解除した鬼人種が案内してくれる。
他のメンバー達もまたその好意に預かって、温泉へと向かうことにしたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは敵2体を討伐する活躍を見せたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
●概要
肉腫化した雑草群の撃破。
●敵
○植物×6体
元は野畑に生えていた雑草の類だったと思われます。
相手にくっついて運び、別所で根を張って増えようとするようです。
また、自らに害なす者には刃とした草で切りかかったり、蔓触手を操って相手を縛り付けたりするようです。
●状況
豊穣の街道に呪具が落ちた影響で、雑草が肉腫化したものと思われます。
事後は、街道を封鎖していた鬼人種達が用意してくれた瓜を食べて涼をとって下さいね。古くから食用にされるマクワウリで、川など冷水で冷やして食べると美味しい食べ物です。メロンほど甘くはないですが、爽やかな風味を感じさせます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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